JP2016142813A - 画像形成装置 - Google Patents

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健一 船津
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Abstract

【課題】現像剤の無駄な消費を低減することの可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、感光ドラムの回転が停止している間の停止時間、または停止時間の増加につれて変動する物理量を計測する計測部と、計測部によって計測された停止時間または物理量に基づいて、現像部材に印加される初期電圧の極性を設定する設定部と、感光ドラムの回転開始時に、演算部によって設定された極性の初期電圧を現像部材に印加する電源部とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、電源投入直後や、長い待機状態の後の現像ユニット起動時には、感光ドラムの表面電圧は、0ボルトに近い状態となっている。そのような状態で通常の現像プロセスが実行され、現像ローラに負の電圧が印加されると、現像ローラ上の現像剤が負に帯電する。このとき、感光ドラムと現像ローラとの間には電位差が生じるので、現像ローラ上の、負に帯電した現像剤が、感光ドラムに引きつけられ、その結果、現像剤が無駄に消費されてしまう。そこで、感光ドラムの周面のうち、感光ドラムの表面電圧が0ボルトに近い状態となっている領域が現像ローラを通過し終わるまでの間、現像ローラに正の電圧を印加することにより、感光ドラムに現像剤が引き付けられるのを防止することが、例えば特許文献1に開示されている。
特開平10−105016号公報
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置では、印刷等の動作が終了して、感光ドラムが一旦停止した直後に、再度、印刷等の動作が開始された場合、感光ドラムの表面電圧が減衰する前に、感光ドラムの回転が開始されることがある。この場合に、現像ローラに正の電圧が印加されたときには、現像ローラ上で正に帯電した現像剤が、負に帯電した感光ドラムの表面に強く引き付けられるので、現像剤が無駄に消費されてしまう。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、現像剤の無駄な消費を低減することの可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明の一実施の形態としての画像形成装置は、感光体を含む周面を有している感光ドラムと、周面を帯電させる帯電部材と、帯電部材によって帯電した周面の帯電領域を露光して静電潜像を形成する露光部と、現像剤により静電潜像を現像する現像部材とを備えている。帯電部材は、周面と対向して配置される。現像部材は、帯電部材よりも、感光ドラムの回転方向における下流の位置において周面と対向して配置される。この画像形成装置は、さらに、計測部と、設定部と、電源部とを備えている。計測部は、感光ドラムの回転が停止している間の停止時間、または停止時間の増加につれて変動する物理量を計測するようになっている。設定部は、計測部によって計測された停止時間または物理量に基づいて、現像部材に印加される初期電圧の極性を設定するようになっている。電源部は、感光ドラムの回転開始時に、設定部によって設定された極性で、初期電圧を現像部材に印加するようになっている。
本発明の一実施の形態としての画像形成装置によれば、現像剤の無駄な消費を低減することができる。
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成例を表す模式図である。 図1の画像形成ユニットの概略構成例を表す模式図である。 図1の画像形成装置の制御機構の一部の一例を表す模式図である。 感光ドラムおよび帯電ローラの電圧の一例を表す波形図である。 現像電圧テーブルの一例を表す図である。 現像電圧関数の一例を表す図である。 現像剤像が形成される際の、感光ドラム、現像ローラおよび供給ローラのそれぞれの電圧と、現像剤の遷移を表す模式図である。 画像形成装置の動作手順の一例を表す流れ図である。 画像形成装置における各種波形の一例を表す波形図である。 画像形成装置における各種波形の一例を表す波形図である。 現像ローラの初期電圧として正の電圧が印加されたときの、感光ドラム、現像ローラおよび供給ローラのそれぞれの電圧と、現像剤の遷移を表す模式図である。 現像ローラの初期電圧として負の電圧が印加されたときの、感光ドラム、現像ローラおよび供給ローラのそれぞれの電圧と、現像剤の遷移を表す模式図である。 比較例に係る画像形成装置における各種波形の一例を表す波形図である。 比較例に係る画像形成装置において、現像ローラの初期電圧として正の電圧が印加されたときの、感光ドラム、現像ローラおよび供給ローラのそれぞれの電圧と、現像剤の遷移を表す模式図である。 極性テーブルの一例を表す図である。 極性関数の一例を表す図である。 感光ドラムおよび帯電ローラの電圧の一例を表す波形図である。 現像電圧テーブルの一例を表す図である。 現像電圧関数の一例を表す図である。 極性テーブルの一例を表す図である。 極性関数の一例を表す図である。 現像電圧テーブルの一例を表す図である。 現像電圧関数の一例を表す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。なお、説明は、以下の順序で行う。

1.実施の形態
停止時間に基づいて現像ローラの極性が設定される一例
2.変形例
変形例1:停止時間に基づいて現像ローラの極性が設定される他の例
変形例2:定着部の温度に基づいて現像ローラの極性が設定される一例
変形例3:定着部の温度に基づいて現像ローラの極性が設定される他の例
変形例4:感光ドラムの表面電圧に基づいて現像ローラの極性が設定される一例
変形例5:筐体内の環境に基づいて現像ローラの極性が設定される一例
変形例6:種々の変形例
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成例を模式的に表したものである。画像形成装置1は、媒体PMに対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタである。媒体PMは、例えば、単票紙である。画像形成装置1は、給紙部10と、搬送部20と、画像形成部30と、転写部40と、定着部50と、排出部60とを備えている。給紙部10、搬送部20、画像形成部30、転写部40、定着部50および排出部60は、筐体100の内部に設けられている。
本明細書では、媒体PMが搬送される通路を搬送路PWという。搬送路PWにおいて、任意の構成要素から見て給紙部10へ向かう方向または給紙部10により近い位置を「搬送路PWの上流」という。搬送路PWにおいて、任意の構成要素から見て給紙部10へ向かう方向とは反対の方向または給紙部10からより離れた位置を「搬送路PWの下流」という。搬送路PWにおいて、媒体PMが進行する方向(つまり、搬送路PWの上流から搬送路PWの下流に向かう方向)を搬送方向Fという。
(給紙部10の構成)
給紙部10は、媒体PMを1枚ずつ搬送路PWへ供給するものである。給紙部10は、例えば、給紙トレイ11と、ピックアップローラ12とを有している。給紙トレイ11には、複数の媒体PMが積層された状態で収容される。給紙トレイ11は、例えば、画像形成装置1の下部に着脱自在に装着されている。ピックアップローラ12は、給紙トレイ11に収容された媒体PMを搬送部20へ供給するようになっている。ピックアップローラ12は、後述の制御部101による制御を受けて、媒体PMが搬送路PWに繰り出される向きに回転動作するようになっている。
(搬送部20の構成)
搬送部20は、給紙部10からの媒体PMを、斜行規制しつつ、搬送路PWに沿って転写部40へ搬送するものである。搬送部20は、給紙部10よりも搬送路PWの下流に配置されている。搬送部20は、例えば、レジストローラ対21,22と、センサ23,24,25とを有している。
レジストローラ対21は、レジストローラ対22よりも搬送路PWの上流に配置されており、具体的には、給紙トレイ11とレジストローラ対22との間に配置されている。レジストローラ対21は、搬送路PWを搬送される媒体PMに対して突き当て処理を行った後、搬送路PWに沿って媒体PMを搬送方向Fへ搬送するようになっている。突き当て処理とは、給紙部10から搬送される媒体PMの先端を、回転を停止させたレジストローラ対21に突き当てることを指している。突き当て処理が行われている間、レジストローラ対21には、制御部101によって制御されるモータ104(後述)の動力が伝達されていない。つまり、レジストローラ対21は、突き当て処理が行われている間、回転を停止させている。また、レジストローラ対21は、媒体PMを搬送する際には、制御部101による制御を受けて、媒体PMが搬送方向Fに搬送される向きに回転動作するようになっている。センサ23は、レジストローラ対21よりも搬送路PWの上流に配置されている。センサ23は、レジストローラ対21の駆動タイミングを調整するために、媒体PMの位置検出を行うものである。センサ23は、例えば、搬送路PWを搬送される媒体PMを検出するようになっている。
