JP2016132608A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】細孔内に特異的にシリコンが存在しており、細孔外には実質的にシリコンが存在しない複合体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】複合体は、多孔体と、前記多孔体の細孔内に導入されたシリコンとを備えている。前記シリコンは、前記細孔の内壁面を被覆する膜、及び/又は、前記細孔に内包された粒子からなる。このような複合体は、室温で液体であるケイ素化合物の蒸気、又は前記ケイ素化合物の液体若しくは溶液を多孔体の細孔内に導入し、前記ケイ素化合物の導入後又は導入と同時に、前記細孔内において前記ケイ素化合物をシリコンに変換することにより得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、複合体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、細孔内にシリコンが特異的に充填された複合体及びその製造方法に関する。
複数の異なる材料からなる複合体は、各成分が単独で存在する場合と比べて、異なる特性を示すことがある。特に、多孔体の細孔内に異種材料を充填した複合体は、異種材料が細孔の内壁によって物理的に拘束されているため、異種材料が単独で存在する場合と比べて、電気的特性や化学的特性が変化することが多い。
このような複合体に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、メソポーラスシリカを650℃のMg蒸気で還元し、1N HClで洗浄してMgOを取り除くことにより、結晶性のSiと非晶質のSiOxとの混合物を得る方法が開示されている。
また、同文献には、この混合物を、溶媒で希釈したフェノール樹脂に分散させ、Ar雰囲気中において800℃で焼成することにより、カーボンとSi/SiOxの複合体を得る方法が開示されている。
また、非特許文献2には、結晶性シリコンのナノパーティクルとトリブロックコポリマー系界面活性剤F127存在下で、フェノール樹脂前駆体からフェノール樹脂を合成し、さらにフェノール樹脂を炭化させることにより、メソポーラスカーボンとSiとの複合体を得る方法が開示されている。
非特許文献1に記載されているように、メソポーラスシリカをMg蒸気中で加熱すると、細孔壁を構成するシリカの一部がシリコンに還元される。しかしながら、この方法では、シリコンの結晶化や粒子の肥大化が進みやすく、多孔体の細孔表面をシリコン層で被覆することは難しい。
また、非特許文献2に記載の方法では、シリコンの粒子サイズがカーボンの細孔径より大きくなる。そのため、シリコンを膜状のカーボンで覆うことができない。
一方、ポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜を作製する方法として、ジシランなどのガスを原料に用いた熱分解CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などが知られており、実際に実用化されている。しかしながら、従来のシリコン生成方法を多孔体に適用した場合、シリコンが細孔外においても形成され、細孔内に特異的にシリコンを生成させることができない。また、原料ガスは、熱分解しながら、又は、多孔体と反応しながら細孔内に侵入するため、細孔の表層部分にのみシリコンが充填されやすい。
Solid State Ionics 220 (2012) 1-6 Nanotechnology 24 (2013) 025902
本発明が解決しようとする課題は、細孔内に特異的にシリコンが存在しており、細孔外には実質的にシリコンが存在しない複合体及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、多孔体の内部まで均一にシリコンが存在している複合体及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る複合体は、
多孔体と、
前記多孔体の細孔内に導入されたシリコンと
を備えている。
本発明に係る複合体の製造方法は、
多孔体を準備する準備工程と、
室温で液体であるケイ素化合物の蒸気、又は前記ケイ素化合物の液体若しくは溶液を多孔体の細孔内に導入する導入工程と、
前記導入工程の後又は前記導入工程と同時に、前記細孔内において前記ケイ素化合物をシリコンに変換するシリコン化工程と
を備えている。
毛細管凝縮及び/又は吸着を利用して、室温で液体であるケイ素化合物を多孔体に導入すると、ケイ素化合物を細孔内に選択的に、かつ均一に導入することができる。次に、細孔内にケイ素化合物を導入した後又は導入と同時に、ケイ素化合物に対して、熱、光、ラジカル等を作用させると、ケイ素化合物の分解・重合(シリコン化)が起こる。その結果、細孔の内壁面にシリコンの固相が膜状に析出し、あるいは、細孔内にシリコンの粒子が析出する。
酸化物のエリンガム図である。 実施例1〜6で得られた球状カーボン/シリコン複合体のSEM像である。 実施例1〜6で得られた球状カーボン/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例1〜6の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像である。
実施例1で得られた球状カーボン/シリコン複合体の断面のSTEM像(図5(a))及び同視野のSi元素のマッピング(図5(b))、並びに、実施例5で得られた球状カーボン/シリコン複合体の断面のSTEM像(図5(c))及び同視野のSi元素マッピング(図5(d))である。 実施例1の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子の断面のFE−SEM像である。 実施例1〜6で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンである。
実施例7〜15で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像である。 実施例7〜15で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例7〜15の球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像である。 実施例7〜10、12、13、及び15で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のXRDパターンである。
実施例16〜18で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像である。 実施例15〜17で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例15〜18で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のXRDパターンである。
実施例19及び20で得られたカーボン/シリコン複合体のSTEM像である。 実施例19及び20で得られたカーボン/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例21〜24で得られたシリカ/シリコン複合体のSEM像である。 実施例21〜24で得られたシリカ/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。
実施例25で得られたチタニア/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例26で得られたアルミナ/シリコン複合体の77KにおけるN2吸着等温線(左図)、及び細孔径分布(右図)である。 実施例1で得られた球状カーボン/シリコン複合体、及び比較例4で得られたシリコン多孔体の可逆電気容量の変化を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 複合体]
本発明に係る複合体は、
多孔体と、
前記多孔体の細孔内に導入されたシリコンと
を備えている。
[1.1. 多孔体]
[1.1.1. 形状]
多孔体とは、内部に多数の開気孔が存在する材料をいう。本発明において、多孔体の形状は、特に限定されない。多孔体としては、例えば、
(a)多孔質材料からなるバルク材、膜、又は粒子、
(b)多孔質粒子の集合体、
(c)緻密質粒子の集合体であって、粒子間が細孔として機能するもの
などがある。
「集合体」とは、粒子が相対的に弱い力(例えば、ファンデルワールス力)で結合しているものをいう。集合体としては、例えば、1次粒子が凝集した2次粒子、球状粒子が規則的又は不規則に配列している配列体などがある。
なお、後述する方法を用いて複合体を作製する場合において、多孔体として緻密質粒子の集合体を用いる時には、緻密質粒子の粒子間の隙間は、シリコンを充填するための細孔として機能する。
一方、多孔体として多孔質粒子の集合体を用いる時には、シリコンは、多孔質粒子内部の細孔内に優先的に充填される。また、製造条件を最適化すると、シリコンは、多孔質粒子の表面にほとんど析出しない。これは、ケイ素化合物が毛細管凝縮又は吸着により多孔質粒子の細孔内に導入されるためと考えられる。導入されたケイ素化合物は凝縮相を形成するため、細孔外にある気相に比べ密度が高く、シリコン化の反応が進みやすいものと考えられる。
多孔体が膜である場合、その厚みは特に限定されない。
同様に、多孔体が粒子である場合、その粒子径や形状は特に限定されない。例えば、多孔体は、球状粒子であっても良く、あるいは、不定形粒子であっても良い。
これらの中でも、多孔体は、球状粒子が好ましい。多孔体が球状粒子からなる複合体をある種の用途に適用した場合、多孔体が不定形粒子である場合に比べて、粒子内及び/又は粒子間において生ずる電気化学反応や化学反応が等方的に進行しやすくなる。
本発明において、「球状」とは、同一条件下で製造された複数個(好ましくは、20個以上)の粒子を顕微鏡観察した場合において、各粒子の真球度の平均値が、13%以下であることをいう。また、「真球度」とは、各粒子の外形の真円からのずれの程度を表す指標であって、粒子の表面に接する最小の外接円の半径(r)に対する、外接円と粒子表面の各点との半径方向の距離の最大値(Δrmax)の割合(=Δrmax×100/r(%))で表される値をいう。例えば、金属アルコキシドを重縮合させる方法を用いると、真球度が7%以下、あるいは、3%以下である球状粒子が得られる。
また、多孔体が球状粒子である場合、球状粒子は、必ずしも「単分散」である必要はなく、直径のばらつきが大きいものでも良い。しかしながら、球状粒子の直径のバラツキが小さくなるほど、粒子内及び/又は粒子間における各種の反応がより等方的に進行しやすくなる。そのためには、球状粒子の単分散度は、10%以下が好ましい。単分散度は、さらに好ましくは、5%以下である。
ここで、「単分散度」とは、(1)式で表される値をいう。
単分散度=(粒子径の標準偏差)×100/(粒子径の平均値) ・・・(1)
[1.1.2. 材料]
多孔体の材料は、特に限定されない。多孔体の材料としては、カーボン、金属酸化物、高分子、金属などがある。多孔体は、これらのいずれか1種の材料からなるものでも良く、あるいは、2種以上の材料からなるものでも良い。
これらの中でも、多孔体は、カーボン又は金属酸化物が好ましい。カーボンや金属酸化物は、化学的安定性や耐熱性に優れているので、シリコンを保持するための多孔体の材料として好適である。
また、多孔体は、カーボンが好ましく、特にメソポーラスカーボンが好ましい。多孔体としてカーボンを用いると、シリコンが細孔内において化学反応する際に、シリコンへの電子の授受が容易化する。
但し、多孔体が金属酸化物からなる場合、Siによって還元される材料は適さない。従って、金属酸化物は、
(a)SiO2、又は、
(b)SiO2よりも安定な酸化物、すなわち、酸化物の生成自由エネルギーΔGが負で、かつ、その絶対値がSiO2よりも大きい酸化物(図1参照)、
