JP2016148468A - ボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法 - Google Patents

ボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法 Download PDF

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Abstract

【課題】火炉を備えるボイラのエコノマイザでの給水の蒸気化を防止できる。【解決手段】火炉からの排ガスと熱交換する給水加熱用エコノマイザ4に給水する第1経路10aと、給水加熱用エコノマイザ4の給水出口から補助ボイラ2に給水する第2経路10bと、第1経路10aから分岐して給水加熱用エコノマイザ4をバイパスして補助ボイラ2に給水する第3経路10cと、第2経路10bに設けられ流通する水の温度を検出する温度検出部11と、第1経路10aと第3経路10cとに流通する水量を調整する流量調整部12と、温度検出部11で検出される温度が給水加熱用エコノマイザ4における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように、第1経路10aの水量と第3経路10cとの水量を調整する制御部13と、を具備する。【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法に関するものである。
例えば、船舶に搭載し、船内の温熱需要に応える舶用補助ボイラは、使用頻度が低いことから効率よりも初期費用が安くなるものが選定されていたが、近年燃料代が高くなり効率を重視する傾向にある。ボイラの効率を向上させるには、ボイラ排ガス出口に給水を加熱するエコノマイザを設置する方法が考えられるが、エコノマイザ内で給水が蒸気化し、所定の性能が得られなくなるという課題がある。
下記特許文献1では、コンバインドサイクル発電プラントの排熱回収ボイラにおいて、エコノマイザを流れる水とエコノマイザをバイパスする水量を調整する調整弁を設け、エコノマイザ出口の出力信号を用いてエコノマイザ内の水が蒸発しないようにエコノマイザを流れる流量とバイパスする流量を調整弁で調整する技術が記載されている。
下記特許文献2では、ガスタービンコンバインドプラントの排熱回収ボイラにおいて、節炭器の水の上昇部伝熱管の途中から、排気ガスにより加熱されないように排熱回収ボイラの外部を経由してドラムに至る抜き出しラインを設置して、節炭器でのスチーミング発生時に伝熱管でのスチーミング発生による流量低下を防止するために、流路を排熱回収ボイラ外へ切り替える技術が記載されている。
特開平2−75802号公報 特開平8−327001号公報
しかしながら、上記特許文献1や上記特許文献2は、排ガスエコノマイザを用いる構成が記載されており、火炉を備えるボイラにエコノマイザを配置する具体的な構成等は一切記載されておらず、ボイラにエコノマイザを適用する場合に生じるエコノマイザでの蒸気化を抑制するという問題は解決できない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、火炉を備えるボイラのエコノマイザでの給水の蒸気化を防止した給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、火炉からの排ガスと熱交換する温水加熱器に給水する第1経路と、前記温水加熱器の給水出口からボイラに給水する第2経路と、前記第1経路から分岐して前記温水加熱器をバイパスして前記ボイラに給水する第3経路と、前記第2経路に設けられ、流通する水の温度を検出する温度検出手段と、前記第1経路に流通する水量と、前記第3経路に流通する水量との割合を調整する流量調整手段と、前記温度検出手段で検出される温度が前記温水加熱器における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように、前記流量調整手段を調整する制御手段と、を具備するボイラ給水システムを提供する。