レジストローラ対22は、レジストローラ対21よりも搬送路PWの下流に配置されており、例えば、センサ24とセンサ25との間に配置されている。レジストローラ対22は、搬送路PWを搬送される媒体PMを、搬送路PWに沿って搬送方向Fへ搬送するようになっている。レジストローラ対22は、制御部101による制御を受けて、媒体PMが搬送方向Fに搬送される向きに回転動作するようになっている。センサ24は、搬送路PWにおいて、レジストローラ対22およびセンサ25よりも上流側に配置されている。センサ24は、レジストローラ対22の駆動タイミングを調整するために、媒体PMの位置検出を行うものである。センサ24は、搬送路PWを搬送される媒体PMを検出するようになっている。センサ25は、搬送路PWにおいて、センサ24より下流側に配置されている。センサ25は、画像形成部30における画像形成のタイミングを調整するために、媒体PMの位置検出を行うものである。センサ25は、搬送路PWを搬送される媒体PMを検出するようになっている。
(画像形成部30の構成)
図2は、画像形成部30の概略構成例を模式的に表したものである。画像形成部30は、搬送部20よりも搬送路PWの下流に配置されている。画像形成部30は、後述の感光ドラム31の周面31Aに画像を形成するものである。画像形成部30は、例えば、図2に示したように、感光ドラム31、帯電ローラ32、LED(Light Emitting Diode)ヘッド33、現像ローラ34、供給ローラ35、カートリッジ36、規制ブレード38およびクリーニングブレード39を有している。カートリッジ36には、現像剤37が充填される。感光ドラム31は、本発明の「感光ドラム」の一具体例に対応する。周面31Aは、本発明の「周面」の一具体例に対応する。帯電ローラ32は、本発明の「帯電部材」の一具体例に対応する。LEDヘッド33は、本発明の「露光部」の一具体例に対応する。現像ローラ34は、本発明の「現像部材」の一具体例に対応する。現像剤37は、本発明の「現像剤」の一具体例に対応する。
感光ドラム31は、感光体(例えば有機系感光体)を含む周面31Aを有しており、静電潜像を周面31Aに担持可能な円柱状の部材である。具体的には、感光ドラム31は、導電性支持体と、その外周(表面)を覆う光導電層とを有している。導電性支持体は、例えば、アルミニウムからなる金属パイプにより構成されている。光導電層は、例えば、電荷発生層および電荷輸送層を順に積層した構造を有している。感光ドラム31は、制御部101による制御を受けて、所定の周速度で、媒体PMが搬送方向Fに搬送される向きに回転動作するようになっている。
帯電ローラ32は、感光ドラム31の周面31Aを帯電させる部材(帯電部材)である。帯電ローラ32は、感光ドラム31の周面31Aに接するように配置されており、第1の箇所Aにおいて周面31Aと対向して配置されている。第1の箇所Aは、図2において、“A”と示された箇所に対応する。帯電ローラ32は、例えば、ステンレスからなる金属シャフトと、その外周(表面)を覆う半導電性の弾性層(例えば、半導電性エピクロロヒドリンゴム層)とを有している。帯電ローラ32は、例えば、感光ドラム31からの駆動伝達によって、感光ドラム31とは逆向きに回転動作するようになっている。
LEDヘッド33は、帯電ローラ32によって帯電した周面31Aの帯電領域R1を露光することにより、周面31Aの帯電領域R1に静電潜像R2を形成する露光装置である。帯電領域R1は、本発明の「帯電領域」の一具体例に対応する。静電潜像R2は、本発明の「静電潜像」の一具体例に対応する。なお、帯電領域R1および静電潜像R2は、後述の図8に示されている。LEDヘッド33は、第1の箇所Aよりも、感光ドラム31の回転方向における下流に位置した第2の箇所Bにおいて周面31Aと対向して配置されている。第2の箇所Bは、図2において、“B”と示された箇所に対応する。LEDヘッド33は、感光ドラム31の幅方向に並ぶ複数個のLED発光部を有している。各LED発光部は、例えば、照射光を発する発光ダイオードなどの光源と、その照射光を感光ドラム31の表面に結像させるレンズアレイとを含んで構成されている。
現像ローラ34は、現像剤37を表面に担持する部材であり、現像剤37により静電潜像R2を現像するようになっている。現像ローラ34は、感光ドラム31の周面31Aに接するように配置されており、第2の箇所Bよりも下流に位置した第3の箇所Cにおいて周面31Aと対向して配置されている。第3の箇所Cは、図2において、“C”と示された箇所に対応する。現像ローラ34は、例えば、ステンレスからなる金属シャフトと、その外周(表面)を覆う半導電性の弾性層(例えば、半導電性ウレタンゴム層)とを有している。現像ローラ34は、例えば、感光ドラム31からの駆動伝達によって、所定の周速度で、感光ドラム31とは逆向きに回転動作するようになっている。
ここで、例えば、感光ドラム31の直径が40mmとなっているとする。また、帯電ローラ32および現像ローラ34が、感光ドラム31の中心を軸に120°の角度の位置に配置されているとする。このとき、第1の箇所Aから第3の箇所Cまでの距離L1は、約41.89mmとなる。
供給ローラ35は、現像ローラ34に対して現像剤37を供給するための部材(供給部材)であり、現像ローラ34の表面(周面)に接するように配置されている。供給ローラ35は、例えば、金属シャフトと、その外周(表面)を覆う発泡性の弾性層(例えば、シリコーンゴム層)とを有している。供給ローラ35は、例えば、現像ローラ34からの駆動伝達によって、現像ローラ34とは逆向きに回転動作するようになっている。
カートリッジ36は、現像剤37が収容される容器である。規制ブレード38は、現像ローラ34の表面に担持された現像剤37の層厚を規制するものである。現像剤37は、例えば、非磁性一成分現像剤である。規制ブレード38は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)薄板からなる。クリーニングブレード39は、感光ドラム31の表面に残留した現像剤37を掻き取るものである。クリーニングブレード39は、例えば、可撓性のゴム材又はプラスチック材からなる。
(転写部40の構成)
転写部40は、搬送部20から搬送されてきた媒体PMに、感光ドラム31の周面31Aに形成された画像(現像剤像)を静電的に転写するものである。転写部40は、例えば、転写ローラによって構成されている。転写ローラは、感光ドラム31と対向配置されている。転写ローラは、例えば、発泡性の半導電性弾性ゴム材により構成されている。
(定着部50の構成)
定着部50は、転写部40を通過した媒体PM上に転写された現像剤像に対し熱および圧力を付与することで、その現像剤像を媒体PM上に定着させるための部材である。定着部50は、転写部40よりも搬送路PWの下流に配置されている。定着部50は、例えば、上部ローラ51と、下部ローラ52とを含んで構成されている。
上部ローラ51および下部ローラ52は、各々の内部にハロゲンランプ等の加熱ヒータである熱源(後述の定着器ヒータ106)を含んで構成されており、媒体PM上の現像剤像に対して熱を付与する加熱ローラとして機能する。上部ローラ51は、制御部101による制御を受けて、媒体PMが搬送方向Fに搬送される向きに回転動作するようになっている。上部ローラ51および下部ローラ52内の熱源は、制御部101により制御されるバイアス電圧の供給を受け、上部ローラ51および下部ローラ52の各表面温度を制御するようになっている。下部ローラ52は、上部ローラ51との間に圧接部が形成されるように上部ローラ51と対向して配置されており、媒体PM上の現像剤像に対して圧力を付与する加圧ローラとして機能する。下部ローラ52は、弾性体材料からなる表面層を有しているとよい。
(排出部60の構成)
排出部60は、定着部50によって現像剤像が定着された媒体PMを外部に排出するものである。排出部60は、例えば、搬送ローラ対61,62,63と、センサ64とを有している。搬送ローラ対61,62,63は、搬送路PWを介して媒体PMを外部に排出し、外部のスタッカ100Aにストックさせるようになっている。搬送ローラ対61,62,63は、制御部101による制御を受けて、媒体PMが搬送方向Fに搬送される向きに回転動作するようになっている。搬送ローラ対61,62,63は、さらに、例えば、媒体PMをフェイスダウンで外部に排出するようになっている。
センサ64は、搬送ローラ対61,62,63よりも上流に配置されている。センサ64は、搬送ローラ対61,62,63の駆動タイミングを調整するために、媒体PMの位置検出を行うものである。センサ64は、例えば、搬送路PWを搬送される媒体PMを検出するようになっている。
(制御機構)
次に、図1に加えて図3を参照して、画像形成装置1の制御機構の一部について説明する。図3は、画像形成装置1の制御機構の一部の一例を、ブロック図で表したものである。
図1および図3に示したように、画像形成装置1は、制御機構として、例えば、制御部101、I/Oポート102、複数の駆動回路103、複数のモータ104、駆動回路105、定着器ヒータ106および記憶部107を有している。画像形成装置1は、制御機構として、さらに、例えば、計測部108、設定部109および電源部110を有している。記憶部107が、本発明の「記憶部」の一具体例に対応する。計測部108が、本発明の「計測部」の一具体例に対応する。設定部109が、本発明の「設定部」の一具体例に対応する。電源部110が、本発明の「電源部」の一具体例に対応する。制御部101、I/Oポート102、複数の駆動回路103、複数のモータ104、駆動回路105、定着器ヒータ106、記憶部107、計測部108、設定部109および電源部110は、例えば、制御線111に接続されている。
