JP2016131274A - 光伝送装置、光伝送システム、及び、送信波長制御方法 - Google Patents

光伝送装置、光伝送システム、及び、送信波長制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】隣接する波長間に、当該波長に影響を与えずに、別の波長を追加できるようにする。
【解決手段】波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光の送信開始時における帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い帯域幅に制御する。
【選択図】図16

Description

本明細書に記載する技術は、光伝送装置、光伝送システム、及び、送信波長制御方法に関する。
光通信技術の1つに、複数の波長(「チャネル」と称してもよい。)の光を高密度に波長多重して伝送する技術がある。
そのような光伝送技術は、「スーパーチャネル伝送」と称されることがある。スーパーチャネル伝送では、デジタル信号処理を用いて送信信号光のスペクトルを狭小化することで、チャネル間隔を通常の波長多重(WDM)伝送におけるチャネル間隔よりも狭めることができる。したがって、光伝送システムにおいて利用可能な光伝送帯域の周波数利用効率を向上できる。
特開2000−228649号公報 特開2014−78851号公報
スーパーチャネル伝送のようにチャネル間隔が狭小化されている場合、隣接チャネル間に新たなチャネルを、どのようにして追加するかが検討事項の1つである。
例えば、新たなチャネルを追加しても、隣接チャネルの信号光に影響をいかにして与えないようにするかが検討事項の1つである。
1つの側面において、本明細書に記載する技術の目的の1つは、隣接するチャネル間に、当該チャネルに影響を与えずに、別のチャネルを追加できるようにすることにある。
1つの側面において、光伝送装置は、複数波長の光を含む波長多重光を送信する装置である。当該光伝送装置は、送信器と制御部とを備えてよい。送信器は、前記波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光を送信してよい。制御部は、前記第3波長の光の送信開始時の帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い帯域幅に制御してよい。
また、1つの側面において、光伝送システムは、複数波長の光を含む波長多重光を送信する送信局と、前記波長多重光を受信する受信局と、を備える。前記送信局は、前記の送信器と制御部とを備えてよい。
更に、1つの側面において、送信波長制御方法は、波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光の送信開始時における帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い帯域幅に制御してよい。
1つの側面として、波長多重光において隣接する第1波長及び第2波長の間に、これらの波長に影響を与えずに、第3波長を追加することが可能になる。
光伝送システムの一例としてのWDM光ネットワークの構成例を示すブロック図である。 図1に例示する光伝送装置の構成例を示すブロック図である。 図2に例示するトランスポンダの構成例を示すブロック図である。 (A)は、通常のWDM光信号のチャネル配置の一例を示す図であり、(B)は、スーパーチャネル信号のチャネル配置の一例を示す図である。 図4(B)に例示するチャネル配置において送信波長制御を実施しない場合に確保可能な外縁マージンを説明するための図である。 図4(B)に例示するチャネル配置において送信波長制御を実施する場合に確保可能な外縁マージンを説明するための図である。 図1に例示する光伝送システムでのマルチチャネル受信を説明するためのブロック図である。 図7に例示する光伝送システムでの送信信号及び受信信号のスペクトルの一例を示す図である。 図7に例示する光伝送システムにチャネル間隔モニタを適用した構成例を示すブロック図である。 図7に例示する光伝送システムにおいてチャネル間隔のモニタ結果を周波数変調成分として対向への送信信号に重畳する態様を説明するブロック図である。 図1〜図3に例示するトランスポンダの構成例を示すブロック図である。 図11に例示する受信デジタル信号処理部の構成例を示すブロック図である。 図11に例示する光伝送システムにおいて送信信号に重畳される周波数変調パタンフレームのフォーマット例を示す図である。 図11に例示する送信デジタル信号処理部で矩形状にスペクトル整形されたスーパーチャネル信号のチャネル配置の一例を示す図である。 スーパーチャネル信号に対するチャネル追加によってクロストークが発生し得ることを説明する模式図である。 実施形態に係る波長制御の概要を説明するための模式図である。 実施形態に係る波長制御の概要を説明するためのフローチャートである。 図16及び図17に例示した波長制御を実現するトランスポンダの構成例を示すブロック図である。 図18に例示するテストパタン生成部によって生成されるテストパタンに応じた光スペクトルの一例を示す図である。 第1実施例の動作を説明するためのフローチャートである。 第1実施例においてテストパタンの送信チャネルとは異なるチャネルに周波数変調成分が重畳されることを説明するための模式図である。 図16及び図17に例示した波長制御を実現する第2実施例に係るトランスポンダの構成例を示すブロック図である。 第2実施例の動作を説明するためのフローチャートである。 図16及び図17に例示した波長制御を実現する第3実施例に係る送信デジタル信号処理部の構成例を示すブロック図である。 第3実施例の動作を説明するためのフローチャートである。 第3実施例の変形例に係る送信デジタル信号処理部の構成例を示すブロック図である。 第3実施例の変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各実施形態は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
近年、通信機器のトラフィック拡大等に伴って、ネットワークの更なる大容量化及び高速化が期待されている。例えば、光ネットワークのエレメントの一例である光伝送装置には、DP−QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調方式を用いたデジタルコヒーレント信号処理技術が採用される場合がある。
デジタルコヒーレント信号処理技術の採用により、1波長(「チャネル」と称してもよい。)あたりの伝送速度を例えば100ギガビット/秒(Gbps)、あるいは100Gbpsを超える速度に高速化することが可能である。
また、光波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術を併用することにより、光ネットワークの最大伝送容量の拡大化することができる。例えば、1チャネルあたり、100Gbpsの光信号を最大で88チャネル分だけ波長多重することができる。即ち、1光ファイバあたりの最大伝送容量を8.8テラビット/秒(Tbps)に拡大することができる。
図1に、光伝送システムの一例としてのWDM光ネットワークの構成例を示す。図1に示すWDM光ネットワーク1は、例示的に、光伝送装置10−1と、光伝送路20を介して当該光伝送装置10−1と光通信可能に接続された光伝送装置10−2と、を備える。
光伝送装置10−1及び10−2を区別しなくてよい場合には、単に「光伝送装置10」と表記することがある。光伝送装置10は、WDM光ネットワーク1のエレメント(ネットワークエレメント:NE)の一例である。NE10には、光送信局や光受信局、光中継局、ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)等の光アドドロップ局等が該当してよい。「局」は、「ノード」と称されてもよい。
例示的に、図1において、NE10−1は、光送信局(光送信ノード)に該当し、NE10−2は、光受信局(光受信ノード)に該当する。
光伝送路20は、例示的に、光ファイバ伝送路である。光伝送路20には、WDM光信号の伝送距離に応じて光増幅器(光アンプ)30が適宜に設けられてもよい。光アンプ30を備えたノードが、光中継ノードに該当すると捉えてもよい。なお、WDM光信号の伝送距離によっては、光アンプ30が設けられないこともある。
光伝送装置10−1は、図1に例示するように、複数のトランスポンダ11と、波長多重器(マルチプレクサ:MUX)12と、光増幅器(光アンプ)30と、を備えてよい。
トランスポンダ11は、例えばルータ等の通信機器40と光ファイバ22により接続されてよい。ここで、通信機器40は、例えばクライアント側(「トリビュータリ側」と称してもよい。)の通信機器40である。通信機器40から送信された信号は、対応するトランスポンダ11にて受信された後、いずれかの波長(チャネル)の光信号に変換されて、マルチプレクサ12に入力される。
なお、各トランスポンダ11とマルチプレクサ12との間の接続に、光ファイバが用いられてもよい。別言すると、各トランスポンダ11とマルチプレクサ12とは、光通信可能に光学的に接続されればよい。
マルチプレクサ12は、WDMカプラ等の合波カプラであってよく、各トランスポンダ11から受信される光信号を波長多重することによりWDM光信号を生成して光伝送路20へ送信する。当該送信に際して、WDM光信号は、マルチプレクサ12の後段(ポストステージ)に備えられた光アンプ30によって所定の送信光パワーに増幅されてよい。
光伝送路20へ送信されたWDM光信号は、光伝送装置10−2にて受信される。光伝送装置10−2は、例示的に、波長分離器(デマルチプレクサ:DMUX)15と、複数のトランスポンダ16と、を備える。デマルチプレクサ15の前段(プレステージ)には、光伝送路20から受信されるWDM光信号を増幅する光アンプ(プリアンプ)30が備えられてよい。
デマルチプレクサ15は、光伝送路20から入力されるWDM光信号を波長毎に分離してトランスポンダ16のいずれかに入力する。なお、トランスポンダ16においてコヒーレント受信する場合には、デマルチプレクサ15は、代替的に、WDM光信号を分岐する光スプリッタであってもよい。光スプリッタは、分岐カプラであってもよい。
トランスポンダ16は、デマルチプレクサ15から入力された光信号を電気信号に光電変換して例えばルータ等の通信機器50に送信する。ここで、通信機器50は、例えばクライアント側の通信機器50である。
なお、図1には、光伝送装置10−1から光伝送装置10−2への方方向の通信に着目した構成を例示しているが、逆方向の通信に関しても、上記と同様の構成でよい。別言すると、光伝送装置10−1と光伝送装置10−2との間(通信機器40と通信機器50との間)は、双方向通信が可能であってよい。
