JP2016131232A - 半導体基板、半導体装置の製造方法、半導体装置の製造装置、太陽電池および太陽電池の製造方法並びに太陽電池の製造装置。 - Google Patents

半導体基板、半導体装置の製造方法、半導体装置の製造装置、太陽電池および太陽電池の製造方法並びに太陽電池の製造装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン基板表面での可視光領域の低反射率と、シリコン表面の少数キャリアの高移動度化を達成して、半導体装置の特性を向上する。
【解決手段】シリコン基板の表面に化学的構造転写法(SSCT法)でSiナノクリスタル層を形成した後、Siナノクリスタル層上に化学的形成の二酸化シリコン(SiO)膜及び/又は価電子供給源を含む酸化物主体の薄膜を形成して、800〜900℃の高温酸素雰囲気中で加熱アニール処理及び/又は400〜500℃の水素雰囲気中でアニール処理することにより、シリコン基板表面での可視光領域の極低反射率を維持するとともに、外部量子効率(EQE)特性から反射効率を考慮して見積もった内部量子効率(IQE)特性の改善及びシリコン基板表面での少数キャリアライフタイムの向上並びに高い表面パッシベーション効果を得る。
【選択図】図23

Description

本発明は、シリコン基板の表面に微細なナノクリスタル構造層を形成することに係る半導
体基板、半導体装置の製造方法、半導体装置の製造装置、太陽電池および太陽電池の製造
方法並びに太陽電池の製造装置に関するものである。
従来、シリコン基板(Siウェハ)に対して、白金等の触媒金属の微細粒子が共存するフ
ッ化水素酸・過酸化水素水(HF・H)混合溶液に作用させると、Siウェハの表
面に、上記触媒金属の存在によって、開孔及びその開孔周辺での微細な多孔質層が形成さ
れること、そして、この技術を太陽電池の受光面に適用することにより、光反射率を低減
させて、太陽電池に利用することは知られている(特許文献1)。
しかし、一方で、上述の従来技術では、その処理後に、上記溶液中の白金等の触媒金属の
粒子がSiウェハの表面に付着・残存したままで、これが、例えば半導体表面のキャリア
特性を低下させる要因となることの懸念になり、太陽電池の性能向上には、かかる要因の
影響を除くことを含め、解決すべき課題がある。
本願の発明者は、先に、白金メッシュ等をローラーに装着して用いて、シリコン基板を酸
化しかつ溶解し得る,例えば上述のフッ化水素酸・過酸化水素水(HF・H)混合
溶液等の処理溶液中で、上記白金メッシュ等を処理対象のシリコン基板に対向配置して接
触又は近接させたとき、同白金メッシュ等が、その表面形状を処理対象のシリコン基板表
面の広い面積において、酸化と溶解との反応における触媒作用をなして、短時間に、その
シリコン基板表面を微細なナノクリスタル構造層に作り替える,転写用部材となること、
すなわち、同白金メッシュ等を転写用部材として利用する技術(以下、この種の技術を化
学的構造転写法−Surface Structure Chemical Transfer−SSCT法と称する)を提示
し、それにより、シリコン基板を低反射光特性の表面になして、高い光電変換性能の太陽
電池を製造することを提案している(特許文献2)。
また、本願の発明者は、転写用部材の形状として、メッシュに限らず、貫通孔及び/又は
非貫通孔が形成された触媒材、アイランド状の触媒材あるいは平板状の触媒材を用い得る
こと、さらに、上述の処理溶液中に1%以下の銀イオンなど少量の金属イオンが含まれて
いてもよいことを提示した(特許文献3)。
かかるSSCT法を用いる場合においても、極低反射率を持ったシリコン基板表面を、迅
速、確実に形成すること、並びにそのシリコン基板表面部におけるキャリア特性を安定に
維持すること、また、それらを実現するための方策、手法として、上述の転写用部材の形
状、構造、製作手法等には、更なる創意工夫が求められ、例えば、白金箔の転写用部材を
ローラーの表面に巻き付けて利用することについても提案している(特許文献4)。
特開2005-183505号公報 国際特許公開:WO2011/099594 国際特許公開:WO2013/024746 国際特許公開:WO2014/142304
本発明の目的は、上述の従来例のような転写用部材の機能を一層高めてSSCT法により
、迅速に、シリコン表面を極薄、微細なナノクリスタル構造層に形成し、その機能を最大
限に向上することの可能な半導体基板、半導体装置の製造方法、半導体装置の製造装置、
太陽電池および太陽電池の製造方法並びに太陽電池の製造装置を実現すること、さらには
、その微細なナノクリスタル構造層形成に利用する転写技術並びにナノクリスタル構造層
を有するシリコン基板自体の有用性に係る技術を提供することにある。
本発明は、結晶シリコン基板の表面に、シリコンナノクリスタル層と、その表面に化学的
酸化膜形成の二酸化シリコン(SiO)膜(以下、これをNAOS膜という。)及び/
又はリン珪酸ガラス(PSG)あるいはホウ珪酸ガラス(BSG)等のn型又はp型の不
純物拡散用の酸化物主体の薄膜を設けて、酸素雰囲気及び/又は水素雰囲気中で加熱処理
することを基礎的要件に備える,半導体基板、半導体装置の製造方法、半導体装置の製造
装置、太陽電池および太陽電池の製造方法並びに太陽電池の製造装置の実現であり、これ
により、可視光領域での反射率が3%以下、かつ、少数キャリアライフタイムの向上及び
表面のパッシベーション機能の向上を達成した半導体装置を作製することができる。
本発明の一つの半導体装置の製造方法は、シリコン(Si) 基板表面にSSCT法でS
