JP2016154562A - ビワ種ゼリーとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ビワ種を用いて、食中毒菌や食品腐敗菌に対する抗菌機能を有するゼリー状食
品を提供することである。
【解決手段】 ビワ種を粉砕し粉末状とし、水または有機溶媒を用いてビワ種エキスを抽
出し、その抽出液をろ過した液状とし、ビワ果汁とともに液糖を加えてゲル化剤を混合し加水調整して撹拌しゼリー状にした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、従来、廃棄されていた食物原料であるビワ種を用いたゼリー状食品に関するもので、詳しくは、食べやすく加工したビワ種ゼリーとその製造方法に関する。
ビワは、日本および中国が原産地といわれているバラ科に属する植物である。また、このビワは、古来より薬用に用いられている。
ビワは、どの部分を用いても、病気には効果があるとされており、特に、ビワの種子は薬効に優れているとされ、「天神」と呼ばれている。
また、ビワの廃棄量は生産量の約3割といわれ、その大半が種子であり、この多くは利用されることなく焼却処分されている。ビワの種子には葉の2000倍のアミグダリン(ビタミンB17)が含まれているといわれており、従来その多くを廃棄処理しているビワ種の有効利用が図られている。アミグダリンは、ガン細胞を破壊するという特徴を持っている。これは、ガン細胞の周りに多量に存在する分解酵素が、前記アミグダリンを、シアン化合物とベンズアルデヒドに分解し、このシアン化合物とベンズアルデヒドとの相乗毒性効果で、ガン細胞を選択的に破壊するからである。
そこで、アミグダリンを有効利用するために、ビワの種子を利用し易い微粉末とするビワの種子粉末製造方法として、ビワの果肉を搾り出して種子を取り出す摘出工程と、摘出工程で取り出した種子を所定温度以下で乾燥する乾燥工程と、乾燥した種子を所定温度以下に維持しつつ粉砕する粉砕工程とからなる出願が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−222607号公報(第1−5頁、第1図)
前記ビワ種子粉末は、毒性がない天然食物素材を用いているので、副作用や弊害が生じることがなく、そのまま服用することができる。また、ビワ種が有する各ミネラル成分と、食中毒細菌や食品腐敗細菌(真菌)に対する抗菌機能をともに備える粉末状素材としているので、他の食品に添加して食中毒を防止するとともに、食品の品質を長期間に亘って維持することができるという利点がある。しかし、ビワ種を乾燥して粉砕した粉末状であるため、お茶やジュースなどの飲料を用いて服用しなければならず、特に高齢者にとって飲みにくいという難点がある。そのほか、粉末状のビワ種を賦形剤と混合して錠剤化し、水等で飲みやすくしたものがある。いずれの場合も、乾燥した状態のビワ種を摂取することになるので、口腔内の水分を吸引し口腔内壁に頻繁に付着することにより不快感が生じるなど、食べづらいという問題がある。
この発明は上記の点に鑑みてなされたもので、高齢者にとっても食しやすいものであり、長期間保存でき、従来、その多くを廃棄処理しているビワ種の有効利用がはかれる、ビワ種を用いたゼリー状食品を提供しようとするものである。
本発明に係る食品のビワ種ゼリーは、ビワ種から抽出されるビワ種エキスと、ビワ果汁と、液糖と、ゲル化剤と、が含まれることを特徴とする。あるいは、粉末状のビワ種と、ビワ果汁と、液糖と、ゲル化剤と、が含まれることを特徴とする。
この構成によれば、毒性がない天然食物素材を用いているので、副作用や弊害が生じることがなく、お菓子のようにそのまま、飲料を用いなくても容易に食することができ、特に高齢者にとってのどに引っかけることなく食せる。また、ビワ種が有する各ミネラル成分と、食中毒細菌や食品腐敗細菌(真菌)に対する抗菌機能をともに備えるゼリー状食品としているので、他の食品に添加して食中毒を防止するとともに、食品の品質を長期間に亘って維持することができる。
また、このビワ種ゼリーによれば、ワレミア属の高糖性食品腐敗菌(Wallemia sebi)およびフザリウム属の植物病原菌(Fusarium oxysporum)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および大腸菌(Escherichia coli)、ならびにレジオネラ菌(Legionella pneumophila)に対する抗菌機能を有している。したがって、饅頭などの糖度の高い菓子食品に対して好適な抗カビ剤として各種の食品や食品素材に混入したり、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する抗菌剤となるので、各種の食品や食品素材に混合できる。さらに、食中毒の原因となる細菌や真菌に対する抗菌機能だけでなく、レジオネラ菌に対する抗菌機能を備えているので、水周りの調度品に直接吹き付けて抗菌機能を発揮する抗菌剤とすることができる。
