JP2016132151A - 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 - Google Patents
印刷制御装置、及び、印刷制御方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016132151A JP2016132151A JP2015007953A JP2015007953A JP2016132151A JP 2016132151 A JP2016132151 A JP 2016132151A JP 2015007953 A JP2015007953 A JP 2015007953A JP 2015007953 A JP2015007953 A JP 2015007953A JP 2016132151 A JP2016132151 A JP 2016132151A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pixel
- raster
- complementary
- dots
- dot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
【課題】不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な印刷制御装置を提供する。【解決手段】ドットを形成する複数のノズルと被印刷物とが相対移動方向D2へ相対移動し、複数のノズルには不良ノズルLNにより記録すべき第一ラスターRA1のドットを補完する補完ドットを第二ラスターRA2に形成する補完ノズルRNが含まれ、第二ラスターRA2には、第一サイズ(大ドット)までのドットを形成可能な第一画素N1と、第一サイズよりも小さい第二サイズ(中ドット)までのドットを形成可能な第二画素N2と、が含まれる。印刷制御装置は、補完ノズルRNに形成させる第一サイズのドット(大ドット)を第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う。【選択図】図13
Description
本発明は、印刷制御装置、及び、印刷制御方法に関する。
インクジェットプリンターは、例えば、所定のノズル並び方向へ並んだ複数のノズルと被印刷物とをノズル並び方向と交差する相対移動方向へ相対移動させ、画素毎にドットの有無を表すノズルデータに従ってノズルからインク滴(液滴)を吐出して被印刷物にドットを形成する。目詰まり等によりノズルからインク滴が吐出しなかったり吐出インク滴が正しい軌跡を描かなかったりすると、ドットが形成されない画素が相対移動方向へ繋がった「ドット抜け」領域が形成され、印刷画像に白筋といった筋が生じてしまう。この筋を抑制するため、ドットの形成が不良である不良ノズルにより形成すべきドットを補完する補完ドットを補完ノズルにより形成することが行われている。例えば、補完ドットが形成される画素に中ドットといった通常ドットがあれば、この通常ドットをより大きいドット(例えば大ドット)に変更することにより補完ドットが形成される。
特許文献1に開示される画像記録装置は、不吐出口を少なくとも含むブロック(複数の吐出口で構成される)が設定されると、当該ブロックで記録されようとする画像データのドットの存在する割合と、ドット連続性に従い、注目ブロックを通常ヒートパルスで駆動するか、補完用ヒートパルスで駆動するかを設定する。補完用ヒートパルスで駆動すると、インク吐出量が14plから17plに増え、ドットサイズがφ60μmからφ65μmまで増大する。
「ドット抜け」領域の隣接ラスターに補完ドットを形成するときに、隣接ラスターが濃くなり過ぎるという過補完が生じることがある。そこで、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完することができると、好適である。尚、このような課題は、種々の印刷装置について同様に存在する。
以上を鑑み、本発明の目的の一つは、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な技術を提供することにある。
上記目的の一つを達成するため、本発明は、ドットを形成する複数のノズルと被印刷物とが相対移動方向へ相対移動する印刷部のための印刷制御装置であって、
前記複数のノズルには、不良ノズルにより記録すべき第一ラスターのドットを補完する補完ドットを第二ラスターに形成する補完ノズルが含まれ、
前記第二ラスターには、第一サイズまでのドットを形成可能な第一画素と、前記第一サイズよりも小さい第二サイズまでのドットを形成可能な第二画素と、が含まれ、
前記補完ノズルに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素に配置させるためのドット配置調整処理を行う印刷制御部を備える、態様を有する。
前記複数のノズルには、不良ノズルにより記録すべき第一ラスターのドットを補完する補完ドットを第二ラスターに形成する補完ノズルが含まれ、
前記第二ラスターには、第一サイズまでのドットを形成可能な第一画素と、前記第一サイズよりも小さい第二サイズまでのドットを形成可能な第二画素と、が含まれ、
前記補完ノズルに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素に配置させるためのドット配置調整処理を行う印刷制御部を備える、態様を有する。
また、本発明は、前記補完ノズルに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素に配置させるためのドット配置調整処理を行う、印刷制御方法の態様を有する。
上述した態様は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な技術を提供することができる。
さらに、本発明は、印刷制御装置を含む印刷装置、印刷制御方法を含む印刷方法、上述した構成要素に対応した機能をコンピューターに実現させる印刷制御プログラム、この印刷制御プログラムを含む印刷プログラム、これらのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。前述の装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本技術の概要:
まず、図1〜21を参照して本技術の概要を説明する。尚、図1〜21は模式的に示す図であり、各図は整合していないことがある。
まず、図1〜21を参照して本技術の概要を説明する。尚、図1〜21は模式的に示す図であり、各図は整合していないことがある。
図4等に例示される印刷装置(印刷部)1は、ドットDTを形成する複数のノズル64と被印刷物M1とが相対移動方向D2へ相対移動する。前記複数のノズル64には、不良ノズルLNにより記録すべき第一ラスターRA1のドットを補完する補完ドットDT2,DT3を第二ラスターRA2に形成する補完ノズルRNが含まれている。前記第二ラスターRA2には、第一サイズ(例えば大ドット)までのドットを形成可能な第一画素N1と、前記第一サイズよりも小さい第二サイズ(例えば中ドット)までのドットを形成可能な第二画素N2と、が含まれている。印刷制御部U1は、前記補完ノズルRNに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う。
図22は、比較例に係る印刷装置がドット補完を行って被印刷物M1に印刷画像IM91を形成する様子を示している。不良ノズルによるドットを補完する前の元データDA91の各画素PXには、不良ノズルにより記録すべき抜けラスターRA1の画素を含めて、ドット無し「0」、又は、中ドット形成「M」を表す2値データが格納されている。ここで、図23(a),(b)に示すように、抜けラスターRA1の画素の「M」を、抜けラスターRA1の両隣にある補完ラスターRA2a,RA2bの相対移動方向D2において同じ位置の画素に補完することにする。不良ノズルによるドットを補完した後の補完データDA92の各画素には、ドット無し「0」、中ドット形成「M」、又は、大ドット形成「L」の3階調の多値データが格納される。
例えば、図23(a)に示す元データDA91のように、抜けラスターRA1の画素N1,N2が「M」であり、補完ラスターRA2の画素N1,N2が「0」である場合、補完データDA92の補完ラスターRA2の両画素N1,N2に「M」が格納され、両画素N1,N2に補完ドットDT92として中ドットが形成される。また、図23(b)に示す元データDA91のように、抜けラスターRA1の画素N1,N2が「M」であり、補完ラスターRA2の画素N1,N2が「M」である場合、補完データDA92の補完ラスターRA2の両画素N1,N2に「L」が格納され、両画素N1,N2に補完ドットDT93として大ドットが形成される。
例えば、図23(a)に示す元データDA91のように、抜けラスターRA1の画素N1,N2が「M」であり、補完ラスターRA2の画素N1,N2が「0」である場合、補完データDA92の補完ラスターRA2の両画素N1,N2に「M」が格納され、両画素N1,N2に補完ドットDT92として中ドットが形成される。また、図23(b)に示す元データDA91のように、抜けラスターRA1の画素N1,N2が「M」であり、補完ラスターRA2の画素N1,N2が「M」である場合、補完データDA92の補完ラスターRA2の両画素N1,N2に「L」が格納され、両画素N1,N2に補完ドットDT93として大ドットが形成される。
抜けラスターRA1に中ドットを形成すべき画素が相対移動方向D2へ連続し、補完ラスターRA2a,RA2bにも中ドットを形成すべき画素が相対移動方向D2へ連続する場合がある。この場合、図22に示すように、印刷画像IM91の補完ラスターRA2a,RA2bにおいて相対移動方向D2へ連続して大ドットが形成され、補完ラスターRA2a,RA2bが濃くなり過ぎるという過補完が生じることがある。
一方、図13等に例示されるように、本技術は、補完ドットDT2,DT3が形成される第二ラスターRA2の第一画素N1に、補完ノズルRNに形成させる第一サイズのドットが配置される。補完ドットDT2,DT3が形成される第二ラスターRA2の第二画素N2には第一サイズよりも小さい第二サイズまでのドットしか形成されず、第二ラスターRA2の第一画素N1には第一サイズまでのドットが形成される。
以上より、第二ラスターRA2が濃くなり過ぎるという過補完が抑制される。従って、本技術は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
以上より、第二ラスターRA2が濃くなり過ぎるという過補完が抑制される。従って、本技術は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
ここで、ノズルは、液滴が噴射する小孔のことである。液滴には、画質を改善する液滴といった無着色の液滴等も含まれる。
被印刷物(print substrate)は、印刷画像を保持する素材のことである。形状は長方形のものが一般的であるが、円形(例えばCD−ROM、DVD等の光ディスク)、三角形、四角形、多角形などがあり、少なくとも、JIS(日本工業規格)P0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)に記載の紙・板紙の品種及び加工製品の全てを含む。樹脂シート、金属板、立体物、等も被印刷物に含まれる。
複数のノズルと被印刷物とが相対移動することには、複数のノズルが移動しないで被印刷物が移動すること、被印刷記録物が移動しないで複数のノズルが移動すること、及び、複数のノズルと被印刷物の両方が移動することが含まれる。液滴を吐出してドットを形成するときに複数のノズルが移動しないで被印刷物が移動する印刷装置の代表例には、ラインプリンターが挙げられる。
液滴の吐出が不良であることは、ノズルが塞がれる現象である目詰まり(clogging)を含む。
ラスターは、相対移動方向へ線状に連続した画素の並びを意味する。
画素は、色を独立に割り当てることができる、画像を構成する最小要素である。
被印刷物(print substrate)は、印刷画像を保持する素材のことである。形状は長方形のものが一般的であるが、円形(例えばCD−ROM、DVD等の光ディスク)、三角形、四角形、多角形などがあり、少なくとも、JIS(日本工業規格)P0001:1998(紙・板紙及びパルプ用語)に記載の紙・板紙の品種及び加工製品の全てを含む。樹脂シート、金属板、立体物、等も被印刷物に含まれる。
複数のノズルと被印刷物とが相対移動することには、複数のノズルが移動しないで被印刷物が移動すること、被印刷記録物が移動しないで複数のノズルが移動すること、及び、複数のノズルと被印刷物の両方が移動することが含まれる。液滴を吐出してドットを形成するときに複数のノズルが移動しないで被印刷物が移動する印刷装置の代表例には、ラインプリンターが挙げられる。
液滴の吐出が不良であることは、ノズルが塞がれる現象である目詰まり(clogging)を含む。
ラスターは、相対移動方向へ線状に連続した画素の並びを意味する。
画素は、色を独立に割り当てることができる、画像を構成する最小要素である。
ところで、図13等に例示するように、前記印刷制御部U1は、所定の補完規則に従ったときに前記第一画素N1に配置される前記第一サイズのドットの数ND1よりも、該第一サイズのドットを前記相対移動方向D2へ所定距離移動させるときに前記第一画素N1に配置される前記第一サイズのドットの数ND2が多い場合、前記複数のノズル64に形成させるドットDTを前記相対移動方向D2へ前記所定距離移動させてもよい。この態様は、第一サイズのドットを形成可能な第一画素N1に配置される第一サイズのドットが増えるので、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な処理例を提供することができる。
図13等に例示するように、前記印刷制御部U1は、前記ドット配置調整処理において、ドットを入れ替える処理を行っていないときに前記第二画素N2に配置される前記第一サイズのドットと、ドットを入れ替える処理を行っていないときに前記第一サイズのドットが配置されない前記第一画素N1に配置されるドットと、を入れ替えてもよい。この態様は、第一サイズのドットの配置を変える際に第一サイズのドットの数が変わらないので、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な処理例を提供することができる。
図13等に例示するように、前記第二ラスターRA2は、前記第一画素N1と前記第二画素N2とを有し前記相対移動方向D2へ連続するN画素(Nは2以上の整数)が前記相対移動方向D2へ繰り返されてもよい。前記印刷制御部U1は、前記ドット配置調整処理において、前記N画素の中で、前記第二画素N2に配置される前記第一サイズのドットと、前記第一サイズのドットが配置されない前記第一画素N1に配置されるドットと、を入れ替えてもよい。本態様は、第一サイズのドットの配置が近い範囲内で変わるので、不良ノズルにより形成すべきドットをさらに適切に補完可能な処理例を提供することができる。むろん、互いに異なるN画素を第一N画素及び第二N画素とするとき、第一N画素の第二画素N2に配置される第一サイズのドットと、第一サイズのドットが配置されない第二N画素の第一画素N1に配置されるドットと、を入れ替えることも、本技術に含まれる。
