JP2009274461A - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素列間にスジが入ってしまう等の問題を解消するとともに、輪郭の部分では、そのシャープさを維持する。
【解決手段】液体吐出部のノズルから吐出する液滴の吐出方向を、特定方向において複数の方向に可変とする。また、画素領域に液滴を着弾させる場合に、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向を制御できるようにする。さらに、表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する。そして、例えば輪郭に相当する画素領域においては液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においては液滴の吐出方向の制御を行う。
【選択図】図11

Description

本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。詳しくは、ノズルから吐出する液滴の吐出方向を複数の方向に可変とし、輪郭以外の部分では液滴の吐出方向を変化させ、液滴の着弾位置のばらつきを目立たなくするとともに、輪郭部分では液滴の吐出方向を変化させず、解像度を保持して画質の改善を図った液体吐出装置及び液体吐出方法に係るものである。
従来、液体吐出装置の1つであるインクジェットプリンタにおいては、通常、ノズルを有する液体吐出部が直線状に配列されたヘッドを備えている。そして、このヘッドの各液体吐出部から、微少な液滴(インク液滴)をノズル面に対向して配置される印画紙等の記録媒体に向けて吐出することにより、記録媒体上に略円形のドットを形成するとともに、液滴を順次吐出して、0個、1個又は複数個のドットからなる画素を形成するとともに、その画素を縦横に配列して画像や文字を表現している。
一方、インクジェットプリンタは、その構造から、ある程度のばらつきを持って液滴が吐出される。吐出された液滴が記録媒体に着弾されたときのドットの配列を見ると、一時的なばらつき(偶発的なもの)は平均化されてあまり目立たないが、液体吐出部(ヘッド)固有のばらつきは、直線状のばらつき(ペアリング)として、わずかであっても目立つようになる。
図13は、ドット配列のばらつきを説明する図である。図13において、矢印で示した部分は、ドットピッチ(隣接するドットの中心間距離)の1/36、1/12、及び1/4をそれぞれ図中、下方向にシフトさせるとともに、ドットピッチに対するドット径の大きさの程度を小、中、大、に分けて、ドットピッチがずれた場合の影響を示したものである。
図13から理解できるように、ドット列がドットピッチの10%程度ずれると、そのずれが目視で認識できるようになり、20%程度を越えるものは、一般には記録の不具合として目立つようになる。なお、ドットピッチのずれが目立つか否かは、インクの色にも左右される。例えばイエローは、ずれに対する許容量が大きく(ずれが他の色に対して目立ちにくい)、ブラックやマゼンダは、ずれに対する許容量が小さい(ずれが他の色に対して目立ちやすい)。
ここで、ヘッドが記録媒体に対して水平方向に直線的な往復移動を行うとともに、記録媒体が上記往復移動方向と略垂直な方向に搬送されるシリアル方式の場合には、上記のようなドットピッチずれを解決する手法として、以下の2通りが知られている。
なお、本明細書では、シリアル方式においては、ヘッドの往復移動方向を主走査方向と定義し、この方向と略垂直な方向(記録媒体の搬送方向)を、副走査方向と定義する。
第1の手法は、ドットピッチの多少のずれがあっても、記録媒体の下地が見えなくなるようにドット同士を重ねることである。すなわち、ドットサイズ(ドット径)をドットピッチに対して大きくすることである。この手法によると、ドットを円形と仮定して、ドットピッチの√2倍(ドットピッチの対角線)以上のドット径にすれば、通常の配列がなされる限りドット間の隙間は埋められ、多少のドットの着弾位置ずれがあっても、あまり目立たずに、画像上に白スジを発生させないようにすることができる。
図14は、図13と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。
図14に示すように、第1の手法によれば、ドット間の隙間が埋められることとなり、画像上に白スジが発生しない。
また、第2の手法は、「重ね打ち」と称される手法である。この重ね打ちでは、第1の手法で示したような大きなドットを用いないため、1回で吐出される液滴ではドット間の隙間は埋まらないが、先に配列したドット列の隙間を埋めるように重ねてドットを配列することで、隙間を埋めるようにするものである。
図15は、第2の手法である重ね打ちをしたときの状態を示す図である。
図15において、模様の異なるドットは、異なる主走査時に形成されるか、又は異なるヘッドで形成される。この重ね打ちは、主走査方向のみならず、副走査方向にも用いることができるので、小さなドットから画像を形成することができる。
また、シリアル方式に対し、記録媒体の全幅(シリアル方式の主走査方向における略全範囲)にわたるようにヘッドを形成したライン方式の場合は、ヘッドが固定され、記録媒体のみが搬送されるのが通常である。
なお、本明細書において、ライン方式においては、記録媒体の搬送方向を主走査方向と定義する。
ライン方式においては、記録媒体の全幅にわたるヘッドを、シリコンウエハやガラス等で一体に形成すれば、液体吐出部の並び精度等を高めることができる。
しかし、製造方法、歩留まり問題、発熱問題、コスト問題等、様々な問題があって、現実的にはそのような構造のヘッドを製作することはほとんど不可能に近い。
