JP2016148015A - ポリブタジエン及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

ポリブタジエン及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】より高度に破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエン及びそれを用いたゴム組成物を提供する。【解決手段】GPCによるポリスチレン換算の、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.5以下、かつz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.5以下であり、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML)が2.5〜6.0であり、ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量が95.0モル%以上であることを特徴とするポリブタジエンに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム材料に有用な破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良された特定のコバルト化合物から得られるポリブタジエン及びその製造方法、並びにそれを用いたゴム組成物に関するものである。
従来、ポリブタジエンは、熱的及び機械的に優れたゴム材料として様々な分野で広く用いられているが、近年の省資源・省エネルギーニーズの高度化に伴い、ポリブタジエンにも耐久性(破壊特性や耐摩耗性)やエネルギーロス(低ロス性)の更なる改善が求められている。こうした課題を解決するために、ポリブタジエンの分子構造として、分子量分布が狭い、分子鎖の分岐度が小さい、シス1,4結合含量が多い、ことを満足する分子設計の実現が、重合触媒の開発などを通して精力的に研究開発されている。
例えば、コバルト化合物、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、有機アルミニウム化合物、及び水から得られる触媒を用いて、立体規則性に優れて高活性なポリブタジエンの製造法が開示されている(特許文献1)。
また、コバルト化合物、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、有機アルミニウム化合物、水、及び水素から得られる触媒を用いて、分子鎖の分岐度が小さいポリブタジエンの製造法が開示されている(特許文献2)。
さらに、コバルト化合物、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、有機アルミニウム化合物から得られる触媒を用いて、分子鎖の分岐度が小さいポリブタジエンの製造法も開示されている(特許文献3)。
さらにまた、分子量、分子量分布、分岐度、シス1,4結合含量を高度に制御したポリブタジエンを用いることで加工性、耐摩耗性、発熱特性及び強度特性が改善されたタイヤ用ゴム組成物が開示されている(特許文献4)。
特開平10−182726号公報 特開2000−17012号公報 特開2000−17013号公報 特許第3775510号公報
しかしながら、市場では、ゴム組成物の改善に必要となる分子量分布、特にブタジエンの不均一重合で良く見られる超高分子量成分の生成、分岐度、シス1,4結合量とを同時に制御することで、より高度に破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンとそれを含んだゴム組成物が要求されている。
そこで、本発明は、より高度に破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエン及びそれを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、GPCによるポリスチレン換算の、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.5以下、かつz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.5以下であり、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML)が2.5〜6.0であり、ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量が95.0モル%以上であることを特徴とするポリブタジエンに関する。
本発明は、前記のポリブタジエンを含むことを特徴とするゴム組成物に関する。
本発明は、GPCによるポリスチレン換算の、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.5以下、かつz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.5以下であり、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML)が2.5〜6.0であり、ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量が95.0モル%以上であるポリブタジエンの製造方法であって、
(D)水と(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物とを混合し、(A)コバルト化合物と(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物とを同時に又は3分間未満の間隔をあけて添加した後に、1,3−ブタジエンを重合することを特徴とするポリブタジエンの製造方法に関する。
本発明によれば、より高度に破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエン及びそれを用いたゴム組成物を提供することができる。
<ポリブタジエン>
本発明に係るポリブタジエンは、以下の条件を満たすものである。
(Mw/Mn)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mnと略記)は、2.5以下であり、2.4以下が好ましく、2.3以下がより好ましい。Mw/Mnの値が2.5より大きいと、超高分子量成分や低分子量成分の含有量が多くなるため、耐摩耗性や破壊強力、低ロス性の物性改善が低下する。
(Mz/Mw)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mwと略記)は、超高分子量成分の影響を受ける値である理由から、2.5以下であり、2.4以下が好ましく、2.3以下がより好ましい。Mz/Mwの値が2.5より大きいと、超高分子量成分の生成が認められるようになり、耐摩耗性や破壊強力、低ロス性の物性改善が低下する。
(Tcp/ML)