制御部101は、例えば、制御線111を介して、画像形成装置1内の種々の被制御部品を制御するようになっている。I/Oポート102は、制御部101による制御を受けて、各種の駆動用のモータ104を駆動させるための制御信号を、各種の駆動回路103に出力するようになっている。I/Oポート102は、さらに、制御部101による制御を受けて、定着器ヒータ106を駆動させるための制御信号を、駆動回路105に出力するようになっている。駆動回路103は、I/Oポート102による制御を受けて、種々のドラムもしくは種々のローラを回転させるモータ104をパルス制御するようになっている。感光ドラム31用の駆動回路103は、感光ドラム31を回転させるモータ104をパルス制御するようになっている。
駆動回路105は、定着器ヒータ106をパルス制御するようになっている。定着器ヒータ106は、上部ローラ51および下部ローラ52の各々の内部に設けられており、上部ローラ51および下部ローラ52を加熱するようになっている。定着器ヒータ106は、感光ドラム31の回転停止と同期して、上部ローラ51および下部ローラ52の加熱を停止したり、感光ドラム31の回転開始の前に、上部ローラ51および下部ローラ52の加熱を開始したりするようになっている。定着器ヒータ106は、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータである。記憶部107は、画像形成装置1を動作させるための制御プログラムを格納している。記憶部107は、さらに、現像電圧テーブル120または現像電圧関数130と、閾値Tthとを格納している。現像電圧テーブル120は、本発明の「テーブル」の一具体例に対応する。現像電圧関数130は、本発明の「関数」の一具体例に対応する。閾値Tthが、本発明の「第1閾値」の一具体例に対応する。
次に、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130について説明する。図4(A)は、感光ドラム31の第1の箇所Aの表面電圧V31の経時変化の一例を表したものである。図4(B)は、帯電電圧V32の経時変化の一例を表したものである。帯電電圧V32は、帯電ローラ32の表面(表層部分)を帯電させるために帯電ローラ32に印加される電圧である。図4(A)、図4(B)の横軸では、右に向かうにつれて時間が経過する。図4(A)の縦軸では、上に向かうにつれて負電圧が大きくなる。図4(A),図4(B)において、T0は、感光ドラム31の回転が停止した時刻(回転停止時)であり、Toffは、感光ドラム31の回転が停止している間の時間であり、回転停止時T0から、感光ドラム31の回転が開始した時刻(回転開始時T1)までの時間(停止時間)である。停止時間Toffは、本発明の「停止時間」の一具体例に対応する。回転開始時T1は、本発明の「回転開始時」の一具体例に対応する。
感光ドラム31の回転が停止すると同時に、帯電電圧V32がオフされ、0ボルトとなる。すると、感光ドラム31の第1の箇所Aの表面電圧V31が、時間の経過とともに減衰し、最終的に0ボルトまたは0ボルトに近い電圧となる。現像電圧テーブル120および現像電圧関数130は、そのような表面電圧V31の減衰を計測または予測することにより得られたデータである。
図5Aは、現像電圧テーブル120の一例を表したものである。図5Bは、現像電圧関数130の一例を表したものである。現像電圧テーブル120は、現像電圧V34と、停止時間Toffとが関連付けられたテーブルである。現像電圧V34は、現像ローラ34の表面(表層部分)を負の電位にするために現像ローラ34に印加される電圧である。現像電圧テーブル120では、停止時間Toffがt1,t2,t3,…,tnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。現像電圧関数130は、現像電圧V34と、停止時間Toffとが関連付けられた関数である。現像電圧関数130では、停止時間Toffがt1,t2,t3,…,tnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。
ここで、Vaは、表面電圧V31よりも高い電圧であり、かつ、0ボルトよりも低い電圧である。Vaは、負の極性を持つ電圧であり、負の極性データを有している。Vbは、0ボルトよりも高い電圧である。Vbは、正の極性を持つ電圧であり、正の極性データを有している。従って、現像電圧テーブル120は、現像電圧V34の極性と、停止時間Toffとが関連付けられたテーブルでもある。また、現像電圧関数130は、現像電圧V34の極性と、停止時間Toffとが関連付けられた関数でもある。
次に、計測部108、設定部109および電源部110について説明する。
計測部108は、停止時間Toffを計測するようになっている。計測部108は、例えば、1秒単位で時間を計測するカウンタである。計測部108は、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を停止させるための制御信号を検知すると、時間の計測を開始するようになっている。計測部108は、計測した時間(停止時間Toff)を制御部101へ出力するようになっている。計測部108は、さらに、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を開始させるための制御信号を検知すると、時間の計測を停止するようになっている。計測部108は、制御部101とは別体で構成されていてもよいし、制御部101の機能の1つとして構成されていてもよい。
設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffに基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性を設定するようになっている。初期電圧Viは、本発明の「初期電圧」の一具体例に対応する。設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル120もしくは現像電圧関数130を用いて、計測部108によって計測された停止時間Toffに対応する極性データを求め、求めた極性データを、初期電圧Viの極性として設定するようになっている。また、設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル120もしくは現像電圧関数130を用いて、計測部108によって計測された停止時間Toffに対応する極性データおよび現像電圧データを求め、求めた極性データおよび現像電圧データに基づいて、初期電圧Viの極性および電圧値を設定するようになっている。
設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tth以下のときは、初期電圧Viの極性を負に設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tthよりも大きいときは、初期電圧Viの極性を正に設定するようになっている。閾値Tthは、感光ドラム31の静電潜像R2の電圧が所定の値(閾値Vth)となっているときの停止時間Toffである。閾値Vthは、初期電圧Viの極性が正となっている場合でも、現像剤37が感光ドラム31に引き寄せられることの少ない、感光ドラム31の表面電圧V31の上限値である。なお、閾値Tthは、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130において、例えば、停止時間t2に対応する。
設定部109は、初期電圧Viの極性を負に設定した場合には、後述の電圧V31_R1よりも高い電圧値を初期電圧Viの値として設定するようになっている。電圧V31_R1は、本発明の「帯電領域の電圧値」の一具体例に対応する。初期電圧Viの極性が負に設定された場合、表面電圧V31の不安定性を考慮すると、初期電圧Viは、電圧V31_R1よりも100ボルト以上、高くなっていることが好ましい。ここで、現像ローラ34に印加される通常電圧(印刷電圧Vp)が、後述の電圧V31_R1よりも高い電圧値となっている場合には、設定部109は、初期電圧Viを、印刷電圧Vpの値と等しい値に設定するようになっていてもよい。印刷電圧Vpは、印刷開始時T3および印刷時に現像ローラ34に印加される電圧である。印刷電圧Vpは、本発明の「印刷時に現像ローラに印加する電圧値」の一具体例に対応する。
設定部109は、設定した初期電圧Viに関する情報を電源部110に出力するようになっている。設定部109は、初期電圧Viの極性を設定した場合には、設定した初期電圧Viの極性に関する情報を電源部110に出力するようになっている。設定部109は、初期電圧Viの極性および電圧値を設定した場合には、設定した初期電圧Viの極性および電圧値に関する情報を電源部110に出力するようになっている。なお、電源部110において初期電圧Viとして出力可能な負の電圧値が1つに限定されている場合には、設定部109は、負電圧の値を電源部110に渡す必要がない。従って、このような場合には、設定部109は、初期電圧Viを設定せず、初期電圧Viの極性だけを設定し、設定した初期電圧Viの極性に関する情報だけを電源部110に出力するようになっていてもよい。
電源部110は、感光ドラム31の回転開始時T1に、設定部109によって設定された極性で、初期電圧Viを現像ローラ34に印加するようになっている。電源部110は、回転開始時T1から、現像ローラ34で現像されることにより形成される現像剤像の転写が開始される時(印刷開始時T3)までの期間(回転初期期間ΔTi)内に、設定部109によって設定された極性で、初期電圧Viを現像ローラ34に印加するようになっている。回転初期期間ΔTiは、本発明の「回転開始時から、現像ローラで現像されることにより形成される現像剤像の転写が開始される時までの期間」の一具体例に対応する。電源部110は、設定部109によって設定された初期電圧(Vi)の極性が負のとき、印刷時に現像ローラ34に印加する電圧値(印刷電圧Vp)と等しい電圧値で、初期電圧Viを現像ローラ34に印加するようになっていてもよい。なお、印刷開始時T3および回転初期期間ΔTiは、後述の図8に例示されている。
