以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものである。
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1乃至図4を用いて、本発明の一態様に係る二次電池の構成の例について説明する。
[1.構成1]
図1および図2に、二次電池100aの構成の例を示す。図1(A)は二次電池100aの斜視図である。図1(B)は二次電池100aの上面図である。図1(C)は図1(B)の一点破線A1−A2における断面図である。図2(A)は、二次電池100aが有する正極111aの、正極活物質層102を有する側の上面図である。図2(B)は、二次電池100aの有する負極115aの、負極活物質層106を有する側の上面図である。
二次電池100aは、図1(A)に示すように少なくとも一軸方向に湾曲させることができる、または可撓性を有する。なお、本明細書等において、あるものが湾曲しているという場合、あるものが、曲がる、凹面を有する、凸面を有する、反る、変形する等と換言することができる。
二次電池100aは、複数の正極111a、複数の正極111aと電気的に接続された正極リード121、複数の負極115a、複数の負極115aと電気的に接続された負極リード125を有する。また、正極111aはそれぞれ、セパレータ103で覆われている。また二次電池100aは、正極111a、正極リード121、負極115a、負極リード125を挟む外装体107を有する。
外装体107は、封止領域を有する。なお本明細書等において、封止領域とは、二次電池100aの端部に設けられ、正極111aおよび負極115a等の上側の外装体107と、正極111aおよび負極115a等の下側の外装体107とを接着する機能を有する領域をいう。
また、二次電池100aは外装体107の封止領域よりも内側に内部領域を有する。二次電池100aは、内部領域に、正極111a、正極リード121の一部、負極115a、負極リード125の一部、および電解液104を有する。換言すれば、二次電池100aの内部領域は、封止領域と重畳しない領域であり、二次電池100aが湾曲する際の電極およびリードの変形、ずれ等が起こる領域である。なお、外装体107の端部でフィルムを折り曲げている場合をはじめとして、外装体の端部に封止領域を有さないことがある。その場合は、外装体の内側を内部領域と呼ぶこととする。
また正極リード121および負極リード125は、封止層120を有する。
図1(B)に示すように、封止領域の長さを、Lsと呼ぶこととする。また内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111aの長さの和を、Lp1と呼ぶこととする。なお、正極111aの長さとは、正極タブも含む長さとする。また内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115aの長さの和を、Ln1と呼ぶこととする。なお、負極115aの長さとは、負極タブも含む長さとする。なお本明細書等において、図1(B)に示すX軸の方向、つまり後述する応力緩和領域が延びる方向を長さと呼ぶこととする。また、図1(B)に示すY軸の方向を幅と呼ぶこととする。
また、図2(A)に示すように、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111aのタブの長さの和を、Lptと呼ぶこととする。また、正極111aのタブの幅をWpt、正極111aの最大幅をWp1と呼ぶこととする。
同様に、図2(B)に示すように、内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115aのタブの長さの和を、Lntと呼ぶこととする。また、負極115aのタブの幅をWnt、負極115aの最大幅をWn1と呼ぶこととする。なお本明細書等において、タブとは、電極のそれぞれの最大幅よりも狭くなった部分をいう。タブの一部において、電極はリードと電気的に接続される。具体的には正極111aのタブと正極リード121とは一部重ねて密接させることで電気的に接続させている。
二次電池100aの正極リード121および負極リード125は、外装体107の封止領域において固定されている。二次電池100aを湾曲させると、湾曲による応力は、電極の中の弱い部分、すなわち幅の細い部分である正極111aのタブと正極リード121、および負極115aのタブと負極リード125に集中してしまう。
本発明者の尽力と科学計算の結果から、二次電池100aの内部領域に存在するリードまたはタブを長くとると、湾曲による応力を緩和できることが明らかとなった。具体的には、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111aのタブの長さの和Lptが、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111aの長さの和Lp1の20%以上、好ましくは30%以上であると、湾曲による応力を大きく緩和でき好ましい。
同様に、内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115aのタブの長さの和Lntが、内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115aの長さの和Ln1の20%以上、好ましくは30%以上であると、湾曲による応力を大きく緩和でき好ましい。
ただし内部領域におけるリードおよびタブが長すぎると、二次電池100aの容量が減少してしまうため、LptはLp1の50%以下であることが好ましい。同様に、LntはLn1の50%以下であることが好ましい。
上記の効果から、内部領域における正極111aのタブと正極リード121は、合わせて正極の応力緩和領域と呼ぶ場合がある。同様に、内部領域における負極115aのタブと負極リード125は、合わせて負極の応力緩和領域と呼ぶ場合がある。
また、図1および図2では、正極111aおよび負極115aの両方が応力緩和領域を有する構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。正極111aまたは負極115aのどちらか一方が応力緩和領域を有する構成とする場合もある。
なお、二次電池100aは、正極集電体101の片面に正極活物質層102が形成された正極111aを3枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106が形成された負極115aを3枚有している。これらの電極を、正極活物質層102と負極活物質層106が、セパレータ103を介して対向するように配置する。また、負極115aの負極活物質層106が形成されていない面同士が接するように配置する。
このような配置とすることで、負極115aの負極活物質層106を有さない面同士という、金属同士の接触面をつくることができる。金属同士の接触面は、活物質層とセパレータ103との接触面と比較して摩擦係数を小さくすることができる。
そのため、正極111aおよび負極115aを湾曲したとき、負極115aの負極活物質層106を有さない面同士が滑ることで、湾曲の内径と外径の差により生じる応力を逃がすことができる。そのため、正極111aおよび負極115aの劣化を抑制することができる。また、信頼性の高い二次電池100aとすることができる。
なお、正極111aおよび負極115aを、1枚または2枚ずつ積層した二次電池100aとする場合もある。積層数を減らすことで、より薄く、湾曲しやすい二次電池100aとすることができる。また正極111aおよび負極115aを、それぞれ4枚以上積層する構成としてもよい。積層数を増やすことで、二次電池100aの容量を大きくすることができる。
また、二次電池100aではセパレータ103が正極111aを覆う例について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。セパレータ103が負極115aを覆う構成としてもよい。またセパレータ103は、正極活物質層102および負極活物質層106の間に設けられればよく、正極111aまたは負極115aを覆わない構成とする場合もある。
また、図1(A)および(C)に示すように、外装体107は凹凸を有することが好ましい。凹凸を有する外装体107を用いることで、二次電池100aの形状を変化させた場合の外装体107の応力を緩和することができる。そのため信頼性の高い二次電池100aとすることができる。なお、図を簡略にするため、図1(B)では外装体107の凹凸を省略して示している。
[2.構成2]
図1および図2では、タブとリードを合わせて応力緩和領域としたが、本発明の一態様はこれに限らない。タブとリードに加えて、電極に形成されたスリットにより区切られた領域を合わせて応力緩和領域と呼ぶ場合もある。
図3および図4に、二次電池100bの構成の例を示す。図3(A)は二次電池100bの上面図である。図3(B)は二次電池100bが有する正極111bの、正極活物質層102を有する側の上面図である。図3(C)は二次電池100bに用いることのできる正極111bの形状の他の例である。図4(A)は二次電池100bが有する負極115bの、負極活物質層106を有する側の上面図である。図4(B)は二次電池100bに用いることのできる負極115bの形状の他の例である。
二次電池100bは、図1(A)の二次電池100aと同様に、少なくとも一軸方向に湾曲させることができる、または可撓性を有する。
