JP4396196B2 - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents
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Description
なお、本明細書では、シリアル方式においては、ヘッドの往復移動方向を主走査方向と定義し、この方向と略垂直な方向(記録媒体の搬送方向)を、副走査方向と定義する。
図14に示すように、第1の手法によれば、ドット間の隙間が埋められることとなり、画像上に白スジが発生しない。
図15において、模様の異なるドットは、異なる主走査時に形成されるか、又は異なるヘッドで形成される。この重ね打ちは、主走査方向のみならず、副走査方向にも用いることができるので、小さなドットから画像を形成することができる。
なお、本明細書において、ライン方式においては、記録媒体の搬送方向を主走査方向と定義する。
しかし、製造方法、歩留まり問題、発熱問題、コスト問題等、様々な問題があって、現実的にはそのような構造のヘッドを製作することはほとんど不可能に近い。
シリアル方式における第1の手法(ドットサイズを大きくする手法)では、ドットの位置ずれに対しては強くなるものの、ドットサイズが大きくなる結果、粒子状のドットが見えやすくなり、中間階調が必要とされる写真などの印画の場合には、ざらつき感が増大するという問題がある。
しかし、主走査方向にも副走査方向にも多数のドットを配列しなければならないので、その分、記録速度が遅くなるという問題がある。この問題を解決するためには、多数の液体吐出部をできる限り高速で動作させなければならないが、そのようにすると、信頼性の低下とコストの増大を招きやすいという問題がある。
さらにまた、ライン方式の場合には、ヘッドは移動しないので、一旦記録した領域を、再度記録することにより重ね打ちを行うことはできない。すなわち、シリアル方式における第2の手法を採用することはできない。
すなわち、液体吐出部のノズルから吐出する液滴の吐出方向を複数の方向に可変とし、1つの画素領域に対して、その少なくとも一部に液滴が含まれるように着弾させるが、画素領域内で液滴の吐出方向を変調(ウォブリング)させるようにした技術である。また、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部から、それぞれ異なる方向に液滴を偏向吐出することにより、画素列又は画素を形成する技術も出願している。
図16と図17との比較から明らかなように、上記技術を採用してウォブリングした図17では、直線状のばらつき(ペアリング)が目立たなくなり、背景中の白スジの発生が防止されている。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出装置であって、各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出方向を制御する変調吐出制御手段と、表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する輪郭検出手段とを備え、前記輪郭検出手段によって区分された輪郭に相当する画素領域においては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行う液体吐出装置である。
本発明の液体吐出装置及び液体吐出方法は、液滴の吐出方向を変調(ウォブリング)させることに起因する解像度の劣化が、画像のベタ印画部ではなく輪郭部において問題になるという点に着目してなされたものである。
そこで、印画しようとする画像の輪郭部を検出し、輪郭部を形成しようとする液滴に対してはウォブリングを止める等することで、液滴をニュートラル(吐出方向の制御において、ウォブリングを行わない)な方向に吐出させ、解像度の劣化を防止する。
この制御を行うと、液滴は、画素領域の少なくとも一部に含まれるように着弾するが、液滴の吐出ごとに吐出方向がウォブリングされ、着弾位置が画素領域内でばらつくようになる。
その後、例えば輪郭に相当する画素領域においては、上記した液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においてのみ、液滴の吐出方向の制御を行うことにより、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とで、液滴の吐出方向の制御の仕方を異ならせる。
一方、輪郭に相当する画素領域だけはウォブリングされず、液滴の着弾位置の規則的配列が維持されることとなり、輪郭の乱れが防止される。
なお、本明細書において「インク液滴」とは、後述する液体吐出部のノズル18から吐出される微少量(例えば数ピコリットル)のインク(液体)をいう。また、「ドット」とは、1つのインク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾して形成されたものをいう。さらにまた、「画素」とは、画像の最小単位であり、「画素領域」とは、画素を形成するための領域となるものをいう。
なお、画素に対応するドットは、その画素領域内に完全に入るものではなく、画素領域からはみ出す場合もある。
図1は、本発明による液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)のヘッド11を示す分解斜視図である。図1において、ノズルシート17は、バリア層16上に貼り合わされるが、このノズルシート17を分解して図示している。
さらに、ノズルシート17は、複数のノズル18が形成されたものであり、例えばニッケルによる電鋳技術により形成され、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわちノズル18が発熱抵抗体13に対向するようにバリア層16の上に貼り合わされている。