iナノクリスタル層を形成し、その上に化学的酸化膜形成のNAOS膜及び/又はPSG
/BSG等のn型又はp型不純物拡散用の薄膜を形成し、さらにドライ酸素雰囲気中、例
えば900〜1000℃での加熱アニール処理及び/又は水素雰囲気中、例えば400〜
500℃でのアニール処理を施すことであり、これにより、pn接合形成の太陽電池での
表面のパッシベーション機能を高めるとともに、シリコン(Si)基板表面の少数キャリ
アライフタイムを著しく増大させて、高効率、高性能特性の半導体装置を達成することに
大きく寄与するものである。
本発明の他の一つの太陽電池の製造方法は、シリコン(Si) 基板表面にSSCT法で
Siナノクリスタル層を形成し、その上に、NAOS膜及び/又はPSGあるいはBSG
等のn型又はp型不純物拡散用の酸化物主体の薄膜を形成した後、ドライ酸素雰囲気中で
900〜1000℃での加熱アニール処理及び/又は水素雰囲気中で400〜500℃で
のアニール処理する機能設備を備えて、これにより、シリコン(Si)基板表面にpn接
合を形成して、このpn接合を備えた太陽電池でのシリコン(Si)基板表面の少数キャ
リアライフタイムを著しく増大させるとともに、同表面のパッシベーション効果を高めて
、この種の太陽電池における高効率、高性能な特性を実現することに貢献するものである
本発明のもう一つの太陽電池の製造装置は、シリコン(Si) 基板表面にSSCT法で
Siナノクリスタル層を形成し、高濃度硝酸中に浸漬して、前記表面のSiナノクリスタ
ル層上にNAOS(SiO)膜を形成する機能、及びドライ酸素雰囲気中で加熱アニー
ル処理及び/又は水素雰囲気中でアニール処理する機能を備え、これにより、pn接合を
備えた太陽電池の表面パッシベーション効果を得るとともに、シリコン(Si)基板表面
の少数キャリアライフタイムを著しく増大させて、pn接合を備えた太陽電池の高効率、
高性能な特性を実現することに貢献するものである。
本発明によって、Si基板面にSSCT法でSiナノクリスタル層を形成した後、高濃度
硝酸中に浸漬してそのSiナノクリスタル層上に化学的酸化膜形成によりNAOS膜を形
成し、もしくは、PSGあるいはBSG等のn型又はp型不純物拡散用の酸化物主体の薄
膜を形成して、高温の酸素雰囲気中で加熱アニール処理及び/又は水素雰囲気中でアニー
ル処理を施すことにより、高い表面パッシベーション効果を得ることに加えて、Si基板
表面での少数キャリアライフタイムを著しく増大させるという効果を奏すことによる半導
体装置の性能向上、とりわけ、太陽電池への利用で高効率、高性能な特性を実現すること
ができる。
本発明の実施形態による単結晶シリコン基板表面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板断面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板表面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板表面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板表面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板断面のTEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板断面のTEM(写真)図である。 本発明の実施例による単結晶シリコン基板断面の拡大TEM(写真)図である。 本発明の実施例によるナノクリスタル構造層を有するシリコン基板表面の反射率特性図である。 本発明の実施例による多結晶シリコン基板の表面のSEM(写真)図である。 本発明の実施例による多結晶シリコン基板の断面TEM(写真)図である。 本発明の実施例による多結晶シリコン基板表面の反射率特性図である。 本発明の他の実施例による多結晶シリコン基板の表面のSEM(写真)図である。 本発明の他の実施例による多結晶シリコン基板の断面TEM(写真)図である。 本発明の実施例3によるナノクリスタル構造層を有するシリコン基板表面の反射率特性図である。 本発明の実施例4によるナノクリスタル構造層を有するシリコン基板表面の反射率特性図である。 本実施例により得られたpn接合型単結晶シリコン太陽電池の特性図である。 本発明の実施例のSi基板表面部の断面TEM画像図である。 本発明の実施例の反射率特性図である。 本発明実施例半導体基板から得られた少数キャリアライフタイム並びに擬定常状態フォトコンダクタンス測定結果による潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]の特性図である。 本発明の実施例のSi基板表面部の断面構造による工程フロー図である。 本発明の実施例太陽電池の出力特性図である。 本発明の実施例太陽電池の反射率、及び量子効率特性図である。 本発明の別の実施例のSi基板表面部の断面構造による工程フロー図である。 本発明の他の実施例太陽電池の構造断面図である。 本発明の実施例による水素アニール処理効果の一例を示す特性図である。 本発明の実施例による水素アニール処理効果の他の例を示す特性図である。
つぎに、本発明を、実施の形態である一実施例により、図面を参照して詳細に述べる。
フッ素樹脂のトレーに50wt%濃度のフッ化水素酸(HF)と30wt%濃度の過酸化
水素水(H)とを体積比1:1で混合したフッ化水素酸と過酸化水素水との混合溶
液200mlを用いて、銀の粒子を100ppm溶解させて調製した。その溶液中におい
て、200メッシュの白金メッシュを室温で10秒間浸漬した後、このメッシュを取り出