図3(B)および(C)に示すように、二次電池100bの正極111bはスリット151を有する。スリット151の長手方向はタブの延びる方向(長手方向)と平行であることが好ましい。また図4(A)および(B)に示すように、二次電池100bの負極115bはスリット152を有する。スリット152の長手方向はタブの延びる方向と平行であることが好ましい。
なお本明細書等において、平行とは多少のずれを含み、±30°程度のずれを有している場合も含まれる。またスリットの形状は直線に限られず、図3(C)のスリット151のように場所により幅が異なる場合もあれば、曲線を有する場合もある。スリットが、場所により幅が異なる場合や曲線を有する場合は、電極の長さ方向についてのスリットの端部の中心を結んだ線を、スリットの方向と呼ぶこととする。たとえば図3(C)のスリット151の方向は、直線151aで示す方向である。
図3(A)に示すように、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111bの長さの和を、Lp1と呼ぶこととする。また内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115bの長さの和を、Ln1と呼ぶこととする。
また図3(B)および(C)に示すように、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111bのタブの長さの和を、Lptと呼ぶこととする。また正極111bが有するスリットの長さを、Lpsと呼ぶこととする。またLptとLpsの和を、Lp2と呼ぶこととする。
同様に、図4(A)および(B)に示すように、内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115bのタブの長さの和を、Lntと呼ぶこととする。また負極115bが有するスリットの長さを、Lnsと呼ぶこととする。またLntとLnsの和を、Ln2と呼ぶこととする。
内部領域における正極リード121の長さと正極リード121と重なっていない正極111bのタブの長さとスリットの長さの和Lp2が、内部領域における正極リード121の長さと、正極リード121と重なっていない正極111bの長さの和Lp1の20%以上、好ましくは30%以上であると、湾曲による応力を緩和することができ好ましい。
同様に、内部領域における負極リード125の長さと負極リード125と重なっていない負極115bのタブの長さとスリットの長さの和Ln2が、内部領域における負極リード125の長さと、負極リード125と重なっていない負極115bの長さの和Ln1の20%以上、好ましくは30%以上であると、湾曲による応力を緩和することができ好ましい。
タブとリードに加えて、電極に形成されたスリットにより区切られた領域を合わせて応力緩和領域とする構成では、タブが短い場合でもスリットを長くすれば、応力緩和領域を長くとることができる。そのため二次電池100bの容量を減少させることなく、湾曲による応力を緩和することができる。
そのためLp2はLp1の50%より大きく、正極の強度を保つために95%以下であることが好ましい。同様に、Ln2はLn1の50%より大きく、負極の強度を保つために95%以下であることが好ましい。
なお、二次電池100bについては、正極および負極の形状の他は、二次電池100aについての記載を参酌することができる。
なお本実施の形態では、外装体107の内部領域において正極111aと正極リード121が電気的に接続され、負極115aと負極リード125が電気的に接続されている構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。正極111aと正極リード121は、封止領域の外側で電気的に接続される構成としてもよい。その場合、応力緩和領域に正極リード121が含まない場合がある。同様に、負極115aと負極リード125が封止領域の外側で電気的に接続される構成としてもよい。その場合、応力緩和領域に負極リード125が含まれない場合がある。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。例えば、本発明の一態様として、湾曲した蓄電装置、可撓性を有する蓄電装置、または、変形できる蓄電装置に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、変形できない蓄電装置に適用できる。例えば、本発明の一態様として、二次電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、様々な二次電池、リチウムイオン二次電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、一次電池、キャパシタ、または、電気二重層キャパシタ、ウルトラ・キャパシタ、スーパー・キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、などに適用できる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図5乃至図8を用いて、本発明の一態様に係る二次電池、特に二次電池100aの作製方法の例について説明する。
[1.正極を用意し、セパレータで覆う]
まず、正極集電体101上に正極活物質層102を形成し、正極111aの形状に加工する。次いで、折り曲げたセパレータ103で正極111aを挟む(図5(A))。
そして正極111aの外側の、セパレータ103の外周部分を接着して、袋状のセパレータ103を形成する(図5(B))。セパレータ103の外周部分の接着は、接着材などを用いる、または超音波溶接や、加熱による融着により行う。
本実施の形態では、セパレータ103としてポリプロピレンを用いて、セパレータ103の外周部分を加熱により接着する。図5(B)に接着部分を、領域103aとして示す。このようにして、正極111aをセパレータ103で覆うことができる。セパレータ103は、正極活物質層102を覆うように形成すればよく、正極111aの全体を覆う必要は無い。
なお、図5(A)では、セパレータ103を折り曲げているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、2枚のセパレータで正極111aを挟んで形成する構成としてもよい。その場合、領域103aが4辺のほとんどを囲う形で形成される。
また、セパレータ103の外周部分の接着は、接着により細長い領域が外周縁に沿って固定されるように行ってもよいし、図5(B)のように一定間隔毎の点状として断続的に接着する構成としてもよい。
または、外周部分の1辺にのみ、接着を行ってもよい。または、外周部分の2辺にのみ、接着を行ってもよい。または、外周部分の4辺に、接着を行ってもよい。外周部分の4辺に、接着を行う場合は、4辺を均等な状態にすることが出来る。
[2.負極を用意する]
次に、負極集電体105上に負極活物質層106を形成し、負極115aの形状に加工する(図5(C))。
[3.正極と負極を積み重ねる]
次に、正極111aおよび負極115aを積み重ねる(図6(A))。本実施の形態では、片面に正極活物質層102を形成した正極111aを3枚、片面に負極活物質層106を形成した負極115aを3枚積層することとする。これらを、正極活物質層102と負極活物質層106が、セパレータ103を介して対向するように配置する。また、負極115aの負極活物質層106が形成されていない面同士が接するように配置する。
[4.正極リードと負極リードを接続する]
次に、複数の正極集電体101の正極タブと、封止層120を有する正極リード121を、圧力を加えながら超音波を照射して電気的に接続する(超音波溶接)。
リード電極は、二次電池の作製後に外から力が加えられて生じる応力により、ヒビや切断が生じやすい。そこで、正極リード121を超音波溶接する際、突起を有するボンディングダイで挟み、正極タブに接続領域は別に湾曲部を形成してもよい。湾曲部を設けることによって、二次電池100aの作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができる。よって、二次電池100aの信頼性を高めることができる。
また、正極タブに湾曲部を形成することに限定されず、正極集電体の材料をステンレス、チタンなどの強度のあるものとし、正極集電体の膜厚を10μm以下とすることで二次電池の作製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和しやすくする構成としてもよい。
勿論、これらを複数組み合わせて正極タブの応力集中を緩和してもよいことは言うまでもない。
そして正極集電体101と同様に、複数の負極集電体105の負極タブと、封止層120を有する負極リード125を超音波溶接により電気的に接続する(図6(B))。このとき、正極タブと同様に、負極タブに湾曲部を設ける、集電体の強度を高める等、応力を緩和しやすくする構成としてもよい。
[5.外装体用フィルムを用意する]
次に、外装体に用いるフィルム107aを用意し、フィルム107aを折り曲げる(図6(C))。
[6.外装体の一辺を接着する]
次に、折り曲げたフィルム107aで、正極111a、正極リード121、負極115a、負極リード125を挟む。そして、フィルム107aの一辺(図7(A)における領域107d)において、フィルム107a同士を接着する(図7(A))。接着は、例えば熱溶着により行うことができる。なお、図7および図8では、図を簡略にするため、フィルム107aおよび外装体107の凹凸を省略して示している。
[7.外装体の他の一辺を接着し、電解液を注入する]
次に、フィルム107aの他の一辺(図7(B)における領域107d)において、フィルム107a同士を接着する。そして、フィルム107aが接着されていない部分から、フィルム107aで挟まれた領域に、電解液104を注入する(図7(B))。
