JP2016141062A - 液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成でクロストークを抑制することが可能な液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置を提供する。【解決手段】ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成基板上に形成され、圧力室内に圧力変動を生じさせる圧電素子18と、圧電素子を充電または放電して駆動させる駆動回路42と、を備え、圧電素子とは別に、各圧電素子の駆動の補助に係る補助圧電素子19が流路形成基板上に形成され、補助圧電素子は、圧電素子の駆動に係る電力経路43を通じて充電するとともに、蓄積された電荷を駆動回路側に放電可能に構成された。【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体吐出ヘッド、および、これを備えた液体吐出装置に関し、特に、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧電素子の駆動により圧力変動を生じさせることでノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置に関するものである。
液体吐出装置は、液体を液滴としてノズルから吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクをインク滴として吐出させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、この他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタに用いられる色材、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられる有機材料、電極形成に用いられる電極材等、様々な種類の液体の吐出に液体吐出装置が用いられている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレイ製造装置用の色材吐出ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極形成装置用の電極材吐出ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物吐出ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
液体吐出ヘッドは、インク等の液体を圧力室に導入し、アクチュエーターとしての圧電素子を駆動させて圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用して圧力室内の液体をノズルから液滴として吐出するように構成されたものがある。このような液体吐出ヘッドにおいて多数のノズルから同時に液滴を吐出する際に多数の圧電素子が同時に駆動されると、負荷が増大することで圧電素子を駆動するための信号(駆動パルス)に波形の歪が生じ、その結果、液体の吐出特性に悪影響を及ぼす可能性がある。すなわち、同時にインクを吐出するノズル数に応じて、液体の重量や飛翔速度(以下、吐出特性)にばらつき(いわゆるクロストーク)が生じて、例えば、記録画像の画質が不安定となってしまう虞がある。そして、近年のノズルの高密度化に伴いこのような問題がより顕著となっている。
このような問題に関し、駆動パルスの電圧あるいは時間成分を調整することにより、クロストークを抑制する構成も提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特開2000-168069号公報 特開2000-079684号公報
しかしながら、駆動するノズル数に応じて駆動パルスの調整を行う構成では、システムが複雑化して回路規模が増大し、これに応じてコストが嵩むという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でクロストークを抑制することが可能な液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置を提供することにある。
〔手段1〕
本発明の液体吐出ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルに連通する圧力室が形成された基板上に形成され、圧力室内に圧力変動を生じさせる圧電素子と、
前記圧電素子を充電または放電して駆動させる駆動回路と、
を備える液体噴射ヘッドであって、
前記圧電素子とは別に、各圧電素子の駆動の補助に係る補助圧電素子が前記基板上に形成され、
前記補助圧電素子は、前記圧電素子の駆動に係る電力経路を通じて充電するとともに、蓄積された電荷を前記駆動回路側に放電可能に構成されたことを特徴とする。
上記手段1の構成によれば、圧電素子とは別に補助圧電素子を設け、補助圧電素子に対し圧電素子の駆動に係る電力経路を通じて充電するとともに、蓄積された電荷を駆動回路側に放電して電力を補うという従来よりも簡単な構成で回路規模の大幅な増大を招くことなく、複数のノズルから同時に液体を吐出させる場合における急激な電流変化を抑制することができ、圧電素子を駆動する駆動信号に歪が生じることを抑制することができる。その結果、液体を同時に吐出するノズルの数に拘わらず、各ノズルから吐出される液体の吐出特性を揃えることが可能となる。