が好ましい。
SiO2よりも安定な酸化物としては、例えば、TiO2、Ti23、Al23、ZrO2、HfO2、MgO、CaO、SrO、BaO、CeO2、Y23、Sc23、Li2Oなどがある。
これらの中でも、金属酸化物は、SiO2、TiO2、Al23、ZrO2、HfO2、CeO2、又はY23が好ましい。これは、これらはH2Oや酸に対して比較的安定であるためである。
[1.1.3. 細孔]
[A. 細孔の形状]
多孔体の細孔の形状は、その内部へのシリコンの充填が可能な限りにおいて、特に限定されない。細孔の形状は、多孔体を構成する材料や多孔体の製造方法に応じて種々の形状を取りうる。例えば、1次粒子内のロッドの隙間、円筒型細孔、スリット型細孔、一次粒子間の隙間などがシリコンを充填するための細孔となりうる。ここで言う「ロッド間の隙間」とは、例えば、シリカの円筒型細孔内にカーボン源を導入し、炭化させた後、フッ酸でシリカを溶解除去するとロッド状のカーボンが球状に集積した多孔体が得られるが、そのカーボンロッド間の隙間をいう。また、多孔体は、放射状細孔を持つものでも良く、あるいは、持たないものでも良い。
[B. 細孔径、平均細孔径、及び細孔径分布]
多孔体の細孔径は、細孔内へのシリコンの充填が可能な限りにおいて、特に限定されない。但し、細孔径が小さくなりすぎると、細孔内へのシリコンの充填が困難となる。従って、平均細孔径は、1nm以上が好ましい。平均細孔径は、さらに好ましくは、2nm以上である。ここで、「平均細孔径」とは、窒素の吸着等温線からBJH法あるいはDFT法で求めた細孔径分布曲線のピーク値を示す細孔径をいう。
一方、細孔径が大きくなりすぎると、毛細管凝縮が起きにくくなったり、細孔内の吸着層の占める割合が小さくなる。そのため、シリコン相の形成に時間がかかったり、細孔外にもシリコン相が形成しやすくなるという問題がある。従って、平均細孔径は、100nm以下が好ましい。平均細孔径は、さらに好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、4nm以下である。
さらに、多孔体の細孔径は、必ずしも均一である必要はなく、バラツキがあっても良い。しかしながら、細孔径分布が狭くなるほど、細孔内に充填されたシリコンの大きさがより均一になる。そのため、粒子内及び/又は粒子間における各種の反応がより均一に進行しやすくなる。
ここで、「細孔径分布が狭い」とは、次の(2)式で表される細孔径分散度(細孔径分布のばらつきを示す指標)が小さいことをいう。多孔体の細孔径分散度は、好ましくは、1/2以下、さらに好ましくは、1/3以下である。
細孔径分散度=Δdp/dp ・・・(2)
但し、Δdpは、細孔径分布曲線の半値幅、
pは、平均細孔径。
[C. 細孔容量]
多孔体の細孔容量は、特に限定されない。一般に、細孔容量が大きくなるほど、多孔体内に多量のシリコンを導入することができる。
多孔体内に多量のシリコンを導入するためには、細孔容量は、0.5mL/g以上が好ましい。細孔容量は、さらに好ましくは、1.0mL/g以上、さらに好ましくは、1.4mL/g以上である。
[1.2. シリコン]
[1.2.1. シリコンの形態]
本発明において、細孔内のシリコンは、
(a)多孔体の細孔の内壁面を被覆する膜、及び/又は、
(b)細孔に内包された粒子
からなる。
シリコンが膜状となるか、あるいは粒子状となるかは、主として、細孔内へのシリコンの導入量やシリコンの導入条件に依存する。本発明において、シリコンは、ケイ素化合物を熱分解(シリコン化)させることにより得られる。後述する方法を用いると、シリコンは、析出の初期段階において細孔の内壁面に膜状に析出すると考えられる。また、細孔内へのケイ素化合物の導入量が多くなるほど、シリコンの膜厚が厚くなると考えられる。さらに、シリコン化の温度が高くなるほど、シリコンは粒子化しやすくなると考えられる。
[1.2.2. 結晶構造]
細孔内のシリコンは、アモルファス、又は多結晶体となる。いずれの結晶構造を取るかは、製造条件により異なる。一般に、シリコン化の温度が高く(低く)なるほど、シリコンは結晶化(アモルファス化)しやすくなる。
[1.2.3. 重量割合]
シリコンの「重量割合」とは、(3)式で表される値をいう。
重量割合(%)=Wt×100/Wc ・・・(3)
但し、Wtは、複合体に含まれるシリコンの総重量、
cは、複合体の重量。
シリコンの重量割合は、多孔体へのシリコンの導入量、多孔体の組成、多孔体の気孔率などにより異なる。後述する方法を用いると、シリコンの重量割合を広い範囲で制御することができる。
例えば、多孔体がカーボンからなる場合、シリコンの重量割合は、10%〜80%となる。製造条件を最適化すると、重量割合は、30%以上、あるいは、40%以上となる。
また、重量割合は多孔体の真密度によって影響を受け、真密度の高い多孔体ほど、また、細孔容量が小さい多孔体ほど、充填可能なシリコンの上限値は低くなる。多孔体が金属酸化物からなる場合、シリコンの重量割合は、5%〜75%となる。製造条件を最適化すると、重量割合は、25%以上、あるいは、35%以上となる。
[1.2.4. 内包率]
シリコンの「内包率」とは、シリコンの内、多孔体の細孔内に内包されたシリコンの割合であって、次の(4)式で定義される値をいう。
内包率(%)=SSP×100/SS ・・・(4)
但し、SSPは、前記シリコンと前記多孔体の構成元素の双方が検出される領域の面積、
Sは、前記シリコンが検出される領域の面積。
内包率は、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)などを用いた元素分布マッピングにより実測できる。
シリコンが検出される領域SSは、「シリコンのみが検出される領域SS0」と「シリコンと多孔体の構成元素の双方が検出される領域SSP」の和である。従って、シリコンのみが検出される領域SS0が全くない、あるいは、無視できる程度に微少である場合は、内包率=100%となる。
シリコンは、細孔内に加えて、多孔体の表面に存在していても良い。しかし、細孔外に析出したシリコンは、多孔体で保護されない。そのため、複合体を各種の用途に使用した際に、シリコンの特性劣化を抑制することができない。従って、シリコンは、大部分が細孔内に存在しているのが好ましい。
特性劣化の少ない複合体を得るためには、内包率は、85%以上が好ましい。内包率は、さらに好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上である。
[1.2.5. 充填率]
シリコンの「充填率」とは、多孔体の細孔の内、シリコンが検出される細孔の割合であって、次の(5)式で定義される値をいう。
充填率(%)=SSP×100/SP ・・・(5)
但し、SSPは、前記シリコンと前記多孔体の構成元素の双方が検出される領域の面積、
Pは、前記多孔体の構成元素が検出される領域の面積。
充填率は、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)などを用いた元素分布マッピングにより実測できる。
多孔体の構成が検出される領域SPは、「多孔体の構成元素のみが検出される領域SP0」と「シリコンと多孔体の構成元素の双方が検出される領域SSP」の和である。
また、シリコンのみが検出される領域SS0が全くない、あるいは、無視できる程度に微少である場合は、充填率は、次の(5’)式で表される。
充填率(%)=SS×100/ST ・・・(5’)
但し、SSは、シリコンが検出される領域の面積、
Tは、シリコン又は多孔体の構成元素のいずれか一方が検出される領域の面積。
S0が実質的にゼロである場合、STは実像で示される領域の面積となる。「実像で示される領域」とは、SEM、TEM、STEMなどで実際に観察される2次電子像や透過電子像などで示される領域である。充填率は、実像と、Si元素マッピング像との比較で求めることができる。
後述する方法を用いると、細孔内にシリコンを特異的に、かつ、多量に導入できるだけでなく、細孔の表層部分から中心部に至るまで均一にシリコンを導入することができる。具体的には、後述する方法を用いることによって、多孔体へのシリコンの充填率を70%以上にすることができる。製造条件を最適化すると、充填率が90%以上となるように、シリコンを細孔内に均一に充填することができる。このように均一にシリコンを充填した複合体では、多孔体を除去した後においても、多孔体の形状を維持することが可能である。
[2. 複合体の製造方法]
本発明に係る複合体は、
多孔体を準備し、
室温で液体であるケイ素化合物の蒸気、又は前記ケイ素化合物の液体若しくは溶液を前記多孔体の細孔内に導入し、
前記ケイ素化合物の導入後又は導入と同時に、前記細孔内において前記ケイ素化合物をシリコンに変換する
ことにより製造することができる。
[2.1. 準備工程]
まず、ケイ素化合物を導入するための多孔体を準備する。多孔体は、市販されているものをそのまま用いても良く、あるいは、目的とする構造を備えた多孔体を製造しても良い。多孔体の製造方法は、特に限定されるものではなく、多孔体の材料、細孔径、細孔容量等に応じて、種々の方法を用いることができる。
例えば、金属酸化物からなるメソ多孔体は、界面活性剤共存下で金属アルコキシドを重縮合させることにより製造することができる。
また、カーボンからなるメソ多孔体は、金属酸化物からなるメソ多孔体の細孔内にカーボン源を導入し、カーボン源を炭化させ、金属酸化物を除去することにより製造することができる。
また、高分子からなる多孔体、例えば、ミクロポーラス3Dポリアニリンは、MOF(Metal-Organic Framework)の細孔内にアニリンを浸透させ、ポリアニリンを電解重合し、さらにMOFを除去することにより製造することができる(Angewandte Chemie International Edition Volume 53, Issure 25, pages 6454-6458, 2014参照)。
また、金属からなる多孔体は、例えば、界面活性剤、金属イオン種、水、揮発性溶媒からなる前駆溶液を基板に滴下した後、溶媒を揮発させて液晶を形成させ、その後金属を析出させ、鋳型を除去することにより製造することができる(Chemistry of Materials, vol. 19 Issue 6 pages 1335-1342, 2007参照)。
[2.2. 導入工程]
次に、室温で液体であるケイ素化合物の蒸気、又は前記ケイ素化合物の液体若しくは溶液を多孔体の細孔内に導入する(導入工程)。
[2.2.1. ケイ素化合物]
シリコン源には、室温で液体であるケイ素化合物が用いられる。ケイ素化合物は、熱、光、ラジカルなどの刺激により重合し、シリコンを生成させることが可能な化合物であれば良い。
ケイ素化合物は、具体的には、(6)式又は(7)式で表される化合物、又はこれらの重合体若しくは置換体が好ましい。これらのケイ素化合物は、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、ケイ素化合物は、より好ましくは、1個以上の環状構造を有する水素化ケイ素化合物から選ばれる1種以上の化合物が良い。これは、環状構造の開裂反応により、環状水素化ケイ素化合物の方が鎖状水素化ケイ素化合物よりも比較的低温で重合が始まることや、反応に伴い低分子の揮発成分が発生しにくいためである。
Sinm ・・・(6)
但し、nは、3以上の整数、
mは、n、(2n−2)、2n、又は(2n+2)、
Xは、水素原子、及び/又はハロゲン原子。
Siabc ・・・(7)
但し、aは、3以上の整数、
bは、a以上(2a+c+2)以下の整数、
cは、1以上a以下の整数、
Xは、水素原子、及び/又はハロゲン原子、
Yは、ホウ素原子、及び/又はリン原子。
(6)式及び(7)式で表されるケイ素化合物は、シリコン膜を製造するための前駆体化合物であり、いずれも元素Xを持つ。元素Xを持つケイ素化合物に、熱、光、ラジカルなどの刺激を与えると、ケイ素−水素結合又はケイ素−ハロゲン結合が開裂し、新たにケイ素−ケイ素結合が生じる。その結果、ケイ素化合物は、最終的にアモルファス状又は多結晶状のシリコンに変化する。