5重量%トルエン溶液(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/MLと略記する)は、2.5〜6.0であり、2.6〜5.5が好ましく、2.7〜5.3がより好ましい。Tcp/MLが上記範囲より小さいと分子鎖の分岐度が大きくなり、耐摩耗性や低ロス性が低下する。また、上記範囲より大きいTcp/MLは、Mz/Mwを2.5以下に維持する条件下では製造することが極めて困難である。
(シス1,4結合含量)
ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量は、95.0モル%以上であり、97.0モル%以上が好ましく、97.5モル%以上がより好ましい。シス1,4結合含量が上記範囲より小さいと、耐摩耗性が低下する。
(ムーニー粘度)
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、25〜120が好ましく、30〜100がより好ましい。ムーニー粘度が上記範囲より大きいと加工性が低下する傾向があり、ムーニー粘度が上記範囲より小さいと耐摩耗性や低ロス性が低下する傾向がある。
本発明に係るポリブタジエンは、例えば、(A)コバルト化合物、(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物、(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物及び(D)水を含む触媒により1,3−ブタジエンを重合することで得ることができる。
((A)成分:コバルト化合物)
(A)成分であるコバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものとしては、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩、コバルトのビスアセチルアセトネートやトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、コバルトのピリジン錯体やピコリン錯体等の有機塩基錯体、コバルトのエチルアルコール錯体などが挙げられる。コバルト化合物は、単独で用いてもよく、二種以上組合せて用いてもよい。
((B)成分:非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物)
(B)成分の非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トルイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。一方、カチオンとしては、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
カルベニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリ置換フェニルカルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンが挙げられる。トリ置換フェニルカルベニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンが挙げられる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物は、単独で用いてもよく、二種以上組合せて用いてもよい。
((C)成分:周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物)
(C)成分の周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物としては、有機リチウム、有機マグネシウム、有機アルミニウム等が用いられる。中でも、有機金属化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド等の有機アルミニウムが好ましい。有機アルミニウムの具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムが挙げられる。
さらに、有機アルミニウムには、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライド等の水素化有機アルミニウム化合物も含まれる。有機金属化合物は、単独で用いてもよく、二種以上組合せて用いてもよい。
(各成分のモル比)
各成分の配合割合は、各種条件により適宜設定すればよいが、(A)成分と(B)成分とのモル比は、1:0.1〜10が好ましく、1:0.2〜5がより好ましい。(A)成分と(C)成分とのモル比は、1:0.1〜1000が好ましく、1:1〜500がより好ましい。(C)成分と(D)成分とのモル比は、1:0.01〜2が好ましく、1:0.01〜1.5がより好ましく、1:0.1〜1.5がさらに好ましい。
(各成分の添加順序)
各成分の添加順序は、特に制限はないが、例えば次の順序で行うことが好ましい。すなわち、重合すべき1,3ブタジエンの存在下に(D)成分を添加し、(C)成分を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加することが好ましい。(A)成分と(B)成分は同時に添加してもよく、間隔をあけて添加してもよいが、(A)成分を添加後に(B)成分を添加することがより好ましい。(D)成分を添加し(C)成分を添加することで助触媒が形成され、その後に(A)成分と前記助触媒が接触することで、最初に有効で均質な活性種が形成されるためである。
ただし、(A)成分と(B)成分とを同時に又は3分間未満の間隔をあけて添加することが好ましく、2分以下の間隔をあけて添加することがより好ましく、1分以下の間隔をあけて添加することがさらに好ましい。3分以上の間隔をあけてしまうと、不均質な活性種が形成し、超高分子量成分が生成してしまい、所望のMz/Mwを持つポリブタジエンが得られにくくなる。逆に、(A)成分と(B)成分とを同時に又は3分間未満の間隔をあけて添加すれば、破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良できるポリブタジエンが得られやすくなる。
((C)成分と(D)成分の混合)
1,3ブタジエンの存在下に(C)成分と(D)成分を混合した後に熟成することが好ましい。熟成温度は、−50〜80℃が好ましく、−10〜50℃がより好ましい。熟成時間は、0.01〜24時間が好ましく、好ましくは0.05〜5時間がより好ましく、0.1〜3時間がさらに好ましい。
各成分は、無機化合物又は有機高分子化合物に担持された状態で用いることができる。
(溶媒)
重合時には、溶媒を用いることができる。溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のC4留分などのオレフィン系炭化水素溶媒、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の石油系炭化水素溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。中でも、ベンゼン、シクロヘキサン、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
