JP2016150781A - 包装袋体の易開封構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】開封時の陰圧の発生を抑制するとともに、開封操作力をヒートシール面に効率よく作用させることによって、子供でも容易に開封できる易開封構造を提供する。【解決手段】上記課題は、袋体の少なくとも一辺のフィンシールが剥がれシールに形成され、該フィンシールに一対の摘み代A13,摘み代B14が該フィンシールの長手方向と直角の方向に袋面を介して正対して設けられていることを特長とする包装袋体の易開封構造によって解決される。【選択図】図10

Description

本発明はプラスチックのフィルムやシートの包装袋のヒートシール面の開封の容易な摘み開封構造に関するものである。
プラスチックのフィルムやシートを使った袋の製袋やそこに製品を充填した後の封緘には、プラスチックの熱可塑性を利用したヒートシールが使われている。
この包装では胴部のたるみ部分を摘まんで、内側から開封している。
この包装袋の別の開封方法として、別に加工された切り口(ノッチ)を起点にして包装の一部を切り裂く方法がある。切り口の細工、切り裂きの方向性を規制する加工等が要求される。
本発明者は、長きにわたりヒートシールについて研究し、ヒートシールの易開封構造についても、袋体の剥がれヒートシール部の根元縁に隣接して、タブが連設された柔軟構造物を接着して、このタブを引っ張る方法を開発した(特許文献1)。
特許第5435813号公報
剥がれを利用した開封では、特別な加工等をせずにヒートシール幅、ヒートシール強さ、接着状態等を経験則によって選択しているが、摘まみ方の相違で開封が不安定となったり困難になる場合が多い。
袋物包装品の別の開封方法として、加工された切り口(ノッチ)を起点にして包装の一部を切り裂く方法がある。切り口の細工、切り裂きの方向性を規制する加工等が別途要求される。
切り欠き開封の方法では、開封後に切りとり部が袋から取り去られるので、“ゴミ”ができて周辺の美粧性を損なっている。
袋の一部が切り取られ、袋の容積が減少するので、残った中身の保存のための袋の一部を折り曲げる再封止が困難になったり、思わぬ方向に破れて、中身がこぼれてしまうことが通常的に起こって、バリアフリーの筆頭に挙げられている。
従来の切り裂きや摘み開封方法では開封開始箇所を限定したり、開口の大きさを調節することは困難である。中身を別の容器に移し替えたいような用途の場合には、ハサミやカッターを使って限定箇所を切った上で、ロートの適用が必要である。そして注ぎ口の付設する展開になっている。
本発明者が先に開発した特許文献1の方法は、その従来技術より易開封性を高めたものであるが、それでも最低開封力が8N程度であり、更に容易に開封できる開封構造の開発が望まれていた。また、摘み片の製作と貼付が必要であり、製造工程のさらなる簡略化が望まれていた。
正方形に4方シールされた袋(パウチ)の開封を例にして、通常的に行われている胴部摘まみの開封性の課題を整頓する。
袋の両側の表裏2点の摘み開封の荷重メカニズム解析の片側を図1に示した。対角線の交点のA点を摘まんで引っ張ると開封力は円状に分布するから袋のヒートシール面の内側の内接点に先ず荷重が掛る。応力点は4か所になるから、同時に4か所の剥がれが進行するので開封力は一か所の4倍になる。
A点を開封点に選ぶと開封したいヒートシール面の選択ができない。適切な開封点は交点Aを通る水平線上の剥がしたいヒートシール面に近いヒートシール線側の選択に制限される。 図1ではA→B→C→Dに移転させる配慮が必要となる。
摘み開封操作によって、内部が陰圧になるので内容積変化が最小になる開封操作が求められている。ヒートシールの内側線上のD点を選択すれば、摘みによる容積変化量は最小になることが分かる。
従来の摘み開封の開封力発現のメカニズムを図2によって解析する。摘み点4に開封力が加わると、開封操作力は先ずヒートシールエッジの剥がれ起点5(図2の★点)に加わり、順次、剥がれライン6が円弧状に拡大する。1次的には開封力は剥がれの円弧長に接着強さ(ヒートシール強さ)を乗じたものになる。
実際の摘み個所は点ではなく図3に示したようにWの幅の線状(摘み線)10になる。この場合のヒートシールエッジに掛かる荷重線は円弧の合成で、点から幅に変化する。初期開封力は点から幅W(摘み線10)とヒートシール強さの関係になる。折り代を大きくとるとWは拡大して開封力は比例的に増加する。
開封力(Fo)は接着面のヒートシール強さ(Fhs/15mm)と円弧長(15mmの倍数)の積で表現できる。
人手の開封力は開封者が出せる力によって異なる。健常の子ども、成人男女の出せる開封操作力(圧着による摩擦力)を次の方法で計測した。
スナック包装袋の一部を約20mmの幅に切り取り、一方を携帯用の荷重計のグリッパーに挟む。利き手で荷重計を保持し、他方を非利き手で摘まんで指先の摘みが滑り始めるまで引張試験をした。この時の最大の指示値を採取し、次のような結果を得た。
<1>小学生低学年(男):7〜10N、<2>小学生高学年(男):10〜18N、<3>成人男子:10〜20N、<4>成人女子:10〜15N
この測定結果から適用できる開封操作力の範囲を6〜20Nに選択する。
袋の胴部を摘まむ開封方法では、小サイズや充填率の高い(隙間の小さい)仕上がり袋では摘み線を作り難い欠点がある。
胴摘み部の開封にはもう一つの阻害要因がある。開封操作が進行すると摘み点と開封したいヒートシール線との距離を辺とした立方体が形成されるから、開封操作によって包装袋内の容積は増加するので、袋内は陰圧になる。すると大気圧によって袋は押しつぶされて、開封操作による2次的な開封阻害要因が発生する。
