JP2016141982A - 浮体式海洋構造物の海上施工システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海上に浮かぶ浮体構造物1Aと、浮体構造物1Aに支持され、平面視で中心に中空部を有する筒状のタワー部1Bと、を有する浮体式海洋構造物の構築に用いられ、タワー部1Bの平面視中央部に設けられ、タワー部1Bのタワー内周躯体に対して昇降可能に支持されるステージ支持柱を有する中央ステージ2と、中央ステージ2のタワー軸回りに旋回自在な組立ユニット3と、を備え、ステージ支持柱をタワー内周躯体に固定させた状態で、外周低層部1Dに反力をとって中央ステージ2を降下させ、タワー部1Bを浮体構造物の挿通孔を通して海中に沈める構成とした。
【選択図】図1
Description
このような規模の浮体式海洋構造物の施工にあたっては、例えば原子力発電所の建設等で使用するような超大型クレーンを浮体構造物に設置して施工することが一般的に考えられる。
すなわち、超大型ジブクレーンを浮体構造物に設置して施工することになるが、クレーンの設置荷重が浮体構造物に局所的に作用するため、浮体構造物を補強するなどの地盤耐力を確保する対策が必要となる問題があった。
また、本発明によれば、海上での施工効率を向上させることで工期の短縮を図ることができる。
洋上構造物1は、洋上に浮かべられた大規模な浮体構造物1Aと、浮体構造物1A上に支持される例えば高さが1000mに及ぶ超高層の筒状のタワー部1Bと、タワー部1Bの上部から上方に向かうに従い漸次、径方向の外側に広がるリング状空中部1Cと、タワー部1Bから浮体構造物1Aの外周側に向けて広がりとなる外周低層部1D(浮体構造物)と、を備えている。洋上構造物1は、住空間、オフィス空間、商業施設、公園等のレクリエーション施設等の備えたいわゆる「海上都市」として機能する構造物である。
また、浮体構造物1Aには、タワー部1Bの施工中において、タワー部1Bを上下方向に挿通可能に配置する平面視円形の挿通孔1aが形成されている。
タワー部1Bは、下部から上部に向かって1層を施工しつつ海中に向けて下降させる施工を繰り返してタワー部1B全体の施工が完了したときに、タワー部1B全体をリフトアップすることにより自立させて構築される。
外周低層部1Dのうち内周側の最上階の躯体上面には、タワー軸Oと同軸に設けられる2条の旋回レール34A,34Bがそれぞれリング状に敷設されている。旋回レール34A、34Bはそれぞれ径方向に間隔をあけて配置され、後述する組立ユニット3のユニット支持柱32が旋回レール34A、34Bに沿って移動可能な構成となっている。
図2および図5に示すように、海上施工システム10は、タワー部1Bの平面視中央部にタワー軸Oに同軸に設けられるとともにタワー部1Bのタワー内周躯体12aに対して昇降可能に支持されるステージ支持柱21を有する中央ステージ2と、中央ステージ2に対して周方向に旋回可能に支持され、かつ外周低層部1D上に昇降可能に支持される複数(ここでは3ユニット)の組立ユニット3と、を備えている。
下段支持脚20Bは、ステージ支持柱21の下端に対して固定されている。一方、上段支持脚20Aは、ステージ支持柱21に対して固定、開放が可能な支柱係止部22に設けられている。上段支持脚20Aは、支柱係止部22の開放時においてステージ支持柱21に沿って摺動可能となる。
つまり、中央ステージ2は、タワー部1Bの鉄骨の組立の進捗に合わせて、上段支持脚20Aおよび下段支持脚20Bを順次、出し入れさせながら、尺取虫式で上昇、下降できる構成となっている。
第1径方向移動レール36Bと第2径方向移動レール37Bを直線上に一致させることで、第1ホイスト36Cおよび第2ホイスト37Cを双方の移動レール36B、37B間で乗り移しさせることができ、組立エリアR1と搬入エリアR2との間で資材の受け渡しが可能となっている。
また、昇降装置38による組立ユニット3の昇降と、中央ステージ2の昇降とを同調させることで、組立ユニット3の枠材35を水平に上下させることが可能になる。
ここで、上述した枠材35、第1揚重設備36、第2揚重設備37、およびカバー体39を組立ユニット本体30(図5参照)という。
