JPH07247539A - 大水深基礎構造物の施工方法およびその構造物 - Google Patents

大水深基礎構造物の施工方法およびその構造物

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JPH07247539A
JPH07247539A JP3338494A JP3338494A JPH07247539A JP H07247539 A JPH07247539 A JP H07247539A JP 3338494 A JP3338494 A JP 3338494A JP 3338494 A JP3338494 A JP 3338494A JP H07247539 A JPH07247539 A JP H07247539A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大水深に重力式海洋構造物を構築するに際
し、静穏な大水深沿岸海域を確保できない地域でも採用
でき、大規模な駆動装置を用いずに躯体を容易に伸長設
置でき、外力に対し構造物の安定性・安全性を確保でき
るようにする。 【構成】 ドライドックでフロートを兼ねるフーチング
2を築造し、浅海域海上ヤードでフーチング2上に水中
下部工となる筒体4を築造することで浅い海域でも大水
深用の構造物を事前に築造できる。筒体4は入れ子式に
組み立て上筒4Cをフロートとする。大水深の設置地点
でフーチング2にバラスト水Wb を注入してフーチング
2を沈降させ、上筒4Cをフロートとして下部の筒を伸
長させる。固定工5により継手8を固定し、かつ中詰材
をフーチング2,筒体4内に充填し、筒体4の上部に海
上上部工を施工する。浮力と重力を利用することで巨大
な構造物を容易に沈設でき、外力に対して構造物の安定
性・安全性も確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、大水深の海域に設置
する長大渡海橋の橋脚や石油(ガス)生産プラットフォ
ームなどの重力式海洋構造物における大水深基礎構造物
の施工方法および大水深基礎構造物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大水深の海域に設置する海洋構造
物の建設の需要が高まっている。海洋構造物の構造形式
は、重力式,有脚式あるいは浮体式に大別されるが、長
大渡海橋の橋脚や石油(ガス)生産プラットフォームな
どは、海底に強固に固定する必要があるため、重力式あ
るいは有脚式が基本となる。
【0003】この発明で取り扱うのは、特に、要求性能
として躯体全体に高い剛性が求められる場合に最適な構
造様式の重力式であり、この重力式海洋構造物の施工方
法としては、通常、設置地点での長期間の危険な海上施
工を避けるために、躯体の大部分を陸上や静穏な沿岸海
域で構築し、好天を選んでこれを設置地点まで曳航し沈
設する急速施工方法が採られている。
【0004】即ち、従来においては、ドライドック内に
おいて、ドライドックの喫水内でできる範囲内の躯体を
築造し、これをドック外へ浮上・引き出しを行った後、
設置地点水深と殆ど同等の沿岸静穏海域において、長期
間にわたる海上施工によって残りの躯体部分を浮上施工
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来の施工方法では、設置地点が大水深の場合、
躯体の大部分を構築するための静穏な沿岸海域も設置地
点と同等の水深を必要とする。従って、このような極め
て稀な条件を満たす地域、例えばフィヨルド海岸を持つ
北欧等では、大規模な重力式海洋構造物の建設に既に多
くの実績があるが、その他の地域では、沿岸に近い地点
において大水深で、しかも波浪,潮流等の自然条件が静
穏な海域を長期間確保することは不可能であった。
【0006】このため、特定の地域を除いて大水深用に
前述の急速施工方法の重力式海洋構造物を採用できず、
これが従来の重力式海洋構造物の欠点となっている。
【0007】なお、海洋構造物を問わず、各種の構造物
において、特定のエネルギーを用いた駆動装置により、
躯体を伸長あるいは収縮させて所要の形状とする方法は
既に様々のものがあるが、大水深に適用する場合、過酷
な自然条件(強大な静水圧・波力・潮流力・氷圧力・風
力・地震力など)に耐える必要があるため、陸上の構造
物と比較にならないぼどの規模と強度を必要とする。
【0008】そのため、躯体はそれに耐えるために巨大
なものとなり、通常の機械的な駆動装置で伸縮させよう
とすると、多大のエネルギーを必要とし、また駆動装置
が大型化するなどから現状では不可能に近い。
【0009】さらに、重力式海洋構造物においては、完
成後の耐用期間、施工中の工事期間を通じて前述の風・
波浪・潮流などの自然条件に加えて船舶や氷塊などの衝
突・上部工(完成時・施工時)による種々の荷重にさら
されるため、作用する外力に対して構造物の安定(底
部支持力・転倒・滑動など)が確保されること、作用
する外力で発生する構造物各部の応力に対して各部の構
造強度が安全であること、が満足されなければならな
い。
【0010】この発明は、前述のような事情に鑑みてな