前記印刷制御部U1は、前記不良ノズルLNによるドットを補完する前の元データDA11に基づいて前記補完ドットDT2,DT3が形成される補完データDA12を生成してもよい。前記印刷部(1)は、前記補完データDA12に従って前記複数のノズル64から液滴(例えばインク滴67)を吐出してドットを形成してもよい。図13,14等に例示するように、前記印刷制御部U1は、前記元データDA11において前記第一ラスターRA1の画素の位置に対して前記第二ラスターRA2の画素の位置が前記相対移動方向D2へX画素(Xは0以外の整数)ずれている場合、前記元データDA11において前記第一ラスターRA1の画素に対して前記第二ラスターRA2の画素を前記相対移動方向D2へ−X画素ずらした状態を基準にして前記ドット配置調整処理を行ってもよい。本態様は、元データにおいて第一ラスターの画素の位置に対して第二ラスターの画素の位置が相対移動方向へずれている場合に好適なドット補完を行う処理例を提供することができる。
図18等に例示するように、前記印刷制御部U1は、|X|がNの倍数である場合、前記元データDA11における前記第二ラスターRA2の画素の位置をそのままにして前記ドット配置調整処理を行ってもよい。この態様は、元データにおける第二ラスターの画素の位置が相対移動方向へずれている場合にドット補完の処理を高速化可能な印刷制御装置を提供することができる。むろん、|X|がNの倍数である場合に元データDA11において第一ラスターRA1の画素に対して第二ラスターRA2の画素を相対移動方向D2へ−X画素ずらした状態を基準にしてドット配置調整処理を行うことも、本技術に含まれる。
前記印刷制御部U1は、前記複数のノズル64のうち前記補完ノズルRNを除いた通常ノズルNNからの液滴(67)の吐出速度に対して前記補完ノズルRNからの液滴(67)の吐出速度がずれていることにより前記元データDA11の前記第二ラスターRA2の画素が前記相対移動方向D2へずれている量に基づいた前記X画素を取得するずれ量取得部U11を有してもよい。また、前記印刷制御部U1は、前記ずれ量取得部U11により取得されたX画素に従って前記ドット配置調整処理を行ってもよい。本態様は、補完ノズルからの液滴の吐出速度にずれがある場合に好適なドット補完を行う処理例を提供することができる。
前記印刷制御部U1は、前記複数のノズル64が前記相対移動方向D2に直交する方向(例えば幅方向D3)からずれている方向(例えば並び方向D1)へ並べられていることにより前記元データDA11の前記第二ラスターRA2の画素が前記相対移動方向D2へずれている量に基づいた前記X画素を取得するずれ量取得部U11を有してもよい。また、前記印刷制御部U1は、前記ずれ量取得部U11により取得されたX画素に従って前記ドット配置調整処理を行ってもよい。本態様は、複数のノズルが相対移動方向に直交する方向からずれている方向へ並べられている場合に好適なドット補完を行う処理例を提供することができる。
(2)印刷装置の構成の具体例:
図1は、印刷装置1としてインクジェットプリンターの一種であるラインプリンターの構成例を模式的に示している。印刷装置1は、図4に示すようにノズル64と被印刷物M1とが相対移動方向D2へ相対移動する印刷部、及び、この印刷部を制御する印刷制御装置U0を内在している。本印刷制御装置U0は、補完ラスター(第二ラスター)RA2の過補完を抑制するため、補完ラスターRA2の画素の一部(第二画素N2)に大ドット(第一サイズのドット)を形成しないようにしている。図4中、第一画素N1には大ドットまでのドットを形成可能であり、第二画素N2には大ドットよりも小さい中ドットまでのドットを形成可能である。補完ラスターRA2を含む各ラスターは、第一画素N1と第二画素N2とを有し相対移動方向D2へ連続するN画素(Nは2以上の整数)が相対移動方向D2へ繰り返されている。詳しくは後述するが、印刷制御装置U0は、補完ノズルRNに形成させる大ドット(DT3)を第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う印刷制御部U1を備える。まず、このドット配置調整処理を行うのに好適な構成を有するラインプリンターの具体例を説明する。このラインプリンターは、補完ラスターRA2においてN画素の単位R1で補完ノズルRNからのインク滴67の吐出を制御し、且つ、補完ラスターRA2のN画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数をM回にする特徴を有する。
尚、本技術を適用可能な印刷装置は、インク滴を吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを備えるシリアルプリンター等でもよく、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等でもよい。カラー画像を形成するインクジェットプリンターで使用されるインクには、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及び、K(ブラック)のインクが含まれる。むろん、インクには、さらに、Or(オレンジ)、Gr(グリーン)、画質向上用の無着色インク、等が含まれてもよい。
図1は、印刷装置1としてインクジェットプリンターの一種であるラインプリンターの構成例を模式的に示している。印刷装置1は、図4に示すようにノズル64と被印刷物M1とが相対移動方向D2へ相対移動する印刷部、及び、この印刷部を制御する印刷制御装置U0を内在している。本印刷制御装置U0は、補完ラスター(第二ラスター)RA2の過補完を抑制するため、補完ラスターRA2の画素の一部(第二画素N2)に大ドット(第一サイズのドット)を形成しないようにしている。図4中、第一画素N1には大ドットまでのドットを形成可能であり、第二画素N2には大ドットよりも小さい中ドットまでのドットを形成可能である。補完ラスターRA2を含む各ラスターは、第一画素N1と第二画素N2とを有し相対移動方向D2へ連続するN画素(Nは2以上の整数)が相対移動方向D2へ繰り返されている。詳しくは後述するが、印刷制御装置U0は、補完ノズルRNに形成させる大ドット(DT3)を第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う印刷制御部U1を備える。まず、このドット配置調整処理を行うのに好適な構成を有するラインプリンターの具体例を説明する。このラインプリンターは、補完ラスターRA2においてN画素の単位R1で補完ノズルRNからのインク滴67の吐出を制御し、且つ、補完ラスターRA2のN画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数をM回にする特徴を有する。
尚、本技術を適用可能な印刷装置は、インク滴を吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを備えるシリアルプリンター等でもよく、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等でもよい。カラー画像を形成するインクジェットプリンターで使用されるインクには、例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及び、K(ブラック)のインクが含まれる。むろん、インクには、さらに、Or(オレンジ)、Gr(グリーン)、画質向上用の無着色インク、等が含まれてもよい。
図2は、制御部46、操作パネル73、記録ヘッド100、等の構成例を模式的に示している。図3は、印刷装置1に組み込まれるヘッド100の電気的な構成例を示している。ここで、制御ロジック57、及び、レベルシフター58の図示を省略している。図4は、ノズル64と画素PXの対応関係の例を模式的に示している。尚、符号D1はノズル64の並び方向を示し、符号D2はノズル64と被印刷物M1との相対移動方向を示し、符号D3は被印刷物M1の搬送方向(D2)に対して直交(交差)する幅方向を示している。図4では並び方向D1と幅方向D3とが一致しているが、互いに異なる方向でも本技術に含まれる。また、図4では前記方向D1,D3と相対移動方向D2とが直交しているが、互いに異なる方向であれば直交していなくても本技術に含まれる。
まず、図1〜3を参照して印刷装置1の電気的構成を説明する。
図1に示すように、印刷装置1は、概略、本体2と、この本体2に取り付けられたヘッドユニット3とを備えている。ヘッドユニット3は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)99を介して本体2に対して電気的に接続されている。
図1に示すように、印刷装置1は、概略、本体2と、この本体2に取り付けられたヘッドユニット3とを備えている。ヘッドユニット3は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)99を介して本体2に対して電気的に接続されている。
本体2は、紙送り機構41、エンコーダー42、インターフェイス(I/F)43,49、RAM(Random Access Memory)44、ROM(Read Only Memory)45、発振回路47、制御部46、駆動信号生成回路48(駆動信号生成部U2)、等を備えている。
紙送り機構41は、例えば、紙送りモーターと紙送りローラーを備え、相対移動方向D2へ被印刷物M1を搬送する。
エンコーダー42は、例えば紙送りモーターに取り付けられ、相対移動方向D2における被印刷物M1の位置に応じたエンコーダーパルスを生成する。このエンコーダーパルスは、制御部46に入力される。
エンコーダー42は、例えば紙送りモーターに取り付けられ、相対移動方向D2における被印刷物M1の位置に応じたエンコーダーパルスを生成する。このエンコーダーパルスは、制御部46に入力される。
RAM44は、入力バッファー、出力バッファー、ワークメモリー、等として利用される。入力バッファーには、受信した印刷データDA1が一時的に記憶される。出力バッファーには、印刷データDA1から展開された印字データSIが一時的に記憶される。
ROM45には、制御部46によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ、グラフィック関数、各種手続き、等が書き込まれている。
ROM45には、制御部46によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ、グラフィック関数、各種手続き、等が書き込まれている。
発振回路47は、所定周波数のクロック信号CKを生成する。
制御部46は、ROM45内のフォントデータやグラッフィック関数等を参照して入力バッファー内の印刷データDA1を複数ビットの印字データSIに展開して出力バッファーに格納する。この印字データSIは、内部I/F49を介してヘッドユニット3へ送信される。尚、印字データSIは、本体2で圧縮処理と暗号化処理の少なくとも一方が行われてヘッドユニット3へ送信されてもよい。この場合、ヘッドユニット3は、解凍処理と復号化処理の少なくとも一方を行ってから印字データSIに対して後述の処理を行えばよい。また、制御部46は、エンコーダー42で生成されたエンコーダーパルスから印刷タイミング信号PTS(図7参照)を生成して駆動信号生成回路48に供給する。印刷タイミング信号PTSは、駆動信号生成回路48で生成される駆動信号COMにおいて繰り返される吐出波形の発生開始タイミングを定める信号である。さらに、制御部46は、例えば、発振回路47からのクロック信号CKに基づいてラッチ信号LATやチャンネル信号CHを生成し、内部I/F49を通じてヘッドユニット3に供給する。
制御部46は、ROM45内のフォントデータやグラッフィック関数等を参照して入力バッファー内の印刷データDA1を複数ビットの印字データSIに展開して出力バッファーに格納する。この印字データSIは、内部I/F49を介してヘッドユニット3へ送信される。尚、印字データSIは、本体2で圧縮処理と暗号化処理の少なくとも一方が行われてヘッドユニット3へ送信されてもよい。この場合、ヘッドユニット3は、解凍処理と復号化処理の少なくとも一方を行ってから印字データSIに対して後述の処理を行えばよい。また、制御部46は、エンコーダー42で生成されたエンコーダーパルスから印刷タイミング信号PTS(図7参照)を生成して駆動信号生成回路48に供給する。印刷タイミング信号PTSは、駆動信号生成回路48で生成される駆動信号COMにおいて繰り返される吐出波形の発生開始タイミングを定める信号である。さらに、制御部46は、例えば、発振回路47からのクロック信号CKに基づいてラッチ信号LATやチャンネル信号CHを生成し、内部I/F49を通じてヘッドユニット3に供給する。
図2には、制御部46の構成例を示している。この制御部46は、CPU(Central Processing Unit)46a、解像度変換部46b、色変換部46c、ハーフトーン処理部46d、補完部46e、印刷信号送信部46f、等を備える。制御部46は、SoC(System on a Chip)等により構成することができる。
CPU46aは、印刷装置1における情報処理や制御を中心的に行う装置である。
CPU46aは、印刷装置1における情報処理や制御を中心的に行う装置である。
解像度変換部46bは、ホスト装置H1等からの入力画像の解像度を設定解像度に変換する。入力画像は、例えば、各画素にRGB(赤、緑、青)の256階調の整数値を有するRGBデータで表現される。
色変換部46cは、例えば、設定解像度のRGBデータを各画素にCMYKの256階調の整数値を有するCMYKデータに変換する。
色変換部46cは、例えば、設定解像度のRGBデータを各画素にCMYKの256階調の整数値を有するCMYKデータに変換する。
ハーフトーン処理部46dは、CMYKデータを構成する各画素の階調値に対して例えばディザ法や誤差拡散法や濃度パターン法といった所定のハーフトーン処理を行って前記階調値の階調数を減らし、不良ノズルLNにより形成すべきドットを補完する前の元データDA11(図8参照)を生成する。元データDA11は、ドットの形成状況を表すデータであり、ドットの形成有無を表す2値データでもよいし、大中小の各ドットといった異なるサイズのドットに対応可能な3階調以上の多値データでもよい。図8に示す元データDA11は、中ドットの形成有無を表す2値データとされている。
補完部46eは、元データDA11に基づいて補完ラスターRA2(図4参照)にドットが補完される補完データDA12(図8参照)を生成する。補完データDA12も、ドットの形成状況を表すデータである。図9に示す補完データDA12は、ドット無し、中ドット形成、及び、大ドット形成を含む3階調以上の多値データとされている。
補完部46eは、元データDA11に基づいて補完ラスターRA2(図4参照)にドットが補完される補完データDA12(図8参照)を生成する。補完データDA12も、ドットの形成状況を表すデータである。図9に示す補完データDA12は、ドット無し、中ドット形成、及び、大ドット形成を含む3階調以上の多値データとされている。
印刷信号送信部46fは、補完データDA12に基づいてN画素データSINとパターンデータSPを含む印字データSIを生成し、この印字データSI等の信号をヘッド100の駆動回路52へ出力する。