また、このビワ種ゼリーは、前記ゲル化剤が、ゼラチン、ペクチン、寒天もしくはカラギーナンのいずれかであってもよい。
本発明に係るビワ種ゼリーの製造方法は、ビワ種を用いてビワ種エキスを抽出する工程Aと、前記ビワ種エキスとビワ果汁とを混合する工程Bと、を備えることを特徴とする。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記工程Aが、ビワ種を粉砕し粉末状とし、水または有機溶媒を用いてビワ種エキスを抽出し、その抽出液をろ過する工程である。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記工程Bが、前記ビワ種エキスと前記ビワ果汁とともに液糖を加えてゲル化剤を混合する工程である。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記工程Bに続き、加水調整し撹拌してゼリー状にする工程Cをさらに備える。
本発明に係るビワ種ゼリーの製造方法は、ビワ種を粉末化する工程Xと、粉末化したビワ種とビワ果汁とを混合する工程Yと、を備えることを特徴とする。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記工程Yは、前記粉末化したビワ種と前記ビワ果汁とともに液糖を加えてゲル化剤を混合する工程である。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記工程Yに続き、加水調整し撹拌してゼリー状にする工程Zをさらに備える。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、前記ゲル化剤が、ゼラチン、ペクチン、寒天もしくはカラギーナンのいずれかであってもよい。
また、このビワ種ゼリーの製造方法は、ビワ種を破砕し、水または有機溶媒を用いてビワ種エキスの抽出を行う工程と、その抽出液をろ過して液状にするろ過工程と、前記液状のビワ種エキスを滅菌する工程と、滅菌処理したビワ種エキスにビワ果汁と液糖を加えゲル化剤を混合するとともに、加水調整して撹拌しゼリー状にする工程と、ビワ種ゼリー液を一定量ずつ切り出してビワ種ゼリーとする工程を備えてもよい。また、このビワ種ゼリーの製造方法は、ビワ種を破砕し粉末状化する工程と、前記粉末状ビワ種を滅菌する工程と、滅菌処理した粉末状ビワ種にビワ果汁と液糖を加えゲル化剤を混合するとともに、加水調整して撹拌しゼリー状にする工程と、ビワ種ゼリー液を一定量ずつ切り出してビワ種ゼリーとする工程を備えてもよい
上記したように本発明によれば、毒性がない天然食物素材を用いているので、副作用や弊害が生じることがなく、お菓子のようにそのまま、飲料を用いなくても容易に食することができ、特に高齢者にとってのどに引っかけることなく食すことができる。また、ビワ種が有するミネラル分と、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を備え、各種の食品や食品素材に混合して抗菌剤としても使用できる。
ビワ種エキスゼリーの製造方法の実施例を示す製造工程図である。 ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−1の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−2の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−3の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 本発明に係るビワ種およびビワ葉の抽出液の、ペーパーディスク法を用いた抗菌スペクトル一覧を示す。 直接添加法を用いたビワ種水抽出における抗菌スペクトル一覧を示す。 温度安定性試験結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 pH安定性試験結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ種の栄養分析結果を示す。
以下、本発明に係るビワ種ゼリーとその製造方法の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明に係るビワ種ゼリーの原料であるビワ種およびビワの果肉には、長崎県産のビワを使用した。これは、ビワは温暖な地域で栽培されており、日本ではその多くが九州産であるからである。
最初に、ビワ種エキスを用いて製造したビワ種ゼリーの製造方法の実施例について説明する。下記の表1はビワ種ゼリー10g当たりの配合表である。
Figure 2016154562