されたもので、その目的は、比較的大水深の設置位置に
重力式海洋構造物を構築するに際し、静穏な大水深の沿
岸海域を確保できない地域でも採用することができ、し
かも特定のエネルギーによる駆動装置を用いることな
く、躯体を容易に伸長設置することができ、さらに作用
する外力に対して構造物全体の安定性および構造物各部
の構造強度の安全性を確保することのできる大水深基礎
構造物の施工方法およびその大水深基礎構造物を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係る施工方法
は、大水深基礎構造物を比較的大水深の海域に設置する
に際し、ドライドック内で大水深基礎構造物の中空のフ
ーチングを築造し、ドライドックあるいは浅海域海上ヤ
ードにおいて前記フーチング上に大水深基礎構造物の伸
縮可能な複数の筒体からなる水中下部工を築造して浮体
としての安定を容易にし、これらフーチングおよび水中
下部工を設置位置まで曳航し、設置地点で浮遊静止した
フーチングにバラスト水を注入してフーチングを沈降さ
せることにより水中下部工の上部分をフロートとして下
部分を伸長させ、水中下部工の伸長終了後またはフーチ
ングの着底後、水中下部工の上部の浮力と下部の重量を
利用して筒体接続部における継手どうしを接合して固定
工で固定し、フーチングの着底後、必要に応じてフーチ
ングおよび水中下部工に、砂利,土,コンクリート等の
中詰材を充填する。
【0012】フーチングおよび水中下部工などの躯体構
造は、鋼製,コンクリート製またはこれらを合成したハ
イブリッド製などを使用することができる。水中下部工
は、単体でもよいし、複数配設してもよい。水中下部工
は、浅海域海上ヤードで築造するが、ドライドック内で
築造することも可能である。
【0013】また、水中下部工の伸長沈降に際し、水中
下部工の下部分には海水が流入するが、この水中下部工
へ中詰材を充填する場合、水中で行ってもよいし、フー
チング着底後、水中下部工内の海水を排出し、中詰材を
気中で充填するようにしてもよい。
【0014】この発明に係る第1の大水深基礎構造物
は、比較的大水深の海域に設置する大水深基礎構造物で
あって、浮力を発生可能でバラスト水を充填可能な中空
のフーチングと、複数の筒体がフーチングの浮体として
の安定を容易にすべく前記フーチング上に入れ子式に組
み立てられ、各筒体の接続部に継手(フック)が形成さ
れた水中下部工と、上位の筒体の下部継手に固定され下
位の筒体の上部継手を貫通して上方に突出し水中下部工
の上部に設置されたジャッキにより緊張される複数のP
S鋼材と、このPS鋼材を下位の筒体の上部継手に固定
するナット,楔等の定着部材とから構成する。
【0015】第2の大水深基礎構造物においては、上位
の筒体の下部継手に固定され下位の筒体の上部継手を貫
通して上方に突出するPS鋼材を、下位の筒体の上部継
手に設置された水中で遠隔操作可能なジャッキにより直
接固定する。このジャッキとPS鋼材の定着には、遠隔
操作によるナット,楔等の定着部材を用いる方法の他、
ジャッキピストン内に自硬性材料を注入する方法やラチ
ェット機構を備えたジャッキ・PS鋼材の組合せ等を使
用する。
【0016】次に、前述のPS鋼材等による固定機構に
代えて、第3の大水深基礎構造物では、上位の筒体の下
部継手と下位の筒体の上部継手とに、互いに嵌合する嵌
合ピンおよび嵌合孔をそれぞれ設けて継手部分を固定す
る。
【0017】第4の大水深基礎構造物では、上位の筒体
の下部継手と下位の筒体の上部継手とに、互いに上下方
向から係合するテーパー接合面をそれぞれ設ける。
【0018】第5の大水深基礎構造物では、上位の筒体
の下部継手と下位の筒体の上部継手とに、互いに上下方
向から噛合する凹凸状のほぞ接合面をそれぞれ設ける。
【0019】前記PS鋼材等による固定機構と継手形状
による固定構造は、それぞれ単独で設けても、複数組み
合わせて設けてもよい。
【0020】水中下部工の最上部筒体は、中間部に隔壁
を設け、下部が浸水し、上部にフロート室が形成される
メインフロートとし、この定置のメインフロートに対し
て水中下部工が伸長できるようにする。また、この固定
フロートと必要に応じて付加した補助フローターとによ
り、構造物全体の安定を図り、かつ筒体の下部継手に上
向きの浮力を付与できるようにする。
【0021】フーチングは内版と隔壁などからなる内部
仕切版により補強すると共に、複数に分割し、また複数
の注水弁を設けてバラスト水を充填可能とする。さら
に、投入口を設け、水中下部工の最上部筒体に設けた中
詰材投入シャフトを介して海上から中詰材を投入可能と
し、構造物全体の安定を図り、かつ筒体の上部継手に下
向きの重量を付与できるようにする。
【0022】
【作用】以上のような構成において、浮上した状態での
水中下部工躯体の築造に際して、フーチングがフロート
として働き、このフーチングの上でテレスコープ式の水
中下部工を築造することにより、躯体をドライドックま
たは浅海域海上ヤードで全て構築することができる。こ
れにより、静穏で大水深の沿岸海域海上ヤードを確保で
きない地域においても、大水深に設置する重力式海洋構
造物を構築することができる。
【0023】築造されたフーチングと水中下部工を大水
