JP2016151313A - 変速機構 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する変速機構が開発されている。
このように、ピニオンスプロケットのそれぞれが回転軸の軸心に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化し、ピニオンスプロケットの何れをも囲んで接する円の半径が変更される。よって、複合スプロケットの見かけ上の歯数(ここでは単に「複合スプロケットの歯数」という)が連続的に変化し、変速比を変更することができる。
(3)前記動力伝達部の幅方向端部と前記噛合部の幅方向端部とが互いに結合されることが好ましい。
(5)前記ピニオンスプロケットの歯は、インボリュート形状に形成されることが好ましい。
なお、本実施形態では、変速機構における回転軸の軸心あるいはこの軸心に平行な方向を軸方向とし、回転軸の軸心を基準に径方向および周方向のそれぞれを定める。また、変速機構における公転方向を基準に進角側および遅角側を定める。
以下、一実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔1.構成〕
変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられた無端ベルト6とを備えている。
上記したピニオン接円Aの半径は、複数のピニオンスプロケット20と無端ベルト6との接触半径、即ち、複合スプロケット5のピッチ円の半径にも対応している。したがって、変速機構では、ピニオン接円Aの半径が変更されることで、無端ベルト6の巻き掛け半径が変更され、変速比が変更される。
複合スプロケット5にかかる構成の説明では、基本的な構成要素として、無端ベルト6に噛み合うピニオンスプロケット20,無端ベルト6を案内(ガイド)するガイドロッド29,回転軸1と一体に回転する固定ディスク10,固定ディスク10に対して相対回転可能に設けられた可動ディスク19,固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15,可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16の順に説明する。その次に、基本的な構成要素を作動させる機構類として、相対回転駆動機構30,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50の順に説明する。その次に、二組の複合スプロケット5,5に巻きかけられた無端ベルト6について説明する。
本実施形態では、図2に示すように、回転軸1の軸方向両端側(図2における上端側および下端側)のそれぞれに、固定ディスク10と可動ディスク19とが互いに隣接して装備され、回転軸1の軸方向中間部にピニオンスプロケット20およびガイドロッド29ならびにこれらに巻き掛けられた無端ベルト6が配置される。また、固定ディスク10よりも可動ディスク19の方が、軸方向内側、即ち、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,無端ベルト6に近い側に配置されている。
図1に示すように、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29のそれぞれが、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動してピニオンスプロケット20およびガイドロッド29のそれぞれが公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20およびガイドロッド29のそれぞれが公転する回転数とは等しい。
ピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側および遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼ぶ。
ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯21c,22c,23c(以下、これらを区別しないときには符号「20c」で示す)は、インボリュート形状に形成され、それぞれの形状寸法およびピッチは同一規格のものとなっている。
なお、ピニオンスプロケット20の歯車20gの列数は、変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列または四列以上であってもよいし一列であってもよい。
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、無端ベルト6と回転軸1の軸心C1との距離の変動(無端ベルト6の巻き掛け半径の変動)を小さくするように、即ち、回転軸1周りの無端ベルト6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、無端ベルト6をガイドするものである。これらのガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接する無端ベルト6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23およびガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、無端ベルト6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23およびガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
なお、ガイドロッド29はそれぞれ同様に構成されるため、ここでは一つのガイドロッド29に着目して説明する。
図2に示すように、ガイドロッド29の軸方向両端部29A(一方の軸方向端部のみに符号を付す)では、ガイド部材29bからロッド支持軸29aが軸方向に突出している。詳細は後述するが、この突出したロッド支持軸29aが固定ディスク10および可動ディスク19に支持される。
つまり、ガイドロッド29は、ロッド支持軸29aと、ロッド支持軸29aにおける無端ベルト6と接触する軸方向位置に部分的に外装された円筒状のガイド部材29bとを有する。
ただし、ガイドロッド29の本数を多くするほど、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くおそれがあるため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。
固定ディスク10および可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29の軸方向両端部にそれぞれ対を成して設けられているが、ここでは一側に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。
図3および図5に示すように、固定ディスク10には、複数のピニオンスプロケット20それぞれに対応して設けられた複数のスプロケット用固定放射状溝11(一箇所のみに符号を付す)と複数のガイドロッド29それぞれに対応して設けられた複数のロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の固定放射状溝が形成されている。配置箇所が異なる点を除いて、スプロケット用固定放射状溝11のそれぞれは同様に構成され、また、ロッド用固定放射状溝12のそれぞれは同様に構成されている。
これら固定用放射状溝11,12の各溝幅は、内挿される支持軸20a,29aの各外径に対応する溝幅を有する。具体的には、溝幅が対応する支持軸20a,29aの外径よりも微小に大きく設定されている。そのため、内挿される支持軸20a,29aは、滑らかに固定放射状溝11,12に沿って移動可能である。
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29を挟んで一側および他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