[8.封止する]
そして真空引きを行いながら、加熱および加圧によりフィルム107aの残りの辺(図7(C)における領域107d)を接着し、フィルム107aを封止された外装体107とする(図7(C))。これらの操作は、グローブボックスを用いるなどして酸素や水を排除した環境にて行う。真空引きは、脱気シーラー、注液シーラー等を用いて行う。またシーラーが有する加熱可能な2本のバーで挟むことにより、加熱および加圧を行うことができる。それぞれの条件は、例えば真空度は60kPa、加熱は190℃、加圧は0.1MPaにおいて3秒とすることができる。このとき、フィルム107aの上から正極および負極を加圧する。加圧により、電解液注入の際に混入した気泡を正極と負極の間から排除することができる。
[9.エージング]
次に、エージングの充放電を行うことが好ましい。本明細書等において、エージングとは、二次電池の製造後の初期不良を検出するため、また初期の充放電で負極活物質表面に安定な被膜を形成させるために行う工程をいう。具体的には、電池使用温度範囲の上限に近い温度で、長時間充電状態で保持する、1サイクル以上の充放電を伴う、等の工程である。さらに、外装体107で覆われた領域に発生したガスを抜く工程を二次電池の製造工程に含めてもよい。
初期の充放電で負極活物質表面に安定な被膜を形成することで、その後の充放電における、さらなる被膜の形成に起因するキャリアイオンの消費を抑止することができる。そのためエージングを行うことで、二次電池の性能をより安定させ、不良セルを選別することができる。
本実施の形態では、1サイクル以上の充放電を行った後、図8(A)に示すように外装体107の一部を切り取ってガスを抜くこととする。
[10.再封止]
次に、エージングの際に切り取られた外装体107の一辺(図8(B)における領域107d)を再び封止する(図8(B))。上記の工程で、二次電池100aを作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図9、図10および図21を用いて本発明の一態様に係る二次電池に用いることのできる材料の詳細について説明する。
[1.正極]
正極111(正極111aおよび正極111b)は、正極集電体101と、正極集電体101上に形成された正極活物質層102などにより構成される。
正極集電体101には、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性が高く、正極の電位で溶出しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体101は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。正極集電体101は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、正極集電体101の表面に、グラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
正極活物質層102は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、正極活物質層102の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
正極活物質層102に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を用いる。
特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であること、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMxO2(M=Co、Al等))を混合すると、これを用いた二次電池の特性を向上させることができ好ましい。
また、正極活物質として、組成式LiaMnbMcOdで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP−MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするために、組成式がLiaMnbNicOd(1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3)の範囲とすることが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表されるが、この組成からずれることもある。
結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物の粒子の断面図の例を図9に示す。
図9(A)に示すように、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物は、第1の領域331と、第2の領域332と、第3の領域333を有することが好ましい。第2の領域332は、第1の領域331の外側の少なくとも一部に接する。ここで、外側とは、粒子の表面により近いことを示す。また、第3の領域333は、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子の、表面と一致する領域を有することが好ましい。
また、図9(B)に示すように、第1の領域331は、第2の領域332に覆われない領域を有する場合がある。また、第2の領域332は、第3の領域333に覆われない領域を有する場合がある。また、例えば第1の領域331に第3の領域333が接する領域を有する場合がある。また、第1の領域331は、第2の領域332および第3の領域333のいずれにも覆われない領域を有する場合がある。
第2の領域332は、第1の領域331と異なる組成を有することが好ましい。
例えば、第1の領域331と第2の領域332の組成を分けて測定し、第1の領域331がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、第2の領域332がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、第1の領域331のリチウム、マンガン、元素M、および酸素の原子数比はa1:b1:c1:d1で表され、第2の領域332のリチウム、マンガン、元素M、および酸素の原子数比はa2:b2:c2:d2で表される場合について説明する。なお、第1の領域331と第2の領域332のそれぞれの組成は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)を用いたEDX(エネルギー分散型X線分析法)で測定することができる。EDXを用いた測定では、リチウムの組成の測定が困難な場合がある。そのため、以下では、第1の領域331と第2の領域332の組成の違いは、リチウム以外の元素について述べる。ここで、d1/(b1+c1)は2.2以上が好ましく、2.3以上であることがより好ましく、2.35以上3以下であることがさらに好ましい。また、d2/(b2+c2)は2.2未満であることが好ましく、2.1未満であることがより好ましく、1.1以上1.9以下であることがさらに好ましい。またこの場合でも、第1の領域331と第2の領域332を含むリチウムマンガン複合酸化物粒子全体の組成は、前述の0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。
また、第2の領域332が有するマンガンは、第1の領域331が有するマンガンと異なる価数を有してもよい。また、第2の領域332が有する元素Mは、第1の領域331が有する元素Mと異なる価数を有してもよい。
より具体的には、第1の領域331は、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。また第2の領域332は、スピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。
ここで、各領域の組成や、元素の価数に空間的な分布がある場合には、例えば複数の箇所についてその組成や価数を評価し、その平均値を算出し、該領域の組成や価数とする。
また、第2の領域332と第1の領域331との間に、遷移層を有する場合がある。ここで遷移層とは、例えば組成が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶構造が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶の格子定数が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、第2の領域332と第1の領域331との間に、混合層を有する場合がある。ここで混合層とは、例えば異なる結晶方位を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる結晶構造を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる組成を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。
第3の領域333には、炭素または金属化合物を用いることができる。ここで、金属としては例えばコバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、亜鉛、リチウム等が挙げられる。金属化合物の一例として、第3の領域333はこれらの金属との酸化物や、フッ化物などを有する構成としてもよい。