尚、上述した各部46b〜46fは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されてもよく、RAM44から処理対象のデータを直接読み込んだりRAM44に処理後のデータを直接書き込んだりしてもよい。
尚、上述した各部46b〜46fは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されてもよく、RAM44から処理対象のデータを直接読み込んだりRAM44に処理後のデータを直接書き込んだりしてもよい。
駆動信号生成回路48(駆動信号生成部U2)は、駆動素子51にノズル64からインク滴(液滴)67を吐出させるタイミングを表す吐出波形P0(図9参照)を有する駆動信号COMを生成する。尚、吐出波形P0は、後述する全ての吐出波形を総称する。駆動信号COMは、吐出波形P0が現れるタイミングが図4に示すように相対移動方向D2へ連続するN画素の単位R1で繰り返される。駆動信号生成回路48は、N画素の単位R1の吐出波形を有する駆動信号COMを印刷タイミング信号PTSに合わせて生成し、内部I/F49を通じてヘッドユニット3に供給する。尚、図2,9に示す駆動信号生成回路48は、駆動信号COMとして第一部分駆動信号COM A、及び、第二部分駆動信号COM Bを生成する部分駆動信号生成部U20を有する。駆動信号生成回路48の詳細は、後述する。ヘッドユニット3は、図4に示すように、N画素の単位R1でノズル64からインク滴67を吐出してドットDTを形成する。なお、N画素に含まれる各画素をインク滴67の設計上の着弾順に画素N1、画素N2、…とする。N=2の場合、互いに隣接する画素N1,N2がN画素に含まれる。
ヘッドユニット3は、駆動素子51、駆動回路52、不良ノズル検出ユニット70(不良ノズル検出部U3)、等を備えている。駆動回路52は、シフトレジスター54、ラッチ回路55、制御ロジック57、デコーダー56、レベルシフター58、スイッチ回路59、等を有している。駆動素子51は印刷に使用するノズル64の数の分、設けられ、駆動回路52はノズル列68の数の分、設けられている。不良ノズル検出ユニット70は、各ノズル64の状態が正常であるか不良であるかを検出する不良ノズル検出部U3を構成する。
図1〜3に示す駆動素子51は、ノズル64に連通する圧力室内のインク(液体)66に圧力を加えるピエゾ素子(圧電素子)であるものとするが、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズルからインク滴を吐出させる駆動素子等も用いることができる。ヘッド100の圧力室には、インクカートリッジ(液体カートリッジ)65からインク66が供給される。インクカートリッジ65とヘッド100の組合せは、例えば、CMYKのそれぞれに設けられる。圧力室内のインク66は、供給される駆動信号COMの電圧に応じて駆動素子51が圧力室の壁を変形させることによりノズル64から被印刷物M1に向かってインク滴67として吐出される。これにより、印刷用紙等といった被印刷物M1にインク滴67のドットDTが形成される。被印刷物M1が相対移動方向D2へ搬送されることにより、すなわち、ノズル64と被印刷物M1とが相対移動することにより、補完データDA12に対応した印刷画像が複数のドットDTにより形成される。
図1〜3に示す駆動素子51は、ノズル64に連通する圧力室内のインク(液体)66に圧力を加えるピエゾ素子(圧電素子)であるものとするが、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズルからインク滴を吐出させる駆動素子等も用いることができる。ヘッド100の圧力室には、インクカートリッジ(液体カートリッジ)65からインク66が供給される。インクカートリッジ65とヘッド100の組合せは、例えば、CMYKのそれぞれに設けられる。圧力室内のインク66は、供給される駆動信号COMの電圧に応じて駆動素子51が圧力室の壁を変形させることによりノズル64から被印刷物M1に向かってインク滴67として吐出される。これにより、印刷用紙等といった被印刷物M1にインク滴67のドットDTが形成される。被印刷物M1が相対移動方向D2へ搬送されることにより、すなわち、ノズル64と被印刷物M1とが相対移動することにより、補完データDA12に対応した印刷画像が複数のドットDTにより形成される。
本体2からの印字データSIは、クロック信号CKに同期して、I/F49からシフトレジスター54にシリアル伝送される。例えば、図10に示すように、印字データSIには、連続するN画素に形成するドットのパターンを表すN画素データSIN、及び、パターンデータSPが含まれている。N画素データSINは、N画素に含まれる各画素のドットの形成状況(ドット無し、中ドット形成、又は、大ドット形成)を表すデータである。尚、図10に示すN画素データSINを表現するためには3ビットのデータがあればよい。パターンデータSPは、N画素データSINを図9に示す各吐出波形P11,P21,P22,P23に対応するパルス選択情報に変換するためのデータである。
ラッチ回路55は、本体2からラッチ信号LATが入力されると、シフトレジスター54に伝送されたN画素データSINをラッチする。
ラッチ回路55は、本体2からラッチ信号LATが入力されると、シフトレジスター54に伝送されたN画素データSINをラッチする。
制御ロジック57は、シフトレジスター54に伝送されたパターンデータSPをラッチし、本体2からのチャンネル信号CHとともにデコーダー56に供給する。
デコーダー56は、制御ロジック57からのパターンデータSP、ラッチ信号LAT、及び、チャンネル信号CHに基づいて、ラッチ回路55にラッチされたN画素データSINを図9に示す各吐出波形P11,P21,P22,P23に対応するパルス選択情報に変換する。ここで、図4に示すN画素について、画素N1のドットの形成状況(ドット無し、中ドット形成、又は、大ドット形成)を「A」とし、画素N2のドットの形成状況(ドット無し、又は、中ドット形成)を「B」として、画素N1,N2のドットの形成状況を「AB」で表すことにする。尚、「M」は、中ドット形成を意味し、最大回数Mとは異なる。例えば、図10に示すように、「00」(「0」はドット無し)を吐出波形無しのパルス選択情報(0000)に変換し、「0M」(「M」は中ドット形成)を吐出波形P23のみ選択されるパルス選択情報(0001)に変換し、「M0」を吐出波形P11のみ選択されるパルス選択情報(1000)に変換し、「MM」を吐出波形P11,P23が選択されるパルス選択情報(1001)に変換し、「L0」(「L」は大ドット形成)を吐出波形P21,P22が選択されるパルス選択情報(0110)に変換し、「LM」を吐出波形P21,P22,P23が選択されるパルス選択情報(0111)に変換する。尚、印字データ上、吐出波形P21,P22により吐出されるインク滴67は共に画素N1に着弾して大ドットとなる。デコーダー56は、パルス選択情報に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力する。パルス選択情報「1」に相当するパルス選択信号SGPは対応する吐出波形を駆動素子51に供給させる信号であり、パルス選択情報「0」に相当するパルス選択信号SGPは対応する吐出波形を駆動素子51に供給させない信号である。尚、N画素の期間TA中において、デコーダー56は、1回目のラッチタイミングで吐出波形P11,P21,P22に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力し、2回目のラッチタイミングで吐出波形P23に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力する。
デコーダー56は、制御ロジック57からのパターンデータSP、ラッチ信号LAT、及び、チャンネル信号CHに基づいて、ラッチ回路55にラッチされたN画素データSINを図9に示す各吐出波形P11,P21,P22,P23に対応するパルス選択情報に変換する。ここで、図4に示すN画素について、画素N1のドットの形成状況(ドット無し、中ドット形成、又は、大ドット形成)を「A」とし、画素N2のドットの形成状況(ドット無し、又は、中ドット形成)を「B」として、画素N1,N2のドットの形成状況を「AB」で表すことにする。尚、「M」は、中ドット形成を意味し、最大回数Mとは異なる。例えば、図10に示すように、「00」(「0」はドット無し)を吐出波形無しのパルス選択情報(0000)に変換し、「0M」(「M」は中ドット形成)を吐出波形P23のみ選択されるパルス選択情報(0001)に変換し、「M0」を吐出波形P11のみ選択されるパルス選択情報(1000)に変換し、「MM」を吐出波形P11,P23が選択されるパルス選択情報(1001)に変換し、「L0」(「L」は大ドット形成)を吐出波形P21,P22が選択されるパルス選択情報(0110)に変換し、「LM」を吐出波形P21,P22,P23が選択されるパルス選択情報(0111)に変換する。尚、印字データ上、吐出波形P21,P22により吐出されるインク滴67は共に画素N1に着弾して大ドットとなる。デコーダー56は、パルス選択情報に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力する。パルス選択情報「1」に相当するパルス選択信号SGPは対応する吐出波形を駆動素子51に供給させる信号であり、パルス選択情報「0」に相当するパルス選択信号SGPは対応する吐出波形を駆動素子51に供給させない信号である。尚、N画素の期間TA中において、デコーダー56は、1回目のラッチタイミングで吐出波形P11,P21,P22に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力し、2回目のラッチタイミングで吐出波形P23に対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力する。
レベルシフター58は、デコーダー56からのパルス選択信号SGPに基づいて、スイッチ回路59を駆動するための電圧を生成する。
スイッチ回路59は、レベルシフター58からの駆動電圧に基づいて、各吐出波形P11,P21,P22,P23を駆動素子51に供給するか否かを切り替える。
スイッチ回路59は、レベルシフター58からの駆動電圧に基づいて、各吐出波形P11,P21,P22,P23を駆動素子51に供給するか否かを切り替える。
図3は、図10に示す印字データSIを使用してインク滴を吐出するための記録ヘッド100の電気的な構成例を示している。上述したように、制御ロジック57とレベルシフター58の図示を省略している。N画素データSINとパターンデータSPを含む印字データSIは、シフトレジスター54に伝送される。シフトレジスター54からのN画素データSINは、ラッチ信号LAT入力時にラッチ回路55でラッチされ、デコーダー56に入力される。シフトレジスター54からのパターンデータSPは、ラッチ信号LAT入力時に制御ロジック57でラッチされ、チャンネル信号CHとともにデコーダー56に入力される。デコーダー56は、入力されるN画素データSINを各吐出波形P11,P21,P22,P23に対応するパルス選択情報に変換し、対応するパルス選択信号SGPをレベルシフター58に出力する。レベルシフター58は、パルス選択情報「1」に相当するパルス選択信号SGPについては対応する吐出波形を駆動素子51に供給させるようにスイッチ回路59を駆動し、パルス選択情報「0」に相当するパルス選択信号SGPについては対応する吐出波形を駆動素子51に供給させないようにスイッチ回路59を駆動する。
図2に示す印刷装置1は、出力部74、入力部75、等を有する操作パネル73を備え、ユーザーが印刷装置1に対して各種の指示を入力可能である。出力部74は、例えば、各種の指示に応じた情報や印刷装置1の状態を示す情報を表示する液晶パネル(表示部)で構成される。出力部74は、これらの情報を音声出力してもよい。入力部75は、例えば、カーソルキーや決定キーといった操作キー(操作入力部)で構成される。入力部75は、表示画面への操作を受け付けるタッチパネル等でもよい。
次に、図4を参照してノズル64と画素PXの対応関係の例を説明する。図4に示すヘッドユニット3は、Cのノズル列68C、Mのノズル列68M、Yのノズル列68Y、及び、Kのノズル列68Kを有する記録ヘッド100を備えている。ヘッド100は、CMYKの色別に設けられてもよい。各ノズル列68C,68M,68Y,68Kは、印刷用紙等といった被印刷物M1の搬送方向(相対移動方向D2)へ並べられている。各ノズル列68C,68M,68Y,68Kは、並び方向D1へノズル64C,64M,64Y,64Kが並んでいる。尚、ノズル列68C,68M,68Y,68Kをノズル列68と総称し、ノズル64C,64M,64Y,64Kをノズル64と総称する。
ノズル列68には、目詰まり等によりインク滴が吐出しなかったり吐出インク滴が正しい軌跡を描かなかったりする不良ノズルLNが生じることがある。不良ノズルLNがあると、ドットDTが形成されないドット欠落画素PXLが相対移動方向D2へ繋がった抜けラスター(第一ラスター)RA1が被印刷物M1に形成される。不良ノズルLNに形成すべきドットを補完しなければ、抜けラスターRA1により、印刷画像に被印刷物M1の地色(例えば白)等の筋が相対移動方向D2に沿って生じてしまう。
本技術では、幅方向D3において抜けラスターRA1の両隣にあるラスターをそれぞれ補完ラスター(第二ラスター)RA2a,RA2bと呼び、これら補完ラスターRA2a,RA2bから抜けラスターRA1とは反対側において隣接するラスターを二次近傍ラスターRA2c,RA2dと呼び、補完ラスターRA2a,RA2bにドットを形成するノズルを補完ノズルRNと呼ぶことにしている。補完ノズルRNは、不良ノズルLNにより記録すべき抜けラスターRA1のドットを補完する補完ドットDT2,DT3を補完ラスターRA2に形成するノズルである。尚、補完ノズルRNは、不良ノズルLNと同じ色のインク滴を吐出するノズルとする。具体的には、Cのノズル列68Cに不良ノズルLNがある場合には補完ノズルRNがCのノズル64Cから選択され、Mのノズル列68Mに不良ノズルLNがある場合には補完ノズルRNがMのノズル64Mから選択され、Yのノズル列68Yに不良ノズルLNがある場合には補完ノズルRNがYのノズル64Yから選択され、Kのノズル列68Kに不良ノズルLNがある場合には補完ノズルRNがKのノズル64Kから選択される。
また、図4に示すように並び方向D1におけるノズル64のピッチNpが幅方向D3における画素PXのピッチと同じである場合、並び方向D1において不良ノズルLNの両隣にあるノズルが補完ノズルRNになる。尚、補完ラスターRA2a,RA2bを補完ラスターRA2と総称する。また、複数のノズル64のうち補完ノズルRNを除いたノズルを通常ノズルNNと呼び、この通常ノズルNNによりドットが形成されるラスターを通常ラスターRA3と呼ぶことにしている。本具体例の二次近傍ラスターRA2c,RA2dは通常ラスターRA3に含まれるものとするが、二次近傍ラスターRA2c,RA2d、さらには三次近傍ラスター等を補完ラスターRA2に含めることも可能である。さらに、抜けラスターRA1に隣接するラスターを補完ラスターとせず例えば二次近傍ラスターRA2c,RA2dを補完ラスターにすることも、本技術に含まれる。
