JP2010105300A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子の変位低下に伴う吐出特性の低下を抑制することが可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】圧電素子6を駆動することにより圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動によってノズルから液体を吐出する記録ヘッドを備えたプリンタであって、圧電素子に対して圧電体層15の分極方向に電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第1のモードと、圧電素子に対して圧電体の分極方向と逆向きに電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第2のモードと、を切り替え可能とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、インクジェット式記録ヘッド等の液体吐出ヘッドの駆動源として用いられる圧電素子を備えた液体吐出装置に関し、特に、圧電素子の変位低下による吐出特性の変動を抑制することが可能な液体吐出装置に関する。
例えば、液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象物)に対して吐出・着弾させてドットを形成することで画像等の記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
液体吐出ヘッドにおいて液体を吐出するための駆動源、即ち、ヘッド流路内の液体に圧力変動を生じさせるための圧力発生手段として用いられる圧電素子は、圧電材料からなる圧電体膜を上下の電極で挟んで成る素子である。圧電体膜は、例えば、結晶化した圧電性セラミックス、具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)により構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、電極間に電圧を印加して圧電素子を変位させることで、ノズルに連通する圧力発生室の一部を区画する振動板を変形させることができる。そして、この振動板の変形によって圧力発生室の容積が変化して圧力発生室内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動を制御することによってノズルから液体を噴射(吐出)することができる。
特開2006−306709号公報
ところで、上記構成の圧電素子は、長期に亘って使用すると、即ち、駆動を何度も繰り返していくと、変位量の低下が生じることが分かっている。このため、製造時と比べて吐出されるインクの液量が設計液量に一致しなくなる虞がある。これにより、記録紙などの着弾対象物における画像等の濃度や色相が設計通りに得られなくなる問題があった。この種の圧電素子では、通常、製造時からの初期段階において特性の急激な低下が見られる。そこで、このような初期変化を考慮して、製造後の圧電素子に対して所定数の駆動電圧を印加することで初期変化を経過させるためのエージング処理が行われている。
しかしながら、上記のエージング処理を行うことで、その分、処理時間や手間を要する上、エージング処理を施したとしても、その後の変位低下を完全に抑制することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電素子の変位低下に伴う吐出特性の低下を抑制することが可能な液体吐出装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧電素子を駆動することにより圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置であって、
圧電素子に対して圧電体の分極方向に電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第1のモードと、圧電素子に対して圧電体の分極方向と逆向きに電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第2のモードと、を切り替え可能なモード切り替え制御部を備えたことを特徴とする。
なお、分極方向に対する電界の方向に関し、第1のモードでは圧電素子の駆動期間中において電界が常に分極方向と同一方向である必要は無く、電界が分極方向に対して逆向きになる期間があっても良い。要は、圧電素子の1回の駆動における期間の大部分で電界が分極方向と同一方向となっていれば良い。同様に、第2のモードでは圧電素子の駆動期間中において電界が常に分極方向と逆方向である必要は無く、電界が分極方向に対して順方向となる期間があっても良い。要は、圧電素子の1回の駆動における期間の大部分で電界が分極方向と逆方向となっていれば良い。