〔手段2〕
上記手段1の構成において、前記補助圧電素子および前記圧電素子は、対をなす電極同士で誘電体を挟んで構成され、同一の製造工程で形成された構成を採用することができる。
上記手段2の構成によれば、補助圧電素子が圧電素子と同様な構成からなり、当該圧電素子と同一の製造工程で形成されるので、製造工程の増加を招くことなく、かつコストを抑えることができる。
〔手段3〕
上記手段1または手段2の構成において、前記補助圧電素子の充電状態と放電状態とを切り替えるスイッチを備える構成を採用することが望ましい。
上記手段3の構成によれば、補助圧電素子の充電状態と放電状態とを切り替えるスイッチを備えることで、圧電素子の駆動状況に応じて、補助圧電素子を放電するタイミングを任意に切り替えることができる。
〔手段4〕
上記手段3の構成において、前記スイッチは、同時に駆動される前記圧電素子の数が一定値を超えた場合に充電状態から放電状態に切り替えられる構成を採用することが望ましい。
上記手段4の構成によれば、スイッチは、同時に駆動される圧電素子の数が一定値を超えた場合に充電状態から放電状態に切り替えられることで、より適切なタイミングで補助圧電素子を放電して電力を補うことができるため、各ノズルから吐出される液体の吐出特性をより確実に揃えることが可能となる。
〔手段5〕
上記手段1から手段4の何れか一の構成において、前記補助圧電素子は、前記信号経路のうち、前記圧電素子の放電経路を通じて充電する構成を採用することが望ましい。
上記手段5の構成によれば、補助圧電素子は、圧電素子の放電経路を通じて充電するので、圧電素子の駆動に影響を及ぼすことを抑えつつ補助圧電素子を充電することが可能となる。
〔手段6〕
そして、本発明の液体吐出装置は、上記手段1から手段5の何れか一の構成の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
プリンターの内部構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する平面図である。 記録ヘッドの構成を説明する分解斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する断面図である。 プリンターの電気的構成を説明するブロック図である。 駆動回路近傍のブロック図である。 駆動パルスの構成を説明する波形図である。 記録ヘッドの製造について説明する工程図である。 記録ヘッドの製造について説明する工程図である。 第2の実施形態について説明する記録ヘッド2の平面図である。 第3の実施形態について説明する記録ヘッド2の平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1はプリンター1の構成を示す斜視図である。このプリンター1は、液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、本発明における液体の一種であるインクを貯留したインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録動作時の記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4を記録用紙6(記録媒体あるいは液体の着弾対象とも言える)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構7と、主走査方向に直交する副走査方向に記録用紙6を搬送する紙送り機構8と、を備えて概略構成されている。なお、インクカートリッジ3がプリンター1の本体側に配置され、当該インクカートリッジ7からインク供給チューブを通じて記録ヘッド2に供給される構成を採用することもできる。キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。そして、プリンター1は、ホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録用紙6上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。
図2は、本実施形態における記録ヘッド2の構成を示す平面図であり、図3は、記録ヘッド2の分解斜視図である。また、図4は、記録ヘッド2の断面図であり、(a)は圧力室長手方向の断面図、(b)は圧力室幅方向(ノズル列方向)の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド2は、流路形成基板14、ノズルプレート15、弾性膜16、絶縁膜17、および圧電素子18等を積層して構成されている。
本実施形態における流路形成基板14は、シリコン単結晶基板からなり、この流路形成基板14には、異方性エッチング処理により圧力室20となる空部が、この圧力室20の幅方向(ノズル列方向)に複数並設されている。この圧力室20の並設方向の一端部には、各圧力室20よりも幅広な逃げ空部30が異方性エッチングにより形成されている。この逃げ空部30の詳細については後述する。また、流路形成基板14の圧力室20の長手方向外側の領域には複数の圧力室に共通な空部である共通液室21(リザーバーあるいはマニホールドともいう)が形成され、共通液室21と各圧力室20とが、圧力室毎に設けられたインク供給口22を介して連通されている。共通液室21には、上記インクカートリッジ3からのインクが導入される。そして共通液室21に導入されたインクはインク供給口22を通じて各圧力室20にそれぞれ供給される。本実施形態における流路形成基板14の一方の面には、各圧力室20のインク供給口22側とは反対側の端部に連通するノズル23が開設されたノズルプレート15が、接着剤等により接合されている。このノズルプレート15は、複数のノズル23が、ドット形成密度に対応するピッチ(ノズルの開口中心間の間隔)で列状に並設された板材であり、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、又はステンレス鋼などからなる。