双方向通信は、光伝送装置10−1と光伝送装置10−2との間に、双方向のそれぞれについて個別に設けられた光伝送路20を介して行なわれてよい。例えば、光伝送装置10−2から光伝送装置10−1への逆方向の通信は、図1において、光伝送装置10−1を光伝送装置10−2に読み替え、且つ、光伝送装置10−2を光伝送装置10−1に読み替えた構成によって実現されると捉えてよい。
双方向のうち、光伝送装置10−1(又は10−2)が光伝送路20へWDM光信号を送信する方向を「アップストリーム方向」と称し、その逆方向を「ダウンストリーム方向」と称する。
したがって、光伝送装置10−1及び10−2は、それぞれ、アップストリーム方向に対応した送信系と、ダウンストリーム方向に対応した受信系と、を備えてよい。例えば図1では、トランスポンダ11及びマルチプレクサ12が光伝送装置10−1の送信系に該当し、デマルチプレクサ15及びトランスポンダ16が光伝送装置10−2の受信系に該当する。
別言すると、光伝送装置10−1は、図1には図示を省略しているが、受信系として、光伝送装置10−2の受信系と同様に、デマルチプレクサ15及びトランスポンダ16を備えている、と捉えてよい。また、光伝送装置10−2は、図1には図示を省略しているが、送信系として、光伝送装置10−1の送信系と同様に、トランスポンダ11及びマルチプレクサ12を備えている、と捉えてよい。ただし、トランスポンダ11(又は16)は、送受信に共用であってよい。別言すると、トランスポンダ11及び16は、同じ構成(送信部及び受信部)を有していてよい。
図2に、双方向通信をサポートする光伝送装置10の構成例を示す。図2に示す光伝送装置10は、例示的に、複数のトランスポンダ111と、波長多重分離ブロック112と、光アンプブロック113と、ラインカード制御部114−1と、ネットワーク制御部114−2と、を備える。なお、「ブロック」は、「モジュール」と称してもよい。
トランスポンダ111は、それぞれ、図1に例示したトランスポンダ11又は16に相当する。トランスポンダ111のそれぞれは、例示的に、ルータ等の通信機器40又は50と光学的に双方向通信可能に接続されて、通信機器40又は50との間で光信号の送受信が可能である。
各トランスポンダ111は、光伝送装置10の「光送信機」のエレメントであると捉えてよく、また、光伝送装置10の「光受信機」のエレメントでもあると捉えてよい。
波長多重分離ブロック112は、例示的に、アップストリーム方向に対応したマルチプレクサ(MUX)112aと、ダウンストリーム方向に対応したデマルチプレクサ(DMUX)112bと、を備える。マルチプレクサ112aは、図1に例示したマルチプレクサ12に相当し、デマルチプレクサ112bは、図1に例示したデマルチプレクサ15に相当する、と捉えてよい。
各トランスポンダ111の出力ポート(送信ポート)がマルチプレクサ112aの入力ポートに光ファイバ等を用いて光学的に接続される。また、各トランスポンダ111の入力ポート(受信ポート)がデマルチプレクサ112bの出力ポートのいずれかに光ファイバ等を用いて光学的に接続される。
したがって、マルチプレクサ112aは、各トランスポンダ111の送信ポートから送信された光信号を波長多重してWDM光信号を生成する。また、デマルチプレクサ112bは、光アンプブロック113から受信されるWDM光信号を波長毎に分離してトランスポンダ111の受信ポートへ入力する。
光アンプブロック113は、アップストリーム方向に対応した光アンプ113aと、ダウンストリーム方向に対応した光アンプ113bと、を備える。光アンプ113aは、マルチプレクサ112aから入力されるWDM光信号を所定の送信パワーに増幅して光伝送路20へ送信する。光アンプ113bは、光伝送路20から受信されるWDM光信号を所定の受信パワーに増幅してデマルチプレクサ112bに入力する。
なお、光アンプブロック113は、WDM光信号の伝送距離によっては必要ない場合もある。
ラインカード制御部114−1は、各トランスポンダ111と電気的或いは光学的に接続され、ラインカード制御部114−1で受信したデータの行き先に応じたスイッチング処理を行なう。したがって、「ラインカード制御部」は、「スイッチング部」あるいは「スイッチングボード」と称してもよい。スイッチングされたデータは、各トランスポンダ111を経由して、通信機器40側、或いは、光伝送路20(光ネットワーク)側へ送出される。
ネットワーク制御部114−2は、ラインカード制御部114−1、波長多重分離ブロック112、及び、光アンプブロック113の動作を統括的に制御する。なお、ラインカード制御部114−1とネットワーク制御部114−2とは、1つの制御部として一体化されてもよい。ラインカード制御部114−1とネットワーク制御部114−2とを区別しなくてよい場合は単に「制御部114」と表記することがある。
図3に、図2に例示したトランスポンダ111の構成例を示す。トランスポンダ111は、例示的に、広帯域(ワイドバンド:WB)光送受信モジュール1111、フレーマ1112、及び、狭帯域(ナローバンド:NB)光送受信モジュール1113を備える。「光送受信モジュール」は、「光送受信器」と称してもよい。
WB光送受信モジュール1111は、例示的に、クライアント側のルータ等の通信機器40又は50と、ワイドバンドの光(以下「WB光」と表記することがある。)にて信号を送受信する。WB光にて送受信される信号は、例示的に、SONET(Synchronous Optical Network)やイーサネット(登録商標)等で用いられるフレーム信号であってよい。
例えば、WBモジュール1111は、通信機器40(又は50)から受信されるWB光を電気信号に変換してフレーマ1112に入力する。また、WBモジュール1111は、フレーマ1112から受信した電気信号をWB光に変換して通信機器40(又は50)に送信する。
フレーマ1112は、例示的に、WBモジュール1111にて光電変換された信号を例えばOTU(Optical channel Transport Unit)フレーム信号にマッピングしてNB光送受信モジュール113に入力する。また、フレーマ1112は、SONETやイーサネット(登録商標)等のフレーム信号をデマッピングしてWB光送受信モジュール1111に入力する。なお、当該フレーム信号は、NB光送受信モジュール1113からのOTUフレーム信号にマッピングされている。フレーム信号の処理には、誤り訂正符号の付加等の処理が含まれてよい。
NB光送受信モジュール1113は、例示的に、ナローバンドの光(以下「NB光」と表記することがある。)にて光伝送路20との間でフレーム信号(例えば、OTNフレーム信号)の送受信を行なう。
例えば、NB光送受信モジュール1113は、フレーマ1112で生成された、電気信号のOTUフレーム信号をNB光に変換して図2に例示したマルチプレクサ112aへ出力する。また、NB光送受信モジュール1113は、例えば図2に例示したデマルチプレクサ112bからNB光にて入力されるOTNフレーム信号を電気信号に変換してフレーマ1112へ出力する。
以上のように、トランスポンダ111は、トリビュータリ側とネットワーク(光伝送路20)側との間で送受信される光及びフレーム信号の変換処理を通じて、通信機器40と通信機器50との間の双方向通信を可能にする。
ところで、光伝送技術においては、更なる大容量化のため、WDM技術に加えて、「スーパーチャネル」と呼ばれる技術の利用が検討、議論されている。これまでのWDM技術では、チャネル間干渉が十分に抑えられるだけの間隔に波長間隔が設定されていた。例えば図4(A)に示すように、1チャネルあたり100Gbpsの光信号であれば、WDM光信号において各チャネルは50GHz程度の間隔で配置されることがある。
これに対し、スーパーチャネル技術では、デジタル信号処理によるスペクトル整形処理を用いることで、チャネル間干渉を抑制しながらチャネル間隔をより狭めることができる。例えば、レイズドコサインフィルタ等のSinc関数形状の時間応答を示すフィルタを用いて、主信号(例えば、NRZ信号)を畳み込み処理することで、主信号光の周波数スペクトルを狭帯域化し、且つ、矩形形状に整形することができる。
これにより、1チャネルあたり100Gbpsの光信号であれば、例えば図4(B)に示すように、WDM光信号におけるチャネル間隔は50GHzよりも狭い間隔(例えば、36GHz程度)にまで近接させることが可能になる。
なお、送信光源(例えば、レーザダイオード:LD)の発光波長に変動(「揺らぎ」と称してよい。)が生じる場合には、当該揺らぎを考慮してチャネル間隔にマージンを設定してよい。例えば、LDの発光波長が、環境条件や経時変動等に起因して、或る周波数レンジ(例えば、±1.5GHz)で変動する場合、当該周波数レンジをチャネル間隔のマージンに設定してよい。なお、LDの発光波長の変動は、EOL(End Of Life)変動と称してもよい。
仮に、スペクトル整形処理によって、1チャネルあたりの周波数帯域幅を32GHzに狭帯域化できたとして、EOL変動として±1.5GHzのマージン(3GHz)を考慮すると、1チャネルあたりの周波数帯域幅は35GHzとなる。したがって、各チャネルを1GHzのガードバンドを挟んで配置すれば、チャネル間隔は36GHzとなる。
ここで、或る周波数帯域、例えば、WDM光信号が通過する波長選択スイッチ(WSS)の透過帯域(「周波数グリッド」と称してもよい。)に、複数チャネルを配置(多重)することを想定する。なお、WSSは、光伝送装置10に用いられる光デバイスの一例であり、その透過帯域は、WDM光信号の帯域特性等の伝送特性に影響するパラメータの一例である。
WSSの透過帯域において、当該透過帯域のエッジに相当する周波数と、当該周波数に最も近接するチャネルのエッジに相当する周波数と、の差分は、「外縁マージン」と称してよい。外縁マージンを大きく確保できれば、WDM光信号のマルチスパン伝送時の伝送特性の劣化を抑制することができる。
非限定的な一例として、図5に例示するように、162.5GHzの周波数グリッドに4チャネルを多重することを想定すると、外縁マージンとして7.5GHz程度を確保できる。
しかし、この程度のマージンでは、マルチスパン伝送時の伝送特性の劣化が無視できない程度に増大するおそれがある。また、この場合の周波数利用効率は、図4(A)に例示した通常のWDM伝送におけるチャネル間隔50GHzの場合に比べて23.1%程度増加するに留まる。
スーパーチャネルを実用的に実現するには、より幅の広い外縁マージンを確保して伝送特性を向上させたい。あるいは、更なる大容量伝送のため、周波数利用効率を更に向上したい。
そこで、例えば、光ネットワークあるいは光伝送装置の運用中において、送信LDの発光波長を適応的に制御することで、送信LDの発光波長の揺らぎを抑制して、確保できる外縁マージンの拡大化を図ることが考えられる。
図5に例示したスーパーチャネルのチャネル配置において、送信LDの波長制御を実施しないとすると、送信LDの変動として、4チャネルの左右方向(計8か所)の変動分をマージンとして考慮する必要がある。