電源部110は、回転初期期間ΔTiの一部の期間だけ、初期電圧Viを現像ローラ34に印加するようになっていてもよい。電源部110は、例えば、回転開始時T1から、印刷開始時T3の直前(初期電圧停止時T2)までの間だけ、初期電圧Viを現像ローラ34に印加するようになっていてもよい。初期電圧停止時T2は、感光ドラム31の周面31Aのうち、回転開始時T1の第1の箇所Aに対応する部分が、感光ドラム31の回転によって第3の箇所Cに移動した時である。なお、初期電圧停止時T2は、後述の図8に例示されている。
[動作]
次に、画像形成装置1の動作の概要について説明する。画像形成装置1では、以下のようにして、媒体PMに対して現像剤像が形成される。画像形成装置1に接続された画像転送装置から通信回線を介して制御部101に対して印刷ジョブが供給されると、制御部101は、この印刷ジョブに基づいて、画像形成装置1内の各部材が以下のような動作を行うように、印刷処理を実行する。
まず、定着器ヒータ106による上部ローラ51および下部ローラ52の加熱が開始される。上部ローラ51および下部ローラ52が所定の温度に達すると、給紙トレイ11に収納されている媒体PMが、ピックアップローラ12によって最上部から1枚ずつ分離して取り出され、搬送路PWへ繰り出される。次いで、レジストローラ対21における突き当て処理によって、媒体PMの斜行が修正された後、媒体PMがレジストローラ対22へ搬送される。続いて、媒体PMが、レジストローラ対22(もしくは、レジストローラ対21,22)によって、搬送路PWを搬送方向Fに搬送される。このとき、媒体PMがセンサ25と対向する領域を通過したときに、媒体PMはセンサ25によって検出される。センサ25によって媒体PMが検出されると、画像形成部30の動作が開始され、媒体PMが転写部40へ搬送されるとともに、以下のようにして画像形成部30おいて形成された現像剤像が媒体PM上に転写される。このようにして、画像が媒体PMに印刷される。
図6は、現像剤像が形成される際の、感光ドラム31、現像ローラ34および供給ローラ35のそれぞれの電圧と、現像剤37の遷移を模式的に表したものである。画像形成部30では、以下の電子写真プロセスによって、現像剤像が形成される。まず、感光ドラム31は、電源部110から帯電ローラ32に帯電電圧V32が印加されることにより、帯電ローラ32の表面(表層部分)が一様に帯電し、それに伴って、感光ドラム31の周面31Aのうち、帯電ローラ32に接した部分も所定の電圧V31_R1(例えば、−600ボルト)に帯電する。次いで、感光ドラム31の周面31Aのうち、電圧V31_R1に帯電した領域(帯電領域R1)に向けて、LEDヘッド33から照射光が照射され、感光ドラム31の周面31Aが露光されることで、前述した印刷ジョブにより規定される印刷パターンに応じた静電潜像R2が、周面31A上に形成される。このとき、感光ドラム31の周面31Aのうち、静電潜像R2に対応する部分の電圧V31_R2は、例えば、概ね0ボルトとなっている。
一方、電源部110から供給ローラ35に供給電圧V35が印加されることにより、供給ローラ35の表面(表層部分)が所定の電圧(例えば、−400ボルト)となる。同様に、電源部110から現像ローラ34に現像電圧V34が印加されることにより、現像ローラ34の表面(表層部分)が所定の電圧(例えば、−300ボルト)となる。このとき、供給ローラ35は現像ローラ34と当接しており、供給ローラ35および現像ローラ34はそれぞれ、所定の周速度にて回転する。これにより、負に帯電した現像剤37が、供給電圧V35と現像電圧V34との電位差によって、現像ローラ34に引き寄せられる。その結果、現像剤37が供給ローラ35の表面から現像ローラ34の表面に供給される。続いて、現像ローラ34上の現像剤37は、現像ローラ34に当接している規制ブレード38による摩擦等により帯電される。ここで、現像ローラ34上の現像剤37の厚さは、現像電圧V34、供給電圧V35、および規制ブレード38の押し圧力等により定まる。また、現像ローラ34は感光ドラム31に当接しており、現像ローラ34および感光ドラム31はそれぞれ、所定の周速度にて回転する。これにより、負に帯電した現像剤37が、現像電圧V34と、感光ドラム31の周面31Aのうち、静電潜像R2に対応する部分の電圧V31_R2との電位差によって、感光ドラム31に引き寄せられる。その結果、現像剤37が感光ドラム31上の静電潜像R2に付着する。なお、感光ドラム31の周面31Aのうち、帯電領域R1に対応する部分の電圧V31_R1は、現像電圧V34よりも低いので、負に帯電した現像剤37は、帯電領域R1には引き寄せられない。
その後、感光ドラム31上の現像剤像は、感光ドラム31と転写部40の転写ローラとの間の電界によって、媒体PM上に転写される。なお、感光ドラム31の表面に残留した現像剤37は、クリーニングブレード39によって掻き取られることで、除去される。続いて、定着部50によって、熱および圧力が媒体PM上の現像剤像に付与されることで、現像剤像が媒体PMに定着する。
次に、画像形成装置1の動作について詳細に説明する。以下では、特に、感光ドラム31が停止状態から回転を開始する際の画像形成装置1の動作について詳細に説明する。なお、以下では、計測部108が1秒単位で時間を計測するカウンタであり、計測部108が制御部101の機能の1つとして構成されているものとする。
図7は、画像形成装置1の動作手順の一例を表したものである。図8(A)〜図8(E)、図9(A)〜図9(E)は、画像形成装置1における各種波形の一例を表したものである。図8(A)、図9(A)は、感光ドラム31の第3の箇所Cの表面電圧V31の波形の一例を表したものである。図8(B)、図9(B)は、感光ドラム31に連結されたモータ104に印加される駆動電圧V104の波形の一例を表したものである。図8(C)、図9(C)は、帯電電圧V32の波形の一例を表したものである。図8(D)、図9(D)は、現像電圧V34の波形の一例を表したものである。図8(E)、図9(E)は、供給電圧V35の波形の一例を表したものである。図8(A)〜図8(E)、図9(A)〜図9(E)において、ON(+)とは、印加される電圧が正の電圧値であることを指しており、ON(−)とは、印加される電圧が負の電圧値であることを指している。また、図8(A)〜図8(E)、図9(A)〜図9(E)において、ΔTαとは、感光ドラム31の周面31Aのうち、第1の箇所Aから第3の箇所Cまでの領域が、感光ドラム31の回転により、第3の箇所Cを通過するのに要する時間(通過時間)を指している。
まず、制御部101が画像形成装置1の電源オンを検知した場合には、計測部108は、停止時間ToffにTmaxを設定する(ステップS101)。Tmaxは、閾値Tth以上の値である。停止時間ToffにTmaxを設定するのは、画像形成装置1の電源がオフしている間は計測部108による時間計測を行うことができないからである。また、停止時間ToffにTmaxを設定するのは、感光ドラム31の実際の停止時間が閾値Tthよりも大きくなっているとみなしたためである。画像形成装置1の電源がオンしたままで、計測部108が回転停止時T0から停止時間Toffを計測している場合には、上記のステップS101が省略される。
次に、制御部101は、上述の印刷ジョブがあるか判定する(ステップS102)。制御部101は、上述の印刷ジョブがない場合、つまり、上述の印刷ジョブを受け付けるまでの間、停止時間ToffがTmaxより小さいか判定する(ステップS103)。その結果、停止時間ToffがTmaxより小さい場合で、カウンタによる前回のカウントから1秒が経過した時には、制御部101は、停止時間Toffに1を加える(ステップS104)。一方、停止時間ToffがTmax以上の場合には、制御部101は、ステップS102に戻る。なお、停止時間ToffがTmaxより小さい場合で、カウンタによる前回のカウントから1秒が経過していない時は、制御部101は、停止時間Toffに1を加えずに、ステップS102に戻る。
画像形成装置1の電源オンが検知された場合には、上述の印刷ジョブがどのようなタイミングで入力されたときであっても、停止時間Toffは、常に、Tmaxと等しくなっている。一方、画像形成装置1の電源がオンしたままで、カウンタが回転停止時T0から停止時間Toffを計測している場合には、上述の印刷ジョブが入力されるタイミングによって、停止時間ToffがTmaxよりも短いときもあれば、Tmax以上のときもある。なお、図8(A)〜図8(E)には、停止時間ToffがTmax以上のときの各種波形が例示されている。また、図9(A)〜図9(E)には、停止時間ToffがTmaxよりも短いときの各種波形が例示されている。
上述の印刷ジョブが入力されるとともに、センサ25によって媒体RMが検知されると、制御部101は、感光ドラム31に連結されたモータ104を駆動させるための制御信号の出力を、I/Oポート102に指示する。すると、I/Oポート102は、制御部101による制御を受けて、感光ドラム31に連結されたモータ104を駆動させるための制御信号を、感光ドラム31に設けられた駆動回路103に出力する。これにより、感光ドラム31に設けられた駆動回路103が、感光ドラム31に連結されたモータ104に対して、駆動電圧V104を出力する。その結果、感光ドラム31に連結されたモータ104の回転が開始される(ステップS105、T1)。このとき、制御部101は、帯電ローラ32を帯電させる帯電電圧V32(例えば、−800ボルト)の出力を電源部110に指示する。すると、電源部110は、帯電ローラ32に対して帯電電圧V32の印加を開始する(ステップS106、T1)。これにより、帯電ローラ32は、例えば、負に帯電し、感光ドラム31の周面31Aの第1の箇所Aが、帯電ローラ32によって負の電圧となる。