ロッド用可動放射状溝19bのそれぞれは、対応するロッド用固定放射状溝12と軸方向視で交差する。ロッド用可動放射状溝19bには、対応するガイドロッド29のロッド支持軸29aが内挿される。
可動用放射状溝19a,19bの各溝幅は、内挿される支持軸20a,29aの各外径よりも微小に大きく設定されている。そのため、内挿される20a,29aは、滑らかに可動用放射状溝19a,19bに沿って移動可能である。
図2に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10および可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図6および図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。
接続部17は、可動ディスク19および第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図6に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。ここでは、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。なお、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。ただし、肉抜き部17cが省略され、円盤状に径方向接続部17bが形成されていてもよい。
第二回転部16は、可動ディスク19の外周端部19tに上記の接続部17a,17bを介して連結されるとともに第一回転部15近傍の外周を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。
なお、図7には第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝16aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
相対回転駆動機構30は、複合スプロケット5,5を機械的に連動させる機構である。この相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90を軸方向に移動させる変速用フォーク35と、この変速用フォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,変速用フォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。
図2および図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15aに対応する箇所にベアリング91aが外装され、同様に、第二カム溝16aに対応する箇所にベアリング91bが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。
変速用フォーク35は、二組の複合スプロケット5,5に跨って設けられる。ここでは、変速用フォーク35が軸方向視でメガネ形状に形成されている。
この変速用フォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの径方向内側には、上記の第一回転部15および第二回転部16が配設されている。
なお、変速用フォーク35は、ディスク10,19に対して平行なプレート状の部材であって、無端ベルト6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側に並設されている。
図2および図7に示すように、軸方向移動機構31は、変速用フォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸(駆動軸)32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、変速用フォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周に変速用フォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
上記の変速用フォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に結合された変速用フォーク35が軸方向に移動し、この移動にともなってカムローラ90も軸方向に移動される。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
次に、図2および図5を参照して、スプロケット移動機構40Aおよびロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象が異なるだけで、その他の構成は同様である。
図5(a)は、最小ピニオン接円A1となった状態における可動ディスク19の固定ディスク10に対する位相を示している。このとき、固定放射状溝11,12と可動放射状溝19a,19bとが交差する第一交差箇所CP1は、回転軸1の軸心C1に対して最も近接している。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29の移動方向が反転し、ピニオンスプロケット20およびガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
次に、図2および図6を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側の構成に着目して説明する。
機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、無端ベルト6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。言い換えれば、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、無端ベルト6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
図6に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11に挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
また、スプロケット用固定放射状溝11の内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
次に、無端ベルト6について説明する。
図1、図2および図10に示すように、無端ベルト6は、外周側の動力伝達部61と内周側の噛合部62とが互いに結合されて二重構造をなす動力伝達部材である。ここでは、図2および図9に示すように、動力伝達部61の幅方向端部61aと噛合部62の幅方向端部62aとが互いに結合されている。動力伝達部61と噛合部62との結合手法としては、縫合や接着などが挙げられる。なお、動力伝達部61および噛合部62の幅(延在方向に直交する長さ)は同一であるが、便宜上、図9では動力伝達部61の幅を拡大して示している。
動力伝達部61は、幅方向にも動力伝達方向(延在方向)にも伸び耐性を有する。ただし、動力伝達部61はピニオン接円Aの拡縮径に対応可能な可撓性をもちあわせている。例えば、アラミド樹脂から動力伝達部61を成形することができる。
噛合部62には、ピニオンスプロケット20の歯20cが入り込む溝611(一箇所にのみ符号を付す)が形成されている。この溝611は、歯20cのピッチに対応した間隔で動力伝達方向に沿ってそれぞれ配置されている。ピニオンスプロケット20が三列の歯車20gを有するため、三列の溝611が設けられている。