本発明の構成によれば、第1経路を介して温水加熱器に水が供給され、温水加熱器に供給された水は火炉からの排ガスと熱交換され、熱交換後の水が温水加熱器の給水出口から第2経路を介してボイラに供給される。第1経路から分岐して温水加熱器をバイパスされ第3経路に流れる水は、温水加熱器を流通しないので温水加熱器で熱交換されずに、第1経路で給水された温度でボイラ側に供給される。第1経路を流通し温水加熱器で熱交換される水量と、第3経路に流通する水量は、温水加熱器の給水出口側である第2経路で計測される水の温度が、温水加熱器における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように調整される。
このように、温水加熱器による加熱のし過ぎによって給水された水が蒸気化される温度を下回る温度に第1所定温度を設定しておくことにより、火炉の排ガスによって熱交換する温水加熱器における蒸気化を簡便に防ぐことができる。また、従来は温水加熱器における蒸気化を防ぐための運転切替えを運転員によって手動で行っていたが、本発明によれば、オペレーションのミスを防ぐことができる。
上記ボイラは、舶用補助ボイラであるボイラ給水システムとしてもよい。
舶用補助ボイラと温水加熱器を組み合わせても、蒸気化を抑えることができる。
なお、舶用補助ボイラとは、船舶に搭載し、船内の温熱需要に応えるボイラであり、例えば、船内の蒸気駆動機器の動力源や加熱媒体として、或いは、厨房用の温水暖房、タンカーの荷役ポンプに必要な蒸気とイナートガスの供給等に利用されるものであり、船舶の原動力に応えるための主ボイラとは区別される。
上記ボイラ給水システムの前記第3経路は、前記第1経路から分岐して前記第2経路に合流させてもよい。
ボイラに第3経路を直接接続する場合には、ボイラの設計変更やそのためのコストがかかるが、第2経路と合流させる構成にすることにより、ボイラの設計変更を不要とし、コストも抑えられる。
上記ボイラ給水システムは、前記流量調整手段の位置は、前記温水加熱器の給水入口よりも鉛直方向に高い位置とすることが好ましい。
これにより、流量調整手段を制御して第1経路を閉状態にした場合であっても、流量調整手段より下流側の第1経路に水が溜まることを防ぐ。
上記ボイラ給水システムの前記制御手段は、前記温度検出手段で計測される温度が前記第1所定温度より小さい場合に、前記第1経路に給水の全量を流通させ、かつ、前記第3経路の水量をゼロにし、前記温度検出手段で計測される温度が前記第1所定温度以上となった場合に、前記第1経路の水量をゼロにし、かつ、前記第3経路に給水の全量を流通させることが好ましい。
温水加熱器の給水出口側で計測される温度が第1所定温度より小さければ、全量の水が温水加熱器で加熱され、第1所定温度以上となった場合には、水を温水加熱器に流通させずに全てバイパスさせるので、確実に温水加熱器での給水の蒸気化を防ぐことができる。
上記ボイラ給水システムは、前記火炉が、硫黄化物等の腐食成分を含まない燃料を用いる場合に給水の温度を制御して、前記腐食成分を含む燃料を用い給水の温度を制御しない場合の前記第1経路の給水温度より低温の水を第1経路に給水することとしてもよい。
硫黄化物等の腐食成分を含まない燃料を用いる場合には、温水加熱器の硫酸腐食の問題が発生しないため、硫黄化物などの腐食成分を含む燃料を用いる場合の給水温度よりも、低温の水を供給することができるので、給水の温度を制御して給水温度を下げる。これにより、温水加熱器における給水温度が下げられ、温水加熱器によって熱交換後の水温が、給水の温度を制御しない場合より抑えられる。
上記ボイラ給水システムの前記制御手段は、前記温度検出手段によって計測される水の温度と、前記第1所定温度との温度差に応じて、前記第1経路に流通させる水量と前記第3経路に流通させる水量との分配を調整することとしてもよい。
これにより、温度検出手段によって計測される水の温度の微調整ができる。
上記ボイラ給水システムの前記制御手段は、前記第1所定温度以上となり、前記第1経路の水量をゼロにし、前記第3経路に給水の全量を流通させる制御をした後、前記第1経路で水が蒸気化されるのに必要な熱量の演算結果と、前記温水加熱器に与えうる熱量の推定結果とに基づいて、前記第1経路の水量と前記第3経路の水量を制御前の状態に戻すこととしてもよい。
このように、第2経路の水温だけで判定するのでなく、第1経路で生じる蒸気化に必要な熱量の演算結果と、温水加熱器に与えうる熱量の推定結果とに応じて判定することにより、水が蒸気化されることを安全に防ぐ。
本発明は、上記いずれかに記載のボイラ給水システムを具備する舶用補助ボイラを提供する。