深の設置位置へ曳航し、フーチングにバラスト水を注水
するだけで、水中下部工の上部をフロートとして下部が
自動的に伸長し、浮力と重力を利用して沈降に必要な巨
大な力を容易に得ることができる。
【0024】フーチングが着底後は、大きなフーチング
による底部面積の確保,底部への注水もしくは砂利・土
・コンクリート等の投入,シンカー等による固定,フロ
ーターの設置などにより、作用する外力に対して構造物
全体の安定が確保される。
【0025】さらに、水中下部工の伸長あるいはフーチ
ング着底後に、筒体の継手が上位の筒体の浮力と下位の
筒体あるいはフーチングの重量とにより密着するととも
に、PS鋼材,ジャッキ,定着部材により固定され、あ
るいは互いに嵌合・係合・噛合する継手形状により固定
され、作用する外力で発生する構造物各部の応力に対し
て構造強度の安全性が確保される。
【0026】
【実施例】以下、この発明を図示する実施例に基づいて
説明する。これは、長大渡海橋の橋脚に適用を想定した
重力式海洋構造物の例である。図1,図2はこの重力式
海洋構造物の大水深基礎構造物の一例を示し、図3〜図
5は水中下部工の固定工例1を示し、図6〜図7は固定
工例2を示し、図8,図9は固定工例3を示し、図1
0,図11は固定工例4を示し、図12,図13は固定
工例5を示し、図14〜図18は、この重力式海洋構造
物の施工法を示し、図19は中詰工を気中で行う例を示
し、図20,図21,図22は重力式海洋構造物の別の
一例を示す。
【0027】図1において、重力式海洋構造物1の基礎
構造体は、中空でフロートを兼ね、かつバラスト水の注
入により沈降可能な大底面積の円形フーチング2と、こ
のフーチング2上に構築され、3段の円形筒体4を入れ
子式(テレスコープ式)に組み立てることにより、フー
チング2に対して伸縮可能な水中下部工3と、施工期間
中および完成後の構造物の構造強度を確保するための水
中下部工3の固定工5から構成されている。
【0028】フーチング2は、図2に示すように、中空
内部に例えば外版2aと同心状の内版2bと、放射状の
隔壁2cとを設けることにより、補強され、かつ複数の
バラスト室に分割されている。また、図1に示すよう
に、遠隔操作される開閉可能な注水弁6によりバラスト
水を内部に注入可能としている。
【0029】沈降に際しては、フーチング2の各バラス
ト室への注入量を調節し、躯体全体の浮心と重心の関係
が浮体としての安定を保持しながら躯体全体が安定して
降下するように制御する。
【0030】さらに、フーチング2の筒体4内部に位置
する上版には、遠隔操作により開閉可能な投入口7を設
けて海上から投入される中詰材をフーチング2内に充填
可能とする。
【0031】筒体4は、下筒4Aの直径が一番大きく、
上筒4Cの高さが一番高くなるようにし、下筒4Aをフ
ーチング2上に構築固定し、中筒4B,下筒4Aを内側
の筒をガイドとして上下動可能とする。また、各筒体4
の接続端部にはフック状の継手8A,8Bを設ける。
【0032】この継手8は、下筒4Aと中筒4Bの上端
部内面に突設した全周フランジ状あるいは部分的な突起
状の抜け落ち防止用上部フック9と、中筒4Bと上筒4
Cの下部外面に突設し、前記上部フック9に係合する同
様の抜け落ち防止用下部フック10とから構成し、水中
下部工伸長時の筒の抜け落ちも兼ねるようにする。
【0033】さらに、各筒4A,4B,4Cの下部には
内部と外部を連通する通水孔11を形成し、海水が自然
に流入するようにする。この通水孔11には必要に応じ
て遠隔操作により開閉可能な注水弁を設けておく。下筒
4Aおよび中筒4Bは、外部の海水と連通することによ
り浮力を発生させないチャンバーとし、上筒4Aは中間
部に隔壁12を設けて上部に上部開放バラスト室13を
形成し、浮力を発生するフロートを兼ねるようにする。
【0034】なお、隔壁12には開口を設け、この開口
に上方に起立する中詰材投入シャフト14を突設し、海
上からフーチング2と伸長状態の筒体4A・4B・4C
内に中詰材を投入可能とする。なお、この中詰材投入シ
ャフト14は必要に応じ完成時の垂直荷重伝達シャフト
も兼ねる。
【0035】固定工5には、次に示すようなPS鋼材,
ジャッキ,定着部材を用いた固定機構、あるいは互いに
嵌合,係合,もしくは噛合する継手形状の固定構造を採
用する。
【0036】<固定工例1>図3ないし図5に示すよう
に、2種類の長さのPS鋼材20,21と、上筒4C上
に設けられる海上上部工の基台を兼ねる作業架台22
と、この作業架台22上に設置されるセンターホールジ
ャッキ23と、PS鋼材を継手8に固定する定着部材2
4,25などから構成する。
【0037】短い方のPS鋼材20は、上筒4Cと中筒
4Bを固定し、長い方のPS鋼材21は上筒4C・中筒
4Bと下筒4Aとを固定するものであり、水中下部工3
の伸長完了状態において、それぞれ下端が継手8A,8
Bに固定された状態から作業架台22の上面に十分に突
出する長さとする。
【0038】各PS鋼材20,21は、継手8A,8B
における同心円上で円周方向に間隔をおいて多数配置
し、センターホールジャッキ23も前記PS鋼材の配置
位置に対応させて作業架台22上に多数設置する。