(分子量調節剤)
重合時には、分子量調節剤を用いることができる。分子量調節剤としては、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン類、エチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。特に好ましくはシクロオクタジエンであり、その使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり30ミリモル以下が好ましく、5ミリモル以下がより好ましい。この範囲を超える量の分子量調節剤を用いると、ML粘度のずれの問題が生ずる場合がある。
(重合温度と重合時間)
重合温度は−30〜100℃の範囲が好ましく、30〜80℃の範囲が特に好ましい。重合時間は10分〜12時間の範囲が好ましい。また、重合圧は、常圧又は10気圧(ゲージ圧)程度までの加圧下に行われる。
<ゴム組成物>
本発明に係るゴム組成物は、上記の本発明に係るポリブタジエンを含むものである。ポリブタジエンは、単独で、又は他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドされ、必要であればプロセスオイルで油展し、次いでカーボンブラックやシリカ等の補強剤、プロセスオイル、老化防止剤、加硫剤、加硫助剤、その他の配合剤を加えて加硫し、タイヤ・防振ゴム・ベルト・ホース・免震ゴムなどの工業用品や紳士靴・婦人靴・スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用される。その場合、ゴム成分中に本発明に係るポリブタジエンを少なくとも10重量%含有するように配合することが好ましい。
ゴム組成物に含まれる他の合成ゴムとしては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。また、これらゴムの誘導体、例えば錫化合物で変性されたポリブタジエンや、エポキシ変性、シラン変性、マレイン酸変性されたゴムなども用いることができる。他の合成ゴムは、単独で用いてもよく、二種以上組合せて用いてもよい。
補強剤としては、カーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤、シンジオタクチック1.2ポリブタジエン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂等の有機補強剤が挙げられる。中でも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、粒子径が90nm以下で、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの種類としては、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が好ましく使用される。
プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などが用いられる。
その他の配合剤の一つである充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
また同じくその他の配合剤の一つであるシランカップリング剤としては、一般式R7SiX4−nで表される有機珪素化合物が挙げられ、R7は、ビニル基、アシル基、アリル基、アリルオキシ基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基、アルキル基、フェニル基、水素、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基などから選ばれる反応基を有する炭素数1〜20の有機基であり、Xは、クロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基などから選ばれる加水分解基であり、nは1〜3の整数を示す。
上記のシランカップリング剤のR7は、ビニル基及び/又はクロル基を含有するものが好ましい。具体的なシランカップリング剤には、例えば以下のものが含まれるが、決してこれらに限定されるものではない。
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、クロロメチルジメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、ジアセトキシメチルジニルシラン、アリルオキシジメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、フェニルビニルジクロロシラン、トリアセトキシビニルシラン、3−クロロプロピルメチルジビニルシラン、ジエトキシジビニルシラン、ジメチルエチルメチルケトキムビニルシラン、ジメチルイソブトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、メチルフェニルビニルクロロシラン、メチルフェニルビニルシラン、ジメチルイソペンチルオキシビニルシラン、4−ブロモフェニルジメチルビニルシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、4−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、ジメチルピペリヂノメチルビニルシラン、ジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ビニルシラン、ジビニルメチルフェノキシシラン、ジメチル−P−アニシルビニルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、ジエトキシ−2−ピペリヂノエトキシビニルシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、3−ジメチルビニルフェニルN,N−ジエチルカルボメイト、トリフェノキシビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1−(4−メチルピペリヂノメチル)−1,1,3,3−テトラメチル−3−ビニルジシロキサン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルビニルシロキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルビニルシロキシ)ベンゼン、1,1,3,3−テトラフェニルー、3−ジビニルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルサイクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルサイクロテトラシロキサン、テトラキス(ジメチルビニルシロキシメチル)メタン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン。
