JP2016138361A - 発泡壁紙の製造方法及び積層シートの製造方法 - Google Patents

発泡壁紙の製造方法及び積層シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材を備えつつ、発泡させたときに十分な発泡倍率とガス抜けが目立たない良好な発泡状態とを両立できる積層シート及び発泡壁紙の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る発泡壁紙の製造方法は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、積層シート前駆体における樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、積層シートにおける樹脂シートに含まれる発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程と、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡壁紙の製造方法及び積層シートの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、戸建て住宅、集合住宅、店舗、事務所ビル等の建築物の壁面装飾などに利用可能な発泡壁紙の製造方法及び積層シートの製造方法に関する。
建築物の壁面装飾等に用いる壁紙としては、紙基材に塩化ビニル樹脂の樹脂層を設けた塩化ビニル壁紙が広く用いられている。近年、環境に配慮し、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなハロゲンを含有しない樹脂が用いられている(例えば、下記特許文献1及び2を参照。)。
これらの発泡壁紙の製造方法としては、先ず、基材上に、発泡剤が含まれる樹脂組成物を溶融押出コートし積層する、又は別途Tダイ押出法によりシーティングしておき、後からドライラミネート又は熱ラミネートにて基材を貼り合わせるかして、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得る。その後、必要に応じて表面に印刷が施された樹脂シートを加熱して発泡剤を分解・発泡させる。これらの方法は、基材上に樹脂組成物を塗布・乾燥する方法に比べて生産効率の点で有利である。
特開平6−47875号公報 特開2001−347611号公報
しかし、押出製膜では、スクリューを使って樹脂を溶融させる際に、せん断発熱によって樹脂温度が上昇してしまい、押出機内部で発泡剤の分解が発生しやすいという問題がある。エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、押出機の腐食、極性化合物と無機充填剤との組合せによる過剰な増粘などが更に懸念される。
これらの対策として、低溶融粘度の樹脂を使用することで、押出機内でのせん断発熱を抑える方法がある。しかし、一方で、発泡壁紙用の樹脂組成物は、製膜した樹脂シートが、発泡させたときに十分な発泡倍率が得られ、なおかつガス抜けが目立たない良好な発泡状態となるものであることが求められる。そのため、この場合には、製膜後に電子線等で架橋処理を行うことで、発泡に適する粘度に調整することが必要とされる。しかし、電子線照射においては、紙基材を黄変させてしまう等の基材への影響が少なくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材を備えつつ、発泡させたときに十分な発泡倍率とガス抜けが目立たない良好な発泡状態とを両立できる積層シートの製造方法及び発泡壁紙の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、積層シート前駆体における樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、積層シートにおける樹脂シートに含まれる発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程と、を備える、発泡壁紙の製造方法を提供する。
本発明によれば、黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材上に、十分な発泡倍率と良好な発泡状態とを有する発泡樹脂層が設けられた発泡壁紙を製造することができる。
このような効果が得られる理由として、シラン架橋性樹脂と水和金属化合物とを組み合わせて用いることにより、発泡剤を発泡させる際に、水和金属化合物が加熱されることで、脱水反応が起こり、シラン架橋反応の効率が高められたことが考えられる。これにより、押出製膜に適した低溶融粘度の樹脂を用いる場合であっても、基材への影響が少ない電子線照射量で、発泡セルが微細かつ均一になり、十分な発泡倍率と良好な発泡状態とを両立できたものと本発明者らは推察する。
また、本発明の製造方法により得られた発泡壁紙は、圧縮回復性やコーンカロリー燃焼性試験において優れた性能を有することが可能となる。なお、このような効果が得られることも水和金属化合物の脱水反応によるものと本発明者らは考えている。