【0039】図5に示すように、継手8を構成する抜け
落ち防止用フック9,10には、挿通孔26,27を穿
設し、これら挿通孔26,27に挿通したPS鋼材2
0,21の下端をナット部材または楔などの定着部材2
4で下部フック10に固定しておき、継手接合・PS鋼
材緊張後に定着部材25で上部フック9に固定する。な
お、挿通孔位置におけるフック9,10の間にはパッキ
ン28を介在させ、躯体の破損等を防止する。以上のよ
うな構成において、次のように固定工を行う。
【0040】 図3に示すように、PS鋼材20,2
1は、フーチング2等の構築時に下端を上筒4Cおよび
中筒4Bの下部フック10に定着部材24で取付けてお
き、図3(1-a) に示すように、上方に伸ばしておいても
よいし、図3(1-b) に示すように、予め作業架台22を
上筒4Cの上に設置しておき、この作業架台22上に配
置されたセンターホールジャッキ23の挿通孔に通し、
リール29に巻き付けておいてもよい。
【0041】 後述するように水中下部工3が伸長を
完了し、またはフーチング2が沈設着底した段階で、図
3(3) に示すように、先ず短い方のPS鋼材20を上筒
4Cの剛性を利用してセンターホールジャッキ23で緊
張する。
【0042】ここで、上筒4Cの浮力Fと中筒4Bの自
重Wにより継手8Bの上部フック9と下部フック10が
密着し、この状態で定着部材25を中筒4Bの上部フッ
ク9に固定してフック9と10とを固定する。PS鋼材
20の緊張力によりフック9,10が緊締され、上筒4
Cと中筒4Bとが一体化する。
【0043】 次に、図4(a) に示すように、長い方
のPS鋼材21をセンターホールジャッキ23で緊張
し、次いで定着部材25を下筒4Aの上部フック9に装
着して継手8Aのフック9と10とを固定する。
【0044】ここで、上筒4Cと中筒4Bは前工程のP
S鋼材20で一体化しているが、この工程のPS鋼材2
1の緊張により、その継手8B(定着部)に離れようと
する向きの荷重が作用する。このため、上筒4Cにフロ
ーター30を取付け、一体化した上筒4Cと中筒4Bに
上向きの浮力を与え、下筒4Aにより中筒4Bに下向き
の力を与え、継手8Bが密着する方向の力が働くように
する。なお、この状態で下筒4Aに下向きの力を与え、
また全体の安定が損なわれないように、フーチング2の
バラスト水Wb を増すなどの調整を行う。
【0045】このようにして継手8Bに悪影響を与える
ことなくPS鋼材21を緊張することができる。この場
合も浮力Fと自重Wにより継手8Aの上部フック9と下
部フック10が密着し、PS鋼材21の緊張力によりフ
ック9,10が緊締され、上筒4C・中筒4Bと下筒4
Aとが一体化する。
【0046】図5(a) はナット型の定着部材を、図5
(b) は楔型の定着部材による固定方法を示しているが、
水深が深く潜水夫等による固定が困難な場合は、遠隔操
作とすることができる。
【0047】また、図4(a) ではフローター30による
浮力で反力を増加させているが、これに限らず、図4
(b) に示すように、PS鋼材20,21の反力を直接、
上筒4C〜中筒4B間、上筒・中筒〜下筒4A間に伝達
する反力部材31を作業架台22と各上部フック9との
間に配設して、反力に用いる浮力を軽減することもでき
る。
【0048】<固定工例2>図6に示すように、固定工
例1と同様のPS鋼材40,41と、センターホールジ
ャッキ43から構成する。センターホールジャッキ43
は、固定工例1とは異なり中筒4Bおよび下筒4Aの上
部フック9の上面に設置し、作業架台42および上部の
定着部材25を使用せずに、直接センターホールジャッ
キ43で各筒体を接合する。
【0049】このセンターホールジャッキ43は、その
操作性能が水中で遠隔操作可能なものを使用し、作業架
台43上のコントロールユニット44から繰り出される
遠隔操作ケーブル45を介して遠隔操作する。また、P
S鋼材40,41に所定の緊張力を与えた後、センター
ホールジャッキ43とPS鋼材40,41を固定する。
【0050】この固定には、遠隔操作可能なナット,楔
等の定着部材を用いる他、例えばセンターホールジャッ
キ43のシリンダ内の圧油と置換されるセメントミルク
等の自硬性材料、あるいは一方向の移動を許容し他方向
の移動を係り止めするラチェット機構を使用することが
できる。ラチェットはジャッキの鋼材把持機構に設け、
PS鋼材にラチェット刻みを形成しておく。
【0051】各PS鋼材40,41は、水中下部工3の
構築・収縮時に、下端が上筒4Cおよび中筒4Bの下部
フック10に固定されるとともに、上端がセンターホー
ルジャッキ43を貫通する長さとする。
【0052】また、固定工例1と同様に、PS鋼材4
0,41およびセンターホールジャッキ43は継手8
A,8Bに多数配置し、また抜け落ち防止用フック9,
10には、図7に示すように、挿通孔46,47を穿設
し、パッキン48を配設する。PS鋼材40,41は下
端のみを定着部材49で固定すればよい。以上のような
構成において、次のように固定工を行う。
【0053】 PS鋼材40,41は、フーチング2
等の構築時に下端を上筒4Cおよび中筒4Bの下部フッ
ク10に定着部材49で固定しておき、作業架台42,