ハロゲン原子は、通常、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子である。結合開裂の点においては、ハロゲン原子は、塩素又は臭素が好ましい。
また、(6)式又は(7)式で表されるケイ素化合物は、元素Xとして、水素原子のみ又はハロゲン原子のみを含む化合物でもよく、あるいは、双方を含む化合物(部分ハロゲン化ケイ素化合物)でも良い。
[2.2.2. ケイ素化合物の具体例]
[A. (6)式のケイ素化合物]
(6)式で表されるケイ素化合物、又はその重合体若しくは置換体としては、以下のようなものがある。
[A.1. m=2n−2であるSinm
m=2n−2であるSinm、又はその重合体若しくは置換体としては、
(a)2個の環系を有する水素化ケイ素化合物、
(b)上記水素化ケイ素化合物の水素原子の一部又は全部をSiH3基やハロゲン原子に置換したケイ素化合物、
(c)上記(a)又は(b)の重合体、
などがある。
このような化合物としては、例えば、
(i)1,1’−ビスシクロブタシラン、1,1’−ビスシクロペンタシラン、1,1’−ビスシクロヘキサシラン、1,1’−ビスシクロヘプタシラン、
(ii)1,1’−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1,1’−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1,1’−シクロブタシリルシクロヘプタシラン、1,1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1,1’−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1,1’−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、
(iii)スピロ[2,2]ペンタシラン、スピロ[3,3]ヘプタシラン、スピロ[4,4]ノナシラン、スピロ[4,5]デカシラン、スピロ[4,6]ウンデカシラン、スピロ[5,5]ウンデカシラン、スピロ[5,6]ドデカシラン、スピロ[6,6]トリデカシラン
などがある。
[A.2. m=2nであるSinm
m=2nであるSinm、又はその重合体若しくは置換体としては、
(a)水素化環状ケイ素化合物、
(b)上記水素化環状ケイ素化合物の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子に置換したハロゲン化環状ケイ素化合物、
(c)上記(a)又は(b)の重合体、
などがある。
水素化環状ケイ素化合物としては、例えば、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シリルシクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シリルシクロヘキサシラン、シクロヘプタシランなどがある。
ハロゲン化環状ケイ素化合物としては、例えば、
(i)ヘキサクロルシクロトリシラン、トリクロルシクロトリシラン、オクタクロルシクロテトラシラン、テトラクロルシクロテトラシラン、デカクロルシクロペンタシラン、ペンタクロルシクロペンタシラン、ドデカクロルシクロヘキサシラン、ヘキサクロルシクロヘキサシラン、テトラデカクロルシクロヘプタシラン、ヘプタクロルシクロヘプタシラン、
(ii)ヘキサブロモシクロトリシラン、トリブロモシクロトリシラン、ペンタブロモシクロトリシラン、テトラブロモシクロトリシラン、オクタブロモシクロテトラシラン、テトラブロモシクロテトラシラン、デカブロモシクロペンタシラン、ペンタブロモシクロペンタシラン、ドデカブロモシクロヘキサシラン、ヘキサブロモシクロヘキサシラン、テトラデカブロモシクロヘプタシラン、ヘプタブロモシクロヘプタシラン、
などがある。
[A.3. m=2n+2であるSinm
m=2n+2であるSinm、又はその重合体若しくは置換体としては、
(a)水素化シラン、
(b)Sin2nで表される水素化環状ケイ素化合物又はハロゲン化環状ケイ素化合物を熱、光、ラジカルなどによって開環重合した重合体、
(c)上記水素化シラン又は上記重合体の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子に置換した化合物、
(d)上記(a)〜(c)のいずれかの重合体、
などがある。
水素化シランとしては、例えば、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、ヘキサシラン、ヘプタシランなどがある。
[A.4. m=nであるSinm
m=nであるSinm、又はその重合体若しくは置換体としては、
(a)多環系を有する水素化ケイ素化合物、
(b)上記多環系を有する水素化ケイ素化合物の水素原子の一部又は全部をSi3H基やハロゲン原子に置換したケイ素化合物、
(c)上記(a)又は(b)の重合体、
などがある。
多環系を有する水素化ケイ素化合物としては、例えば、以下の化合物1〜化合物5などがある。
Figure 2016132608
[B. (7)式のケイ素化合物]
(7)式で表されるケイ素化合物、又はその重合体若しくは置換体としては、
(a)ホウ素による変性シラン化合物、
(b)リンによる変性シラン化合物、
(c)上記(a)又は(b)の重合体、
などがある。
ホウ素による変性シラン化合物としては、例えば、以下の化合物6〜化合物27などがある。ここで、化合物8、9、10、18、19、及び20中のnは、0以上の整数を表す。化合物26及び27中のmは、2以上の整数を表す。
リンによる変性シラン化合物としては、例えば、以下の化合物6〜化合物27においてBをPに置き換えた以外は同様の骨格を有する化合物などがある。
Figure 2016132608
Figure 2016132608
上述した変性シラン化合物は、単独で使用しても良く、あるいは、変性されていない上記各シラン化合物と混合して使用しても良い。変性シラン化合物と変性されていないシラン化合物との混合割合は、ホウ素やリンなどの変性元素の含有率により異なるが、ケイ素原子に対して変性元素が1ppb〜25%程度となる割合が好ましい。
[2.2.3. 液体又は溶液の粘度]
ケイ素化合物は、後述するように、蒸気、液体、又は溶液の状態で多孔体の細孔内に導入される。液体のケイ素化合物を多孔体の細孔内に導入する場合において、液体の粘度が十分に低いときには、液体をそのまま多孔体の細孔内に浸透させることができる。
一方、液体の粘度が高すぎる場合には、液体を多孔体の細孔内に浸透させるのが困難となる。このような場合には、ケイ素化合物を溶媒で希釈し、溶液とするのが好ましい。溶媒による希釈は、細孔内へのケイ素化合物の導入量の低減にも利用できる。
一般に、液体又は溶液の粘度が高くなるほど、細孔内にケイ素化合物を導入するのが困難となる。従って、液体又は溶液の粘度は、2500mPa・s以下が好ましい。
また、液体又は溶液の粘度が低くなるほど、細孔内にケイ素化合物を均一に導入することが容易となる。細孔内にケイ素化合物を均一に導入するためには、液体又は溶液の粘度は、100mPa・s以下が好ましい。
[2.2.4. 溶媒]
ケイ素化合物を溶媒で希釈する場合、溶媒は、ケイ素化合物を溶解させることができ、かつ、ケイ素化合物と反応しないものであれば良い。溶媒としては、例えば、
(a)炭化水素系溶媒、
(b)エーテル系溶媒、
(b)極性溶媒
などがある。これらの溶媒は、単独で使用しても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの内、ケイ素化合物の溶解性と溶液の安定性の点で、炭化水素系溶媒、又はエーテル系溶媒が好ましい。
また、炭化水素系溶媒は、ケイ素化合物の溶解性を向上させ、かつ、後述する熱処理や光処理時におけるケイ素化合物の残留を抑制する作用がある。そのため、溶媒は、特に炭化水素系溶媒が好ましい。
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどがある。
エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどがある。
極性溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどがある。
[2.2.5. ケイ素化合物の導入方法]
[A. 蒸気の導入]
ケイ素化合物は、蒸気の状態で多孔体の細孔内に導入しても良い。多孔体をケイ素化合物の蒸気に曝すと、吸着により細孔内がケイ素化合物で満たされる。一般に、細孔のない平滑表面において、吸着物質は、その分圧(Pad)が飽和蒸気圧(Pv)になると液化する。一方、細孔があると、PadがPv未満であっても毛細管凝縮が起こる。すなわち、Pvより低い分圧(Pcc)で相転移が起き、細孔内は吸着物質で満たされる。
ケイ素化合物を気化させ、蒸気の状態で多孔体の細孔内に導入する場合において、吸着物質の分圧(Pad)がPccよりも低い領域(Pad<Pcc)では、細孔表面に吸着層は形成されるが、毛細管凝縮は起こらない。そのため、細孔内は吸着物質で満たされない。
これに対し、吸着物質の分圧(Pad)がPcc以上である領域(Pad≧Pcc)では、毛細管凝縮が起き、細孔内はケイ素化合物の液相で満たされる。すなわち、分圧によって、ケイ素化合物の導入状態を制御できる。
[B. 液体又は溶液の導入]
ケイ素化合物は、液体若しくは溶液の状態で多孔体の細孔内に導入しても良い。多孔体とケイ素化合物の液体又は溶液とを接触させると、毛細管凝縮がおこり、細孔内がケイ素化合物で満たされる。また、液体状態共存下のケイ素化合物の蒸気圧(Pad)は、飽和蒸気圧(Pv)程度であり、Pad〜Pv>Pccの関係が成り立っている。
[C. 利点]
このような細孔での毛細管凝縮及び/又は吸着を利用する利点は、
(a)ケイ素化合物の凝縮層(吸着層や液相)を細孔内のみに形成できること、及び、
(b)細孔外に存在する気相との大きな密度差により、凝縮層のみでシリコン化を進めることができ、結果として、細孔内でのシリコン形成を優先的に起こさせることができること、
である。
熱分解CVDやプラズマCVD法では、シラン、ジシランなどの低沸点のケイ素化合物が良く用いられる。しかし、低沸点のケイ素化合物を用いた場合には、シリコンを形成する処理温度において、吸着層を形成しないか、あるいは、形成しても吸着層の厚みが非常に薄くなる。そのため、細孔内外のケイ素化合物の密度差が小さくなり、細孔内へのシリコンの選択的導入が難しくなる。
従って、細孔内に選択的にシリコンを生成させるためには、ケイ素化合物は、沸点が比較的高いもの(具体的には、150℃以上)が好ましい。ケイ素化合物は、シリコン化の処理温度と沸点の差が小さいものが好ましく、特に、沸点よりもシリコン化の処理温度が低いものが好ましい。
[2.3. シリコン化工程]
次に、前記細孔内において前記ケイ素化合物をシリコンに変換する(シリコン化工程)。ケイ素化合物をシリコンに変換する方法としては、熱処理、光処理、ラジカル処理などがある。シリコン化には、これらのいずれか1種の方法を用いても良く、あるいは、2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。また、シリコン化は、細孔内にケイ素化合物を導入した後に行っても良く、あるいは、導入と同時に行っても良い。
[2.3.1. 熱処理]
ケイ素化合物が導入された多孔体を所定の温度で熱処理すると、ケイ素化合物をシリコンに変換することができる。熱処理の場合、一般に、到達温度が約600℃以下では、アモルファス状のシリコンが得られる。それより高い温度では、多結晶状のシリコンが得られる。
但し、到達温度が低すぎると、ケイ素化合物の熱分解が十分に進行せず、シリコンが形成されない場合がある。従って、アモルファス状のシリコンを得たい場合には、到達温度は、300℃〜600℃が好ましい。到達温度は、さらに好ましくは、350℃〜600℃である。
熱処理時の雰囲気は、非酸化雰囲気が好ましい。非酸化雰囲気としては、例えば、
(a)窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気、