また、上記構成において、前記モード切り替え制御部が、予め定められた切り替え条件が満たされない場合、前記第1のモードに設定し、前記切り替え条件が満たされた場合、前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える構成を採用することが望ましい。
さらに、前記切り替え条件は、圧電素子の駆動回数、吐出される液体の量、又は、経過時間の何れかが予め定められた閾値を超えることである構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、所定の切り替え条件を満たした場合に第1のモードから第2のモードに切り替えて、圧電体の分極方向に対して順方向の電界を印加して圧電素子を駆動する第1のモードと比較して、圧電体の分極方向に対して逆方向の電界を印加して圧電素子を駆動する第2のモードでは圧電素子の変位量がより大きくなるので、変位量の低下分を補償することが可能となる。これにより、ノズルから吐出される液体の量の低下等の吐出特性の低下を抑制することができ、記録紙などの着弾対象物における画像等の画質への影響を低減することができる。
また、上記構成において、前記圧電素子は第1の電極、圧電体層、及び、第2の電極を積層して構成され、前記圧電体層の分極方向は前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かう方向であり、
駆動電圧を発生する駆動電圧供給源と、一定のバイアス電圧を発生するバイアス電圧供給源と、前記駆動電圧供給源及び前記バイアス電圧供給源から前記第1の電極及び前記第2の電極までの経路に配置された経路切替手段と、を備え、
前記経路切替手段は、前記第1のモードでは前記駆動電圧供給源からの駆動電圧が前記第1の電極に供給されると共に前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧が前記第2の電極に供給される経路に切り替え、前記第2のモードでは前記駆動電圧供給源からの駆動電圧が前記第2の電極に供給されると共に前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧が前記第1の電極に供給される経路に切り替える構成を採用することができる。
また、上記構成において、前記圧電素子は第1の電極、圧電体層、及び、第2の電極を積層して構成され、前記圧電体層の分極方向は前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かう方向であり、
駆動電圧を発生する駆動電圧供給源と、一定のバイアス電圧を発生するバイアス電圧供給源と、を設け、
前記第1の電極に対して記駆動電圧供給源からの駆動電圧を供給すると共に、前記第2の電極に対して前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧を供給し、
前記第1のモードにおいて、前記バイアス電圧供給源はバイアス電圧を少なくとも前記駆動電圧の中間電位よりも小さく設定し、
前記第2のモードにおいて、前記バイアス電圧供給源はバイアス電圧を少なくとも前記駆動電圧の中間電位よりも大きく設定し、尚かつ、前記駆動電圧供給源は駆動電圧の波形を前記第1のモードにおける駆動電圧の波形に対し上下反転させる構成を採用することができる。
そして、上記各構成において、前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルを列設して構成されるノズル群を複数有し、
前記モード切り替え制御部は、ノズル群毎にモードを切り替える構成を採用することも可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体吐出ヘッドとして、インクジェット式プリンタ(本発明の液体吐出装置の一種)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
図1は、本実施形態の記録ヘッド1の構成を示す分解斜視図である。また、図2(a)は記録ヘッド1の平面図、図2(b)は(a)におけるA−A′線断面図、図2(c)は圧力発生室9の幅方向(圧電素子短尺方向)の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド1は、流路形成基板2、ノズルプレート3、弾性体膜4、絶縁体膜5、圧電素子6、及び、保護基板7等を積層して構成されている。
流路形成基板2は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、この流路形成基板2には、複数の圧力発生室9がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板2の圧力発生室9の長手方向外側の領域には連通部10が形成され、連通部10と各圧力発生室9とが、各圧力発生室9毎に設けられたインク供給路11を介して連通されている。なお、連通部10は、後述する保護基板7のリザーバ部20と連通して各圧力発生室9の共通のインク室となるリザーバ21の一部を構成する。インク供給路11は、圧力発生室9よりも狭い幅で形成されており、連通部10から圧力発生室9に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