センターホールジャッキ43およびコントロールユニッ
ト44等を設置しておく。
【0054】なお、この工程でセンターホールジャッキ
43でPS鋼材40,41を固定することにより、水中
下部工3を曳航時等に一体化することができる。
【0055】 後述するように水中下部工3の伸長に
際しては、各PS鋼材40,41がガイドとなって中筒
4B,下筒4Aが沈降する。この際、センターホールジ
ャッキ43を把持・把持解除することにより沈降状態を
調整することも可能である。
【0056】 伸長を完了し、または沈設着底した段
階で、センターホールジャッキ43で各PS鋼材40,
41を緊張し、遠隔操作による固定用ナット,楔あるい
は自硬性材料等でセンターホールジャッキ43とPS鋼
材40,41を固定する。これらPS鋼材40,41の
緊張力により、フック9と10が緊締され、上筒4Cと
中筒4B、中筒4Bと下筒4Aが一体化する。
【0057】この場合も、フローターにより浮力を増加
させ、あるいはフーチング2へのバラスト水の追加によ
り重量を増加させ、浮力・重力を利用した継手8におけ
る接合力を増すようにしてもよい。
【0058】<固定工例3>図8,図9に示すように、
互いに嵌合する多数の差し込みピン60と差し込み孔6
1から構成する。差し込みピン60は、中筒4Bおよび
下筒4Aの上部フック9の下面に下方に向けて突設し、
同心円上で円周方向に間隔をおいて多数配置する。差し
込み孔61は、上筒4Cおよび中筒4Bの下部フック1
0に差し込みピン60位置に対応させて多数穿設する。
【0059】また、差し込みピン60と差し込み孔61
とは、下に向かって狭まるテーパーを付け、一定の力を
かけて差し込むと、その力以下では抜けない形状として
いる。ここで、中筒4B(下筒4A)を上筒4C(中筒
4B)に押し込む力は、中筒4Bあるいは下筒4A・フ
ーチング2の水中重量であるが、これはフーチング2の
バラスト水Wb を増すことにより増大でき、さらに上筒
4Cにフロートを付け、その浮力で差し込み力をより増
大させることもできる。
【0060】また、差し込み孔61の内面に常温で固体
状で、高温でペースト状となって接着する接着材等を貼
付し、この接着材中に配置した電熱管や温水管等の発熱
体を用いて接着する補助工法を併用することもできる。
【0061】<固定工例4>図10,図11に示すよう
に、上部フック9の内面と下部フック10の外面にそれ
ぞれ互いに係合するテーパー接合面70とテーパー接合
面71を形成する。
【0062】テーパー接合面70は、中筒4Bおよび下
筒4Aの上部フック9の内面に下に向かって広がるテー
パーを付けて形成する。テーパー接合面71は、上筒4
Cおよび中筒4Bの上部フック10の外面に前記テーパ
ー接合面70に対応した角度で、かつ当接可能なテーパ
ーを付して形成する。
【0063】図11に示すように、浮力と重力によりテ
ーパー接合面70,71が密着し、このテーパー接合に
より、一定の力をかけて差し込むと、その力以下の外力
が作用しても抜けなくなる。この場合も、フーチング2
のバラスト水Wb の増大、上筒4Cのフロートによる浮
力の増大で、テーパー面どうしの嵌め込み力を増大させ
ることができる。また、熱可塑性型などの接着材の併用
も可能である。
【0064】<固定工例5>図12,図13に示すよう
に、互いに噛合する鋸歯状の凹凸ほぞ80と81から構
成する。この凹凸ほぞ80,81は円周方向に所定のピ
ッチで連続して形成し、さらに上下方向のテーパー面8
0a,81aを当接側面に付ける。
【0065】凹凸ほぞ80は、中筒4Bおよび下筒4A
の上部フック9の内面に形成し、凹凸ほぞ81は、上筒
4Cおよび中筒4Bの下部フック10の外面に形成す
る。テーパー80a,81aは同じ角度とし、また上下
方向から噛合できるように形成する。
【0066】この場合も、浮力と重力によりテーパー面
80a,81aが密着し、このテーパー接合により、一
定の力をかけて差し込むと、その力以下の外力で抜ける
ことがない。また、浮力あるいは重量の増大、熱可塑性
型等の接着材の併用も可能である。
【0067】以上のような固定工5はそれぞれ単独で用
いることもできるし、複数の固定工5を組み合わせて用
いることもできる。
【0068】次に、重力式海洋構造物を施工する場合に
は、以下のように行う(図14〜図18参照)。
【0069】(1) 図14に示すように、海に接した陸域
に、次工程でフーチングの浮上曳航が可能な深さのドラ
イドック100を築造し、このドライドック100内で
フーチング2を築造する。また、後述する設置地点での
海底(あるいはマウンド)着定時にスカートやダウェル
等が必要な場合には、この時点でこれらをフーチング2
の下面に設けておく。
【0070】(2) 築造が終了すると、ドライドック10
0内に注水してフーチング2を浮上させ、ゲート101
を開いてフーチング2をドライドック外へ引き出す。こ
こで、フーチング2は、喫水D0 でそのフーチング重量
と等しい浮力を発生できる。従って、ドライドック10
0は、この喫水より大きい深さがあればよい。
【0071】(3) タグボート等によりフーチング2を浅
海域海上ヤード102へ曳航する。