このため、インクジェットプリンタにラインヘッドを搭載する場合には、小さなヘッドチップ(これにも様々な制約があり、大きくても液体吐出部の並び方向の長さが1インチ以下程度が実用的な限界である。)を、端部同士が繋がるように複数並設して、それぞれのヘッドチップに適当な信号処理を行うことによって、記録媒体に印画する段階で、記録媒体の全幅に繋がった記録を行うようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−36522号公報
しかし、前述の従来の技術では、以下の問題点がある。
シリアル方式における第1の手法(ドットサイズを大きくする手法)では、ドットの位置ずれに対しては強くなるものの、ドットサイズが大きくなる結果、粒子状のドットが見えやすくなり、中間階調が必要とされる写真などの印画の場合には、ざらつき感が増大するという問題がある。
また、シリアル方式における第2の手法(重ね打ち)では、上記第1の手法と異なり、ドットサイズを大きくする必要がないため、全体の画像のざらつき感を軽減し、写真画質等を向上させることができる。
しかし、主走査方向にも副走査方向にも多数のドットを配列しなければならないので、その分、記録速度が遅くなるという問題がある。この問題を解決するためには、多数の液体吐出部をできる限り高速で動作させなければならないが、そのようにすると、信頼性の低下とコストの増大を招きやすいという問題がある。
さらに、ライン方式の場合においては、第1の手法を採用することは可能であるが、上記のシリアル方式における第1の手法と同様の問題がある。
さらにまた、ライン方式の場合には、ヘッドは移動しないので、一旦記録した領域を、再度記録することにより重ね打ちを行うことはできない。すなわち、シリアル方式における第2の手法を採用することはできない。
そのため、本件出願人は既に、液滴の着弾位置のばらつきを目立たなくする技術を多数出願(特願2002−360408、特願2003−37343及び特願2003−55236)している。
すなわち、液体吐出部のノズルから吐出する液滴の吐出方向を複数の方向に可変とし、1つの画素領域に対して、その少なくとも一部に液滴が含まれるように着弾させるが、画素領域内で液滴の吐出方向を変調(ウォブリング)させるようにした技術である。また、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部から、それぞれ異なる方向に液滴を偏向吐出することにより、画素列又は画素を形成する技術も出願している。
上記の技術によれば、液体吐出部固有のばらつきによる液滴の着弾位置の偏り等をなくすことができ、全体のドット配列として、方向性のない均一なものとすることができる。また、画素又は画素列を、複数の異なる液体吐出部を用いて形成することができるので、液体吐出部ごとの液滴の吐出量のばらつきを最小限に抑え、印画品位の低下を防止することができる。
図16は、上記技術を採用せずに、背景中に文字「A」を印字した例を示す図であり、図17は、上記技術を用いて液滴の着弾位置の規則的配列を乱し、同じ文字「A」を印字した例を示す図である。
図16と図17との比較から明らかなように、上記技術を採用してウォブリングした図17では、直線状のばらつき(ペアリング)が目立たなくなり、背景中の白スジの発生が防止されている。
このように、上記技術による効果は顕著なものではあるが、その反面、画像に含まれるシャープな輪郭(例えば、図17の文字「A」の輪郭)も乱されてしまうこととなり、特に、文字の輪郭の再現が印刷画像の品位を決定付けるような画像において、さらなる改善が求められている。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、画素列間にスジが入ってしまう等の問題を解消するとともに、輪郭の部分では、そのシャープさを維持することにより、液体吐出装置が持つ美麗な印字・印画能力を最大限に引き出すことができるようにすることである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出装置であって、各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出方向を制御する変調吐出制御手段と、表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する輪郭検出手段とを備え、前記輪郭検出手段によって区分された輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とで、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御の仕方を異ならせるようにし、画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記吐出方向可変手段を用いて、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素列に各液滴を着弾させて画素列を形成するか又は同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素列又は1つの前記画素を形成するように液滴の吐出方向を制御する偏向吐出制御手段を備える液体吐出装置である。
(作用)
本発明の液体吐出装置及び液体吐出方法は、液滴の吐出方向を変調(ウォブリング)させることに起因する解像度の劣化が、画像のベタ印画部ではなく輪郭部において問題になるという点に着目してなされたものである。
そこで、印画しようとする画像の輪郭部を検出し、輪郭部を形成しようとする液滴に対してはウォブリングを止める等することで、液滴をニュートラル(吐出方向の制御において、ウォブリングを行わない)な方向に吐出させ、解像度の劣化を防止する。