本発明は、温水加熱器の給水出口からボイラに給水する第2経路において、流通する水の温度を検出する第1過程と、前記温水加熱器に給水する第1経路と、前記第1経路から分岐して前記温水加熱器をバイパスして前記ボイラに給水する前記第3経路とに流通する水量を調整する第2過程と、前記第1過程で検出される温度が、前記温水加熱器における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように、前記第1経路に流通する水量と、前記第3経路に流通する水量の割合を調整する第3過程とを有するボイラ給水方法を提供する。
本発明は、エコノマイザを備えるボイラにおいて、エコノマイザ内の給水の蒸気化を防止できるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るボイラ給水システムの概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るボイラ給水システムの動作フローである。 本発明の第2の実施形態に係るボイラ給水システムにおける第1経路と第3経路の水量の分配量の一例を示している。 本発明の第3の実施形態に係るボイラ給水システムの概略構成図である。 本発明の第4の実施形態の変形例に係るボイラ給水システムの概略構成図である。
以下に、本発明に係るボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、実施形態の説明においては、本発明に係るボイラ給水システムは、例えば、舶用のボイラに適用されるものとして説明するが、これに限定されない。
〔第1の実施形態〕
本実施形態においては、舶用の補助ボイラであることを例に挙げて説明するが、舶用主ボイラであってもよい。舶用補助ボイラは、船舶に搭載し、船内の温熱需要に応えるボイラである。例えば、船内の蒸気駆動機器の動力源や加熱媒体として、また厨房用の温水暖房、タンカーの荷役ポンプに必要な蒸気とイナートガスの供給に利用される。また、舶用補助ボイラは、加熱が必要な燃料(例えば、内燃機関の燃料等)を加熱し、燃料の粘度を下げることにも利用される。舶用主ボイラは、蒸気推進船の蒸気タービン等に蒸気を供給するものである。
本実施形態の舶用補助ボイラは、各種の洋上浮体式設備(例としては、洋上浮体式生産・貯蔵・積出設備(FPSO:Floating Production Storage and Offloading unit)、洋上浮体式貯蔵・積出設備(FSO:Floating Storage and Offloading unit)、洋上浮体式貯蔵・ガス化設備(FSRU:Floating Stprage and Re-gasification Unit)など)の補助ボイラに適用可能である。
図1は、本実施形態に係るボイラ給水システム1の概略構成を示している。
ボイラ給水システム1は、舶用補助ボイラ(以下「補助ボイラ」という)2と、補助ボイラ2からの排ガスと熱交換する給水加熱用エコノマイザ(温水加熱器)4と、給水系統と、温度検出部(温度検出手段)11と、流量調整部(流量調整手段)12と、制御部(制御手段)13とを備えている。
補助ボイラ2は、投入された燃料を燃焼させて発生した熱により蒸気を生成し、生成された蒸気は上部に配置される蒸気ドラム(汽水ドラム)3に貯留される。補助ボイラ2は、蒸気圧力が0.2MPa以上6MPa以下とし、典型的には2MPa以下とする。また、例えば、補助ボイラ2の蒸気圧力が2MPa程度の場合は、給水加熱用エコノマイザ4において給水が蒸気化される温度は、215℃となる。
給水加熱用エコノマイザ4内で給水が蒸気化すると、給水加熱用エコノマイザ4内の圧力が高まり機器が破損する恐れがある。また、水・蒸気の2層流となり給水が滞留する可能性がある。これらのことから、給水加熱用エコノマイザ4での給水の蒸気化を防ぐことが必要である。
補助ボイラ2は、排ガスライン5を介して給水加熱用エコノマイザ4に排ガスを供給する。
給水系統は、給水加熱用エコノマイザ4に給水する第1経路10aと、給水加熱用エコノマイザ4の給水出口から補助ボイラ2に給水する第2経路10bと、第1経路10aと、第1経路10aから分岐して給水加熱用エコノマイザ4をバイパスして補助ボイラ2に給水する第3経路10cとを備える。また、第1経路10aと第3経路10cとの分岐点より上流側の給水入口からは、硫酸腐食を防止するために酸露点を考慮し、何らかの処理によって昇温された水温(例えば、135℃)の水(湯)が供給されている。