本発明に係る発泡壁紙の製造方法において、上記樹脂組成物は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を更に含むことができる。このような無極性の樹脂を使用することで、二酸化チタン又は炭酸カルシウム等の各種充填剤を添加した際の増粘効果を最小限に抑えることができる。増粘効果を最小限に抑えることで、ドローレゾナンスが向上して製膜安定性が高まるとともに、押出機内でのスクリュー回転トルクの過上昇や樹脂圧力を抑制でき、同時にせん断による樹脂の発熱を最小限に抑えることも可能となる。
本発明に係る発泡壁紙の製造方法において、上記水和金属化合物は、水酸化アルミニウムを含むことが好ましい。水酸化アルミニウムは、水酸化マグネシウム等に比べて脱水反応の開始温度が低いため、より低温でシラン架橋反応を促進することができる。これにより、より低温からシラン架橋反応が進行するため、発泡壁紙の表面がより平滑になり、かつセルサイズがより微細で均一になる。
本発明に係る発泡壁紙の製造方法において、上記水和金属化合物の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。粒径を小さくすることにより、表面積が増加し、一度に大量の水分を脱水させることができる。これにより、シラン架橋反応を促進できる水分量をより少ない水和金属化合物によって増加させることができ、より効率的に架橋を行うことができる。
また、本発明は、基材と、該基材上に設けられた樹脂シートと、を備える積層シートの製造方法であって、発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、積層シート前駆体における樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、を備える、積層シートの製造方法を提供する。
本発明の積層シートの製造方法によれば、黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材を備えつつ、発泡させたときに十分な発泡倍率とガス抜けが目立たない良好な発泡状態とを両立できる積層シートを製造することができる。
本発明に係る発積層シートの製造方法において、上記樹脂組成物は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を更に含むことができる。
本発明に係る発積層シートの製造方法において、上記水和金属化合物は、水酸化アルミニウムを含むことが好ましい。
本発明に係る発積層シートの製造方法において、上記水和金属化合物の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、黄変等の品質劣化が十分に抑制された基材を備えつつ、発泡させたときに十分な発泡倍率とガス抜けが目立たない良好な発泡状態とを両立できる積層シート及び発泡壁紙の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る積層シートは、基材と該基材上に設けられた発泡樹脂層とを備える発泡壁紙を製造するために用いられる積層シートであって、基材と該基材上に設けられ、発泡により発泡樹脂層を形成できる樹脂シートとを備える。
[積層シートの製造方法]
本実施形態に係る積層シートの製造方法は、樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、積層シート前駆体における樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、基材上に樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、を備える。
本実施形態に係る樹脂組成物は、発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む。
本実施形態に係る発泡剤としては、例えば、熱分解型発泡剤を用いることができる。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系発泡剤などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。上記の発泡剤の中でも、毒性が少なく、発泡開始温度の調節が容易で適用範囲が広く、なおかつ分解温度が比較的高く、後述する水和金属化合物の脱水温度において発泡しにくいことから、ADCAが好ましい。
発泡剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂組成物全量を基準として1〜20質量%であることが好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲であると、過剰なガスの発生による表面からのガス抜けが抑制されている発泡樹脂層を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂分としてシラン架橋性樹脂を含む。