また、図4に示すように並び方向D1におけるノズル64のピッチNpが幅方向D3における画素PXのピッチと同じである場合、並び方向D1において不良ノズルLNの両隣にあるノズルが補完ノズルRNになる。尚、補完ラスターRA2a,RA2bを補完ラスターRA2と総称する。また、複数のノズル64のうち補完ノズルRNを除いたノズルを通常ノズルNNと呼び、この通常ノズルNNによりドットが形成されるラスターを通常ラスターRA3と呼ぶことにしている。本具体例の二次近傍ラスターRA2c,RA2dは通常ラスターRA3に含まれるものとするが、二次近傍ラスターRA2c,RA2d、さらには三次近傍ラスター等を補完ラスターRA2に含めることも可能である。さらに、抜けラスターRA1に隣接するラスターを補完ラスターとせず例えば二次近傍ラスターRA2c,RA2dを補完ラスターにすることも、本技術に含まれる。
図5(a),(b)は不良ノズル検出ユニット70がノズル64の状態を検出する方法例を説明するための図であり、図5(a)は印刷装置1の要部を模式的に示し、図5(b)は振動板510の残留振動に基づく起電力曲線VRを模式的に示している。図6(a)は検出ユニット70の電気回路例を示し、図6(b)はコンパレーター701bからの出力信号の例を模式的に示している。
図5(a)に示すヘッド100の流路基板610には、圧力室611、インクカートリッジ65から圧力室611へとインク66が流れるインク供給路612、圧力室611からノズル64へとインク66が流れるノズル連通路613、等が形成されている。流路基板610には、例えばシリコン基板等を用いることができる。流路基板610の表面は、圧力室611の壁面の一部を構成する振動板部514とされている。振動板部514は、例えば酸化シリコン等で構成することができる。振動板510は、例えば、振動板部514、この振動板部514上に形成された駆動素子51、等で構成することができる。駆動素子51は、例えば、振動板部514上に形成された下電極511、概ね下電極511上に形成された圧電体層512、概ね圧電体層512上に形成された上電極513、を有する圧電素子等とすることができる。電極511,513は、例えば白金や金等を用いることができる。圧電体層512は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛、化学量論比でPb(Zrx,Ti1-x)O3)といった強誘電体のペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。
図5(a)に示すヘッド100の流路基板610には、圧力室611、インクカートリッジ65から圧力室611へとインク66が流れるインク供給路612、圧力室611からノズル64へとインク66が流れるノズル連通路613、等が形成されている。流路基板610には、例えばシリコン基板等を用いることができる。流路基板610の表面は、圧力室611の壁面の一部を構成する振動板部514とされている。振動板部514は、例えば酸化シリコン等で構成することができる。振動板510は、例えば、振動板部514、この振動板部514上に形成された駆動素子51、等で構成することができる。駆動素子51は、例えば、振動板部514上に形成された下電極511、概ね下電極511上に形成された圧電体層512、概ね圧電体層512上に形成された上電極513、を有する圧電素子等とすることができる。電極511,513は、例えば白金や金等を用いることができる。圧電体層512は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛、化学量論比でPb(Zrx,Ti1-x)O3)といった強誘電体のペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。
図5(a)は、振動板510の残留振動に基づく圧電素子(駆動素子51)からの起電力状態を検出する検出ユニット70を設けた印刷装置1の要部をブロック図により示している。検出ユニット70の一端は下電極511に対して電気的に接続され、検出ユニット70の他端は上電極513に対して電気的に接続されている。
図5(b)は、ノズル64からインク滴67を吐出するための駆動信号SGの供給後に生じる振動板510の残留振動に基づく駆動素子51の起電力曲線(起電力状態)VRを例示している。ここで、横軸は時間t、縦軸は起電力Vfである。起電力曲線VRは、正常なノズル64からインク滴67を吐出した例を示している。目詰まり等によりノズルからインク滴67が吐出しなかったり吐出インク滴67が正しい軌跡を描かなかったりすると、起電力曲線がVRからずれる。そこで、図6(a)に示すような検出回路を用いてノズル64が正常であるか不良であるかを検出することができる。
図5(b)は、ノズル64からインク滴67を吐出するための駆動信号SGの供給後に生じる振動板510の残留振動に基づく駆動素子51の起電力曲線(起電力状態)VRを例示している。ここで、横軸は時間t、縦軸は起電力Vfである。起電力曲線VRは、正常なノズル64からインク滴67を吐出した例を示している。目詰まり等によりノズルからインク滴67が吐出しなかったり吐出インク滴67が正しい軌跡を描かなかったりすると、起電力曲線がVRからずれる。そこで、図6(a)に示すような検出回路を用いてノズル64が正常であるか不良であるかを検出することができる。
図6(a)に示す検出ユニット70は、増幅部701及びパルス幅検出部702を備えている。増幅部701は、例えば、オペアンプ701a、コンパレーター701b、コンデンサC1,C2、抵抗R1〜R5、を備える。駆動回路52から出力される駆動信号SGが駆動素子51に印加されると、残留振動が生じ、残留振動に基づく起電力が増幅部701に入力される。この起電力に含まれる低周波成分はコンデンサC1と抵抗R1とで構成される高域通過フィルターによって除去され、低周波成分除去後の起電力がオペアンプ701aにより所定の増幅率で増幅される。オペアンプ701aの出力は、コンデンサC2と抵抗R4とで構成される高域通過フィルターを通過し、コンパレーター701bによって基準電圧Vrefと比較され、基準電圧Vrefより高いか否かによってハイレベルHかローレベルLかのパルス状電圧に変換される。
図6(b)は、コンパレーター701bから出力されパルス幅検出部702に入力されるパルス状電圧の例を示している。パルス幅検出部702は、入力されるパルス状電圧の立ち上がり時にカウント値をリセットし、所定期間毎にカウント値をインクリメントし、次のパルス状電圧の立ち上がり時にカウント値を検出結果として制御部46へ出力する。カウント値は残留振動に基づく起電力の周期に対応し、順次出力されるカウント値は残留振動に基づく起電力の周波数特性を示す。ノズルが不良ノズルLNである場合の起電力の周波数特性(例えば周期)は、ノズルが正常である場合の起電力の周波数特性とは異なる。そこで、制御部46は、順次入力されるカウント値が許容範囲内であれば検出対象のノズルが正常であると判定することができ、順次入力されるカウント値が許容範囲外であれば検出対象のノズルが不良ノズルLNであると判定することができる。
上述した処理を各ノズル64について行うことにより、制御部46は、各ノズル64の状態を把握することができ、不良ノズルLNの位置を表す情報をRAM44といったメモリーに格納することができる。
上述した処理を各ノズル64について行うことにより、制御部46は、各ノズル64の状態を把握することができ、不良ノズルLNの位置を表す情報をRAM44といったメモリーに格納することができる。
むろん、不良ノズルLNの検出は、上述した方法に限定されない。例えば、複数のノズル64から対象のノズルを順次切り替えながらインク滴67を吐出させ、被印刷物M1にドットが形成されないノズルを識別する情報(例えばノズル番号)の操作入力を受け付けることも、不良ノズルLNの検出に含まれる。また、製造工場から出荷する前に不良ノズルLNを識別する情報を例えば不揮発性メモリーに記憶させると、印刷装置1に不良ノズル検出部U3を設ける必要が無くなる。
不良ノズルLNを検出すると、抜けラスターRA1の位置を判別することができ、図4に示すように抜けラスターRA1に形成すべきドットを補完するための補完ラスターRA2と補完ノズルRMを決定して補完ドットDT2,DT3を形成することができる。本具体例の印刷制御部U1は、図4等に示すように補完ラスターRA2において相対移動方向D2へ連続するN画素(Nは2以上の整数)の単位R1で補完ノズルRNからのインク滴67の吐出を制御し、且つ、図7等に示すように補完ラスターRA2のN画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数をM回(MはN<M<2Nを満たす整数)にする。すなわち、M/Nは、1よりも大きくて2よりも小さく、整数とはならない。例えば、N=2且つM=3である場合、印刷制御装置U0は、補完ラスターRA2において連続する2画素のどちらかへ補完用のインク滴吐出を追加することにして、補完用のインク滴を吐出する画素に補完ドットのデータを発生させるように印字データを制御する。これにより、通常印刷の解像度を確保しつつドット補完を高速化することが可能となっている。
図7は、駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チャンネル信号CH、及び、印刷タイミング信号PTSの関係の例を模式的に示している。図7に示す駆動信号COMは、便宜上、仮想の駆動信号COM1,COM2に分けて示している。本具体例の印刷制御部U1は、N画素(例えばN=2)にノズル64からインク滴67を最大N回吐出させる場合、図9に示す第一部分駆動信号COM Aと第二部分駆動信号COM Bに基づいてN画素の期間TA中に最大N回の吐出波形P1を少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64の駆動素子51に供給する。繰り返される吐出波形P1の間隔は、均等(例えば1200dpi)にされている。また、本具体例の印刷制御部U1は、N画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M回(例えばM=3)吐出させる場合、図9に示す第二部分駆動信号COM Bに基づいてN画素の期間TA中に最大M回の吐出波形P2を補完ノズルRNの駆動素子51に供給する。尚、繰り返される吐出波形P2の間隔は、均等(例えば1800dpi)にされてもよいし、均等でなくてもよい。
以上より、第一駆動信号COM1はN画素に少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64からインク滴67を最大N回吐出させる吐出波形P1a,P1bを有する仮想の駆動信号を示し、第二駆動信号COM2はN画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M回吐出させる吐出波形P2a,P2b,P2cを有する仮想の駆動信号を示している。むろん、第一駆動信号COM1と第二駆動信号COM2を実際に生成してもよい。尚、図7に示す第二駆動信号COM2は、図9に示す第二部分駆動信号COM Bそのものである。
以上より、第一駆動信号COM1はN画素に少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64からインク滴67を最大N回吐出させる吐出波形P1a,P1bを有する仮想の駆動信号を示し、第二駆動信号COM2はN画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M回吐出させる吐出波形P2a,P2b,P2cを有する仮想の駆動信号を示している。むろん、第一駆動信号COM1と第二駆動信号COM2を実際に生成してもよい。尚、図7に示す第二駆動信号COM2は、図9に示す第二部分駆動信号COM Bそのものである。
ドットを補完しない場合、吐出波形P1a,P1bを駆動素子51に供給することにしている。N画素の期間TA中、印字データSIのラッチタイミングを規定するラッチ信号LATは、各吐出波形P1a,P1bの前でH(ハイ)、すなわち、アクティブとなる。従って、ラッチ信号LATは、1回の印刷タイミング信号PTSにつきN=2回アクティブとなる。一方、N回のラッチ信号LATの間隔は、補完用の吐出波形P2bのタイミングを考慮して、不均等にされている。図7に示すラッチ信号LATは、1回目のラッチタイミングと2回目のラッチタイミングとの間隔T1が2回目のラッチタイミングと次の期間TAにおける1回目のラッチタイミングとの間隔T2よりも長く(例えばT1:T2=7:3)とされている。吐出波形P1a,P1bを駆動素子51に供給する場合、チャンネル信号CHは使用しない。
以上より、印字データSIが画素N1,N2に中ドットを形成する場合、1回目のラッチタイミングでは、吐出波形P1aに対応するパルス選択信号SGPがデコーダー56からレベルシフター58に伝達され、吐出波形P1aに合わせてノズル64からインク滴67が吐出され、画素N1に通常ドットDT1として中ドットが形成される。2回目のラッチタイミングでは、吐出波形P1bに対応するパルス選択信号SGPがデコーダー56からレベルシフター58に伝達され、吐出波形P1bに合わせてノズル64からインク滴67が吐出され、画素N2に通常ドットDT1として中ドットが形成される。
不良ノズルLNにより形成すべき中ドットを補完する大ドットを補完ラスターRA2に形成する場合、吐出波形P2a,P2b,P2cを駆動素子51に供給することにしている。N画素の期間TA中、印字データSIのラッチタイミングを規定するラッチ信号LATは、吐出波形P2aと吐出波形P2cの前でH(ハイ)、すなわち、アクティブとなる。吐出波形P2a,P2bを切り換えるためのチャンネル信号CHは、吐出波形P2bの前でH(ハイ)、すなわち、アクティブとなる。
以上より、印字データSIが画素N1に大ドットを形成し画素N2に中ドットを形成する場合、1回目のラッチタイミングでは、吐出波形P2a,P2bに対応するパルス選択信号SGPがデコーダー56からレベルシフター58に伝達され、吐出波形P2a,P2bに合わせてノズル64からインク滴67が吐出され、画素N1に補完ドットDT3(図4参照)として大ドットが形成される。2回目のラッチタイミングでは、吐出波形P2cに対応するパルス選択信号SGPがデコーダー56からレベルシフター58に伝達され、吐出波形P2cに合わせてノズル64からインク滴67が吐出され、画素N2に中ドットが形成される。
図8は、上述した駆動信号COMを用いてドット補完を行うためのデータの例を模式的に示している。ドット補完を行う前の元データDA11は、中ドットの形成有無を表す2値データである。ドット補完を行った後の補完データDA12は、ドット無し「0」、中ドット形成「M」、及び、大ドット形成「L」を含む3階調以上の多値データである。元データDA11において補完ラスターRA2のN画素のデータが「MM」である場合、ドット補完が行われなければ、第一駆動信号COM1の駆動波形P1に従って画素N1,N2に中ドットが形成されることになる。補完データDA12において補完ラスターRA2のN画素のデータが「LM」となった場合、第二駆動信号COM2の駆動波形P2に従って画素N1に大ドット(図4に示す補完ドットDT3)が形成され画素N2に中ドットが形成されることになる。