ビワ種エキスは、採取したビワ種を水洗いし、自然乾燥した後で皮を剥いで回転する粉砕カッターで粉砕して粉末化したビワ種を、エキス濃度が300mg/mlになるように適量の純水に加えて混合する。この状態で、1〜3ヶ月間かけてエキスの抽出を行い、濾過し、滅菌処理してビワ種エキスを製造する。滅菌処理はオートクレーブによる減圧加熱滅菌を行う。その他、純水に換えて海洋ミネラル水を用いてビワ種エキスを抽出したり、
70〜90%エタノールを用いて常温で9時間振とう抽出し、エタノール層とそれ以外の層に分離されるので、エタノール層の一部を蒸発させ、ビワ種エキスを抽出することができる。
図1の製造工程表に示すように、蒸気釜内の水に釜カッター1500rpmで高速回転しながら、還元麦芽糖水飴、果糖ぶどう糖液糖、ゲル化剤としての増粘多糖類1・2を適量ずつ投入する。増粘多糖類1は、ペプチン、ダマリンドシードガム、タクガム、寒天、ジュランガムからなり、増粘多糖類2はキサンタンガム、ローカストピンガムからなる。
続いて、クエン酸ナトリウム、ビワ種エキスを適量ずつ計量し、蒸気釜に投入する。
この状態で90℃まで加熱し、投入物の溶解が確認できたら、80℃まで冷却する。
ここで、ビワの実(果肉)を絞って製造した100%ビワ果汁を適量計量し、蒸気釜に投入する。
さらに、クエン酸とアスコフレッシュをそれぞれ適量ずつ計量し、蒸気釜に投入する。
蒸気釜内の原料を撹拌羽根を20rpmで回転させ.撹拌して均一に混合する。同時に加水調整する。このようにして、ビワ種ゼリー液を製造する。
ビワ種ゼリー液中に含まれる異物があれば、マグネットで吸着し、かつメッシュで濾過し、排除する。
味覚や色調検査を行った後、貯蔵タンクに定量を移し替える。
貯蔵タンクを充填温度の70〜80℃に保持し、モーノポンプで10gずつ包装袋内に充填する。
以上のようにして、ビワ種ゼリーを10g単位で包装袋に充填した状態ものを連続して製造する。
上記実施例では、ビワ種エキスを用いてビワ種ゼリーを製造したが、ビワ種エキスに代えて粉末状ビワ種を使用することができる。この場合は、エキスを抽出する前の粉末化したビワ種を、上記の製造工程においてビワ種エキスに代えて投入すればよい。その他の製造方法は、ビワ種エキスを用いる場合と共通するので、説明を省略する。なお、上記実施例では、還元麦芽糖水飴、果糖ぶどう糖液糖、ゲル化剤として、ペプチン、ダマリンドシードガム、タクガム、寒天、ジュランガム、キサンタンガム、ローカストピンガムを用いたが、ゼラチン、ペクチン、寒天もしくはカラギーナンのいずれかを用いてもよく、また、クエン酸ナトリウム、クエン酸やアスコフレッシュを省くこともできる。
次に、ビワ種が有する栄養成分について図9より説明する。
図9から明らかなように、ビワ種であっても、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄などの必須ミネラル分を豊富に含んでいる。そのために、ビワ種の粉末を食することで、最近では摂取しづらくなってきている必須ミネラルを手軽に摂取可能となることが明らかである。
次に、ビワ種が有する抗菌作用に関して、粉砕した粉末状のビワ種を水を用いて抽出し
、ろ過した抽出液であるビワ種エキスを用いて各菌の生育抑制試験を行った結果について説明する。
本試験の検定菌としては、細菌類のStaphylococcus aureus egaarak、Escherichia coli IFO3972と、真菌類のFusarium oxysporum NBRC31631を用いた。また、細菌類であるStaphylococcus aureus egaarak、Escherichia coli IFO3972に対しては、普通栄養液体培地(日本製薬株式会社製)100ml中に、生菌と共に、粉砕したビワ種を各、0g、5g、10g添加して、70rpm振とう培養を行い、コロニーカウント法にて生菌数を経時的に調べた。
真菌類であるフザリウム菌(Fusarium oxysporum NBRC31631)に対しては、改変ツァペックドックス液体培地100mlにビワ種抽出液濃度が、300、100、50、10mg/mlとなるようにビワ種抽出液であるビワ種エキスを添加し、25℃で70rpm振とう培養を行い、重量法にて菌体量を調べた。
前記改変ツァペックドックス液体培地の組成は、イオン交換水450ml、NaNO 1.35g、KHPO 0.45g、MgSO・7H0.225g、ショ糖13.5g、Bacto-peptone4.5gで、終末pHを7.3に調整したものを用いた。
図2には、黄色ブドウ球菌で毒素系の菌であり食中毒細菌の一種であるStaphylococcus
aureus egaarakを用いた生育抑制試験結果を示している。図2(a)は具体的な数値を
示す図表であり、図2(b)は結果を示すグラフである。