シラン架橋性樹脂としては、加水分解性シリル基を有する樹脂が挙げられ、例えばシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、母体としてのポリオレフィン系重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、低密度ポリエチレン系、高密度ポリエチレン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリプロピレン系等の重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂が挙げられる。架橋は、置換シリル基の加水分解により行われる。なお、このシリル基が末端に位置するポリオレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系重合体を構成するモノマーとエチレン性不飽和基又はエポキシ基を有するシラン化合物とを容器中でランダム共重合させる方法、又はポリオレフィン系重合体の溶融物に過酸化物を用いてエチレン性不飽和基又はエポキシ基を有するシラン化合物をグラフト共重合する方法等により得ることができる。ここで、母体としてのポリオレフィン系重合体は、上記の樹脂のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、母体のポリオレフィン系樹脂は、樹脂同士の混合又は分解が許容される程度であれば、上記ポリオレフィン系樹脂と、上記ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂とを併用してもよい。混合又は分散の程度は、使用する押出機の種類により大差があり、また適宜の相溶化剤も使用できるので、組合せ樹脂は一概に区分はできないが、同種の樹脂であることが好ましい。エチレン性不飽和基を有するシラン化合物としては、例えば、ビニル基を有するシラン化合物、アクリロイル基を有するシラン化合物、メタクリロイル基を有するシラン化合物等が挙げられる。ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、及びビニルトリカルボキシシラン等が挙げられる。アクリロイル基を有するシラン化合物としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。メタクリロイル基を有するシラン化合物としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基を有するシラン化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
シラン架橋性樹脂は市販品を用いることができ、例えば、三菱化学株式会社製「リンクロン」等を用いることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物におけるシラン架橋性樹脂の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
樹脂分は、上述したシラン架橋性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、燃焼時にダイオキシン等の有毒ガスの発生を防ぐ観点から、非塩素系熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。非塩素系熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと他のオレフィンとの共重合体、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等)、エチレンコポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
中でも、本実施形態に係る非塩素系熱可塑性樹脂は、無極性であることが好ましい。このような無極性の非塩素系熱可塑性樹脂を用いることで、下記で述べる充填剤を添加した際の増粘効果を最小限に抑えることができ、高品質の壁紙を安定して生産することができる。また、このような無極性の非塩素系熱可塑性樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を含むことができる。本実施形態においては、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を用いた場合であっても、上記シラン架橋性樹脂と水和金属化合物との組合せにより、コーンカロリー難燃性試験における性能を十分に確保することができる。
エチレン単独重合体としては、例えば、高圧法で合成された低密度ポリエチレン、中低圧法で合成されたコモノマーを含まない高密度ポリエチレン等が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレンが好ましい。