流路形成基板14の他方の面には、例えば二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜16が形成されている。また、この弾性膜16上には、例えば酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁膜17が形成されている。この弾性膜16および絶縁膜17において上記の共通液室21に対応する部分には、この共通液室21の上部開口形状に倣った開口部28が開設されている。この開口部28を通じて共通液室21にインクカートリッジ3からのインクが導入される。また、絶縁膜17上には、下電極24(第1の電極)と、圧電体25(本発明における誘電体の一種)と、上電極26(第2の電極)とがこの順で積層されて圧電素子18を構成している。流路形成基板14は、本発明における基板に相当し、圧電素子18は、この基板上に弾性膜16および絶縁膜17を間に介して形成されていると言える。
圧電素子18は、下電極24、圧電体25、及び上電極26を含む部分をいう。そして、圧電素子18の何れか一方の電極が共通電極として各圧電素子18の形成範囲に亘って連続して形成され、他方の電極および圧電体25が圧力室20毎にパターニングされる。そして、上下電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分が圧電体能動部となる。本実施形態において、下電極24が、各圧電素子18および後述する補助圧電素子19の共通電極となっており、上電極26が、圧電素子18毎の個別電極となっている。なお、駆動回路や配線の都合によってこれらを逆にする構成とすることもできる。圧電体25を構成する誘電材料(圧電材料)としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられている。また、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等を用いることができる。その他、チタン酸バリウムなどの非鉛材料も用いることも可能である。
上記絶縁膜17上には、圧電素子18と同様に、共通電極としての下電極24、圧電体25、および、個別電極としての上電極26から構成される補助圧電素子19が形成されている。この補助圧電素子19は、圧力室20内のインクに圧力変動を生じさせてノズル23からインクを吐出させる用途としては使われず、多数の圧電素子18に同時に駆動するような高負荷時における電力を補助するコンデンサーとして機能させるために設けられており、後述するように圧電素子18と同一の製造工程で形成される。本実施形態において、補助圧電素子19は、図2に示すように、圧電素子18の並設方向の一端部(図2における右端)に、圧電素子18と並べて形成されている。また、補助圧電素子19のノズル列方向に直交する方向の寸法は、各圧電素子18のノズル列に直交する方向の寸法に揃えられている一方で、補助圧電素子19のノズル列方向(圧電素子並設方向)の幅は、静電容量をより多く確保するべく圧電素子18のノズル列方向の幅よりも十分に大きく設定されている。
図4(b)に示すように、流路形成基板14における上記補助圧電素子19に対応する位置には、補助圧電素子19の充電時または放電時における変形を許容する逃げ空部30が形成されている。この逃げ空部30は、上記の圧力室20と同じ工程で異方性エッチング処理により形成される。本実施形態における逃げ空部30は、インクが流通する流路としては機能しない。このため、ノズルプレート15における逃げ空部30に対応する部分にはノズル23が形成されていない。なお、この逃げ空部30に対して隔壁31を挟んで隣り合う圧力室20の両側の隔壁31の剛性等の条件をノズル列方向の両側で揃えるために、これらの隔壁の厚さを揃えると共に、逃げ空部30内にもインクを充填するようにしてもよい。また、この逃げ空部30は必ずしも設けなくてもよい。
各圧電素子18の上電極26には、例えば、金(Au)等からなるリード電極27がそれぞれ接続され、後述する駆動回路42によりこのリード電極27を介して各圧電素子18に選択的に駆動信号(駆動パルスDP)が印加されるようになっている。同様に、補助圧電素子19にもリード電極29が設けられており、補助圧電素子19は、このリード電極29を介して各圧電素子19の駆動に係る信号経路(電力経路43)に電気的に接続されている。この点の詳細については後述する。
上記構成の記録ヘッド2では、インクカートリッジ3から共通液室21にインクを取り込み、この共通液室21から圧力室20を通りノズル23に至るまで内部をインクで満たし、この状態で後述する駆動回路42により圧電素子18の下電極24と上電極26との間に駆動パルスが印加されて、この駆動パルスの電位変化に応じて弾性膜16、絶縁膜17、下電極24及び圧電体25が撓み変形されることにより圧力室20内の圧力が変動し、この圧力変動を制御することで、ノズル23からインク滴が吐出(噴射)される。