図2から明らかなように、ビワ種の粉末が無添加であれば、生菌が増殖しているが、ビワ種の粉末を添加しておれば、100mlの液体培地に添加する量が5g、10gに拘らずに、培養開始後24時間経過後には生菌数が0となり、そのまま96時間経過しても生菌数は確認できなかった。
上記の試験で、ビワ種の粉末が、黄色ブドウ球菌で毒素系の菌であり食中毒細菌の一種であるStaphylococcus aureus egaarakの生育を抑制することが明らかとなり、殺菌効果
を備えていることが判る。
つまり、ビワ種の粉末が、食中毒細菌に対して有効な抗菌剤となりうることが明らかとなった。
次に、ビワ種の粉末を用いてO−157が属する大腸菌であるEscherichia coli(IFO3972)を用いた生育抑制試験結果について図3より説明する。図3(a)は具体的な数値を示す図表であり、図3(b)は結果を示すグラフである。
本試験結果によれば、培養開始後24時間では、生菌の増殖が確認されたが、48時間後では生菌数は0となり、120時間培養経過しても0のままであった。また、添加するビワ種の粉末量は、5gでも10gでも同じ殺菌効果であることが確認された。
上記の試験で、ビワ種の粉末が、大腸菌であるEscherichia coli(IFO3972)の生育を抑制することが明らかとなり、殺菌効果を備えていることが判る。
つまり、ビワ種の粉末が、大腸菌に対して有効な抗菌剤となりうることが明らかとなった。
真菌であるフザリウム菌Fusarium oxysporumに対する生育抑制試験結果を図4に示す。
図4(a)は具体的な数値を示す図表であり、図4(b)は結果を示すグラフである。
図4から判るように、ビワ種抽出液としてのエキス濃度が300mg/mlであれば、96時間培養後でも菌体量は0であった。また、10mg/mlの濃度の場合には、0とはならずに、少量の菌体を検出した。しかし、ビワ種抽出液(ビワ種エキス)無添加のものと比較して、菌の増殖を抑制していることは明らかである。
つまり、ビワ種粉末の抽出液(ビワ種エキス)が、真菌類に対して有効な抗菌(抗カビ)食品素材となりうることが明らかとなった。
次に、ビワ種の抽出液(ビワ種エキス)を用いて行った抗菌活性試験について説明する。
この抗菌活性試験は、ペーパーディスク法と直接添加法を用いて行った。試料は、ビワ種、ビワ葉のそれぞれを粉砕し、イオン交換水100mlに添加し、25℃で24時間、100rpmで振とう抽出を行った。
また、検定菌として真菌類と細菌類をそれぞれ用いて行った。真菌類に対しては、ポテトデキロース寒天培地(日本製薬株式会社製)を用い、細菌類に対しては、普通栄養寒天培地(栄研化学株式会社製)を用いた。
真菌として、Aspergillus oryzae IFO30102、Mucor javanicus NBRC4507、Trichoderma
viride NBRC31137、Wallemia sebi NBRC6668、Fusarium oxysporum NBRC31631、Cladosporium cladosporioides NBRC30314、Eurotium herbariorum NBRC33235、Penicillium camembertii NBRC3221、Penicillium chrysogenum NBRC4626、また、細菌として、Bacillus subtilis IFO3335、Salmonella typhimurium IFO13245、Escherichia coli IFO3972、Staphylococcus aureus egaarak、Pectobacterium carotovorum NBRC3380、そしてLegionella pneumophilaを用いた。
上記のLegionella pneumophilaの培地としては、ACES10g/500ml、KOH2.8g/480mlをpH6.9±0.1に調整し、α―ケトグルタル酸1g、活性炭2g、酵母エキス10g、寒天15gを混合してオートクレーブ処理後、L−システイン0.4g/10ml、ピロリン酸鉄0.25g/10mlを混合したものを用いた。
図5にペーパーディスク法による試験結果を示し、図5に直接添加法による試験結果を示す。
図5には、ビワ種の抽出液(ビワ種エキス)の抗菌スペクトルを示しており、ビワ種の粉末を、水または各種の有機溶媒(例えばエタノール、アセトン)によって抽出を行い、得られたそれぞれの抽出液を用いて、各菌に対するMIC値を表示したものである。MIC値とは最小発育阻止濃度のことであり、その菌の増殖を阻止する(殺菌ではない)ための抗菌剤の必要最小量を示す。つまり、このMIC値が小さい程、すなわち使用する抗菌剤の量が少ない程、その抗菌剤の抗菌機能は強いことになる。