低密度ポリエチレンは、例えば、密度が0.91g/cm以上0.94g/cm以下の範囲にあるものが挙げられる。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下であり、より好ましくは0.92g/cm以上0.93g/cm以下である。低密度ポリエチレンの分子量、融点、メルトフローレート(MFR)等については特に制限されないが、融点については、50℃〜140℃が好ましく、60℃〜110℃がより好ましい。融点が140℃以下であれば樹脂を溶融して成型する際により高温で溶融する必要がなく、発泡剤が成型中に分解してしまうという可能性が少ない。一方、融点が50℃以上であれば、実使用上の熱耐久性が十分に得られる。MFRについては10〜200のものが好ましく、10〜100のものがより好ましい。MFRが10以上であれば、成型時に生じるせん断発熱を抑えることができ、加工温度の制御が容易になり、成型中に発泡剤が分解してしまうことを抑制することができる。一方、MFRが200以下であれば、効率的に発泡させることができ、発泡樹脂層の圧縮回復性等の機械強度が保たれ、発泡壁紙の施工性及び耐久性をより向上させることができる。
低密度ポリエチレンとしては、例えば、ノバテックLD LJ802A、ノバテックLD LC604、ノバテックLD LC600A(以上、日本ポリエチレン製)、宇部ポリエチレン J2516(宇部丸善ポリエチレン製)、ペトロセン353(東ソー製)等の市販品を用いることができる。
エチレンと他のオレフィンとの共重合体は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、コモノマーとの共重合で得られた高密度ポリエチレン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。中でも、超低密度ポリエチレンが好ましい。
超低密度ポリエチレンとしては、例えば、密度が0.88g/cm以上0.91g/cm未満の範囲にあるものが挙げられる。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.88g/cm以上0.90g/cm以下であり、より好ましくは0.89g/cm以上0.90g/cm以下である。超低密度ポリエチレンの分子量、融点、MFR等については特に制限されないが、融点については50℃〜140℃が好ましく、60℃〜110℃がより好ましい。融点が140℃以下であれば樹脂を溶融して成型する際により高温で溶融する必要がなく、発泡剤が成型中に分解してしまうという可能性が少ない。一方、融点が50℃以上であれば、実使用上の熱耐久性が十分に得られる。MFRについては3以上70以下のものが好ましく、3以上70未満のものがより好ましく、4以上65以下のものが更に好ましい。MFRが3以上であれば、成型中に発泡剤が分解してしまうことを抑制することができる。一方、MFRが70以下であれば、発泡樹脂層の機械強度が保たれ、発泡壁紙の施工性及び耐久性をより向上させることができる。
超低密度ポリエチレンとしては、例えば、タフマー DF140、DF940、DF7350(以上、いずれも三井化学製)、カーネル KJ−640T(日本ポリエチレン製)、エクセレンFX CX5508(住友化学製)、エンゲージ 8400/8407(ダウ・ケミカル製)、エボリューP SP90100(プライムポリマー製)等の市販品を用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物における樹脂分の総含有量は、樹脂組成物全量を基準として、20〜80質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることが更に好ましい。なお、この場合、樹脂分は架橋されていてもよい。
本実施形態に係る樹脂分は塩素原子の含有量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましい。特に本実施形態に係る樹脂分は、塩素原子を含まないことが更に好ましい。樹脂分における塩素原子の含有量の算出方法は、JIS−K−7229記載の酸素フラスコ燃焼法の方法が挙げられる。
本実施形態に係る水和金属化合物とは、加熱により脱水する金属化合物をいう。このような水和金属化合物は、加熱により水分を放出することができる。水和金属化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅等が挙げられる。
水和金属化合物は、粒子状であることが好ましい。水和金属化合物の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。水和金属化合物の平均粒径を5μm以下とすることにより、表面積が増加し、一度に大量の水分が脱水される。これにより、シラン架橋反応に用いられる水分量が多くなり、より効率的に架橋が行われる。また、水和金属化合物の平均粒径の下限値は、粘度の上昇を抑える観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。水和金属化合物の平均粒径とは、粒度分布の中央値に相当する50%平均粒径であり、例えば、市販の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