更に開封が立体状になることによって、操作荷重線は剥がれ線に直角にならなくなり操作力の効率が減じられ、より大きな開封力が必要になる。
従来のヒートシール面の剥がし開封の議論はヒートシール強さを主体に論じられてきた。しかし開封操作点の選択移動による開封力の増加や変化の的確な論議がなされていない。
本発明者は易開封に関係する次の6点の要素の影響を明確にした。(図2、3参照)
(1)剥がれ線長を支配する要素群
1)荷重基点とヒートシールエッジまでの距離:(L)
2)開封荷重の摘み線10の幅:(W)、折り代の約2倍
3)剥がれ奥行(ヒートシール幅)(C)
(2)ヒートシール面の接着力
4)ヒートシール強さ:(Fhs)
(ヒートシール強さの発現要素;・包装材料の基本性能、・溶着面の加熱温度帯)
(3)開封力の制限
5)人の操作力:(Fs)(子ども、大人、老人の相違を反映)
(4)材料の伸び開始力又は破断強さの制限
6)適用材料の開封操作幅(W)の伸び開始力又は破断強さ:(Fe)
7)適用材料の剛性(厚さ、硬さ)
(5)開封操作による形状の変化
8)袋内部の陰圧の発生で、大気圧によってヒートシールエッジが押しつぶされる
9)形状変移に材料の剛性が作用する
袋包装の胴部の摘み開封操作では、密封状態で内部容積が増加して陰圧になるから大気圧で剥がれ面が押し付けられるので、開封力がヒートシール線に荷重しなくなる現象がある。従って、開封操作での内部容積の変化を小さくする考慮が必要である。
本発明の目的は、開封時の陰圧の発生を抑制するとともに、開封力をヒートシール面に効率よく作用させることによって、子供や障害者でも容易に開封できる易開封構造を提供することにある。
本発明者はヒートシール面を利用した易開封を達成するために、開封力をヒートシール面に直接かつ直角に付与する構成によって、操作力の分散を抑え、剥がし操作開始時の容積変化をなくし、開封阻害要因の影響の極小化を図った。
一つの加熱サンプルから同一のカット幅の試料二つ作る。片方の試料のヒートシールされていない部分を1cm位カットして、長さの異なる試験片を作った。
図4に示したような構成で、両端を揃えて引張試験を行った。
この試験片の摘み点を共通にして一方を固定ジョー、他方の引張ジョーに挟んで引張試験を行った。この場合、2片の長さが異なるので引張の始めはAのみの剥離操作が行われる。この時の引張強さはこのサンプルの接着強さを示している。接着幅が15mmの接着強さを[ヒートシール強さ]と定義(JIS Z 0238)している。
引張操作が進行して他方と合わさると、2面の接着面が同時に剥離される。力学的には加算値になる。
ヒートシールの接着強さは数μmのギャップや加熱温度斑で熱接着は不均一になるので、実際は一対の合成剥離力は約2倍になった。この測定事例を図5に示した。開封操作力は接着強さの2倍が最小になる。
本発明は、これらの着想および知見からなされたものであり、図6(a)に示したように袋体の上部又は底部の一辺のフィンシールが剥がれシールに形成され、該フィンシールに一対の摘み代が該フィンシールの長手方向と直角の方向に袋面を介して正対して設けられていることを特徴とする包装袋体の易開封構造を提供するものである。
「摘み代」13、14は筒状の袋材料に二つの「ひだ折り部(フィン)」を正対して作る。そして上部と下部の両端を畳んで、上部と下部のヒートシール部2を作るときに一緒に圧着加熱する。交差シール部を「摘み部」43、44とする。
本発明の開封操作は「摘み部」に連結する約10mmの非ヒートシール部が「摘み面」45、46となる。「摘み代」は「摘み部」を含む当初のひだ折り部全体を言う。
製品が充填されて後の非シール部のフィン16(図7(A)参照)は拡張してガセット折り製袋と同様な機能を果たし、開封操作には直接関与しなくなる。
この本発明は、次のような特徴を有している。
(1)ヒートシール面を剥がれシールとする。
(2)開封操作力がヒートシールの剥がし線に集中するように直角に負荷する。(図7(D)参照)
(3)開封開始直後に内外部を貫通させ袋内の陰圧の発生を解消する。
(4)開封力がヒートシール強さとヒートシール幅のみで決定されるように「摘み部」43、44を構成する。
(5)加熱温度の選択で、ヒートシール強さを調節して、開封操作力を4〜20Nになるようにする。好ましくは5〜18Nにして、すべての年齢層に易開封を適用できるようにする。
図8は「層間剥離」する材料のヒートシール特性の事例である。A点は溶着面温度が90℃のヒートシール強さで約3N/15mmを示している。B、C点は106℃、110℃の加熱のヒートシール強さを示している。
(6)図9はヒートシール幅を12mmの試料の本発明による開封力の実際を示したものである。開封力値は(12mm/15mm)×(ヒートシール強さ)×2=1.6×(ヒートシール強さ)の値を示している。ヒートシール強さ4N/15mmの場合は、4×1.6=6.4N/12mmとなる。同様にヒートシール強さが7N/15mm、10N/15mmでは、約11N/12mm、約13N/12mmとなる。
(7)一操作で開封が完了できるようにする。
本発明の効果を次に列挙する。
(1)開封用のノッチの加工を省略できる。
(2)ヒートシール面を利用した易開封が可能になった。
(3)不適正な摘み箇所の選択法を排除した。
(4)最も確実な剥がし開封の利用を可能にした。
(5)開封力の分散を極小化し、開封操作力をヒートシール強さの約2倍にできた。
(6)開封開始線を側面に移動して、開封口の大きさと位置の調節で、注ぎ口の機能を付加できた。
(7)高齢者/障碍者の開封操作を容易にし、易開封のユニバーサルデザインに反映できる。