なお、第2経路10bと第3経路10cは、給水加熱用エコノマイザ4の出口と補助ボイラ2との間で合流させる。合流点の位置は特に限定されないが、図1に示されるように、合流点Xの位置が最適である。
例えば、1時間当たりに40tonから100tonの給水が必要な場合には、蒸気ドラム3に接続するノズルは大口径(例えば、4インチから6インチ程度)となり、ノズルの追加設置をするため蒸気ドラム3に穴を空け、新たなノズルを接続するという設計変更を要し、多大なコストがかかる。そのため、第2経路10bと第3経路10cとに合流点Xを設けて経路間を接続した場合、蒸気ドラム3の設計変更が不要となり、コストを抑えることができる。
温度検出部11は、第2経路10bに設けられ、流通する水の温度を検出する。例えば、温度検出部11は、温度センサであり、合流点Xと、給水加熱用エコノマイザ4の出口との間に接続されている。温度検出部11は、給水加熱用エコノマイザ4の出口における温度を検出し、制御部13に出力する。
流量調整部12は、第1経路10aに流通する水量と、第3経路10cに流通する水量の割合を調整する。具体的には、制御部13からの指令に基づいて、流量調整部12が調整され、第1経路10aに流通させる水量と第3経路10cに流通させる水量とが調整される。
例えば、流量調整部12は、三方弁(制御弁)である。本実施形態においては、流量調整部12を三方弁として説明するが、これに限定されず、第1経路10aと第3経路10cとのそれぞれに二方弁(制御弁)を設け、制御しても良い。
なお、流量調整部12の位置は、給水加熱用エコノマイザ4の給水入口よりも鉛直方向に高い位置に設けられることが好ましい。これにより、流量調整部12によって第1経路10aの弁を閉状態にした後に、第1経路10aの配管に給水を滞留させず、給水加熱用エコノマイザ4へ導入させ、配管に水が溜まることを防ぐ。
制御部13は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
具体的には、制御部13は、温度検出部11で検出される温度が給水加熱用エコノマイザ4における水の蒸発温度(例えば、215℃)を下回る第1所定温度(例えば、210℃)より小さくなるように、流量調整部12を調整する。
制御部13は、温度検出部11で計測される温度が第1所定温度より小さい場合に、第1経路10aに給水の全量を流通させ、かつ、第3経路10cの水量をゼロにし、温度検出部11で計測される温度が第1所定温度以上となった場合に、第1経路10aの水量をゼロにし、かつ、第3経路10cに給水の全量を流通させる。
なお、温度検出部11で計測される水温の温度変化が生じる要因は、給水加熱用エコノマイザ4の入口における給水温度、給水加熱用エコノマイザ4に導入される排ガス温度の変化、給水入口からの給水量の変化、及びドラム蒸気圧力の変化が挙げられる。
例えば、給水加熱用エコノマイザ4の入口の給水温度が約135℃で運転している場合には全量の水を第1経路10aに流通させ、船側の温度管理に応じて約10℃給水温度が上昇すると温度検出部11で検出される温度も約10℃上昇することになるので、第1経路10aを閉状態にし、第3経路10cを開状態にして全量の水を第3経路10cに流通させる。
また、例えば、給水加熱用エコノマイザ4に導入される排ガス温度が約400℃で運転している場合には全量の水を第1経路10aに流通させ、補助ボイラ2の火炉で用いられる燃料の種類の変化、燃料ガス成分の変化、及び外気温度の変化等が生じ、排ガス温度が約420℃に上昇した場合には第1経路10aを閉状態にし、第3経路10cを開状態にして全量の水を第3経路10cに流通させる。
また、プラントの負荷が変動し、必要な蒸気量の要求が変化すると、給水入口からの給水量が変化し、これによって給水加熱用エコノマイザ4の給水流量が変化する。例えば、給水加熱用エコノマイザ4の給水流量が少なくなると給水が蒸気化されやすくなるので、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度変化につながる。
ドラム蒸気圧力の変化が生じると、燃料の種類等に応じて必要な燃料量が変化し、補助ボイラ2の排ガス温度が変化するので、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度変化につながる。