し、流水で2分間洗浄し、同白金メッシュ体に微量の銀を担持させる。
化学的構造転写法において、微量の銀を担持した上記白金メッシュを用いて、50wt%
濃度のフッ化水素酸(HF)と30wt%濃度の過酸化水素水(H)とを体積比で
フッ化水素酸(HF)水 : 過酸化水素水(H)=1:3,1:1,3:1,5:
1,10:1のそれぞれの比率に混合した5種のフッ化水素酸水と過酸化水素水との混合
溶液で、各種とも、500mlのフッ素樹脂容器内において、p型で面方位(100)の
片面ミラー面、比抵抗:1〜20Ωcmの5cm角に切断した単結晶シリコン基板を試料
に用いて、上記の銀担持白金メッシュを所定のローラー面に装着して、上記試料面に上記
の銀担持白金メッシュを、室温で約30秒間のローラーによる数度の回転処理で接触させ
、流水洗浄し、窒素ブロー処理後、上記5種の各混合溶液で処理したシリコン基板面のS
EM観察結果を図1〜図5の各SEM(写真)図に示した。図1〜図5の各SEM(写真
)図に見られるように、いずれの場合にも上記シリコン基板面にシリコンナノクリスタル
層の形成されていることが確認できた。
図6及び図7は、本実施例により得られた事例2つ(体積比でフッ化水素酸 : 過酸化水
素水=3:1、及び同10:1のそれぞれに混合したフッ化水素酸と過酸化水素水との混
合溶液を使用した場合)の単結晶シリコン基板の表面近傍の断面TEM(透過電子顕微鏡
写真)の各図であり、図6及び図7のどちらにも、シリコン基板1の表面には約100n
mのシリコンナノクリスタル構造層2が形成されていることが分かる。
なお、図6及び図7でアルミニウム蒸着層3は、TEM(透過電子顕微鏡写真)観察に際
して、上記シリコンナノクリスタル構造層2の表面界域を明示するための方策として設け
たものであり、完成の装置にそのまま存在させるものではない。
図8は、シリコンナノクリスタル構造層2の領域の断面を主体的に示す部分拡大のTEM
(写真)図であり、これによって、シリコンナノクリスタル構造層2の内部には、同図中
の矢印先端にみられる通りの,約2〜8nmの粒径で、単結晶シリコン基板1の領域にみ
られるものと同様に結晶構造が揃って観察される。すなわち、単結晶シリコン基板1に対
して、上記フッ化水素酸と過酸化水素水との混合溶液を使用して化学的構造転写法を適用
した場合、シリコンナノクリスタル構造層2内に微細な粒径の結晶構造が揃って存在する
態様が明らかであり、これにより、このシリコンナノクリスタル構造層2の中に、まさし
くナノクリスタル構造の微細な粒径結晶が存在することを確認できる。
上記ナノクリスタル構造層を形成して、株式会社コベルコ科研製のライフタイム測定装置
LTA―1510を用いて、少数キャリアのライフタイムを測定したところ、その値(1
/eでの評価値で)が、上記ナノクリスタル構造層形成直後には10μsであり、引続
き900℃,10分の熱酸化を行ったところ、15μsへ、さらに、450℃,5%水素
/95%窒素中のアニール処理45分で174μs以上へと、大きく改善されることが分か
った。また、同様の試料で、上記熱酸化に代えて、濃度70wt%の硝酸中で,70℃,
10分の硝酸処理を行うと、 ライフタイムは、硝酸処理前の9μsから、処理後に10
μsへ、さらに、450℃,5%水素/95%窒素中のアニール処理で17μsへと、ほぼ
2倍の改善が見られた。
これらの透過電子顕微鏡(TEM)写真の各図からは、シリコンナノクリスタル構造層の
表面及び層内に微細な細孔や金属微粒子の存在は認められない。シリコンナノクリスタル
構造層の厚みは約100nmであるが、かかる厚みは処理時間を制御することにより、3
0nmから500nm程度が可能である。
加えて、本実施例で得られたシリコンナノクリスタル構造層は、365nmの紫外光照射
で概ね600nm〜800nm波長のオレンジ色発光が観察されることから、バンドギャ
ップが、通常のシリコンの場合の1.1eVより大きい,約1.5eVから約2.0eV
に拡大していることを確認することができた。上記オレンジ色の発光は、TEMで見られ
た数nm程度(約2〜8nm)の粒径の微細結晶構造からの発光と考えられる。
また、銀を担持させて、流水洗浄したが、流水洗浄後に数百度の加熱処理を行い、
銀粒子と白金メッシュの付着強度を上げることも有効である。
なお、上記白金メッシュには、白金と銀との合金あるいはニッケル(Ni)−白金−銀の
合金のメッシュを用いることによっても、シリコン表面に所望のナノクリスタル構造層を
形成することができる。
さらに、転写用部材の母体には、白金と白金以外の触媒機能を有する他金属との合金、同
触媒機能を有する金属と溶液に不溶の別金属との合金、同触媒機能を有する金属を含む不
織布等の合成体を用いることができる。いずれの場合も、母体の転写用部材の表面部には
微量かつ適度の銀を担持し得るものが利用可能である。
図9は、本実施例による光波長域300〜800nmでの表面反射率特性を示し、反射特
性では表面反射率が5%以下の低反射率特性である。これは、表面のナノクリスタル構造
層の存在により、通常のシリコン基板にくらべて、表面反射率が顕著に低減されているこ
とを示している。
つぎに、本発明を、実施の形態である多結晶シリコン基板の表面処理過程により、図面を
参照して詳細に述べる。
400メッシュの白金の構造体を転写用部材として、この転写用部材を過酸化水素(H
)水とフッ化水素(HF)酸との混合水溶液中で多結晶シリコン基板に接触させて、
その多結晶シリコン基板表面にシリコンナノクリスタル構造層を形成した。詳細には、上
記多結晶シリコン基板として、p型のアズスライス,比抵抗1〜20Ωcm,基板の大き