搬送システム6は、組立ユニット3の直下で、かつ外周低層部1Dの最下層の内側に配置される受渡し部Pにおいて径方向の外側に向けて配置される水平搬送部を備えている。
図2に示すように、先ず、陸上の製作ヤード(ドック)で製作した浮体構造物1Aを洋上に浮かべて係留索(図示省略)により係留する。浮体構造物1Aは施工途中および完成後の洋上構造物1全体を安定に支持し得るものであり、タワー部1Bおよびリング状空中部1Cの建設前にその全体を完成させておいても良いし、あるいは洋上構造物1の建設と並行して順次拡大していくことでも良い。いずれにしてもタワー部1Bの施工開始時点ではその施工位置に海上施工システム10を設置できる状態(本実施の形態では外周低層部1Dの内側部分が構築された状態)に設けておく。
このとき、浮沈架台4と浮体構造物1Aとをケーブル5(図10(a)参照)により連結しておき、後工程において浮沈架台4の浮力の調整のみでは施工済みのタワー部1Bを支持できなくなった時点において、ケーブル5により浮沈架台4を介してタワー部1Bを浮体構造物1Aから吊り支持する。
先ず、図8(a)に示すように、ステップS1(Astep1)において、各組立ユニット3のそれぞれの位置における組立エリアR1で1層分(例えば高さ50m)のタワーブロック11の躯体を組み立てる。この組み立ての完了後に、図5に示す組立ユニット3の旋回用支持柱31の第1走行車輪31aおよび複数のユニット支持柱32の第2走行車輪32aを同時に駆動させ、組立ユニット3を周方向の一方向に向けて略中心角15°で旋回させ、周方向に隣接するタワーブロック11の組立エリアR1に第1揚重設備36が配置するように組立ユニット3を位置させる。そして、この位置で先行して施工したタワーブロック11に接合するようにして新たなタワーブロック11の組み立てを行う。
具体的には、図7に示す昇降装置38の上段把持部38Aをユニット支持柱32から開放し、昇降ジャッキ38Cを収縮させて組立ユニット本体30を降下させることで中央ステージ2も降下する。これに合わせて、中央ステージ2を支持するステージ支持柱21に固定されるタワー部1Bが降下される。このときの1回あたりの降下可能な高さは、昇降ジャッキ38Cの伸縮長によって決まるが、昇降装置38の把持部38A、38Bの把持、開放と、昇降ジャッキ38Cの伸縮を順次、繰り返して尺取虫方式の要領で1層分の高さだけタワー部1Bを下降させる。このとき、組み立てたタワー部1Bの最上層の上端が外周低層部1Dの内周部の上端と高さを一致させ、タワー部1Bが外周低層部1Dに対して動かないように仮に固定しておく。
なお、タワー部1Bを海中に沈める際には、浮沈架台4にバラストを導入してその浮力を調整することにより海面下に降下させていき、施工したタワー部1Bの躯体の高さ相当分だけ降下させた位置で支持する。
タワー部1Bの降下が完了したら、海上施工システム10を撤去する。
先ず、図10(a)、(b)に示すように、ステップS1(Bstep1)およびステップS2(Bstep2)において、浮沈架台4からバラストを抜いて浮力を与え、かつケーブル5を巻き上げていくことにより、浮沈架台4とともにタワー部1B全体を浮上させていき、それに伴って高層部の躯体を浮体構造物1Aの挿通孔1aおよび外周低層部1Dの内周開口1bを通して外周低層部1D上に立ち上げる。
そして、複数に分割したリング状空中部1Cの単体ブロックをリング状空中部1Cの内周側から外周側の順で段階的に組み立てることで、リング状空中部1Cの全体を施工する。つまり、順次、基端側から径方向の外側に向けて延ばすようにしてリング状空中部1Cを完成させる。
そして、図12(b)に示すステップS6(Bstep6)において、残りのタワー部1Bを引き上げて浮体構造物1A上に自立させて一連の施工が完了となる。
なお、タワー部1Bは、リフトアップとともに順次、外装や内装その他の諸工事を行うようにする。
本実施の形態では、図5に示すように、組立ユニット3によって所定の施工範囲において所定高さのタワーブロック11を施工した後、組立ユニット3を中央ステージ2のタワー軸O回りに旋回させて隣接する施工範囲に次のタワーブロック11を施工することができ、順次繰り返すことで、全周にわたって所定高さのタワー部1Bを施工することができる。その後、ステージ支持柱21をタワー内周躯体12aに固定させた状態で、外周低層部1Dに反力をとって中央ステージ2を降下させることで、組み上がったタワー部1Bを浮体構造物1Aの挿通孔1aを通して海中に沈めることができる。