すなわち、上記の発明においては、1つの画素領域において、液滴の着弾目標位置が、特定方向においてM個の異なる位置に設定されている。ここで、M個の異なる位置のうちいずれに液滴が着弾されても、液滴の少なくとも一部は、その画素領域内に入るように設定されている。
また、画素領域に液滴を着弾させる場合には、M個の着弾目標位置のうちいずれかの位置をランダムに決定し、その決定した位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向を制御できるようにしている。
この制御を行うと、液滴は、画素領域の少なくとも一部に含まれるように着弾するが、液滴の吐出ごとに吐出方向がウォブリングされ、着弾位置が画素領域内でばらつくようになる。
そして、このようなウォブリングを可能とした上で、表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する。
その後、例えば輪郭に相当する画素領域においては、上記した液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においてのみ、液滴の吐出方向の制御を行うことにより、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とで、液滴の吐出方向の制御の仕方を異ならせる。
すると、輪郭に相当しない画素領域では液滴の吐出方向がウォブリングされ、液滴の着弾位置の規則的配列が乱れて白スジの発生が防止される。
一方、輪郭に相当する画素領域だけはウォブリングされず、液滴の着弾位置の規則的配列が維持されることとなり、輪郭の乱れが防止される。
本発明によれば、特に、文字の輪郭の再現が印刷画像の品位を決定付けるような画像において、輪郭の部分でのシャープさが維持され、輪郭以外の部分では直線状のばらつき(ペアリング)が目立たなくなるので、美麗な印字・印画能力が最大限に引き出される。
本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタのヘッドを示す分解斜視図である。 ラインヘッドの実施形態を示す平面図である。 ヘッドの発熱抵抗体の配置をより詳細に示す平面図、及び側面の断面図である。 インク液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。 1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図である。 変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図であり、画素領域間の真上にノズルが位置する場合を示すものである。 変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図であり、画素領域の中央真上にノズルが位置する場合を示すものである。 画像信号の入力からヘッドに対する印画指令までの流れを示す図である。(実施例1) 画像信号の入力からヘッドに対する印画指令までの流れを示す図である。(実施例2) 輪郭検出手段を示す図である。(実施例1及び実施例2) 輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分し、輪郭に相当する画素領域においてはウォブリングさせず、輪郭に相当しない画素領域においてのみウォブリングさせた場合の印字例を示す図である。(実施例) 輪郭に相当しない画素領域においてのみウォブリングさせた場合の例と、全ての画素領域についてウォブリングさせた場合の例とを比較して示す拡大図である。(実施例及び比較例2) ドット配列のばらつきを説明する図である。 図13と同じドット列のずれに対して、全体のドットサイズをドットピッチの√2倍強に設定した場合の例を示す図である。 重ね打ちをしたときの状態を示す図である。 全ての画素領域においてウォブリングさせない場合の印字例を示す図である。(比較例1) 全ての画素領域においてウォブリングさせた場合の印字例を示す図である。(比較例2)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本明細書において「インク液滴」とは、後述する液体吐出部のノズル18から吐出される微少量(例えば数ピコリットル)のインク(液体)をいう。また、「ドット」とは、1つのインク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾して形成されたものをいう。さらにまた、「画素」とは、画像の最小単位であり、「画素領域」とは、画素を形成するための領域となるものをいう。
そして、1つの画素領域に、所定数(0個、1個又は複数個)の液滴が着弾し、ドット無しの画素(1階調)、1つのドットからなる画素(2階調)、又は複数のドットからなる画素(3階調以上)が形成される。すなわち、1つの画素領域には、0個、1個又は複数個のドットが対応している。そして、これらの画素が記録媒体上に多数配列されることで、画像を形成する。
なお、画素に対応するドットは、その画素領域内に完全に入るものではなく、画素領域からはみ出す場合もある。
(ヘッドの構造)
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
ヘッド11において、基板部材14は、シリコン等からなる半導体基板15と、この半導体基板15の一方の面に析出形成された発熱抵抗体13(本発明におけるエネルギー発生素子に相当するもの)とを備えるものである。発熱抵抗体13は、半導体基板15上に形成された導体部(図示せず)を介して外部回路と電気的に接続されている。