【0072】(4) 図15に示すように、浅海域海上ヤー
ド102において、フーチング2をアンカー等で堅固に
係留して長期間の水中下部工の築造に耐えられるように
し、フロートを兼ね、かつ浮体としての安定条件を備え
た内側の上筒4Cを築造する。
【0073】なお、この浅海域海上ヤード102は波浪
・潮流等の自然条件が静穏なことが必要である。
【0074】(5) 上筒4Cの周囲に中筒4Bを築造す
る。
【0075】(6) 中筒4Bの周囲に下筒4Aを築造す
る。なお、これら水中下部工3には、固定工5のPS鋼
材等を配置しておき、あるいは差し込みピン等を予め形
成しておく。ここで、浅海域海上ヤード102はこのと
きの喫水を保持できる水深があればよい。
【0076】(7) 図16に示すように、筒体4が全て築
造されたフーチング2を設置地点103へ曳航し、海底
あるいは必要に応じて事前に形成したマウンド104上
に、アンカー等で係留して浮遊静止させる。
【0077】(8) フーチング2内にバラスト水Wb を注
入し、緩やかに沈降を開始させる。下筒・中筒・上筒の
底部には通水孔11を介して海水が自然に流入してい
く。
【0078】(9) 下筒内・中筒内・上筒底部に自然流入
水Wa が流入し続けることにより、上筒4Cに浮力が徐
々に発生してくるが、この浮力を相殺するだけのバラス
ト水Wb をフーチング2に注入し続け、沈降を継続させ
る。
【0079】(10) 図17に示すように、沈降が進み、
上筒4Cの喫水D3 が所定の大きさになると、この上筒
4Cはフロートとしての機能を発揮し、それ自体が浮体
としての安定条件を備えて浮かぶ状態となる。中筒以下
は沈降を続けるので、上筒4Cに対して中筒4B以下が
下へ伸長し、視点を変えると上筒4Cが中筒4Bに対し
て伸長することになる。
【0080】(11) 沈降がさらに進むと、上筒4Cと中
筒4Bのフック9,10が係止し、上筒4Cにかかる浮
力が中筒4Bと下筒4Aを合わせた重量より大きくなる
までは、そのままの状態で全体が一体となって沈降を進
める。沈降が進み上筒4Aの喫水D4 が所定の大きさに
なると、上筒4Cは中筒4Bを吊り下げる形となり、下
筒4Aとフーチング2のみが沈降を進める。下筒4A以
下は沈降を続けるので、中筒4Bに対して下筒4A以下
が下へ伸長し、視点を変えると中筒4Bが下筒4Aに対
して伸長することになる。
【0081】(12) 沈降がさらに進み、下筒4A・中筒
4B・上筒4Cが全て伸びきる。
【0082】(13) 下筒4A・中筒4B・上筒4Cが全
て伸びきると、図18に示すように、さらに上筒4C内
にバラスト水Wb を徐々に注入し、所定の水深の海底に
着底させる。その後は、躯体の安定などのために、フー
チング2内にバラスト水Wb を追加する。
【0083】(12)の工程または(13)の工程が終了する
と、固定工5がPS鋼材等の場合には、前述したPS鋼
材の緊張、定着部材の取付けあるいはジャッキによる定
着等を行う。差し込みピン等の継手形状の場合は伸長完
了により各継手が固定される。
【0084】これにより、水中下部工3の継手強度が確
保される。
【0085】なお、着底後、海底(あるいはマウンド)
とフーチングとの間には、必要に応じてグラウト等を行
い、過度の局所接地圧の発生を防止する。(7) 〜(13)の
工程は好天を選んで行う。
【0086】(14) 躯体の着底後は、完成時の要求性能
を満足させるだけの砂利・土・コンクリート等の中詰材
15をフーチング2および筒体4A・4B内の所要部分
に投入口7および投入シャフト14を介して投入し、さ
らに筒体4Cの所要部分に投入して完成時に必要な躯体
の安定,強度を確保する。引き続き、作業架台上に所定
の海上上部工110を施工して完成させる。
【0087】(13)の固定工あるいは(14)の中詰工を行う
際には、必要に応じて上筒4Cに補助フロート17を設
置することやシンカー16を設置することで、施工中の
安定性を向上させることができる。
【0088】なお、以上は躯体中詰工を水中で行う例を
示したが、中詰工を気中で行うこともできる。この場合
には、図19(A) に示すように、固定工5で固定される
継手部、例えば中筒4Bおよび下筒4Aの上部フック
(全周フランジ状とする)9の下面に円周方向に連続す
る止水用パッキング120を取付け、図19(B) に示す
ように、前述の(14)の工程において、フック9と10の
間で止水用パッキング120が変形して気密性を保持で
きるようにする。
【0089】この気中施工では、(1) 〜(13)までの工程
における各部材の動きは、水中施工の場合と同じである
が、(14)の工程は以下のように行う(図19(B) 参照)
【0090】(14-1)躯体の着底後、上筒4Aの上部周囲
に仮設フロート121を設置し、例えばワイヤロープな
どを介して上筒4Aの上端に接続する。これは、後の工
程で筒体4内の海水を排出すると、上筒4Aに作用して
いた浮力が消滅するので、それを補完するためである。
【0091】(14-2)フーチング2内および下筒4Aの所
定の深さまで中詰工を行い、内部を排水しても全体が浮
力によって不安定とならないようにする。
【0092】(14-3)下筒4Aの下部の通水孔11のバル