水和金属化合物は、分散性、成形性、難燃性等の向上の観点から、各種の表面処理を施してもよい。このような表面処理を施した水和金属化合物としては、分散性及び成形性の向上の観点からは、例えば、硝酸陰イオン処理水酸化アルミニウム、高温熱水化処理水酸化アルミニウム等が挙げられ、難燃性の向上の観点からは、例えば、硝酸塩処理水酸化アルミニウム、錫酸亜鉛表面処理水酸化アルミニウム、ニッケル化合物表面処理水酸化マグネシウム等のほか、金雲母処理、シリコーン処理、シリコーンポリマー処理等の処理を施した水和金属化合物などが挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物における水和金属化合物の含有量は、樹脂組成物全量を基準として、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。水和金属化合物の含有量が20質量%以上であれば、水和金属化合物から放出された水が効率的に架橋反応に寄与する傾向にあり、70質量%以下であれば、成形加工の容易性を高めることができる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料の添加による着色は、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。顔料としては、例えば、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、又はアニリンブラック、フタロシアニンブルー等の有機顔料などを挙げることができる。
顔料の添加量としては、樹脂組成物全量を基準として、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
また、樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、発泡助剤、水和金属化合物以外の難燃剤、セル調整剤、安定剤、滑剤、シラン架橋助剤等の周知の添加剤を用いることができる。
充填剤としては、無機充填剤又は有機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。有機充填剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、木粉、セルロース及びその誘導体が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
充填剤の含有量は、特に制限されないが、その合計量が、樹脂組成物全量を基準として10〜60質量%であることが好ましい。充填剤を添加する理由としては、発泡壁紙の隠蔽性の確保、単位面積当たりの燃焼カロリーの低減、嵩増しによる製造コストの低減等が挙げられるが、充填剤(特には無機充填剤)の含有量が樹脂組成物全量を基準として20〜40質量%であると、発泡壁紙としての良好な隠蔽性を確保しながら燃焼かカロリーが低く、製造コストの手頃な発泡壁紙を製造することができる。
発泡助剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪族系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪族アミド系、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オクチル酸亜鉛等の脂肪酸金属塩系のほか、尿素系、塩化亜鉛、酸化亜鉛等が挙げられる。
水和金属化合物以外の難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系等のリン系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA等の臭素系難燃剤などが挙げられる。
セル調整剤としては、例えば、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、フェノール/アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル補足剤、リン系、イオウ系等の過酸化物分解剤、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪族アミド系、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、オクチル酸亜鉛等の脂肪酸金属塩系の滑剤などが挙げられる。
シラン架橋助剤としては、例えば、スズ系の架橋助剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物においては、製膜した樹脂シートの架橋を効率的に行うために、トリメチルプロパン・トリメタクリレート、トリメチルプロパン・トリアクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を含有することが好ましい。
上記架橋助剤の配合量としては、樹脂成分100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。この範囲内であれば、架橋助剤の添加効果を十分に得ることができるとともに、樹脂シート表層へのブルーミングなどを防止しやすい。
本実施形態に係る樹脂シート前駆体は、上記本実施形態に係る樹脂組成物から形成されるものである。本実施形態に係る樹脂シート前駆体は、例えば、上記本実施形態に係る樹脂組成物を押出製膜して得ることができる。
