以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本実施の形態に係る紙幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の一例を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図3は、図1に示す紙幣処理機において、下部ユニットに紙幣収納袋および紙幣収納カセットをそれぞれ装着したときの状態を示す概略構成図であり、図4は、図1に示す紙幣処理機の下部ユニットに装着される紙幣収納カセットの構成の一例を示す図である。
本実施の形態による紙幣処理機10は、概してスーパーマーケット等の店舗のフロント領域やバックヤード領域に配置されるものであり、当該紙幣処理機10は、紙幣の入金処理や出金処理、両替処理等の様々な処理を行うことができるようになっている。図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有している。なお、図1における筐体12の左側の面が当該筐体12の前面(すなわち、操作者が対向する面)となっている。また、筐体12の内部には、上部ユニット14および下部ユニット16がそれぞれ当該筐体12の前面から前方(具体的には、図1における左方向)に引き出し可能となるよう収容されている。なお、下部ユニット16は筐体12の前面から前方に引き出される代わりに、筐体12の後面から後方(具体的には、図1における右方向)に引き出し可能となっていてもよい。上部ユニット14において、筐体12の前面上部(図1における左側の面の上部)には、筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等の投入部20が設けられている。また、上部ユニット14において、筐体12の前面(図1における左側の面)における投入部20の下方には、筐体12の内部から外部に紙幣を投出するための投出部22が設けられている。
投入部20には、操作者により当該投入部20に積層状態で載置された紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための紙幣繰出機構20aが設けられている。また、上部ユニット14において、紙幣処理機10の筐体12の内部には、当該筐体12内で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部24が設けられており、紙幣繰出機構20aにより投入部20から繰り出された紙幣は当該搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、搬送部24には識別部26が設けられており、紙幣繰出機構20aにより搬送部24に繰り出された紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別されるようになっている。また、識別部26は例えばイメージセンサを有しており、当該イメージセンサにより撮像される紙幣の画像に基づいて当該紙幣の記番号が取得されるようになっている。そして、識別部26により取得された紙幣の記番号に係る情報は後述する記憶部54に記憶されるようになっている。このようにして、後述するパウチ袋等の紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36、収納繰出部30等に収納された紙幣に対応する記番号が記憶部54に記憶される。
図1に示すように、搬送部24には投出部22が接続されており、搬送部24から投出部22に送られた紙幣は当該投出部22に集積されるようになっている。また、投出部22は筐体12の外部からアクセス可能となっており、操作者は投出部22に集積された紙幣を筐体12の前面から取り出すことができるようになっている。また、搬送部24における投出部22との接続箇所には羽根車22aが設けられており、当該羽根車22aは図1における反時計回りの方向に回転するようになっている。そして、搬送部24から投出部22に紙幣が送られる際に、羽根車22aにおける2つの羽根の間に紙幣が挟まれた状態で当該羽根車22aが図1における反時計回りの方向に回転することにより、羽根車22aの2つの羽根の間に挟まれた紙幣は投出部22に整列された状態で集積されるようになる。
また、上部ユニット14において、搬送部24にはテープ式の収納繰出部30が設けられており、搬送部24から収納繰出部30に送られた紙幣が当該収納繰出部30に収納されるとともにこの収納繰出部30に収納されている紙幣を1枚ずつ搬送部24に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、収納繰出部30は正逆両方向に回転可能なドラム30aが設けられており、当該ドラム30aの外周面には一対の帯状のテープ31の一端が接続されている。そして、搬送部24から収納繰出部30に紙幣が送られると、これらの帯状のテープ31により当該紙幣は1枚ずつテープ31ごとドラム30aに巻き取られるようになっている。一方、ドラム30aを逆方向に回転させることにより各テープ31をドラム30aから巻き戻すとドラム30aに巻き取られている紙幣も各テープ31から放出されて搬送部24に繰り出されるようになる。
また、下部ユニット16には、パウチ袋等の紙幣収納袋34を装着可能な装着部32が並列に複数(図1に示す例では2つ)設けられている。各装着部32にはそれぞれ一対の保持部材32aが互いに対向するよう離間して設けられており、紙幣収納袋34の開口近傍における互いに対向する2つの箇所が各保持部材32aによりそれぞれ保持されるようになっている。ここで、一方の保持部材32aはその位置が固定されているのに対し、他方の保持部材32aは一方の保持部材32aに向かって移動することができるようになっている。また、これらの保持部材32aには加熱部材が設けられている。そして、装着部32に装着された紙幣収納袋34に紙幣が収納された後、他方の保持部材32aが一方の保持部材32aに向かって移動してこれらの保持部材32aが互いに接合した状態で、加熱部材によって紙幣収納袋34の開口近傍の箇所に熱が与えられることにより当該紙幣収納袋34の開口はヒートシール(熱密封)されるようになっている。なお、各装着部32において、一対の保持部材32aのうちある1つの保持部材32aが他の保持部材32aに向かって移動する代わりに、両方の保持部材32aがそれぞれ他の保持部材32aに向かって移動してこれらの保持部材32aが互いに接合するようになっていてもよい。
また、図1では図示していないが、各装着部32において一対の保持部材32aの上方には、搬送部24から送られた紙幣を一時的に保持するための一時保留部と、一時保留部に一時的に保留される紙幣を紙幣収納袋34の内部に押し込む押し込み板とがそれぞれ設けられている。具体的には、搬送部24から各装着部32に送られた紙幣は一時保留部に積層状態で集積されるようになっており、一時保留部に積層状態で集積された紙幣を紙幣収納袋34に収納させる際には押し込み板が下方に移動することによってこの一時保留部に集積されている紙幣が下方に押されて紙幣収納袋34の内部に送られるようになっている。また、紙幣収納袋34に所定枚数の紙幣が収納されると、押し込み板が下方に移動して紙幣収納袋34の内部に進入し、この押し込み板によって紙幣収納袋34に収納されている紙幣が下方に押し込まれて圧縮されるようになっている。
また、操作者は、下部ユニット16を筐体12の前面から前方(すなわち、図1における左方向)に引き出すことによって、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外したり空の紙幣収納袋34を装着部32に装着させたりすることができるようになっている。