ブを閉鎖する。他の筒体の通水孔11は外部に臨んでな
いのでそのままとする。
【0093】(14-4)筒体4内の海水を排出する。
【0094】(14-5)筒体4内に中詰工を気中で行う。こ
の中詰工は、筒体間の接合部を含め、筒体部躯体が完成
時の要求機能を満足するだけ行う。
【0095】(14-6)引き続き、所定の上部工110を施
工して完成させる。
【0096】次に、図20〜図22に示すのは、この発
明の重力式海洋構造物の別の一例であり、平面円形状の
フーチング2上に筒体4からなる水中下部工3を左右一
対で配設し、各筒体4の上部どうしを補剛部材130で
連結し、一対の筒体4の上端どうしを海上上部工110
で連結している。
【0097】なお、以上の例において、フーチング2は
平面形状円形を示したが、方形,多角形など任意の平面
形状とすることもできる。また、水中下部工3のフーチ
ング上の平面配置も単数から複数まで任意に対応できる
とともに、筒体の形状も円形,方形,多角形など任意に
対応できる。
【0098】さらに、筒体は3段で伸長させる場合を示
したが、中筒をなくして2段とし、あるいは4段以上の
多段にしても本工法の基本思想においては全く同意義で
ある。また、水中上部工の上部筒体をフロートとした例
について示したが、水中上部工の上部筒体にフロートを
設ける構造などにも本発明を適用できる。
【0099】なお、以上は長大渡海橋の橋脚に適用を想
定した例について説明したが、その他の大規模な重力式
海洋構造物にも本発明を適用できることはいうまでもな
い。
【0100】
【発明の効果】前述の通り、この発明は、ドライドック
または浅海域海上ヤードで、フロートを兼用するフーチ
ング上に、水中下部工となる複数段の筒体を築造し、大
水深の設置地点でフーチングを沈降させることにより、
上部筒体をフロートとして下部筒体を伸長させ、フーチ
ングを着底させて設置し、また伸長終了後または着底
後、水中下部工の継手部を固定工により固定するように
構成したため、次のような効果を奏する。
【0101】(1) 大水深の設置地点と同等の水深で、静
穏な沿岸地域を確保できない地域においても、大水深の
重力式海洋構造物を構築することが可能となる。
【0102】(2) 躯体の伸長に海水の浮力と重力を利用
することにより巨大な力を得ることができ、大規模な駆
動装置を必要とすることなく、大水深でも巨大な重力式
海洋構造物を容易に設置することができる。
【0103】(3) フーチングによる底部面積の確保,下
部への注水,中詰材の投入などにより、作用する外力に
対して構造物全体の安定が確保される。
【0104】(4) PS鋼材やジャッキなどを使用した固
定機構あるいは継手形状による固定構造により、作用す
る外力で発生する構造物各部の応力に対して、各部の構
造強度の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る重力式海中構造物の大水深基礎
構造物の一例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の大水深基礎構造物の概略横断面図であ
る。
【図3】この発明に係る固定工例1の施工(その1)を
示す概略断面図である。
【図4】この発明に係る固定工例1の施工(その2)を
示す概略断面図である。(a) はフローターを付加した
例、(b) は反力部材を配置した例である。
【図5】固定工例1の部分拡大断面図である。(a) はナ
ット部材を用いた場合、(b) は楔を用いた場合を示す。
【図6】この発明に係る固定工例2の施工を示す概略断
面図である。
【図7】固定工例2の部分拡大断面図である。
【図8】この発明に係る固定工例3を示す概略断面図で
ある。
【図9】固定工例3の部分拡大断面図である。(a) は接
合前、(b) は接合後を示す。
【図10】この発明に係る固定工例4を示す概略断面図
である。
【図11】固定工例4の部分拡大断面図である。
【図12】この発明に係る固定工例5の接合前を示し、
(a) は縦断面図、(b) は横断面図である。
【図13】この発明に係る固定工例5の接合後を示し、
(a) は縦断面図、(b) は部分断面側面である。
【図14】この発明に係る重力式海洋構造物の施工法
(その1)を示す概略断面図である。
【図15】この発明に係る重力式海洋構造物の施工法
(その2)を示す概略断面図である。
【図16】この発明に係る重力式海洋構造物の施工法
(その3)を示す概略断面図である。
【図17】この発明に係る重力式海洋構造物の施工法
(その4)を示す概略断面図である。
【図18】この発明に係る重力式海洋構造物の施工法
(その5)を示す概略断面図である。
【図19】前記施工法における気中での中詰工の例を示
す概略断面図である。
【図20】この発明に係る重力式海洋構造物の別の一例
を示す正面図である。
【図21】この発明に係る重力式海洋構造物の別の一例
を示す平面図である。