また、制御部13は、第1所定温度以上となり、第1経路10aの水量をゼロにし、第3経路10cに給水の全量を流通させる制御をした後、第1経路10aで水が蒸気化されるのに必要な熱量の演算結果と、給水加熱用エコノマイザ4に与えうる熱量の推定結果とに基づいて、第1経路10aの水量と第3経路10cの水量を制御前の状態に戻す。
具体的には、第1経路10aで計測される給水流量、圧力、及び給水温度の情報を計測し、これらの情報に基づいて第1経路10aで水が蒸気化されるのに必要な熱量を演算する。また、排ガスライン5における給水加熱用エコノマイザ4に導入される排ガスの入口温度と、ボイラ負荷から想定される排ガス量と、給水加熱用エコノマイザ4に給水を通した場合の給水加熱用エコノマイザ4の出口における排ガス温度(この値は推定値となるが、給水温度+αの温度とする)とに基づいて、給水加熱用エコノマイザ4に与える熱量を推定する。
第1経路10aで水が蒸気化されるのに必要な熱量が、排ガスが給水加熱用エコノマイザ4に与える熱量より大きい場合に、通常の給水ライン(第1経路10a)に戻しても給水加熱用エコノマイザ4の出口の給水が蒸気化しないことと推定されるので、この熱量の大小判定の結果により、通常のライン(第1経路10aに水を流通させる)に戻す。
このように、バイパスラインである第3経路10cから通常ラインである第1経路10aに給水経路を戻した場合に、給水が蒸気化することがないように上述のような演算、推定を行う。
なお、第3経路10cを使用する場合には、給水加熱用エコノマイザ4内に残った給水を排出するため、ドレンライン7に設けられるドレン弁8も開く。
また、船舶の乗組員の作業負担低減のためには、ドレンライン7をピストン弁として自動化してもよい。このとき、流量調整部12(三方弁)の開閉と共に、ドレン弁8も開閉させる制御をする。
なお、給水加熱用エコノマイザ4における給水の蒸気化発生を懸念するケースとしては、FPSOのように運転中に燃料ガスの成分が代わり、排ガス温度が上昇側に変化するような場合に、給水が蒸気化しやすくなる。また、運転中に油燃料からガス燃料に切り替える場合など燃料の種類が変わる場合には、排ガス温度が上がる傾向になり、給水が蒸気化しやすくなる。
このため、燃料ガス配管に燃料の分析計を付け、燃料ガスの成分や発熱量を計測しておき、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度が上昇する傾向か否かを判定し、この判定結果に応じて流量調整部12を調整してもよい。
このように、温度検出部11の温度が上昇する前兆をとらえ、ボイラ給水の制御に役立てることとしてもよい。
次に、本実施形態に係るボイラ給水システム1の作用を図1及び図2を用いて説明する。
硫酸腐食を防止するために酸露点が考慮され、何らかの処理によって昇温された水温(例えば、135℃)の水(湯)が給水入口から供給されている。
給水入口から供給された水は、全量第1経路10aを介して給水加熱用エコノマイザ4に給水されている(図2のステップSA1)。給水加熱用エコノマイザ4に供給された水は火炉からの排ガスと熱交換され、熱交換後の水が給水加熱用エコノマイザ4の給水出口から第2経路を介してボイラに供給される。
給水加熱用エコノマイザ4の出口の水温(温度検出部11の検出温度)が210℃(第1所定温度)より低いか否かが判定される。(図2のステップSA2)
給水加熱用エコノマイザ4の出口温度が210℃より低い(図2のステップSA2のYES)と判定された場合には、流量調整部12を制御し、三方弁の第1経路10a側を全開状態にして第3経路10cを流通する水量をゼロにし、給水の全量を第1経路10aに流通させ、給水加熱用エコノマイザ4に流通させ(図2のステップSA3)、本処理を終了する。
一方、給水加熱用エコノマイザ4の出口温度が210℃以上と判定された場合には(図2のステップSA2のNO)、流量調整部12を調整し、三方弁の第1経路10a側を全閉状態にして第1経路10aに流通する水量をゼロにし、三方弁の第3経路10c側を全開状態にして、給水の全量を第3経路10cに流通させる(図2のステップSA4)。
第1経路10aから分岐して給水加熱用エコノマイザ4をバイパスされ第3経路10cに流れる水は、給水加熱用エコノマイザ4を流通しないので給水加熱用エコノマイザ4で熱交換されず給水温度のまま、第2経路10bと合流点Xにて合流され、補助ボイラ2側に供給される。