(8)ヒートシール製品の製造工程を簡略化した。
(9)長年月の易開封の課題を解消した。
開封性に関係する応力メカニズムを説明する正方形の4方シール袋の平面図である。 開封性に関係する応力メカニズムを説明する、袋のヒートシール部周辺の平面図である。 胴部摘み開封の剥がれ線長のシミュレーション方法を説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。 長さの異なる2つのヒートシール片を合わせて引張り試験を行う状態を示す正面図と側面図である。 その開封の進行に伴う開封強さの変化を示すグラフである。 本発明の一実施例である易開封構造が付与された二方と三方シール袋の斜視図である。 図6の三方シール袋の中間部分を省略した平面図とその開封方法を説明する端面図である。 ある市販材料の溶着面温度とヒートシール強さの関係を示すグラフである。 ヒートシール強さと開封力の関係を求めた結果を示すグラフである。 開封操作荷重の付与箇所の説明 摘み代を側縁部近傍に移動させて開封する状態を示す端面図である。 ガセット袋の背貼り部を移動させて、この背貼り部とガセット折り部の一方を摘み代に用いて開封する状態を示す端面図である。 摘み代用の増設フィン(ひだ折り部)を設けた袋の例の平面図である。 直線状にヒートシールしたガセット袋と曲線状にヒートシールした例を示す平面図である 条シールを形成するヒートシール装置でガセット袋をヒートシールしたときの経過を示す断面図である。 2種類の弾性体について、条突起の高さと発生応力の関係を測定した結果を示すグラフである。 条突起の埋没代と圧着圧の関係をモデル化して説明するグラフである。
(1)本発明の適用袋の大きさや仕様の説明
本発明の袋体は、開封されるヒートシール部を有するものであればよく、チューブの上下両端をヒートシールした二方シール袋、三方シール袋、4方シール袋、背貼り(合掌貼り;ピロー袋)構造を有する袋、ガゼット袋等を挙げることができる。(図6参照)
袋体は、プラスチックを内面とするフィルム又はシートで形成され、このフィルムやシートは、単層であっても複数の層よりなる積層体であってもよい。また、積層体は全部がプラスチックで形成されていなくてもよく、例えばアルミニウム箔などを含むものであってもよい。
内面のプラスチック種類はヒートシールできるものであればよいが例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン等を例示することができる。
通常の剥がれシールは対向する接着面が剥離する「界面剥離」である。意図的に設計されたシーラント内部が開封力で破壊する「凝集剥離」や「層間剥離」を有する材料に本発明を適用すれば、材料の設計仕様に沿ったよりよい効果的な易開封を実施することができる。
シーラントの厚さは特に制限されないが、通常3〜200μm程度、典型的には5〜150μm程度である。袋体の大きさは、特に制限されないが、通常縦2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度、横2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度である。
ヒートシールには、溶着されて形成された破れシールと、軟化状態で圧着されて形成され引張れば剥がれるシールがある。本発明の袋体は、開封しようとするヒートシール部が剥がれシールよりなっていれば、他方のヒートシールは、破れシール、剥がれシールのいずれであってもよい。
開封しようとする位置は特に制限されないが、本発明ではいずれかの辺のフィンシールを開封するフィンシールとする。剥がれシールと破れシールの形成方法は、本発明者が先に出願した特許第3465741号、特許第3318866号、特許第3811145号公報、などに詳細に説明されている。
この開封するフィンシールは、幅が3〜20mm程度、通常5〜15mm程度、ヒートシール強度が2〜10N/15mm程度、好ましくは3〜8N/15mm程度の剥がれシールであることが適当である。
本発明の易開封構造の開封力は開封するフィンシールの高さの選択と加熱温度の調節によるヒートシール強さの選択の二つの要素の組み合わせで制御できる特長を有している。
本発明の易開封構造は、この開封するフィンシールに一対の摘み代を該フィンシールの長手方向と直角の方向に袋面を介して正対して設けたところに特長がある。
(2)摘み代の作成方法
袋体がピロー袋などで合掌貼りが形成した背貼り部を有するときは、この背貼り部を一方の摘み代に利用することが好ましい。
ピロー袋の背張り部を一方の摘み代に利用する方法で摘み代の作成方法を説明する。ピロー袋はロール状の材料を引き出して、端部を合掌貼りに熱接着して筒状にする。引き出された筒方向に直角方向にヒートシールして袋の底部を作る。この後に製品を充填して、上部も筒方向に直角方向にヒートシールする。
底部と上部のヒートシールの際に背張り部は折りたたまれて2度目の加熱を受ける。
本発明では、胴部の一部をひだ折りして背張り部に対向するようにフィン(摘み代)を作成し、摘み代の他方作成する。
作成したフィンは予備シールをせずに、背張り部と反対方向に折り曲げて、底部及び上部のヒートシールと同時に行う。従ってフィンのヒートシール面は底部と上部の交差部のみでひだ方向の胴部のシールは行わないから、ひだ部はガセット袋と同様な利用ができる特長がある。交差シール部が主たる摘み部43、44になる。(図10(B)参照)
自動工程では袋の底部と上部は同時に作成し、シール面の中央付近を横断して自動カットして上部シールと次の袋の下部シールとする。本発明は従来方法を準用できる。
(3)摘み部の根元部位置の説明