さ5cm×5cm(5cm角),厚さ約200μmを、予め、表面のアルカリエッチ(K
OH:21wt%水溶液の500ml中,フッ素樹脂容器内で実施)で80℃10分間の
処理後、水洗2分を2回、窒素(N)ブロー乾燥した。次に、50wt%濃度のフッ化
水素(HF)酸と30wt%濃度の過酸化水素(H)水とを体積比3:1で混合し
て銀イオンを1ppm程度含ませた,フッ化水素(HF)酸と過酸化水素(H)水
との混合水溶液内(フッ素樹脂のトレー内の200mlを使用)で、上記転写用部材を所
定のローラーに装着して、上記多結晶シリコン基板の主表面に約10秒間接触させる。そ
の後、流水洗浄及び窒素(N)ブロー乾燥を行った。
上述の処理の結果を示す図10のSEM写真図から、その多結晶シリコン基板の表面は数
十nm以下の微細な粒子状結晶構造群からなっていることが観察された。
図11は断面の透過電子顕微鏡写真(TEM像)であり、多結晶シリコン基板1上の形成
されたシリコンナノクリスタル構造層2と、これにアルミニウム蒸着層3を設けた断面を
表している。図11の透過電子顕微鏡(TEM)写真で示されるように、シリコンナノク
リスタル構造層2の厚さは約100nm以上であることが分かる。また、シリコンナノク
リスタル構造層2内には、単結晶と同様に、数nm程度の微細な結晶構造が認められた。
また、本実施例で得られたシリコンナノクリスタル構造層は、紫外光照射(例えば、UV
ブラックライトによる照射)で単結晶シリコンの場合と同様に、概ね600nm〜800
nm波長のオレンジ色発光が観察された。
図12では、シリコン基板表面の反射率を比較して表しており、図中の特性曲線(a)は
本実施例のSSCT法を実施する以前の多結晶シリコン基板の反射率特性、図中の特性曲
線(b)は本実施例後のSSCT法による多結晶シリコン基板の反射率、さらに図中の特
性曲線(c)は,比較例として,面方位(100)単結晶シリコンに異方性アルカリエッ
チングを行って得たマットテキスチャー面の反射率を示した。
本実施例によると、図12中の特性(b)に示される通り、フッ化水素酸と過酸化水素水
との混合水溶液に微量の銀が含まれた溶液内で所定の白金ローラーに装着した上記転写用
部材を多結晶シリコン基板に接触させて、その多結晶シリコン基板表面にシリコンナノク
リスタル構造層を形成した場合には、同多結晶シリコン基板の反射率特性が、波長300
−800nmの光波長域において、平均値で3%以下と、顕著な低レベルになっており、
シリコンナノクリスタル構造層の生成により、この光波長領域における光吸収率を向上さ
せて、太陽電池の変換効率向上に寄与できる。
加えて、少数キャリアのライフタイム測定で、そのライフタイムは、シリコンナノクリス
タル構造層の形成後には約5μs(10−6秒)であることがわかり、形成前の約1μsで
あったことと比較して、約5倍に増大していることが認められた。
更に、転写用部材には、前記実施例1で述べたような,銀を担持させた白金メッシュを用
いても良い。
つぎに、本発明の他の実施の形態を実施例により、詳細に述べる。
まず、50wt%濃度のフッ化水素酸(HF)と30wt%濃度の過酸化水素水(H
)とを体積比でフッ化水素酸(HF)水 : 過酸化水素水(H)=1:1に混合
したフッ化水素酸水と過酸化水素水との混合溶液内に、銀の粒子を1ppm溶解させて処
理用溶液を調製した。
つぎに、厚さ約20ミクロン(μm)の白金箔を所定のローラーに卷きつけてなる白金の
構造体をSSCT法における転写用部材として用い、この転写用部材を、フッ素樹脂容器
(容量約500mlのトレー)内の,上記銀の粒子を1ppm溶解させた処理用溶液20
0ml中おいて、p型で面方位(100)の片面ミラー面、比抵抗:1〜20Ωcmの5
cm角に切断した単結晶シリコン基板面に対して、室温で、ローラーを回しながらの移動
処理を所要時間約30秒の間に3回往復(6回反復)して接触させて行った。
その後、上記単結晶シリコン基板面を流水洗浄し、次いで窒素ブロー処理した後に上記単
結晶シリコン基板面を観察したSEM図(写真)を図13に示す。これは、上述の実施例
2で得られた結果、すなわち、図5のSEM(写真)図とほとんど同様である。
また、図14は断面の透過電子顕微鏡写真(TEM像)であり、本実施例の場合も、実施
例2で述べた図7の透過電子顕微鏡写真(TEM図)と同様に、シリコンナノクリスタル
構造層2の厚さは約100nm以上であることが分かる。
本実施例では、単結晶シリコン基板を用いたが、多結晶シリコン基板を用いた場合にも、
そのシリコン基板の表面にナノクリスタル層を形成することが可能である。
なお、本実施例でのローラーへの印加圧力は、ローラーの自重のみで、それ以外の付加圧
を与えていないが、経験的に適宜設定したものであり、同ローラーの移動速度並びに移動
処理反復回数等と兼ね合わせて、対象のシリコン基板や対応装置の大きさ、温度等の環境
に応じて、最適条件に設定し得ることは当然である。
処理用溶液の調製にあたり、本実施例の50wt%濃度のフッ化水素(HF)酸と30w
t%濃度の過酸化水素(H)水とを体積比でフッ化水素酸(HF)水 : 過酸化水
素水(H)=1:1に混合したフッ化水素酸と過酸化水素水との混合溶液以外に、
前述の実施例1の場合のように、50wt%濃度のフッ化水素(HF)酸と30wt%濃
度の過酸化水素(H)水とを体積比でフッ化水素酸(HF)水 : 過酸化水素(H
)水=1:3,3:1,5:1,10:1のそれぞれに混合したフッ化水素酸と過
酸化水素水との混合溶液のいずれかを用いること、或いはフッ化水素酸と過酸化水素水と
の混合比を適宜変えて利用することも可能である。