第3の領域333は、特に、炭素を有することが好ましい。炭素は導電性が高いため、炭素で被覆された粒子を二次電池の電極に用いることにより、例えば電極の抵抗を低くすることができる。また、第3の領域333が炭素を有することで、第3の領域333と接する第2の領域332を酸化することができる。また、第3の領域333はグラフェン、酸化グラフェン、または、還元した酸化グラフェンを有する構成としてもよい。グラフェンおよび還元された酸化グラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、および柔軟性並びに機械的強度が高いという優れた物理特性を有する。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子を効率よく被覆することができる。
第3の領域333が、グラフェンをはじめとする炭素を有することで、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた二次電池の、サイクル特性を向上させることができる。
炭素を含む層の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。
また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。また比表面積が5m2/g以上15m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察、またはレーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。
または、正極活物質として、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
または、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いる。例えば、NaFeO2や、Na2/3[Fe1/2Mn1/2]O2などのナトリウム含有層状酸化物を正極活物質として用いることができる。
なお、図示しないが、正極活物質層102の表面に炭素層などの導電性材料を設けてもよい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。例えば、正極活物質層102への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合することで形成することができる。
粒状の正極活物質層102の一次粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下のものを用いる。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いることもできる。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラフェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPSで測定した場合にグラフェン全体の2atomic%以上11atomic%以下、好ましくは3atomic%以上10atomic%以下である。
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用いることが、特に好ましい。
以下では、正極活物質層に、導電助剤としてグラフェンを用いる場合の断面構成例を説明する。なお、負極活物質層に導電助剤としてグラフェンを用いてもよい。
図10(A)に、正極活物質層102および正極集電体101の縦断面図を示す。正極活物質層102は、粒状の正極活物質322と、導電助剤としてのグラフェン321と、結着剤(バインダともいう。図示せず)と、を含む。
正極活物質層102の縦断面においては、図10(A)に示すように、正極活物質層102の内部において概略均一にシート状のグラフェン321が、面接触する程度に正極活物質を覆っている。図10(A)においてはグラフェン321を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する薄膜である。複数のグラフェン321は、複数の粒状の正極活物質322を包むように、覆うように、あるいは複数の粒状の正極活物質322の表面上に貼り付くように形成されているため、互いに面接触している。また、グラフェン321どうしも互いに面接触することで、複数のグラフェン321により三次元的な電気伝導のネットワークを形成している。
これはグラフェン321の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、正極活物質層102に残留するグラフェン321は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に正極活物質を覆うことで電気伝導の経路を形成している。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン321は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の正極活物質322とグラフェン321との電気伝導性を向上させることができる。よって、正極活物質322の正極活物質層102における比率を増加させることができる。これにより、二次電池の放電容量を増加させることができる。
また、グラフェン同士が結合することにより、網目状のグラフェン(以下グラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラフェンネットは粒子間を結合するバインダとしても機能することができる。よって、バインダの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるため、電極体積や電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、二次電池の容量を増加させることができる。
上記のような、正極活物質層または負極活物質層に、導電助剤としてグラフェンを用いる構成は、湾曲または可撓性を有する二次電池において特に有効である。
図21(A)に、従来例として、導電助剤にアセチレンブラックをはじめとする粒子状の導電助剤323を用いた場合の正極活物質層102および正極集電体101の縦断面図を示す。正極活物質322同士は、粒子状の導電助剤323との接触によって電気伝導のネットワークが形成されている。
図21(B)に、図21(A)の正極活物質層102および正極集電体101を湾曲させた場合を示す。図21(B)のように、導電助剤に粒子状の導電助剤323を用いると、正極活物質層102の湾曲に伴って、正極活物質322同士の距離が変化し、正極活物質322同士の電気伝導のネットワークの一部が切れてしまう恐れがある。
一方、導電助剤としてグラフェンを用いた図10(A)の正極活物質層102および正極集電体101を湾曲させた場合を図10(B)に示す。グラフェンは柔軟性を有するシートであるため、図10(B)のように正極活物質層102の湾曲に伴って、正極活物質322同士の距離が変化しても、電気伝導のネットワークを維持することができる。
本発明の一態様の二次電池に用いる電極は様々な方法で作製することができる。例えば、塗布法を用いて集電体上に活物質層を形成する場合は、活物質とバインダと導電助剤と分散媒(溶媒ともいう)を混合してペーストを作製し、集電体上にペーストを塗布して、分散媒を気化させればよい。その後、必要があれば、ロールプレス法や平板プレス法等の圧縮方法によりプレスして圧密化してもよい。
分散媒としては、例えば、水や、N−メチルピロリドン(NMP)やジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶媒等を用いることができる。安全性とコストの観点から、水を用いることが好ましい。
バインダとしては、例えば水溶性の高分子を含むことが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。
また、バインダとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。これらのゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
バインダは上記のうち二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
正極活物質層102の総量に対するバインダの含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。また、正極活物質層102の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
塗布法を用いて正極活物質層102を形成する場合は、正極活物質とバインダと導電助剤を混合して正極用のペースト(スラリー)を作製し、正極集電体101上に塗布して乾燥させる。
[2.負極]負極115(負極115aおよび負極115b)は、負極集電体105と、負極集電体105上に形成された負極活物質層106などにより構成される。
負極集電体105には、ステンレス、金、白金、鉄、銅、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。負極集電体105は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体105は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いる。また、負極集電体105の表面に、グラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