また、バリア層16は、例えば、感光性環化ゴムレジストや露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、半導体基板15の発熱抵抗体13が形成された面の全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要な部分が除去されることにより形成されている。
さらに、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えばニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
インク液室12は、発熱抵抗体13を囲むように、基板部材14とバリア層16とノズルシート17とから構成されたものである。すなわち、基板部材14は、図1中、インク液室12の底壁を構成し、バリア層16は、インク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17は、インク液室12の天壁を構成する。これにより、インク液室12は、図1中、右側前方面に開口領域有し、この開口領域とインク流路(図示せず)とが連通される。
上記の1個のヘッド11には、通常、100個単位のインク室12と、各インク室12内にそれぞれ配置された発熱抵抗体13とを備え、プリンタの制御部からの指令によってこれら発熱抵抗体13のそれぞれを一意に選択し、発熱抵抗体13に対応するインク液室12内のインクをインク液室12に対向するノズル18から吐出させることができる。
すなわち、ヘッド11と結合されたインクタンク(図示せず)から、インク液室12にインクが満たされる。そして、発熱抵抗体13に短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、発熱抵抗体13が急速に加熱され、その結果、発熱抵抗体13と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これによって、ノズル18に接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル18から吐出され、記録媒体である印画紙上に着弾され、ドット(画素)が形成される。
なお、本明細書において、1つのインク液室12と、このインク液室12内に配置された発熱抵抗体13と、その上部に配置されたノズル18とから構成される部分を「液体吐出部」と称する。すなわち、ヘッド11は、複数の液体吐出部を並設したものである。
さらに本実施形態では、複数のヘッド11を記録媒体の幅方向に並べて、ラインヘッドを形成している。
図2は、ラインヘッド10の実施形態を示す平面図である。図2では、4つのヘッド11(「N−1」、「N」、「N+1」及び「N+2」)を図示している。ラインヘッド10を形成する場合には、図1中、ヘッド11からノズルシート17を除く部分(ヘッドチップ)を複数並設する。
そして、これらのヘッドチップの上部であって、全てのヘッドチップの各液体吐出部に対応する位置に、ノズル18が形成された1枚のノズルシート17を貼り合わせる(図1参照)ことにより、ラインヘッド10を形成する。ここで、隣接するヘッド11の各端部にあるノズル18間のピッチ、すなわち図2中、A部詳細図において、N番目のヘッド11の右端部にあるノズル18と、N+1番目のヘッド11の左端部にあるノズル18との間の間隔は、ヘッド11のノズル18間の間隔に等しくなるように、各ヘッド11が配置される。
また、このようなラインヘッド10を必要数だけノズル18の並び方向と直交する方向に並べてヘッド列を構成し、ヘッド列ごとに異なる色のインクを供給することで、カラー印画に対応させることもできる。例えばヘッド列を、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4列構成とするのである。
(吐出方向可変手段)
ここで、ヘッド11は、吐出方向可変手段を備えている。
吐出方向可変手段は、本実施形態では、ノズル18から吐出されるインク液滴の吐出方向を、ノズル18(液体吐出部)の並び方向において複数の方向に可変としたものであって、以下のように構成されている。
すなわち、図3は、図1に示すヘッド11の発熱抵抗体13の配置をより詳細に示す平面図及び側面の断面図である。なお、図3の平面図では、ノズル18の位置を1点鎖線で併せて示している。
本実施形態のヘッド11では、図3に示すように、1つのインク液室12内に、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18の並び方向(図3中、左右方向)である。
1つのインク液室12内に2つに分割された発熱抵抗体13を備えた場合には、各々の発熱抵抗体13がインクを沸騰させる温度に到達するまでの時間(気泡発生時間)を同時にすれば、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰し、インク液滴は、ノズル18の中心軸方向に吐出される。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体13の気泡発生時間に時間差が生じると、2つの発熱抵抗体13上で同時にインクが沸騰しない。そのため、インク液滴の吐出方向がノズル18の中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置に、インク液滴が着弾することとなる。
図4は、液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。
図4において、ノズルシート17のノズル18から、インク液滴iの吐出面に対して垂直にインク液滴iが吐出されると、図4中、真下に向く矢印のように偏向なくインク液滴iが吐出される。