一対の摘み部43、44は袋体を介して正対させる。正対させるとは、両摘み代の根元部18の位置を一致させることであり、根元部18の正対ズレは2mm以内、好ましくは1.5mm以内にするようにする。この場合は底部/上部のシール交差部(摘み部)の中心付近を摘まめばよい。(図10(B)参照)
摘み部の正対ズレとは両摘み部の根元部が平行な状態を含む。
(4)摘み面45、46の荷重点の説明
指先の摘み面に朱肉を付けて、実際の摘み開封を行った。この時に摘み部43、44についた朱肉マークを計測した。摘み操作で材料に圧接する大きさは6〜10mmのほぼ円形で、中心部に力が集中する。(図10(A、B)参照)
摘み部43、44の正対ズレは3mm以上になると直角方向の応力は接着面が剪断開封になって開封開始が困難になる。(図10(C)参照)
摘み部43、44の根元部のズレは20mm以内、好ましくは10mm以内の場合は次のようにする。
摘み面A、Bの中心をヒートシール線の内側から5〜10mmに移動して(図10(B)参照)ヒートシールエッジから開封を開始する。
(5)摘み代用のフィン突出高さ21、22の制限の説明
各摘み代は、開封のために摘み部43、44を互いに離隔方向に引張る際に、指で摘まめる大きさと開封力に耐える強さがあればよく、形状は問わないが、少なくとも3mmの円形の摘み面45、46を必要とする。
摘み代の開封するフィンシールからの突出高さ20、21は開封の基本機能に影響しないから、摘み荷重面の確保できればよいので5mm以上あればよい。
上限は取扱い性や美粧性の観点から20mm程度までである。好ましい長さは5〜20mm程度、より好ましくは5〜15mm程度である。
増設する摘み代のフィン15、16を新しい包装形態に展開するなら20mm以上にすることは一向に構わない。(図13参照)
(6)開封操作の官能試験結果の説明
ヒートシール強さが約4N/15mm、ヒートシール幅が12mmで摘み部の根元部のズレが約1mm離れた摘み部を有する試料を用意した。開封力は約6.4Nである。(図8のA点の加熱温度試料)
生活習慣の未だ少ない6歳位の幼児にこの試料を与えた。開封箇所の説明のみで開封操作を試したところ、少々の試行の後、ヒートシール線の内側の数mmの摘み点を探し出し容易に開封した。そして目を輝かせて「気持ちが良い」と言った。小学生、中学生の小人の試験でも同様な反応を示した。(図10(B)参照)
彼らは、摘み代を利用した開封操作方向と発生する開封力のベクトルの相違を感じ取って、官能的にベクトルを合わせる潜在的操作が作用したと推察できる。更に「気持ちが良い」と言う感想は、市場の袋物包装品の難開封性が幼児時代からの苦痛として生活習慣に浸み込みつつあることが分った。
易開封技術の開発は人々の生活に豊かさを与えるものである。本発明の摘み代開封方法は消費者レベルに容易に浸透できるものと推察する。
(7)一方の摘み代にガセットフィンを利用する説明
ガセットが付設されたピロー袋の場合は、ガセット折り部を一方の摘み代に利用できる。
ピロー袋の背貼り部をガセット折りの根元部まで移動させて、他方の摘み代とする。従って摘み代フィンの追加設置が不要になる。図12にガセット折りの一つを摘み代フィン利用した場合の開口部の形成の様子を示した。
(8)開口部調節方法の説明
フィンシールの長手方向の全開口を実施する場合には、摘み代を中央付近に構成する。一方、摘み代を袋の側縁側に寄せれば、開口位置と開口寸法を調節することができ、それによって所望の大きさの開封口を左右どちらかの位置を指定できる。図11に示した例は、開封制限代24の2倍の開封口を正面に向かって右側に作った。
(9)別作の摘み片の作成方法の説明
摘みフィンが設置してない平面袋に本発明の適用の仕方を説明する。
突出高さが5mm以上、横幅が約30mm、縦幅が約15〜30mmで柔軟性のある逆T字型の摘み片を別に作成する。
摘み片の平面部の上端が対象の剥がれシールフィンの外側に合わせる。下端部が内側のヒートシールエッジより約10mm下方に位置できるように縦幅の調整をした摘み片を作る。
摘み片の材質は開封力に耐える加工紙、プラスチックシート、金属シートが適用できる。
摘み片のフィンシールに対する接着強さは、開封の際に剥離しなければよく、少なくともフィンシールのヒートシール強さより強くする。好ましくは10〜15N/15mm程度あればよい。
接着させるノリ代部分に接着剤を塗布しておいて、開封の際に接着させることもできる。この場合、例えば両面接着テープなどを利用できる。
摘み片は摘みフィンの設置の仕方と同様に剥がれシールフィンの両側の摘み部に貼り付ける。
通常のピロー袋に適用するにはピロー袋の背貼りを一方の摘み代に利用できるので、一つの摘み片を対面に貼り付ければよい。
(10)段差シール部の不具合説明
ところで、本発明の易開封構造において、摘み代の作成によって、段差部が生成する。通常の加熱方法では段差部が完全にヒートシールされず、ガス漏れが生じることを本発明者は見出した。
摘み代としてひだ折り部を設けた場合、その根元部には段差ができるからヒートシールが不完全になりやすい。
そこで、本発明者は、その対策として、帯状のヒートシールにさらに条シールを追加した複合シールのきる加熱方法を適用して、この問題を解決し、これを特願2014−169035号として特許出願した。
この条シールの構成例を図14に示す。図14(a)は、背貼り部(センターシールフィン)を有するガセット袋に適用した例であり、左右両側に折込幅20mmのガセット部を有する全幅130mmのガセット袋の上端に幅15mmのヒートシール部が剥がれシールで形成され、その内縁から10mmのところに条シールが設けられている。