なお、負極集電体の材料をステンレス、チタンなどの強度のあるものとすると、負極活物質層の膨張に伴う負極集電体の変形に耐えることができ、好ましい。これは、負極活物質として、ケイ素を含む材料をはじめとする充放電に伴う体積の変化が大きい材料を用いる場合に特に好適である。
負極活物質層106は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、負極活物質層106の導電性を高めるための導電助剤等を有する場合がある。負極活物質層に用いるバインダおよび導電助剤の材料は、正極活物質層に用いるバインダおよび導電助剤の材料を参酌することができる。
負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオンとの可逆的な反応が可能な材料を用いることができ、リチウム金属、炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して−3.045V)、重量及び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm3)ため、好ましい。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1〜0.3V vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
また、負極活物質には上述の炭素材の他、キャリアイオンとの合金化、脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な合金系材料を用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、及びIn等のうちの少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元素を用いた合金系材料としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。
なお、SiOとは、ケイ素酸化物の粉末を指しており、SiOy(2>y>0)とも表記できる。SiOは、ケイ素リッチの部分を含んでいてもよい。例えばSiOは、Si2O3、Si3O4、またはSi2Oから選ばれた単数または複数を含む材料や、Siの粉末と二酸化ケイ素SiO2の混合物も含む。また、SiOは他の元素(炭素、窒素、鉄、アルミニウム、銅、チタン、カルシウム、マンガンなど)を含む場合もある。即ち、単結晶Si、アモルファスSi、多結晶Si、Si2O3、Si3O4、Si2O、SiO2から選ばれる複数を含む材料を指しており、SiOは有色材料である。SiOではないSiOx(Xは2以上)であれば無色透明、或いは白色であり、区別することができる。ただし、二次電池の材料としてSiOを用いて二次電池を作製した後、充放電を繰り返すなどによって、SiOが酸化した場合には、SiO2に変質する場合もある。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いる。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物でも起こる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用いることもできる。
塗布法を用いて負極活物質層106を形成する場合は、負極活物質と結着剤を混合して負極ペースト(スラリー)を作製し、負極集電体105上に塗布して乾燥させる。
また、負極活物質層106の表面に、グラフェンを形成することができる。例えば、負極活物質をシリコンとした場合、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵・放出に伴う体積の変化が大きいため、負極集電体105と負極活物質層106との密着性が低下し、充放電により電池特性が劣化してしまう。そこで、シリコンを含む負極活物質層106の表面にグラフェンを形成すると、充放電サイクルにおいて、シリコンの体積が変化したとしても、負極集電体105と負極活物質層106との密着性の低下を抑制することができ、電池特性の劣化が低減されるため好ましい。
また、負極活物質層106の表面に、酸化物等の被膜を形成することができる。充電時において電解液の分解等により形成される被膜は、その形成時に消費された電荷量を放出することができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜をあらかじめ負極活物質層106の表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することができる。
このような負極活物質層106を被覆する被膜には、ニオブ、チタン、バナジウム、タンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含む酸化膜を用いることができる。このような被膜は、従来の電解液の分解生成物により負極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
例えば、酸化ニオブ(Nb2O5)は、電気伝導度が10−9S/cmと低く、高い絶縁性を示す。このため、酸化ニオブ膜は負極活物質と電解液との電気化学的な分解反応を阻害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10−9cm2/secであり、高いリチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能である。また、負極活物質層106を被覆する被膜として酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いることができる。
負極活物質層106を被覆する被膜の形成には、例えばゾル−ゲル法を用いることができる。ゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応・重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法である。ゾル−ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に混合することができる。このため、溶媒の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、負極活物質層106の表面に被膜を形成することができる。当該被膜を用いることで、二次電池の容量の低下を防止することができる。
[3.セパレータ]
セパレータ103を形成するための材料として、セルロースや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の多孔性絶縁体を用いることができる。また、ガラス繊維等の不織布や、ガラス繊維と高分子繊維を複合した隔膜を用いることができる。また、耐熱性を高めるために、ポリエステル不織布に、セラミック塗布やアラミドのコーティングを行ったセパレータを用いてもよい。
[4.電解液]二次電池100aに用いる電解液104の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、二次電池に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。また、電解液にビニレンカーボネートなどの添加剤を加えてもよい。
[5.外装体]
二次電池の構造としては、様々な構造があるが、本実施の形態では、外装体107の形成にフィルムを用いる。なかでも金属箔にプラスティックフィルムを積層した、金属箔ラミネートフィルムは、熱圧着することで封止が可能であり、形状の自由度が高く、軽量である、可撓性を有するといった利点があり好ましい。金属箔ラミネートフィルムが有する金属箔の材料としては、アルミニウム、ステンレス、錫、ニッケル鋼などを用いることができる。該金属箔に積層するプラスティックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン等を用いることができる。
なお本明細書等において、ラミネートとは、金属箔やプラスティックフィルム等の薄い材料を貼りあわせて積層する加工法をいうこととする。
また外装体107に用いるフィルムとしては、金属箔に、有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブリッド材料フィルム、炭素含有無機フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルムなど)から選ばれる単層フィルムまたはこれら複数からなる積層フィルムを積層したものを用いる場合がある。
また、外装体107はエンボス加工等により、凹部、凸部、または凹部および凸部が形成されていることが好ましい。
金属箔を有するフィルムは、エンボス加工を行いやすく、エンボス加工を行って凹部または凸部を形成すると外気に触れる外装体107の表面積が増大するため、放熱効果に優れている。
また、外部から力を加えて二次電池100の形状を変化させた場合、二次電池100の外装体107のうち、曲げ中心から近い内側の外装体107には圧縮応力がかかり、曲げ中心から遠い外側の外装体107には引っ張り応力がかかる。これらの応力によって外装体がひずみ、外装体107の一部が変形または一部破壊が生じる恐れがある。外部から力を加えて二次電池100の形状を変化させた場合、一軸方向に湾曲を有する二次電池と言える。なお、ここで湾曲方向とは、図1(B)の一点破線A1−A2に示すように、二次電池を湾曲させた際の端部を結ぶ方向を指す。本明細書中では、二次電池の端部を結ぶ直線の中心を曲げ中心と呼ぶ。