これに対し、インク液滴iの吐出方向が偏向して、吐出角度が垂直位置からθだけずれると(図4中、Z1又はZ2方向)、吐出面と記録媒体である印画紙P面(インク液滴iの着弾面)までの間の距離をH(Hは、ほぼ一定)としたとき、インク液滴iの着弾位置は、
ΔL=H×tanθ
で求められるΔLだけずれることとなる。
(変調吐出制御手段)
このような吐出方向可変手段を採用したヘッド11を用い、本実施形態では、変調吐出制御手段により、以下のようなインク液滴の吐出方向の変調(ウォブリング)を行う。
変調吐出制御手段は、画素領域に液滴を着弾させる場合に、液体吐出部からのインク液滴の吐出ごとに、その画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)のインク液滴の着弾目標位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置を決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する手段である。
そして、本実施形態における変調吐出制御手段は、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置をランダムに(不規則に、あるいは規則性をもたずに)決定する。ランダムに決定する方法としては、種々の方法が挙げられるが、例えば乱数発生回路を用いて、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置を決定する方法が挙げられる。
図5は、1つの画素領域に対し、M個の異なる着弾目標位置のうちいずれかの位置にインク液滴を着弾させた状態を示す平面図であり、従来の着弾状態(図5中、左側)と、本実施形態の着弾状態(図5中、右側)とを対比して示す図である。図5において、破線で囲む正方形の領域は、画素領域である。また、円形で示すものは、着弾されたインク液滴(ドット)である。
先ず、吐出命令が1(2階調)であるときには、従来の印画では、画素領域内にほぼインク液滴が入るように(図5では、着弾したインク液滴の大きさを、画素領域内に内接する大きさに図示している)、インク液滴が画素領域に着弾する。
これに対し、本実施形態では、ノズル18の並び方向のM個の着弾目標位置のうち、いずれかの位置に着弾するように、インク液滴を吐出する。
図5の例では、1つの画素領域のM=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾なしに相当するため、実質的には7個の異なる着弾目標位置が図示されている)のうち、決定された1つの着弾目標位置にインク液滴が着弾した状態を示している(図5中、実線で示す円が実際にインク液滴が着弾した位置であり、他の破線で示す円は、他の着弾目標位置を示している)。この吐出命令が1の例では、図5中、左から数えて2番目の位置に決定され、この決定された位置にインク液滴が着弾した状態を図示している。
また、吐出命令が2であるときには、その画素領域に、さらにインク液滴を重ねて着弾させる。なお、図5の例では、記録媒体である印画紙の送りを考慮して、画素領域内において1目盛りだけ下側にずれた状態を図示している。
そして、吐出命令が2であるときには、従来の方法では、最初に着弾したインク液滴と略同列上に(左右方向においてずれがなく)、2番目のインク液滴が着弾される。
これに対し、本実施形態の場合には、上述したように、最初のインク液滴は、ランダムに決定された位置に着弾されるが、さらに2番目のインク液滴もまた、最初のインク液滴の着弾目標位置とは無関係に(最初のインク液滴とは別個独立で)ランダムに着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。
図5の例では、2番目のインク液滴は、左右方向において画素領域の中央に着弾した例を示している。
さらに、吐出命令が3であるときも、上記の吐出命令が2であるときと同様である。すなわち、従来の方法では、1つの画素領域において、左右方向にインク液滴の着弾位置がずれることなく、3つのインク液滴が着弾する。
しかし、本実施形態では、吐出命令が3であるときには、3番目のインク液滴もまた、1番目及び2番目のインク液滴の着弾目標位置とは無関係に着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。
以上のようにインク液滴を着弾させれば、ドットを重ねて配列して画素を形成する場合に、液体吐出部の特性のばらつきに起因するスジの発生等をなくし、ばらつきを目立たなくすることができる。
すなわち、インク液滴の吐出方向が変調(ウォブリング)される結果、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、各インク液滴(ドット)がランダムに配列されることとなる。その配列は、微視的には不均一であるが、巨視的にはむしろ均一で等方的となり、ばらつきが目立たなくなる。
したがって、各液体吐出部のインク液滴の吐出特性によるばらつきをマスクする効果がある。
一方、ランダム化されない場合には、全体が規則的なパターンとなってドットが配列されるので、その規則性を乱す部分が視認されやすい。特に、点画においては、色の濃淡はドットと下地(記録媒体である印画紙のドットにより覆われない部分)の面積比で表現されるが、下地の部分の残り方が規則的になればなるほど視認されやすくなる。
(偏向吐出制御手段)
また、本実施形態では、上述した変調吐出制御手段とともに、以下に説明する偏向吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
