JP2010101033A - 水上構造物の構築工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】浮体構造物2を水面上に浮かべて係留し、浮体構造物上において躯体4をその下部から上部へ順次施工していきつつ施工した躯体を浮体構造物上から順次降下させていく工程を繰り返すことにより、施工済みの躯体をその上部を残して水面下に沈降させた状態で浮体構造物から吊り支持しつつ躯体を頂部まで施工し、施工済みの躯体の全体を引き上げてその底部を浮体構造物に対して固定する。浮体構造物に施工するべき躯体が挿通可能な開口部6を設け、開口部内に浮力調整が可能な浮沈架台7を配置して浮体構造物から吊り支持し、浮沈架台を躯体とともに沈降かつ浮上させて最終的に開口部内に固定する。
【選択図】図6
Description
すなわち、前者は最も一般的な施工方法であって低層から超高層建物まで適用可能であるが、建物高さが高くなるにつれて揚重揚程(地上から最上階までの距離)が長くなり、同一速度で部材を揚重するとすれば建物の高さとともに揚重時間が増加し、結果的に1層当たりの施工時間は増大する。
また、後者は建物がいかに高層になろうと下階で柱を足していく作業手順は同一作業の繰り返しであるので1層当たりの施工時間は変わらないが、建物の高さとともに建物を上方へ押し上げるためのジャッキ容量が増加するので大型のジャッキが必要となり、そのため建設コストが著しく増加してしまうので特に超高層建物への適用は現実的ではないとも考えられる。
特に、躯体を浮沈架台上において施工して浮沈架台とともに沈降させかつ引き上げることにより、浮沈架台の浮力を有効に利用できるし、最終的に浮沈架台を開口部内に固定することにより躯体を安定に自立させることが可能である。
本発明の構築工法は、そのような水上構造物1における建物3の躯体4(柱と梁とによる主架構フレーム)を施工するために適用されるものであって、その施工を浮体構造物2上において下部から上部に向かって順次行うとともに、施工した躯体4を順次降下させていって海水面下に沈降させた状態で吊り支持し、躯体4全体を施工した後にそれを引き上げて浮体構造物2上に自立させることを主眼とするものである。
なお、本実施形態において建設する建物3の形態は低層部では円筒状とされているとともに高層部においては傘状に拡がる形状とされており、したがってその躯体4全体のうち低層部の躯体4aは円筒状に施工されるとともに高層部の躯体4bは傘状に拡がるように施工されるが、本実施形態では高層部の躯体4bを当初は窄めた状態で低層部の躯体4aとほぼ同等の円筒状として施工したうえで最終的に周囲に展開するようにしている。
まず、図1に示すように浮体構造物2を洋上に浮かべて係留索5により係留する。浮体構造物2は施工途中および完成後の建物3全体を安定に支持し得るものであり、建物3の建設前にその全体を完成させておいても良いし、あるいは建物3の建設と並行して順次拡大していくことでも良いが、いずれにしても躯体4の施工開始時点ではその施工位置に施工途中の躯体4を昇降させることのできる大きさの開口部6を設けておく。図示例の場合には建物3を浮体構造物2の中央部に配置することとしており、その建物3の躯体4はほぼ円筒状に施工されることから、浮体構造物2の中央部に躯体4が挿通可能な円形の開口部6を設けたものとなっている。
躯体4はこの浮沈架台7上において施工されてその浮沈架台に対して固定され、浮沈架台7は最終的に開口部6の内側に固定されることにより建物3の基礎として機能して躯体4を自立せしめるものである。
なお、図示例の場合には開口部6および浮沈架台7はその上部がやや窄められたテーパ状とされていて、浮沈架台7が海面上に浮上した状態ではそれが開口部6内に密に嵌着されて堅固に固定可能とされている。
そして、図4に示すように浮沈架台7にバラストを導入してその浮力を調整することにより海面下に降下させていき、施工した躯体4の高さ相当分だけ降下させた位置で支持する。