図9は、実際の部分駆動信号COM A,COMBと駆動信号COM1,COM2との対応関係の例を示している。駆動信号生成回路48(部分駆動信号生成部U20)は、吐出波形P1,P2を合わせた吐出波形P0の内、一部を有する第一部分駆動信号COM Aと、残部を有する第二部分駆動信号COM Bと、を生成する。吐出波形P1は、N画素の期間TA中に通常ノズルNNからN回のインク滴67を吐出するタイミングを表す吐出波形P1a,P1bを総称している。吐出波形P2は、N画素の期間TA中に補完ノズルRNからM回のインク滴67を吐出するタイミングを表す吐出波形P2a,P2b,P2cを総称している。第一部分駆動信号COM Aは、吐出波形P1a,P1b,P2a,P2b,P2cのうち一部の吐出波形P1aを有している。すなわち、第一部分駆動信号COM Aの吐出波形P11は、吐出波形P1aに対応している。第二部分駆動信号COM Bは、吐出波形P1a,P1b,P2a,P2b,P2cのうち残部の吐出波形P1b,P2a,P2b,P2cを有している。すなわち、第二部分駆動信号COM Bにおいて、吐出波形P21は吐出波形P2aに対応し、吐出波形P22は吐出波形P2bに対応し、吐出波形P23は吐出波形P1b,P2cに対応している。尚、両部分駆動信号COM A,COM Bにおいて繰り返される吐出波形P11,P23,P11,P23…の間隔は、均等(例えば1200dpi)にされている。第二部分駆動信号COM Bにおいて繰り返される吐出波形P2の間隔は、均等(例えば1800dpi)にされてもよいし、均等でなくてもよい。
以上より、本具体例の印刷制御部U1は、第一部分駆動信号COM Aと第二部分駆動信号COM Bの少なくとも一方に基づいて、N画素の期間TA中に最大の回数がN回の吐出波形P1を少なくとも通常ノズルNNの駆動素子51に供給し、N画素の期間TA中に最大の回数がM回の吐出波形P2を補完ノズルRNの駆動素子51に供給可能である。
以上より、本具体例の印刷制御部U1は、第一部分駆動信号COM Aと第二部分駆動信号COM Bの少なくとも一方に基づいて、N画素の期間TA中に最大の回数がN回の吐出波形P1を少なくとも通常ノズルNNの駆動素子51に供給し、N画素の期間TA中に最大の回数がM回の吐出波形P2を補完ノズルRNの駆動素子51に供給可能である。
部分駆動信号COM A,COM Bに含まれる吐出波形P11,P21,P22,P23を駆動素子51に供給するか否かは、例えば、図10に示すようなパターンデータSPに従って選択することができる。図10は、印字データSIの転送タイミングと構造の例を模式的に示している。図10に示すパターンデータSPは、各吐出波形P11,P21,P22,P23を駆動素子51に供給するか否かを表すビットデータとされている。尚、ビットデータ「0」は吐出波形を供給しないことを意味し、ビットデータ「1」は吐出波形を供給することを意味する。図10の例では、N画素の多値データ「00」がパターンデータ「0000」に対応し、N画素の多値データ「0M」がパターンデータ「0001」に対応し、N画素の多値データ「M0」がパターンデータ「1000」に対応し、N画素の多値データ「MM」がパターンデータ「1001」に対応し、N画素の多値データ「L0」がパターンデータ「0110」に対応し、N画素の多値データ「LM」がパターンデータ「0111」に対応している。むろん、パターンデータSPの構造は、図10に示す例に限定されない。
以上より、N画素の多値データが「00」である場合、駆動素子51に吐出波形が供給されず、画素N1,N2にドットが形成されない。N画素の多値データが「0M」である場合、駆動素子51に吐出波形P23のみ供給され、画素N2に中ドットが形成される。N画素の多値データが「M0」である場合、駆動素子51に吐出波形P11のみ供給され、画素N1に中ドットが形成される。N画素の多値データが「MM」である場合、駆動素子51に吐出波形P11,P23が供給され、画素N1,N2に中ドットが形成される。N画素の多値データが「L0」である場合、駆動素子51に吐出波形P21,P22が供給され、画素N1に大ドットが形成される。N画素の多値データが「LM」である場合、駆動素子51に吐出波形P21,P22,P23が供給され、画素N1に大ドットが形成され、画素N2に中ドットが形成される。元データDA11が中ドットの形成有無を表す2値データである場合、通常ラスターRA3に形成される中ドットは通常ドットDT1であり、補完ラスターRA2に形成される大ドットは補完ドットDT3である。補完ラスターRA2に形成される中ドットには、通常ドットDT1の場合と補完ドットDT2の場合とがある。これは、元データDA11において中ドット形成を表すデータ「M」がそのまま多値データ「M」となった場合に形成される中ドットは通常ドットDT1であり、元データDA11においてドット無しを表すデータ「0」が多値データ「M」に置換された場合に形成される中ドットは補完ドットDT2であるためである。そこで、図10には、N画素データSINに「M」がある箇所の画素(N1又はN2)に形成される中ドットに両方の符号DT1,DT2を付している。後述する図20も、同様である。
尚、大ドットが形成されるのは、補完ラスターRA2のN=2画素に含まれる画素にインク滴67を重ねて補完ドットDT3を形成する場合、具体的にはN画素の多値データが「L0」又は「LM」の場合である。この場合、補完ラスターRA2のN画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数がM=3回であることが分かる。尚、N=2画素に補完ノズルからインク滴を吐出する最大の回数がM=3回であるとは、N=2画素へのインク滴の着弾予定位置が最大でM=3箇所あることを意味する。一方、大ドットが形成されない場合、具体的にはN画素の多値データが「00」、「0M」、「M0」又は「MM」の場合、通常ラスターRA3又は補完ラスターRA2のN画素にノズル64からインク滴67を吐出する最大の回数がN=2回であることが分かる。尚、N=2画素に補完ノズルからインク滴を吐出する最大の回数がN=2回であるとは、N=2画素へのインク滴の着弾予定位置が最大でN=2箇所あることを意味する。
図11(a)〜(e)は、吐出波形P11,P21,P22,P23に合わせるためN画素のうち第一画素N1にのみ大ドットを形成可能である場合のドット補完の例を模式的に示している。図11(a)〜(e)には、不良ノズルLNに形成すべきドットを補完する補完ドットDT2,DT3を補完ラスターRA2a,RA2bに形成する例を示している。
図11(a)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第一画素N1が「M」であり、補完ラスターRA2の第一画素N1が「0」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第一画素N1に「M」が格納され、この第一画素N1に補完ドットDT2として中ドットが形成される。
図11(a)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第一画素N1が「M」であり、補完ラスターRA2の第一画素N1が「0」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第一画素N1に「M」が格納され、この第一画素N1に補完ドットDT2として中ドットが形成される。
図11(b)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第一画素N1が「M」であり、補完ラスターRA2の第一画素N1が「M」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第一画素N1に「L」が格納され、この第一画素N1に補完ドットDT3として大ドットが形成される。第二画素N2に「M」が格納されている場合、補完ノズルRNの駆動素子51に対してN画素の期間TA中に吐出波形P2が最大のM=3回供給される。
図11(c)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第二画素N2が「M」であり、補完ラスターRA2の第二画素N2が「0」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第二画素N2に「M」が格納され、この第二画素N2に補完ドットDT2として中ドットが形成される。
図11(c)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第二画素N2が「M」であり、補完ラスターRA2の第二画素N2が「0」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第二画素N2に「M」が格納され、この第二画素N2に補完ドットDT2として中ドットが形成される。
図11(d),(e)に示す元データDA11のように、抜けラスターRA1の第二画素N2が「M」であり、補完ラスターRA2の第二画素N2が「M」である場合、補完データDA12の補完ラスターRA2の第二画素N2については「L」を格納することができない。ただ、図11(d)に示すように抜けラスターRA1の第一画素N1が「0」であれば、抜けラスターRA1の第二画素N2のドットを補完ラスターRA2の第一画素N1に補完することができる。図11(d)に示す例では、元データDA11の補完ラスターRA2の第一画素N1に「M」が格納されているため、この第一画素N1に補完ドットDT3として大ドットが形成されている。また、図11(e)に示すように抜けラスターRA1の第一画素N1が「M」であっても補完ラスターRA2の第一画素N1が「0」であれば、抜けラスターRA1の両画素N1,N2を合わせた補完ドットDT3として大ドットを補完ラスターRA2の第一画素N1に形成することができる。
以上のようにして、補完ノズルRNに形成させる大ドットを第一画素N1に配置するドット配置調整処理を行うことができる。補完ラスターRA2の第二画素N2には中ドットまでのドットしか形成されないので、補完ラスターRA2が濃くなり過ぎるという過補完が抑制される。従って、本具体例は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
また、本具体例は、補完ノズルRNにより記録される補完ラスターRA2において相対移動方向D2へ連続するN=2画素の単位R1で補完ノズルRNからのインク滴67の吐出が制御される。そのうえで、補完ラスターRA2のN=2画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数がM=3回である。補完ドットを形成するため補完ラスターRA2のN=2画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数を2×N=4回にする必要が無いので、単純に計算すると、印刷時間を3/4にすることが可能である。従って、本具体例は、不良ノズルにより形成すべきドットを補完する印刷を高速化させることができる。
(3)ドット配置調整処理の種々の具体例:
ところで、図12,13に示すように、元データDA11から補完データDA12を生成する途中のデータを必要に応じてシフトしたり入れ替えたりしてもよい。図12,13は、図2に示す補完部46e(印刷制御部U1)が行うドット配置調整処理の例を模式的に示している。図12に示すドット配置調整処理は、図2に示すハーフトーン処理部46dが元データDA11を生成した時に開始される。
ところで、図12,13に示すように、元データDA11から補完データDA12を生成する途中のデータを必要に応じてシフトしたり入れ替えたりしてもよい。図12,13は、図2に示す補完部46e(印刷制御部U1)が行うドット配置調整処理の例を模式的に示している。図12に示すドット配置調整処理は、図2に示すハーフトーン処理部46dが元データDA11を生成した時に開始される。
補完部46eは、まず、所定の補完規則に従って元データDA11の抜けラスターRA1のドットを補完ラスターRA2に補完した変換データDA13を生成する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。図12に示す所定の補完規則は、抜けラスターRA1の画素の「M」(中ドット形成)を抜けラスターRA1の両隣にある補完ラスターRA2a,RA2bの相対移動方向D2において同じ位置の画素に補完する規則とされている。ここで、補完ラスターRA2a,RA2bの画素に「0」(ドット無し)が格納されている場合には当該画素に「M」を格納し、補完ラスターRA2a,RA2bの画素に「M」が格納されている場合には当該画素に「L」(大ドット形成)を格納することにする。図13には、元データDA11から所定の補完規則に従ったデータDA13を生成する例を示している。尚、各データDA11〜DA14の上に付した符号N1,N2は、符号N1,N2の下にある画素PXが第一画素N1であるか第二画素N2であるかを示している。
S104では、所定の補完規則に従ったデータDA13において、補完ラスターRA2a,RA2bの第一画素N1に配置された大ドットの数ND1、及び、補完ラスターRA2a,RA2bの第二画素N2に配置された大ドットの数ND2を取得する。前記数ND1は所定の補完規則に従ったときに第一画素N1に配置される大ドットの数であり、前記数ND2は大ドットを相対移動方向D2へ1画素(所定距離)移動させるときに第一画素N1に配置される大ドットの数である。図13には、データDA13の補完ラスターRA2a,RA2bの内、「L」が配置されている第二画素N2を太線で囲っている。図13に示すデータDA13では、ND1=3、及び、ND2=7となっている。尚、図13に示すデータDA13はインク滴67の吐出が遅くなる側へ全ドット分のデータが1画素移動しているが、インク滴67の吐出が早くなる側へドットを移動させてもよい。
S106では、大ドットを移動させないときの数ND1よりも移動させるときの数ND2が多いか否かを判断する。ND1≧ND2である場合、補完部46eは、処理をS110に進める。ND1<ND2である場合、補完部46eは、所定の補完規則に従ったデータDA13の全体を1画素シフト(移動)させた二次変換データDA14を生成する(S108)。図13に示す二次変換データDA14は、一次変換データDA13から1画素移動したことにより、補完ラスターRA2a,RA2bの第一画素N1に配置された大ドットの数ND1が7となり、補完ラスターRA2a,RA2bの第二画素N2に配置された大ドットの数ND2が3となっている。このようにして大ドットを形成可能な第一画素N1に配置される大ドットが増えるので、本具体例は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