これに対し、例えば図6に示すように、4チャネルのうちの1チャネルを基準チャネルとして、送信LDの波長制御を実施すれば、他の3チャネルの変動分はマージンに見込まなくてよくなる。なお、基準チャネルは、波長制御の対象外のチャネルである。別言すると、4チャネルのうちの基準チャネルについての変動分さえマージンに見込めばよい。ただし、波長制御誤差(例えば、500MHz程度)は、見込むこととしてよい。
このような波長制御を実施することで、例えば次表1の例1に示すように、外縁マージンとして11GHz程度を確保することができ、マルチスパン伝送時の伝送特性劣化を抑えることができる。
Figure 2016131274
あるいは、表1の例2に示すように、確保できる外縁マージンは例1よりも小さくなるものの、150.0GHzのグリッドで4チャネルを多重することが現実的に可能になる。この例2では、周波数利用効率を例1での23.1%よりも大きく向上(例えば、33.3%)できる。
次に、図7を参照して、スーパーチャネルの送信信号と受信信号とについて説明する。図7の左上に例示する送信器A1,B1及びC1は、それぞれ、例えば図2及び図3に例示したトランスポンダ111のNB光送受信モジュール1113に備えられたアップストリーム方向の送信器に相当すると捉えてよい。
また、図7の右上に例示する受信器A1,B1及びC1は、それぞれ、例えば図2及び図3に例示したトランスポンダ111のNB光送受信モジュール1113に備えられたダウンストリーム方向の受信器に相当すると捉えてよい。
更に、図7の右下に例示する送信器A2,B2及びC2は、それぞれ、例えば図2及び図3に例示したトランスポンダ111のNB光送受信モジュール1113に備えられたアップストリーム方向の送信器に相当すると捉えてよい。
また、図7の左下に例示する受信器A2,B2及びC2は、それぞれ、例えば図2及び図3に例示したトランスポンダ111のNB光送受信モジュール1113に備えられたアップストリーム方向の送信器に相当すると捉えてよい。
各送信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)から送信された光信号A〜Cは、既述のマルチプレクサ12にてスーパーチャネルを成すWDM光信号に波長多重されて光ネットワーク60へ送信される。
なお、光信号A〜Cは、それぞれ、各送信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)における送信光源の発光波長λ〜λに対応した波長の光信号であると捉えてよい。スーパーチャネルを成す波長(λ〜λ)は、「サブチャネル」と称してもよいし「サブキャリア」と称してもよい。また、光ネットワーク60は、図1に例示した光伝送路20及び光アンプ30を含む概念として捉えてよい。
光ネットワーク60を伝送されたスーパーチャネルの送信信号(WDM光信号)は、既述の光スプリッタ15にて、受信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)の数に応じた分岐数に分岐されて、受信器A〜Cにそれぞれ入力される。
別言すると、受信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)は、それぞれ、光信号A〜Cが波長多重された同じWDM光信号を受信する。当該受信は、「マルチチャネル受信」あるいは「マルチキャリア受信」と称してよい。
各受信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)は、それぞれ、コヒーレント受信に用いられる局発光源(例えばLD)を備える。局発光源の発光波長は、それぞれ、対応する送信器A1,B1及びC1(A2,B2及びC2)の送信光源の発光波長と一致している。なお、以下において、送信光源の発光波長を「送信波長」と称することがあり、局発光源の発光波長を「受信波長」と称することがある。
例えば、受信器A1(A2)の受信波長は、送信器A1(A2)の送信波長(λ)と一致し、受信器B1(B2)の受信波長は、送信器B1(B2)の送信波長(λ)と一致している。同様に、受信器C1(C2)の受信波長は、送信器C1(C2)の送信波長(λ)と一致している。
なお、この例では、送信器A1,B1及びC1から受信器A1,B1及びC1へ送信される光信号の波長と、送信器A2,B2及びC2から受信器A2,B2及びC2へ逆方向に送信される光信号の波長と、がそれぞれ一致しているが、異なっていてもよい。
受信器A1(A2)では、光スプリッタ15から分岐入力されるWDM光信号のうち、送信器A1(A2)の送信波長λの信号が抽出、受信される。受信器B1(B2)では、当該WDM光信号のうち、送信器B1(B2)の送信波長λの信号が抽出、受信される。同様に、受信器C1(C2)では、送信器C1(C2)の送信波長λの信号がWDM光信号から抽出、受信される。
ただし、スーパーチャネルのWDM光信号は、隣接チャネルが近接しているため、隣接チャネルの信号成分の一部が受信器A〜Cでの受信信号に含まれ得る(「残留し得る」と称してもよい)。
例えば、受信器A1(A2)では、隣接チャネル(波長λ)の信号成分の一部が受信信号に含まれ得る。受信器B1(B2)では、隣接チャネル(波長λ及びλ)の信号成分の一部が受信信号に含まれ得る。受信器C1(C2)では、隣接チャネル(波長λ)の信号成分の一部が受信信号に含まれ得る。
図8に、スーパーチャネルの送信信号(波長多重後)のスペクトル(符号300参照)と、受信器でのデジタル信号処理によって得られる受信信号のスペクトル(符号400参照)と、の一例を示す。
図8には、受信信号のスペクトルの一例として、受信器において、スーパーチャネルの送信信号をADC(Analogue to Digital Converter)にて2倍オーバーサンプリング相当のサンプリング周波数でサンプリングしたときのスペクトルを例示している。なお、スーパーチャネルの送信信号は、例示的に、ボーレートが32ギガボー(Gbaud)の信号である。
図8に例示するように、受信信号のスペクトルには、局発光源の波長に対応した周波数を中心周波数にもつスペクトルだけでなく、当該スペクトルに対して低周波側及び高周波側のいずれか一方又は双方に隣接チャネルの信号成分スペクトルが含まれ得る。
ここで、図7に例示した構成において、送信器の送信波長を制御する方法について検討する。例えば、送信器B2の送信波長が、送信器A2及び送信器C2の送信波長と比べて期待する位置に無い場合に、当該波長位置を制御することを想定する。
図9に、マルチプレクサ12にて波長多重された後の送信信号を基にチャネル間隔をモニタすることができた場合の、波長制御方法の一例を示す。図9には、光ネットワーク60(例えば、光中継ノードやROADM等のNE)にモニタ61を設けて、当該モニタ61にて波長多重後の送信信号をモニタする様子を例示している。
モニタ61において送信信号のチャネル間隔をモニタできれば、期待する波長位置に無い送信波長(例えば、λ)を検出できる。検出結果を対応する送信器(例えば、送信器B1及びB2)にフィードバックすることで、送信波長λを本来の期待波長位置に制御することが可能である。
しかし、この方法では、光ネットワーク60にモニタ61を追加するための作業やコストがかかる。また、モニタしたチャネル間隔を、送信器にフィードバックするための制御信号パスも追加となる。このように、光ネットワーク60においてチャネル間隔をモニタする方法は、コストへの影響が大きく、導入する上で大きな障壁となり得る。
これに対し、例えば図10に示すように、受信器B2にてチャネル間隔をモニタできれば、対向の送信器B2の送信波長のずれを当該受信器B2にて検出(「測定」と称してもよい。)できる。
そして、その検出結果(あるいは、当該検出結果に応じた波長制御情報でもよい)を、例えば送信器B1から受信器B1を通じて受信器B2に通知すれば、送信器B2の送信波長のずれを最小化制御することが可能となる。
当該通知は、例示的に、送信器B1の送信光を周波数変調して通知情報(波長ずれ検出結果又は波長制御情報)を当該送信光に重畳することで行なってよい。通知情報は、監視制御情報の一例であると捉えてよい。監視制御情報が重畳された送信光は、SV(Supervisory)光成分あるいは光監視チャネル(OSC)成分を含む光であると捉えてよい。
受信器B1は、周波数変調により受信信号に重畳された制御通知情報を復調して検出する。検出した通知情報に基づいて、送信器B2の送信波長を制御することで、当該送信器B2の送信波長ずれを補償することができる。なお、送信器A2及びC2の送信波長ずれや、送信器A1,B1及びC1の送信波長ずれも、上記と同様にして受信器でのモニタ結果を対応する送信器へフィードバックすることで補償可能である。
ここで、受信器B2及び送信器B1の組は、例えば図2に例示した1つのトランスポンダ111に含まれると捉えてよい。同様に、受信器B1及び送信器B2の組も、別ノードの図2に例示した1つのトランスポンダ111に含まれると捉えてよい。
したがって、同一トランスポンダ111内での受信器B2(B1)−送信器B1(B2)間の情報の送受信は容易であり、送信器B2(B1)の送信波長ずれの制御も容易に実現できる。例えば、送信波長ずれの制御は、図2に例示した制御部114、あるいは、トランスポンダ111に内蔵の制御部(図2において図示省略)によって実施されてよい。
このように、受信器でチャネル間隔をモニタすることができれば、光ネットワーク60に対してモニタや制御信号パスを追加せずに、低コストで波長制御を実現することができる。
次に、図11に、上述した送信光源の波長制御を実現するトランスポンダの構成例を示す。図11に示すトランスポンダ70及び80は、例えば既述の光伝送路20(別言すると、光ネットワーク60)を介して双方向の光通信が可能に接続されている。なお、図11に示すトランスポンダ70及び80は、図3に例示したNB光送受信モジュール1113に相当すると捉えてもよい。
一方のトランスポンダ70は、例えば図1の光伝送装置10−1に備えられた図2のトランスポンダ111のいずれかに相当し、また、図10に例示した受信器B2を含むトランスポンダに相当すると捉えてよい。したがって、トランスポンダ70は、図10にて説明したチャネル間隔モニタ機能を具備するトランスポンダに相当すると捉えてよい。そのため、以下、トランスポンダ70を便宜的に「モニタトランスポンダ70」と称することがある。
他方のトランスポンダ80は、例えば図1の光伝送装置10−2に備えられた図2のトランスポンダ111のいずれかに相当し、また、図10に例示した送信器B2を含むトランスポンダ70に相当すると捉えてよい。したがって、トランスポンダ80は、図10にて説明したチャネル間隔モニタ結果に基づいて送信波長が制御される対象のトランスポンダに相当すると捉えてよい。そのため、トランスポンダ80を便宜的に「波長制御対象トランスポンダ80」と称することがある。