また、上部ユニット14において、搬送部24からは各装着部32に対応して複数(図1に示す例では2つ)の分岐搬送部25が分岐しており、搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられた紙幣が当該分岐搬送部25から各装着部32に装着された紙幣収納袋34に送られて当該紙幣収納袋34に収納されるようになっている。
なお、本実施の形態の紙幣処理機10では、下部ユニット16は金庫に収容されており、特定の権限を有する者(例えば、下部ユニット16から紙幣収納袋34を回収する警送会社の警備員等)のみが当該金庫の扉を開いて下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことができるようになっている。あるいは、店舗の責任者のみが金庫の扉を開いて下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の紙幣処理機10には、当該紙幣処理機10の各構成部材の制御を行う制御部50が設けられている。より詳細には、図2に示すように、制御部50には、投入部20に設けられた紙幣繰出機構20a、投出部22に設けられた羽根車22aを駆動するための羽根車駆動部22b、搬送部24、分岐搬送部25、識別部26、収納繰出部30、装着部32等がそれぞれ通信可能に接続されている。そして、識別部26による紙幣の識別結果に係る信号が制御部50に送られるとともに、制御部50は紙幣処理機10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図2に示すように、制御部50には操作表示部52、記憶部54、印字部56および通信インターフェース部58がそれぞれ通信可能に接続されている。図1に示すように、操作表示部52は例えば筐体12の上面に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣処理機10における入金処理や出金処理等の紙幣の処理状況や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が操作表示部52に表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部52を操作することにより制御部50に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、操作者は操作表示部52を操作することにより後述する所定の分類条件を設定することができるようになっていてもよい。
記憶部54には、紙幣処理機10における入金処理や出金処理等の紙幣の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報が記憶されるようになっている。また、上述したように、記憶部54には、パウチ袋等の紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36(後述)、収納繰出部30等に収納された紙幣に対応する記番号が記憶されるようになっている。また、印字部56は、紙幣処理機10における入金処理や出金処理等の紙幣の処理履歴や、各紙幣収納袋34に収納されている紙幣の在高等に関する情報をレシート等に印字するようになっている。また、制御部50は通信インターフェース部58を介して本実施の形態による紙幣処理機10とは別に設けられた外部装置(具体的には、例えば上位端末)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。例えば、警送会社の警備員等により紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36(後述)が回収される際に、制御部50はこの紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に関する情報を通信インターフェース部58により警送会社に送信するようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣処理機10の動作について説明する。なお、以下に示すような紙幣処理機10の動作は、制御部50が紙幣処理機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣処理機10において紙幣の入金処理を行う際の動作について説明する。操作者が投入部20に紙幣を投入した後、操作表示部52により入金処理開始の指令を制御部50に与えると、投入部20に投入された紙幣は紙幣繰出機構20aにより1枚ずつ筐体12内に繰り出され、搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになる。そして、搬送部24により搬送される紙幣は識別部26によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、識別部26のイメージセンサにより紙幣が撮像され、この紙幣の画像に基づいて当該紙幣の記番号が取得される。識別部26により取得された紙幣の記番号に係る情報は記憶部54に記憶される。識別部26により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は搬送部24により投出部22に送られ、当該投出部22に集積される。このことにより、操作者は投出部22に集積されたリジェクト紙幣を筐体12の前面から手動で取り出し、投入部20に再投入等することができるようになる。
一方、識別部26により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられ、当該分岐搬送部25から紙幣収納袋34に送られるようになる。ここで、識別部26により識別された紙幣が2つの紙幣収納袋34のうちどちらの紙幣収納袋34に送られるかについての詳細については後述する。
また、識別部26により識別された紙幣が送られるべき紙幣収納袋34がフル状態またはニアフル状態となっており、紙幣収納袋34に紙幣を収納させることができない場合には、識別部26により識別された紙幣は収納繰出部30に送られ、当該収納繰出部30に収納されるようになっている。そして、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34が警送会社の警備員等によって下部ユニット16の装着部32から取り外され、空の紙幣収納袋34が装着部32に装着されると、収納繰出部30から紙幣が1枚ずつ搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により紙幣収納袋34に送られるようになる。
本実施の形態による紙幣処理機10では、制御部50は、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を、予め設定された所定の分類条件に基づいて各紙幣収納袋34に振り分けるよう搬送部24の制御を行うようになっている。ここで、所定の分類条件としては、以下に述べるような様々な条件が挙げられる。これらの様々な条件の例について以下に説明する。