図2は、ラインヘッド10の実施形態を示す平面図である。図2では、4つのヘッド11(「N−1」、「N」、「N+1」及び「N+2」)を図示している。ラインヘッド10を形成する場合には、図1中、ヘッド11からノズルシート17を除く部分(ヘッドチップ)を複数並設する。
ここで、ヘッド11は、吐出方向可変手段を備えている。
吐出方向可変手段は、本実施形態では、ノズル18から吐出されるインク液滴の吐出方向を、ノズル18(液体吐出部)の並び方向において複数の方向に可変としたものであって、以下のように構成されている。
本実施形態のヘッド11では、図3に示すように、1つのインク液室12内に、2つに分割された発熱抵抗体13が並設されている。さらに、分割された2つの発熱抵抗体13の並び方向は、ノズル18の並び方向(図3中、左右方向)である。
図4において、ノズルシート17のノズル18から、インク液滴iの吐出面に対して垂直にインク液滴iが吐出されると、図4中、真下に向く矢印のように偏向なくインク液滴iが吐出される。
ΔL=H×tanθ
で求められるΔLだけずれることとなる。
このような吐出方向可変手段を採用したヘッド11を用い、本実施形態では、変調吐出制御手段により、以下のようなインク液滴の吐出方向の変調(ウォブリング)を行う。
変調吐出制御手段は、画素領域に液滴を着弾させる場合に、液体吐出部からのインク液滴の吐出ごとに、その画素領域におけるノズル18の並び方向(本発明における特定方向)のインク液滴の着弾目標位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾目標位置のうちいずれかの着弾目標位置を決定し、その決定した着弾目標位置に液滴が着弾するように、吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出を制御する手段である。
図5の例では、1つの画素領域のM=8個の着弾目標位置(8個のうちの1個は、着弾なしに相当するため、実質的には7個の異なる着弾目標位置が図示されている)のうち、決定された1つの着弾目標位置にインク液滴が着弾した状態を示している(図5中、実線で示す円が実際にインク液滴が着弾した位置であり、他の破線で示す円は、他の着弾目標位置を示している)。この吐出命令が1の例では、図5中、左から数えて2番目の位置に決定され、この決定された位置にインク液滴が着弾した状態を図示している。
そして、吐出命令が2であるときには、従来の方法では、最初に着弾したインク液滴と略同列上に(左右方向においてずれがなく)、2番目のインク液滴が着弾される。
図5の例では、2番目のインク液滴は、左右方向において画素領域の中央に着弾した例を示している。
しかし、本実施形態では、吐出命令が3であるときには、3番目のインク液滴もまた、1番目及び2番目のインク液滴の着弾目標位置とは無関係に着弾目標位置が決定され、その決定した位置にインク液滴が着弾される。
すなわち、インク液滴の吐出方向が変調(ウォブリング)される結果、インク液滴の着弾位置の規則性が失われ、各インク液滴(ドット)がランダムに配列されることとなる。その配列は、微視的には不均一であるが、巨視的にはむしろ均一で等方的となり、ばらつきが目立たなくなる。
一方、ランダム化されない場合には、全体が規則的なパターンとなってドットが配列されるので、その規則性を乱す部分が視認されやすい。特に、点画においては、色の濃淡はドットと下地(記録媒体である印画紙のドットにより覆われない部分)の面積比で表現されるが、下地の部分の残り方が規則的になればなるほど視認されやすくなる。
また、本実施形態では、上述した変調吐出制御手段とともに、以下に説明する偏向吐出制御手段を用いてインク液滴の吐出制御を行う。
偏向吐出制御手段は、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部からそれぞれ異なる方向にインク液滴を吐出して、同一画素列に各インク液滴を着弾させて画素列を形成するか、又は同一画素領域に各インク液滴を着弾させて画素を形成することにより、近隣に位置する少なくとも2つの異なる液体吐出部を用いて1つの画素列又は1つの画素を形成するように液滴の吐出方向を制御する手段である。
図6は、画素領域間の真上にノズル18が位置する場合を示しており、偏向吐出制御手段によって、ノズル18aからインク液滴を吐出するときは、画素領域「N−1」又は画素領域「N」にインク液滴を着弾させることができ、ノズル18bからインク液滴を吐出するときは、画素領域「N」又は画素領域「N+1」にインク液滴を着弾させることができる。
そして、1つの画素領域「N」内に入る8個の異なる着弾位置のうち、どの着弾位置にインク液滴を着弾させるかは、変調吐出制御手段によって制御する。
そして、そのいずれかの画素領域内に入る8個の異なる着弾位置のうち、どの着弾位置にインク液滴を着弾させるかは、変調吐出制御手段によって制御する。
ところが、その反面、輪郭部の規則性も失われる結果、シャープな輪郭が乱されてしまう。また、このような弊害の発生は、偏向吐出制御手段によっても解消することはできない。
そこで、変調吐出制御手段及び偏向吐出制御手段による効果を維持しつつ、輪郭の乱れという上記の弊害を防止すべく、本実施形態では、輪郭検出手段によって表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とを区分する。
図8及び図9に示す例は、RGB画像の入力信号に対する流れを示しており、RGB多値入力(D100)に対しては、マスキング及びYMCK変換のための色変換を経て(D101)、ガンマ補正が行われる。なお、ガンマ補正は、インク液滴が印画紙等の記録媒体に着弾したときの面積充填率を補正するために行われる。
したがって、各画素のそれぞれを順に注目画素とし、輪郭に相当する画素領域であるか否かの判断を繰り返すことで、全体の輪郭を検出できる。