流路形成基板2の開口面側には、各圧力発生室9のインク供給路11とは反対側の端部に連通するノズル12が開設されたノズルプレート3が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。一方、流路形成基板2の開口面とは反対側には、例えば二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜4が形成され、この弾性膜4上には、酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜5が形成されている。また、この絶縁体膜5上には、下電極膜14(本発明における第2の電極の一種)と、圧電体層15と、上電極膜16(本発明における第1の電極の一種)とが形成され、これらが積層状態で圧電素子6(薄膜圧電素子)を構成している。ここで、圧電素子6は、下電極膜14、圧電体層15、及び上電極膜16を含む部分をいう。一般的には、圧電素子6の何れか一方の電極を共通電極(グラウンド電極)とし、他方の電極(正極又は個別電極)及び圧電体層15を圧力発生室9毎にパターニングして構成する。そして、パターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層15から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。なお、本実施形態では、分極方向が上電極膜16から下電極膜14に向かう方向となるように圧電体層15が分極されている(図5における分極方向Pd)。また、下電極膜14は圧電素子6の共通電極とし、上電極膜16を圧電素子6の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合によってこれらを全体的に逆にする構成とすることもできる。何れの場合においても、圧力発生室9毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、このような各圧電素子6の上電極膜16には、例えば、金(Au)等からなるリード電極17がそれぞれ接続されている。
流路形成基板2上の圧電素子6側の面には、圧電素子6に対向する領域にその変位を阻害しない程度の大きさの空間となる圧電素子保持部19を有する保護基板7が接合されている。圧電素子6は、この圧電素子保持部19内に収容されるため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板7には、流路形成基板2の連通部10に対応する領域にリザーバ部20が設けられている。このリザーバ部20は、保護基板7を厚さ方向に貫通して圧力発生室9の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板2の連通部10と連通されて各圧力発生室9の共通のインク室となるリザーバ21を構成している。
また、保護基板7の圧電素子保持部19とリザーバ部20との間の領域には、保護基板7を厚さ方向に貫通する貫通孔22が設けられ、この貫通孔22内に下電極膜14の一部及びリード電極17の先端部が露出されている。そして、リード電極17には、プリンタ本体側のバイアス電圧供給源29からのバイアス電圧が印加され、また、下電極膜14には、プリンタ本体側の駆動電圧供給源30からの駆動電圧が印加される(何れも、図4を参照しながら後述する)。保護基板7上には、封止膜23及び固定板24とからなるコンプライアンス基板25が接合されている。封止膜23は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルム)からなり、この封止膜23によってリザーバ部20の一方面が封止されている。また、固定板24は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼等)で形成される。この固定板24のリザーバ21に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部26となっているため、リザーバ21の一方面は可撓性を有する封止膜23のみで封止されている。
上記構成の記録ヘッド1では、インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ21からノズル12に至るまで内部をインクで満たした後、プリンタ本体側からの駆動電圧及びバイアス電圧の供給により、圧力発生室9に対応するそれぞれの下電極膜14と上電極膜16との間に吐出パルスP(図4参照)を印加し、弾性膜4、絶縁体膜5、下電極膜14及び圧電体層15を撓み変形させることにより圧力発生室9内の圧力が高まり、この圧力変動を制御することで、ノズル12からインクが吐出(噴射)される。