所定の分類条件は、紙幣の正券と、紙幣の損券や偽券とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26により識別された紙幣が正券である場合には、当該紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により識別された紙幣が損券や偽券である場合には、当該紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、補充用の紙幣と、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣とに分類分けするような条件であってもよい。ここで、補充用の紙幣とは、本実施の形態による紙幣処理機10が設置された店舗内でリサイクルされるべき紙幣のことをいい、具体的には、当該店舗内に設置された現金自動預け払い機(ATM)、銀行窓口用紙幣入出金機(TCR)、レジ釣銭機、後方入出金機等の装置に補充されるべき紙幣のことをいう。また、所定の分類条件において補充用の紙幣としては概して正券が指定されるようになる。本実施の形態では、識別部26により紙幣が識別されたときに、補充用の紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。また、本実施の形態では、所定の分類条件として、補充用の紙幣(正券)について特定の金種のみを指定して補充用の紙幣の設定を行うようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、自店の店舗の精算に用いられるべき紙幣と、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26により紙幣が識別されたときに、自店の店舗の精算に用いられるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、店舗の当日分の精算に用いられるべき紙幣と、店舗の翌日分の精算に用いられるべき紙幣とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26により紙幣が識別されたときに、店舗の当日分の精算に用いられるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、店舗の翌日分の精算に用いられるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、入金確定済(締め済み)の紙幣と、締め処理後に入金された紙幣との分類分けするような条件であってもよい。ここで、後者の「締め処理後に入金された紙幣」とは、当日の売上入金が確定した後で、その日のうちに紙幣処理機10に入金された売上金としての紙幣のことをいう。本実施の形態では、識別部26により紙幣が識別されたときに、入金確定済(締め済み)の紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、締め処理後に入金された紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、所定の金額よりも高額である高額紙幣と、所定の金額以下である低額紙幣とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26により紙幣が識別されたときに、所定の金額よりも高額である高額紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、所定の金額以下である低額紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、紙幣と、紙幣以外の所定の紙葉類(例えば、商品券や小切手等)とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26が紙幣以外の商品券や小切手等の識別も行うことができるようになっている場合には、識別部26により紙幣であると識別されたものは搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣以外の所定の紙葉類であると識別されたものは搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。なお、識別部26により紙幣や所定の紙葉類ではないと識別されたものは搬送部24により投出部22に送られ、操作者に返却されるようになる。
また、所定の分類条件は、自国または自国に係る組織が発行した紙幣(自国券)と、自国以外の国や組織が発行した紙幣(他国券)とに分類分けするような条件であってもよい。具体的には、識別部26により紙幣が識別されたときに、自国または自国に係る組織が発行した紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により紙幣が識別されたときに、自国以外の国や組織が発行した紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。
また、所定の分類条件は、一回の取引で所定の合計金額(具体的には、保険金額)に到達するまでの紙幣と、一回の取引で所定の合計金額に到達した後の紙幣とに分類分けするような条件であってもよい。より詳細には、識別部26により紙幣が識別されたときに、当該識別部26により一回の取引で今まで識別された紙幣の合計金額が制御部50において管理されるようになっており、識別部26により一回の取引で今まで識別された紙幣の合計金額が所定の保険金額に満たないような紙幣は搬送部24により図1における左側の紙幣収納袋34に送られ、一方、識別部26により一回の取引で今まで識別された紙幣の合計金額が所定の保険金額を超えるような紙幣は搬送部24により図1における右側の紙幣収納袋34に送られるようになっていてもよい。このように紙幣を分類した場合には、所定の保険金額分の紙幣を図1における左側の紙幣収納袋34に収納させることができ、よって所定の保険金額分の紙幣を容易に管理することができるようになる。
以上のように、本実施の形態による紙幣処理機10では、様々な分類条件に基づいて、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を各紙幣収納袋34に振り分けることができるようになる。このことにより、複数の紙幣収納袋34に収納された紙幣を紙幣収納袋34毎に別の用途に用いることができ、また、後処理において紙幣の分類分けを行う必要がないため操作者にとっての作業負担を軽減することができる。なお、本実施の形態による紙幣処理機10では、各紙幣収納袋34への紙幣の振り分けに関する分類条件について、操作表示部52により任意で設定することができるようになっている。また、本実施の形態による紙幣処理機10では、複数(例えば、2つ)の紙幣収納袋34のうち何れかの紙幣収納袋34に収納される紙幣の金額が所定の基準金額(例えば、保険適用金額や規制金額等)に達したら、制御部50は上部ユニット14の搬送部24からこの紙幣収納袋34に紙幣を送ることを禁止し、他の紙幣収納袋34に紙幣を送るよう制御を行う。
また、紙幣収納袋34として、大きさが互いに異なるものが下部ユニット16の装着部32に装着可能となっていてもよい。例えば、本実施の形態による紙幣処理機10から警送会社の警備員等が紙幣収納袋34を回収する際に大型車や小型車を用いることがあるが、大型車に対応するようなサイズが比較的大きい紙幣収納袋34および小型車に対応するようなサイズが比較的小さい紙幣収納袋34がそれぞれ下部ユニット16の各装着部32に装着可能となっていてもよい。この場合、大型車用の紙幣収納袋34の基準金額は、小型車用の紙幣収納袋34の基準金額よりも大きくなる。このため、操作者は操作表示部52により制御部50に対して各装着部32に装着される紙幣収納袋34の基準金額を紙幣収納袋34毎に入力することができるようにすることが好ましい。この場合には、紙幣収納袋34毎に割り当てられた基準金額に基づいて、制御部50は上部ユニット14の搬送部24から各紙幣収納袋34に紙幣を送るようになる。また、大型車や小型車等に関する運搬車の情報の代わりに、各店舗からの紙幣収納袋34の回収ルートに基づいて、各装着部32に装着される紙幣収納袋34のサイズが決められるようになっていてもよい。