外装体107にエンボス加工等で凹部または凸部を形成することにより、外装体107の沿面距離を増大させ、単位長さ当たりの圧縮応力および引っ張り応力を緩和することができる。よって、二次電池100の信頼性を高めることができる。
なお、ひずみとは物体の基準(初期状態)長さに対する物体内の物質点の変位を示す変形の尺度である。外装体107に凹部または凸部を形成することにより、二次電池の外部から力を加えて生じるひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる、とも言うことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
[1.電極部の変形例1]図11(A)に、図1と異なる正極111と負極115の積層の例を示す。図11(A)では、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111を2枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106を有する負極115を4枚積層している。図11(A)のような構成としても、負極115の負極活物質を有さない面同士という、金属同士の接触面をつくることができる。
[2.電極部の変形例2]
図11(B)に、図1と異なる正極111と負極115の積層の例を示す。図11(B)では、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111を2枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106を有する負極115を2枚、負極集電体105の両面に負極活物質層106を有する負極115を1枚積層している。図11(B)のように集電体の両面に活物質層を設けることで、二次電池100の単位体積あたりの容量を大きくすることができる。
[3.電極部の変形例3]
図11(C)に、図1と異なる正極111と負極115の積層の例を示す。図11(C)では、電解液104としてポリマーを有する電解液を用い、一組の正極111、負極115、セパレータ103を電解液104で貼りあわせている。このような構成とすることで、二次電池100を湾曲したとき、電池反応が行われる正極111と負極115の間が滑ることを抑制できる。
また、正極111の正極活物質を有さない面同士、および負極115の負極活物質を有さない面同士という、金属同士の接触面を多くつくることができる。そのため二次電池100を湾曲したとき、これらの接触面がすべることで、湾曲の内径と外径の差により生じる応力を逃がすことができる。
そのため、より二次電池100の劣化を抑制することができる。また、より信頼性の高い二次電池100とすることができる。
図11(C)の例で電解液104が有するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド系、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系ポリマーを用いることができる。また、常温(例えば25℃)で電解液104をゲル化できるポリマーを用いることが好ましい。なお本明細書等において、例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーとは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むポリマーを意味し、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体等を含む。
なおFT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)等を用いることで、上記のポリマーを定性分析することができる。例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C−F結合を示す吸収を有する。またポリアクリロニトリル系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C≡N結合を示す吸収を有する。
なお正極111および負極115の積層方法以外は、図1についての説明の記載を参酌することができる。
[4.セパレータ形状等の変形例1]
図12に、図1と異なる二次電池100cを示す。図12(A)は二次電池100cの上面図である。図12(B)は、図12(A)の一点破線B1−B2における断面図である。図12(C)は、二次電池100cの正極111b、負極115bおよびセパレータ103を抜粋して示した斜視図である。
図12に示す二次電池100cは、主に正極111と負極115の配置、およびセパレータ103の形状が、図1の二次電池100aと異なる。
ここで、図13を用いて、図12に示す二次電池100cの作製方法の一部について説明する。
まず、図13(A)に示すように、繰り返し折り曲げたセパレータ103の間に、正極111bおよび負極115bを交互に挟む。このとき、負極115bが有する負極活物質層106が、セパレータ103と重畳するように配置する。同様に、正極111bが有する正極活物質層102が、セパレータ103と重畳するように配置する。なお、集電体の片面に活物質層が形成されている電極を用いる場合は、正極111bの正極活物質層102と、負極115bの負極活物質層106がセパレータ103を介して対向するように配置する。
次に、図13(B)に示すように、セパレータ103で複数の正極111bおよび複数の負極115bを覆う。
さらに、セパレータ103同士が重畳している領域、例えば図13(B)に示す領域103bを熱溶着することで、複数の正極111bと複数の負極115bを、セパレータ103によって覆い、結束する。
なお、複数の正極111b、複数の負極115bおよびセパレータ103を、結束材を用いて結束する。
このような工程で正極111bおよび負極115bを積み重ねるため、セパレータ103は、1枚のセパレータ103の中で、複数の正極111bと複数の負極115bに挟まれている領域と、複数の正極111bと複数の負極115bを覆うように配置されている領域とを有する。
換言すれば、図12の二次電池100cが有するセパレータ103は、一部が折りたたまれた1枚のセパレータである。セパレータ103の折りたたまれた領域に、複数の正極111bと、複数の負極115bが挟まれている。
二次電池100cの、セパレータ103の形状以外の構成は、図1についての記載を参酌することができる。
[5.セパレータ形状等の変形例2]
図14に、図12と異なる二次電池100dを示す。図14(A)は二次電池100dの上面図である。図14(B1)は第1の電極組立体130、図14(B2)は第2の電極組立体131の断面図である。図14(C)は、図14(A)の一点破線C1−C2における断面図である。なお、図14(C)では図を明瞭にするため、第1の電極組立体130、第2の電極組立体131およびセパレータ103を抜粋して示す。
図14に示す二次電池100dは、正極111と負極115の配置、およびセパレータ103の配置が図12の二次電池100cと異なる。
図14(C)に示すように、二次電池100dは、複数の第1の電極組立体130および複数の第2の電極組立体131を有する。
図14(B1)に示すように、第1の電極組立体130では、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極111b、セパレータ103、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極115b、セパレータ103、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極111bがこの順に積層されている。また図14(B2)に示すように、第2の電極組立体131では、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極115b、セパレータ103、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極111b、セパレータ103、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極115bがこの順に積層されている。
さらに図14(C)に示すように、複数の第1の電極組立体130および複数の第2の電極組立体131は、巻回したセパレータ103によって覆われている。換言すれば、複数の第1の電極組立体130および複数の第2の電極組立体131は、渦巻き状に巻回されたセパレータ103の間に配置されている。
なお、最も外側に配置される第1の電極組立体130の正極111bは、外側には正極活物質層を設けないことが好ましい。
また図14(B1)および(B2)では、電極組立体が電極3枚とセパレータ2枚を有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。電極を4枚以上、セパレータを3枚以上有する構成としてもよい。電極を増やすことで、二次電池100dの容量をより向上させることができる。また電極を2枚、セパレータを1枚有する構成としてもよい。電極が少ない場合、より湾曲しやすい二次電池100dとすることができる。また図14(C)では、二次電池100dが第1の電極組立体130を3組、第2の電極組立体131を2組有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。さらに多くの電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体を増やすことで、二次電池100dの容量をより向上させることができる。またより少ない電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体が少ない場合、より湾曲しやすい二次電池100dとすることができる。