図14(b)は上縁が曲線状にヒートシール部が剥がれシールで形成され、その上縁近傍に条シールが同じ曲線状に形成されている。
この条シールの形状は、幅が0.05〜2mm程度、好ましくは0.1〜1.5mm程度、特に好ましくは0.1〜1mm程度、そして突起の高さは0.05〜2mm程度、好ましくは0.1〜1mm程度である。また、条シールの位置は、開封端に設けることが好ましく、袋のシール内縁から60〜90%程度、好ましくは70〜80%程度の位置とするのがよい。
条シールの本数は原則1本であるが、複数本、例えば2〜3本を設けてもよい。この条シールを形成する装置は、加熱体の一方の加熱平面に条突起を設けたところに特徴がある。
この条シールを含むヒートシールを図15に模式的に示す。これはガセット袋の端部をヒートシールする状態を示すものであり、一対の加熱体31、32のうち、下部の加熱体32の上面である加熱面には弾性体42のシートが設置され、上部の加熱体31の下面である加熱面の長手方向の中心より外縁側には条突起41が設けられている。
この条突起41の高さは点線a−bの長さになる。2つの加熱体31、32の間にガセット袋の端部を挟んだ状態を同図(a)に示す。次いで、この上部の加熱体31を下降させると、同図(b)〜(d)に示すように、その押し潰し荷重によりガセット袋が弾性体42にめり込む。
そして、同図(c)に示すように、4枚部であるガセット折部27と段差部が条突起41による局部圧着の塑性変形で密着され、2枚部37も同図(d)に示すように弾性体の変形で圧着される。c−fが最大埋没代d3に相当する。実際は0.4〜2mmである。
(11)平面接着の併設の理由
条突起の局部圧着による段差部の密着が可能である。しかし、できあがった細い条突起シール線に外力が直接掛かるとシール線は破損しやすいので、周辺に剥がれシールの平面接着部を併設し、その剥離エネルギーを利用して防御する。
条突起41の一定量の埋没後に平面圧着を開始すれば、圧着荷重が局部圧着に終始せず分散できるから、過荷重で局部圧着部位の破断を自己制御できる特徴が得られる。
条突起部と平面部の接着を別々の工程に分けることも可能であるが、装置が複雑になったり、2度加熱すると初めの加熱で接着面の結晶化が起こり[Hishinuma効果](参考文献:「缶詰時報」;Vol.91,No.11, p.21−34, 2012 )で接着能力が喪失するので不適である。
一回の加熱圧着操作で2つの要求を同時達成すれば、良好な加熱制御ができると共に工業的に簡潔で極めて有効な方法になる。
局部圧着から面加熱に移行する条突起の寸法の決定
常温下で、ショア―硬さがA50、A70、A80の厚さ1〜5mmの耐熱シリコンシート上に直接(プラスチック材を置かず)0.2mm、0.3mm、0.5mm、0.9mm(条突起高さ相当)の条丸棒を置いて圧縮試験を行った。
局部圧着のバラツキを考慮して、圧着板は1cm×2cmとした。長さが2cmの丸棒は圧着板の長手方向の中心部に配した。測定結果は圧着面積を1cmと条突起の長さの1cm当たりに換算した。
測定結果の代表例を図16に示したように、条丸棒太さ(条突起高さ)の埋没後に平面圧着に移行する分岐点のあるグラフが得られた。
条突起の高さが0.1〜0.9mmの計測範囲では太さに関係なく、条突起の埋没荷重は直線的に上昇するほぼ同一の特徴を示した。
図中に条突起に要求される荷重の30、45、60Nに相当する埋没代の補助線をY軸に付記した。図16図の結果から、本発明の圧着操作における条突起部11の先端と平面部の荷重メカニズムのシミュレーションを図17を用いて説明する。
図17の各記号を次のように定義する。
dn;条突起の高さ
d1;条突起が埋没する直前のゴム板の撓み代(突起部のみ)
d2;4面部の埋没直前のゴム板の撓み代(突起部を含む)
d3;2面部の埋没が付加した後のゴム板全体の撓み代
f1;条突起の埋没直前の押し込み力 (N)
f2;(条突起の先端荷重)+(4面部の埋没直前の圧縮荷重)(N)
f3;(条突起の先端荷重)+(4面部の埋没圧縮荷重)+(2面部の埋没圧縮荷重)(N)
(1)ジョーの下面(固定台)にゴム板を置き、その中央に約30mm×20mmのプラスチック材を2枚重ねで置く。その中央に10mmの間隔で約20mm×10mmの同じプラスチック材を2枚重ねて置く。
(2)20mm×10mmの金属板の中央付近に長さ20mmの条突起(0.2〜0.5mmの丸棒)を固定する
(3)条突起を固定した金属板をジョーの上面に下面と平行になるように固定する。
(4)ジョーの上面は荷重計を介して圧縮駆動源に接続する。
(5)条突起版の中心とゴム板上に置かれたプラスチック材の中心を合わせる。
(6)圧縮源を下降方向に駆動するとジョー上面の金属板がプラスチックを介してゴム板に接触が開始する。d1=dn+(撓み代)に到達すると条突起板の面接触が始まる。
(7)下降動作がd1=dn+(撓み代)までの荷重は条突起の埋没特性を示す。この時の圧縮荷重特性は線分(a)となる
(8)等速で圧縮操作を続け、d1を超して、4面部の圧縮が開始される。
この時の荷重は条突起と4面部の埋没荷重の和を示す。この時の圧縮荷重特性は線分(b)となる
(9)更に圧縮を継続すると4面部の埋没が完了してd2に到達して、2面部の圧縮が始まる。
(10)圧縮終了点d3は2枚部に0.1〜0.4MPaの応力が必要である。
又、条突起の先端に[30〜60N/cm]が掛かるように選択する。
もし適用したゴム板で適正条件が見い出せない場合は硬軟の違うゴム板の再選択を行う。
以上の経過から
(1)荷重0からd1を結ぶ線とその外挿線は条突起の圧縮荷重特性の線分(a)となる