その際、浮沈架台7と浮体構造物2とをケーブル11により連結しておき、後工程において浮沈架台7の浮力の調整のみでは施工済みの躯体4を支持できなくなった時点ではケーブル11により浮沈架台7を介して躯体4を浮体構造物2から吊り支持する。
なお、上記の建方工程における節の設定は任意であり、建物3の形態や規模に応じて、また施工済みの躯体4を降下させる工程を効率的に実施し得るように、最適に設定すれば良い。
さらに、図6に示すように同様にして高層部の躯体4bを施工していく。高層部の躯体4bは最終的には傘状に展開するのであるが、上述したようにこの段階では開口部6の内側に納まるように内側に窄めた状態で施工し、必要に応じて適宜の繋ぎ梁を設けておいたり、円周方向に仮設ケーブルを巻回して緊結しておくと良い。
すなわち、浮沈架台7からバラストを抜いて浮力を与え、かつケーブル11を巻き上げていくことにより、図9〜図12に示すように浮沈架台7とともに躯体4全体を浮上させていき、それに伴って高層部の躯体4bを開口部6を通して浮体構造物2上に立ち上げて周囲に展開する。
以上により躯体4の施工がほぼ完了したので、以降は通常の工法の場合と同様にクレーン12を用いて外装や内装その他の諸工事を行った後、クレーン12や仮設材を撤去して図15に示すような建物3を完成させる。
したがって上記工法によれば、躯体を単に立ち上げていく従来一般の工法と比較して高所作業や高所への資材搬送作業を軽減できることはもとより、従来一般のジャッキアップ工法と比較すればジャッキ容量を軽減できるし施工安全性も確保し易く、したがっていずれの従来工法よりも施工性を改善することができる。
2 浮体構造物(メガフロート)
3 建物
4 躯体
4a 低層部の躯体
4b 高層部の躯体
5 係留索
6 開口部
7 浮沈架台
10 建方用治具
11 ケーブル
12 クレーン
Claims (2)
- 水面上に浮かべられた浮体構造物上に高層ないし超高層の建物が建設されてなる水上構造物を構築するに際し、前記浮体構造物上において前記建物の躯体を施工するための工法であって、
前記浮体構造物を水面上に浮かべて係留した後、
該浮体構造物上において前記躯体をその下部から上部へ順次施工していきつつ施工した躯体を前記浮体構造物上から順次降下させていく工程を繰り返すことにより、施工済みの躯体をその上部を残して水面下に沈降させた状態で前記浮体構造物から吊り支持しつつ前記躯体をその頂部まで施工し、
しかる後に、施工済みの躯体の全体を引き上げてその底部を前記浮体構造物に対して固定することにより、前記躯体を前記浮体構造物上に自立させることを特徴とする水上構造物の構築工法。 - 請求項1記載の水上構造物の構築工法であって、
前記浮体構造物には前記建物を建設するべき位置に施工中の躯体が上下方向に挿通し得る大きさの開口部を設け、該開口部内には浮力調整が可能な浮沈架台を配置するとともに、該浮沈架台を前記浮体構造物から水面下に沈降可能かつ水面上に浮上可能に吊り支持し、
前記躯体を前記浮沈架台上で施工してその底部を該浮沈架台に対して固定するとともに、施工済みの躯体を前記開口部を通して前記浮沈架台とともに水面下に順次沈降させていき、
躯体全体を施工した後、前記浮沈架台に浮力を与えてその浮力を利用して施工済みの躯体を前記浮沈架台とともに浮上させることにより、躯体全体を前記開口部を通して前記浮体構造物上に引き上げ、
しかる後に、前記浮沈架台を前記開口部内に固定することにより、前記躯体を前記浮沈架台を介して前記浮体構造物に固定して自立させることを特徴とする水上構造物の構築工法。
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2008
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