なお、本実施の形態による紙幣処理機10は、図1に示すように下部ユニット16に2つの紙幣収納袋34が装着されるような構成のものに限定されることはない。本実施の形態による紙幣処理機10として、図3に示すように下部ユニット16に1つの紙幣収納袋34および1つの紙幣収納カセット36が並列に装着されるような構成のものが用いられてもよい。図3に示すような紙幣処理機10において、下部ユニット16に装着される紙幣収納カセット36は、上部ユニット14の搬送部24から分岐搬送部25に分岐させられた紙幣が当該分岐搬送部25から送られるようになっており、この紙幣収納カセット36には紙幣が積層状態で収納されるようになっている。より詳細には、紙幣収納カセット36の内部には昇降自在となっているステージ36mが設けられており、分岐搬送部25から紙幣収納カセット36に送られた紙幣はステージ36m上に積層状態で集積されるようになっている。また、紙幣収納カセット36の上部には紙幣繰出機構36aが設けられており、紙幣収納カセット36に収納された紙幣を当該紙幣繰出機構36aにより上部ユニット14の搬送部24に1枚ずつ繰り出すことができるようになっている。より詳細には、紙幣収納カセット36から紙幣が繰り出される際には、ステージ36mが上昇することにより当該ステージ36m上に集積された複数の紙幣のうち最上層に位置する紙幣が順次紙幣繰出機構36aにより搬送路36bを介して分岐搬送部25から搬送部24に送られるようになる。
また、操作者は下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことによって紙幣が収納された紙幣収納カセット36を当該下部ユニット16から取り外したり空の紙幣収納カセット36を下部ユニット16に装着させたりすることができるようになっている。
図3に示す紙幣処理機10でも、図1に示す紙幣処理機10と同様に、制御部50は、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を、予め設定された所定の分類条件に基づいて紙幣収納袋34および紙幣収納カセット36のうち何れか一方に振り分けるよう搬送部24の制御を行うようになっている。ここで、「予め設定された所定の分類条件」は、上記の図1に示す紙幣処理機10を説明したときの分類条件と同様となっている。
なお、図3に示す紙幣処理機10では、所定の分類条件が、補充用の紙幣と、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣とに分類分けするような条件である場合には、補充用の紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により紙幣収納カセット36に収納され、一方、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により紙幣収納袋34に収納されるようになる。上述したように、所定の分類条件において補充用の紙幣としては概して正券が指定されるようになる。補充用の紙幣については、紙幣収納カセット36に収納することにより、紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行う際にこの紙幣収納カセット36から紙幣を上部ユニット14の搬送部24に繰り出して投出部22に送ることができるようになり、操作者は投出部22に集積された紙幣をそのまま店舗内に設置された現金自動預け払い機等の他の装置に補充することができるようになる。また、本実施の形態では、ある紙幣処理機10から取り出された、補充用の紙幣が収納されている紙幣収納カセット36を別の紙幣処理機10に装填することにより、別の紙幣処理機10において紙幣の補充を行うことができるようになる。また、ある紙幣処理機10から取り出された、補充用の紙幣が収納されている紙幣収納カセット36を、銀行窓口用紙幣入出金機等の他の装置に装着することにより、この紙幣収納カセット36に収納されている紙幣を他の装置に補充することができるようになる。また、特定の金種のみが指定された補充用の紙幣(正券)が収納されている紙幣収納カセット36を、銀行窓口用紙幣入出金機等の他の装置に装着した場合には、当該紙幣収納カセット36に収納されている紙幣を他の装置で出金用として利用することができるようになる。また、補充用の紙幣が収納されている紙幣収納カセット36を他の装置に装填する場合、この紙幣収納カセット36に収納されている紙幣の記番号に関する情報が制御部50から通信インターフェース部58により当該他の装置に送信されるようになっていてもよい。あるいは、紙幣収納カセット36にメモリ等の記憶部(図示せず)が設けられており、当該紙幣収納カセット36に収納されている紙幣の記番号に関する情報がこの記憶部に書き込まれるようになっていてもよい。この場合には、補充用の紙幣が収納されている紙幣収納カセット36を他の装置に装填するときに、この他の装置によって紙幣収納カセット36に設けられた記憶部に記憶されている情報が読み取られることにより、紙幣収納カセット36に収納されている紙幣の記番号に関する情報が他の装置において取得されるようになる。一方、警送会社の警備員等により回収されるべき紙幣については、紙幣収納袋34に収納させることにより、警送会社の警備員等は紙幣収納袋34ごと紙幣を回収することができるようになる。
また、図3に示す紙幣処理機10では、所定の分類条件が、所定の金額よりも高額である高額紙幣と、所定の金額以下である低額紙幣とに分類分けするような条件である場合には、所定の金額よりも高額である高額紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により紙幣収納袋34に収納され、一方、所定の金額以下である低額紙幣であると制御部50において判断された紙幣は搬送部24により紙幣収納カセット36に収納されるようになる。所定の金額以下である低額紙幣については、紙幣収納カセット36に収納することにより、紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行う際にこの紙幣収納カセット36から釣銭としての低額紙幣を上部ユニット14の搬送部24に繰り出して投出部22に送ることができるようになり、操作者は投出部22に集積された低額紙幣を店舗に設けられた釣銭機等に釣銭として補充することができるようになる。または、ある紙幣処理機10から回収された、低額紙幣が収納されている紙幣収納カセット36を別の紙幣処理機10に装填することにより、別の紙幣処理機10において低額紙幣の補充を行うことができるようになる。一方、所定の金額よりも高額である高額紙幣については、店舗に設けられた釣銭機等に釣銭として補充するには適していないため、紙幣収納袋34に収納させることにより、警送会社の警備員等は紙幣収納袋34ごと高額紙幣を回収することができるようになる。