波長制御対象トランスポンダ80が備えられた光伝送装置10−2は、デジタル信号処理を用いて波形(スペクトル)整形された複数の送信信号をWDM光信号にて送信する第1の光伝送装置の一例に相当すると捉えてよい。
これに対し、モニタトランスポンダ70が備えられた光伝送装置10−1は、光伝送装置10−1が送信したWDM光信号をデジタルコヒーレント受信する第2の光伝送装置の一例に相当すると捉えてよい。
モニタトランスポンダ70は、例示的に、送信器71、受信器72及び制御部73を備える。送信器71は、図10に例示した送信器B1に相当すると捉えてよく、受信器72は、図10に例示した受信器B2に相当すると捉えてよい。
送信器71は、例示的に、送信デジタル信号処理部711、DAC(Digital to Analogue Converter)712、光変調器713、及び、送信光源(例えばLD)714を備える。
送信デジタル信号処理部711は、送信デジタルデータ信号に対してスペクトル整形や搬送波(キャリア)周波数制御、非線形補償等のデジタル信号処理を施す。
DAC712は、送信デジタル信号処理部711でデジタル信号処理された送信デジタルデータ信号をアナログデータ信号に変換する。DAC712により得られたアナログデータ信号は、光変調器713の駆動信号として光変調器713に与えられる。
光変調器713は、DAC712から与えられる駆動信号によって送信光源714の出力光を変調することで送信変調信号光を生成する。送信変調信号光は、対向のトランスポンダ80へ通じる光伝送路20へ送信される。送信光源714は、発光波長が可変の光源(例えば、チューナブルLD)であってよい。
なお、送信デジタル信号処理部711でのキャリア周波数制御において、既述の監視制御情報に応じた周波数制御が行なわれることで、監視制御情報を送信変調信号光に周波数変調成分として重畳することができる。
一方、受信器72は、WDM光信号をデジタルコヒーレント受信する受信部の一例であり、例示的に、受信フロントエンド(FE)721、ADC722、及び、受信デジタル信号処理部723を備える。
受信FE721は、例示的に、既述の局発光源や、光位相ハイブリッド、フォトディテクタ(PD)等の光電変換器を備える。局発光源の出力光と、光伝送路20から受信されるWDM光信号と、を光位相ハイブリッドにて同じ位相及び異なる位相(例えば、90度異なる位相)で干渉させることで、受信希望チャネルに相当する信号光の電界複素情報を測定して信号光を復調することができる。復調された信号光は例えばPDにてアナログ電気信号に光電変換されてADC722に入力される。なお、受信FE721は、「受信器721」と言い換えてもよい。
ADC722は、受信FE721にて復調された信号光のアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換して受信デジタル信号処理部723に入力する。
受信デジタル信号処理部723は、受信FE721にて復調された信号光に相当するデジタル電気信号に対してデジタル信号処理を施す。デジタル信号処理には、例示的に、分散補償、サンプリング位相同期、適応等化、周波数オフセット補償、搬送波位相復元等の処理が含まれてよい。受信デジタル信号処理部723は、例示的に、DSP(Digital Signal Processor)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)、大規模集積回路(LSI)等を用いて実現可能である。
具体的な一例として、受信デジタル信号処理部723は、例えば図12に示すように、分散補償部91、サンプリング位相同期部92、適応等化部93、周波数オフセット補償部94、及び、搬送波位相復元部95を備えてよい。なお、トランスポンダ80の受信デジタル信号処理部823も、図12の構成と同一若しくは同様であってよい。
分散補償部91は、ADC722から入力されたデジタル電気信号に対して、例えばトランスバーサルフィルタ等で波長分散による波形歪みをモデル化したデジタルフィルタを用いて波長分散処理を施す。
サンプリング位相同期部92は、ADC722でのサンプリングのタイミング(周波数及び位相)をデータパルスの中央に同期させるための処理を行なう。
適応等化部93は、例えば、複数の線形フィルタを備え、各フィルタのパラメータを信号光の偏波変動よりも十分高速かつ適応的に更新することで、偏波変動や偏波モード分散(PMD)に起因する波形歪みを適応的に等化(補償)する。当該等化処理は、例示的に、シンボルレートで行なわれてよい。
周波数オフセット補償部94は、受信信号光と局発光源の出力光との間の周波数オフセットを補償(補正)する。周波数オフセットの推定には、例示的に、累乗法と呼ばれる推定方式や、累乗法よりも周波数オフセットの推定可能範囲を拡大化できるPADE(Pre-decision based Angle Differential frequency offset Estimator)法と呼ばれる推定方式等を適用してよい。
搬送波位相復元部95は、周波数オフセット補償部94にて周波数オフセットが補償された受信デジタル信号から雑音成分を除去し、正しい搬送波(キャリア)位相を推定し、受信デジタル信号の位相を推定したキャリア位相に同期させる。キャリア位相の推定には、例示的に、デジタルループフィルタを用いて雑音の影響を除去するフィードバック法や、位相検出器で検出した推定位相差を平均化することで雑音の影響を除去するフィードフォワード法等を適用してよい。
なお、分散補償部91、サンプリング位相同期部92、適応等化部93、周波数オフセット補償部94、及び、搬送波位相復元部95は、例示的に、DSP等の演算能力を備えた演算装置によって実現されてよい。演算装置は、「プロセッサデバイス」あるいは「プロセッサ回路」と称してもよい。
次に、図11に戻り、制御部73は、上述した送信器71及び受信器72の動作を制御する。また、制御部73は、受信器72で得られる受信デジタル信号を基にチャネル間隔をモニタし、モニタ結果(あるいはモニタ結果に基づく波長制御情報)を送信器71の送信光に重畳させる。
そのため、制御部73は、例示的に、主信号データ取得部731、波長間隔モニタ732、及び、周波数変調パタン生成部733を備える。
主信号データ取得部731は、例えば図12に示すように、ADC722の出力から、チャネル間隔のモニタに足るデータ長の主信号データを取得(キャプチャ)する。主信号データのキャプチャ位置は、分散補償部91の出力(サンプリング位相同期部92の入力)でもよい。
分散補償部91による分散補償が十分に機能し、安定的な主信号データが得られれば、チャネル間隔モニタの精度向上が見込める。なお、主信号データのキャプチャ位置としては、他に、適応等化部93の出力や、搬送波位相復元部95の出力等も考えられる。
ただし、これらの出力は、受信データ信号のレートがシンボルレートに低下している(別言すると、ダウンサンプリングされている)。そのため、図8にて説明したようにオーバーサンプリングによれば観測可能な隣接チャネルの信号成分が十分に観測できないおそれがある。
その結果、後述するモニタ手法では、必要十分な精度でチャネル間隔をモニタできない可能性がある。別言すると、主信号データのキャプチャ位置は、隣接チャネルの信号成分が十分に観測可能なレートを有するデータ信号であれば、ADC722の出力や分散補償部92の出力に限られない。
波長間隔モニタ732は、主信号データ取得部731でキャプチャされた主信号データ(以下「キャプチャデータ」ともいう。)を解析してチャネル間隔を求める。例示的に、波長間隔モニタ732は、キャプチャデータに対してFFT(Fast Fourier Transform)演算を施すことで、キャプチャデータを時間領域のデータから周波数領域のデータ(別言すると、周波数スペクトル信号)に変換する。なお、FFT演算に代えてDFT(Discrete Fourier Transform)演算を用いてもよい。
ここで、図8にて説明したように、スーパーチャネルのようにチャネル間隔が狭い場合、FFT演算により得られた周波数スペクトル信号(以下、単に「スペクトル信号」とも称する。)には、隣接チャネルのスペクトルの一部が含まれていることがある。例えば、パワーの落ち込みが最大となる周波数(例示的に、約18GHz)を基準に、高周波側に隣接チャネルのスペクトルの一部が現れることがある。
波長間隔モニタ732は、当該周波数スペクトルを基に、チャネルとチャネルとの間隙の幅を測定し、その測定結果を基に、対向のトランスポンダ80における送信器81の送信波長の波長制御量を決定する。
チャネルの間隙幅を測定する方法の一例としては、スペクトルの縦軸(パワー)に判定閾値を設定し、この判定閾値よりもスペクトルのパワーが下回る区間を、間隙幅として測定する方法が挙げられる。
図11に戻り、周波数パタン生成部733は、波長間隔モニタ732で決定した波長制御量を示す情報(以下「波長制御情報」と称することがある。)を、例えば「1」又は「0」の2値で表される周波数変調のパタンに組み込む。
周波数変調のパタン(以下「周波数変調パタン」と称することがある。)は、送信器71の送信デジタル信号処理部711に与えられる。送信デジタル信号処理部711は、周波数変調パタンに従って送信デジタルデータ信号に対して周波数変調を施す。
これにより、波長制御情報が監視制御情報の一例として対向のトランスポンダ80への送信変調信号光に重畳される。したがって、送信器71は、波長間隔モニタ732でのモニタ結果に応じた波長制御情報をトランスポンダ80へ送信する送信部の一例であると捉えてよい。
なお、波長制御情報の重畳は、例示的に、送信デジタル信号処理部711において送信デジタルデータ信号をデジタル信号処理によってスペクトル整形した信号の、搬送波周波数を制御することで実現されてよい。
図13に、周波数変調パタンのフレームフォーマットの一例を示す。図13に例示するようなフレーム(以下「周波数変調パタンフレーム」と称することがある。)に波長制御情報がマッピングされる。
フレーム先頭には、トランスポンダ70及び80間で既知の信号の一例であるプリアンブルを付与してよい。受信側であるトランスポンダ80は、プリアンブルを検出することでフレーム先頭を識別することが可能になる。
フレーム末尾には、CRC(Cyclic Redundancy Check)のような誤り検出符号を付与してよい。受信側では、当該誤り検出符号を利用して受信フレームの有効性を確認することが可能になる。
また、周波数変調パタンフレームには、例示的に、波長制御情報による波長制御対象の送受信器ペアを識別可能にする情報(「送受信器識別ID」と称してよい。)がマッピングされてよい。
送受信器識別IDや波長制御情報が1フレーム内に収まりきらない場合には、送受信器識別IDや波長制御情報を分割してマルチフレームにて送信してもよい。マルチフレーム送信の場合には、マルチフレーム番号が周波数変調パタンフレームに付与されてよい。