(b)不活性ガスに水素などの還元性ガスを混入した還元ガス雰囲気
などがある。
熱処理は、多孔体へのケイ素化合物の導入後に行っても良く、あるいは、導入時に行っても良い。多孔体へのケイ素化合物の導入時に多孔体の温度を300℃以上とすると、ケイ素化合物の導入と同時に、シリコン化を進めることができる。
[2.3.2. 光処理]
ケイ素化合物が導入された多孔体に光を照射すると、ケイ素化合物をシリコンに変換することができる。光処理に使用する光としては、放電光、レーザー光などがある。
放電光の光源としては、例えば、低圧又は高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、あるいは、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガス蛍光ランプなどがある。
レーザー光の光源としては、例えば、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、あるいは、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどがある。
これらの光源は、一般には10〜5000Wの出力のものが用いられるが、光処理に用いる光源は、通常、0.1〜1000Wで十分である。これらの光の波長は、ケイ素化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、通常170nm〜600nmである。吸収効率の点から、波長は、特に170nm〜420nmが好ましい。
光処理時の温度は、通常、室温〜500℃である。また、光処理時の雰囲気は、非酸化雰囲気が好ましい。
ケイ素化合物の溶液を多孔体に導入する場合、光処理は、溶媒を除去する前又は溶媒を除去した後のいずれにおいても行うことができる。
また、光処理後に、又は光処理と同時に熱処理を行っても良い。溶媒に可溶なケイ素化合物は、光処理後に、又は光処理と同時に熱処理を行うことにより、光学的特性及び電気的特性に優れたシリコンに変換される。
さらに、低温での熱処理によりアモルファス状シリコンを形成した後、さらに光処理を行っても良い。アモルファス状シリコンに光を照射すると、アモルファス状シリコンが多結晶シリコンに変換される。変換効率の点では、レーザー光の使用が特に好ましい。
[2.3.3. ラジカル処理]
熱処理によりケイ素化合物をシリコンに変換する場合において、ラジカル開始剤を共存させると、より低温でラジカルが発生し、シリコン化の温度をより低温にすることができる。特に、ケイ素化合物として環状ケイ素化合物を用いる場合には、ラジカルにより開環反応が促進され、ラジカル開始剤の添加の効果が高い。
ラジカル開始剤は、特に限定されるものではなく、シリコン化を促進可能なものであればよい。開始剤としては、例えば、
(a)アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、
(b)ジ−ter−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどの有機過酸化物
などがある。これらは、いずれも使用後に分解生成物を容易に除去できるので、本発明で用いるラジカル開始剤として好適である。
ラジカル開始剤は、ケイ素化合物に混合して、ケイ素化合物と同時に細孔内に導入しても良く、ケイ素化合物の導入に先んじて導入しても良い。
[3. 作用]
毛細管凝縮及び/又は吸着を利用して、室温で液体であるケイ素化合物を多孔体に導入すると、ケイ素化合物を細孔内に選択的に、かつ均一に導入することができる。次に、細孔内にケイ素化合物を導入した後又は導入と同時に、ケイ素化合物に対して、熱、光、ラジカル等を作用させると、ケイ素化合物の分解・重合(シリコン化)が起こる。その結果、細孔の内壁面にシリコンの固相が膜状に析出し、あるいは、細孔内にシリコンの粒子が析出する。
また、吸着を利用してケイ素化合物を細孔内に導入する場合において、系内に過剰なケイ素化合物の蒸気が存在している時には、細孔の内壁面へのシリコンの析出に伴い、雰囲気中のケイ素化合物の蒸気が細孔内に供給される。細孔内に新たに供給されたケイ素化合物は、既に析出したシリコンの固相の表面に吸着し、新たな吸着層を形成する。これを繰り返すことにより、シリコンの固相の厚みが増大する。すなわち、系内へのケイ素化合物の仕込量によって、生成するシリコンの固相の厚みを制御できる。
同様に、毛細管凝縮を用いてケイ素化合物を細孔内に導入する場合において、細孔内へのケイ素化合物の導入及びシリコン化を繰り返すと、シリコンの固相の厚みを制御することができる。
本発明において、多孔体の細孔内にケイ素化合物の蒸気、液体又は溶液を導入するため、ケイ素化合物の導入時に細孔が閉塞することがない。そのため、従来の方法に比べて、多孔体の内部に高濃度でシリコンを充填することができる。
また、本発明に係る方法を用いると、細孔の内壁面を膜状のシリコンで被覆したり、あるいは、細孔内にアモルファスシリコンを生成させることができる。
さらに、毛細管凝縮又は吸着を利用して細孔内にシリコンを導入しているので、細孔外に析出するシリコンが少ない。
例えば、多孔体がメソポーラスカーボンである場合、本発明に係る複合体は、リチウム二次電池の負極材料に用いることができる。本発明に係る複合体は、シリコンが高比表面積のカーボンに接触しているために、シリコンへの電子の授受が容易に進行する、また、細孔内へ電解液を浸透させることができるので、イオンの授受にも有利である。さらに、カーボンがシリコンを内包しているので、充放電に伴いシリコンが大きな体積変化をしても、シリコンの微粉化やカーボンからの脱落を防止できる。そのため、比較的高い可逆電気容量を確保でき、リサイクル特性も向上する。
(実施例1〜2)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
[1.1.1. 球状カーボン多孔体の作製]
参考文献1に記載された方法を用いて、平均細孔径3.3nmの球状カーボン多孔体(放射状細孔ではない)を得た。
[参考文献1] Micorporous and Mesoporous Materials, vol. 158, p. 257-263 (Aug. 1 2012)
[A. 球状メソポーラスシリカの作製]
すなわち、精製水:4229g、及びメタノール(MeOH):3580gの混合溶媒に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C16TAC):35.2gを溶解し、25℃に保ち撹拌した。さらに、1M NaOH:91.2g、MeOH:100gで希釈したテトラメトキシシラン(TMOS):75.2gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS):4.7gを加えた。約8時間撹拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。さらに、45℃で乾燥し、白色粉末:54gを得た。
2N HCl:50mLに、得られた白色粉末:3gを超音波処理によって分散させた。白色粉末の分散液を、容量:100mLの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、140℃×3日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過と精製水への再分散とを2回繰り返し、洗浄した。さらに、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径の単分散球状メソポーラスシリカ(MMSS):1.5gを得た。このようなHClによる水熱合成では、細孔の対称性が崩れるため、得られるMMSSは放射状細孔ではない。
[B. 炭素源の導入及び炭化]
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製容器(容量:15mL)に大細孔径MMSS:0.5gを入れ、フルフリルアルコール(FA)を細孔容量分加えてシリカの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することによりFAを重合し、さらに窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理してFAの炭素化を進めた。これを2回繰り返した後、窒素雰囲気中で900℃×6hr熱処理して、MMSS/カーボン複合体を得た。
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬して、シリカ成分を溶解させた。その後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して球状カーボン多孔体を得た。
得られた球状カーボン多孔体について、77Kにおける窒素の吸着等温線を測定した。その結果から、細孔容量及び平均細孔径を求めた。球状カーボン多孔体の細孔容量は、1.52mL/gであった。また、BJH法を用いて評価した平均細孔径は、3.3nmであった。
[1.1.2. 球状カーボン/シリコン複合体の作製]
Ar雰囲気下に制御されたグローブボックス内で、ガラス瓶に球状カーボン多孔体:0.2gを入れた。さらに、ガラス瓶にシクロペンタシラン(CPS)を細孔容量分加えて、メソポーラスカーボン内に浸透させた。ガラス瓶をホットプレート上に静置し、ホットプレートの温度を400℃まで加熱し、30分保持した。その後、室温まで降温して、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例2]
Ar雰囲気下に制御されたグローブボックス内で、ガラス瓶に実施例1で得られた球状カーボン/シリコン複合体:0.1gを入れた。さらに、ガラス瓶に球状カーボン多孔体の細孔容量の半分に相当する量のCPSを加えて、球状カーボン/シリコン複合体内に浸透させた。ガラス瓶をホットプレート上に静置し、ホットプレートの温度を400℃まで加熱し、30分保持した。その後、室温まで降温して、CPS液体を2回導入した球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図2(a)及び図2(b)に、それぞれ、実施例1及び実施例2で得られた球状カーボン/シリコン複合体のSEM像を示す。図3(a)に、これらの試料の77KにおけるN2の吸着等温線を示す。図3(b)に、図3(a)の吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図3には、シリコンを導入する前の球状カーボン多孔体の結果も併せて示した。
これらの試料では、液体として導入されたCPSの沸点以上の温度で処理を行っている。そのため、系内の蒸気圧が温度の上昇とともに増大し、相対圧がPcc以下になった時点で、吸着層を形成しているCPSを残して、余剰のCPSが一旦、細孔から放出される。その後、細孔内でのシリコン化に伴い、吸着層のCPSが消費されると、細孔外に放出されたCPSの一部が細孔に吸着される。このようにして、シリコンのカーボンへの導入が進むと考えられる。
SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入処理後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことがわかった(図2)。また、シリコン導入処理に伴い、N2の吸着量は大きく減少し、それから得られる細孔径分布も大きく変化した(図3)。これらの結果から、シリコンが球状カーボン多孔体の細孔内に析出していることが確認できた。
CPS液体を2回導入した実施例2では、吸着等温線の変化が大きく、ほぼ窒素を吸着しないことから、ケイ素化合物を繰り返し導入することで、シリコンの導入量を増大させることができることがわかった。
熱重量分析により、複合体中のシリコンの重量割合(試料重量中のシリコンの占める割合)を求めた。その結果、シリコンの重量割合は、それぞれ、45.7%(実施例1)、及び53.6%(実施例2)であった(表1)。なお、表1には、後述する実施例3〜6の結果も併せて示した。