また、本実施の形態による紙幣処理機10において下部ユニット16に紙幣収納カセット36が装着される場合、図4に示すような内部が複数の領域36p、36q、36rに区画された紙幣収納カセット36が下部ユニット16に装着されるようになっていてもよい。より詳細には、本実施の形態による紙幣処理機10と、例えば店舗のバックオフィス等に配置される貨幣出納機との間で紙幣収納カセット36により紙幣の受け渡しが行われる場合には、紙幣収納カセット36の内部を複数の領域36p、36q、36rに分割しておくことにより、紙幣を複数の種類に分類した状態で紙幣処理機10から貨幣出納機に紙幣を運搬することができるようになる。より詳細には、本実施の形態による紙幣処理機10と、上記の貨幣出納機との間で紙幣収納カセット36により紙幣の受け渡しが行われる際に、操作者はこの紙幣収納カセット36の各領域36p、36q、36rから紙幣を取り出すことができないようになっており、このことにより防盗性を向上させることができる。また、図4に示すように、紙幣収納カセット36の内部が複数の領域36p、36q、36rに分割されている場合には、紙幣処理機10の下部ユニット16にこの紙幣収納カセット36が装着されると、当該紙幣処理機10の上部ユニット14の搬送部24から紙幣収納カセット36の各領域36p、36q、36rにそれぞれ紙幣を送ることができるようになる。また、図4では図示していないが、紙幣収納カセット36の各領域36p、36q、36rに紙幣繰出機構をそれぞれ設けた場合には、これらの各領域36p、36q、36rに収納されている紙幣を紙幣処理機10の上部ユニット14の搬送部24に繰り出すことができるようになる。また、図4に示すような紙幣収納カセット36が貨幣出納機に装着されると、当該紙幣収納カセット36の各領域36p、36q、36rから貨幣出納機の本体部分に紙幣を繰り出すことができるようになる。
紙幣収納カセット36の各領域36p、36q、36rには、収納されるべき紙幣の種類が予め割り当てられるようになっている。具体的には、領域36pには、テープ券や落書きのある紙幣、特定の識別番号が付された紙幣、特定の券種や金種の紙幣等、操作者が目視にて確認したい紙幣が収納されるようになっている。また、領域36qには、端が折れた紙幣、ホッチキスやクリップ等が付けられた紙幣等、紙幣収納カセット36が貨幣出納機に装着されたときに当該紙幣収納カセット36から貨幣出納機の本体部分に繰り出されると詰まり等のエラーが発生しやすいような、操作者の確認を必要とする紙幣が収納されるようになっている。また、領域36rには、正常な紙幣が収納されるようになっている。領域36p、36q、36rに上記の紙幣の種類がそれぞれ割り当てられているような紙幣収納カセット36が貨幣出納機に装着されると、領域36rから貨幣出納機の本体部分に繰り出された紙幣は当該貨幣出納機の収納部に収納されるが、領域36pから貨幣出納機の本体部分に繰り出された紙幣は当該貨幣出納機のリジェクト部(例えば、第1リジェクト部)等に送られ、操作者はこれらのリジェクト部等から紙幣を取り出して目視にて確認することができるようになる。また、図4における紙幣収納カセット36が貨幣出納機に装着されたときに当該紙幣収納カセット36の領域36qに紙幣が収納されている場合には、当該領域36qから貨幣出納機の本体部分に紙幣が繰り出されることはなく、代わりに領域36qに紙幣が収納されているという情報が音声ガイダンスや表示部におけるガイダンス表示等によって操作者に報知されるようになる。なお、他の態様では、貨幣出納機に紙幣収納カセット36が装着されたときに、領域36qから貨幣出納機の本体部分に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣が、領域36pから繰り出された紙幣が送られるリジェクト部(具体的には、上記の第1リジェクト部)とは異なるリジェクト部(例えば、第2リジェクト部)に送られるようになっていてもよい。
図4に示すような紙幣収納カセット36によれば、本実施の形態による紙幣処理機10と、上記の貨幣出納機との間で紙幣の受け渡しが行われる際に、紙幣処理機10の上部ユニット14から紙幣収納カセット36に紙幣を収納させる際に当該紙幣収納カセット36において紙幣の分類を行うことができるようになるため、貨幣出納機における後処理ごとに紙幣を所定場所へ搬送することができ、また、貨幣出納機において紙幣の詰まり等のトラブルが発生することを抑制することができるようになる。
また、本実施の形態による紙幣処理機10では、上部ユニット14に設けられた収納繰出部30を様々な用途に用いることができる。例えば、紙幣の入金処理が行われる際に、投入部20から筐体12の内部に繰り出された紙幣が識別部26により識別されたときに、上述した所定の分類条件において紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に割り当てられていない種類の紙幣が搬送部24により収納繰出部30に送られるようになっていてもよい。
また、上述したように、紙幣の入金処理が行われる際に、識別部26により識別された紙幣が送られるべき紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36がフル状態またはニアフル状態となっており、紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に紙幣を収納させることができない場合には、識別部26により識別された紙幣は収納繰出部30に送られ、当該収納繰出部30に収納されるようになっていてもよい。この場合、フル状態またはニアフル状態となっている紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36が下部ユニット16から取り外され、空の紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36が下部ユニット16に装着されると、記憶部54に記憶されている収納繰出部30への紙幣の収納順序や当該収納繰出部30に収納されている紙幣の情報に基づいて、収納繰出部30から紙幣が1枚ずつ搬送部24に繰り出されて当該搬送部24により紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に送られるようになる。このように、本実施の形態では、収納繰出部30を、紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36でオーバーフローとなる紙幣を一時的に収納させるオーバーフロー紙幣用の収納部として用いることができる。
また、収納繰出部30の更に他の用途として、紙幣の入金処理が行われる際に、紙幣以外の小切手や商品券等の紙葉類が投入部20に投入された場合に当該紙葉類が識別部26により識別されるとこの紙葉類が搬送部24により収納繰出部30に送られるようになっていてもよい。この場合は、収納繰出部30は、紙幣以外の紙葉類を収納する現金外収納部として用いられるようになる。
また、操作者が操作表示部52により制御部50に対して紙幣の回収指令を与えると、収納繰出部30に収納されている紙幣が全て当該収納繰出部30から1枚ずつ搬送部24に繰り出され、この繰り出された紙幣は当該搬送部24により投出部22に送られてこの投出部22に集積されるようになる。このことにより、操作者は投出部22から出金紙幣を筐体12の外部に取り出して回収することができるようになる。
また、収納繰出部30の更に他の用途として、出金紙幣(例えば、予め指定された特定の1つの金種の紙幣)を前もって収納繰出部30に収納させておくようにしてもよい。この場合には、本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の出金処理を行うことができるようになる。具体的には、操作者が出金金額とともに出金処理開始の指令を操作表示部52により制御部50に入力すると、指定された出金金額分の紙幣が収納繰出部30から1枚ずつ搬送部24に繰り出され、この繰り出された紙幣は当該搬送部24により投出部22に送られてこの投出部22に集積されるようになる。このことにより、操作者は投出部22から出金紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