制御部101は、停止時間Toffと、閾値Tthとの比較を設定部109に指示する。すると、設定部109は、停止時間Toffと、閾値Tthとの比較を開始する。具体的には、設定部109は、停止時間Toffが閾値Tthよりも大きくなっているか判定する(ステップS107)。その結果、停止時間Toffが閾値Tthよりも大きくなっている場合には、現像ローラ34を帯電させる現像電圧V34として、正の電圧(初期電圧Vi)の出力を電源部110に指示する。すると、電源部110は、現像ローラ34に対して正の電圧(例えば、+150ボルトの初期電圧Vi)の印加を開始する(ステップS108、T1)。これにより、現像電圧V34が、例えば、図10Aに示したように、+150ボルトの初期電圧Viとなる。その結果、負に帯電した現像剤37が現像ローラ34の正の電圧に引き付けられるので、現像ローラ34上の現像剤37は感光ドラム31の周面31Aに移動しない。
また、上記の判定の結果、停止時間Toffが閾値Tth以下となっている場合には、現像ローラ34を帯電させる現像電圧V34として、負の電圧(初期電圧Vi)の出力を電源部110に指示する。すると、電源部110は、現像ローラ34に対して負の電圧(例えば、−300ボルトの初期電圧Vi)の印加を開始する(ステップS111)。これにより、現像電圧V34が、例えば、図10Bに示したように、−300ボルトの初期電圧Viとなる。その結果、感光ドラム31の周面31Aのうち、帯電領域R1に対応する部分の電圧V31_R1が現像電圧V34よりも低い電圧となるので、負に帯電した現像剤37は、帯電領域R1には引き寄せられない。
ステップS108が実施された後、制御部101は、感光ドラム31が通過時間ΔTαだけ回転したか判定する(ステップS109)。制御部101は、感光ドラム31が通過時間ΔTαだけ回転した場合には、正の電圧(初期電圧Vi)の出力停止を電源部110に指示する。すると、電源部110は、正の電圧(初期電圧Vi)の出力を停止する(ステップS110、T2)。
ステップS110が実施された後、または、停止時間Toffが閾値Tth以下となっていたために現像ローラ34に対して負の電圧(初期電圧Vi)の印加が実施された後には、制御部101は、以下の制御を実施する。まず、制御部101は、所定のタイミングで、現像電圧V34として、負の電圧(印刷電圧Vp)の出力を電源部110に指示するとともに、供給電圧V35として、負の電圧(例えば、−400ボルト)の出力を電源部110に指示する。すると、電源部110は、現像ローラ34に対して負の電圧(例えば、−300ボルトの印刷電圧Vp)の印加を開始する(ステップS111、T3)。これにより、現像ローラ34は、負の電圧(例えば、−300ボルトの印刷電圧Vp)となる。電源部110は、さらに、供給ローラ35に対して負の電圧(例えば、−400ボルトの供給電圧V35)の印加を開始する(ステップS111、T3)。これにより、供給ローラ35は、負の電圧(例えば、−400ボルトの供給電圧V35)となる。現像電圧V34が印刷電圧Vpに変位するタイミングと、供給電圧V35が供給ローラ35に印加されるタイミングとが、例えば、図8に示したように、互いに等しくなっている。
その後、制御部101は、印刷の停止要求があるか判定する(ステップS112)。制御部101は、印刷の停止要求があるまでの間、ステップS112を繰り返し実行する。制御部101は、印刷の停止要求があった場合、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を停止させるための制御信号の出力を、I/Oポート102に指示する。すると、I/Oポート102は、制御部101による制御を受けて、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を停止させるための制御信号を、感光ドラム31に設けられた駆動回路103に出力する。これにより、感光ドラム31に設けられた駆動回路103が、感光ドラム31に連結されたモータ104への駆動電圧V104の供給を停止する。その結果、感光ドラム31に連結されたモータ104の回転が停止する(ステップS113、T0)。
このとき、制御部101は、帯電電圧V32、現像電圧V34、供給電圧V35の出力停止を電源部110に指示する。すると、電源部110は、帯電ローラ32、現像ローラ34および供給ローラ35に対する帯電電圧V32、現像電圧V34、供給電圧V35の供給を停止する(ステップS114)。最後に、制御部101は、停止時間Toffを0に設定する(ステップS115)。
[効果]
次に、画像形成装置1の効果について説明する。一般に、電子写真方式の画像形成装置では、電源投入直後や、長い待機状態の後の現像ユニット起動時には、感光ドラムの表面電圧は、0ボルトに近い状態となっている。そのような状態で通常の現像プロセスが実行され、現像ローラに負の電圧が印加されると、現像ローラ上の現像剤が負に帯電する。このとき、感光ドラムと現像ローラとの間には電位差が生じるので、現像ローラ上の、負に帯電した現像剤が、感光ドラムに引きつけられ、その結果、現像剤が無駄に消費されてしまう。そこで、感光ドラムの周面のうち、感光ドラムの表面電圧が0ボルトに近い状態となっている領域が現像ローラを通過し終わるまでの間、現像ローラに正の電圧を印加することにより、感光ドラムに現像剤が引き付けられるのを防止することが考えられる。
図11(A)〜図11(E)は、比較例に係る画像形成装置の各種波形の一例を表したものである。図12は、現像剤像が形成される際の、感光ドラム31、現像ローラ34および供給ローラ35のそれぞれの電圧(V31、V34、V35)と、現像剤37の遷移の一例を表したものである。図11(A)〜図11(E)では、感光ドラム31の周面31Aのうち、感光ドラム31の表面電圧V31が0ボルトに近い状態となっている領域が現像ローラ34を通過し終わるまでの間、現像ローラ34に正の初期電圧Viが印加される。
ところで、印刷等の動作が終了して、感光ドラム31が一旦停止した直後に、再度、印刷等の動作が開始された場合、感光ドラム31の表面電圧V31が減衰する前に、感光ドラム31の回転が開始されることがある。この場合に、図11(D)に示したように、現像ローラ34に正の初期電圧Viが印加されたとする。このとき、例えば、図12に示したように、現像ローラ34上で正に帯電した現像剤37が、負に帯電した感光ドラム31の表面に強く引き付けられる。そのため、比較例に係る画像形成装置では、現像剤37が無駄に消費されてしまう。
一方、画像形成装置1では、感光ドラム31の回転が停止している間の停止時間Toffに基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性が設定される。具体的には、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル120もしくは現像電圧関数130を用いて、計測部108によって計測された停止時間Toffに対応する極性が、初期電圧Viの極性として設定される。計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tth以下のときは、初期電圧Viの極性が負に設定される。計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tthよりも大きいときは、初期電圧Viの極性が正に設定される。画像形成装置1では、このようにして初期電圧Viの極性が設定されることにより、例えば、図10A、図10Bに示したように、現像ローラ34上の現像剤37が感光ドラム31の表面に引き付けられることが抑制される。その結果、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態の画像転写装置1の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
[変形例1]
本変形例では、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、極性テーブル140または極性関数150が用いられる。記憶部107は、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、極性テーブル140または極性関数150を格納している。極性テーブル140は、本発明の「テーブル」の一具体例に対応する。極性関数150は、本発明の「関数」の一具体例に対応する。
図13Aは、極性テーブル140の一例を表したものである。図13Bは、極性関数150の一例を表したものである。極性テーブル140は、現像電圧V34の極性P34と、停止時間Toffとが関連付けられたテーブルである。極性テーブル140では、停止時間Toffがt1,t2のときには、現像電圧V34の極性P34が−(マイナス)となっており、停止時間Toffがt3〜tnのときには、現像電圧V34の極性P34が+(プラス)となっている。極性関数150は、現像電圧V34の極性P34と、停止時間Toffとが関連付けられた関数である。極性関数150では、停止時間Toffがt1,t2のときには、現像電圧V34の極性P34が−(マイナス)となっており、停止時間Toffがt3〜tnのときには、現像電圧V34の極性P34が+(プラス)となっている。