なお、本例では、トランスポンダ80への送信変調信号光に、波長間隔モニタ732でのモニタ結果に応じた波長制御情報を重畳するが、モニタ結果そのものをトランスポンダ80への送信変調信号光に重畳してもよい。
トランスポンダ80では、受信したモニタ結果から波長制御情報を決定すればよい。別言すると、波長制御情報は、モニタ側及び波長制御対象側のいずれで決定してもよい。
次に、図11に例示した(波長制御対象)トランスポンダ80の構成例について説明する。図11に示す波長制御対象トランスポンダ80は、例示的に、送信器81、受信器82、及び、制御部83を備える。
送信器81は、例示的に、送信デジタル信号処理部811、DAC812、光変調器813、及び、送信光源(例えばLD)814を備える。
送信デジタル信号処理部811、DAC812、及び、光変調器813は、それぞれ、トランスポンダ70における送信デジタル信号処理部711、DAC712、及び、光変調器713と同一若しくは同様であってよい。
例えば、送信デジタル信号処理部811は、送信デジタルデータ信号に対して波形(スペクトル)整形や搬送波(キャリア)周波数制御、非線形補償等のデジタル信号処理を施す。
DAC812は、送信デジタル信号処理部811でデジタル信号処理された送信デジタルデータ信号をアナログデータ信号に変換する。DAC812により得られたアナログデータ信号は、光変調器813の駆動信号として光変調器813に与えられる。
光変調器813は、DAC812から与えられる駆動信号によって送信光源814の出力光を変調することで送信変調信号光を生成する。送信変調信号光は、対向のトランスポンダ70へ通じる光伝送路20へ送信される。送信光源814も、送信光源714と同様に、発光波長が可変の光源(例えば、チューナブルLD)であってよい。
なお、図11には図示を省略しているが、送信器81においても、トランスポンダ70の送信器71と同様に、送信デジタル信号処理部811にて、監視制御情報を送信変調信号光に周波数変調成分として重畳してよい。
受信器82は、例示的に、受信FE821、ADC822、及び、受信デジタル信号処理部823を備える。これらの受信FE821、ADC822、及び、受信デジタル信号処理部823は、トランスポンダ70の受信器72における受信FE721、ADC722、及び、受信デジタル信号処理部723と同一若しくは同様であってよい。
オプションとして、受信器82は、周波数変調(FM)検波部820を例えば受信FE821の前段に備えてよい。FM検波部820は、既述のように対向のトランスポンダ70の送信器71において波長制御情報が周波数変調によって重畳された信号光を受信して重畳信号をFM検波する。検波信号は、例示的に、制御部83(後述する周波数パタン復号部831)に与えられる。
次に、制御部83は、例示的に、周波数変調パタン復号部831と、波長制御量算出部832と、を備える。
周波数変調パタン復号部831は、受信器82で受信された信号光に重畳された周波数変調パタンを復号する。上述のように受信器82にFM検波部820が備えられていれば、周波数変調パタン復号部831は、FM検波信号から周波数変調パタンを復号する。
受信器82にFM検波部820が備えられない場合、制御部83に、搬送波周波数オフセットモニタ830を備えてよい。
搬送波周波数オフセットモニタ830は、受信デジタル信号処理部823でデジタル信号処理される受信デジタルデータ信号に対してFM検波に相当する処理を施すことにより、FM検波部820によって得られる検波信号相当の信号を得る。
例えば、周波数オフセット補償部94(図12参照)による周波数オフセットの推定過程でFM検波信号を得るようにしてよい。
この場合、周波数変調パタン復号部831は、搬送波周波数オフセットモニタ830で得られたFM検波信号から、「1」又は「0」の2値で表される周波数変調パタンを復号する。
波長制御量算出部832は、周波数変調パタン復号部831で復号された周波数変調パタンが示す波長制御情報を基に波長制御量を算出、決定し、当該波長制御量に応じて送信器83の送信光源813の発光波長を制御する。
発光波長の制御は、段階的に行なってよい。例えば、波長制御量が所定の閾値よりも大きい場合、波長制御量を数回分に分割して分割した量ずつ少しずつ発光波長をずらしていくように制御量を調整してよい。
あるいは、チャネル間隔をモニタしてから発光波長を調整するまでのフィードバックループに遅延が含まれる場合、安定的に引き込むために1回の制御量を調整してよい。あるいは、波長制御量にランダムな誤差が含まれる場合、複数回分の制御量を用いて平均化することで、その誤差を小さくすることができる。このような目的で制御量の調整をしてもよい。
なお、上述したトランスポンダ70における制御部73を含むモニタ機能は、対向のトランスポンダ80(例えば、制御部83)にも備えられていて構わない。同様に、トランスポンダ80における制御部83を含む送信波長制御機能は、トランスポンダ70(例えば、制御部73)にも備えられていて構わない。別言すると、トランスポンダ70及び80は、それぞれ、モニタトランスポンダとしての機能と波長制御対象トランスポンダとしての機能とを兼ね備えていて構わない。
また、「チャネル間隔」は、通常であれば、或るチャネルの中心波長と、隣のチャネルの中心波長との間の距離を意味する。ただし、図4(B)に例示したように、スーパーチャネルでは、各チャネルのスペクトルを矩形整形しているため、スペクトル幅は、この矩形の幅に相当すると考えてよい。
例えば図14に模式的に示すように、スペクトル幅は、矩形の全幅で32GHz、半幅で16GHzと考えてよい。そのため、チャネルとチャネルとの間隙の幅を測定できれば、「間隙の幅(例えば、3GHz)+スペクトルの全幅(例えば、32GHz)=チャネル間隔(例えば、35GHz)」という計算で、間隙の幅をチャネル間隔に換算することができる。
(送信波長制御の一例)
次に、波長間隔モニタ732で決定した波長制御量に応じた波長制御情報を受信した波長制御対象トランスポンダ80での送信波長制御の一例について説明する。
図11にて説明したように、波長制御対象トランスポンダ80では、制御部83の周波数変調パタン復号部831にて、受信器82で受信された信号光に周波数変調成分として重畳されている周波数変調パタンが復号される。
周波数変調成分は、例えば、周期的に変化する2種類の周波数オフセット値「+Δf」及び「−Δf」を含んでいる。「+Δf」=「1」及び「−Δf」=「0」に対応付けることで、「1」又は「0」の2値の周波数変調パタンを表現できる。したがって、例えば搬送波周波数オフセットモニタ830(図11参照)にて、2種類の周波数オフセット値を検波により検出することで、波長制御情報を含む周波数変調パタンを復元することができる。
周波数変調パタン復号部831は、復元された周波数変調パタン(フレーム:図13参照)の中からプリアンブルを検出してフレーム先頭位置を検出する。そして、周波数変調パタン復号部831は、検出したフレーム先頭位置から、フレーム長に対応するビット数を取り出し、フレーム末尾のCRCを用いて誤り検出の計算を行なう。
誤り検出の結果、誤りがあれば、周波数変調パタン復号部831は、該当フレームを破棄する。誤りが無ければ、周波数変調パタン復号部831は、フレームにマッピングされている波長制御情報を抽出して波長制御量算出部832に与える。
波長制御量算出部832は、周波数変調パタン復号部831から与えられた波長制御情報が示す波長制御量に応じて、送信器81における送信光源814の発光波長を制御する。なお、波長制御量が例えば所定の閾値よりも大きい場合、波長制御量算出部832は、波長制御量を複数に分割して、分割した量ずつ送信光源814の発光波長をずらしてゆくように制御量を調整してよい。
ここで、波長制御量算出部832は、隣り合うチャネル同士のチャネル間隔が一定となるように送信光源814の発光波長を制御する。ただし、波長制御量算出部832は、波長多重された複数チャネルの全てを制御対象とはせずに、いずれかのチャネルを波長制御しない基準チャネルに設定し、当該基準チャネルを基準に他のチャネルの波長制御を行なってよい。
以上のように、スーパーチャネルのチャネル間隔を、受信側トランスポンダ70にて、スペクトルアナライザ等の高価な測定器を用いずに簡易にモニタすることができる。したがって、図9にて説明したようにモニタ61を光ネットワーク60に設けなくてよく、作業やコストの増大を抑止できる。
また、モニタ結果に応じた波長制御情報を受信側トランスポンダ70から送信側トランスポンダ80へ送信される変調信号光に重畳することで、送信光源814の発光波長を制御することができる。したがって、図9にて説明したようにフィードバックのための制御信号パスを追加的に設けなくて済む。
結果的に、送信光源814の波長制御を低コストで実現でき、送信光源814の波長揺らぎに依存せずにチャネル間隔を接近させることが可能となる。よって、表1に例示したように、外縁マージン確保による伝送品質の向上や、周波数帯域の利用効率向上を図ることができる。
ところで、光伝送システム1においては、その運用中に、新たな信号光波長が追加的に設定されることがある。あるいは、そのようなニーズがある。しかし、上述したチャネル間隔制御によって、新たな信号光を追加できるだけのチャネル間隔(別言すると、帯域幅)が確保されていないことがある。そのような空き波長領域に、追加チャネルの信号光を追加してしまうと、追加チャネルの信号光スペクトルが隣接チャネルに干渉し得る。
図15に、チャネル追加によりチャネル間干渉が生じる例を模式的に示す。図15には、チャネルA及びチャネルCとの間に、チャネルBを新たに追加するケースを例示している。チャネルA〜Cは、例示的に、或るスーパーチャネルのサブチャネルに設定されてよい。
チャネルAとチャネルCとの間隔は、上述したチャネル間隔制御によって、適切なチャネル間隔に制御されていてよい。ここで、光伝送システム1で利用可能な周波数(又は波長)リソースの利用効率を最大化するために、既にチャネルAとチャネルCとの間隔が可能な限り狭められていることがある。例えば、1チャネルあたり片側で1.5GHz(両側で3GHz)程度のマージンにチャネル間隔が狭められていることがある。
当該チャネル間隔(帯域幅)が、チャネルBを追加できるだけの帯域幅でないにもかかわらず、チャネルBを追加してしまうと、追加チャネルBと、隣接する既存チャネルA及びCの一方又は双方と、の間で信号光スペクトルの干渉が生じる。当該チャネル間干渉は、「クロストーク」と称してもよい。
クロストークが生じると、各チャネルA〜Cの一部又は全部の伝送特性が劣化し、最悪の場合、受信側(例えば、既述の受信器82)において、受信信号のフレーム同期を維持できない等の理由によって信号を正しく受信できず、信号断となるおそれがある。
そこで、以下に説明する実施形態では、既存チャネルの運用中や波長制御中に、チャネルを追加するのに足りる帯域幅が確保されていない波長領域に対して、クロストークを発生させずにチャネルの追加を可能にする波長制御の一例について説明する。