図3は、プリンタの電気的な構成を説明するブロック図である。プリンタコントローラ36は、ROM37に記憶された制御プログラム等に従って各部を制御するCPU39と、各種データ処理のための制御プログラム等を記憶したROM37と、各種データ等を記憶するRAM38と、記録ヘッド1の圧電素子6を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生回路40と、後述するモード切替条件等の情報を記憶する不揮発性記憶素子41と、記録ヘッド1にデータを出力するインタフェース(I/F)部42とを相互に接続した状態で備えている。
駆動信号発生回路40は、バイアス電圧供給源29と駆動電圧供給源30とを備えている(図5参照)。駆動電圧供給源30は、例えば、図4に示すように、駆動電圧VPを発生する。この駆動電圧VPは、時系列で変化するパルス電圧となっている。一方、バイアス電圧供給源(DC電圧供給源)29は、一定のバイアス電圧(直流電圧)VCを発生する。このバイアス電圧は、少なくとも駆動電圧供給源30が発生する駆動電圧の中間電位(基準電位)Vbよりも低く設定される。駆動電圧供給源30が発生する駆動電圧VPが上電極膜16に印加されると共に、バイアス電圧供給源29が発生するバイアス電圧VCが下電極膜14に印加されることにより、圧電素子6には図4に示す吐出パルスPが印加される。この吐出パルスPは、圧力発生室9の容積の基準容積に対応する基準電位Vmから最低電位VLまで比較的緩やかな勾配で電位を降下させる電位下降要素p1と、最低電位VLを所定時間保持する第1電位ホールド要素p2と、最低電位VLから最高電位VHまで急勾配で電位を上昇させる電位上昇要素p3と、最高電位VHを所定時間保持する第2電位ホールド要素p4と、最高電位VHから基準電位Vmまで電位を下降させる復帰要素p5とを含んで構成されている。
電位下降要素p1が圧電素子6に供給されると、圧電素子6が圧力発生室9とは反対側に撓んで弾性膜4を変形させることにより圧力発生室9が比較的緩やかに膨張し圧力発生室9が減圧される。続いて、第1ホールド要素p2が供給されることで圧力発生室9の膨張状態が維持される。その後、電位上昇要素p3が供給されて圧電素子6が圧力発生室9側に撓み、圧力発生室9が極く短時間で収縮し、この収縮状態が第2ホールド要素p4の供給期間に亘って維持される。そして、電位上昇要素p3の供給により、圧力発生室9内のインクが急激に加圧されてノズル12からインクが吐出される。その後、第2ホールド要素p4の後に続いて復帰要素p5が供給されて圧力発生室9が緩やかに膨張され、インクが吐出された後のノズル12のメニスカスの振動を収束させる。
ところで、本発明に係るプリンタは、圧電素子6の使用状況(以下で説明する切り替え条件)に応じて、圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向Pdと同方向に電界を印加することにより圧電素子6を駆動する第1のモードと、圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向Pdと逆向きに電界を印加することにより圧電素子6を駆動する第2のモードとを切り替えるように構成されている。以下、この点について説明する。
図5は、駆動信号発生回路40から圧電素子6までの信号供給経路を示す簡易回路図であり、(a)は第1のモードにおける切り替え状態、(b)は第2のモードにおける切り替え状態をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態におけるプリンタには、駆動電圧供給源30及びバイアス電圧供給源29から圧電素子6の上電極膜16及び下電極膜14までの経路を切り替える経路切替手段としてスイッチ回路31を設けている。このスイッチ回路31は、モード切り替え制御部として機能するCPU39によって切り替えが制御されるようになっている。そして、プリンタには、モードの切り替え制御のタイミングを規定するために、圧電素子6の製造時からの駆動回数(インクを吐出した回数)についての閾値が予め設定されている。この閾値は、圧電素子6の仕様などに応じて任意に定めることができるが、例えば、200億回から300億回程度の値が設定される。
そして、CPU39は、本発明におけるモード切り替え制御部として機能し、製造時からの圧電素子6の駆動回数と上記の閾値とを比較し、駆動回数が閾値に満たない場合、モードを第1のモードに設定し、図5(a)に示すように、駆動電圧供給源30からの駆動電圧VPが個別電極(正極)としての上電極膜16に供給されると共にバイアス電圧供給源29からのバイアス電圧VCが共通電極(グラウンド電極)としての下電極膜14に供給される経路となるように、スイッチ回路31を切り替える。この第1のモードでは、図4で先述したように、駆動電圧供給源30からの駆動電圧VPが上電極膜16に印加されると共に、バイアス電圧供給源29からのバイアス電圧VCが下電極膜14に印加されることにより、圧電素子6には図4に示す吐出パルスPが印加される。この吐出パルスPは、全体的にプラス側の電圧となる。したがって、この第1のモードでは、圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向Pdに電界が印加されることになる。