(2)d1−d2を結ぶ線は[状突起の埋没荷重]と[4面部の圧縮特性]の和となる。線分(b)
(3)d2−d3を結ぶ線は[状突起の埋没荷重]+[4面部の圧縮埋没荷重]+「2面部の圧縮埋没荷重」となる。線分(c)
(4)この操作で欲しい結果は
1)「条突起の荷重」を[30〜60N/cm]の確保
2)2枚部に0.1〜0.4MPaの応力を付与すること。
3)4枚部は高圧着になるが成り行きに任せる。
4)1)、2)の要求を同時に達成できる弾力性のゴムシートを選択する。
5)図16(条突起と平面圧縮特性)に示した各ゴム板の圧縮特性を参照して上記のシミュレーション範囲の該当ゴム板を選択する。
6)同一ゴム板でも、条突起の高さを変化させることによって、条突起の荷重と2枚部の応力を細かく調節できる。
(12)条突起の高さ決定法
図17に示した平面圧着に移行する分岐点d1は条突起41の高さの選択で決めることができる。例として、条突起の高さ0.3mmの設定は直径0.6mmの丸棒を加熱体32の加工溝に嵌めこんで0.3mm高さの条突起を設定した。同様にして、0.2〜0.9mm条突起高さを決定した。実際には相当する弧状を加熱体31の加熱面に切削加工をすることが好ましい。
d1をd1´に変化したときの様子を図17に点線の総荷重線(2)示した。
条突起の大きさをd1´になるように小さくすると4面部の圧縮が早められるので、同じ圧縮代で2枚部の圧縮圧を高められる。そして圧縮代を小さいほうに移動できるので、最終的なゴム板の圧縮率を小さくする方策にもなる。
各要素(・突起部、・4枚部面、・2枚部面)の荷重値(f1〜f3)は図中に示したように外挿線値の差分で求められる。
圧縮代はゴム板の硬さと厚さで決まるが、0.4〜3mmである。
d1を小さくするために、条突起の高さを0.05mm以下にすると材料への食い込みだけになって、効果は激減する。条突起の高さは0.05〜2mmである。好ましくは0.1〜1.5mm、特に好ましくは0.1〜1mmである。
必要な埋没代の管理は付与する面圧着応力/荷重源力で管理ができる。
定荷重の発生源にはエアーシリンダ、油圧シリンダの圧力調整やバネを介した荷重の付与を行えば、埋没代d3を直接計測の管理をしなくてよい。
又は最大圧縮代に相当するスペサーをジョー間に設置し、最大荷重より少し大きい荷重を与えれば、ゴムの弾力性によって自動的に圧縮力を付与できる。
条突起41の先端の断面は弧状に細工し、集中荷重が鋭利に作用して材料が破断しないようにすると共に材料の塑性変形の逃げ代を作る。条突起の円弧径の選択で局部圧着の集中応力を調整する。条突起高さは設定した寸法が埋没後、自動的に平面部の圧着に移行するように、好ましくは円弧の半割以下、好ましくは円弧の半径の20〜100%、より好ましくは50〜100%に設定される。
条突起の幅は、通常0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1.5mm、特に好ましくは0.1〜1mmになる。そして局部圧着の過圧着を自己制御する。
条突起の長さは、少なくとも重ねにより厚くなった部分に適用すればよい。例えば、4枚部や3枚部であるが、しかし選択的に個別部位に圧着するには正確な位置決めが必要となるので、通常はヒートシール全長に設ければよい。条突起の本数は、原則1本であるが複数本、例えば2〜3本を設けてもよい。
条突起は加熱体1の加熱面の中央に位置させず1本の場合、袋のシール内縁から60〜90%、好ましくは70〜80%の位置に構成して、平面接着面積を大きくして条突起シール部の保護機能を増加させるのがよい。
小さい開封力の選択には小さいヒートシール強さの調節になる。すなわち低目の加熱になるから、材料の軟化度合いが小さくなるから条突起の圧着可塑変形がしにくくなる。条突起にニクロム線を適用し電流を流し発熱させ、条突起部の温度を部分的に上昇して、加熱を高温側に補完する。そして3〜5N/15mmのヒートシール強さ帯でも段差部の密封を可能にする。
Figure 2016150781
(13)ヒートシール強さの開封力への計算の仕方
本発明の摘み代方式の開封では、ヒートシール強さと開封力の関係は一元的に次式で表される。
(開封力)=(ヒートシール強さ)×2×(ヒートシール幅)/15 (N)
ヒートシール強さとヒートシール幅によって計算される代表的な開封力の計算結果を表1に示した。
実施事例(1)本発明の構成方法の確認実験
本発明をピロー包装に適用した事例を図6(b)、図7に示した。製袋と充填工程は通常の方法に従うので説明は省略する。
使用包装材料は、PET;20μm/イージーピール仕様のポリプロピレン複合材;30μm、合計の材料厚さ;50μmの「層間剥離」タイプの市販包装材料である。この包装材料の溶着面温度とヒートシール強さの関係を測定した結果を図8に示す。
図8中のA点は加熱温度90℃の選択で約3N/15mmを得ることを示している。同様にB、C点は約7N/15mm、 約8N/15mmを得る加熱温度を示している。
段差部の確実なシールと均一な仕上げのために一条の条シールも適用した。
摘み代A13、摘み代B14の細工方法を図7に沿って説明する。
ヒートシール部A−Bの断面図を図7(B)に示した。
ピロー包装袋はプラスチックフイルムを先ず二つ折りにして、その端面を約12mmに選択してヒートシールして円筒状に加工する。ヒートシール面は摘み代B14のフィン(合掌貼り)になる。このフィンが略中央になるように折り、センターシール(背貼り)とする。
センターシールの根元に正対するように反対側に位置する胴部のフイルムを摘み代A13用フィンに折る。かつ、それぞれのフィンが反対方向に向くように折り重ね、この状態を維持して、一端をセンターシールに直交するようにヒートシールを施す。