シランカップリング剤の添加量としては、充填剤の量に対して0.2〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。シランカップリング剤の添加量が上記の範囲よりも少ないと、スコーチの原因となる場合がある。また、上記の範囲よりも多いと引張り特性、伸びの低下の原因となる場合がある。
上記ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどの混合機によって混練することで得られる。
また、本発明に係るポリブタジエンは、プラスチック、例えば耐衝撃性ポリスチレンの改質剤として使用することもできる。すなわち、本発明に係るポリブタジエンを含むゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物を製造することもできる。
上記のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造方法としては、例えばゴム状ポリマーの存在下にスチレン系モノマーの重合を行う方法が採用され、塊状重合法や塊状懸濁重合法が経済的に有利な方法である。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン;クロルスチレン等のハロゲン置換スチレンなど、従来ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物製造用として知られているスチレン系モノマーの1種又は2種以上の混合物が用いられる。中でもスチレンが好ましい。
上記のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造時に、必要に応じて上記ゴム状ポリマーの他に、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン、エチレン−酢酸ビニル、アクリル系ゴムなどを、上記ゴム状ポリマーに対して例えば50重量%以内となるように併用することができる。また、これらの方法によって製造された樹脂組成物を混合してもよい。さらに、これらの方法によって製造されたゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を含まないポリスチレン系樹脂を混合してもよい。
上記の塊状重合法について一例を挙げて説明すると、スチレンモノマー(99〜75重量%)にゴム状ポリマー(1〜25重量%)を溶解させ、場合によっては溶剤、分子量調節剤、重合開始剤などを添加して、10〜40%のスチレンモノマー転化率までゴム状ポリマーを分散した粒子に転化させる。このゴム粒子が生成するまではゴム相が連続相を形成している。さらに重合を継続してゴム粒子として分散相になる相の転換(粒子化工程)を経て50〜99%の転化率まで重合して、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が製造される。
ゴム状ポリマーの分散粒子(ゴム粒子)は、樹脂中に分散された粒子で、ゴム状ポリマーとポリスチレン系樹脂よりなり、ポリスチレン系樹脂はゴム状ポリマーにグラフト結合したり、或いはグラフト結合せずに吸蔵されている。この発明で言うゴム状ポリマーの分散粒子の径として0.5〜7.0μmの範囲(好ましくは1.0〜3.0μmの範囲)のものが好適に製造できる。
グラフト率として、150〜350の範囲のものが好適に製造できる。製造は、バッチ式でも連続式でもよく、特に限定されない。上記のスチレン系モノマーとゴム状ポリマーとを主体とする原料溶液は、完全混合型反応器において重合されるが、完全混合型反応器としては、原料溶液が反応器において均一な混合状態を維持するものであればよく、好ましいものとしてはヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、アンカーなどの型の攪拌翼が挙げられる。ヘリカルリボンタイプの攪拌翼にはドラフトチューブを取り付けて、反応器内の上下循環を一層強化することが好ましい。
ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物には、製造時や製造後に適宜必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、各種充填剤及び各種の可塑剤、高級脂肪酸、有機ポリシロキサン、シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤や発泡剤などの公知添加剤を添加してもよい。ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることはできるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野で使用される射出成形に好適である。例えばカラーテレビ、ラジカセ、ワープロ、タイプライター、ファクシミリ、VTRカセット、電話器などのハウジングの家電・工業用などの広範な用途に用いることができる。
以下に、本発明に基づく実施例について具体的に記載する。
(ムーニー粘度(ML1+4,100℃))
ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計(商品名:SMV−200)を使用して100℃で1分予熱したのち4分間測定した。
(5重量%トルエン溶液粘度(Tcp))
ポリブタジエンの5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。なお、標準液としては、粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用いた。
(z平均分子量、重量平均分子量、数平均分子量)
ポリブタジエンのz平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とした温度40℃でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製)により得られた分子量分布曲線から、標準ポリスチレンを標準物質として作成した検量線を用いて計算した。なお、カラムはShodex製KF−805L(商品名)を2本直列に接続し、検出器は示唆屈折計(RI)を用いた。
(シス1,4結合含量)
ポリブタジエンのミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって算出した。具体的には、ミクロ構造に由来するピーク位置(cis:740cm−1)の吸収強度比から、ポリマーのミクロ構造を算出した。
(硬度)
ゴム組成物の硬度は、JIS K6253に準じて、タイプAデュロメーターを用いて室温で測定した。
(100%引張弾性率)
ゴム組成物の100%引張弾性率は、JIS K6251に従い測定した。
(破断強度(TB))
ゴム組成物の破断強度は、JIS K6251に従い測定した。
(破断伸び(EB))
ゴム組成物の破断伸びは、JIS K6251に従い測定した。
(破壊強力)
ゴム組成物の破壊強力の指標として、TB×EB÷2の値を計算し、比較例6を100とした指数(INDEX)を算出した。この指数が大きいほど、破壊強力が大きいことを示す。
(耐摩耗性)