Figure 2016132608
[2.2. 複合体の酸化処理]
球状カーボン/シリコン複合体を空気中で550℃、6時間焼成した。この時、複合体中のカーボンは酸化して、COやCO2の気体となって除去され、シリコンは酸化されてシリカに変わると思われる。図4(a)及び図4(b)に、それぞれ、実施例1及び実施例2の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像を示す。焼成によりカーボンを取り除いた後も、球形が維持されており、かなりの量のシリコンが球状カーボン多孔体に導入されていたことを確認できた。
[2.3. 複合体の断面観察と内包率、充填率の評価]
実施例1について、シリコンの導入状態を観察するために、球状カーボン/シリコン複合体を樹脂に埋め込み、薄片に切断した。図5(a)に、試料の切断面のSTEM像、図5(b)に、同視野のSi元素のマッピングを示す。シリコンは、球状粒子全体に分布しており、球状カーボン多孔体に導入されていたことを確認できた。また、シリコンは単独では検出されず、必ず、カーボンとともに検出されることが確認されている。[1.2.5.]に示したように、内包率がほぼ100%であることから、充填率は、(シリコンが検出される領域の面積)×100/(実像で示される領域の面積)で計算できる。図5(a)及び図5(b)から算出したところ、充填率は、96%と求められた。
また、実施例1の焼成後の球状粒子を樹脂に埋め込み、球状粒子の切断面を露出させた。図6に、焼成後の球状粒子の断面のFE−SEM像を示す。シリコンが酸化して生成したシリカが粒子の内部まで存在しており、シリコンが球状カーボン多孔体の中心部まで導入されていたことを示唆している。
[2.4. X線回折]
次に、シリコンの結晶状態を調べるために、X線回折測定を実施した。図7に、実施例1及び実施例2で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。いずれの試料にも鋭いピークが存在しないことから、得られたシリコンの状態はアモルファスであると考えられる。また、アモルファスシリコンに由来する2θ=28°付近のブロードなピークは、実施例2の方が明確であることから、CPSを繰り返し導入することで、アモルファスシリコンの生成量も増大することがわかった。
(実施例3〜4、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例3]
[1.1.1. 球状カーボン多孔体の作製]
上述の参考文献1に記載された方法を用いて、平均細孔径6.2nmの球状カーボン多孔体を得た。
すなわち、精製水:4126g、及びMeOH:3810gの混合溶媒に、C16TAC:35.2gを溶解し、25℃に保ち撹拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したTMOS:26.4gを加えた。約8時間撹拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。さらに、45℃で乾燥し、白色粉末:17.5gを得た。
得られた白色粉末:3gを用いて、水熱処理の処理温度を150℃とした以外は実施例1と同様にして、MMSS:1.5gを得た。この場合も、HClによる水熱合成を用いているので、処理に伴い細孔の対称性が崩れ、得られるMMSSは放射状細孔ではない。
次に、得られたMMSSを用いて、実施例1と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体について、77Kにおける窒素の吸着等温線を測定した。その結果から、細孔容量及び平均細孔径を求めた。球状カーボン多孔体の細孔容量は、1.90mL/gであった。また、BJH法を用いて評価した平均細孔径は、6.2nmであった。
[1.1.2. 球状カーボン/シリコン複合体の作製]
得られた球状カーボン多孔体を用いて、実施例1(CPS液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例4]
実施例3と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。また、CPSに365nmの光を15mW/cm2の条件で10分間照射し、ポリジヒドロシランを得た。得られたポリジヒドロシランの粘度は、5mPa・sであった。
さらに、シリコン源として、CPSに代えて上記の低粘度のポリジヒドロシランを用いた以外は、実施例3と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.3. 比較例1]
CPSに365nmの光を、50mW/cm2の条件で10時間照射し、ポリジヒドロシランを得た。得られたポリジヒドロシランの粘度は、3000mPa・sであった。
さらに、シリコン源として、上記の高粘度のポリジヒドロシランを用いた以外は、実施例4と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体の作製を試みた。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図2(c)及び図2(d)に、それぞれ、実施例3及び実施例4で得られた球状カーボン/シリコン複合体のSEM像を示す。図3(c)に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線を示す。図3(d)に、図3(c)で得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。
実施例3では、実施例1、2と同様の過程を経て、球状カーボン多孔体の細孔にシリコンが導入されると考えられる。一方、実施例4では、シリコン源として、CPSの重合体であるポリジヒドロシランを用いている。ポリジヒドロシランは、蒸発しないため、処理温度においても細孔外に放出されることはない。
実施例4においても、実施例1〜3と同様な結果が得られた。すなわち、SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことがわかった(図2)。また、シリコン導入処理に伴い、N2の吸着量は大きく減少し、それから得られる細孔径分布も大きく変化した(図3)。これらの結果から、シリコンが球状カーボン多孔体の細孔内に析出していることを確認できた。熱重量分析により求めた複合体中のシリコンの重量割合は、それぞれ、47.3%(実施例3)、及び56.4%(実施例4)であった(表1)。
一方、比較例1で得られた試料を目視で確認したところ、試料の随所に、目視で確認できるサイズの金属光沢のある塊が存在することがわかった。N2の吸着等温線(図示せず)は全体に減少するものの、細孔径分布はほとんど変化しなかった。高粘度のポリジヒドロシランを用いた場合には、ポリジヒドロシランは細孔内に浸透せず、球状カーボン多孔体へのシリコンの導入が困難であることがわかった。
[2.2. 複合体の酸化処理]
図4(c)及び図4(d)に、それぞれ、実施例3及び実施例4の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像を示す。焼成によりカーボンを取り除いた後も、球形が維持されており、かなりの量のシリコンが球状カーボンに導入されていたことが確認できた。
[2.3. X線回折]
図7に、実施例3及び実施例4で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。図7より、生成したシリコンは、アモルファスであることがわかった。
以上から、CPSの重合体であるポリジヒドロシランを用いても、シリコンを球状カーボン多孔体の細孔内に導入できることがわかった。
(実施例5〜6)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例5]
水熱処理温度を130℃とした以外は、実施例1と同様にして、MMSS:1.5gを得た。得られたMMSSを鋳型に用いて、実施例1と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。球状カーボン多孔体の細孔容量は、1.52mL/gであった。また、BJH法を用いて評価した平均細孔径は、3.0nmであった。
次に、この球状カーボン多孔体を用いて、実施例1と同様にして、CPS液体の導入及び400℃での熱処理を行い、球状カーボン/シリコン複合体を得た。さらに、この球状カーボン/シリコン複合体に対して、600℃、1時間、アルゴン雰囲気下での熱処理を行った。
[1.2. 実施例6]
実施例5と同様にして、
(a)CPS液体の導入及び400℃での熱処理、並びに、
(b)600℃、1時間、アルゴン雰囲気下での熱処理
を行った球状カーボン/シリコン複合体を得た。さらに、この球状カーボン/シリコン複合体に対して、800℃、1時間、アルゴン雰囲気下での熱処理を行った。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図2(e)及び図2(f)に、それぞれ、実施例5及び実施例6で得られた球状カーボン/シリコン複合体のSEM像を示す。図3(e)に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線を示す。図3(f)に、図3(e)で得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。
実施例5、6では、実施例1とほぼ同様に作製した球状カーボン/シリコン複合体に、さらに熱処理を施した場合の影響について調べた。
SEM観察の結果から、600℃又は800℃での熱処理に伴い、Siが球の外部に析出しないことがわかった(図2)。一方、800℃で熱処理した試料は、600℃で熱処理した試料に比べて、N2の吸着量が若干増大しており、シリコン量が減少していることがわかった。熱重量分析により求めた複合体中のシリコンの重量割合は、それぞれ、40.9%(実施例5)、及び38.6%(実施例6)であった(表1)。
[2.2. 複合体の酸化処理]
図4(e)及び図4(f)に、それぞれ、実施例5及び実施例6の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像を示す。焼成によりカーボンを取り除いた後も、球形を維持しており、かなりの量のシリコンが球状カーボン多孔体に導入されていたことが確認できた。
[2.3. 複合体の断面観察と内包率、充填率の評価]
実施例5について、実施例1と同様に、シリコンの導入状態を観察するために、球状カーボン/シリコン複合体を樹脂に埋め込み、薄片に切断した。図5(c)に、試料の切断面のSTEM像を、図5(d)に、同視野のSi元素マッピングを示す。シリコンは、球状粒子全体に分布しており、球状カーボン多孔体に導入されていたことを確認できた。また、シリコンは単独では検出されず、必ず、カーボンとともに検出されることが確認されている。[1.2.5.]に示したうように、内包率はほぼ100%であることから、充填率は、(Siが検出された領域の面積)×100/(実像で示される領域の面積)で計算できる。図5(c)及び図5(d)から算出したところ、充填率は、98%と求められた。
[2.4. X線回折]
図7に、実施例5及び実施例6で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。600℃で熱処理した試料は、熱処理前の試料と比べて、XRDパターンにあまり変化はなかった。一方、800℃で熱処理した試料では、ややシャープになったピークが観察され、若干の結晶化が確認された。
以上から、600℃で熱処理した試料では、シリコンはアモルファスのままであるが、800℃で熱処理した試料では、シリコンの一部が結晶化することがわかった。
(実施例7〜15)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例7]
参考文献2(特開2006−219322号公報)に記載の方法を用いて、平均細孔径1.1nmの細孔を持つ単分散球状メソポーラスカーボンを得た。