【図22】この発明に係る重力式海洋構造物の別の一例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1……重力式海洋構造物 2……フーチング 3……水中下部工 4……筒体 4A……下筒 4B……中筒 4C……上筒 5……固定工 6……注水弁 7……投入口 8……継手 9……上部フック 10……下部フック 11……通水孔 12……隔壁 13……上部解放バラスト室 14……中詰材投入シャフト 15……中詰材 16……シンカー 17……フローター 20,21…PS鋼材 22……作業台 23……センターホールジャッキ 24,25…定着部材 26,27…挿通孔 28……パッキン 29……リール 30……フローター 31……反力材 40,41…PS鋼材 42……作業台 43……センターホールジャッキ 44……コントロールユニット 45……遠隔操作ケーブル 46,47…挿通孔 48……パッキン 49……定着部材 60……差し込みピン 61……差し込み孔 70,71…テーパー接合面 80,81…凹凸ほぞ 100……ドライドック 101……ゲート 102……浅海域海上ヤード 103……設置地点 104……マウンド 110……海上上部工 120……止水用パッキング 121……仮設フローター 130……補剛部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高瀬 次郎 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大水深基礎構造物を比較的大水深の海域
    に設置するに際し、ドライドック内で大水深基礎構造物
    の中空のフーチングを築造し、ドライドックあるいは浅
    海域海上ヤードにおいて前記フーチング上に大水深基礎
    構造物の伸縮可能な複数の筒体からなる水中下部工を築
    造し、これらフーチングおよび水中下部工を設置位置ま
    で曳航し、設置地点で浮遊静止したフーチングにバラス
    ト水を注入してフーチングを沈降させることにより水中
    下部工の上部分をフロートとして下部分を伸長させ、水
    中下部工の伸長終了後またはフーチングの着底後、水中
    下部工の上部の浮力と下部の重量を利用して筒体接続部
    における継手どうしを接合して固定工で固定し、フーチ
    ングの着底後、必要に応じてフーチングおよび水中下部
    工に中詰材を充填することを特徴とする大水深基礎構造
    物の施工方法。
  2. 【請求項2】 比較的大水深の海域に設置する大水深基
    礎構造物であって、浮力を発生可能でバラスト水を充填
    可能な中空のフーチングと、複数の筒体が前記フーチン
    グ上に入れ子式に組み立てられ、各筒体の接続部に継手
    が形成された水中下部工と、上位の筒体の下部継手に固
    定され下位の筒体の上部継手を貫通して上方に突出し水
    中下部工の上部に設置されたジャッキにより緊張される
    複数のPS鋼材と、このPS鋼材を下位の筒体の上部継
    手に固定する定着部材とを備えていることを特徴とする
    大水深基礎構造物。
  3. 【請求項3】 比較的大水深の海域に設置する大水深基
    礎構造物であって、浮力を発生可能でバラスト水を充填
    可能な中空のフーチングと、複数の筒体が前記フーチン
    グ上に入れ子式に組み立てられ、各筒体の接続部に継手
    が形成された水中下部工と、上位の筒体の下部継手に固
    定され下位の筒体の上部継手を貫通して上方に突出する
    複数のPS鋼材と、下位の筒体の上部継手に設置され前
    記PS鋼材を緊張・固定するための水中で遠隔操作可能
    なジャッキとを備えていることを特徴とする大水深基礎
    構造物。
  4. 【請求項4】 比較的大水深の海域に設置する大水深基
    礎構造物であって、浮力を発生可能でバラスト水を充填
    可能な中空のフーチングと、複数の筒体が前記フーチン
    グ上に入れ子式に組み立てられ、各筒体の接続部に継手
    が形成された水中下部工と、上位の筒体の下部継手と下
    位の筒体の上部継手とにそれぞれ設けられ互いに嵌合す
    る嵌合孔および嵌合ピンとを備えていることを特徴とす
    る大水深基礎構造物。
  5. 【請求項5】 比較的大水深の海域に設置する大水深基
    礎構造物であって、浮力を発生可能でバラスト水を充填
    可能な中空のフーチングと、複数の筒体が前記フーチン
    グ上に入れ子式に組み立てられ、各筒体の接続部に継手
    が形成された水中下部工と、上位の筒体の下部継手と下
    位の筒体の上部継手とにそれぞれ設けられ互いに上下方
    向から係合するテーパー接合面とを備えていることを特
    徴とする大水深基礎構造物。
  6. 【請求項6】 比較的大水深の海域に設置する大水深基
    礎構造物であって、浮力を発生可能でバラスト水を充填
    可能な中空のフーチングと、複数の筒体が前記フーチン
    グ上に入れ子式に組み立てられ、各筒体の接続部に継手
    が形成された水中下部工と、上位の筒体の下部継手と下
    位の筒体の上部継手とにそれぞれ設けられ互いに上下方
    向から噛合する凹凸状のほぞ接合面とを備えていること
    を特徴とする大水深基礎構造物。
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