一方、駆動回数が閾値以上となった場合、モード切り替え制御部としてのCPU39は、モードを第1のモードから第2のモードに切り替え、図5(b)に示すように、駆動電圧供給源30からの駆動電圧VPが下電極膜14に供給されると共にバイアス電圧供給源29からのバイアス電圧VCが上電極膜16に供給される経路となるように、スイッチ回路31を切り替える。この第2のモードでは、圧電素子6に印加される吐出パルスPは、極性が反転して全体的にマイナス側の電圧となる。換言すると、この第1のモードでは、圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向とは逆の方向に電界が印加されることになる。
ここで、図6は、圧電素子6の印加電圧に対する変位量(撓み量)の特性を示すグラフである。同図に示すように、印加電圧を変化させると、これに応じて圧電素子6の変位量は図において矢印で示す軌跡を描くように変化する。そして、同じ絶対値の電圧を印加した場合に、印加電圧をプラス側で変化させる構成、即ち、圧電体層15の分極方向に対して順方向の電界を印加する第1のモードと比較して、印加電圧をマイナス側で変化させる構成、即ち、圧電体層15の分極方向に対して逆方向の電界を印加する第2のモードでは圧電素子6の変位量がより大きくなることが分かった。具体的には、第2のモードでは、第1のモードの場合と比べて、十数%〜数十%くらい圧電素子6の変位量が大きくなる。
このため、駆動を何度も繰り返すことで圧電素子6の変位量が低下した場合においても、駆動回数が閾値を超えるという切り替え条件を満たした場合に第1のモードから第2のモードに切り替えて、圧電体層15の分極方向に対して逆方向の電界を印加して圧電素子6を駆動することにより、変位量の低下分を補償することが可能となる。これにより、ノズルから吐出されるインクの液量の変動等を抑制することができ、記録紙などの着弾対象物における画像等の画質への影響を低減することができる。また、従来行っていたエージング処理を省略することができる。さらに、駆動電圧供給源30からの駆動電圧VP等を補正することなく、駆動電圧供給源30及びバイアス電圧供給源29から圧電素子6の上電極膜16及び下電極膜14までの経路を切り替えるスイッチ回路31を切り替えるだけで良いため、容易に変位量の低下を補償することができる。そして、上記構成を採用することにより、プリンタの保証期間を従来よりも長くすることが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、第2のモードにおいて駆動電圧供給源30からの駆動電圧VPを下電極膜14に印加すると共にバイアス電圧供給源29からのバイアス電圧VCを上電極膜16に印加することで、圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向とは逆の方向に電界が印加されるように構成した例を示したが、これには限られない。例えば、第2のモードにおいて、第1のモードと同様に、駆動電圧供給源30からの駆動電圧VPを上電極膜16に印加すると共にバイアス電圧供給源29からのバイアス電圧VCを下電極膜14に印加する構成とし、尚かつ、図7に示すように、バイアス電圧VCを少なくとも駆動電圧VPの中間電位Vbよりも大きく設定し、尚かつ、駆動電圧VPの波形を第1のモードにおける駆動電圧VPの波形に対し上下反転させる構成を採用することも可能である。この構成では、圧電素子6には図7に示す吐出パルスP′が印加される。この吐出パルスP′は、バイアス電圧VCを駆動電圧VPの中間電位Vbよりも大きくする程、マイナス側にシフトする。そして、この吐出パルスP′は、図4に示す第1のモードの吐出パルスPに対して極性が反転しているため、この吐出パルスP′を圧電素子6を印加することで圧電素子6に対して圧電体層15の分極方向とは逆の方向に電界が印加されることになる。即ち、この構成においても、図6におけるマイナス側での駆動を実現することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、駆動電圧VPの形状は、上記各実施形態で例示したものには限られず、任意の形状の駆動波形を採用することができる。
また、上記実施形態では、薄膜圧電素子である圧電素子6を例示したが、これには限られず、他の構成の圧電素子にも適用することができる。
また、第1のモードから第2のモードに切り替えるタイミングを規定する切り替え条件に関し、上記実施形態では、製造時からの圧電素子6の駆動回数が閾値を超えたことを切り替え条件とした例を示したが、これには限られず、例えば、ノズル12から吐出されるインクの量(重量又は体積)、或いは、製造時からの経過時間が予め定められた閾値を超えることを切り替え条件としても良い。
さらに、記録ヘッド1が、複数のノズル12を列設して構成されるノズル列(ノズル群)を複数有する構成では、モード切り替え制御部としてのCPU39は、ノズル列毎に切り替え条件を設け、それぞれの切り替え条件に応じてノズル列毎にモードを切り替えるようにしても良い。この構成によれば、ノズル列毎に圧電素子6の駆動回数が異なる場合に、より適切なタイミングで第2のモードに切り替えることができる。