図5は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンター1を構成する各部を制御するプリンターコントローラー33を備えている。本実施形態におけるプリンターコントローラー33は、主電源35、主制御回路38、駆動信号生成回路36、および増幅回路37等を備え、これらを図示しない内部バスにより相互に接続している。主電源35は、各部の駆動に必要な電源電圧を生成して、これをプリンターコントローラー33およびプリントエンジン34の各部に供給する。主制御回路38は、外部装置等から送られてくる画像やテキスト等の印刷データに対して各種の演算処理を施して、記録ヘッド2におけるインク吐出制御に用いられる階調データを生成する。この階調データは、記録ヘッド2におけるどのノズル23からどのタイミングでどの大きさのインクを吐出するか若しくはインクを吐出しないかを示す情報から構成される。そして、この階調データは記録ヘッド2のヘッドコントローラー40に送信される。
図7は、駆動信号生成回路36により生成される駆動信号COMに含まれる駆動パルスの一例を示す波形図である。駆動信号生成回路36は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成回路36は、生成した電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。駆動信号生成回路36により生成された駆動信号COMは、増幅回路37により増幅された上で、記録ヘッド2のスイッチ回路41に入力される。
この駆動信号COMは、例えば、図7に示すような駆動パルスDP(駆動波形)を含んで構成されている。図7(a)に示す駆動パルスDPは、高DUTY時におけるクロストークの影響を受けていない状態の基本波形を示している。本実施形態における駆動パルスDPは、収縮要素p1と、収縮ホールド要素p2と、復帰要素p3とからなる台形波を呈する。収縮要素p1は、圧力室20の基準容積(膨張又は収縮の基点となる容積)に対応する中間電位VB(基準電位)から収縮電位VHまで急勾配で電位を変化(上昇)させる波形要素である。収縮ホールド要素p2は、収縮電位VHを所定期間維持する波形要素である。また、復帰要素p3は収縮電位VHから中間電位VBまでインクを吐出させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。このような駆動パルスDPが圧電素子18に印加されると、次のように作用する。まず、収縮要素p1が印加されて圧電素子18は圧力室20の内側(ノズル23側)に撓む。これにより、圧力室20が急激に収縮してインクの圧力が上昇し、ノズル23からインクが吐出される。圧力室20の収縮状態は収縮ホールド要素p2により一定時間維持され、メニスカスが圧力室側から吐出側に変位するタイミングで復帰要素p3が印加されて圧電素子18は中間電位VBに対応する基準位置まで復帰し、これにより圧力室20も基準容積まで膨張する。
上記の記録ヘッド2において多数のノズル23から同時にインクを吐出する際に多数の圧電素子18が同時に駆動されると負荷が増大することで、図7(b)に示すように、圧電素子18に印加される駆動パルスDPに歪が生じる。その結果、インクの吐出特性に悪影響を及ぼす可能性がある。すなわち、同時にインクを吐出するノズル数に応じて、インクの重量や飛翔速度にばらつきが生じ、その結果、記録用紙6等に記録された記録画像の画質が不安定となってしまう虞がある。本実施形態におけるプリンター1において、このようなクロストークを抑制する構成の詳細については後述する。
図5に示すように、本実施形態における記録ヘッド2は、ヘッドコントローラー40、スイッチ回路41、駆動回路42、圧電素子18、および補助圧電素子19等を備えている。ヘッドコントローラー40は、主制御回路38からの階調データに基づき、各圧電素子18にそれぞれ対応して設けられたスイッチ回路41を制御するスイッチ制御信号を出力する。スイッチ回路41には、駆動信号生成回路36側からの駆動信号COMが入力されており、ヘッドコントローラー40からのスイッチ制御信号に基づき、各圧電素子19に対して駆動信号COMの出力状態または非出力状態を切り替える。また、本実施形態におけるスイッチ回路41は、圧電素子18の駆動に係る電力経路43(図6中、太線で示す)に対する補助圧電素子19の接続状態を切り替えるスイッチ44a,44b(本発明におけるスイッチに相当)を有する(図6参照)。また、スイッチ回路41と各圧電素子18との間には、駆動回路42が設けられている。
図6は、駆動回路42およびその周辺の構成を簡略化して示したブロック図である。なお、同図においては、圧電素子一つ分の構成を示しているが、駆動回路42は圧電素子18毎に設けられる。本実施形態における駆動回路42は、充電回路45および放電回路46を備え、電力経路43を通じて主電源35からの駆動電圧の供給を受けて、スイッチ回路41から出力される駆動信号COMに応じて圧電素子18を充電あるいは放電する制御を行う。主電源35からグランドに至る電力経路43には、一端が主電源35と駆動回路42との間に接続され、他端がスイッチ44aを介して駆動回路42とグランドとの間(放電経路43d)に接続された迂回経路47が設けられている。この迂回経路47の途中に上記の補助圧電素子19が接続されている。また、迂回経路47の一端と補助圧電素子19との間には、スイッチ44bが設けられている。上記のスイッチ44aは、駆動回路42の放電回路46をグランド側または迂回経路47側の何れかに接続するように切り替えるスイッチである。一方、スイッチ44bは、主電源35と駆動回路42との間の電力経路43に対する補助圧電素子19の接続状態または非接続状態を切り替えるスイッチである。