図16に、当該波長制御の一例を模式的に示す。図16の(1)は、図15のケースと同様に、チャネルAとチャネルCとが既存チャネルとして設定されて運用中である様子を例示している。
ここで、既存チャネルA及びCのチャネル間隔は、チャネルBを通常の主信号光スペクトル幅のまま追加するのには不十分な間隔に波長制御されていると仮定する。「通常の主信号光スペクトル幅」は、主信号をエラーフリーで伝送可能なスペクトル幅に相当すると捉えてよい。そのようなスペクトル幅は、既存チャネルA及びCの主信号光スペクトル幅と同じか実質的に同じであると捉えてよい。
この場合、図16の(2)に例示するように、チャネルBの光スペクトルを通常の主信号光スペクトル幅(別言すると、チャネルA−C間の間隔)よりも狭い帯域幅に狭帯域化する。その上で、チャネルAとチャネルCとの間に、狭帯域化されたチャネルBを追加する。「チャネルの追加」は、当該チャネルによる信号光の送信開始と捉えてもよい。
狭帯域化された光スペクトルのチャネルBを追加することで、追加チャネルBと既存チャネルA及びCとの間にチャネル間干渉が生じることを防止できる。
なお、チャネルA及びCの「送信器」は、例えば図10に示した「送信器A1」及び「送信器C1」(又は、「送信器A2」及び「送信器C2」)であってよい。追加チャネルBの「送信器」は、例えば図10に示した「送信器B1」(又は、「送信器B2」)であってよい。
別言すると、チャネルBの追加は、送信器B1(又は送信器B2)の追加(増設)、あるいは、ディゼーブル状態にある既設の送信器B1(又は送信器B2)をイネーブル状態に制御することと捉えてもよい。
送信器B1(又は送信器B2)にて狭帯域化するチャネルBの信号は、主信号(あるいは主信号から生成された信号)であってもなくてもよい。例えば、チャネルBを追加する際(別言すると、送信開始時)の信号は、主信号とは異なる、狭帯域スペクトルを生成可能な予め設定された信号であってよい。当該信号は、「テスト信号」と称してもよいし「パイロット信号」と称してもよい。
テスト信号は、例示的に、「0」と「1」とが1又は複数個ずつ繰り返される周期的なパタン信号であってよい。周期的なパタン信号は、主信号に比べて情報量が少ないから、光変調器713で生成される信号光のスペクトルを狭帯域化し易い。なお、「パタン信号」を便宜的に「テストパタン」と称することがある。
チャネルBを追加した後は、図16の(3)に例示するように、追加チャネルBのスペクトル幅を徐々に拡大してゆく。ここで、チャネルA及びCは、既述のチャネル間隔モニタによって隣接チャネルとの間隔が適切な間隔になるように適応的に制御されてよい。そうすると、チャネルA及びCは、追加チャネルBのスペクトル幅の拡大に応じて、徐々にチャネルBから離れる方向にシフトしてゆく。
その後、図16の(4)に例示するように、チャネルBのスペクトル幅が通常の主信号光のスペクトル幅(例えば、チャネルA及びBのスペクトル幅と同じスペクトル幅)にまで拡大されると、チャネルBの送信信号をテストパタンから主信号に切り替える。
「通常の主信号光のスペクトル幅」は、チャネルBの追加時(送信開始時)の狭帯域化された帯域幅を「第1帯域幅」と捉えた場合の、第2帯域幅の一例である。したがって、追加チャネルBのスペクトル幅を徐々に拡大してゆくことは、第1帯域幅から第2帯域幅に向かってチャネルBのスペクトル幅を徐々に拡大してゆくことに相当する、と捉えてよい。
以後、図16の(5)に例示するように、追加チャネルBに対して、他のチャネルA及びCに対する既述の波長制御と同様の波長制御を適用してよい。これにより、チャネルA〜Cのチャネル間隔がそれぞれ適切な間隔になるように適応的に制御される。
以上の波長制御を図17にフローチャート(処理P11〜P16)として表す。図17において、処理P11及びP12が、図16の(2)に例示した「チャネルBのテストパタンでの追加」に対応する。処理P13は、図16の(3)に例示した「チャネルBのスペクトル幅の拡大」に対応する。
処理P14は、図16の(4)において、チャネルBのスペクトル幅が、主信号光を例えばエラーフリーで伝送するのに足りる幅にまで拡大されたか否かを判定する処理に相当する。
判定の結果、スペクトル幅の拡大が未だ不十分であれば(処理P14でNOの場合)、スペクトル幅の拡大が継続される。一方、判定の結果、スペクトル幅の拡大が十分であれば(処理P14でYESの場合)、スペクトル幅の拡大は停止され、チャネルBにて送信する信号がテストパタンから主信号に切り替えられる(処理P15)。
その後、処理P16において、図16の(5)に例示したように、各チャネルA〜Cのチャネル間隔制御が実施される。
以上のようにして、スーパーチャネルにおけるチャネル間隔が周波数利用効率向上のために可能な限り狭められていても、隣接チャネルに影響を与えずに(例えば、クロストークを発生させずに)、新たなチャネルを追加することが可能となる。
したがって、光伝送システム1のチャネル設計時や運用時に、将来的な使用を想定した空きチャネル分の帯域を確保しておく必要がなく、波長配置の自由度も高まる。結果として、光伝送システム1における周波数帯域の利用効率を向上することができる。
以下、上述したチャネル追加時の波長制御を実現する、いくつかの実施例について説明する。
(第1実施例)
図18は、第1実施例に係るトランスポンダの構成例を示すブロック図であり、図11に対応する図である。図18においても、図11と同様に、トランスポンダ70とトランスポンダ80とが光伝送路20(別言すると、図10に例示した光ネットワーク60)を介して双方向の光通信が可能なように接続されている。
図18に例示するトランスポンダ70は、図11に例示した構成に比して、制御部73にテストパタン生成部734が備えられ、かつ、送信器71に切替スイッチ(SW)715が備えられた点が異なる。なお、図18において、図11にて既述の符号と同一符号を付した部分は、特に断らない限り、既述の部分と同一若しくは同様の部分である。
テストパタン生成部734は、既述のテストパタンを生成する。テストパタン生成部734は、複数種類のテストパタンを生成可能であってよい。複数種類のテストパタンは、例えば、狭帯域化の程度に応じて選択されてよい。
狭帯域化の程度は、既述のチャネル間隔モニタによるモニタ結果に基づいて決定されてよい。別言すると、テストパタン生成部734は、既述のチャネル間隔モニタによってモニタされたチャネル間隔に応じて適切なテストパタンを適応的に選択、生成してよい。例えば、テストパタン生成部734は、モニタされたチャネル間隔が狭いほど、より狭帯域なスペクトルが生成されるテストパタンを選択してよい。
切替スイッチ715は、例示的に、送信デジタル処理部711とDAC712との間に備えられて、送信デジタル信号処理部711の出力信号と、テストパタン生成部734の出力信号と、を切り替えて(選択的に)DAC712に出力する。
切替スイッチ715による信号切替は、例示的に、制御部73によって制御されてよい。制御部73は、図2に例示したラインカード制御部114−1から、切替スイッチ715のための切替制御信号を受信してよい。
切替スイッチ715のための切替制御信号は、NMS(Network Management System)やOPS(Operation System)等と称される、光伝送システム1を制御する制御システムから光伝送装置10に与えられてよい。あるいは、切替スイッチ715のための切替制御信号は、光伝送装置10に接続可能なオペレータ端末から当該光伝送装置10に入力されてもよい。
例えば、追加チャネルに対応する送信器71の切替スイッチ715が、制御部73によって、テストパタン生成部734で生成されたテストパタンを選択するように切り替えられる。これにより、テストパタン生成部734で生成されたテストパタンが、DAC712に入力される。
DAC712は、切替スイッチ715から入力されたテストパタンをアナログ信号に変換して、光変調器713の駆動信号として光変調器713に与える。
光変調器713は、既述のように、DAC712から与えられる駆動信号によって送信光源714の出力光を変調することで送信変調信号光を生成する。
当該送信変調信号光は、テストパタンに応じた駆動信号にて変調されているため、通常の主信号の送信変調信号光よりもスペクトルが狭帯域化されている。
以上の処理は、例えば図20の処理P21及びP22に相当し、また、図16の(1)及び(2)、並びに、図17の処理P11及びP12に対応する。
ここで、追加チャネルの初期送信段階では、特定のテストパタンを選択し、その後に、徐々に狭帯域化スペクトルの幅が拡大してゆくように、段階的にテストパタンを切り替えてよい。
例えば、テストパタン生成部734は、図19に例示するように、4種類のテストパタンによって、狭帯域化の程度が異なる4種類のスペクトルA〜C及びNを生成可能であると仮定する。
なお、スペクトルA〜C及びNに対応するテストパタンを、便宜的に、「テストパタンA〜C及びN」と称することがある。スペクトルNは、通常(Normal)の主信号光のスペクトルNに対応すると捉えてよい。また、テストパタンによって生成されるスペクトルを、便宜的に、「テストパタンスペクトル」と称することがある。
初期送信段階では、テストパタン生成部734は、例えば、チャネル間隔モニタでモニタされたチャネル間隔に対して挿入可能な最小スペクトル幅のテストパタンAを選択する。
その後、テストパタン生成部734は、テストパタンAを、より広帯域なスペクトルBが得られるテストパタンBに切り替え、更に、テストパタンBを、更に広帯域なスペクトルCが得られるテストパタンCに切り替える。
このようにしてテストパタンA〜Cが段階的に選択されることで、追加チャネルの送信光スペクトルが徐々に拡大される。
例えば、テストパタン生成部734は、対向局(受信局)でモニタされたチャネル間隔の通知を受けて、現状のチャネル間隔が、段階的に選択される次のテストパタンスペクトルを挿入するのに足りる間隔(帯域幅)になっているか否かを判定する。
判定の結果、次のテストパタンスペクトルを挿入するのに足りる帯域幅が確保されていれば、テストパタン生成部734は、現状のテストパタンを次のテストパタンに切り替える。テストパタン生成部734は、このような帯域幅判定とテストパタン切替とを、通常の主信号光に対応するスペクトル幅が得られるテストパタンNが選択可能になるまで繰り返す。
当該処理は、例えば図20の処理P24のNOルートから処理P23に至るループ処理に相当し、また、図16の(3)及び図17の処理P14のNOルートから処理P13に至るループ処理に対応する。
最終的に、テストパタン生成部734は、テストパタンNを選択することで、追加チャネルの送信光スペクトルの帯域幅を通常の主信号光のスペクトルNの帯域幅にまで拡大、変更する。これにより、テストパタンを主信号に切り替えてよい状態になる。