また、溝611の各列のピッチに対応して、ピニオンスプロケット20の各列の位相もそれぞれ設定されている。すなわち、軸方向端部それぞれのピニオンスプロケット20に対して軸方向中央部のピニオンスプロケット20の位相が半歯分(半ピッチ分)ズラされて配置される。
図10に例示するように、噛合部62とピニオンスプロケット20の歯20cとが噛み合う場合には、噛合部62が半歯分だけ弾性変形する。このとき、噛合部62は、材料(ここでは鍛造繊維)の強度で動力に対抗し、また、噛合部62とピニオンスプロケット20の歯20cとの噛み合いが生じる数ピッチの範囲内でのみ局所的に弾性変形する。なお、図10では、弾性変形していない状態の噛合部62を二点鎖線で示し、ピニオンスプロケット20を実線および二点鎖線で互いに半歯分(半ピッチ分)だけ位相がズレたものを示す。
本発明の一実施形態にかかる変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)ピニオンスプロケット20の歯20cに噛み合う噛合部62が弾性を有するため、ピニオンスプロケット20の歯20cと無端ベルト6の噛合部62との位相ズレを吸収することができる。すなわち、歯20cとこれに噛合する噛合部62との噛み合いを安定させることができる。
また、入力側の複合スプロケット5におけるピニオンスプロケット20の歯20cから噛合部62に伝達された動力は、噛合部62の幅方向端部62aから動力伝達部61の幅方向端部61aに伝達される。動力伝達部61が伸び耐性を有するため、動力が張力として伝達される。すなわち、動力伝達部61の幅方向端部61aから伝達された動力は、その伝達方向に沿う張力となって伝達される。
したがって、動力を安定して伝達することができる。また、噛合部62への歯20cの噛み合い時の音や振動を抑制することができる。
また、噛合部62の必要以上な弾性変形が抑えられ、動力伝達効率の低下を抑えることができる。
また、噛合部62の弾性的な変形量は、例えば鍛造繊維の編み方によって設定することができる。この噛合部62が最も弾性変形したときには、鍛造繊維の材料強度で動力を伝達することができる。
また、溝611のピッチがズラされて配置されているため、ピニオンスプロケット20それぞれと噛合部62との噛み合い箇所が動力伝達方向に分散され、耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の一実施形態では、動力伝達部61および噛合部62からなる二層構造の無端ベルト6を例示したが、動力伝達部61または噛合部62が多層構造をなしていてもよい。例えば、外壁面に多数の溝611(孔)が形成された筒状体を偏平させて二層にしたうえで、一方の層および他方の層それぞれの溝611の位置を一致させることにより形成された二層の噛合部62を適用してもよい。また、幅方向の伸び耐性を有する層と動力伝達方向の伸び耐性を有する層とが合わせられた動力伝達部61を適用してもよい。
また、噛合部62の弾性変形量は、ピニオンスプロケット20の半歯分に限らず、種々の変形量に設定可能である。変形量を大きくするほど、無端ベルト6の噛合部62とピニオンスプロケット20との位相ズレが吸収されて噛み合いが安定しやすくなるものの、動力伝達効率が低下する。そのため、噛み合いの安定と動力伝達効率との双方を考慮して、噛合部62の弾性変形量を設定するのが好ましい。
るおそれがあるため、上記の位相ズレ許容動力伝達機構が装備されるのが好ましい。
また、ガイドロッド29のガイド部材29bは省略してもよい。つまり、ガイドロッド29がロッド支持軸29aから構成されてもよい。この場合、最小ピニオン接円A1を更に小さくすることが可能となり、レシオカバレッジの拡大に寄与する。
5 複合スプロケット
6 無端ベルト
61 動力伝達部
61a 幅方向端部
611 溝
62 噛合部
62a 幅方向端部
10 固定ディスク
11 スプロケット用固定放射状溝
12 ロッド用固定放射状溝
15 第一回転部
15a 第一カム溝
16 第二回転部
16a 第二カム溝
17 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部
17c 肉抜き部
19 可動ディスク
19a スプロケット用可動放射状溝
19b ロッド用可動放射状溝
19A 連結シャフト
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
20a,21a,22a,23a 支持軸
20g 歯車
20s スペーサ
22A(20A) 軸方向端部
29 ガイドロッド
29A 軸方向端部
29B 軸方向中間部
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30 相対回転駆動機構
31 軸方向移動機構
32 モータ
32a 出力軸
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
35 変速用フォーク(スプロケット移動用軸方向移動部材)
35a カムローラ支持部
35b ブリッジ部
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
90 カムローラ
90a 一端部
C1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所
Claims (5)
- 動力が入力または出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられた無端ベルトとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲みかつ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円の半径に変更によって変速比を変更する変速機構であって、
前記無端ベルトは、
伸び耐性をもち動力を伝達する動力伝達部と、
前記ピニオンスプロケットの歯と噛み合い前記動力伝達部の内周側に結合されて弾性変形可能な噛合部とを有する
ことを特徴とする、変速機構。 - 前記噛合部は、弾性変形していない状態から動力伝達方向に沿って前記ピニオンスプロケットの半歯分だけ弾性変形可能に形成された
ことを特徴とする、請求項1に記載の変速機構。 - 前記動力伝達部の幅方向端部と前記噛合部の幅方向端部とが互いに結合された
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の変速機構。 - 前記噛合部は、鍛造繊維が編まれて形成された
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の変速機構。 - 前記ピニオンスプロケットの歯は、インボリュート形状に形成された
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の変速機構。
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Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2000046133A (ja) * | 1998-07-24 | 2000-02-18 | Kenji Mimura | 変速機 |
JP2007315436A (ja) * | 2006-05-23 | 2007-12-06 | Tsubakimoto Chain Co | サイレントチェーン伝動装置 |
JP2008267589A (ja) * | 2007-04-18 | 2008-11-06 | Koji Morishige | スチールベルト |
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2015
- 2015-02-17 JP JP2015028811A patent/JP6277145B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (6)
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