また、収納繰出部30の更に他の用途として、両替用の紙幣(例えば、予め指定された特定の1つの金種の紙幣)を前もって収納繰出部30に収納させておくようにしてもよい。この場合には、本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の両替処理を行うことができるようになる。具体的には、操作者がある金種の紙幣を投入部20により紙幣処理機10の筐体12内に投入し、この投入された紙幣が紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に収納されると、紙幣処理機10の筐体12内に投入された紙幣の合計金額と同一の金額であって金種が異なる紙幣が収納繰出部30から1枚ずつ搬送部24に繰り出され、この繰り出された紙幣は当該搬送部24により投出部22に送られてこの投出部22に集積されるようになる。このことにより、操作者は投出部22から両替紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。
なお、出金紙幣や両替紙幣を収納繰出部30に前もって収納することにより本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の出金処理や両替処理を行うことができるようになっている場合には、当該紙幣処理機10において紙幣の入金処理が行われる際に投入部20から筐体12内に繰り出されて識別部26により識別された紙幣のうち予め指定された特定の金種の紙幣を出金紙幣用や両替紙幣用として搬送部24により収納繰出部30に送るようにしてもよい。この場合には、操作者は収納繰出部30に出金紙幣用や両替紙幣用の紙幣を補充しなくても当該収納繰出部30に出金紙幣用や両替紙幣用の紙幣を前もって収納させることができるようになる。
また、収納繰出部30の更に他の用途として、当該収納繰出部30を入金一時保留部として用いてもよい。このような紙幣処理機10では、投入部20に投入された紙幣が筐体12内に繰り出されて識別部26により識別されたときに、正常な紙幣は搬送部24により収納繰出部30に送られて当該収納繰出部30で一時的に保留される。なお、正常な紙幣ではないと識別部26により識別された紙幣や識別部26により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として搬送部24により投出部22に送られ、投出部22に集積されたリジェクト紙幣は操作者により筐体12の外部に取り出されるようになる。そして、投入部20に投入された紙幣が全て筐体12内に繰り出されて収納繰出部30または投出部22に送られると、操作者は操作表示部52により入金確定の指令を制御部50に与えることができるようになる。その後、入金確定の指令が制御部50に与えられると、収納繰出部30から紙幣が搬送部24に繰り出され、この繰り出された紙幣は所定の分類条件に基づいて当該搬送部24により紙幣収納袋34または紙幣収納カセット36に送られるようになる。一方、入金確定の指令が制御部50に与えられる代わりに返却の指令が制御部50に与えられると、収納繰出部30から紙幣が搬送部24に繰り出され、この繰り出された紙幣は当該搬送部24により投出部22に送られ、投出部22に集積された返却紙幣は操作者により筐体12の外部に取り出されるようになる。
また、本実施の形態による紙幣処理機10では、以下に示すような紙幣の計数処理を行うことができるようになっていてもよく、このような紙幣の計数処理が行われる際に収納繰出部30が用いられるようになっていてもよい。具体的には、本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の計数処理を行う際に、投入部20に投入された紙幣が紙幣繰出機構20aにより筐体12内に繰り出され、識別部26により識別されると、正常な紙幣であると判断された紙幣は投出部22に送られる。一方、識別部26による識別結果に基づいて正常な紙幣ではないと判断された紙幣(リジェクト紙幣)については、投出部22にそのまま送って当該投出部22に正常な紙幣と混合状態で集積させるか、あるいは収納繰出部30に一時的に収納させ、正常な紙幣が投出部22から取り出された後に当該収納繰出部30からリジェクト紙幣を繰り出して投出部22に送るかの設定を、操作者が例えば操作表示部52により行うことができるようになる。
また、本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の計数処理を行う際に、特定の金種の紙幣のみを計数するような特別計数モードを行うことができるようになっていてもよい。このような特別計数モードでは、投入部20に投入された紙幣が紙幣繰出機構20aにより筐体12内に繰り出され、識別部26により識別されると、正常な紙幣であると判断された紙幣のうち予め設定された特定の金種の紙幣のみが投出部22に送られる。そして、制御部50において、識別部26による識別結果に基づいて、正常な紙幣であると判断された紙幣のうち予め設定された特定の金種の紙幣のみの計数が行われる。一方、識別部26による識別結果に基づいて正常な紙幣ではないと判断された紙幣(リジェクト紙幣)や、正常な紙幣であると判断されたが特定の金種ではない紙幣については、収納繰出部30に一時的に収納させる。そして、正常かつ特定の金種の紙幣が投出部22から取り出された後に収納繰出部30から残りの紙幣を繰り出して投出部22に送るようにする。
なお、本実施の形態では、制御部50は、テープ式の収納繰出部30に紙幣が収納される際に、当該収納繰出部30に収納された紙幣に関する情報(例えば、紙幣の金種や記番号等の情報)を、当該収納繰出部30に収納される順番に紐付けて記憶部54に記憶させるようになっていてもよい。この場合には、収納繰出部30から紙幣が搬送部24に繰り出されて投出部22や紙幣収納袋34、紙幣収納カセット36等に送られる際に、搬送部24に繰り出された紙幣に関する情報を特定することができるようになる。このため、制御部50は、対応する紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36がフル状態またはニアフル状態である紙幣を収納繰出部30に収納するとともに、紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36のフル状態またはニアフル状態が解除されると収納繰出部30から紙幣を1枚ずつ搬送部24に繰り出し、記憶部54に記憶された上記の情報および所定の分類条件に基づいて、収納繰出部30から繰り出された紙幣を対応する紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に収納させることができるようになる。
このように、本実施の形態による紙幣処理機10では、収納繰出部30を様々な用途に用いることができるため、本実施の形態による紙幣処理機10において紙幣の出金処理や両替処理を実行可能としたり、あるいは紙幣の入金処理においてオーバーフロー紙幣や紙幣以外の小切手や商品券等の紙葉類を収納繰出部30に収納させたりすることができるようになる。