このように、給水加熱用エコノマイザ4の給水出口側である第2経路10bで計測される水の温度が、第1所定温度より小さくなるように第1経路10aに水を流通させるか、第3経路10cに水を流通させるかが調整される。
給水加熱用エコノマイザ4で水が蒸気化されるのに必要な熱量を演算し、給水加熱用エコノマイザ4に与えうる熱量を推定する(図2のステップSA5)。給水加熱用エコノマイザ4で水が蒸気化されるのに必要な熱量が、給水加熱用エコノマイザ4に与えうる熱量より大きいか否かが判定される(図2のステップSA6)。給水加熱用エコノマイザ4で水が蒸気化されるのに必要な熱量が、給水加熱用エコノマイザ4に与えうる熱量以下と判定された場合には(図2のステップSA6のNO)、図2のステップSA4を繰り返す。
給水加熱用エコノマイザ4で水が蒸気化されるのに必要な熱量が、給水加熱用エコノマイザ4に与えうる熱量より大きいと判定された場合には(図2のステップSA6のYES)、流量調整部12が制御され、三方弁の第1経路10a側を全開状態にして第3経路10cを流通する水量をゼロにし、給水の全量を第1経路10aに流通させ(図2のステップSA7)、本処理を終了する。
これにより、給水加熱用エコノマイザ4での給水の蒸気化を確実に防止する。
以上説明してきたように、本実施形態に係るボイラ給水システム1及びそれを備えた補助ボイラ2、ボイラ給水方法によれば、温水加熱器による加熱のし過ぎによって給水された水が蒸気化される温度を下回る第1所定温度を設定しておき、第1所定温度と温度検出部11の温度とを比較し、三方弁を調整することにより、給水加熱用エコノマイザ4における給水の蒸気化を簡便に防ぐことができる。また、従来は給水加熱用エコノマイザ4における給水の蒸気化を防ぐための運転切替えを運転員によって手動で行っていたが、本実施形態によれば、温度検出部11で検出された温度に応じて、制御部13によって自動で制御されるので、オペレーションのミスを防ぐことができる。
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施形態について図1及び図3用いて説明する。本第2の実施形態に係るボイラ給水システムは、第1経路と第3経路との流量を調整する点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
第1の実施形態においては、第1経路10aと第3経路10cとのうち、給水入口からの水を一方に全量流した場合には他方を流量ゼロ(弁を全閉)にしていたが、本実施形態では、予め設計条件を得ておき、第1経路10aと第3経路10cとの分配量を設定し、設定された分配量で運転する。
制御部13は、温度検出部11によって計測される水の温度と、第1所定温度との温度差に応じて、第1経路10aに流通させる水量と第3経路10cに流通させる水量との分配を調整する。
具体的には、図3に示されるように、第1経路10aに流通させる給水量と第3経路10cに流通させる給水量とを所定の割合(例えば、設計点として50%:50%)にしておき、給水加熱用エコノマイザ4に給水する給水量と、補助ボイラ2にバイパスさせて給水する給水量とでバランスをとる。これは、予め試験等によってバランスする運転点の情報を得て格納手段等に格納しておき、運転点の情報を適宜読み出して、第1所定温度と給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度との温度差に応じて、第1経路10aと第3経路10cとの流量調整をする。
本実施形態に係るボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法によれば、第1経路10aと第3経路10cとの流通させる流量を、運転点の情報に基づいて、給水加熱用エコノマイザ4の出口の水温と第1所定温度との温度差に応じて調整する。
このように第1経路10aに流通する水量と第3経路10cに流通する水量との分配量を変更することによって、給水加熱用エコノマイザ4の出口温度の微調整ができ、給水加熱用エコノマイザ4の熱回収を少しでも増加させることができる。
〔第3の実施形態〕
以下、本発明の第3の実施形態について図4を用いて説明する。本第3の実施形態に係るボイラ給水システムは、給水の温度を制御する点で第1の実施形態、第2の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態、第2の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