図5から、生種水抽出(ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液(ビワ種エキス))がEscherichia coli IFO3972に対して100mg/mlのMIC値を、Staphylococcus aureus egaarakに対して100mg/mlのMIC値を示しているのが判る。また、ビワの生種粉末をアセトンで抽出した抽出液がLegionella pneumophilaに対してMIC値300mg/mlの抗菌性を有していることを示している。
Escherichia coliとは、大腸菌群の一種であり、病原性大腸菌として有名なO−157もこの大腸菌群に属している。そのために、ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液はO−157に対して抗菌性を有している可能性がある。また、Staphylococcus aureusは前述
したように黄色ブドウ球菌であるので、ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液は黄色ブドウ球菌に対して抗菌性を有しているといえる。
さらに、食中毒の原因となる細菌や真菌に対する抗菌機能だけでなく、レジオネラ菌に対する抗菌機能を備えているので、水気中で繁殖するレジオネラ菌の増殖を抑制可能であり、水周りの調度品に直接吹き付けて抗菌機能を発揮する抗菌剤とすることができる。
今回の試験からは、ビワ葉の抽出液(ビワ種エキス)では格別な抗菌効果は検出できなかった。また、ビワ種の抽出液(ビワ種エキス)はビワ葉では見られない抗菌機能を発揮していることが確認されたので、ビワ種が有する抗菌機能はクロロフィル以外の成分が寄与している可能性が大きく、新たな抗菌剤として有効となる。
図6には直接添加法によりビワ種水抽出(ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液(ビワ種エキス))の抗菌スペクトルを示している。この試験結果から、ビワ種は、Escherichia coli IFO3972に対してMIC値230mg/mlの抗菌性を、Staphylococcus aureus egaarakに対してMIC値230mg/mlの抗菌性を、Wallemia sebi NBRC6668に対してMIC値10mg/mlの抗菌性を、Fusarium oxysporum NBRC31631に対してMIC値50mg/mlの抗菌性を発揮することが明らかとなった。
また、この抗菌スペクトルは広くなく、特定の菌に対する抗菌性を発揮する比較的狭い抗菌スペクトルである。そのために、このビワ種水抽出液を農作物に直接吹き付けても、周囲の土壌中の有用微生物を殺菌することはなく、非常に優れたFusarium oxysporum抗菌剤となりうる。
上記のように、ビワ種水抽出液(ビワ種エキス)は、Escherichia coli IFO3972やStaphylococcus aureus egaarakなどの細菌に対するよりも、ワレミア属のWallemia sebi NBRC6668やフザリウム属のFusarium oxysporum NBRC31631などの真菌に対する抗菌性のほうが高くなっている。
これは、ビワが有する特徴的な機能であり、腐敗し易く、カビが生え易い食料品に対して、大きな効果を発揮する可能性を示している。
次に、抗菌活性が温度によりどのように変化するかを調べる温度安定性試験と、抗菌活性がpHによりどのように変化するかを調べるpH安定性試験の結果について説明する。
温度安定性試験は、検定菌としてFusarium oxysporum NBRC31631を用いて、ビワ種抽出液(ビワ種エキス)を4℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃の温浴中で60分間保持した後で、氷冷し、直接添加法により残存している抗菌活性を測定した。また、オートクレーブ処理(121℃、20分)した抽出液(ビワ種エキス)も同様の測定を行った。抗菌活性の判定は、20℃で保持した時のMIC値を100とした相対残存活性(%)で表し、その結果を図7に示す。
図7(a)は各温度における相対残存活性(%)の具体的な数値を示す図表であり、(b)はその結果を示すグラフである。
図7から判るように、4℃〜121℃の範囲内においては、抗菌活性は全て100%を示しており、安定している。このことから、ビワ種抽出液が備える抗菌性は、通常の食品の加工温度範囲において安定的に保持可能であると判断される。そのために、ビワ種抽出液を食品素材として、各種の食品に添加含有して使用することが可能となる。
pH安定性試験は、検定菌としてFusarium oxysporum NBRC31631を用いて、ビワ種抽出液10mlに、10mlの0.1M緩衝液(pH3.0〜5.0は酢酸緩衝液、pH6.0〜8.0まではリン酸緩衝液、pH9.0は炭酸緩衝液)を加え、4℃で60分間保持した。その後、塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH6.0となるように調整し、直接添加法により、残存している抗菌活性を測定した。抗菌活性の判定は、pH6.0で保持した時のMIC値を100とした相対残存活性(%)で表し、その結果を図8に示す。