したがって、制御部73は、送信デジタル信号処理部711から出力される送信デジタルデータ信号がDAC712に入力されるように、切替スイッチ715を切り替え制御する。当該切り替え制御は、例えば図20の処理P25に相当し、また、図16の(4)及び図17の処理P15に対応する。
これにより、主信号である送信デジタルデータ信号が、図11にて既述のように、DAC712にてアナログ信号に変換されて、当該アナログ信号に応じた駆動信号が光変調器713に入力される。
光変調器713は、当該駆動信号によって送信光源714の出力光を変調することで、追加チャネルの主信号光である送信変調信号光を生成する。生成された追加チャネルの主信号光は、光伝送路20へ送信される。
以後、追加チャネルを含む複数のチャネルに関して、既述のチャネル間隔制御が実施されて、各チャネルのチャネル間隔が適切な間隔なるように制御される。当該処理は、例えば図20の処理P26に相当し、また、図16の(5)及び図17の処理P16に対応する。
なお、上述したチャネル追加時のスペクトル拡大制御と、既述のチャネル間隔制御と、は、並行して(あるいは交互に)実施されてよい。これにより、クロストークの発生を効果的に抑えながらチャネル追加が可能となる。
また、図18に例示した構成では、切替スイッチ715が送信デジタル信号処理部711とDAC715との間に設けられているため、テストパタンは、送信デジタル信号処理による、既述の監視制御情報を重畳するための周波数変調を受けない。
テストパタンを周波数変調しないので、主信号との比較と同様に、送信する情報量が減らせる。したがって、テストパタンに周波数変調をかける場合に比して、当該テストパタンを基に生成されるスペクトルの帯域幅を、より狭帯域化し易くなる。
ただし、テストパタンを周波数変調しないため、例えば、追加チャネルの波長情報やチャネル間隔モニタのモニタ結果等を含む情報を対向局に通知するには、テストパタンの波長とは異なる波長の主信号光に当該情報を周波数変調により重畳する。
例えば図21に模式的に示すように、追加チャネルがチャネルBであれば、追加チャネルBとは異なるチャネルA(チャネルCでもよい。)の主信号光に通知情報を周波数変調により重畳してよい。
この場合、テストパタンの送信チャネルBと通知情報の送信チャネルA(又はC)とが異なるため、対向局の受信器で、周波数変調成分である重畳信号の検波に失敗したとしても、上述したチャネルBの追加に伴う波長制御は可能である。
(第2実施例)
次に、第2実施例について、図22及び図23を参照して説明する。図22は、第2実施例に係るトランスポンダの構成例を示すブロック図であり、図11及び図18に対応する図である。
図22においても、図11及び図18と同様に、トランスポンダ70とトランスポンダ80とが光伝送路20(別言すると、図10に例示した光ネットワーク60)を介して双方向の光通信が可能なように接続されている。
図22に例示するトランスポンダ70は、第1実施例の図18に例示した構成に比して、切替スイッチ715が、送信デジタル信号処理部711の前段に設けられている点が異なる。なお、図22において、図11及び図18にて既述の符号と同一符号を付した部分は、特に断らない限り、既述の部分と同一若しくは同様の部分である。
第2実施例の切替スイッチ715は、周波数変調パタン生成部733で生成された周波数パタンと、テストパタン生成部734で生成されたテストパタンと、のいずれかを切り替えて(選択的に)送信デジタル信号処理部711に入力する。
そのため、第2実施例の送信デジタル信号処理部711は、第1実施例とは異なり、テストパタンをデジタル信号処理にて周波数変調することが可能である。当該周波数変調によって、主信号だけでなくテストパタンにも情報を周波数変調成分として重畳することが可能である。
したがって、第2実施例の送信器71は、第1実施例とは異なり、追加チャネルのテストパタンに対向局宛の情報を重畳して送信することができる。したがって、追加チャネルの波長情報等を第1実施例のように異なるチャネルの主信号光に重畳しなくてよい。よって、追加するチャネルに対して、異なる波長を利用せず、自波長に閉じた制御が可能となり、制御構成をより簡易にすることができる。
第2実施例における、その他のチャネル追加時の波長制御は、第1実施例と同様でよい。例えば図23に、第2実施例の動作を説明するフローチャートを示す。図23と第1実施例の図20とを比較すれば容易に理解できるように、第2実施例では、図20の処理P21及びP25が、それぞれ、図23において、処理P21a及びP25aに置き換えられている。
テストパタンへの切替処理P21aでは、追加チャネルに対応する送信器71の切替スイッチ715が、テストパタン生成部734で生成されたテストパタンを選択するように切り替えられて、テストパタンが送信デジタル信号処理部711に入力される。以後の処理P22〜P24(テストパタンスペクトル幅の拡大制御)は、第1実施例と同様でよい。
主信号への切替処理P25aでは、追加チャネルに対応する送信器71の切替スイッチ715が、周波数変調パタン生成部733で生成された周波数変調パタンを選択するように切り替えられる。別言すれば、テストパタンの送信デジタル信号処理部711への入力が停止される。
送信デジタル信号処理部711は、切替スイッチ715の切り替えに応じて、主信号である送信デジタルデータ信号を生成してDAC711へ出力する。その際、送信デジタル信号処理部711は、送信デジタルデータ信号に対して、既述のとおり周波数変調パタンを組み込んでよい。これにより、追加チャネルの主信号光に周波数変調成分が重畳される。以後の処理P26(既述のチャネル間隔制御)は、第1実施例と同様でよい。
なお、テストパタンスペクトルの狭帯域化の程度によっては、テストパタンに重畳された周波数変調成分の検波に対向局が失敗する可能性がある。したがって、波長情報やチャネル間隔モニタ結果等の情報は、例えば第1実施例(図21参照)と同様に、テストパタンの送信チャネル(追加チャネル)とは異なる他のチャネルの主信号光に重畳して送信してもよい。
(第3実施例)
次に、図24及び図25を参照して、第3実施例について説明する。上述した第1及び第2実施例では、追加対象のチャネルの信号に、狭帯域スペクトルを生成可能なテストパタンを用いる例について説明した。これに対し、第3実施例では、テストパタンを用いずに、追加チャネルの主信号光スペクトルを狭帯域化する例について説明する。
例えば、送信デジタル信号処理部711での主信号のデジタル信号処理に用いられるフィルタ特性を調整することで、光変調器713によって生成される主信号光スペクトルを狭帯域化することができる。
追加対象のチャネルの主信号光スペクトルを狭帯域化した上で、当該チャネルを追加することで、第1及び第2実施例と同様に、クロストークを発生させずに新たなチャネルを追加することが可能となる。
図24は、第3実施例に係る送信デジタル信号処理部711の構成例を示すブロック図である。図24に例示する構成は、例示的に、図11に示した送信デジタル信号処理部711の構成例に相当すると捉えてよい。
図24に示す送信デジタル信号処理部711は、例示的に、スペクトル整形部7111と、搬送波周波数制御部7112と、アナログ非線形性補償部7113と、周波数応答調整部7114と、を備える。
スペクトル整形部7111は、例えば既述のように、レイズドコサインフィルタ等のSinc関数形状の時間応答を示すフィルタを用いて、主信号である送信デジタルデータ信号(例えば、NRZ信号)を畳み込み処理する。これにより、光変調器713によって生成される主信号光スペクトルを狭帯域化し、且つ、矩形形状に整形することができる。
搬送波周波数制御部7112は、例えば、周波数変調パタン生成部733(図11参照)で生成された周波数変調パタンに従って、スペクトル整形処理された主信号の搬送波周波数を制御することで、当該主信号を周波数変調する。当該周波数変調によって、既述のとおり、主信号に周波数変調成分が重畳される。
アナログ非線形補償部7113は、搬送波周波数制御部7112にて周波数変調された主信号の非線形性(非線形歪み)を補償する。
周波数応答調整部(「イコライザ」と称してもよい。)7114は、アナログ非線形補償部7113にて非線形性が補償された主信号の周波数応答特性を、例えばデジタルフィルタを用いて調整する。デジタルフィルタには、例示的に、ステップ調整、タップ係数調整、振幅調整、オフセット調整等の各種パラメータがある。
これらのパラメータ(「フィルタパラメータ」と称してよい。)を調整することで、デジタルフィルタのフィルタ特性を変更でき、例えば、主信号の周波数特性を、高周波数帯域側の帯域が制限されるように制御することが可能である。当該帯域制限によって、主信号光スペクトルの狭帯域化が可能となる。フィルタパラメータの調整は、例示的に、既述の制御部73によって行なわれてよい。
図25に、第3実施例の動作例をフローチャートにて例示する。図25に例示するように、チャネル追加時には、追加対象のチャネルに対応する送信デジタル信号処理部711におけるイコライザ7114のフィルタパラメータの設定を、制御部73によって調整、変更する(処理P31)。
フィルタパラメータの設定変更は、例示的に、主信号光スペクトルが狭帯域化されるようになされる。狭帯域化の程度は、当該主信号光スペクトルのチャネル追加によって隣接チャネルとの間にクロストークが発生しない程度であってよい。例えば、主信号光スペクトル幅が最小化されるように、フィルタパラメータを設定してよい。
当該フィルタパラメータの設定により、狭帯域化された主信号光スペクトルが光変調器713にて生成されて光伝送路20へ追加チャネルにて送信される(処理P32)。
その後、制御部73は、追加チャネルの主信号光スペクトル幅が徐々に拡大してゆくように(例えば図16の(3)を参照。)、フィルタパラメータを変更する(処理P33)。
本実施例においても、追加チャネルとは異なる他のチャネルは、既述のチャネル間隔モニタによって隣接チャネルとの間隔が適切な間隔になるように適応的に制御されてよい。
したがって、追加チャネルの隣接チャネルは、追加チャネルの主信号光スペクトル幅の拡大に応じて、徐々に追加チャネルから離れる方向にシフトしてゆく。
その後、制御部73は、例えば、対向局でモニタされたチャネル間隔の通知を受けて、追加チャネルの現状の主信号光スペクトル幅(帯域幅)が、主信号光をエラーフリーで伝送するのに足りる、通常の主信号光スペクトル幅にまで拡大されたか否かを判定する(処理P34)。
判定の結果、主信号光をエラーフリーで伝送するのに足りる帯域幅が確保されていなければ(処理P34でNOの場合)、制御部73は、十分な帯域幅が確保されるまで、フィルタパラメータの変更と帯域幅判定とを繰り返す。
十分な帯域幅が確保されれば(処理P34でYESの場合)、制御部73は、フィルタパラメータの設定を、通常の主信号光スペクトルが得られる設定に変更する(処理P35)。これにより、光変調器713にて、通常の主信号光スペクトルをもつ追加チャネルの主信号光が生成されて、光伝送路20へ送信される。