図15は、本実施例によるナノクリスタル層を有するシリコン基板の光波長域300〜8
00nmでの表面反射率特性を示し、反射特性では表面反射率が概ね3%以下の低反射率
特性である。これは、前述の実施例1の場合と対比しても、一層安定な低反射特性であり
、転写用部材が白金箔であること、及び銀を1ppm溶解させた処理用溶液を用いたこと
による作用で、表面の全域にナノクリスタル構造層が形成されたことによるものである。
なお、上記白金箔には、白金のみに限らず、白金と銀との合金あるいはニッケル(Ni)
−白金−銀の合金箔、あるいは白金と金属等との混合乃至積層構造体からなるものを用い
ることによっても、シリコン表面に所望のナノクリスタル構造層を形成することができる
さらに、転写用部材の母体には、触媒機能を有する白金以外の金属との合金、同触媒機能
を有する金属と溶液に不溶の金属との合金、耐薬品性を有する薄膜の樹脂や不織布等の合
成体を用いることもできる。そして、上記転写用部材は、ローラーに巻きつけての加圧や
薬液中での移動による耐薬品性などの耐用性の面から、白金部分が少なくとも1μm以上
であり、白金以外の構造も含めて、全体の厚みが10〜50μmであれば十分に利用可能
である。
つぎに、本発明の他の実施例として、太陽電池及びその製造方法について詳細を述べる。
まず、p型単結晶シリコン基板((100)面のp−Si,厚さ725μm,比抵抗7〜
11Ωcm,面積5×5cmを5枚単位で処理)を用い、フッ素樹脂製の容器内で、同
基板を100mlの濃度5wt%のフッ化水素(HF)酸中、室温で、2分間の洗浄処理
を行った。
つづいて、塩化ビニール製の容器内で、濃度50wt%のフッ化水素(HF)水100m
lと濃度30wt%の過酸化水素(H)水溶液100mlとの混合液を1容器中に
準備し、これに銀(Ag)の溶解した薬液(上記同様のフッ化水素(HF)水と過酸化水
素(H)水との1:1混合比の溶液)を、銀(Ag)量が1ppmとなるように注
入して処理液を調製し、この処理液中で、ローラーに厚さ約20μmの白金箔を巻きつけ
た状態で、その白金箔を上記シリコン基板表面に接触させる。上記ローラー及び白金箔の
接触操作は、ローラーの自重のほかには外部加重はなしで、上記シリコン基板の表面を、
白金箔面の移動速度1cm/sで、約30秒間に6回(往復3度)程度接触させるように
反復移動させた。なお、上記薬液中のフッ酸(HF)の代りに、フッ化アンモニウム溶液
あるいはその混合物を用いてもよい。また、銀(Ag)添加に際しては、銀粒子のほか、
塩化銀或いは硝酸銀等、或いはその他の化合物ないしは銀の錯体又は銀錯体イオンでもよ
く、銀の添加量も0.1〜50ppmの範囲で選択できる。
この操作過程によって、上記処理液中では白金及び銀による触媒作用で、シリコン基板表
面の結晶層が微細構造化する,いわゆるSSCT法の過程で化学的反応が生じ、同シリコ
ン基板の表面領域では約200nmの深さでシリコンナノクリスタル構造層が形成される
ことが見出された。
次に、上記シリコン基板のナノクリスタル構造層表面を、フッ素樹脂容器内で、100m
lの濃度70wt%の硝酸(HNO)水溶液中、室温で10分間処理して、上記ナノク
リスタル構造層内に残留した銀を溶解し、さらに濃度5wt%のフッ化水素(HF)酸で
2分間処理後、水洗処理を行った。
その後は、上記面積5×5cm(5cm角) のp型単結晶シリコン基板を、その各端
をダイヤモンドペンカッターで更に切断して、中央部の面積2.5×2、5cmの領域
を取り出し、そのp型単結晶シリコン基板を、フッ素樹脂容器内で100mlの濃度70
wt%の硝酸(HNO)溶液中、室温で10分間処理して引揚げ、さらに上記ナノクリ
スタル構造層表面にP含有の有機ケイ酸からなる被膜形成用コート剤(溶液)を滴
下、スピンコート(3000rpm,30分)後、空気中150℃の乾燥処理で、リン酸
・ケイ酸含有被膜を形成した。
他方、同p型単結晶シリコン基板の裏面側には、別の同形の単結晶シリコン基板表面にB
含有の有機ケイ酸からなる被膜形成用コート剤(溶液)を滴下、スピンコート(3
000rpm,30分)後、空気中150℃の乾燥処理でリン酸・ケイ酸含有被膜を形成
して、そのリン酸・ケイ酸含有被膜面を上記p型単結晶シリコン基板の裏面に向い合せに
重ね接触(貼り合せ)して配置した。
そして、上述の2枚のシリコン基板を重ね接触(貼り合せ)した状態で横置きに配置して
、一旦、両者の単結晶シリコン基板を酸素中、600℃、30分間の積層処理でそれぞれ
の被膜のガラス化(PSG,BSG)処理を行った後、さらに、(窒素(N)中、97
0℃で15分間の同時拡散処理を行って、表面側にn型領域及び裏面側にp領域を形
成した。
なお、この一連の処理過程の後には、上述の2枚のシリコン基板が互いに付着することは
なく、簡単に剥がして外すことができる。
次に、表面側にn型領域及び裏面側にp領域の形成された上記p型単結晶シリコン基
板は、その各端面にp及びn層が回り込んで拡散されているので、その部分をダイヤ
モンドやすりで削り取った。
最後に、フッ素樹脂製の容器内で、同基板を100mlの濃度5wt%のフッ化水素(H
F)酸中、室温で、2分間の洗浄処理を行った後に、表面側のn型領域に厚さ1μmの
銀(Ag)層の標準的ストライプ型表面電極をパターン蒸着により設け、他方の裏面側の
型領域には厚さ1μmのアルミニウム(Al)層の裏面(全域)電極を蒸着により設
けた後、窒素中200℃で45分間のアニール処理を行って、pn接合型太陽電池を作製
した。
図16は本実施例によるナノクリスタル構造層を有するシリコン基板の上記表面側のn