また、本実施の形態による紙幣処理機は、搬送部24から2つの分岐搬送部25がそれぞれ分岐しているような態様のものに限定されることはない。本実施の形態では、図5乃至図8に示すように、搬送部24から3つの分岐搬送部25がそれぞれ分岐しているような紙幣処理機10aが用いられてもよい。このような紙幣処理機10aの構成の詳細について以下に説明する。なお、図5乃至図8に示す紙幣処理機10aの構成を説明するにあたり、図1乃至図3に示す紙幣処理機10と同一の構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図5乃至図7に示す紙幣処理機10aでは、1つの収納部(具体的には、紙幣収納袋34)に対して、上部ユニット14から下部ユニット16への紙幣の入口が複数設けられている。具体的には、図5に示すような態様では、上部ユニット14から下部ユニット16への複数(図5に示す例では3つ)の入口をまたぐよう、1つの大きな開口が設けられた紙幣収納袋34が装着部32に装着させられるようになっている。このような態様では、上部ユニット14において搬送部24から各分岐搬送部25に分岐させられた紙幣は、どの分岐搬送部25に送られた紙幣でも全て同一の紙幣収納袋34に収納されるようになる。このような紙幣処理機10aによれば、紙幣収納袋34に紙幣が収納された後、操作者は下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことによって、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外して回収することができるようになる。ここで、図5に示す紙幣処理機10aでは、搬送部24から各分岐搬送部25に紙幣を順番に分岐させることにより、紙幣収納袋34内に紙幣を均等に収納させることができる。また、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外して回収する際に、当該紙幣収納袋34の開口がヒートシールにより封止されるようになっていてもよく、あるいは紙幣収納袋34として布袋が装着部32に装着されるようになっていてもよい。
また、図6に示すような態様では、装着部32に装着される紙幣収納袋34mには、上部ユニット14から下部ユニット16への複数の入口の各々に対応して複数(図6に示す例では3つ)の開口34nが設けられている。このような態様では、上部ユニット14において搬送部24から各分岐搬送部25に分岐させられた紙幣は、当該分岐搬送部25に対応する開口34nを介して紙幣収納袋34mに収納されるようになる。なお、図5に示す態様と同じく、図6に示す態様では、上部ユニット14において搬送部24から各分岐搬送部25に分岐させられた紙幣は、どの分岐搬送部25に送られた紙幣でも全て同一の紙幣収納袋34mに収納されるようになる。また、図6に示すような態様では、紙幣収納袋34mの各開口34nに対応して複数の保持部材32aが設けられており、複数の保持部材32aの各々により各開口34nがヒートシールされるようになっている。このような紙幣処理機10aでも、紙幣収納袋34mに紙幣が収納された後、操作者は下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことによって、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外して回収することができるようになる。
また、図7に示すような態様では、図6に示すような複数の開口34nが設けられた紙幣収納袋34mにおいて、その内部が仕切り部材34pにより複数の領域に区画されている。より詳細には、紙幣収納袋34mに設けられた複数の開口34nの各々に対応する複数の領域が形成されるよう、当該紙幣収納袋34mの内部は仕切り部材34pにより仕切られており、このことにより、ある開口34nを介して紙幣収納袋34mに収納された紙幣は、仕切り部材34pにより仕切られた複数の領域のうち当該開口34nに対応する領域に収納されるようになる。図7に示すような態様では、上部ユニット14において搬送部24から各分岐搬送部25に分岐させられた紙幣は、当該分岐搬送部25に対応する開口34nを介して紙幣収納袋34mの各領域に分類分けされた状態で収納されるようになる。また、図7に示すような態様でも、紙幣収納袋34mの各開口34nに対応して複数の保持部材32aが設けられており、複数の保持部材32aの各々により各開口34nがヒートシールされるようになっている。また、このような紙幣処理機10aでも、紙幣収納袋34mに紙幣が収納された後、操作者は下部ユニット16を筐体12の前面から前方に引き出すことによって、紙幣が収納された紙幣収納袋34を装着部32から取り外して回収することができるようになる。
図5乃至図7に示すような態様によれば、上部ユニット14から下部ユニット16への複数(具体的には、3つ)の入口に対して下部ユニット16に1つの紙幣収納袋34、34mが設けられるようになるため、当該紙幣収納袋34、34mの紙幣の収納量を増やすことができる。また、1つの紙幣収納袋34、34mに対して当該紙幣収納袋34、34mに紙幣を送る際の入口が複数設けられているため、紙幣収納袋34、34mに収納された紙幣が当該紙幣収納袋34、34m内で散らばりやすく、紙幣収納袋34、34mの内部に紙幣をまんべんなく収納させることができる。また、紙幣収納袋34、34mの紙幣の収納量を増やすことができるため、使用される紙幣収納袋34、34mの数を減らすことができる。ここで、紙幣収納袋34、34mの使用数に応じて当該紙幣収納袋34、34mの回収の際の保険の金額が設定される場合、使用される紙幣収納袋34、34mの数を減らすことにより保険の金額も低減することができる。また、図5乃至図7に示すような紙幣処理機10aでも、上部ユニット14から下部ユニット16への複数(具体的には、3つ)の入口に対応して、サイズが比較的小さい複数の紙幣収納袋34を取り付けることができるようになっている。このように、図5乃至図7に示すような紙幣処理機10aでは、紙幣収納袋34、34mの大容量を優先させたいという要望や複数の紙幣収納袋34に紙幣を金種別に収納させたいという要望にそれぞれ応えることができるため、当該紙幣処理機10aが設置される店舗における現金処理や紙幣の回収業務の実態に応じた効率的な運用が可能となる。
また、搬送部24から3つの分岐搬送部25がそれぞれ分岐しているような紙幣処理機10aにおいて、図8に示すように、下部ユニット16に2つの紙幣収納カセット36が装着されるようになっていてもよい。このような図8に示す態様では、上部ユニット14から下部ユニット16への入口の数(具体的には、3つ)よりも少ない数の紙幣収納カセット36が下部ユニット16に装着されるようになる。この場合には、上部ユニット14から下部ユニット16への入口の数と同数の紙幣収納カセット36を下部ユニット16に装着する場合と比較して、紙幣収納カセット36の紙幣の収納量を増やすことができる。また、紙幣収納カセット36の紙幣の収納量を増やすことができると、使用される紙幣収納カセット36の数を減らすことができる。ここで、紙幣収納カセット36の使用数に応じて当該紙幣収納カセット36の回収の際の保険の金額が設定される場合、使用される紙幣収納カセット36の数を減らすことにより保険の金額も低減することができる。
また、図8に示すような紙幣処理機10aでは、各紙幣収納カセット36において、所定枚数の紙幣が収納される度に、当該紙幣収納カセット36に収納されている紙幣をステージ36mにより集積方向(すなわち、図8における上下方向)に圧縮することができるようになっている。具体的には、紙幣収納カセット36においてステージ36m上に複数の紙幣が積層状態で集積されているときに、当該ステージ36mが上昇することにより、ステージ36m上の複数の紙幣は、紙幣収納カセット36の内壁の天井部分とステージ36mとの間で上下から挟圧されることにより圧縮される。このことにより、紙幣収納カセット36内でステージ36m上に集積された複数の紙幣が膨らんでいる場合でも、このような圧縮処理を行うことにより紙幣の膨らみを解消することができ、このことによってより多くの紙幣を紙幣収納カセット36内に収納させることができるようになる。