ここで、同時にインクが吐出されるノズル23の数が比較的少ない場合(低DUTY時)、圧電素子18の駆動時においては、スイッチ44aが迂回経路47側に切り替えられる一方、スイッチ44bは切断状態にされる。この状態では、圧電素子18が放電されたときに、迂回経路47を通じて補助圧電素子19が次第に充電される(図6中、Aで示す経路)。これにより、インクの吐出に影響が生じないように補助圧電素子19を充電することができる。一方、例えば記録用紙6の所定の範囲をインクで隙間なく埋める所謂ベタ印刷等のように、多数のノズル23から同時にインクを吐出させる場合(高DUTY時)、多数の圧電素子18が同時に駆動されるため、負荷が急激に増加してより多くの電流が回路に流れる。このとき、スイッチ44aがグランド側に切り替えられると共に、スイッチ44bが接続状態に切り替えられる。これにより、補助圧電素子19に蓄積された電荷が、放電経路43dを通じて駆動回路42側に放電される(図6中、Bの経路)。
このように、本発明に係るプリンター1においては、高DUTY時の急激な電流変化を抑制することができ、各圧電素子19を駆動する駆動パルスDPの歪等の発生を抑制することができる。その結果、インクを同時に吐出するノズル23の数に拘わらず、各ノズル23から吐出されるインクの吐出特性を一定に揃えることが可能となる。すなわち、クロストークを抑制することができる。また、補助圧電素子19の充電状態と放電状態とを切り替えるスイッチ44a,44bを備えることで、圧電素子18の駆動状況に応じて、補助圧電素子19を放電するタイミングを任意に切り替えることができる。ここで、スイッチ44a,44bは、同時に駆動される圧電素子18の数が一定値を超えた場合に充電状態から放電状態に切り替えられるようにすることができる。例えば、ノズル列を構成する各ノズル23に対応する全ての圧電素子18のうちの80%以上が同時に駆動されるような状況の際に、スイッチ44a,44bが補助圧電素子19の充電側から放電側に切り替えられるようにすることができる。同時に駆動される圧電素子18の数については、例えば、主制御回路38が、階調データに基づき認識することができる。このように構成することで、より適切なタイミングで補助圧電素子19を充放電して駆動回路42の電力を補うことができるため、各ノズル23から吐出されるインクの吐出特性をより確実に揃えることが可能となる。
次に、上記の記録ヘッド2の製造方法について、図8及び図9を参照して説明する。なお、各図は、圧力室20の幅方向あるいはノズル列方向となる方向における記録ヘッド2の要部断面図である。また、各図では補助圧電素子19と1つの圧電素子18に対応する構成を図示しているが、圧電素子18の構成は他のものも同様である。
まず、図8(a)に示すように、流路形成基板14となるシリコンウェハが拡散炉で熱酸化され、その表面に弾性膜16を構成する二酸化シリコン(SiO)膜が形成される。次いで、図8(b)に示すように、弾性膜16上に酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁膜17が形成される。具体的には、まず、弾性膜16上に、例えば、DCスパッタ法によりジルコニウム層が形成され、このジルコニウム層が熱酸化されることにより酸化ジルコニウムからなる絶縁膜17が形成される。次に、図8(c)に示すように、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とが絶縁膜17上に順次積層されることにより下電極24が形成される。
続いて、図8(d)に示すように、圧電体25が下電極24の表面に積層される。圧電体25の形成方法は、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体25を得る、いわゆるゾル−ゲル法が採用される。なお、圧電体25の形成方法は、特に限定されず、例えば、MOD法やスパッタリング等を用いることも可能である。続いて、当該圧電体25の上面に、図8(e)に示すように、例えばイリジウムからなる上電極26が圧電体25の上面にスパッタリング等により形成される。
次に、図9(a)に示すように、上電極26がフォトリソグラフィー法によりパターニングされる。このパターニングにおいては、圧電素子18に対応するマスクパターンに加えて、補助圧電素子19に対応するマスクパターンが設けられており、これにより、圧電素子18に対応する上電極26と、補助圧電素子19に対応する上電極26とが、それぞれパターニングされる。続いて、図9(b)に示すように、上電極26の場合と同様に、圧電素子18に対応するマスクパターンと補助圧電素子19に対応するマスクパターンを用いて、圧電体25がパターニングされる。これにより、圧電素子18および補助圧電素子19が、弾性膜16および絶縁膜17が積層された流路形成基板14上に形成される。その後、図9(c)に示すように、流路形成基板14に、各圧電素子18に対応する圧力室20等のインク流路、および、補助圧電素子19に対応する逃げ空部30が異方性エッチングにより形成される工程、ノズルプレート15が流路形成基板14に接合される工程が順次行われる。