補助ボイラ2の火炉は、硫黄化物等の腐食成分を含まない燃料(例えば、LNG(Liquefied Natural Gas)等液化ガス燃料)を用いる場合には、給水加熱用エコノマイザ4の硫酸腐食の問題は生じないので、給水加熱用エコノマイザ4の入口の給水温度を、腐食成分を含む燃料を用いる場合の温度(例えば、135℃)よりも低い第2所定温度(例えば、100℃から135℃)にすることができる。
本実施形態においては、流量調整部12よりも上流側の給水入口に給水加熱器(例えば、脱気器等。図示略)を設け、給水加熱用エコノマイザ4の入口における給水温度が、第2所定温度となるように給水温度制御する。
制御部13は、火炉が硫黄化物等の腐食成分を含まない燃料を用いる場合に、給水の温度を制御して、腐食成分を含む燃料を用い給水の温度を制御しない場合の給水加熱用エコノマイザ4の入口の給水温度より低温となる第2所定温度にし、第2所定温度にした水を第1経路10aに流通させ、給水加熱用エコノマイザ4に供給する。
例えば、給水加熱器として脱気器を用いて給水温度を下げる場合には、制御弁を絞り、投入する飽和蒸気の圧力を下げる。これにより、給水加熱用エコノマイザ4における給水の蒸気化を防止することができる。
以下に、本実施形態に係るボイラ給水システム1´の作用を図4を用いて説明する。
給水の温度制御はせずに給水入口から給水させ、第1経路10aに給水全量を給水させている。給水加熱用エコノマイザ4の出口の水温が第1所定温度以上と検出された場合には、給水入口において給水加熱器を用い、給水加熱用エコノマイザ4の入口の給水温度が第2所定温度となるように温度制御する。温度制御をしても、給水加熱用エコノマイザ4の出口の水温が第1所定温度以下にならない場合には、第1経路10aに流通させる水量をゼロにし、第3経路10cに流通させる水量を給水量の全量とする。
本実施形態に係るボイラ給水システム及びそれを備えたボイラ、ボイラ給水方法によれば、燃料が給水加熱用エコノマイザ4の腐食成分を含まない場合には、流量調整部12よりも上流側の給水入口において給水が温度制御され、給水加熱用エコノマイザ4の入口の給水温度が下げられる。これにより、給水加熱用エコノマイザ4によって熱交換後の水温が、給水の温度を制御しない場合より抑えられる。
〔第4の実施形態〕
以下、本発明の第4の実施形態について図5を用いて説明する。本第4の実施形態に係るボイラ給水システム1´´は、排ガスバイパスライン30及びバイパス弁31を設ける点で第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図5に示されるように、補助ボイラ2から給水加熱用エコノマイザ4に排ガスを供給する排ガスライン5で、給水加熱用エコノマイザ4をバイパスする排ガスバイパスライン30と、排ガスバイパスライン30の経路上にバイパス弁31とを設け、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度が第1所定温度以上となった場合に、バイパス弁31を開状態にし、排ガスバイパスライン30に排ガスを流通させるようにしてもよい。
こうした場合には、給水加熱用エコノマイザ4の熱交換の効果は下がるが、蒸気化による機器の損傷を抑えることを優先でき、運転を継続できる。
例えば、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度が第1所定温度以上となった場合に、バイパス弁31の開度を調整し、補助ボイラ2からの排ガスの一部、或いは全量を排バスパイパスライン30に流通させ、給水加熱用エコノマイザ4に供給する排ガスを減らす、或いは、排ガスを供給させない。
これにより、排ガスの温度はそのままであるが、給水加熱用エコノマイザ4内の排ガス流量が減るので、給水加熱用エコノマイザ4で受ける熱量が減り、給水加熱用エコノマイザ4の出口の温度が上がり過ぎることを防ぐことができ、給水加熱用エコノマイザ4での蒸気化を防止できる。
また、例えば、第2の実施形態と組み合わせ、第1経路10a及び第3経路10cの流量を調整しても給水加熱用エコノマイザ4出口の温度が第1所定温度より小さく制御できないとなった場合に、排ガスをバイパスさせてもよい。
〔変形例〕