ここで、図8に示すような紙幣処理機10aでは2つの紙幣収納カセット36が下部ユニット16に装着されているが、2つの紙幣収納カセット36に対して同一の金種が割り当てられている場合には、紙幣の入金処理が行われる際に、一方の紙幣収納カセット36(例えば、左側の紙幣収納カセット36)における紙幣の収納枚数が所定の枚数に到達し、この紙幣収納カセット36で収納紙幣の圧縮処理が行われている間に、投入部20から筐体12内に繰り出されて識別部26により識別された紙幣が搬送部24により他方の紙幣収納カセット36(例えば、右側の紙幣収納カセット36)に送られるようになっている。そして、一方の紙幣収納カセット36(例えば、左側の紙幣収納カセット36)において上記の圧縮処理が終了したタイミング、または一方の紙幣収納カセット36において上記の圧縮処理が終了した後に他方の紙幣収納カセット36(例えば、右側の紙幣収納カセット36)において上記の圧縮処理を開始するタイミングで、投入部20から筐体12内に繰り出されて識別部26により識別された紙幣が送られる箇所が一方の紙幣収納カセット36(例えば、左側の紙幣収納カセット36)に切り替えられるようになっている。このような紙幣処理機10aによれば、紙幣の入金処理を途中で停止させることなく各紙幣収納カセット36において紙幣の圧縮処理を順番に行うことができるようになるため、紙幣の入金処理にかかる時間を短縮することができる。具体的には、従来技術では、紙幣収納カセットにおいて上記の圧縮処理を行う際に、投入部から筐体内への紙幣の繰り出し動作を一旦停止させて当該紙幣収納カセットに紙幣が送られないようにしていたが、このような方法では紙幣の入金処理が一旦停止してしまうため紙幣の入金処理が完了するまでの時間も長くなってしまう。また、操作者は紙幣処理機において紙幣収納カセットで紙幣の圧縮処理が行われていることを知ることができないため、紙幣の圧縮処理が行われる間に入金処理が一旦停止してしまうとストレスを感じることがある。これに対し、本実施の形態による紙幣処理機10aでは、一方の紙幣収納カセット36において紙幣の圧縮処理を行う間、投入部20から筐体12内に繰り出されて識別部26により識別された紙幣を他方の紙幣収納カセット36に送るようにしているため、紙幣の入金処理を一旦停止させる必要がなく、よって紙幣の入金処理が完了するまでの時間を短くすることができる。また、本実施の形態では紙幣の圧縮処理が行われる間も入金処理が一旦停止することがないため、操作者はストレスを感じることがない。
また、本実施の形態による紙幣処理機10、10aでは、制御部50は、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を各収納部(具体的には、紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36)に振り分ける際に、所定の切替条件が満たされると、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を全て予め指定された特定の収納部に混合状態で収納させるよう制御を行うようになっている。具体的には、本実施の形態による紙幣処理機10、10aにおける紙幣の入金処理において、上部ユニット14の搬送部24から金種毎に紙幣が分岐搬送部25に分岐して紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に送られるようになっている場合には、予め指定された特定の金種の紙幣の入金枚数が予め指定された設定枚数を超えると、当該特定の金種の紙幣が収納されるべき紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36以外の、予め指定された特定の紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に紙幣が混合状態で収納されるようになっている。あるいは、ある紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36がフル状態またはニアフル状態となると、それ以外の予め指定された特定の紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36に紙幣が混合状態で収納されるようになっていてもよい。従来技術では、紙幣処理機において紙幣の入金処理が行われる際に、ある特定の金種の紙幣の入金枚数が多い場合には、金種毎に紙幣を各収納部に振り分けるようにしていると、この特定の金種以外の金種の紙幣が収納されるべき収納部はなかなかフル状態やニアフル状態にはならないにもかかわらず、特定の金種の紙幣が収納されるべき収納部はすぐにフル状態やニアフル状態になってしまうため、入金処理を一旦停止させて下部ユニットを筐体の前面から手前側に引き出して当該収納部から紙幣を回収する必要があり、効率が悪くなってしまうという問題がある。これに対し、本実施の形態による紙幣処理機10、10aでは、紙幣の入金処理が行われる際に、ある特定の金種の紙幣の入金枚数が多い場合には、上述した所定の切替条件が満たされると、それ以外の収納部に当該金種の紙幣も収納させることができるため、入金処理を一旦停止させるまでの時間を長くすることができ、よって紙幣の処理効率を向上させることができる。
また、制御部50は、上部ユニット14の搬送部24から下部ユニット16に送られる紙幣を全て予め指定された特定の収納部(具体的には、紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36)に混合状態で収納させるよう制御を行っているときに、所定のタイミングになると、予め指定された特定の収納部以外の収納部への紙幣の収納を可能とするよう制御を行うようになっている。具体的には、例えば本実施の形態による紙幣処理機10、10aにおいて締め処理が行われる1時間前に、制御部50は予め指定された特定の収納部以外の収納部への紙幣の収納を可能とするよう制御を行うようになっていてもよい。このことにより、全ての紙幣が混合状態で送られる特定の収納部がフル状態やニアフル状態になってしまうまでの時間を長くすることができるため、警送会社の警備員等が紙幣処理機10、10aの下部ユニット16から紙幣収納袋34や紙幣収納カセット36等の収納部を回収する頻度を少なくすることができる。
また、本発明による紙幣処理機では、3つ以上の紙幣収納袋または3つ以上の紙幣収納カセットが下部ユニット内に装着されるようになっていてもよい。この場合には、例えば2つの紙幣収納袋または例えば2つの紙幣収納カセットについては、上記の所定の分類条件に基づいて紙幣が振り分けられて収納されるが、残りの紙幣収納袋または紙幣収納カセットについては上記の所定の分類条件における各条件に適合する紙幣が混合状態で収納されるようになる。具体的には、上記の所定の分類条件に基づいて紙幣が振り分けられて収納される紙幣収納袋や紙幣収納カセットがフル状態またはニアフル状態となりこれらの紙幣収納袋や紙幣収納カセットに紙幣を収納することができなくなった場合には、当該紙幣はオーバーフロー紙幣として残りの紙幣収納袋または紙幣収納カセットに混合状態で収納されるようになる。
なお、本発明による紙葉類処理機は、上述した、紙幣の入金処理や出金処理、両替処理等の様々な処理を行う紙幣処理機10、10aに限定されることはない。本発明による紙葉類処理機として、紙幣以外の小切手、商品券等の紙葉類の入金処理や出金処理等の様々な処理を行うことができるものが用いられてもよい。