本変形例では、設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffに基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性を設定するようになっている。設定部109は、記憶部107から読み出した極性テーブル140もしくは極性関数150を用いて、計測部108によって計測された停止時間Toffに対応する極性データ(P34)を、初期電圧Viの極性として設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tth以下のときは、初期電圧Viの極性を負に設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tthよりも大きいときは、初期電圧Viの極性を正に設定するようになっている。本変形例では、閾値Tthは、t2となっている。
本変形例では、画像形成装置1では、感光ドラム31の回転が停止している間の停止時間Toffに基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性が設定される。具体的には、記憶部107から読み出した極性テーブル140もしくは極性関数150を用いて、計測部108によって計測された停止時間Toffに対応する極性P34が、初期電圧Viの極性として設定される。計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tth以下のときは、初期電圧Viの極性が負に設定され、計測部108によって計測された停止時間Toffが閾値Tthよりも大きいときは、初期電圧Viの極性が正に設定される。画像形成装置1では、このようにして初期電圧Viの極性が設定されることにより、例えば、図10A、図10Bに示したように、現像ローラ34上の現像剤37が感光ドラム31の表面に引き付けられることが抑制される。その結果、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
[変形例2]
本変形例では、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、現像電圧テーブル160または現像電圧関数170が用いられる。記憶部107は、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、現像電圧テーブル160または現像電圧関数170を格納している。記憶部107は、さらに、閾値Tfthを格納している。現像電圧テーブル160は、本発明の「テーブル」の一具体例に対応する。現像電圧関数170は、本発明の「関数」の一具体例に対応する。閾値Tfthは、本発明の「第2閾値」の一具体例に対応する。
本変形例では、計測部108は、現像剤37を媒体PM上に定着させる定着部50の温度T60を計測するようになっている。定着部50の温度T60は、停止時間Toffの増加につれて減少するパラメータである。媒体PMは、本発明の「媒体」の一具体例に対応する。定着部50の温度T60が、本発明の「物理量」の一具体例に対応する。計測部108は、例えば、温度センサである。計測部108は、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を停止させるための制御信号を検知すると、上部ローラ51もしくは下部ローラ52の温度T60の計測を開始するようになっている。計測部108は、計測した温度T60を制御部101へ出力するようになっている。計測部108は、さらに、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を開始させるための制御信号を検知すると、上部ローラ51もしくは下部ローラ52の温度T60の計測を停止するようになっている。
図14(A)は、感光ドラム31の第1の箇所Aの表面電圧V31の経時変化の一例を表したものである。図14(B)は、帯電電圧V32の経時変化の一例を表したものである。なお、図15(A),図15(B)の横軸は、時間の代わりに、時間と相関のある定着部50の温度T60となっている。図15(A)、図15(B)の横軸では、右に向かうにつれて定着部50の温度が低くなる。図15(A)の縦軸では、上に向かうにつれて負電圧が大きくなる。
感光ドラム31の回転が停止すると同時に、帯電電圧V32がオフされ、0ボルトとなる。すると、感光ドラム31の第1の箇所Aの表面電圧V31が、時間の経過(定着部50の温度の減少)とともに減衰し、最終的に0ボルトまたは0ボルトに近い電圧となる。現像電圧テーブル160および現像電圧関数170は、そのような感光ドラム31の表面電圧V31の減衰を計測または予測することにより得られたデータである。
図15Aは、現像電圧テーブル160の一例を表したものである。図15Bは、現像電圧関数170の一例を表したものである。現像電圧テーブル160は、現像電圧V34と、定着部50の温度T60とが関連付けられたテーブルである。現像電圧テーブル160では、定着部50の温度T60がTf1,Tf2,Tf3,…,Tfnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。現像電圧関数170は、現像電圧V34と、定着部50の温度T60とが関連付けられた関数である。現像電圧関数170では、定着部50の温度T60がTf1,Tf2,Tf3,…,Tfnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。
ここで、Vaは、表面電圧V31よりも高い電圧であり、かつ、0ボルトよりも低い電圧である。Vaは、負の極性を持つ電圧であり、負の極性データを有している。Vbは、0ボルトよりも高い電圧である。Vbは、正の極性を持つ電圧であり、正の極性データを有している。従って、現像電圧テーブル160は、現像電圧V34の極性と、定着部50の温度T60とが関連付けられたテーブルでもある。また、現像電圧関数170は、現像電圧V34の極性と、定着部50の温度T60とが関連付けられた関数でもある。
設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性を設定するようになっている。設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル160もしくは現像電圧関数170を用いて、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に対応する極性データを求め、求めた極性データを、初期電圧Viの極性として設定するようになっている。また、設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル160もしくは現像電圧関数170を用いて、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に対応する極性データおよび現像電圧データを求め、求めた極性データおよび現像電圧データに基づいて、初期電圧Viの極性および電圧値を設定するようになっている。
設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfth以上のときは、初期電圧Viの極性を負に設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性を正に設定するようになっている。閾値Tfthは、感光ドラム31の静電潜像R2の電圧が所定の値(閾値Vth)となっているときの定着部50の温度T60である。なお、閾値Tfthは、現像電圧テーブル160および現像電圧関数170において、例えば、温度Tf2に対応する。
本変形例では、画像形成装置1では、定着部50の温度T60に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性が設定される。具体的には、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル160もしくは現像電圧関数170を用いて、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に対応する極性が、初期電圧Viの極性として設定される。計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfth以上のときは、初期電圧Viの極性が負に設定される。計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性が正に設定される。画像形成装置1では、このようにして初期電圧Viの極性が設定されることにより、例えば、図10A、図10Bに示したように、現像ローラ34上の現像剤37が感光ドラム31の表面に引き付けられることが抑制される。その結果、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
[変形例3]
本変形例では、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、極性テーブル180または極性関数190が用いられる。記憶部107は、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、極性テーブル180または極性関数190を格納している。記憶部107は、さらに、閾値Tfthを格納している。極性テーブル180は、本発明の「テーブル」の一具体例に対応する。極性関数190は、本発明の「関数」の一具体例に対応する。閾値Tfthは、本発明の「第2閾値」の一具体例に対応する。