押出製膜の方法としては、例えば、Tダイ押出法、Tダイ押出同時ラミネーション法、Tダイ押出タンデムラミネーション法、円形ダイ押出法、円形ダイインフレーション押出法等の押出成形が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂シート前駆体は、押出成形以外に、射出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などの公知の成形方法によっても製造することができる。
樹脂組成物は、各成分を押出機で溶融・混練・分散させた後に、適宜ペレット化したものを用いることができる。押出機は単軸押出機でも2軸押出機でもよいが、生産性や品質への影響を考慮した場合、2軸押出機が望ましい。
押出製膜の条件としては、押出温度100℃〜160℃、押出圧力2MPa〜50MPaが挙げられる。発泡剤成分の分解を抑制しつつポリエチレン成分の融点以上とする観点から、押出温度は110℃〜150℃が好ましく、120℃〜140℃がより好ましい。また、押出安定性の観点から、押出圧力は、3MPa〜40MPaが好ましく、3MPa〜30MPaがより好ましい。
樹脂シート前駆体の厚みは、用途に応じて適宜設定することができるが、例えば、発泡壁紙用途であれば50μm〜200μmとすることができる。
本実施形態に係る積層シート前駆体は、上記樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして得ることができる。ラミネートの方法としては、特に限定されるものではないが、樹脂シート前駆体と基材とを、熱プレス機等を用いて熱圧着を行う方法、過熱蒸気を用いて圧着を行う方法等が挙げられる。過熱蒸気を用いて圧着を行う方法によれば、過熱蒸気によって樹脂シート前駆体の表面の溶融状態を保ったまま基材上へラミネートすることが可能となり、そのレベリング効果によって、密着させる基材の表面の凹凸が樹脂シート前駆体に転写されることを抑制することができる。また、樹脂シート前駆体がシラン架橋性樹脂を含む場合には、過熱蒸気によってシラン架橋性樹脂を効率よく架橋させることができる。
上記基材としては、従来ある壁紙用裏打紙等の紙基材として通常使用されているものであれば特に限定されずに使用可能である。このような基材としては、例えば、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙などが挙げられる。これらの秤量は、50〜300g/mであってもよく、60〜160g/mであってもよい。
また、基材と上記樹脂シート前駆体との接着性を向上させる観点から、基材の表面で樹脂シート前駆体を設ける側の面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよく、アクリル−ブチル共重合体、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン等から形成される易接着処理層を設けてもよい。
本実施形態に係る積層シートは、上記積層シート前駆体における樹脂シート前駆体を、電子線の照射により架橋処理し、樹脂シートとすることで得ることができる。
電子線の照射は、例えば、製膜した樹脂シート前駆体の片面側から、又は両面から電子線を照射することにより、樹脂シート前駆体に架橋処理を施すことができる。電子線照射の条件としては、樹脂シート前駆体の厚みにもよるが、加速電圧が100〜250kVであることが好ましく、120〜190kVであることがより好ましく、150〜190kVであることが更に好ましい。また、照射線量は5〜45kGyであることが好ましく、10〜40kGyであることがより好ましい。加速電圧が上記範囲内であれば、電子線を樹脂シート前駆体の厚み方向深くまで十分に到達させることができ、なおかつ裏打紙への電子線による劣化を抑制することができる。また、照射線量が上記範囲内であれば、得られる樹脂シートの黄変や機械物性の変化を抑制しつつ、樹脂シートに所望の架橋を施すことが容易となる。
上記で得られた樹脂シートは、所望により電子線照射以外の架橋処理が更に施されていてもよい。この場合の架橋処理としては、過熱蒸気処理、水架橋処理を行うことができる。この場合、シラン架橋性樹脂の一部又は全部が架橋される。
過熱蒸気処理は、例えば、130℃〜280℃の環境下で20秒から15分間、過熱蒸気(過熱水蒸気ともいう)処理する方法等が挙げられる。過熱蒸気処理は、例えば、過熱蒸気雰囲気下に樹脂シートを配し、樹脂シートに過熱蒸気を接触させる方法が挙げられる。また、水架橋させる方法としては、湿度60%以上の環境下、40℃〜70℃の温度域で1日〜1か月養生させて水架橋させる方法が挙げられ、具体的には、40℃90%の恒温恒湿槽の環境下において養生させて水架橋させる方法が挙げられる。
電子線照射以外の架橋処理は、樹脂組成物を製膜したものに施してもよく、電子線照射により積層シートとした後に施してもよい。なお、過熱蒸気処理を行う架橋処理は、樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして得られた積層シート前駆体、又は積層シートに施すことが好ましい。
[発泡壁紙の製造方法]
本実施形態に係る発泡壁紙は、基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える。発泡壁紙の製造方法は、上述した積層シートにおける上記樹脂シートに含まれる発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程を備える。積層シートは上述した積層シートの製造方法により得ることができる。