交差シール部を摘み部A43、摘み部B44とする。他端の摘み部A43、摘み部B44は製品を充填してからシールをする。開封操作には上下のどちらを選択してもよい。本説明では上部を使用した例で説明する。[図7(B)参照]
実際の自動ヒートシール工程では、両端のヒートシール幅に相当する部位の約2倍を同時にシールした後に中央付近をカットして上下のヒートシール部作成している。本発明においても通常の方法を準用できる。
二つのフィンを折り重ねるとき、フイルムの折り曲げ点の先端(根元)のズレを0〜2mmにする。好ましくは0〜1mmとして、開封操作力をヒートシール接着面に直角に作用させる。このシール操作によって一対の摘み代を完成した。[図7(A)、(B)参照]
開封操作時には二つの摘み部A43、摘み部B44を引き立てて摘まんで引っ張る。[図7(C)参照]
開封操作によって、ヒートシール面は直角の方向に剥離する。[図7(D)参照]
本発明の開封操作によって開口部はヒートシール面から90°の方向に形状変更して包装物が移動したり、袋材の形状が変化する。これらの応力が開封力に付加するが、この実際の応力は1N程度であった。[図7(D)参照]
本発明の摘み代方式による開封は、ヒートシール面のみに作用するから、開封操作開始時の容積変化は胴部の摘み開封方式より非常に小さい。図9に示したように1〜2mmの開封で貫通孔が直ぐにでき外気とつながるので陰圧による大気圧の押さえつけ阻害は起こらなかった。
先に示した操作力の調査結果[0019]と[0112]の開封力の演算式を参照して、20Nを開封力の上限とするとヒートシール強さとヒートシール幅の組み合わせの表1から制限ヒートシール強さを導き出すとヒートシール幅が10mmでは、約15N/15mm、12mmでは約13N/15mm、15mmでは約10N/15mmの制限となる。この実験では、ヒートシール幅は常用されている12mmとした。
図8のヒートシール特性から、溶着面温度が90、106、110℃の加熱によって、ヒートシール強さを4、7、8N/15mmに調節した。
人手開封と同等の引張試験方法で開封力を計測した。それぞれ開封力は(6〜7N)、約11N、12〜13Nを示した。これらの開封パターンを統合して図9に示した。開封力はヒートシール強さの略2倍の一定値に到達して快適な開封が進行できた。約7Nと10Nの実際の開封試験では、小学生低学年の子供でも容易な開封ができた。本発明の特長と優位性を確認した。
実施事例(2)開口寸法の調節方法
摘み代A13、摘み代B14をヒートシール部2の中央付近に設置すると全開封ができる。
流動性のある商品では必ずしも全開封を好まない場合も多い。
本発明の摘み代A13、摘み代B14の設置箇所を変更することによって、開口長さと開封位置(左右のどちらか)を自由に設定できる。
図11を用いて開口寸法の調節方法を説明する。
(1)開口部の位置を決める。(左右のどちらか)
(2)(開口部寸法)=(開封制限代)×2 の関係から開口寸法を決定する
(3)センターシールフィン15、摘み代フィン16を開封制限代24の設定位置に合わせてヒートシールを行う。
以上の設定、作成で摘み代長さ20、21の制限範囲を限度にして開口寸法が調節できる。本方法で開封後、全開封が必要になったら、未開封部位に隣接する開封済部位の一部を摘んで引張れば、始めの開封力の約1/2(接着強さ)で容易に追加開封ができる。
この方法はガセット袋の一つを摘み代フィン16に転用する場合にも同様に適用できる。
実施事例(3)ガセット袋フィンの利用
充填物の容積が大きい商品を平面袋に充填すると袋にタックができたり、袋の四隅のヒートシール部の先端が角状の突起になり、商品の見栄えや展示性を低下させる。この対策として袋の左右にタックを形成して、ガセット折り27を付加し、断面が四辺形になるようにしている。
ガセット折りの一つを摘み代13に利用する形成方法を図12で説明する。
(1)開口部の位置を決める。(左右のどちらか)
(2)ガセットの内側折り部にピロー包装のセンターシールの根元を正対シールさせる。
(3)センターシールに正対するガセットフィンを摘み代13に転用する。
(4)ガセットフィンを利用すれば新たな摘み代用フィン16の作成を省略できる。
(5)ガセットフィンの長さが所望の開口寸法に近ければ開口寸法の調節にも適用できる。
本方法で開封後、全開封が必要になったら、未開封部位に隣接する開封済部位の一部を摘んで引張れば、約1/2の開封力(接着強さ)で容易に追加開封ができる。
実施事例(4)摘み片を適用した平面シール袋の開封
平面シール袋の場合、摘み代13、14の摘み部位に相当する部分の摘み片を別に作成して、ヒートシール強さより大きな接着力で、平面シール部位に貼り付けを追加しても同等な効用が得られた。
実施事例(5) 条シールの実施事例
次の条件においてヒートシールを行った。
・線径:0.4、0.6、1.0mmΦ(ニクロム線)をアルミ板に同形の溝を掘り約50%埋没し、条突起高さ:0.2、0.3、0.5mmを作成した。
・適用弾性体:ショアー硬さ;A50、A70、A80 厚さ;3、5mmの耐熱シリコンゴム
・試料:単一フイルム:ポリプロピレン(CPP);50μm
・試料構成:ガセット部長さ;20mm×2、センターシール幅;20mm、
2枚部;35mm×2
・試料全長;130mm、ヒートシール幅;15mm(条シールの内側;10mm、外側;5mm)
・圧着面積;1950mm (図14(a)参照)
・試験条件:試料のカバー材;0.05mm
「テフロン(登録商標)」シート(平滑)の適用;材料の加熱体への溶着防御用
・荷重調整:精密圧力調整によるエアーシリンダ出力;0.3〜0.6MPa/付与荷重;400〜800N