偏向吐出制御手段は、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部からそれぞれ異なる方向にインク液滴を吐出して、同一画素列に各インク液滴を着弾させて画素列を形成するか、又は同一画素領域に各インク液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出方向を制御する手段である。
すなわち、上述した変調吐出制御手段は、1つの画素領域にインク液滴を着弾させて、その画素領域に対応する画素を形成するのに際し、その画素領域内に入るインク液滴の着弾位置の規則性が失われるように、液滴の吐出方向を変調(ウォブリング)させる制御を行うものであった。
一方、偏向吐出制御手段は、1つの画素領域にインク液滴を着弾させて、その画素領域に対応する画素を形成するのに際し、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて形成するように、液滴の吐出方向を偏向させる制御を行うものである点で、変調吐出制御手段と相違する。
図6及び図7は、それぞれ、変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段を実行したときのインク液滴の吐出方向及びドット着弾位置の分布状態を示す図である。
図6は、画素領域間の真上にノズル18が位置する場合を示しており、偏向吐出制御手段によって、ノズル18aからインク液滴を吐出するときは、画素領域「N−1」又は画素領域「N」にインク液滴を着弾させることができ、ノズル18bからインク液滴を吐出するときは、画素領域「N」又は画素領域「N+1」にインク液滴を着弾させることができる。
そのため、偏向吐出制御手段により、例えば画素領域「N」に対応する記録媒体の搬送方向においては、ノズル18a及びノズル18bによって1つの画素列を形成することが可能となる。また、画素領域「N」に、ノズル18a及びノズル18bから吐出されるインク液滴を着弾させて1つの画素を形成することが可能となる。
そして、1つの画素領域「N」内に入る8個の異なる着弾位置のうち、どの着弾位置にインク液滴を着弾させるかは、変調吐出制御手段によって制御する。
図7は、画素領域の中央真上にノズル18が位置する場合を示しており、偏向吐出制御手段によって、ノズル18cからインク液滴を吐出するときは、「N−1」、「N」、「N+1」のいずれかの画素領域にインク液滴を着弾させることができる。
そして、そのいずれかの画素領域内に入る8個の異なる着弾位置のうち、どの着弾位置にインク液滴を着弾させるかは、変調吐出制御手段によって制御する。
したがって、変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段の両方を備えるならば、上記した変調吐出制御手段によるマスク効果に加え、偏向吐出制御手段によって、例えばインク液滴の吐出が不十分な、あるいはゴミやホコリ等によってインク液滴が吐出されない液体吐出部があったとしても、その影響を最小限にすることができる。
このように、吐出方向可変手段を採用したヘッド11を用い、変調吐出制御手段によってインク液滴の吐出制御を行うと、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、スジの発生をなくすことができる。
ところが、その反面、輪郭部の規則性も失われる結果、シャープな輪郭が乱されてしまう。また、このような弊害の発生は、偏向吐出制御手段によっても解消することはできない。
(輪郭検出手段)
そこで、変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段による効果を維持しつつ、輪郭の乱れという上記の弊害を防止すべく、本実施形態では、輪郭検出手段によって表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とを区分する。
図8及び図9は、それぞれ、画像信号の入力からヘッドに対する印画指令までの流れを示す図である。
図8及び図9に示す例は、RGB画像の入力信号に対する流れを示しており、RGB多値入力(D100)に対しては、マスキング及びYMCK変換のための色変換を経て(D101)、ガンマ補正が行われる。なお、ガンマ補正は、インク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾したときの面積充填率を補正するために行われる。
図8に示す例では、多値多階調(8bit)のYMCKの画像信号(D102)は、階調変換(ハーフトーニング)とは別に、定められた閾値にしたがい、各色を構成する画面別に、出力が1と0の1bitで構成される2階調化(2値化)が行われ(D103)、輪郭検出手段に入力される。なお、2階調化(2値化)及び輪郭検出手段への入力は、ガンマ補正前の段階で行うこともできる。
そして、図8に示す輪郭検出手段は、注目画素を含めてその周囲の計9画素の階調値(すなわち2値化された値)が全て同じ値ならば、注目画素(の画素領域)を「輪郭に相当しない画素領域」として検出し、周囲の8画素の中に1個でも注目画素の値と異なる値の画素が含まれているならば、注目画素(の画素領域)を「輪郭に相当する画素領域」として検出する。
図10(a)は、この場合の輪郭検出手段を示す図であり、注目画素をp4とすると、各画素の値がp0=p1=p2=p3=p4=p5=p6=p7=p8=p9ならば、p4はエッジでない(輪郭に相当しない)と検出し、p0,p1,p2,p3,p5,p6,p7,p8,p9の各画素の値中に1個でもp4の値と異なる値の画素が存在する場合には、p4はエッジである(輪郭に相当する)と検出する。
したがって、各画素のそれぞれを順に注目画素とし、輪郭に相当する画素領域であるか否かの判断を繰り返すことで、全体の輪郭を検出できる。