このように単位高さ当たりのタワー部1Bの構築と降下の作業を繰り返すことでタワー部1B全体の施工を完了させ、最後に海中の浮力を利用して組み上がったタワー部1Bを一体的にリフトアップし浮体構造物1C上に自立させることができる。
そのため、作業員や資材を高層部に搬送する必要がなくなり、常時、地上部で施工を行うことができ、しかもクレーンの高所への移設作業が不要となる。これにより、タワー部の高さが高くなることに伴う揚重時間の増加がなくなり、作業効率を向上させることができ、工期の短縮を図ることができる。
しかも、本実施の形態では、タワー部1Bの頂部のセットバック部においても、支持方法を変えることなく施工することが可能となる。
また、本実施の形態では、海上での施工効率を向上させることで工期の短縮を図ることができる。
1A 浮体構造物
1B タワー部
1C リング状空中部
1D 外周低層部
2 中央ステージ
3、3A、3B、3C 組立ユニット
4 浮沈架台
5 ケーブル
6 搬送システム
10 海上施工システム
11 タワーブロック
20 支持脚
20A 上段支持脚
20B 下段支持脚
21 ステージ支持柱
22 支柱係止部
23 案内ガイドレール(案内ガイド)
30 組立ユニット本体
31 旋回用支持柱
32 ユニット支持柱
34A、34B 旋回レール
35 枠材
36 第1揚重設備
37 第2揚重設備
38 昇降装置
38A、38B 把持部
38C 昇降ジャッキ
39 カバー体(屋根体)
O タワー軸
R1 組立エリア
R2 搬入エリア
Claims (7)
- 海上に浮かぶ浮体構造物と、該浮体構造物に支持され、平面視で中心に中空部を有する筒状のタワー部と、を有し、前記浮体構造物には前記タワー部を上下方向に挿通可能に配置する挿通孔が形成された浮体式海洋構造物の構築に用いられる浮体式海洋構造物の海上施工システムであって、
前記タワー部の平面視中央部に設けられ、前記タワー部のタワー内周躯体に対して昇降可能に支持されるステージ支持柱を有する中央ステージと、
前記中央ステージのタワー軸回りに旋回自在な組立ユニットと、
を備え、
前記ステージ支持柱を前記タワー内周躯体に固定させた状態で、前記浮体構造物に反力をとって前記中央ステージを降下させ、前記タワー部を前記浮体構造物の前記挿通孔を通して海中に沈める構成としたことを特徴とする浮体式海洋構造物の海上施工システム。 - 前記組立ユニットは、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。
- 前記複数の組立ユニットは、それぞれ単独で旋回することを特徴とする請求項2に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。
- 前記中央ステージには、前記タワー軸回りに周回する方向に延在する環状の案内ガイドが設けられ、
前記組立ユニットは、前記案内ガイドに案内されて旋回することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。 - 前記組立ユニットには、前記タワー部の上方に配置される第1揚重設備と、前記タワー部の径方向の外側部分の上方に配置され、前記組立ユニットの外方と前記第1揚重設備との間で資材を受け渡し可能に設けられた第2揚重設備と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。
- 前記組立ユニットは、前記浮体構造物の上部に設置されるユニット支持柱に沿って昇降可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。
- 前記組立ユニットの上方は、屋根体によって覆われていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の浮体式海洋構造物の海上施工システム。
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