図16Aは、極性テーブル180の一例を表したものである。図16Bは、極性関数220の一例を表したものである。極性テーブル180は、現像電圧V34の極性P34と、定着部50の温度T60とが関連付けられたテーブルである。極性テーブル180では、定着部50の温度T60がTf1,Tf2のときには、現像電圧V34の極性P34が−(マイナス)となっており、定着部50の温度T60がTf3〜Tfnのときには、現像電圧V34の極性P34が+(プラス)となっている。極性関数190は、現像電圧V34の極性P34と、定着部50の温度T60とが関連付けられた関数である。極性関数190では、定着部50の温度T60がTf1,Tf2のときには、現像電圧V34の極性P34が−(マイナス)となっており、定着部50の温度T60がTf3〜Tfnのときには、現像電圧V34の極性P34が+(プラス)となっている。
本変形例では、設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性を設定するようになっている。設定部109は、記憶部107から読み出した極性テーブル180もしくは極性関数190を用いて、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に対応する極性データ(P34)を、初期電圧Viの極性として設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfth以上のときは、初期電圧Viの極性を負に設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性を正に設定するようになっている。本変形例では、閾値Tfthは、Tf2となっている。
本変形例では、画像形成装置1では、定着部50の温度T60に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性が設定される。具体的には、記憶部107から読み出した極性テーブル180もしくは極性関数190を用いて、計測部108によって計測された定着部50の温度T60に対応する極性P34が、初期電圧Viの極性として設定される。計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfth以上のときは、初期電圧Viの極性が負に設定される。計測部108によって計測された定着部50の温度T60が閾値Tfthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性が正に設定される。画像形成装置1では、このようにして初期電圧Viの極性が設定されることにより、例えば、図10A、図10Bに示したように、現像ローラ34上の現像剤37が感光ドラム31の表面に引き付けられることが抑制される。その結果、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
[変形例4]
本変形例では、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、現像電圧テーブル210または現像電圧関数220が用いられる。記憶部107は、現像電圧テーブル120および現像電圧関数130の代わりに、現像電圧テーブル210または現像電圧関数220を格納している。現像電圧テーブル210は、本発明の「テーブル」の一具体例に対応する。現像電圧関数220は、本発明の「関数」の一具体例に対応する。
本変形例では、計測部108は、感光ドラム31の表面電圧V31を計測するようになっている。感光ドラム31の表面電圧V31は、停止時間Toffの増加につれて減少するパラメータである。感光ドラム31の表面電圧V31が、本発明の「物理量」の一具体例に対応する。計測部108は、例えば、電圧計である。計測部108は、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を停止させるための制御信号を検知すると、感光ドラム31の表面電圧V31の計測を開始するようになっている。計測部108は、計測した表面電圧V31を制御部101へ出力するようになっている。計測部108は、さらに、例えば、I/Oポート102から出力された、感光ドラム31に連結されたモータ104の駆動を開始させるための制御信号を検知すると、感光ドラム31の表面電圧V31の計測を停止するようになっている。
図17Aは、現像電圧テーブル210の一例を表したものである。図17Bは、現像電圧関数220の一例を表したものである。現像電圧テーブル210は、現像電圧V34と、表面電圧V31とが関連付けられたテーブルである。現像電圧テーブル210では、感光ドラム31の表面電圧V31がV1,V2,V3,…,Vnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。現像電圧関数220は、現像電圧V34と、表面電圧V31とが関連付けられた関数である。現像電圧関数220では、感光ドラム31の表面電圧V31がV1,V2,V3,…,Vnと変化すると、現像電圧V34がVa,Va,Vb,…,Vbと変化する。
ここで、Vaは、表面電圧V31よりも高い電圧であり、かつ、0ボルトよりも低い電圧である。Vaは、負の極性を持つ電圧であり、負の極性データを有している。Vbは、0ボルトよりも高い電圧である。Vbは、正の極性を持つ電圧であり、正の極性データを有している。従って、現像電圧テーブル210は、現像電圧V34の極性と、感光ドラム31の表面電圧V31とが関連付けられたテーブルでもある。また、現像電圧関数220は、現像電圧V34の極性と、感光ドラム31の表面電圧V31とが関連付けられた関数でもある。
設定部109は、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性を設定するようになっている。設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル210もしくは現像電圧関数220を用いて、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31に対応する極性データを求め、求めた極性データを、初期電圧Viの極性として設定するようになっている。また、設定部109は、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル210もしくは現像電圧関数220を用いて、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31に対応する極性データおよび現像電圧データを求め、求めた極性データおよび現像電圧データに基づいて、初期電圧Viの極性および電圧値を設定するようになっている。
設定部109は、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31が閾値Vth以上のときは、初期電圧Viの極性を負に設定するようになっている。設定部109は、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31が閾値Vthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性を正に設定するようになっている。
本変形例では、画像形成装置1では、感光ドラム31の表面電圧V31に基づいて、現像ローラ34に印加される初期電圧Viの極性が設定される。具体的には、記憶部107から読み出した現像電圧テーブル210もしくは現像電圧関数220を用いて、計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31に対応する極性が、初期電圧Viの極性として設定される。計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31が閾値Vth以上のときは、初期電圧Viの極性が負に設定される。計測部108によって計測された感光ドラム31の表面電圧V31が閾値Vthよりも小さいときは、初期電圧Viの極性が正に設定される。画像形成装置1では、このようにして初期電圧Viの極性が設定されることにより、例えば、図10A、図10Bに示したように、現像ローラ34上の現像剤37が感光ドラム31の表面に引き付けられることが抑制される。その結果、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
[変形例5]
上記実施の形態および上記変形例1〜3において、現像電圧テーブル120,160、現像電圧関数130,170、極性テーブル140,180、および極性関数150,190が、筐体100内の環境(温度や湿度)を考慮したものとなっていてもよい。この場合、計測部108が、温度や湿度を計測するセンサを含んで構成されていることが好ましい。
感光ドラム31の回転が停止したときの表面電圧V31の減衰特性は、厳密には、筐体100内の環境(温度や湿度)によって異なる。そのため、現像電圧テーブル120,160,210、現像電圧関数130,170,220、極性テーブル140,180、および極性関数150,190は、筐体100内の環境(温度や湿度)に関するパラメータを有していることが好ましい。
感光ドラム31の回転が停止したときの表面電圧V31の減衰特性は、高温、高湿のときには減衰量が大きく、低温、低湿のときには減衰量が小さくなる傾向を有している。つまり、表面電圧V31の減衰時間は、高温、高湿のときには短くなり、低温、低湿のときには長くなる。
そのため、制御部101は、高温、高湿のときには、初期電圧Viの極性および電圧値が、減衰量が大きいときの減衰特性に対応した値となるように、上記パラメータを調整するようになっていることが好ましい。制御部101は、例えば、閾値Tthをより小さな値に調整したり、閾値Tfthをより高い値に調整したりするようになっていることが好ましい。