ここで、変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出制御方向がノズル18(液体吐出部)の並び方向のみの場合には、記録媒体の搬送方向に連なる輪郭のみを検出すれば良いので、例えばp3,p4,p5といった、p(n−1),p(n),p(n+1)の3画素に着目すれば良い。
具体的には、2値化した値が0,0(=p3),1(=p4),1(=p5),1と連なるならば、p3を注目画素としたとき、右隣が1で値が異なるから、p3は輪郭に相当する画素領域であり、p4を注目画素としたとき、左隣が0で値が異なるから、p4も輪郭に相当する画素領域であり、p5を注目画素としたとき、両隣が1で値が同じであるから、p5は輪郭に相当しない画素領域であると判断することができる。
また、図9に示す例では、図8に示す例のように、階調変換(ハーフトーニング)とは別にYMCKの画像信号(D102)を2階調化(2値化)し,その後、輪郭検出手段に入力するのではなく、階調変換(ハーフトーニング)の後にそのまま輪郭検出手段に入力する。
すなわち、ハーフトーニング出力がPNMのような3値以上である場合、2値より大きい値によるハーフトーニングは、記録媒体(印画紙)の同じ位置に、その値に応じた回数のインク液滴を着弾させることによって、1個のドットを形成する際にある程度の階調を持たせようとする。
そこで、連続する3画素に対する階調変換出力値(D103)の比較演算を行えば、隣接する出力値の差異の大きさから画像の輪郭を推定することができる。この場合、輪郭検出のための階調変換出力値の比較は、「注目画素と1個前の画素」、及び「注目画素と1個先の画素」というように、2段構えで行う。
図10(b)は、0〜7の階調変換出力値(インク液滴の着弾回数)を持つ、連続するa,b,cの3画素の輪郭を検出する場合の輪郭検出手段を示す図である。
具体的には、例えば判断係数mが4であり、階調変換出力値が2,2(=a),7(=b),7(=c),7と連なるならば、aを注目画素としたとき、1個前の画素との差は0で判断係数より小さいが、a画素とb画素との差が5で判断係数(m=4)より大きいから、a画素は輪郭に相当する画素領域と推定することができる。
同様に、a画素とb画素との差は5で判断係数より大きいから、たとえb画素とc画素との差が0で判断係数より小さくても、b画素は輪郭に相当する画素領域と推定することができる。
一方、b画素とc画素との差は0で判断係数より小さく、かつ、c画素と1個先の画素との差も0で判断係数より小さいから、c画素は輪郭に相当しない画素領域と推定することができる。
なお、図9及び図10(b)に示す輪郭検出手段は、ハーフトーニング出力が3値以上であることの他に、変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出制御がノズル18(液体吐出部)の並び方向に限られることが前提となる。
また、輪郭検出手段としては、図10(a)及び図10(b)に示すもの以外に、高域通過フィルターを用いる方法も考えられる。
(画像又は文字の表現)
輪郭検出手段によって輪郭を区分した後は、輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とで、上述した変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出方向の制御を変化させつつ、画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する。
ここで、本実施形態においては、変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出制御がノズルの並び方向に限られ、輪郭に相当する画素領域では吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においてのみ吐出方向の制御を行うこととしている。
図10に示す輪郭検出手段によって検出された、輪郭に相当する画素領域であるか、輪郭に相当しない画素領域であるかの情報は、図8及び図9に示す変調吐出制御手段に伝達される。
すなわち、輪郭に相当する画素領域にあっては、輪郭検出手段から輪郭信号(D104)としてOFFが出力され、輪郭に相当しない画素領域にあっては、ONが出力されて変調吐出制御手段に入る。
すると、変調吐出制御手段はウォブリング制御信号を発生するが、輪郭に相当する画素領域におけるインク液滴の吐出方向をニュートラル(吐出方向の制御において、ウォブリングを行わない)にし、輪郭に相当しない画素領域においては、乱数等によって着弾目標位置をランダムに決定する。
したがって、輪郭に相当しない画素領域のみ、インク液滴の吐出方向をウォブリングする制御が行われる。
このようにしてON又はOFFが制御されたウォブリング信号(Jbit,Kbit)は、図8に示す例では、ハーフトーニングを終えた信号(P100)と同期して、記録媒体の幅方向における1ライン分の印画データを一時的に蓄える、ラインバッファに送られる。また、図9に示す例においても、ウォブリング信号がラインバッファに送られる。その後、ヘッドドライブによって駆動されるラインヘッドにより、印画が行われる。
図11は、背景中に文字「A」を印字するに際し、文字「A」の輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分し、輪郭に相当する画素領域においてはウォブリングさせず、輪郭に相当しない画素領域においてのみウォブリングさせた場合の例を示す図である。
また、図12は、輪郭に相当しない画素領域においてのみウォブリングさせた場合の例と、全ての画素領域についてウォブリングさせた場合の例とを比較して示す図である。
すなわち、図11中の文字「A」の頂部を拡大したものが図12(a)であり、図17中の文字「A」の頂部を拡大したものが図12(b)である。