S110では、一次変換データDA13又は二次変換データDA14の補完ラスターRA2a,RA2bにおける単位R1毎のN画素の内、最終調整対象の処理区分を設定する。図13に示す例では二次変換データDA14が生成されているので、二次変換データDA14の補完ラスターRA2a,RA2bのN画素を対象にして処理区分が設定される。S112では、対象の処理区分について、第一画素N1が「M」又は「0」であり、且つ、第二画素N2が「L」であるか否かを判断する。第一画素N1が「M」又は「0」であることは、ドットを入れ替える処理を行っていないときにN画素の中で第一画素N1に大ドットが配置されていないことを意味する。また、第二画素N2が「L」であることは、ドットを入れ替える処理を行っていないときにN画素の中で第二画素N2に大ドットが配置されていることを意味する。条件不成立時、補完部46eは、処理をS116に進める。条件成立時、補完部46eは、S114において、第二画素N2の「L」と、第一画素N1の「M」又は「0」と、をスワップする(入れ替える)。S116では、補完ラスターRA2a,RA2bの全てのN画素について処理区分に設定したか否かを判断する。設定していない処理区分があれば、補完部46eは、S110〜S116の処理を繰り返す。全てのN画素について処理区分を設定した場合、補完部46eは、ドット配置調整処理を終了させる。処理後には、図13に示すような補完データDA12が生成される。図13には、補完データDA12の補完ラスターRA2a,RA2bの内、データを入れ替えたN画素を太線で囲っている。
補完データDA12が生成されると、印刷信号送信部46fにより補完データDA12に基づいたN画素データSINとパターンデータSPを含む印字データSIが生成され、この印字データSI等の信号がヘッド100の駆動回路52へ出力される。これにより、補完ラスターRA2に補完ドットDT2,DT3を有する印刷画像が被印刷物M1に形成される。
以上より、大ドットの配置を変える際に大ドットの数が変わらず、また、大ドットの配置が近い範囲内で変わる。従って、本具体例は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
以上より、大ドットの配置を変える際に大ドットの数が変わらず、また、大ドットの配置が近い範囲内で変わる。従って、本具体例は、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能である。
ところで、通常ノズルNNからのインク滴67の吐出速度(Vnとする)に対して補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度(Vrとする)がずれていることがある。例えば、補完ラスターRA2aに記録する補完ノズルRNからのインク滴の吐出速度Vrがずれている場合、図15に示す元データDA11のように、補完ラスターRA2aのデータと、補完ラスターRA2a以外のラスターのデータと、を相対的にX画素(Xは0以外の整数)ずらすことがある。この場合、元データDA11において抜けラスターRA1の画素の位置に対して補完ラスターRA2aの画素の位置が相対移動方向D2へX画素ずれることになる。図15では、Vr<Vnであり、補完ラスターRA2a以外のデータが補完ラスターRA2aのデータに対してインク滴67の吐出が1画素分遅くなる側へ移動した元データDA11が示されている。このような元データDA11では、抜けラスターRA1の第一画素N1に隣接するのは補完ラスターRA2aの第二画素N2である。従って、補完ラスターRA2aにおいて「M」が格納された第二画素N2に抜けラスターRA1の隣接する第一画素N1の「M」を補完しようとしても、補完ラスターRA2aの前記第二画素N2に「L」(補完ドット)を形成することができない。そこで、元データDA11のラスターの一部についてデータがシフトしている場合、このことを加味してドット配置調整処理を行うことにする。
図14は、補完部46eが行うドット配置調整処理の別の例を模式的に示している。
図2に示すハーフトーン処理部46dが図15に示す元データDA11を生成すると、補完部46eは、まず、通常ノズルNNからのインク滴67の吐出速度Vnに対して補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度Vrがずれていることにより元データDA11の第二ラスターRA2の画素が相対移動方向D2へずれている量に基づいたX画素を取得する(S202)。すなわち、S202の処理は、ずれ量取得部U11に対応している。図15に示す元データDA11は抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2のデータがX=1画素ずれているので、X=1画素が取得されることになる。
図2に示すハーフトーン処理部46dが図15に示す元データDA11を生成すると、補完部46eは、まず、通常ノズルNNからのインク滴67の吐出速度Vnに対して補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度Vrがずれていることにより元データDA11の第二ラスターRA2の画素が相対移動方向D2へずれている量に基づいたX画素を取得する(S202)。すなわち、S202の処理は、ずれ量取得部U11に対応している。図15に示す元データDA11は抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2のデータがX=1画素ずれているので、X=1画素が取得されることになる。
S204では、元データDA11の補完ラスターRA2のデータをシフト(移動)させる必要があるか否か、すなわち、元データDA11において抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2の画素を相対移動方向D2へ移動させる必要があるか否かを判断する。S202で取得されたX画素が全て0画素である場合、補完部46eは、処理をS208に進める。S202で取得されたX画素に0画素でないX画素がある場合、補完部46eは、元データDA11の補完ラスターRA2のデータを相対的に−X画素分シフト(移動)させて変換データDA21を生成する(S206)。図15には、元データDA11において抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2aの画素を−X=−1画素分移動させてデータDA21を生成する例を示している。このようにして、抜けラスターRA1の第一画素N1の隣に補完ラスターRA2aの第一画素N1が配置され、抜けラスターRA1の第二画素N2の隣に補完ラスターRA2aの第二画素N2が配置される。
S208では、図12で示したS102〜S116の処理を行い、変換データDA21に対して補完ノズルRNに形成させる大ドットを第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う。図15には、図13で示したようにデータシフト及びデータスワップを行って変換データDA22を生成する例を示している。
S210では、S206において補完ラスターRA2のデータを−X画素分データシフトしたか否かを判断する。S206の処理が行われなかった場合、補完部46eは、変換データDA14を補完データDA12に置き換えてドット配置調整処理を終了させる。S206の処理が行われた場合、補完部46eは、変換データDA22の補完ラスターRA2のデータを相対的にX画素分シフト(移動)させて補完データDA12を生成し(S212)、ドット配置調整処理を終了させる。図15には、変換データDA22において抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2aの画素をX=1画素分移動させて補完データDA12を生成する例を示している。このようにして、補完データDA12の構造を補完ラスターRA2aのデータがずれた元データDA11の構造に合わせることができ、「X画素」に従ったドット配置調整処理が行われた補完データDA12が得られる。補完データDA12が生成されると、印刷信号送信部46fにより補完データDA12に基づいたN画素データSINとパターンデータSPを含む印字データSIが生成され、この印字データSI等の信号がヘッド100の駆動回路52へ出力される。これにより、補完ラスターRA2に補完ドットDT2,DT3を有する印刷画像が被印刷物M1に形成される。
以上より、本具体例は、補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度にずれがある場合に好適なドット補完を行うことができる。
尚、通常ノズルNNからのインク滴67の吐出速度Vnよりも補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度Vrが速い場合にも、同様にして補完ラスターRA2のデータを相対的にずらすことによりドット配置調整処理を行うことができる。
尚、通常ノズルNNからのインク滴67の吐出速度Vnよりも補完ノズルRNからのインク滴67の吐出速度Vrが速い場合にも、同様にして補完ラスターRA2のデータを相対的にずらすことによりドット配置調整処理を行うことができる。
また、図16に例示するように、ノズル列68を構成する複数のノズル64の並び方向D1が相対移動方向D2ではないが相対移動方向D2に直交する幅方向D3からずれていることがある。このため、幅方向D3におけるドット同士の間隔を並び方向D1におけるノズル同士の間隔よりも狭くすることができ、高解像度の印刷画像が形成される。各画素へのインク滴67の吐出タイミングは、ノズル列68の傾斜に応じてずれたタイミングとされる。互いに隣接するノズル間でX画素(Xは0以外の整数)すれているとすると、元データDA11において抜けラスターRA1の画素の位置に対して補完ラスターRA2aの画素の位置が相対移動方向D2へX画素ずれることになる。図16では、互いに隣接するノズル間で3画素(奇数画素)分ずつインク滴67の吐出タイミングがずれ、互いに隣接するラスターのデータが3画素分ずつずれた元データDA11が示されている。このような元データDA11では、抜けラスターRA1の第一画素N1に隣接するのは補完ラスターRA2aの第二画素N2である。そこで、ノズル64の並び方向D1が幅方向D3からずれている場合、このことを加味して、特に隣接するラスター間で奇数画素分データがずれているのか偶数画素分データがずれているのかを加味して、ドット配置調整処理を行うことにする。
ドット配置調整処理は、図14からS204,S210を除いたS202,S206,S208,S212の処理で実現することができる。そこで、図14を参照して、ノズル64の並び方向D1が幅方向D3からずれている場合におけるドット配置調整処理を説明する。
補完部46eは、まず、複数のノズル64が幅方向D3からずれている並び方向D1へ並べられていることにより元データDA11の第二ラスターRA2の画素が相対移動方向D2へずれている量に基づいたX画素を取得する(S202)。図16に示す元データDA11の補完ラスターRA2aについては、抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2aのデータがX=3画素ずれているので、X=3画素が取得されることになる。また、補完ラスターRA2bについては、抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2bのデータがX=−3画素ずれているので、X=−3画素が取得されることになる。
補完部46eは、まず、複数のノズル64が幅方向D3からずれている並び方向D1へ並べられていることにより元データDA11の第二ラスターRA2の画素が相対移動方向D2へずれている量に基づいたX画素を取得する(S202)。図16に示す元データDA11の補完ラスターRA2aについては、抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2aのデータがX=3画素ずれているので、X=3画素が取得されることになる。また、補完ラスターRA2bについては、抜けラスターRA1のデータに対して補完ラスターRA2bのデータがX=−3画素ずれているので、X=−3画素が取得されることになる。
S206では、元データDA11の補完ラスターRA2のデータを相対的に−X画素分シフト(移動)させて変換データDA31を生成する。図16には、元データDA11において、抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2aの画素を−X=−3画素分移動させ、抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2bの画素を−X=3画素分移動させて、データDA31を生成する例を示している。このようにして、抜けラスターRA1の第一画素N1の隣に補完ラスターRA2の第一画素N1が配置され、抜けラスターRA1の第二画素N2の隣に補完ラスターRA2の第二画素N2が配置される。図16では分かりやすく示すため通常ラスターRA3のデータも移動したデータDA31が示されているが、ドット補完だけであれば通常ラスターRA3のデータを移動させなくてもよい。
S208では、図12で示したS102〜S116の処理を行い、変換データDA31に対して補完ノズルRNに形成させる大ドットを第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う。図16には、図13で示したようにデータシフト及びデータスワップを行って変換データDA32を生成する例を示している。
その後、補完部46eは、変換データDA32の補完ラスターRA2のデータを相対的にX画素分シフト(移動)させて補完データDA12を生成し(S212)、ドット配置調整処理を終了させる。図16には、変換データDA32において抜けラスターRA1の画素に対して補完ラスターRA2aの画素をX=3画素分移動させ補完ラスターRA2bの画素をX=−3画素分移動させて補完データDA12を生成する例を示している。このようにして、補完データDA12の構造を補完ラスターRA2aのデータがずれた元データDA11の構造に合わせることができ、「X画素」に従ったドット配置調整処理が行われた補完データDA12が得られる。
以上より、本具体例は、複数のノズル64が幅方向D3からずれている並び方向D1へ並べられている場合に好適なドット補完を行うことができる。
ただ、ノズル列68を構成する複数のノズル64の並び方向D1が幅方向D3からずれていても、隣接するラスターのデータが偶数画素分ずれているのであれば、抜けラスターRA1の第一画素N1に隣接するのは補完ラスターRA2aの第一画素N1となる。図18では、互いに隣接するノズル間でX=2画素(偶数画素)分ずつインク滴67の吐出タイミングがずれ、互いに隣接するラスターのデータがX=2画素分ずつずれた元データDA11が示されている。そこで、図17に示すように、相対移動方向D2への画素のずれを考慮した補完規則を用意しておけば、この補完規則に従って一次変換データDA13を生成した後は、図12,13で示した処理に従ってドット配置調整処理を行うことができる。尚、|X|、すなわち、Xの絶対値がNの倍数であれば、元データDA11における補完ラスターRA2の画素の位置をそのままにしてドット配置調整処理を行うことができる。
図17,18は、図2に示す補完部46eが行うドット配置調整処理の例を模式的に示している。