二次電池100dの、正極111と負極115の配置、およびセパレータ103の配置の他は、図12についての記載を参酌することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。また本実施の形態の変形例は、他の変形例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
可撓性を有する二次電池を、腕章型の電子機器に実装する例を図15に示す。図15に示す腕章型デバイス7300は、腕7301に装着することが可能であり、曲面を有する表示部と、曲げることのできる二次電池とを有する。
なお、表示部において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示モジュール、表示装置、発光素子又は発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、または、カーボンナノチューブを用いた表示素子、などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有する場合がある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
さらに、腕章型デバイス7300は機能素子を1つまたは複数有することが好ましく、例えばセンサとして、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。また、タッチパネル、アンテナ、発電素子、スピーカなどの機能素子を有してもよい。
例えば、夜間において腕章型デバイス7300を使用者の腕に装着して表示部を発光させれば、交通の安全効果が得られる。また、軍人や警備員などが上腕部に腕章型デバイス7300を装着し、ほふく前進を行いながら、上官の指示をリアルタイムで受信して上腕部の腕章型デバイス7300の表示部に表示された表示を確認することができる。軍人や警備員が作業を実行する上で頭部にヘルメットをかぶり、両手には武器や道具を有しており、無線器や携帯電話や頭部に装着するデバイスでは使用が困難である。軍人や警備員が上腕部に腕章型デバイス7300を装着し、両手がふさがったままでもマイクなどの音声入力部への音声入力などによって腕章型デバイス7300の操作を行えることは有用である。
また、スポーツ分野においても腕章型デバイス7300を有用に使用できる。例えば、マラソンなどの場合、選手は時間を腕時計で確認するが、腕の振りを一度止めないと時間を確認することが困難である。腕の振りを止めてしまうとリズムが乱れ、競技に支障をきたすおそれがある。腕章型デバイス7300は、上腕部に装着することで、腕の振りを止めなくとも時間表示を可能とし、さらに他の情報(コースの自分の位置情報や、自分の健康状態など)もディスプレイに表示させることができる。さらに、選手が両手を使うことなく音声入力などによって腕章型デバイス7300の操作を行い、通信機能によって、コーチに指示を仰ぎ、その指示をスピーカなどの音声出力部による音声出力や表示によって選手が確認できる機能も備えていると有用である。
また、工事現場等においてもヘルメットを装着した作業者が、腕章型デバイス7300を腕に装着し、操作することで安全に作業を行えるよう通信や他の人の位置情報を容易に取得することができる。
可撓性を有する二次電池をその他の電子機器に実装する例を図16に示す。フレキシブルな形状を備える二次電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える二次電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図16(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407を有している。
図16(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている二次電池7407も湾曲される。また、その時、曲げられた二次電池7407の状態を図16(C)に示す。二次電池7407は薄型の二次電池である。二次電池7407は曲げられた状態で固定されている。なお、二次電池7407は集電体と電気的に接続されたリード電極を有している。
図16(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び二次電池7104を備える。また、図16(E)に曲げられた二次電池7104の状態を示す。二次電池7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して二次電池7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または二次電池7104の主表面の一部または全部が変化する。二次電池7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。
また、湾曲可能な二次電池は、様々な電子機器において空間効率よく搭載することができる。例えば図16(F)に示すストーブ7500は、本体7512にモジュール7511が取り付けられ、モジュール7511は、二次電池7501、モーター、ファン、送風口7511a、熱電発電装置を有する。ストーブ7500では、開口部7512aから燃料を投入、着火した後、二次電池7501の電力を用いてモジュール7511のモーターとファンを回転させ、送風口7511aから外気をストーブ7500の内部に送ることができる。このように外気を効率よく取り込めるため火力の強いストーブとすることが可能である。さらに、燃料の燃焼に得た熱エネルギーを用いて、上部のグリル7513において調理することが可能である。また該熱エネルギーをモジュール7511の熱電発電装置により電力に変換し、二次電池7501に充電することができる。さらに、二次電池7501に充電された電力を外部端子7511bより出力することができる。
図17(A)および図17(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図17(A)および図17(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続するヒンジ部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。図17(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図17(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に二次電池9635を有する。二次電池9635は、ヒンジ部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図17(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図17(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、二次電池9635として、本発明の一態様の二次電池を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた二次電池9635は可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図17(A)および図17(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面又は二面に設けることができ、二次電池9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお二次電池9635としては、本発明の一態様の二次電池を用いると、充放電の繰り返しに伴う放電容量の低下を抑制することができるため、長期にわたって使用することのできるタブレット端末とすることができる。
また、図17(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図17(C)にブロック図を示し説明する。図17(C)には、太陽電池9633、二次電池9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、二次電池9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図17(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、二次電池9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして二次電池9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による二次電池9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、図18に示すウェアラブルデバイスに実施の形態1で説明した二次電池を搭載することができる。
例えば、図18(A)に示す眼鏡型デバイス400に搭載することができる。眼鏡型デバイス400は、フレーム400aと、表示部400bを有する。湾曲を有するフレーム400aのテンプル部に二次電池を搭載することで、重量バランスがよく継続使用時間の長い眼鏡型デバイス400とすることができる。