ゴム組成物の耐摩耗性の指標として、JIS K6264に規定されている測定法に従ってスリップ率40%でランボーン摩耗係数を測定し、比較例6を100とした指数(INDEX)を算出した。この指数が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
(低ロス性)
加硫物の粘弾性である複素弾性率Eとtanδを、GABO社製EPLEXOR 100N(商品名)を用いて、温度50℃、周波数16Hz、動的歪み0.2%の条件で測定し、ゴム組成物の低ロス性の指標として、tanδ÷複素弾性率Eを計算し、比較例6を100とした指数(INDEX)を算出した。この指数が大きいほど、低ロス性が良好であることを示す。
(実施例1)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン300ml及びブタジエン300mlを仕込み、混合溶液中のブタジエン濃度を5.7Mとした。カールフィッシャーで測定したシクロヘキサンの含水濃度は5ppm、ブタジエンの含水濃度は19.4ppmであり、混合溶液の含水濃度は0.44mMであった。
この混合溶液の温度を25℃とし、(D)水0.33mmolを添加し、500rpmで30分間攪拌した。さらに、シクロオクタジエン(COD)5.3mmol及び(C)トリイソブチルアルミニウム(TIBA)0.72mmolを添加し、1分半後に65℃へ昇温を開始した。(C)トリイソブチルアルミニウムの添加から5分後に、(A)オクテン酸コバルト(Co(Oct))のトルエン溶液(0.004mol/l)を3.6μmol添加し、10秒後に(B)トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PhCB(C)のトルエン溶液(4mmol/l)を7.2μmol添加して、65℃で30分間重合した。
30分間の重合後、老化防止剤のエタノール溶液2.0mlを添加して重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを100℃で1時間真空乾燥した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例2)
シクロオクタジエン(COD)の添加量を表1に記載したCODの濃度になる量とした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例3)
シクロオクタジエン(COD)の添加量を表1に記載したCODの濃度になる量とした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例4)
シクロオクタジエン(COD)の添加量を表1に記載したCODの濃度になる量とした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例5)
シクロヘキサンの量を500ml、ブタジエンの量を500mlとし、(A)、(B)、(C)、(D)及びシクロオクタジエン(COD)の量を表1に記載した各濃度になる量とし、(C)成分としてトリエチルアルミニウム(TEA)を用い、重合後に老化防止剤のエタノール溶液を2.5ml添加した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例6)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン300ml及びブタジエン300mlを仕込み、混合溶液中のブタジエン濃度を5.7Mとした。カールフィッシャーで測定したシクロヘキサンの含水濃度は5ppm、ブタジエンの含水濃度は19.4ppmであり、混合溶液の含水濃度は0.44mMであった。
この混合溶液の温度を25℃とし、(D)水0.33mmolを添加し、500rpmで30分間攪拌した。さらに、(C)トリイソブチルアルミニウム0.72mmolを添加し、1分半後に65℃へ昇温を開始した。(C)トリイソブチルアルミニウムの添加から5分後に、(B)トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PhCB(C)のトルエン溶液(4mmol/l)を7.2μmol添加し、10秒後に(A)オクテン酸コバルト(Co(Oct))のトルエン溶液(0.004mol/l)を3.6μmol添加して、65℃で30分間重合した。
30分間の重合後、老化防止剤のエタノール溶液2.0mlを添加して重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを100℃で1時間真空乾燥した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例7)
(A)を添加してから(B)を添加するまでの時間を120秒(2分間)とした以外は、実施例3と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例8)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン320ml及びブタジエン280mlを仕込み、混合溶液中のブタジエン濃度を5.2Mとした。カールフィッシャーで測定したシクロヘキサンの含水濃度は5ppm、ブタジエンの含水濃度は19.4ppmであり、混合溶液の含水濃度は0.42mMであった。
この混合溶液の温度を25℃とし、(D)水0.48mmolを添加し、500rpmで30分間攪拌した。さらに、シクロオクタジエン(COD)5.7mmol、(C)トリイソブチルアルミニウム0.72mmolを添加し、攪拌した。5分後、(A)オクテン酸コバルト(Co(Oct))のトルエン溶液(0.004mol/l)を3.6μmol添加して3分間攪拌した後に、3分半かけて65℃へと昇温した。65℃になった後、(B)トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PhCB(C)のトルエン溶液(4mmol/l)を7.2μmol添加して、65℃で30分間重合した。
30分間の重合後、老化防止剤のエタノール溶液2.0mlを添加して重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを100℃で1時間真空乾燥した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例9)
(A)と(B)を予め混合することで(A)と(B)を同時に添加した以外は、実施例3と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(実施例10)
シクロヘキサンの量を500ml、ブタジエンの量を500mlとし、(B)を添加してから(A)を添加するまでの時間を120秒(2分間)とした以外は、実施例6と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例1)
(A)を添加してから(B)を添加するまでの時間を300秒(5分間)とした以外は、実施例3と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例2)