以後、図16の(5)に例示したように、追加チャネルに対して、他のチャネルに対する既述の波長制御と同様の波長制御を適用してよい。これにより、追加チャネルを含む各チャネルのチャネル間隔がそれぞれ適切な間隔になるように適応的に制御される(処理P36)。
上述した第3実施例によれば、第2実施例と同様に、波長情報やチャネル間隔モニタ結果等を対向局と通信するための周波数変調信号を追加チャネルの波長にて送受信できる。
また、第3実施例では、第1実施例及び第2実施例に例示したような特別なテストパタンを送信器71において生成しなくてよい。したがって、第1実施例及び第2実施例に比して、送信器71の回路規模や消費電力の削減を図ることが可能である。
更に、第3実施例では、送信デジタル信号処理における主信号のフィルタパラメータを変更することで、追加チャネルの主信号光スペクトル幅を容易に変更できるため、追加チャネルの主信号光スペクトル幅の微調整が可能である。
なお、フィルタパラメータ変更による主信号光スペクトルの狭帯域化の程度によっては、当該主信号光に重畳された周波数変調成分の検波に対向局が失敗する可能性がある。したがって、波長情報やチャネル間隔モニタ結果等の情報は、例えば図21に例示したように、追加チャネルとは異なる他のチャネルの主信号光に重畳して送信してもよい。
(第3実施例の変形例)
上述した第3実施例では、送信デジタル信号処理部711におけるイコライザ7114のフィルタパラメータを調整することで、追加チャネルの主信号光スペクトル幅を調整する例について説明した。
ただし、追加チャネルについての主信号光スペクトル幅の調整は、例えば、主信号に適用するローパスフィルタ(LPF)を変更することによっても実現可能である。例えば図26に示すように、イコライザ7114とは別に、イコライザ7114の出力に、LPF7115が設けられてよい。
LPF7115は、イコライザ7114と同様に、デジタルフィルタにて実現されてよい。LPF7115のフィルタパラメータ(タップ係数)も、イコライザ7114のフィルタパラメータと同様に、制御部73によって制御されてよい。
LPF7115は、主信号の高周波数帯域を制限できるという点で、既述のデジタルフィルタと同様である。イコライザ7114とLPF7115との組み合わせによって、主信号に適用するフィルタ特性が実現されてよい。
イコライザ7114とLPF7115とに共通の制御部73によって、イコライザ7114及びLPF7115のフィルタパラメータを制御できるから、制御を簡易化でき、制御の高速化を図ることができる。
図27に、第3実施例の変形例の動作例をフローチャートにて例示する。図27に例示するように、チャネル追加時には、制御部73によって、追加対象のチャネルに対して、LPF7115を、例えば最も狭い帯域特性が得られるフィルタパラメータに設定する(処理P41)。
これにより、主信号光スペクトル幅が最小化される。別言すると、主信号光スペクトルのチャネル追加によって隣接チャネルとの間にクロストークが発生しないように主信号光スペクトルがLPF7115によって帯域制限される。
当該LPF7115の適用により、狭帯域化された主信号光スペクトルが光変調器713にて生成されて光伝送路20へ追加チャネルにて送信される(処理P42)。
その後、制御部73は、追加チャネルの主信号光スペクトル幅が徐々に拡大してゆくように(例えば図16の(3)を参照。)、LPF7115のフィルタパラメータ(タップ係数)を変更する(処理P43)。
本実施例においても、追加チャネルとは異なる他のチャネルは、既述のチャネル間隔モニタによって隣接チャネルとの間隔が適切な間隔になるように適応的に制御されてよい。
したがって、追加チャネルの隣接チャネルは、追加チャネルの主信号光スペクトル幅の拡大に応じて、徐々に追加チャネルから離れる方向にシフトしてゆく。
その後、制御部73は、例えば、対向局でモニタされたチャネル間隔の通知を受けて、追加チャネルの現状の主信号光スペクトル幅(帯域幅)が、主信号光をエラーフリーで伝送するのに足りる帯域幅にまで拡大されたか否かを判定する(処理P44)。
判定の結果、十分な帯域幅が確保されていなければ(処理P44でNOの場合)、制御部73は、十分な帯域幅が確保されるまで、LPF7115のフィルタパラメータの変更と帯域幅判定とを繰り返す。
十分な帯域幅が確保されれば(処理P44でYESの場合)、制御部73は、LPF7115のフィルタパラメータを、通常の主信号光スペクトル幅が得られるパラメータに変更する(処理P45)。これにより、光変調器713にて、通常の主信号光スペクトルをもつ追加チャネルの主信号光が生成されて、光伝送路20へ送信される。
以後、図16の(5)に例示したように、追加チャネルに対して、他のチャネルに対する既述の波長制御と同様の波長制御を適用してよい。これにより、追加チャネルを含む各チャネルのチャネル間隔がそれぞれ適切な間隔になるように適応的に制御される(処理P46)。
(その他)
なお、上述した例では、図16に例示したように、狭帯域化したテストパタンスペクトル(あるいは、主信号光スペクトル)の幅が徐々に拡大されるのに応じて、追加チャネルの隣接チャネル間隔がチャネル間隔制御によって広がる例について説明した。
しかし、例えば、予め隣接チャネル間隔を広げておいてから、追加チャネルを追加するようにしてもよい。例えば、クロストークを発生させずに追加チャネルの主信号光スペクトルを追加するのに足りる帯域幅が確保される程度に、予め隣接チャネル間隔を広げておいてよい。あるいは、当該隣接チャネル間隔の拡大制御の過程で、狭帯域化した追加チャネルのスペクトルを追加するようにしてもよい。
1 WDM光ネットワーク(光伝送システム)
10,10−1,10−2 光伝送装置
11,16,111 トランスポンダ
112 波長多重分離ブロック
112a マルチプレクサ(MUX)
112b デマルチプレクサ(DMUX)
113 光アンプブロック
113a,113b 光アンプ
114−1 ラインカード制御部
114−2 ネットワーク制御部
1111 広帯域(ワイドバンド:WB)光送受信モジュール
1112 フレーマ
1113 狭帯域(ナローバンド:NB)光送受信モジュール
12 波長多重器(マルチプレクサ:MUX)
15 波長分離器(デマルチプレクサ:DMUX)
20 光伝送路
30 光増幅器(光アンプ)
40,50 通信機器
70 トランスポンダ(モニタトランスポンダ)
71 送信器
711 送信デジタル信号処理部
7111 スペクトル整形部
7112 搬送波周波数制御部
7113 アナログ非線形性補償部
7114 周波数応答調整部
7115 LPF
712 DAC(Digital to Analogue Converter)
713 光変調器
714 送信光源
715 切替スイッチ(SW)
72 受信器
721 受信フロントエンド(FE)
722 ADC(Analogue to Digital Converter)
723 受信デジタル信号処理部
73 制御部
731 主信号データ取得部
732 波長間隔モニタ
733 周波数変調パタン生成部
734 テストパタン生成部
80 トランスポンダ(波長制御対象トランスポンダ)
81 送信器
811 送信デジタル信号処理部
812 DAC
813 光変調器
814 送信光源
82 受信器
820 周波数変調(FM)検波部
821 受信FE
822 ADC
823 受信デジタル信号処理部
83 制御部
830 搬送波周波数オフセットモニタ
831 周波数変調パタン復号部
832 波長制御量算出部
91 分散補償部
92 サンプリング位相同期部
93 適応等化部
94 周波数オフセット補償部
95 搬送波位相復元部

Claims (10)

  1. 複数波長の光を含む波長多重光を送信する光伝送装置であって、
    前記波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光を送信する送信器と、
    前記第3波長の光の送信開始時の帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い第1帯域幅に制御する制御部と、
    を備えた、光伝送装置。
  2. 前記送信器は、
    前記第3波長の光を駆動信号によって変調する光変調器を備え、
    前記制御部は、
    パタン信号を生成するパタン信号生成部を備え、
    前記送信開始時の前記駆動信号を、前記第1帯域幅の変調信号光が前記光変調器にて得られる前記パタン信号に制御する、請求項1に記載の光伝送装置。
  3. 前記制御部は、
    前記送信開始後に前記第1帯域幅が主信号光をエラーフリーで伝送するのに足りる第2帯域幅に向けて徐々に拡大されるように前記パタン信号を制御する、請求項2に記載の光伝送装置。
  4. 前記制御部は、
    前記第1帯域幅の前記第2帯域幅への到達に応じて、前記駆動信号を前記パタン信号から主信号に切り替える、請求項3に記載の光伝送装置。
  5. 前記パタン信号をデジタル信号処理にて周波数変調するデジタル信号処理部を備えた、請求項2〜4のいずれか1項に記載の光伝送装置。
  6. 前記送信器は、
    主信号の周波数特性をデジタル信号処理にて制御可能なデジタル信号処理部と、
    前記第3波長の光を前記デジタル信号処理された前記主信号にて変調して主信号光を生成する光変調器と、を備え、
    前記制御部は、
    前記デジタル信号処理における前記周波数特性を、前記第1帯域幅の前記主信号光が前記光変調器にて得られる周波数特性に制御する、請求項1に記載の光伝送装置。
  7. 前記制御部は、
    前記送信開始後に前記第1帯域幅が前記主信号光をエラーフリーで伝送するのに足りる第2帯域幅に向けて徐々に拡大されるように前記周波数特性を制御する、請求項6に記載の光伝送装置。
  8. 複数波長の光を含む波長多重光を送信する送信局と、
    前記波長多重光を受信する受信局と、を備え、
    前記送信局は、
    前記波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光を送信する送信器と、
    前記第3波長の光の送信開始時の帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い帯域幅に制御する制御部と、
    を備えた、光伝送システム。
  9. 前記受信局は、
    前記第1波長と前記第2波長との間隔をモニタし、モニタ結果を前記送信ノードに通知する、請求項8に記載の光伝送システム。
  10. 波長多重光において隣接する第1波長と第2波長との間に設定される第3波長の光の送信開始時における帯域幅を、前記第1波長及び前記第2波長との間隔よりも狭い帯域幅に制御する、送信波長制御方法。
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