型領域前の光波長域300〜800nmで約2%以下の表面反射率特性図であり、先述の
実施例3で述べた図15の場合と比べると、シリコン基板の比抵抗の違いによる多少の差
異がみられるものの、極低反射率特性が安定して得られていることが分かった。
図17は、本実施例により得られたpn接合型太陽電池の,疑似太陽光光源AM1.5か
らの光照射で得られた,電流密度(mA/cm)―電圧特性図であり、図中、実線の特
性が本実施例のシリコンナノクリスタル層表面構造を有するもの、図中、点線の特性が同
表面構造の形成を行わなかったものである。図17の特性図から、本実施例の太陽電池で
は、光電流密度(短絡電流密度:Jsc)は40.3mA/cm、Voc(開放端電圧
:Voc)は589mV、光電変換効率は17.6%と、それぞれ高性能が得られた。因
みに、表面構造の形成を行わなかったものでは、図17の特性図中の点線の特性に示した
ように、光電流密度(短絡電流密度:Jsc)が28.0mA/cm、Voc(開放端
電圧:Voc)が582mV、光電変換効率が12.5%であり、それに比較して、本実
施例により得られたpn接合型太陽電池の場合は、図17中の実線の特性に見られるよう
に、光電流密度(短絡電流密度:Jsc)が大きく増加しており、また、光電変換効率は
17.6%へと、その増大も顕著であることが明白であった。
この特性は、表面に反射防止膜をそなえていないこと、表面のパッシベーション処理や、
バックサーフェースフィールド((BSF)の形成及び最適化も行っていないときの事例
であり、それらを適切に施すことで、最終製品化においては、太陽電池の変換効率をさら
に高め得ることが十分に期待できる。
本実施例では、p型シリコン基板を用いたが、n型基板を用いて同様に太陽電池を作製す
ることも可能である。
厚さ725μm、比抵抗8〜12Ωcm、直径8インチの(100)面のp型単結晶シリ
コン基板から、面積5×5cmの試料を準備して、まず、各試料をフッ素樹脂製の容器
内において、濃度96wt%の硫酸と濃度30wt%の過酸化水素水を容積比で4対1に
混合した硫酸・過酸化水素水(以下、硫酸過水という)の200cc中で70℃、10分
間の洗浄処理を行い、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒素(N)ブロ
ーによる約20秒〜30秒間の乾燥処理を行った。次に、この試料を別のフッ素樹脂製の
容器内において、濃度0.5wt%のフッ化水素酸中で、室温、2分間の洗浄処理を行い
、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒素N)ブローによる約20秒〜3
0秒間の乾燥処理を行った。
つづいて、塩化ビニール製の容器(バット)内に、濃度50wt%のフッ化水素(HF)
水100ccと濃度30wt%の過酸化水素(H)水100ccとの混合液に銀イ
オン(Agイオン)1ppmを含ませた薬液(以下、本実施例で使用のSSCT薬液と
いう)を用意して、このSSCT薬液中で、筒状ローラーに厚さ約20μm、幅長10c
m×10cmの白金箔を巻き付けた状態で、その白金箔面の周面を上記試料のシリコン基
板表面に接触させて、そのシリコン基板面にSSCT法によりSiナノクリスタル構造層
を形成した。
上記ローラー及び白金箔の接触操作は、ローラーの自重のほかには外部加重はなしで、上
記シリコン基板の表面を、白金箔面の周面移動速度2cm/sで、約30秒間に往復6回
反復移動させて行った。この処理後、70wt%硝酸200cc中で室温、10分間の処
理を行い、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒素(N)ブローによる約
20秒〜30秒間の乾燥処理を行った。これにより、本実施例でのSSCT法過程におい
て試料基板シリコンの表面に付着可能性のある銀(Ag金属またはAgイオン)が除去
できる。
なお、シリコン基板面にSiナノクリスタル構造層を形成するSSCT法の過程及びSS
CT法過程後の硝酸中での処理及び流水洗浄処理は、上記試料のシリコン基板の裏面に対
しても同様に行った。
図18にSSCT処理後のシリコン基板の表面部の断面TEM画像を示す。上記処理液中
で、白金がシリコン基板に接触ないしは近接した際に触媒作用をなして、シリコン基板1
の表面がナノクリスタル構造層2となり、同シリコン基板1の表面領域では約200nm
の深さでシリコンナノクリスタル構造層2が形成された。図18中の(a)は断面TEM
画像の全体図であり、(b)及び(c)は1次拡大図及び2次拡大図で、それぞれ、シリ
コンナノクリスタル構造層内部の微細構造を詳細、かつ実態的に断面観察して示したもの
である。図18(特に図18(a)中)では、シリコンナノクリスタル構造層の表面に設
けたAl(アルミニウム)層に関して説明しないが、TEM観察に際して、シリコンナノ
クリスタル構造層の表面(境界)を鮮明化するためにAl(アルミニウム)層を蒸着材で
設けるのは通常使用の便利な方策である。
つぎに、p型単結晶シリコン基板(試料)の上記ナノクリスタル構造層表面にp型又はn
型の不純物拡散用の酸化物主体の薄膜の形成に関して代表的な有機ケイ酸溶液からなるn
型不純物源のリンケイ酸ガラス(以下、PSGと記す)被膜形成用コート剤を滴下、スピ
ンコート(3000rpm,30秒)後、空気中150℃の乾燥処理で、PSG被膜形成
用コートを形成した。PSG被膜形成用コートはp型単結晶シリコン基板(試料)の裏面
にも同じ工程で形成した。
上記PSG被膜形成用コートを形成した試料は、酸素中、600℃、30分間のガラス化