図2に示すハーフトーン処理部46dが図18に示す元データDA11を生成すると、補完部46eは、まず、所定の補完規則に従って元データDA11の抜けラスターRA1のドットを補完ラスターRA2に補完した変換データDA13を生成する(S302)。図17に示す所定の補完規則は、抜けラスターRA1の画素の「M」(中ドット形成)を、補完ラスターRA2aについては相対移動方向D2において2画素前(図17の左側)の画素に補完し、補完ラスターRA2bについては相対移動方向D2において2画素後(図17の右側)の画素に補完する規則とされている。ここでも、補完ラスターRA2a,RA2bの補完先の画素に「0」が格納されている場合には当該画素に「M」を格納し、補完ラスターRA2a,RA2bの補完先の画素に「M」が格納されている場合には当該画素に「L」を格納することにする。図18には、元データDA11から図17に示す補完規則に従ったデータDA13を生成する例を示している。
図2に示すハーフトーン処理部46dが図18に示す元データDA11を生成すると、補完部46eは、まず、所定の補完規則に従って元データDA11の抜けラスターRA1のドットを補完ラスターRA2に補完した変換データDA13を生成する(S302)。図17に示す所定の補完規則は、抜けラスターRA1の画素の「M」(中ドット形成)を、補完ラスターRA2aについては相対移動方向D2において2画素前(図17の左側)の画素に補完し、補完ラスターRA2bについては相対移動方向D2において2画素後(図17の右側)の画素に補完する規則とされている。ここでも、補完ラスターRA2a,RA2bの補完先の画素に「0」が格納されている場合には当該画素に「M」を格納し、補完ラスターRA2a,RA2bの補完先の画素に「M」が格納されている場合には当該画素に「L」を格納することにする。図18には、元データDA11から図17に示す補完規則に従ったデータDA13を生成する例を示している。
その後、補完部46eは、図12で示したS104〜S116の処理を行い、一次変換データDA13に対して補完ノズルRNに形成させる大ドットを第一画素N1に配置させるためのドット配置調整処理を行う。図18には、図13で示したようにデータシフトを行って一次変換データDA13から二次変換データDA14を生成する例、さらに、図13で示したようにデータスワップを行って二次変換データDA14から補完データDA12を生成する例を示している。
以上より、本具体例は、元データDA11における補完ラスターRA2の画素の位置が相対移動方向D2へずれている場合にドット補完の処理を高速化可能である。
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、記録ヘッドのノズル列は、ノズルが千鳥状に配置されたノズル列、被印刷物の搬送方向から傾斜した方向へ複数のノズルが並べられたノズル列、等でもよい。また、ヘッドユニットは、ラインプリンター用のヘッドユニット以外にも、シリアルプリンター用のヘッドユニット等でもよい。従って、補完ノズルは、ノズルの並び方向D1において不良ノズルに隣接するノズルに限定されず、ノズルの並び方向D1において不良ノズルに隣接していないノズルになることがある。
印刷タイミング信号PTS、ラッチ信号LAT、及び、チャンネル信号CHのアクティブは、L(ロー)でもよい。
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、記録ヘッドのノズル列は、ノズルが千鳥状に配置されたノズル列、被印刷物の搬送方向から傾斜した方向へ複数のノズルが並べられたノズル列、等でもよい。また、ヘッドユニットは、ラインプリンター用のヘッドユニット以外にも、シリアルプリンター用のヘッドユニット等でもよい。従って、補完ノズルは、ノズルの並び方向D1において不良ノズルに隣接するノズルに限定されず、ノズルの並び方向D1において不良ノズルに隣接していないノズルになることがある。
印刷タイミング信号PTS、ラッチ信号LAT、及び、チャンネル信号CHのアクティブは、L(ロー)でもよい。
上述した実施形態では大ドット(補完ドットDT3)を画素N2に形成せず画素N1に形成することにしていたが、大ドット(補完ドットDT3)を画素N1に形成せず画素N2に形成してもよい。
上述した実施形態では補完ラスターであってもN画素に大ドット(補完ドットDT3)を形成しない場合に補完ノズルの駆動素子に最大回数N回の吐出波形P1に基づいた吐出波形を供給した。しかし、補完ノズルRNの駆動素子51には常に最大回数M回の吐出波形P2に基づいた吐出波形を供給してもよい。この場合、M回の吐出波形P2のうち最大N回の吐出波形を駆動素子51に供給すればよい。
上述した実施形態では補完ラスターであってもN画素に大ドット(補完ドットDT3)を形成しない場合に補完ノズルの駆動素子に最大回数N回の吐出波形P1に基づいた吐出波形を供給した。しかし、補完ノズルRNの駆動素子51には常に最大回数M回の吐出波形P2に基づいた吐出波形を供給してもよい。この場合、M回の吐出波形P2のうち最大N回の吐出波形を駆動素子51に供給すればよい。
第二画素N2が小ドット(第二サイズ)までのドットを形成可能である場合、第一画素N1は、第一サイズとして大ドットまでのドットを形成可能でもよいし、第一サイズとして中ドットまでのドットを形成可能でもよい。
ドット配置調整処理のデータスワップは、互いに異なるN画素間で行われてもよい。例えば、互いに隣接するN画素を第一N画素及び第二N画素とするとき、第一N画素の第二画素N2に配置される第一サイズのドットと、第一サイズのドットが配置されない第二N画素の第一画素N1に配置されるドットと、を入れ替えてもよい。
ドット配置調整処理は、データスワップを行わずにデータシフトを行う処理でもよいし、データシフトを行わずにデータスワップを行う処理でもよい。
また、N画素に液滴を吐出する最大の回数Mが2×Nであっても、補完ラスターRA2のN画素に大ドットを形成可能な第一画素と中ドットまでのドットを形成可能な第二画素とが含まれていれば、本技術に含まれ、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な効果が得られる。
ドット配置調整処理のデータスワップは、互いに異なるN画素間で行われてもよい。例えば、互いに隣接するN画素を第一N画素及び第二N画素とするとき、第一N画素の第二画素N2に配置される第一サイズのドットと、第一サイズのドットが配置されない第二N画素の第一画素N1に配置されるドットと、を入れ替えてもよい。
ドット配置調整処理は、データスワップを行わずにデータシフトを行う処理でもよいし、データシフトを行わずにデータスワップを行う処理でもよい。
また、N画素に液滴を吐出する最大の回数Mが2×Nであっても、補完ラスターRA2のN画素に大ドットを形成可能な第一画素と中ドットまでのドットを形成可能な第二画素とが含まれていれば、本技術に含まれ、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な効果が得られる。
さらに、部分駆動信号COM A,COM Bを使用せず一つの駆動信号を使用して通常ノズルNN及び補完ノズルRNからのインク滴の吐出を制御してもよい。
図19は、変形例において、駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チャンネル信号CH、及び、印刷タイミング信号PTSの関係の例を模式的に示している。本具体例の駆動信号生成回路48(駆動信号生成部U2)は、N画素の期間TA中に補完ノズルRNからM回のインク滴67を吐出するタイミングを表す吐出波形P2を有する補完用駆動信号COM Rを生成する。本具体例の印刷制御部U1は、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれるN回の吐出波形P1を通常ノズルNNの駆動素子51に供給する吐出波形にする。図19には、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれるN回の吐出波形P21,P23を有する仮想の第一駆動信号COM1を示している。むろん、第一駆動信号COM1を実際に生成することも、本技術に含まれる。本具体例の印刷制御部U1は、N画素(例えばN=2)にノズル64からインク滴67を最大N回吐出させる場合、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれる最大N回の吐出波形P1を少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64の駆動素子51に供給する。また、本具体例の印刷制御部U1は、N画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M回(例えばM=3)吐出させる場合、補完用駆動信号COM Rの最大M回の吐出波形P2を補完ノズルRNの駆動素子51に供給する。
図19は、変形例において、駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チャンネル信号CH、及び、印刷タイミング信号PTSの関係の例を模式的に示している。本具体例の駆動信号生成回路48(駆動信号生成部U2)は、N画素の期間TA中に補完ノズルRNからM回のインク滴67を吐出するタイミングを表す吐出波形P2を有する補完用駆動信号COM Rを生成する。本具体例の印刷制御部U1は、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれるN回の吐出波形P1を通常ノズルNNの駆動素子51に供給する吐出波形にする。図19には、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれるN回の吐出波形P21,P23を有する仮想の第一駆動信号COM1を示している。むろん、第一駆動信号COM1を実際に生成することも、本技術に含まれる。本具体例の印刷制御部U1は、N画素(例えばN=2)にノズル64からインク滴67を最大N回吐出させる場合、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれる最大N回の吐出波形P1を少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64の駆動素子51に供給する。また、本具体例の印刷制御部U1は、N画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M回(例えばM=3)吐出させる場合、補完用駆動信号COM Rの最大M回の吐出波形P2を補完ノズルRNの駆動素子51に供給する。
N回のラッチ信号LATの間隔は、補完用の吐出波形P22のタイミングを考慮して、不均等にされている。図19に示すラッチ信号LATは、1回目のラッチタイミングと2回目のラッチタイミングとの間隔T1が2回目のラッチタイミングと次の期間TAにおける1回目のラッチタイミングとの間隔T2よりも長く(例えばT1:T2=7:3)とされている。このため、吐出波形P21,P23により通常ノズルNNから吐出されるインク滴67の速度が同じであると、画素N2への通常ドットDT1の位置が次のN画素の方へずれてしまう。
そこで、後の吐出波形(第二速度用吐出波形)P23の振幅を前の吐出波形(第一速度用吐出波形)P21の振幅よりも大きくして、後の吐出波形P23により通常ノズルNNから吐出されるインク滴67の速度Vm2を、前の吐出波形P21により通常ノズルNNから吐出されるインク滴67の速度Vm1よりも速くしている。これにより、画素N2への通常ドットDT1の位置が画素N2の位置に合わせられ、高品質の印刷が実現される。
尚、M回の吐出波形P21,P22,P23の内、2番目の吐出波形P22と3番目の吐出波形P23をN回の吐出波形P1にする場合、前の吐出波形(第一速度用吐出波形)P22の振幅を後の吐出波形(第二速度用吐出波形)P23の振幅よりも大きくしてもよい。この場合、前の吐出波形P22により通常ノズルNNから吐出されるインク滴67の速度Vm1が、後の吐出波形P23により通常ノズルNNから吐出されるインク滴67の速度Vm2よりも速くなる。これにより、画素N1への通常ドットDT1の位置が画素N1の位置に合わせられ、高品質の印刷が実現される。
図20は、変形例において、印字データSIの転送タイミングと構造の例を模式的に示している。図20に示すパターンデータSPは、各吐出波形P21,P22,P23を駆動素子51に供給するか否かを表すビットデータとされている。N画素の多値データが「00」である場合、駆動素子51に吐出波形が供給されず、画素N1,N2にドットが形成されない。N画素の多値データが「0M」である場合、駆動素子51に吐出波形P23のみ供給され、画素N2に中ドットが形成される。N画素の多値データが「M0」である場合、駆動素子51に吐出波形P21のみ供給され、画素N1に中ドットが形成される。N画素の多値データが「MM」である場合、駆動素子51に吐出波形P21,P23が供給され、画素N1,N2に中ドットが形成される。N画素の多値データが「L0」である場合、駆動素子51に吐出波形P21,P22が供給され、画素N1に大ドットが形成される。N画素の多値データが「LM」である場合、駆動素子51に吐出波形P21,P22,P23が供給され、画素N1に大ドットが形成され、画素N2に中ドットが形成される。むろん、パターンデータSPの構造は、図20に示す例に限定されない。
大ドットが形成されるのは、N画素の多値データが「L0」又は「LM」の場合である。この場合、補完ラスターRA2のN画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数がM=3回であることが分かる。一方、大ドットが形成されない場合、通常ラスターRA3又は補完ラスターRA2のN画素にノズル64からインク滴67を吐出する最大の回数がN=2回であることが分かる。
以上説明したように、本変形例は、補完用駆動信号COM RのM回の吐出波形P2に含まれるN回の吐出波形P1が通常ノズルNNの駆動素子51に供給する吐出波形にされるので、駆動信号を生成する回路を簡素化することができる。
本技術は、N=2且つM=3に限定されず、N=3且つM=4等でもよい。
図21は、変形例において、駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チャンネル信号CH、及び、印刷タイミング信号PTSの関係の例を模式的に示している。本変形例の印刷制御部U1は、N=3画素にノズル64からインク滴67を最大N=3回吐出させる場合、N=3画素の期間TA中に最大N=3回の吐出波形P1a,P1b,P1cを少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64の駆動素子51に供給する。吐出波形P1aにより吐出されるインク滴67は画素N1に着弾して中ドット(通常ドットDT1)となり、吐出波形P1bにより吐出されるインク滴67は画素N2Aに着弾して中ドット(通常ドットDT1)となり、吐出波形P1cにより吐出されるインク滴67は画素N2Bに着弾して中ドット(通常ドットDT1)となる。