すなわち、精製水:809.2g、及びMeOH:754gの混合溶媒に、C16TAC:7.04gを溶解し、25℃に保ち撹拌した。さらに、1M NaOH:6.84g、MeOH:30gで希釈したテトラエトキシシラン(TEOS):7.23gを加えた。約8時間撹拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。さらに、45℃で乾燥し、白色粉末:3.65gを得た。
さらに、この白色粉末を大気中、550℃で6時間焼成し、粒子径:0.66μmの単分散球状メソポーラスシリカ粒子(MMSS)を得た。この手法で得られたMMSSは、放射状細孔を有している。
次に、得られたMMSSを鋳型に用いて、実施例1と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体の細孔容量は、0.78mL/gであった。また、DR法を用いて評価した平均細孔径は、1.1nmであった。この手法で得られた球状カーボン多孔体は、MMSSの対称性を引き継ぐため、放射状細孔を有している。
さらに、この球状カーボン多孔体を用いて、実施例1(CPS液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例8]
実施例7で得られた球状カーボン多孔体を用いて、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.3. 実施例9]
実施例7で得られた球状カーボン多孔体を用いて、実施例2(CPS液体の2回導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.4. 実施例10]
上述の参考文献2に記載の方法を用いて、平均細孔径1.9nmの細孔を持つ単分散球状カーボン多孔体を得た。
すなわち、精製水:4126g、及びMeOH:3810gの混合溶媒に、C16TAC:35.2gを溶解し、25℃に保ち撹拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したTMOS:26.4gを加えた。約8時間撹拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。さらに、45℃で乾燥し、白色粉末:17.5gを得た。
精製水:60mL、EtOH:60mLの混合溶媒に、得られた白色粉末:2gを超音波処理によって分散させ、さらにトリメチルベンゼン(TMB):10gを加えて攪拌した。白色粉末の分散液を、容量:200mLの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、100℃×3日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散とを2回繰り返し、洗浄した。さらに、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径MMSS:0.79gを得た。
次に、得られた大細孔径MMSSを鋳型に用いた以外は実施例1と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体の細孔容量は、0.97mL/gであった。また、BJH法を用いて評価した平均細孔径は、1.9nmであった。
さらに、この球状カーボン多孔体を用いて、実施例1(CPS液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.5. 実施例11]
実施例10で得られた球状カーボン多孔体を用いた以外は、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.6. 実施例12]
実施例10で得られた球状カーボン多孔体を用いて、以下に示す方法で細孔内にCPSの蒸気を導入し、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
すなわち、密閉容器(20mL)の底に、球状カーボン多孔体:0.2gを入れたサンプル瓶と、球状カーボン多孔体の細孔容量の3倍量のCPSを入れたサンプル瓶とを、互いに接しないように置き、密閉した。
次に、密閉容器をホットプレート上に静置した後、ホットプレートの温度を400℃まで加熱し、30分保持した。その後、室温まで降温して、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.7. 実施例13]
参考文献3(特開2010−265125号公報)に記載の方法を用いて、平均細孔径:3.8nmの細孔を持つ単分散球状カーボン多孔体を得た。
すなわち、精製水:4126g、及びMeOH:3810gの混合溶媒に、C16TAC:35.2gを溶解し、25℃に保ち撹拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したTMOS:23.76gと、APTMS:3.11gとを加えた。約8時間撹拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末:16.5gを得た。さらに、この白色粉末を、大気中550℃で6時間焼成した。
得られた白色粉末を用いて、実施例10と同様にして、球状カーボン多孔体を得た。得られた球状カーボン多孔体の細孔容量は、1.42mL/gであった。また、BJH法を用いて評価した平均細孔径は、3.8nmであった。
さらに、この球状カーボン多孔体を用いて、実施例1(CPS液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.8. 実施例14]
実施例13で得られた球状カーボン多孔体を用いて、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.9. 実施例15]
実施例13で得られた球状カーボン多孔体を用いて、実施例12(CPS蒸気の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
実施例7〜15では、放射状細孔を持つ球状カーボン多孔体を用いて、主に球状カーボン多孔体の細孔径の影響について検討した。
[2.1. 実施例7〜9]
実施例7〜9では、いずれも放射状細孔を持つ平均細孔径1.1nmの球状カーボン多孔体を用いている。一方、実施例7では、CPSを液体状態で細孔内に導入し、実施例8では、CPSの重合体であるポリジヒドロシランを液体状態で細孔内に導入した。さらに、実施例9では、実施例7で作製した球状カーボン/シリコン複合体の細孔内に、さらにCPSを液体状態で導入した。
[2.1.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図8に、実施例7〜9で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像を示す。図9に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線、及びこの吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図9には、シリコンを導入する前の球状カーボン多孔体の結果も併せて示した。
SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入処理後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことがわかった(図8)。また、シリコン導入処理に伴い、N2の吸着量は大きく減少した(図9)。この細孔サイズの領域では、BJH法による細孔径分布の算出が精度を欠くため、図9からはピーク位置を判別することは難しい。しかし、2nm以上のメソ細孔が大きく減少していることから、細孔内へのシリコンの導入が進んでいるものと思われる。
実施例7〜9の試料においても実施例4と同様の結果が得られたことから、平均細孔径:1.1nmの放射状細孔を持つ球状カーボン多孔体に対しても、CPSの液体又はポリジヒドロシランの液体を用いて、細孔内にシリコンを導入できることがわかった。また、CPSを繰り返し導入することで、シリコンの導入量を増大できることがわかった。
熱重量分析により求めた複合体中のシリコンの重量割合は、それぞれ、30.3%(実施例7)、27.2%(実施例8)、及び37.2%(実施例9)であった(表2)。なお、表2には、後述する実施例10〜15の結果も併せて示した。
Figure 2016132608
[2.1.2. 複合体の酸化処理]
図10に、実施例7〜9の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM写真を示す。焼成後の試料においても球形が維持されており、球状カーボン多孔体全体にシリコンが導入されていることを示唆している。
[2.1.3. X線回折]
図11に、実施例7〜9で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。各試料の結晶性は、アモルファスであった。また、比較的シリコンの導入量の多い実施例9(CPS液体の2回導入)では、アモルファスシリコンに相当するハローが僅かに観測された。
[2.2. 実施例10〜12]
実施例10〜12では、放射状細孔を持つ平均細孔径1.9nmの球状カーボン多孔体を用いている。一方、実施例10では、CPSを液体状態で細孔内に導入し、実施例11では、CPSの重合体であるポリジヒドロシランを液体状態で細孔内に導入した。さらに、実施例12では、CPSを蒸気の状態で細孔内に導入した。
[2.2.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図8に、実施例10〜12で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像を示す。図9に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線、及びこの吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。
平均細孔径:1.9nmの球状カーボン多孔体についても、平均細孔径:1.1nmの球状カーボン多孔体と同様の結果が得られた。すなわち、SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入処理後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことがわかった(図8)。また、シリコン導入処理に伴い、N2の吸着量は大きく減少し、細孔径分布も大きく変化した(図9)。
実施例10〜11の試料においても実施例4と同様の結果が得られたことから、平均細孔径:1.9nmの放射状細孔を持つ球状カーボン多孔体に対しても、CPSの液体又はポリジヒドロシランの液体を用いて、シリコンを細孔内に導入できることがわかった。
また、実施例12の結果から、CPSの蒸気を用いて、球状カーボン多孔体の細孔内にシリコンを導入できること、及び、細孔容量の3倍の体積のCPSを系内に入れておけば、細孔が埋まる程度まで、シリコンを導入できること、がわかった。
熱重量分析により求めたシリコンの重量割合は、それぞれ、36.2%(実施例10)、27.3%(実施例11)、及び39.6%(実施例12)であった(表2)。
[2.2.2. 複合体の酸化処理]
図10に、実施例10〜12の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM写真を示す。焼成後の試料においても球形が維持されており、球状カーボン多孔体全体にシリコンが導入されていることを示唆している。
[2.2.3. X線回折]
図11に、実施例10及び12で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。各試料の結晶性は、アモルファスであった。また、比較的シリコンの導入量の多い実施例12(CPS蒸気を導入)では、アモルファスシリコンに相当するハローが僅かに観測された。