排ガスのバイパスに代えて、温度検出部11における温度が第1所定温度以上となった場合には、補助ボイラ2の負荷を下げ、補助ボイラ2からの排ガス量を低減させ、給水加熱用エコノマイザ4での蒸気化を防止することとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施が可能である。
なお、第1の実施形態から第4の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。
1 ボイラ給水システム
2 補助ボイラ(ボイラ)
3 蒸気ドラム
4 給水加熱用エコノマイザ(温水加熱器)
5 排ガスライン
7 ドレンライン
8 ドレン弁
11 温度検出部(温度検出手段)
12 流量調整部(流量調整手段)
13 制御部(制御手段)
30 排ガスバイパスライン
31 バイパス弁

Claims (10)

  1. 火炉からの排ガスと熱交換する温水加熱器に給水する第1経路と、
    前記温水加熱器の給水出口からボイラに給水する第2経路と、
    前記第1経路から分岐して前記温水加熱器をバイパスして前記ボイラに給水する第3経路と、
    前記第2経路に設けられ、流通する水の温度を検出する温度検出手段と、
    前記第1経路に流通する水量と、前記第3経路に流通する水量との割合を調整する流量調整手段と、
    前記温度検出手段で検出される温度が、前記温水加熱器における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように、前記流量調整手段を調整する制御手段と、
    を具備するボイラ給水システム。
  2. 前記ボイラは、舶用補助ボイラである請求項1に記載のボイラ給水システム。
  3. 前記第3経路は、前記第1経路から分岐して前記第2経路と合流させる請求項1または請求項2に記載のボイラ給水システム。
  4. 前記流量調整手段の位置は、前記温水加熱器の給水入口よりも鉛直方向に高い位置とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のボイラ給水システム。
  5. 前記制御手段は、
    前記温度検出手段で計測される温度が前記第1所定温度より小さい場合に、前記第1経路に給水の全量を流通させ、かつ、前記第3経路の水量をゼロにし、
    前記温度検出手段で計測される温度が前記第1所定温度以上となった場合に、前記第1経路の水量をゼロにし、かつ、前記第3経路に給水の全量を流通させる請求項1から請求項4のいずれかに記載のボイラ給水システム。
  6. 前記火炉は、硫黄化物等の腐食成分を含まない燃料を用いる場合に給水の温度を制御して、前記腐食成分を含む燃料を用い給水の温度を制御しない場合の前記第1経路の給水温度より低温の水を第1経路に給水する請求項5に記載のボイラ給水システム。
  7. 前記制御手段は、前記温度検出手段によって計測される水の温度と、前記第1所定温度との温度差に応じて、前記第1経路に流通させる水量と前記第3経路に流通させる水量との分配を調整する請求項1から請求項4のいずれかに記載のボイラ給水システム。
  8. 前記制御手段は、
    前記第1所定温度以上となり、前記第1経路の水量をゼロにし、前記第3経路に給水の全量を流通させる制御をした後、
    前記第1経路で水が蒸気化されるのに必要な熱量の演算結果と、前記温水加熱器に与えうる熱量の推定結果とに基づいて、前記第1経路の水量と前記第3経路の水量を制御前の状態に戻す請求項1から請求項7のいずれかに記載のボイラ給水システム。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のボイラ給水システムを具備する舶用補助ボイラ。
  10. 温水加熱器の給水出口からボイラに給水する第2経路において、流通する水の温度を検出する第1過程と、
    前記温水加熱器に給水する第1経路と、前記第1経路から分岐して前記温水加熱器をバイパスして前記ボイラに給水する第3経路とに流通する水量を調整する第2過程と、
    前記第1過程で検出される温度が、前記温水加熱器における水の蒸発温度を下回る第1所定温度より小さくなるように、前記第1経路に流通する水量と、前記第3経路に流通する水量との割合を調整する第3過程とを有するボイラ給水方法。


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