(PSG化)処理を行った後、さらに、窒素(N)中、970℃、15分間のシリコン
基板への不純物拡散導入の処理を行い、表面抵抗値が約50Ω/□になるn型領域を形
成した。その後、0.5%濃度のフッ酸200cc中で、室温、2分間の処理を行い、引
続き1分間の超純水による流水洗浄処理と窒素(N)ブローによる約20秒〜30秒間
の乾燥処理を行って、残存PSGの除去並びにシリコン基板(試料)表面の清浄化を行っ
た。
次に、本実施例では、シリコン基板(試料)を、70℃の濃度70wt%の硝酸中で、1
0分間浸漬して、その表面に化学的酸化膜形成の処理により二酸化シリコン主体の酸化膜
を形成した。この酸化膜の形成は、NAOS処理、或いはNAOS膜形成過程と称し、シ
リコン基板の表面パッシベーションに有効である。
その後、本実施例では、この試料のシリコン基板に対して、100%酸素のドライ雰囲気
中900℃、10分の加熱アニール処理、及び100%水素雰囲気中450℃、30分の
水素アニール処理を実施した。
図19は、SSCT処理実施例によるナノクリスタル構造層を有するシリコン基板(試料
)の表面反射率特性図であり、シリコン基板にナノクリスタル構造層形成直後では光波長
域300〜800nmの反射率が、実線表示のように平均的に約2%以下であるのに対し
、酸化アニール処理後は点鎖線表示のように約3%程度が得られた。これは酸化アニール
処理によりナノクリスタル構造層の微細構造部分に影響を与えている結果と考えられるが
、それでも反射率への影響は僅かであり、十分に極低反射率特性レベルが維持できている
。なお、PSGによる拡散層処理とその後のフッ酸処理により、シリコン基板表面の反射
率は5〜7%へと少し高くなったが、ナノクリスタル構造層のない従来レベルに比べると
、十分な低反射率特性が得られている。
図20は、本処理実施例により得られた,擬定常状態フォトコンダクタンス測定結果から
算定される,潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]を表示した比較特性
図である。この潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]測定値は、[シン
トン社(Sinton Inst.)製 WCT−120]の測定装置を用いて得られた
ものである。
測定試料には、シリコン基板表面にNAOS処理によるNAOS膜の形成を実施したもの
で、図20中での左縦軸に示す棒グラフの潜在的解開放端電圧[Implied Voc
(mV)]の値は、同NAOS処理を実施しないものと比較して、シリコン基板1の表面
にn型領域を形成して、残存PSGの除去並びにシリコン基板(試料)表面の清浄化の
洗浄処理を行なった直後(PSG除去後)のもの、900℃、100%酸素によるドライ
酸素中での加熱アニール処理(熱酸化後)、及び100%水素中450℃でのアニール処
理後(水素処理後)のもので測定した結果を示したものである。なお、図20中での右縦
軸に示す値は、表面部の少数キャリアライフタイム測定値(1/e)を鎖線で結んで表し
たものであり、潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]の値と相関のある
ことが明らかである。
これによると、PSG除去後、すなわちn型領域形成直後では、NAOS膜の形成の有
無にかかわらず、太陽電池の出力性能を左右する,潜在的開放端電圧[Implied
Voc(mV)]が約596mVのほぼ同じ値であり、一方、実施例の900℃、ドライ
酸素中での加熱アニール処理後は、NAOS膜有りでは潜在的開放端電圧[Implie
d Voc(mV)]が約625mV、同NAOS無しでは潜在的開放端電圧[Impl
ied Voc(mV)]が約627mV、さらに100%水素中450℃でのアニール
処理後にはNAOS有りでは潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]が約
638mVへと、同NAOS膜無しの潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV
)]が約635mVより向上している。
とりわけ、100%水素中450℃でのアニール処理後においては、NAOS膜の形成を
実施したことにより、潜在的解放端電圧[Implied Voc(mV)]が約638
mVへと、著しい向上が認められた。すなわち、900℃、100%酸素によるドライ酸
素中での加熱アニール処理、及び450℃、100%水素中でのアニール処理は、それら
のアニール処理を行なわなかった場合より、性能向上に寄与する効果が大である。
図20の結果から、シリコン基板1の表面にシリコンナノクリスタル構造層2を備え、さ
らに、前記シリコンナノクリスタル構造層2上に化学的酸化によりNAOS膜を形成して
いるものに、900℃、100%酸素によるドライ酸素中での加熱アニール処理を施すと
、前記シリコンナノクリスタル構造層表面での熱的酸化に伴う界面準位の増大が生じるも
のの、さらにこれを、100%水素中450℃でアニール処理することにより、界面準位
の減少に作用して、結果的にシリコン基板の少数キャリアライフタイムが顕著に向上する
ことが想定される。なお、上記のNAOS膜形成処理、酸素アニール処理、水素アニール
処理を一定時間内で連続的に行うことが、製造安定性、特性安定性の観点では有益である
また、本実施例に照らして、試料にp型単結晶シリコン基板を用いて、PSG被膜からの
n型不純物導入の拡散処理により、前記シリコンナノクリスタル構造層2を介してシリコ
ン基板1の表面にn型領域を形成し、この試料基板を用いて、pn接合型太陽電池を作