発泡剤の発泡は、上記積層シートにおける樹脂シートを加熱することにより行うことができる。加熱条件としては、当該樹脂シートを構成する成分によって適宜設定することができ、特に制限はないが、160℃〜280℃で10秒〜120秒間加熱することが好ましく、220℃〜240℃で20秒〜40秒間加熱することがより好ましく、220℃で40秒間加熱することが更に好ましい。
さらに、本実施形態に係る発泡壁紙において、発泡樹脂層の基材とは反対側の面は凹凸形状を有していてもよい。凹凸形状を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、加熱発泡の際の熱を利用して、表面側を冷却エンボスロールとし、基材側をゴムロールとしておき、2つのトールでニップし(エンボス加工し)冷却することにより、表面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。凹凸形状としては、特に制限されるものではないが、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択可能であり、複数を組み合わせてもよい。
本実施形態に係る発泡壁紙は、模様層及び表面保護層を設けてもよい。模様層及び表面保護層は、公知の材料を使用して適宜設けることができる。本発明の目的が達成できるのであれば、模様層及び表面保護層を設けなくともよい。模様層及び表面保護層は、グラビアコーティング等の公知の印刷技術を用いて設けることが可能である。なお、模様層及び表面保護層は、発泡剤を発泡させる前に設けることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[発泡壁紙の作製]
(実施例1〜6、比較例1〜3)
円形のインフレーションダイを取り付けた単軸押出機を用い、表1に示される組成(表中の数値は質量部を示す)を有する樹脂組成物を、押出温度130℃、厚み100μmで製膜し、樹脂シート前駆体をそれぞれ得た。
次に、裏打紙(KJ特殊紙製、WK−6651HT、重量65g/m)上に、実施例及び比較例で製膜した樹脂シート前駆体を置き、110℃で加熱した熱プレス機で30秒間プレスして熱融着させ、積層シート前駆体を得た。その後、実施例1〜6及び比較例2の積層シート前駆体に対しては、上記樹脂シート前駆体側から、加速電圧200kV、電子線量20kGyの条件で電子線を照射して樹脂シート前駆体を樹脂シートとし、裏打紙上に樹脂シートが設けられた積層シートを得た。その後、240℃のオーブンで25秒間加熱し、発泡剤を発泡させて、発泡壁紙を作製した。なお、比較例3の積層シート前駆体に対しては、上記樹脂シート前駆体側から、加速電圧200kV、電子線量50kGyの条件で電子線を照射して樹脂シート前駆体を樹脂シートとし、裏打紙上に樹脂シートが設けられた積層シートを得た。その後、240℃のオーブンで25秒間加熱し、発泡剤を発泡させて、発泡壁紙を作製した。また、比較例1の積層シート前駆体に対しては、上述した電子線の照射を行わずに、240℃のオーブンで25秒間加熱し、発泡剤を発泡させて、発泡壁紙を作製した。
[発泡壁紙の評価]
作製した発泡壁紙について、下記の方法に従い、発泡倍率、表面状態、セルサイズ、及び圧縮回復性を評価した。また、下記に示すコーンカロリー難燃性試験により、作製した発泡壁紙の総発熱量、最大発熱速度、及び200kW超過時間を評価した。各評価結果を表1に示す。
(発泡倍率)
厚み計を用いて発泡壁紙の裏打紙込みの厚みT(μm)を測定した。この値から下記式により発泡倍率を算出した。
発泡倍率=[T−(裏打紙の厚み)]/(樹脂シートの厚み)
[なお、裏打紙の厚み及び樹脂シートの厚みはそれぞれ100μm]
(表面状態)
目視にて、表層からのガス抜けの有無を確認し、下記の判定基準に従い評価した。
A:表層に孔が見られない。
B:表層にクレーター状の孔が確認された(ガス抜け有り)。
(セルサイズ)
作製した発泡壁紙を断面カットし、×100の光学顕微鏡(キーエンス製マイクロスコープ、VHX600)を使用してセルサイズを目視確認した。視野内の最大セルに着目し、その最大サイズ(幅方向)を測定した。
(圧縮回復性)
作製した発泡壁紙を2cm×2cmの大きさの試験片に裁断し、圧縮前の試験片の厚み(c)を測定し、これを初期値とした。次に、2枚の金属製の平板で試験片を挟み、100kgf/cmの圧力をかけて40℃環境下で1日間放置した。その後、圧力を開放し、試験片の厚み(d)を測定し、(d)×100/(c)を圧縮回復率として算出した。
[コーンカロリー難燃性試験]
ISO5660−1に定められた測定方法に基づき、酸素消費法と呼ばれる原理を用いて発熱速度及び発熱量を求めた。より具体的には、10cm×10cmにカットした評価用シートの裏面に5gの接着剤(ルーアマイルド ヤヨイ化学製)を塗布し、同じく10cm×10cmにカットした石膏ボード上に、接着剤面を介して貼り合わせ、室温環境下で1週間養生させてサンプルを作製した。試験装置は、株式会社東洋精機製作所製のコーンカロリーメーターC4型を用いて行った。酸素消費量をモニタリングし、発熱速度及び発熱量に換算した。なお、これは、燃焼によって発生する熱量は、燃焼する物質の重量あたりで考えると物質ごとに異なるが、消費される酸素の重量で考えると、物質の種類によらずほぼ一定の数値(酸素1kgあたり13.1×10kJ)になるという原理に基づく。