[2.3. 実施例13〜15]
実施例13〜15では、放射状細孔を持つ平均細孔径3.8nmの球状カーボン多孔体を用いている。一方、実施例13では、CPSを液体状態で細孔内に導入し、実施例14では、CPSの重合体であるポリジヒドロシランを液体状態で細孔内に導入した。さらに、実施例15では、CPSを蒸気の状態で細孔内に導入した。
[2.3.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図8に、実施例13〜15で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM写真を示す。図9に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線、及びこの吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。
平均細孔径:3.8nmの球状カーボン多孔体についても、平均細孔径:1.1nm及び1.9nmの球状カーボン多孔体と同様の結果が得られた。すなわち、SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入処理後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことがわかった(図8)。また、シリコン導入処理に伴い、N2の吸着量は大きく減少し、細孔径分布も大きく変化した(図9)。
実施例13〜15の試料においても実施例4と同様の結果が得られたことから、平均細孔径:3.8nmの放射状細孔を持つ球状カーボン多孔体に対しても、CPSの液体又はポリジヒドロシランの液体を用いて、シリコンを細孔内に導入できることがわかった。
また、実施例15の結果から、CPSの蒸気を用いて、球状カーボン多孔体の細孔内にシリコンを導入できること、及び、細孔容量の3倍の体積のCPSを系内に入れておけば、細孔が埋まる程度まで、シリコンを導入できること、がわかった。
熱重量分析により求めたシリコンの重量割合は、それぞれ、43.2%(実施例13)、38.8%(実施例14)、及び58.3%(実施例15)であった(表2)。
[2.3.2. 複合体の酸化処理]
図10に、実施例13〜15の球状カーボン/シリコン複合体を空気中で焼成することにより得られた球状粒子のSEM像を示す。焼成後の試料においても球形が維持されており、球状カーボン多孔体全体にシリコンが導入されていることを示唆している。
[2.3.3. X線回折]
図11に、実施例13及び15で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。各試料の結晶性は、アモルファスであった。また、比較的シリコンの導入量の多い実施例15(CPS蒸気を導入)では、アモルファスシリコンに相当するハローが明確に観測された。
(実施例16〜17)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例16]
CPSの仕込量を実施例15の1/3(すなわち、細孔容量の等量)とした以外は実施例15(CPS蒸気の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例17]
CPSの仕込量を実施例15の2/3(すなわち、細孔容量の2倍量)とした以外は実施例15(CPS蒸気の導入)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SEM観察、吸着等温線及び細孔径分布]
図12に、実施例16及び17で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像を示す。図13に、これらの試料の77KにおけるN2吸着等温線と細孔径分布を示す。なお、図13には、シリコンを導入する前の球状カーボン多孔体、及び実施例15の結果も併せて示した。
実施例16及び17では、実施例15との比較から、CPS蒸気を球状カーボン多孔体の細孔に導入する場合において、CPSの仕込量を変えることで、シリコンの導入量、複合体の細孔構造を制御できることを示す。
これらの実施例では、用いた球状カーボン多孔体、及び処理温度ともに同じ条件であるが、系内に仕込むCPS量が異なる。各条件のCPSの仕込量は、それぞれ、球状カーボン多孔体の細孔容積と等量(実施例16)、2倍量(実施例17)、又は3倍量(実施例15)である。
これまでの実施例と同様に、SEM観察の結果から、いずれの試料においても、シリコン導入処理後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことを確認できた(図12)。また、CPSの仕込量を増やすと共に、シリコンの導入量は増大した。各試料のシリコンの重量割合は、それぞれ、49.4%(実施例16)、54.5%(実施例17)、及び58.3%(実施例15)であった(表2、表3)。
以上の結果から、CPSの系内への仕込量を変えることで、球状カーボン多孔体へのシリコンの導入量を制御できることがわかった。
Figure 2016132608
シリコンの導入量の増大とともに、細孔径及び細孔容量は減少した。これは、球状カーボン多孔体の細孔壁にシリコンが膜状に析出し、その結果として、球状カーボン多孔体の細孔径が減少したことを示している。こにより、CPSの系内への仕込量を変えることで、球状カーボン/シリコン複合体の(残存)細孔径も制御できることがわかった。
[2.2. X線回折]
図14に、実施例16及び17で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。なお、図14には、シリコンを導入する前の球状カーボン多孔体及び実施例15、18の結果も併せて示した。
各試料の結晶性は、アモルファスであった。また、シリコンの導入量の多い試料ほど、アモルファスシリコンに相当するハローが明確に観測された。
(実施例18)
[1. 試料の作製]
CPS導入時のホットプレートの温度(シリコン化の処理温度)を600℃とした以外は、実施例17(CPS蒸気の導入、細孔容量の2倍量)と同様にして、球状カーボン/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. SEM観察]
図12に、実施例18で得られた球状カーボン(放射状細孔)/シリコン複合体のSEM像を示す。
ここでは、CPSの導入時のホットプレートの温度(シリコン化の処理温度)の結晶状態に及ぼす影響を、400℃(実施例17)と600℃(実施例18)で比較する。
SEM観察の結果から、実施例18においても、シリコン導入後も球形が維持されており、球の外部にSi粒子の大きな析出はないことが確認できた(図12)。実施例18のシリコンの重量割合は、54.5%であった(表3)。
[2.2. X線回折]
図14に、実施例18で得られた球状カーボン/シリコン複合体のXRDパターンを示す。実施例18で得られた球状カーボン/シリコン複合体の結晶性は、アモルファスであった。しかし、シリコンの導入量が同程度の実施例17と比較して、アモルファスシリコンに相当するハローの強度が高かった。これは、600℃での処理により、Si−H結合が減少し、Si−Si結合が増大したためと思われる。
以上から、600℃程度の処理温度では、球状カーボン/シリコン複合体中のシリコンの結晶性はアモルファスのままであることがわかった。
(実施例19〜20)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例19]
ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド共重合体:2g、精製水:15mL、2N塩酸:60mLを混合し、透明溶液を得た。この透明溶液にTEOS:4.25gを添加し、室温で5分攪拌した。その後、30℃で24時間、さらに100℃で24時間静置し、水熱処理を行った。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散とを2回繰り返し、洗浄した。さらに、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、メソポーラスシリカ:2gを得た。
次に、得られたメソポーラスシリカを用いて、実施例1と同様にして、メソポーラスカーボンを作製した。さらに、このメソポーラスカーボンを用いて、実施例1(CPS液体の導入)と同様にして、カーボン/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例20]
実施例19で得られたメソポーラスカーボンを用いて、実施例12(CPS蒸気の導入)と同様にして、カーボン/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
図15に、実施例19及び20で得られたーボン/シリコン複合体のSTEM像を示す。図16に、これらの試料の77KにおけるN2の吸着等温線、及びその吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図16には、シリコンを導入する前のメソポーラスカーボンの結果も併せて示した。
実施例19及び20で用いたメソポーラスカーボンは、試料全体に渡りヘキサゴナルの対称性を有しており、STEM等で観察しやすく、メソポーラスカーボン中のシリコンの分散状態を把握しやすい試料である。実施例19及び20で得られたカーボン/シリコン複合体を分析することで、メソポーラスカーボン中のシリコンの分散状態を明確にする。
図15のSTEM像では、原子番号の高いSiの方が白く、カーボンが暗く写る。実施例19及び20共に、複合体の長手方向に周期的な縞模様が観察された。これは、Siがメソポーラスカーボンの細孔に沿って、細孔の内部まで連続的に分布していることを示している。各試料のシリコンの重量割合は、それぞれ、31.9%(実施例19)、及び49.7%(実施例20)であった(表3)。
シリコン導入量が少ない実施例19では、複合体の細孔はシリコンで閉塞されておらず、平均細孔径が3nmから2nmに減少していることがわかった(図16)。
一方、シリコン導入量の多い実施例20では、細孔がシリコンで閉塞していた。残存する細孔容量は、0.0265mL/gであり、未処理のメソポーラスカーボンの1.12mL/gの2.2%程度であった。シリコンの導入状況の異なる実施例19と実施例20とで、ほぼ同様のSTEM像が得られたことから、シリコンは、細孔の表面に膜状に分散していることが推察された。
(実施例21〜24)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例21]
参考文献4に記載された方法で、平均細孔径:2.3nmの細孔を持つ単分散球状メソポーラスシリカを得た。
[参考文献4] Yano K, Fukushima Y., J. Mater. Chem., 2003; 13(10); 2577-81
精製水:4126g、及びMeOH:3810gの混合溶媒にC16TAC:35.2gを溶解し、25℃に保ち攪拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したTMOS:26.4gを加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末:17.5gを得た。さらに、この白色粉末:2gを大気中550℃で6時間焼成し、平均細孔径2.3nmのMMSSを得た。
次に、Ar雰囲気下に制御されたグローブボックス内で、ガラス瓶に、得られた平均細孔径:2.3nmのMMSS:0.2gを入れた。さらに、ガラス瓶に、CPSを細孔容量分加えて、MMSS内に浸透させた。ガラス瓶をホットプレート上に静置した後、ホットプレートの温度を400℃まで加熱し、30分保持した。その後、室温まで降温して、球状シリカ/シリコン複合体を得た。
[1.2. 実施例22]
実施例21で得られた平均細孔径:2.3nmのMMSSを多孔体として用いた以外は、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、球状シリカ/シリコン複合体を得た。