図11と図17、及び図12(a)と図12(b)とを比較すれば明らかなように、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分し、輪郭に相当する画素領域においてはウォブリングさせず、輪郭に相当しない画素領域においてのみウォブリングさせた場合(図11及び図12(a))には、輪郭の再現性が向上し、シャープさが維持されている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)Y、M、C、Kの各色によって形成されるカラー画像の印刷においては、それぞれの色により構成される個別の画像全てについて独立に、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分して、吐出制御を行っても良い。あるいは、上記4色の合成によって得られる輝度成分を基に輪郭を検出して、吐出制御を行っても良い。
(2)カラー画像であっても、処理速度が求められる場合や、構成のシンプルさが求める場合には、輪郭の乱れが特に目立ちやすい特定色(例えばMやK)に対してのみ、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分して、吐出制御を行っても良い。
(3)本実施形態では、2個の別々の発熱抵抗体を用いたが、これら複数の発熱抵抗体は必ずしも物理的に分離されている必要はない。
すなわち、1つの基体からなる発熱抵抗体であっても、その気泡発生領域(表面領域)のエネルギー分布に差異を設けることができるもの、例えば気泡発生領域の全体が均一に発熱せず、一部の領域と他の一部の領域とでインクを沸騰させるためのエネルギーの発生に差異を設けることができるものであれば、分離されていなくても良い。
(4)本実施形態では、サーマル方式の吐出構造として発熱抵抗体を設けたものを例に挙げたが、エネルギー発生素子は発熱抵抗体に限らず、他の発熱素子(抵抗以外のもの)であっても良く、さらに、静電吐出方式やピエゾ方式のものについても適用可能である。また、ライン方式だけでなくシリアル方式にも適用できる。
本発明の液体吐出装置及び液体吐出方法は、プリンタに適用して特に好適なものであるが、記録媒体は印画紙に限ることなく、例えば染め物に対して染料を吐出する装置等に適用することもできる。
また、プリンタだけでなく、種々の液体吐出装置に適用できる。
10 ラインヘッド(液体吐出ヘッド)
11 ヘッド(液体吐出ヘッド)
12 インク液室(液室)
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
18 ノズル

Claims (2)

  1. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出装置であって、
    各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出方向を制御する変調吐出制御手段と、
    表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する輪郭検出手段とを備え、
    前記輪郭検出手段によって区分された輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とで、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御の仕方を異ならせるようにし、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記吐出方向可変手段を用いて、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素列に各液滴を着弾させて画素列を形成するか又は同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素列又は1つの前記画素を形成するように液滴の吐出方向を制御する偏向吐出制御手段を備える
    液体吐出装置。
  2. ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを用い、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出方法であって、
    各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とするとともに、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、液滴の吐出方向を制御できるようにし、
    表現する画像又は文字の輪郭を検出して、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分した後、
    輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とで、液滴の吐出方向の制御の仕方を異ならせるようにし、
    画素領域に液滴を着弾させる場合に、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部からそれぞれ異なる方向に液滴を吐出して、同一画素列に各液滴を着弾させて画素列を形成するか又は同一画素領域に各液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる前記液体吐出部を用いて1つの前記画素列又は1つの前記画素を形成するように液滴の吐出方向を制御できるようにした
    液体吐出方法。
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