(裏打紙の黄変の有無)
電子線照射を行う前の裏打紙と、照射後の裏打紙とを比較して、その差が目視で容易に分かる場合を「黄変有り」、そうでない場合を「黄変無し」とした。
Figure 2016138361
表1に示される各成分は以下の材料を用いた。
[低密度ポリエチレン]
樹脂A−1:ノバテックLD LJ802A(日本ポリエチレン製、商品名、MFR=27、密度=0.917)
樹脂A−2:ノバテックLD LC600A(日本ポリエチレン製、商品名、MFR=7、密度=0.918)
樹脂A−3:ペトロセン353(東ソー製、商品名、MFR=145、密度0.915)
[超低密度ポリエチレン]
樹脂B−1:タフマー DF7350(三井化学製、商品名、MFR=35、密度0.870)
[その他の樹脂]
シラン架橋性樹脂:リンクロン XCF710N(三菱化学製、商品名、低密度ポリエチレンベース)
[充填剤]
炭酸カルシウム:BF200S(備北粉化工業製、商品名、50%平均粒径5μm)
二酸化チタン:タイペークCR−60(石原産業製、商品名、50%平均粒径0.21μm)
[発泡剤]
アゾ系発泡剤:ビニホールAC#3C−K2(永和化成工業製、商品名、平均粒径5μm)
ヒドラジド系発泡剤:ネオセルボンN#1000M(永和化成工業製、商品名、平均粒径4μm)
[発泡助剤]
亜鉛系発泡助剤:アデカスタブOF101(ADEKA製、商品名、粉状品)
[水和金属化合物]
水酸化アルミニウムA:B−303(巴工業製、商品名、平均粒径4.3μm)
水酸化アルミニウムB:B−309(巴工業製、商品名、平均粒径11.5μm)
水酸化マグネシウム:キスマ8(協和化学工業製、商品名、平均粒径1.67μm)
[その他の添加剤]
シラン架橋助剤:LZ013(三菱化学製、商品名、ポリエチレンベース)
表1から分かるように、水和金属化合物を添加した樹脂組成物から形成された樹脂シート前駆体に対し、電子線照射を施すことで、裏打紙の黄変が発生しにくい照射条件であっても、十分な発泡倍率を有し、かつ発泡後の表面状態が良好な発泡壁紙を得ることができる。さらに、水和金属化合物の難燃効果により最大発熱速度及び200kW超過時間の数値を抑制することができる。このことは、特に水酸化アルミニウムを添加した場合に顕著である。また、平均粒径の小さい水和金属化合物を用いることで、表面積を増やした場合に更に顕著である。

Claims (8)

  1. 基材と、該基材上に設けられた発泡樹脂層と、を備える発泡壁紙の製造方法であって、
    発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、
    前記積層シート前駆体における前記樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、前記基材上に前記樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、
    前記積層シートにおける前記樹脂シートに含まれる前記発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程と、
    を備える、発泡壁紙の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物が、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を更に含む、請求項1に記載の発泡壁紙の製造方法。
  3. 前記水和金属化合物が、水酸化アルミニウムを含む、請求項1又は2に記載の発泡壁紙の製造方法。
  4. 前記水和金属化合物の平均粒径が、5μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡壁紙の製造方法。
  5. 基材と、該基材上に設けられた樹脂シートと、を備える積層シートの製造方法であって、
    発泡剤と、シラン架橋性樹脂と、水和金属化合物と、を含む樹脂組成物を製膜して得られる樹脂シート前駆体を基材上にラミネートして積層シート前駆体を得る工程と、
    前記積層シート前駆体における前記樹脂シート前駆体を電子線の照射により樹脂シートとし、前記基材上に前記樹脂シートが設けられた積層シートを得る工程と、
    を備える、積層シートの製造方法。
  6. 前記樹脂組成物が、エチレン単独重合体又はエチレンと他のオレフィンとの共重合体を更に含む、請求項5に記載の積層シートの製造方法。
  7. 前記水和金属化合物が、水酸化アルミニウムを含む、請求項5又は6に記載の積層シートの製造方法。
  8. 前記水和金属化合物の平均粒径が、5μm以下である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の積層シートの製造方法。
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