・加熱:加熱体表面温度調節(±0.2℃)
・加熱補完;3〜5N/15mmのヒートシール強さ帯で密封が困難な場合、条突起をニクロム線で構成して、これに電流を流して、0.18〜0.2W/cmの発熱補完をした。
シリコンゴムの表面温度を設定温度になるように、ヒートシール材料4の加熱前に加熱体1を弾性体12に圧接して弾性体を設定温度に加熱後、速やかにヒートシール材料4を圧着加熱した。
加熱時間;溶着面温度応答計測による最短(99.9%)の平衡温度到達時間に1sを加算して4sとした。
加熱後処理;圧着加熱終了後直ちに室温のアルミニュームブロックを約0.05MPa圧接して冷却した。
・評価試験
接着強さ(2枚部):JIS Z 0238, ASTM F88-07aに準拠して、サンプル幅:15mm、グリップ間距離;60mm、引張速さ;50mm/min. で引張試験を行った。
・平面接着部の剥離エネルギー計測による防御機能の評価
局部密着部の観察;探傷液をヒートシール線の内側に点滴し、数分後の浸透状況を×15のルーペを使用して、目視観察評価をした。
弾性体A50、A70、A80、厚さ3、5mm、条突起の高さ0.2、0.3、0.5mmの実施結果の密封性、接着面の仕上がり目視評価例を表2〜4に示した。
表中、/の左側は、接着面の仕上がりを、右側は密封性を示している。
接着面の仕上がりは下記の評価による。
○ 条突起付近を除きに2枚面シール部に皺の発生のない仕上がり
△ 2枚面に皺がまばらに残っている状態
× 2枚面の全面に皺が発生している状態
密封性は下記の評価による。
○ 完全に密封が完成している状態
△ 1〜2ヶ所の密封が未完成の状態
× 3か所以上の密封が未完成の状態
表の各枠内の記号は次の状態を示している
NG 密封不可(加熱補完なしの場合)
G 密封が完成
I 加熱補完による密封の改善
評価の基準としては2枚部に皺があっても密封が完成したものはよしとしている。
SC 圧縮率30%超の圧着領域
30%を超えると条突起の圧縮部分の変形率が最も大きい。繰り替えしの操作で、特に条突起部分の当たるシリコンゴムの損傷が激しい。この部位の圧縮跡が残らない圧縮率を実験的に求めた。
表2〜4に条突起高さが0.2,0.3,0.5mmをパラメータにした試験結果を示した。加熱温度が136〜138℃(ヒートシール強さ;2.8〜3.2N/15mm)の剥がれシール帯において、圧着圧の制限域(0.27Mpa)付近までは密封が不可である。
140〜144℃の加熱(ヒートシール強さ;5〜14N/15mm)では制限圧着圧内で密封が完成している。
条突起高さ、弾性体の硬さと厚さ、加熱温度、圧着圧が制御要素として機能していることが分る。
条突起をニクロム線の発熱体にして、0.18〜0.2W/cmの加熱補完をした。138℃加熱(ヒートシール強さ;5N/15mm)当たりの低接着強さ帯から密封が可能になって、易開封と密封の両立が図れている。
表2〜4中の[G]表示がこの効果に該当する。
制御要素の選択で平面接着部のヒートシール強さの調整が容易になり、仕上がった袋体をカットせずに摘み部を図4の方法で剥がれ強さを計測して、易開封の実施達成を確認した。
本発明との組み合わせによって易開封と密封の両立が可能になった。
そしてこのガセット袋の条シールのあるヒートシールのセンターシールに正対して摘み代用フィンを実施事例(1)と同様にして設けることによって摘み部Aと摘み部Bを設けることができる。
本発明の易開封構造を包装袋に設けることによって、充分な密封性を確保しながら、子供や障碍者でも容易に開封できるので、本発明の易開封構造はフィンシール部の摘み部を手で開封しようとする包装袋に広く利用できる。
Figure 2016150781
Figure 2016150781
Figure 2016150781
1 袋本体部
2 ヒートシール部
3 ヒートシール幅
4 摘み点(力点)
5 破れ又は剥がれ起点
6 剥がれライン
7 剥がれライン
8 剥がれライン
9 ヒートシール強さ試験ライン
10 摘み線
11 剥がれ長の増加分
12 統合剥がれライン
13 摘み代A
14 摘み代B
15 センターシール(背貼り)フィン
16 摘み代用フィン
17 摘み代高さ
18 根元部
19 根元部のズレ
20 摘み代A長さ
21 摘み代B長さ
22 剥離部分A
23 剥離部分B
24 開封制限代
25 変移A
26 変移B
27 ガセット折り部
31 加熱体
32 加熱体
34 ヒートシール材料
37 2枚部
40 条シール部
41 条突起
42 弾性体
43 摘み部A
44 摘み部B
45 摘み面A
46 摘み面B

Claims (5)

  1. 袋体の少なくとも一辺のフィンシールが剥がれシールに形成され、該フィンシールに一対の摘み代が該フィンシールの長手方向と直角の方向に袋面を介して正対して設けられていることを特徴とする包装袋体の易開封構造
  2. 該袋体が背貼り部を有し、該背貼り部が摘み代の一方になっている請求項1の包装袋体の易開封構造
  3. 該フィンシールに一条のひだ折り部が該フィンシールの長手方向と直角の方向に設けられ、該ひだ折り部が摘み代の一方になっている請求項1又は2記載の包装袋体の易開封構造
  4. 該ひだ折り部のフィンシールに交差する部分がヒートシールされ摘み部を形成する請求項3記載の包装袋体の易開封構造
  5. 該フィンシールの長手方向に条シールがさらに設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の包装袋体の易開封構造
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