(D)水の添加量を表1に記載したHOの濃度になる量とした以外は、実施例8と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例3)
シクロヘキサンの量を300ml、ブタジエンの量を300mlとし、混合溶液のブタジエン濃度を5.6M、混合溶液の含水濃度を0.44mMとして、(A)、(B)、(D)及びシクロオクタジエン(COD)の量を表1に記載した各濃度になる量とした以外は、実施例8と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例4)
(A)、(B)及びシクロオクタジエン(COD)の量を表1に記載した各濃度になる量とした以外は、比較例3と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例5)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエンの混合溶液750mlを仕込み、混合溶液中のブタジエン濃度を3.8Mとした。
この混合溶液の温度を25℃とし、シクロオクタジエン(COD)3.8mmol、(C)トリイソブチルアルミニウム0.30mmolを添加し、攪拌した。5分後、(A)オクテン酸コバルト(Co(Oct))を6.0μmol添加した後、3分かけて65度へと昇温した。65℃になった後、(B)トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PhCB(C)を12.0μmol添加して、65℃で30分間重合した。
30分間の重合後、老化防止剤のエタノール溶液2.0mlを添加して重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを100℃で1時間真空乾燥した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
(比較例6)
(C)及びシクロオクタジエン(COD)の量を表1に記載した各濃度になる量とした以外は、比較例5と同様の方法で、ポリブタジエンを製造した。重合条件を表1に、重合結果を表2に示す。
Figure 2016148015
Figure 2016148015
(実施例2−1〜2−2、比較例2−1〜2−3:ゴム組成物評価)
表3に記載したポリブタジエンゴム(BR)50重量部と天然ゴム(ML=67)50重量部を、あらかじめ90℃に加温した250ccのラボプラストミルに投入して、1分間混練した。次に、カーボンブラック(ISAF、三菱化学製、商品名:ダイアブラックI)50重量部、オイル(H&R製、商品名:VivaTec 400)3重量部、酸化亜鉛(ZnO♯1)3重量部、ステアリン酸(花王製)を2重量部、及び酸化防止剤(住友化学製、商品名:アンチゲン6C)2重量部を混合して、4分間混練した。混練を開始してから合計で5分間経過した後、混練物をラボプラストミルより取り出した。次に、取り出した混合物を6インチロールに巻きつけてロール混練しながら、加硫剤である粉末硫黄1.5重量部と加硫促進剤(大内新興化学工業製、商品名:ノクセラーNS)1重量部を添加し、約5分間混合した。次いで、温度150℃でプレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。配合条件を表3に、物性評価結果を表4に示す。ここで、比較例2−1で使用したブタジエンゴム(BR)は、宇部興産株式会社製の商品名:UBEPOL BR150Lである。
Figure 2016148015
Figure 2016148015
以上のように、(A)コバルト化合物、(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物、(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物及び(D)水を含む触媒を用いて、(D)水と(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物とを混合し、(A)コバルト化合物と(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物とを同時に又は3分間未満の間隔をあけて添加した後に、1,3−ブタジエンを重合することで、ゴム材料に有用な破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンとそれを含むゴム組成物を得ることができる。
本発明に係るポリブタジエンは、破壊強力、耐摩耗性及び低ロス性のバランスが改良されていることから、ゴム組成物に配合することで、タイヤをはじめ、防振ゴム、ベルト、ホース、免震ゴム、ゴムクローラ及び履物部材等に用いることができる。

Claims (4)

  1. GPCによるポリスチレン換算の、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.5以下、かつz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.5以下であり、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML)が2.5〜6.0であり、ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量が95.0モル%以上であることを特徴とするポリブタジエン。
  2. (A)コバルト化合物、(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物、(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物及び(D)水を含む触媒により1,3−ポロブタジエンが重合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリブタジエン。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のポリブタジエンを含むことを特徴とするゴム組成物。
  4. GPCによるポリスチレン換算の、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.5以下、かつz平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.5以下であり、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML)が2.5〜6.0であり、ミクロ構造分析におけるシス1,4結合含量が95.0モル%以上であるポリブタジエンの製造方法であって、
    (D)水と(C)周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物とを混合し、(A)コバルト化合物と(B)非配位アニオンとカチオンのイオン性化合物とを同時に又は3分間未満の間隔をあけて添加した後に、1,3−ブタジエンを重合することを特徴とするポリブタジエンの製造方法。
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