そして、本発明は、例示したプリンタに限らず、プロッタ、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
記録ヘッドの分解斜視図である。 記録ヘッドの平面図及び断面図である。 プリンタの電気的な構成を説明するブロック図である。 圧電素子に印加される駆動電圧等の波形図である。 駆動信号発生回路から圧電素子までの信号供給経路を示す簡易回路図である。 圧電素子の印加電圧に対する変位量(撓み量)の特性を示すグラフである。 他の実施形態の構成を説明する波形図である。
符号の説明
1…記録ヘッド,6…圧電素子,14…下電極膜,15…圧電体層,29…バイアス電圧供給源,30…駆動電圧供給源,31…スイッチ回路,39…CPU,40…駆動信号発生回路

Claims (6)

  1. 圧電素子を駆動することにより圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置であって、
    圧電素子に対して圧電体の分極方向に電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第1のモードと、圧電素子に対して圧電体の分極方向と逆向きに電界を印加することにより当該圧電素子を駆動してノズルから液体を吐出する第2のモードと、を切り替え可能なモード切り替え制御部を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記モード切り替え制御部は、予め定められた切り替え条件が満たされない場合、前記第1のモードに設定し、前記切り替え条件が満たされた場合、前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記切り替え条件は、圧電素子の駆動回数、吐出される液体の量、又は、経過時間の何れかが予め定められた閾値を超えることであることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記圧電素子は第1の電極、圧電体層、及び、第2の電極を積層して構成され、前記圧電体層の分極方向は前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かう方向であり、
    駆動電圧を発生する駆動電圧供給源と、一定のバイアス電圧を発生するバイアス電圧供給源と、前記駆動電圧供給源及び前記バイアス電圧供給源から前記第1の電極及び前記第2の電極までの経路に配置された経路切替手段と、を備え、
    前記経路切替手段は、前記第1のモードでは前記駆動電圧供給源からの駆動電圧が前記第1の電極に供給されると共に前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧が前記第2の電極に供給される経路に切り替え、前記第2のモードでは前記駆動電圧供給源からの駆動電圧が前記第2の電極に供給されると共に前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧が前記第1の電極に供給される経路に切り替えることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記圧電素子は第1の電極、圧電体層、及び、第2の電極を積層して構成され、前記圧電体層の分極方向は前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かう方向であり、
    駆動電圧を発生する駆動電圧供給源と、一定のバイアス電圧を発生するバイアス電圧供給源と、を設け、
    前記第1の電極に対して記駆動電圧供給源からの駆動電圧を供給すると共に、前記第2の電極に対して前記バイアス電圧供給源からのバイアス電圧を供給し、
    前記第1のモードにおいて、前記バイアス電圧供給源はバイアス電圧を少なくとも前記駆動電圧の中間電位よりも小さく設定し、
    前記第2のモードにおいて、前記バイアス電圧供給源はバイアス電圧を少なくとも前記駆動電圧の中間電位よりも大きく設定し、尚かつ、前記駆動電圧供給源は駆動電圧の波形を前記第1のモードにおける駆動電圧の波形に対し上下反転させることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  6. 前記液体吐出ヘッドは、複数のノズルを列設して構成されるノズル群を複数有し、
    前記モード切り替え制御部は、ノズル群毎にモードを切り替えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体吐出装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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