このように、本発明に係る補助圧電素子19は、圧電素子18の形成時と同一の製造工程で作成されるので、製造工程の増加を招くことなく、かつコストを抑えることができる。
そして、以上の構成によれば、補助圧電素子19に対し、圧電素子18の駆動に係る電力経路を通じて充電するとともに、蓄積された電荷を駆動回路42側に放電して電力を補うという従来よりも簡単な構成で、回路規模の大幅な増大を招くことなく、複数のノズル23から同時にインクを吐出させる場合における急激な電流変化を抑制することができ、圧電素子19を駆動する駆動信号に歪が生じることを抑制することができる。その結果、インクを同時に吐出するノズル23の数に拘わらず、各ノズル23から吐出されるインクの吐出特性を揃えることが可能となる。
また、補助圧電素子19が、駆動対象である圧電素子18に近い位置に配置されるので、補助圧電素子19から圧電素子18までの経路を短くすることができる。これにより、駆動信号(駆動パルスDP)の歪みをより効果的に抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、補助圧電素子19は、圧電素子18の駆動にかかる信号経路(電力経路43)のうち、圧電素子18の放電経路43dを通じて充電されるので、圧電素子18の駆動に影響を及ぼすことを抑えつつ補助圧電素子19を充電することが可能となる。なお、補助圧電素子19の充電の方法については、例示したものには限られず、主電源35と充電回路45との間の電力経路43から充電する構成としてもよい。
図10は、本発明の第2の実施形態について説明する記録ヘッド2の平面図であり、図11は、本発明の第3の実施形態について説明する記録ヘッド2の平面図である。上記の第1の実施形態においては、圧電素子18の並設方向の一端部(図2における右端)に補助圧電素子19が1つだけ形成された構成を例示したが、これには限られない。例えば、図10に示す第2の実施形態では、圧電素子18の並設方向の両端部にそれぞれ補助圧電素子19が形成されている。このように複数の補助圧電素子19を設けることにより、より多くの電力を補助することが可能となる。また、図11に示す第3の実施形態では、圧電素子18の並設方向に沿って長尺な補助圧電素子19が形成されている。この構成によれば、補助圧電素子19の静電容量をより多く稼ぐことができるため、より多くの電力を補助することが可能となる。なお、補助圧電素子19の形状については、各実施形態で例示したものには限られず、必要な静電容量が得られるものであれば、種々の形状のものを採用することができる。いずれにしても、圧電素子18と同一製造工程で製造ができ、また、圧電素子18とできるだけ近い位置に配置するという観点から、圧電素子18と同一基板上に補助圧電素子19が形成されることが望ましい。
そして、本発明は、圧電素子を駆動させることで圧力室内の液体に生じる圧力変動によりノズルから液体を吐出させる構成を有する液体吐出装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,14…流路形成基板,15…ノズルプレート,16…弾性膜,17…絶縁膜,18…圧電素子,20…圧力室,19…補助圧電素子,23…ノズル,24…下電極,25…圧電体,26…上電極,33…プリンターコントローラー,35…主電源,36…駆動信号生成回路,37…増幅回路,38…主制御回路,40…ヘッドコントローラー,41…スイッチ回路,42…駆動回路,43…電力経路,43d…放電経路,44…スイッチ,45…充電回路,46…放電回路,47…迂回経路

Claims (6)

  1. ノズルに連通する圧力室が形成された基板上に形成され、圧力室内に圧力変動を生じさせる圧電素子と、
    前記圧電素子を充電または放電して駆動させる駆動回路と、
    を備える液体噴射ヘッドであって、
    前記圧電素子とは別に、各圧電素子の駆動の補助に係る補助圧電素子が前記基板上に形成され、
    前記補助圧電素子は、前記圧電素子の駆動に係る電力経路を通じて充電するとともに、蓄積された電荷を前記駆動回路側に放電可能に構成されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記補助圧電素子および前記圧電素子は、対をなす電極同士で誘電体を挟んで構成され、同一の製造工程で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記補助圧電素子の充電状態と放電状態とを切り替えるスイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記スイッチは、同時に駆動される前記圧電素子の数が一定値を超えた場合に充電状態から放電状態に切り替えられることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記補助圧電素子は、前記信号経路のうち、前記圧電素子の放電経路を通じて充電することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体吐出装置。
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