[1.3. 実施例23]
精製水:60mL、EtOH:60mLの混合溶媒に、実施例21で得られた白色粉末(未焼成のMMSS):2gを超音波処理によって分散させた。これに、さらにドコシルトリメチルアンモニウムクロリド(C22TAC):5.44gを加えて攪拌した。白色粉末の分散液を、容量:200mLの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、80℃×7日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散とを2回繰り返し、洗浄した。さらに、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、平均細孔径3.6nmのMMSS:0.85gを得た。
この平均細孔径:3.6nmのMMSSを用いた以外は実施例20(CPS蒸気の導入)と同様にして、球状シリカ/シリコン複合体を得た。
[1.4. 実施例24]
実施例23で得られた平均細孔径3.6nmのMMSSを多孔体として用いて、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、球状シリカ/シリコン複合体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
図17に、実施例21〜24で得られた試料のSEM像を示す。図18に、これらの試料の77KにおけるN2の吸着等温線、及びその吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図17及び図18には、MMSSの結果も併せて示した。
実施例21〜24では、多孔体として単分散球状メソポーラスシリカ(MMSS)を用いた場合でも、本発明により、MMSSの細孔内にシリコンを導入できることを示す。
実施例21及び22では、平均細孔径が2.3nmのMMSSを用い、CPSを液体状態で、あるいは、CPSの重合体を液体状態で導入している。また、実施例23及び24では、平均細孔径が3.6nmのMMSSを用い、CPSを蒸気の状態で、あるいは、CPSの重合体を液体状態で導入している。
実施例22で若干、MMSS外にシリコンの析出が見られるものの、いずれの試料においても球形が維持されており、MMSS外へのシリコンの析出は少ないことがわかった(図17)。また、いずれの試料においても、より大きな径の細孔が減少し、細孔径は減少した(図18)。また、その傾向は、シリコン導入量の比較的少ないと考えられるポリジヒドロシランを用いた実施例22及び24よりも、シリコン導入量の比較的多いと考えられるCPSを用いた実施例21及び23の方が顕著であった。
これらの結果から、MMSSを多孔体として用いた場合でも、本発明により、MMSSの細孔内にシリコンを導入できることがわかった。
(実施例25)
[1. 試料の作製]
一般に、金属酸化物のナノ粒子は、凝集して二次粒子となる。この二次粒子内では、一次粒子間が細孔として機能し、CPSなどのケイ素化合物を吸着できると考えられる。そこで、石原産業性TiO2ナノ粒子:ST01を多孔体として用いて、実施例4(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、チタニア/シリコン複合体を得た。
なお、事前に、ST01の細孔構造をN2吸着等温線を用いて評価したところ、主に、細孔径:10〜50nm、平均細孔径:25nm、細孔容量:0.57mL/g程度の細孔が存在することがわかった。
[2. 試験方法及び結果]
図19に、実施例25で得られた試料の77KにおけるN2吸着等温線、及びその吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図19には、TiO2の結果も併せて示した。
シリコン導入に伴い、細孔径分布は、やや細孔径が減少する方向に変化し、平均細孔径は22nmとなった。以上の結果から、本発明により、TiO2の細孔にもシリコンを導入できることがわかった。
(実施例26)
[1. 試料の作製]
市販のγAl23ノナの粒子を多孔体として用いた以外は、実施例22(ポリジヒドロシラン液体の導入)と同様にして、アルミナ/シリコン複合体を得た。
事前に、このγAl23の細孔構造をN2吸着等温線により評価したところ、主に、細孔径:10〜50nm、平均細孔径:20nm程度、細孔容量:0.82mL/g程度の細孔が存在することがわかった。
[2. 試験方法及び結果]
図20に、実施例26で得られた試料の77KにおけるN2の吸着等温線、及びその吸着等温線からBJH法を用いて求めた細孔径分布を示す。なお、図20には、γAl23の結果も併せて示した。
シリコン導入に伴い、12nm以上の細孔の容量が減少し、10nm以下の細孔の容量が増大した。平均細孔径は10nm以下となった。以上の結果から、本発明により、Al23の細孔にもシリコンを導入できることがわかった。
(比較例2)
[1. 試料の作製]
以下に示す、シランガスを用いた熱CVD法を用いて、細孔へのシリコンの導入を試みた。多孔体には、実施例13で用いた、平均細孔径:3.8nmであり、かつ、放射状細孔を持つ球状カーボン多孔体を用いた。
すなわち、くぼみ付き石英ガラス基板のくぼみに、球状カーボン多孔体:0.2gを入れ、これを容量:100mLの処理室のホットプレートの上に置いた。その後、処理室を1Pa以下まで減圧した後、ホットプレートの温度を400℃まで昇温した。次に、30sccm、50Paの条件で、30分間、シランガスを処理室に導入し、球状カーボン多孔体内へのシリコンの導入を図った。
[2. 結果]
処理後の試料の重量を計ったところ、処理に伴う試料の重量変化はほとんどないことがわかった。また、試料のN2の吸着等温線を測定したところ、吸着等温線も処理前後でほぼ変化がなかった。これらの結果から、この手法では、球状カーボン多孔体の細孔にシリコンを導入できないことがわかった。
(比較例3)
[1. 試料の作製]
400℃で保持している間に、40W×1分の条件で、10回プラズマを発生させた以外は比較例2と同様にして、球状カーボン多孔体内へのシリコンの導入を図った。
[2. 結果]
比較例2と同様に、処理に伴う試料の重量変化、及び吸着等温線の変化は、ほとんどなかった。これらの結果から、この手法では、球状カーボン多孔体の細孔にシリコンを導入できないことがわかった。処理室表面には、シリコンの膜が形成されていたことから、プラズマCVDによりシリコンは生成するものの、球状カーボン多孔体の細孔には、シリコンが浸透しないと考えられる。
(比較例4)
[1. 試料の作製]
実施例23で用いた平均細孔径:3.6nmの細孔を持つMMSS:0.15gと、Mg:0.1gとを良く混ぜ合わせた。これをAl23るつぼに入れ、内径:φ44の石英管を用いた管状炉内に設置した。窒素を毎分100mLの流量でフローさせながら、650℃まで昇温し、7時間保持した。その後、室温まで冷却した。得られた粒子を2N塩酸で洗浄し、副生成物のMgO及びMg2Siを除去した。さらに、5%HF水溶液によって、未反応のシリカを除去し、シリコン多孔体を得た。
[2. 試験方法及び結果]
実施例1で得られた球状カーボン/シリコン複合体:9.4mg、ケッチェンブラック:2.5mg、及びポリテトラフルオロエチレンパウダー:0.6mgを乳鉢で混練し、フィルムを作製した。このフィルムをSUS製メッシュに押し付け、評価用負極を作製した。この電極を作用極に用いて、100mA/gの電流密度で充放電測定を行った。対極には、リチウム金属を用いた。電解液には、1M LiPF6 エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(1:1)v/v%を用いた。
比較例4で得られたシリコン多孔体:9.4mg、ケッチェンブラック:2.5mg、及びポリテトラフルオロエチレンパウダー:0.6mgを乳鉢で混練し、フィルムを作製した。このフィルムを用いて、実施例1と同様の実験を行った。
図21に、可逆電気容量の変化を示す。実施例1で得られた複合体では、初回の可逆電気容量は2000mAh/g以上であり、30サイクル後も1000mAh/gを保持していた。一方、比較例4で得られた多孔体では、初回は1800mAh/g程度の可逆電気容量を示した。しかし、その後の減少は大きく、15サイクル後には、100mAh/g程度まで低下した。
比較例4のシリコン多孔体では、充放電に伴い、シリコンは大きな体積膨張と収縮を繰り返した。そのため、シリコンの微粉化がおき、電気容量が低下した。これに対し、実施例1の複合体では、カーボンがシリコンを保護するため、微粉化を抑制できると考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る複合体は、Li二次電池の負極材料などに用いることができる。

Claims (14)

  1. 多孔体と、
    前記多孔体の細孔内に導入されたシリコンと
    を備えた複合体。
  2. 前記シリコンは、前記細孔の内壁面を被覆する膜、及び/又は、前記細孔に内包された粒子からなる請求項1に記載の複合体。
  3. 次の(4)式で表される前記シリコンの内包率が85%以上である請求項1又は2に記載の複合体。
    内包率(%)=SSP×100/SS ・・・(4)
    但し、SSPは、前記シリコンと前記多孔体の構成元素の双方が検出される領域の面積、
    Sは、前記シリコンが検出される領域の面積。
  4. 次の(5)式で表される前記シリコンの充填率が70%以上である請求項1から3までのいずれか1項に記載の複合体。
    充填率(%)=SSP×100/SP ・・・(5)
    但し、SSPは、前記シリコンと前記多孔体の構成元素の双方が検出される領域の面積、
    Pは、前記多孔体の構成元素が検出される領域の面積。
  5. 前記多孔体は、カーボン又は金属酸化物からなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の複合体。
  6. 前記金属酸化物は、SiO2、TiO2、Ti23、Al23、ZrO2、HfO2、MgO、CaO、SrO、BaO、CeO2、Y23、Sc23、及びLi2Oからなる群から選ばれるいずれか1種以上の酸化物からなる請求項5に記載の複合体。
  7. 前記多孔体は、カーボンからなり、
    (3)式で表される前記シリコンの重量割合が5%以上80%以下である請求項1から5までのいずれか1項に記載の複合体。
    重量割合(%)=Wt×100/Wc ・・・(3)
    但し、Wtは、前記複合体に含まれる前記シリコンの総重量、
    cは、前記複合体の重量。
  8. 前記多孔体は、次の(2)式で表される細孔径分散度が1/2以下である請求項1から7までのいずれか1項に記載の複合体。
    細孔径分散度=Δdp/dp ・・・(2)
    但し、Δdpは、細孔径分布曲線の半値幅、
    pは、平均細孔径。
  9. 前記多孔体は、平均細孔径が1nm以上100nm以下である請求項1から8までのいずれか1項に記載の複合体。
  10. 前記多孔体は、球状粒子である請求項1から9までのいずれか1項に記載の複合体。
  11. 前記球状粒子は、単分散度が10%以下である請求項10に記載の複合体。
  12. 多孔体を準備する準備工程と、
    室温で液体であるケイ素化合物の蒸気、又は前記ケイ素化合物の液体若しくは溶液を前記多孔体の細孔内に導入する導入工程と、
    前記導入工程の後又は前記導入工程と同時に、前記細孔内において前記ケイ素化合物をシリコンに変換するシリコン化工程と
    を備えた複合体の製造方法。
  13. 前記ケイ素化合物は、1個以上の環状構造を有する水素化ケイ素化合物から選ばれる1種以上の化合物である請求項12に記載の複合体の製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の方法により得られる複合体。
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