また、制御部101は、低温、低湿のときには、初期電圧Viの極性および電圧値が、減衰量が小さいときの減衰特性に対応した値となるように、上記パラメータを調整するようになっていることが好ましい。制御部101は、低温、低湿のときには、例えば、閾値Tthをより大きな値に調整したり、閾値Tfthをより低い値に調整したりするようになっていることが好ましい。
本変形例では、現像電圧テーブル120,160、現像電圧関数130,170、極性テーブル140,180、および極性関数150,190が、筐体100内の環境(温度や湿度)を考慮したものとなっている。これにより、初期電圧Viの極性および電圧値を、筐体100内の環境(温度や湿度)に応じて設定することができる。その結果、筐体100内の環境(温度や湿度)が変動した場合であっても、現像剤37の無駄な消費を低減することができる。
[変形例6]
以下に、種々の変形例について説明する。
上記実施の形態およびその変形例では、画像転写が直接方式となっていたが、間接方式となっていてもよい。また、上記実施の形態では、単色の画像形成部30が用いられていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、2色以上の画像形成部30が用いられていてもよい。また、上記実施の形態では、LEDヘッド33が用いられていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、LEDヘッド33の代わりに、または、LEDヘッド33とともに、レーザ素子等が用いられてもよい。
上記実施の形態およびその変形例において説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われてもよい。上記一連の処理がソフトウェアで行われる場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
上記実施の形態およびその変形例では、電子写真プリンタを例に挙げて、本発明の一実施の形態について説明が行われた。しかし、本発明は、カラー機やプリンタへの適用に限定されるものではく、搬送される媒体上に画像形成する画像形成装置全般に適用することの可能なものである。本発明は、例えば、モノクロコピー機、カラーコピー機、モノクロMFP、カラーMFPなどに適用可能なものである。
上記実施の形態では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、印刷機能を有している画像形成装置について説明が行われた。しかし、本発明は、印刷機能を有している画像形成装置への適用に限定されるものではなく、例えば、スキャン機能やファックス機能を有している複合機として機能する画像形成装置へも適用可能なものである。
1…画像形成装置、10…給紙部、11…給紙トレイ、12……ピックアップローラ、20…搬送部、21,22…レジストローラ対、23,24,25…センサ、30…画像形成部、31…感光ドラム、32…帯電ローラ、33…LEDヘッド、34…現像ローラ、35…供給ローラ、36…カートリッジ、37…現像剤、38…規制ブレード、39…クリーニングブレード、40…転写部、50…定着部、51…上部ローラ、52…下部ローラ、60…排出部、61,62,63…搬送ローラ対、100…筐体、100A…スタッカ、101…制御部、102…I/Oポート、103,105…駆動回路、104…モータ、106…定着器ヒータ、107…記憶部、108…計測部、109…設定部、110…電源部、111…制御線、120,160,210…現像電圧テーブル、130,170,220…現像電圧関数、140,180…極性テーブル、150,190…極性関数、A…第1の箇所、B…第2の箇所、C…第3の箇所、F…搬送方向、L1…距離、P34…極性、R1…帯電領域、R2…静電潜像、T0…回転停止時、T1…回転開始時、T2…初期電圧停止時、T3…印刷開始時、Tf,Tf1,Tf2,Tf3,Tfn,T60…温度、Toff,t1,t2,t3,tn…停止時間、Tth,Tfth,Vth…閾値、Vi…初期電圧、Vp…印刷電圧、V31,V1,V2,V3,Vn…表面電圧、V32…帯電電圧、V34…現像電圧、V35…供給電圧、V104…駆動電圧、V31_R1,V31_R2,Va,Vb…電圧、ΔTi…回転初期期間、ΔTα…通過時間、ΔTi…回転初期期間。

Claims (11)

  1. 感光体を含む周面を有する感光ドラムと、
    前記周面と対向して配置され、前記周面を帯電させる帯電部材と、
    前記帯電部材によって帯電した前記周面の帯電領域を露光して静電潜像を形成する露光部と、
    前記帯電部材よりも、前記感光ドラムの回転方向における下流の位置において前記周面と対向して配置され、現像剤により前記静電潜像を現像する現像部材と、
    前記感光ドラムの回転が停止している間の停止時間、または前記停止時間の増加につれて変動する物理量を計測する計測部と、
    前記計測部によって計測された前記停止時間または前記物理量に基づいて、前記現像部材に印加される初期電圧の極性を設定する設定部と、
    前記感光ドラムの回転開始時に、前記設定部によって設定された極性で、前記初期電圧を前記現像部材に印加する電源部と
    を備えた
    画像形成装置。
  2. 前記現像部材に印加される初期電圧の極性と、前記停止時間または前記物理量とが関連付けられたテーブルもしくは関数を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記テーブルもしくは前記関数用いて、前記計測部によって計測された前記停止時間または前記物理量に対応する極性データを求め、求めた前記極性データを、前記初期電圧の極性として設定する
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記設定部は、
    前記計測部によって計測された前記停止時間が第1閾値以下のときは、前記初期電圧の極性を負に設定し、
    前記計測部によって計測された前記停止時間が前記第1閾値よりも大きいときは、前記初期電圧の極性を正に設定する
    請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記物理量は、前記停止時間の増加につれて減少するパラメータであり、
    前記設定部は、
    前記計測部によって計測された前記物理量が第2閾値以上のときは、前記初期電圧の極性を負に設定し、
    前記計測部によって計測された前記物理量が第2閾値よりも小さいときは、前記初期電圧の極性を正に設定する
    請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記テーブルは、前記現像部材に印加される初期電圧の極性および電圧値と、前記停止時間または前記物理量とが関連付けられたテーブルであり、
    前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記テーブルを用いて、前記計測部によって計測された前記停止時間または前記物理量に対応する前記極性データおよび前記現像電圧データを求め、求めた前記極性データおよび前記現像電圧データに基づいて、前記初期電圧の極性および電圧値を設定する
    請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記関数は、前記現像部材に印加される初期電圧の極性および電圧値と、前記停止時間または前記物理量とが関連付けられた関数であり、
    前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記関数を用いて、前記計測部によって計測された前記停止時間または前記物理量に対応する前記極性データおよび前記現像電圧データを求め、求めた前記極性データおよび前記現像電圧データに基づいて、前記初期電圧の極性および電圧値を設定する
    請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記設定部は、前記初期電圧の極性を負に設定した場合には、前記初期電圧の電圧値を、前記帯電領域の電圧値よりも高い電圧値に設定する
    請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記電源部は、前記回転開始時から、前記現像部材で現像されることにより形成される現像剤像の転写が開始される時までの期間内に、前記設定部によって設定された極性で、 前記初期電圧を前記現像部材に印加する
    請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記電源部は、前記設定部によって設定された前記初期電圧の極性が負のとき、印刷時に前記現像部材に印加する電圧値と等しい電圧値で、前記初期電圧を前記現像部材に印加する
    請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記物理量は、前記現像剤を媒体上に定着させる定着部の温度である
    請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記物理量は、前記感光ドラムの表面電圧である
    請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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