また、ヘッドセット型デバイス401に搭載することができる。ヘッドセット型デバイス401は、少なくともマイク部401aと、フレキシブルパイプ401bと、イヤフォン部401cを有する。フレキシブルパイプ401b内やイヤフォン部401c内に二次電池を設けることができる。
また、身体に直接取り付け可能なデバイス402に搭載することができる。デバイス402の薄型の筐体402aの中に、二次電池402bを設けることができる。
また、衣服に取り付け可能なデバイス403に搭載することができる。デバイス403の薄型の筐体403aの中に、二次電池403bを設けることができる。
また、腕時計型デバイス405に搭載することができる。腕時計型デバイス405は表示部405aおよびベルト部405bを有し、表示部405aまたはベルト部405bに、二次電池を設けることができる。
また、ベルト型デバイス406に搭載することができる。ベルト型デバイス406は、ベルト部406aおよびワイヤレス給電受電部406bを有し、ベルト部406aの内部に、二次電池を搭載することができる。
また、図18(B1)に示す腕輪型デバイス407に実施の形態1で説明した二次電池を搭載することができる。腕輪型デバイス407は、ケース407aの中に、2つの湾曲した二次電池407bを有する。またケース407aの表面には湾曲した表示部407cが設けられている。表示部407cに用いることのできる表示部については、図15の表示部についての記載を参酌することができる。腕輪型デバイス407は、接続部407dとヒンジ部407eを有し、ヒンジ部407eを中心に接続部407dまでを動かすことができる。また接続部407dに設けられた外部端子を介して充電等を行うことができる。
また、図18(B2)に示すウェアラブルデバイス410に実施の形態1で説明した二次電池を搭載することができる。ウェアラブルデバイス410は、本体411の中に、湾曲した二次電池412とセンサ部413を有する。またウェアラブルデバイス410は、表示部415とバンド部414を有し、例えば手首に着用することができる。表示部415に用いることのできる表示部については、図15の表示部についての記載を参酌することができる。表示部415には、図18(B2)に示すように時刻をはじめとして、メールや電話の着信情報等、様々な情報を表示することができる。
また、腕時計型デバイス405およびウェアラブルデバイス410は、腕に直接巻きつけるタイプのウェアラブルデバイスであるため、使用者の脈拍、血圧等を測定するセンサを搭載してもよい。使用者の運動量および健康に関するデータを蓄積し、健康維持に役立てることができる。
さらに、上述の腕章型デバイス7300、携帯電話機7400、携帯表示装置7100、タブレット型端末9600、ベルト型デバイス406、腕時計型デバイス405、腕輪型デバイス407およびウェアラブルデバイス410をはじめとする、持ち歩くことのできるデバイスには、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)等の測位システムを搭載してもよい。使用者が自分の現在位置を知ることができるだけでなく、児童誘拐や徘徊行動等への対応に役立てることもできる。
図19に、他の電子機器の例を示す。図19において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る二次電池8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る二次電池8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図19において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。図19では、二次電池8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図19では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図19において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。図19では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に二次電池8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図19では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有するエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
図19において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。図19では、二次電池8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、車両に実施の形態1で説明した二次電池を搭載する例を示す。
また、二次電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図20において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。図20(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図20(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図20(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された二次電池に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、図22から図27を用いて、応力緩和領域の割合を変えて、電極にかかる応力を計算した結果について説明する。
科学計算のソフトは、ANSYS Mechanical APDL 14.0を用いた。計算条件としては、電極材料:アルミニウム(ヤング率 7.03×1010 Pa、ポワッソン比 0.345)、要素タイプ:187(3 次元 10 節点四面体ソリッド)、分割数:20とした。
図22を用いて、計算に用いた電極のモデルについて説明する。図22(A)に示すように、封止領域の長さをLsとした。また内部領域におけるリードの長さおよびリードと重なっていない電極の長さの和をL1とした。また応力緩和領域の長さ(ここでは内部領域におけるリードの長さおよびリードと重なっていない電極タブの長さの和)をL2とした。また電極のタブの幅をWt、電極の最大幅をW1とした。
そして図22(B)に示すように、Ls=12mm、L1=50mm、Wt=9mm、W1=41mm、厚さを0.2mm(図示せず)、L2を変数とした。また封止領域の一方の端部に相当する部分1001を面で固定し、封止領域の他方の端部に相当する部分1002をy軸方向のみ動かないように固定した。なお、y軸方向とは、図22(A)の紙面に垂直な向きである。そして封止領域と最も離れた電極端部に相当する部分1003を、y軸方向に1mm下に変位を与えた場合、即ち電極端部を基準面からマイナス1mmとした場合について、電極にかかる応力の分布と、応力の最大値を求めた。
図23乃至図26に電極にかかる応力の分布の計算結果を示す。図23(A)がL2/L1=0%の場合であり、最大応力3.21×107Paとなった。図23(B)がL2/L1=10%の場合であり、最大応力3.10×107Paとなった。図24(A)がL2/L1=20%の場合であり、最大応力2.17×107Paとなった。図24(B)がL2/L1=25%の場合であり、最大応力1.93×107Paとなった。図25(A)がL2/L1=30%の場合であり、最大応力1.31×107Paとなった。図25(B)がL2/L1=40%の場合であり、最大応力1.03×107Paとなった。図26がL2/L1=50%の場合であり、最大応力1.93×106Paとなった。
図27に応力緩和領域の割合と最大応力の関係のグラフを示す。図27に示すように、L2/L1=20%以上であると、電極にかかる応力を緩和できることが明らかとなった。特に、L2/L1=30%以上であると、L2/L1=0%の場合と比較して電極にかかる応力を半分以下に緩和できることが明らかとなった。
実施例1ではアルミニウムの例を示したが、本実施例では、銅(Cu)とチタン(Ti)を用いる例を示す。
科学計算のソフトは、ANSYS Mechanical APDL 14.0を用いた。計算条件としては、電極材料:銅(ヤング率 117.5×109 Pa、ポワッソン比 0.321)とした。電極材料以外の条件は実施例1と同一であるため、ここでは計算条件を省略する。
図28に電極材料を銅とした場合の応力緩和領域の割合と最大応力の関係のグラフを示す。
また、電極材料をチタンとした場合の応力緩和領域の割合と最大応力の関係も図28のグラフに示す。なお、電極材料:チタン(ヤング率 129.8×109 Pa、ポワッソン比 0.343)とした以外は、実施例1と同一であるため、ここでは計算条件を省略する。
本実施例では、電極材料を銅とした場合と、電極材料をチタンとした場合の結果を図28に示したが、図27で示した結果と同じ傾向が見られた。従って、電極材料にかかわらず、L2/L1=20%以上であると、電極にかかる応力を緩和できることが明らかとなった。特に、L2/L1=30%以上であると、L2/L1=0%の場合と比較して電極にかかる応力を半分以下に緩和できることが明らかとなった。