具体的には、例えば判断係数mが4であり、階調変換出力値が2,2(=a),7(=b),7(=c),7と連なるならば、aを注目画素としたとき、1個前の画素との差は0で判断係数より小さいが、a画素とb画素との差が5で判断係数(m=4)より大きいから、a画素は輪郭に相当する画素領域と推定することができる。
一方、b画素とc画素との差は0で判断係数より小さく、かつ、c画素と1個先の画素との差も0で判断係数より小さいから、c画素は輪郭に相当しない画素領域と推定することができる。
また、輪郭検出手段としては、図10(a)及び図10(b)に示すもの以外に、高域通過フィルターを用いる方法も考えられる。
輪郭検出手段によって輪郭を区分した後は、輪郭に相当する画素領域と、輪郭に相当しない画素領域とで、上述した変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出方向の制御を変化させつつ、画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する。
ここで、本実施形態においては、変調吐出制御手段によるインク液滴の吐出制御がノズルの並び方向に限られ、輪郭に相当する画素領域では吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においてのみ吐出方向の制御を行うこととしている。
すなわち、輪郭に相当する画素領域にあっては、輪郭検出手段から輪郭信号(D104)としてOFFが出力され、輪郭に相当しない画素領域にあっては、ONが出力されて変調吐出制御手段に入る。
したがって、輪郭に相当しない画素領域のみ、インク液滴の吐出方向をウォブリングする制御が行われる。
すなわち、図11中の文字「A」の頂部を拡大したものが図12(a)であり、図17中の文字「A」の頂部を拡大したものが図12(b)である。
(1)Y、M、C、Kの各色によって形成されるカラー画像の印刷においては、それぞれの色により構成される個別の画像全てについて独立に、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分して、吐出制御を行っても良い。あるいは、上記4色の合成によって得られる輝度成分を基に輪郭を検出して、吐出制御を行っても良い。
すなわち、1つの基体からなる発熱抵抗体であっても、その気泡発生領域(表面領域)のエネルギー分布に差異を設けることができるもの、例えば気泡発生領域の全体が均一に発熱せず、一部の領域と他の一部の領域とでインクを沸騰させるためのエネルギーの発生に差異を設けることができるものであれば、分離されていなくても良い。
また、プリンタだけでなく、種々の液体吐出装置に適用できる。
11 ヘッド(液体吐出ヘッド)
12 インク液室(液室)
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
18 ノズル
Claims (4)
- ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを備え、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出装置であって、
各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とした吐出方向可変手段と、
画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、前記吐出方向可変手段を用いて液滴の吐出方向を制御する変調吐出制御手段と、
表現する画像又は文字の輪郭を検出し、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分する輪郭検出手段とを備え、
前記輪郭検出手段によって区分された輪郭に相当する画素領域においては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行う
液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出部の前記ノズルが、複数の異なる色の液滴を吐出可能であり、
前記輪郭検出手段によって区分された輪郭に相当する画素領域における特定色の液滴に対しては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行わず、前記特定色以外の色の液滴に対してと、輪郭に相当しない画素領域とにおいては、前記変調吐出制御手段による液滴の吐出方向の制御を行う
液体吐出装置。 - ノズルを有する液体吐出部を特定方向に複数並設したヘッドを用い、1つの画素領域に最大N個(Nは、正の整数)の液滴を着弾させ、その画素領域に対応する画素を形成し、前記画素を縦横に配列して画像又は文字を表現する液体吐出方法であって、
各前記液体吐出部の前記ノズルから吐出する液滴の吐出方向を、前記特定方向において複数の方向に可変とするとともに、
画素領域に液滴を着弾させる場合に、前記液体吐出部からの液滴の吐出ごとに、液滴の吐出方向を制御できるようにし、
表現する画像又は文字の輪郭を検出して、輪郭に相当する画素領域と輪郭に相当しない画素領域とを区分した後、
輪郭に相当する画素領域においては、液滴の吐出方向の制御を行わず、輪郭に相当しない画素領域においては、その画素領域における前記特定方向の液滴の着弾位置として、少なくとも一部がその画素領域内に入るM個(Mは、2以上の整数)の異なる着弾位置のうちいずれかの着弾位置をランダムに決定し、その決定した着弾位置に液滴が着弾するように、液滴の吐出方向の制御を行う
液体吐出方法。 - 請求項3に記載の液体吐出方法において、
前記液体吐出部の前記ノズルが、複数の異なる色の液滴を吐出可能であり、
輪郭に相当する画素領域における特定色の液滴に対しては、液滴の吐出方向の制御を行わず、前記特定色以外の色の液滴に対してと、輪郭に相当しない画素領域とにおいては、液滴の吐出方向の制御を行う
液体吐出方法。
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