図21は、変形例において、駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チャンネル信号CH、及び、印刷タイミング信号PTSの関係の例を模式的に示している。本変形例の印刷制御部U1は、N=3画素にノズル64からインク滴67を最大N=3回吐出させる場合、N=3画素の期間TA中に最大N=3回の吐出波形P1a,P1b,P1cを少なくとも通常ノズルNNを含むノズル64の駆動素子51に供給する。吐出波形P1aにより吐出されるインク滴67は画素N1に着弾して中ドット(通常ドットDT1)となり、吐出波形P1bにより吐出されるインク滴67は画素N2Aに着弾して中ドット(通常ドットDT1)となり、吐出波形P1cにより吐出されるインク滴67は画素N2Bに着弾して中ドット(通常ドットDT1)となる。
また、本変形例の印刷制御部U1は、N=3画素に補完ノズルRNからインク滴67を最大M=4回吐出させる場合、N=3画素の期間TA中に最大M=4回の吐出波形P2a,P2b,P2c,P2dを補完ノズルRNの駆動素子51に供給する。印字データ上、吐出波形P2a,P2bにより吐出されるインク滴67は共に画素N1に着弾して大ドット(補完ドットDT3)となり、吐出波形P2cにより吐出されるインク滴67は画素N2Aに着弾して中ドットとなり、吐出波形P2dにより吐出されるインク滴67は画素N2Bに着弾して中ドットとなる。このことから、画素N1は大ドットまでのドットを形成可能な第一画素となり、画素N2A,N2Bは中ドットまでのドットを形成可能な第二画素N2となる。すなわち、補完ラスターRA2のN=3画素には、一つの第一画素N1と、二つの第二画素N2と、が含まれることになる。
尚、第一駆動信号COM1及び第二駆動信号COM2は、仮想の駆動信号でもよいし、実際に生成される駆動信号でもよい。
尚、第一駆動信号COM1及び第二駆動信号COM2は、仮想の駆動信号でもよいし、実際に生成される駆動信号でもよい。
本変形例は、補完ドットを形成するために補完ラスターRA2のN=3画素に補完ノズルRNからインク滴67を吐出する最大の回数を2×N=6回にする必要が無いので、単純に計算すると、印刷時間を4/6にすることが可能である。従って、本変形例も、不良ノズルにより形成すべきドットを補完する印刷を高速化させることができる。
尚、N=3且つM=5とすること等も、本技術に含まれる。
尚、N=3且つM=5とすること等も、本技術に含まれる。
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な技術等を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、不良ノズルにより形成すべきドットをより適切に補完可能な技術等を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…印刷装置(印刷部)、2…本体、3…ヘッドユニット、41…紙送り機構、42…エンコーダー、46…制御部、47…発振回路、48…駆動信号生成回路、51…駆動素子、52…駆動回路、54…シフトレジスター、55…ラッチ回路、56…デコーダー、57…制御ロジック、58…レベルシフター、59…スイッチ回路、64…ノズル、67…インク滴(液滴)、68…ノズル列、70…検出ユニット、100…ヘッド、CH…チャンネル信号、CK…クロック信号、COM,COM1,COM2…駆動信号、COM A…第一部分駆動信号、COM B…第二部分駆動信号、COM R…補完用駆動信号、D1…並び方向、D2…相対移動方向、D3…幅方向、DA1…印刷データ、DA11…元データ、DA12…補完データ、DA13,DA14,DA21,DA22,DA31,DA32…データ、DT…ドット、DT1…通常ドット、DT2,DT3…補完ドット、LAT…ラッチ信号、LN…不良ノズル、NN…通常ノズル、RN…補完ノズル、M1…被印刷物、N1,N2,N2A,N2B,PX,PXL…画素、P0,P1,P2,P11,P21〜P23…吐出波形、PTS…印刷タイミング信号、R1…N画素の単位、RA1,RA2,RA2a〜RA2d,RA3…ラスター、SI…印字データ、SP…パターンデータ、TA…N画素の期間、U0…印刷制御装置、U1…印刷制御部、U2…駆動信号生成部、U11…ずれ量取得部、U20…部分駆動信号生成部、U3…不良ノズル検出部。
Claims (9)
- ドットを形成する複数のノズルと被印刷物とが相対移動方向へ相対移動する印刷部のための印刷制御装置であって、
前記複数のノズルには、不良ノズルにより記録すべき第一ラスターのドットを補完する補完ドットを第二ラスターに形成する補完ノズルが含まれ、
前記第二ラスターには、第一サイズまでのドットを形成可能な第一画素と、前記第一サイズよりも小さい第二サイズまでのドットを形成可能な第二画素と、が含まれ、
前記補完ノズルに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素に配置させるためのドット配置調整処理を行う印刷制御部を備える、印刷制御装置。 - 前記印刷制御部は、所定の補完規則に従ったときに前記第一画素に配置される前記第一サイズのドットの数よりも、該第一サイズのドットを前記相対移動方向へ所定距離移動させるときに前記第一画素に配置される前記第一サイズのドットの数が多い場合、前記複数のノズルに形成させるドットを前記相対移動方向へ前記所定距離移動させる、請求項1に記載の印刷制御装置。
- 前記印刷制御部は、前記ドット配置調整処理において、ドットを入れ替える処理を行っていないときに前記第二画素に配置される前記第一サイズのドットと、ドットを入れ替える処理を行っていないときに前記第一サイズのドットが配置されない前記第一画素に配置されるドットと、を入れ替える、請求項1又は請求項2に記載の印刷制御装置。
- 前記第二ラスターは、前記第一画素と前記第二画素とを有し前記相対移動方向へ連続するN画素(Nは2以上の整数)が前記相対移動方向へ繰り返され、
前記印刷制御部は、前記ドット配置調整処理において、前記N画素の中で、前記第二画素に配置される前記第一サイズのドットと、前記第一サイズのドットが配置されない前記第一画素に配置されるドットと、を入れ替える、請求項3に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷制御部は、前記不良ノズルによるドットを補完する前の元データに基づいて前記補完ドットが形成される補完データを生成し、
前記印刷部は、前記補完データに従って前記複数のノズルから液滴を吐出してドットを形成し、
前記印刷制御部は、前記元データにおいて前記第一ラスターの画素の位置に対して前記第二ラスターの画素の位置が前記相対移動方向へX画素(Xは0以外の整数)ずれている場合、前記元データにおいて前記第一ラスターの画素に対して前記第二ラスターの画素を前記相対移動方向へ−X画素ずらした状態を基準にして前記ドット配置調整処理を行う、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御装置。 - 前記第二ラスターは、前記第一画素と前記第二画素とを有し前記相対移動方向へ連続するN画素(Nは2以上の整数)が前記相対移動方向へ繰り返され、
前記印刷制御部は、|X|がNの倍数である場合、前記元データにおける前記第二ラスターの画素の位置をそのままにして前記ドット配置調整処理を行う、請求項5に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷制御部は、
前記複数のノズルのうち前記補完ノズルを除いた通常ノズルからの液滴の吐出速度に対して前記補完ノズルからの液滴の吐出速度がずれていることにより前記元データの前記第二ラスターの画素が前記相対移動方向へずれている量に基づいた前記X画素を取得するずれ量取得部を有し、
該ずれ量取得部により取得されたX画素に従って前記ドット配置調整処理を行う、請求項5又は請求項6に記載の印刷制御装置。 - 前記印刷制御部は、
前記複数のノズルが前記相対移動方向に直交する方向からずれている方向へ並べられていることにより前記元データの前記第二ラスターの画素が前記相対移動方向へずれている量に基づいた前記X画素を取得するずれ量取得部を有し、
該ずれ量取得部により取得されたX画素に従って前記ドット配置調整処理を行う、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の印刷制御装置。 - ドットを形成する複数のノズルと被印刷物とが相対移動方向へ相対移動する印刷部のための印刷制御方法であって、
前記複数のノズルには、不良ノズルにより記録すべき第一ラスターのドットを補完する補完ドットを第二ラスターに形成する補完ノズルが含まれ、
前記第二ラスターには、第一サイズまでのドットを形成可能な第一画素と、前記第一サイズよりも小さい第二サイズまでのドットを形成可能な第二画素と、が含まれ、
前記補完ノズルに形成させる前記第一サイズのドットを前記第一画素に配置させるためのドット配置調整処理を行う、印刷制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015007953A JP2016132151A (ja) | 2015-01-19 | 2015-01-19 | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015007953A JP2016132151A (ja) | 2015-01-19 | 2015-01-19 | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016132151A true JP2016132151A (ja) | 2016-07-25 |
Family
ID=56437192
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015007953A Pending JP2016132151A (ja) | 2015-01-19 | 2015-01-19 | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016132151A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9944068B2 (en) | 2016-04-28 | 2018-04-17 | Seiko Epson Corporation | Droplet ejection control apparatus, droplet ejection control method, and droplet ejection apparatus |
US10016975B2 (en) | 2016-03-28 | 2018-07-10 | Seiko Epson Corporation | Liquid droplet discharging control device, Liquid droplet discharging control method, and liquid droplet discharging apparatus |
JP2018171924A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトHeidelberger Druckmaschinen AG | インクジェット印刷機におけるトーンバリュー変動を補整する方法 |
-
2015
- 2015-01-19 JP JP2015007953A patent/JP2016132151A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10016975B2 (en) | 2016-03-28 | 2018-07-10 | Seiko Epson Corporation | Liquid droplet discharging control device, Liquid droplet discharging control method, and liquid droplet discharging apparatus |
US9944068B2 (en) | 2016-04-28 | 2018-04-17 | Seiko Epson Corporation | Droplet ejection control apparatus, droplet ejection control method, and droplet ejection apparatus |
JP2018171924A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトHeidelberger Druckmaschinen AG | インクジェット印刷機におけるトーンバリュー変動を補整する方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6269206B2 (ja) | インクジェットプリンター、及び、記録方法 | |
JP6278184B2 (ja) | 記録方法、及び、インクジェットプリンター | |
JP6384101B2 (ja) | 記録装置、及び、記録方法 | |
JP6432148B2 (ja) | 記録装置 | |
US9764551B2 (en) | Ink-jet head and printer | |
JP6528431B2 (ja) | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 | |
US20130201235A1 (en) | Inkjet printhead and method of printing with multiple drop volumes | |
US9636925B2 (en) | Recording apparatus and recording method | |
JP2016132151A (ja) | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 | |
JP7223244B2 (ja) | 記録装置および記録方法 | |
JP2016132150A (ja) | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 | |
US10183487B2 (en) | Liquid discharge apparatus | |
JP2016147382A (ja) | 印刷制御装置、及び、印刷制御方法 | |
JP2016215524A (ja) | 液体吐出装置 | |
JP6558135B2 (ja) | 画像形成装置及びプログラム | |
JP2011251479A (ja) | 記録装置及びその着弾位置調整方法 | |
JP7073992B2 (ja) | 印刷装置、印刷方法、及び画像処理装置 | |
JP6303339B2 (ja) | 液体吐出装置 | |
JP4730468B2 (ja) | 印刷装置、印刷方法および記録媒体 | |
JP4715945B2 (ja) | 印刷装置、印刷方法および記録媒体 | |
JP2016088058A (ja) | 液滴吐出制御装置、画像形成装置及び液滴吐出制御方法 | |
JP2020146842A (ja) | 印刷装置、及び、ノズル補完方法 | |
JP2009274461A (ja) | 液体吐出装置及び液体吐出方法 | |
JP2008000920A (ja) | インクジェット記録装置および画像処理方法 | |
JP2009000866A (ja) | 液体吐出装置及び液体吐出方法 |