図8(a)は各pHにおける相対残存活性(%)の具体的な数値を示す図表であり、(b)はその結果を示すグラフである。
図8から判るように、pH3〜pH9において、抗菌活性は全て100%を示しており安定している。このことから、ビワ種抽出液が備える抗菌性は、通常の食品の加工pH範囲において安定的に保持可能であると判断される。
上記したように、ビワが備える抗菌機能は、4℃〜121℃の温度範囲でpH3〜pH9のpH範囲内での加工条件では劣化せず安定している。そのために、この条件範囲内で加工を行うことで、各種の食品や食品素材に混入可能な粉末状または液状の抗菌剤を得ることが可能となる。
また、pHに強いことは、健康食品として摂取した際に、pHの低い胃やpHの比較的高い腸内を通過しても抗菌力を発揮することになる。
上記したように本発明に係るビワ種ゼリーは、真菌および細菌に対する抗菌機能、特に複数の食中毒菌および食品腐敗菌に対して抗菌機能を発揮するので、各種の食品に添加して食中毒を効果的に防止可能となる。さらには抗菌機能だけでなく、各種の栄養成分、特に必須ミネラルを豊富に含んでいるので、高機能性食品素材ともなる。そのために、粉末状または液状とすることで、各種の食品や食品素材に混入可能な、高機能で抗菌性を有する食品素材とすることができる。
そのために、ビワ種ゼリーを直接食品材料中に練りこむ抗菌・抗カビ剤とすることも、水や有機溶媒で抽出したものを、抗菌・抗カビ剤として直接食材に吹き付けることも可能となる。さらには、食品の上からビワ種ゼリーを塗布して日持ち向上剤として利用することも、農作物に直接ビワ種ゼリーを吹き付けたり、農作土壌にビワ種ゼリーを混ぜることにより、生物農薬としても可能となる。
本発明に係るビワ種ゼリーは、毒性の無い自然植物由来であるので、副作用や弊害が生じることがなく、そのまま服用容易な健康食品ともなる。さらには、通常の食事の後に、ビワ種ゼリーを抗菌剤として服用することで、食中毒を予防すると共に必須ミネラルを効率よく摂取することができる。
本発明は、抗菌性を有するビワ種を加工し、ゼリー状とすることによりビワ種の食べづらさを解消するとともに、ビワ種由来の抗菌作用により食中毒を予防することができ、特に幼児や免疫力の低下した高齢者にとって優れた機能性食品を広く普及する。

Claims (11)

  1. ビワ種から抽出されるビワ種エキスと、
    ビワ果汁と、
    液糖と、
    ゲル化剤と、が含まれる、
    ビワ種ゼリー。
  2. 粉末状のビワ種と、
    ビワ果汁と、
    液糖と、
    ゲル化剤と、が含まれる、
    ビワ種ゼリー。
  3. 前記ゲル化剤が、ゼラチン、ペクチン、寒天もしくはカラギーナンのいずれかである、
    請求項1又は請求項2に記載のビワ種ゼリー。
  4. ビワ種を用いてビワ種エキスを抽出する工程Aと、
    前記ビワ種エキスとビワ果汁とを混合する工程Bと、
    を備える、
    ビワ種ゼリーの製造方法
  5. 前記工程Aは、ビワ種を粉砕し粉末状とし、水または有機溶媒を用いてビワ種エキスを抽出し、その抽出液をろ過する工程である、
    請求項4に記載のビワ種ゼリーの製造方法
  6. 前記工程Bは、前記ビワ種エキスと前記ビワ果汁とともに液糖を加えてゲル化剤を混合する工程である、
    請求項4又は請求項5に記載のビワ種ゼリーの製造方法
  7. 前記工程Bに続き、加水調整し撹拌してゼリー状にする工程Cをさらに備える、
    請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のビワ種ゼリーの製造方法
  8. ビワ種を粉末化する工程Xと、
    粉末化したビワ種とビワ果汁とを混合する工程Yと、
    を備える、
    ビワ種ゼリーの製造方法
  9. 前記工程Yは、前記粉末化したビワ種と前記ビワ果汁とともに液糖を加えてゲル化剤を混合する工程である、
    請求項8に記載のビワ種ゼリーの製造方法
  10. 前記工程Yに続き、加水調整し撹拌してゼリー状にする工程Zをさらに備える、
    請求項8又は請求項9に記載のビワ種ゼリーの製造方法
  11. 前記ゲル化剤が、ゼラチン、ペクチン、寒天もしくはカラギーナンのいずれかである、
    請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載のビワ種ゼリーの製造方法。
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