製すると、電圧(V)‐電流(I)特性において、開放端電圧(Voc)の高い、また、
光電変換効率の高い太陽電池を実現可能である。
本発明は、実施例で使用のp型単結晶シリコン基板に限らず、n型単結晶シリコン基板、
p型又はn型多結晶シリコン基板を用いるものには、不純物拡散用の酸化物の薄膜として
代表的な,リンケイ酸ガラス(PSG)被膜(n領域形成用)あるいはホウケイ酸ガラ
ス(BSG)被膜(p領域形成用)も適用可能であり、また、製造方法での処理条件で
、例えばドライ酸素中での酸化アニール処理温度を800℃〜950℃の範囲で設定する
こと、100%水素中450℃でアニール処理温度を400℃〜500℃に設定すること
、他の諸要件に関しても、最適化のために適宜選定し得ることは当然可能である。さらに
、シリコン基板の処理過程で、薬液や処理溶液の種類、その濃度や温度、処理時間、ある
いは使用容器等を目的達成に合うよう随意に設定することも、最適化のために適宜選定し
得ることである。
SSCT処理した太陽電池の性能向上のための処理方法を更に詳細に検討し、以下のよう
な処理方法を見出した。
厚さ725μm、比抵抗12〜18Ωcm、直径8インチの(100)面の片面ミラーの
p型単結晶シリコン基板から、面積5×5cmの試料を準備して、まず、各試料をフッ
素樹脂製の容器内において、濃度96wt%の硫酸と濃度30wt%の過酸化水素水を容
積比で4対1に混合した硫酸・過酸化水素水(以下、硫酸過水という)の200cc中で
70℃、10分間の洗浄処理を行い、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒
素(N)ブローによる約20秒〜30秒間の乾燥処理を行った。次に、この試料を別の
フッ素樹脂製の容器内において、濃度0.5wt%のフッ化水素酸中で、室温、2分間の
洗浄処理を行い、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒素N)ブローによ
る約20秒〜30秒間の乾燥処理を行った。
つづいて、塩化ビニール製の容器(バット)内に、濃度50wt%のフッ化水素(HF)
水100ccと濃度30wt%の過酸化水素(H)水100ccとを合わせた混合
液に銀イオン(Agイオン)1ppmを含ませた薬液(以下、本実施例で使用のSSC
T薬液という)を用意して、このSSCT薬液中で、筒状ローラーに厚さ約20μm、幅
員10cmの白金箔をローラーの全面に巻き付けた状態で、その白金箔面を上記試料のシ
リコン基板表面に接触させて、そのシリコン基板面にSiナノクリスタル構造層を形成し
た。
上記ローラー及び白金箔の接触操作は、ローラーの自重のほかには外部加重はなしで、上
記シリコン基板の表面を、白金箔面の移動速度2cm/sで、約30秒間に往復6回反復
移動させて行った。この処理後、70wt%硝酸200cc中で室温、10分間の処理を
行い、引続き1分間の超純水による流水洗浄処理、及び窒素(N)ブローによる約20
秒〜30秒間の乾燥処理を行った。これにより、本実施例でのSSCT法の過程において
試料のシリコン基板の表面に付着可能性のある銀(Ag金属またはAgイオン)が除去
できる。
図21は、実施例のシリコン基板表面部の模式的断面構造による工程フロー図であり、図
中の符号は、同図21(a)〜(e)の各図面において、同じ構造部を表わす。
まず、図21(a)のように、p型シリコン基板21に対し、シリコンを酸化しかつ溶解
し得る処理溶液中で、ローラーに巻いた白金箔の面を前記p型シリコン基板21の表面に
接触させるというSSCT法により、p型シリコン基板11の表面におよそ200nmの
厚みのシリコンナノクリスタル層22を形成して、可視光領域で3〜5%の極低反射率の
表面構造を実現した。
ついで、図21(b)のように、p型シリコン基板21の一つの面に、リンケイ酸ガラス
(BSG)形成用の薄膜23を有機ケイ酸溶液からなるリン含有の被膜形成用コート剤に
よりスピンコート法でスピンコート(3000rpm,30秒)後、空気中約150℃で
30分の乾燥処理を行った。続いて、同じp型シリコン基板21の他方の面(裏面)に、
ホウケイ酸ガラス(BSG)形成用薄膜24を有機ケイ酸溶液からなるホウ素含有の被膜
形成用コート剤によりスピンコート法でスピンコート(3000rpm,30秒)後、空
気中約150℃で30分の乾燥処理を行った。その後、裏面にBSG膜を同上の条件で塗
布し、空気中約150℃で30分の乾燥処理を行った。
その後、リンケイ酸ガラス(BSG)形成用の薄膜23及びホウケイ酸ガラス(BSG)
形成用薄膜24を残したまま、熱酸化炉を用いて、600℃の酸素中で30分間処理し、
窒素置換して窒素中で800℃以上、望ましくは925〜950℃、20分間の加熱アニ
ール処理を施すことにより、表面側にn領域25、及び裏面にp領域を持った、いわ
ゆるバックサーフェース(BSF)構造層26を同時に拡散形成する。
そして、図21(c)のように、裏面側にはBSG薄膜24を残した状態で、表面側のP
SG薄膜23上から銀(Ag)含有電極剤(ペースト)を印刷塗布で細線状に電極27を
パターン形成して、それを200℃,10分間の乾燥処理後、大気中、赤外ランプアニー
ル装置を用いて、約380℃の保持状態にし、約750℃、3秒間のパルス加熱により焼
成を行った。その結果、図21(d)のように、表面電極27がPSG薄膜23を貫通し
て、シリコンナノクリスタル層22及び内部のn領域25と拡散接触する。
次いで、裏面側には、残存のBSG薄膜24を、フッ化水素酸水溶液(HF/HO;H
F濃度約5wt%)を浸した綿棒を用いて、裏面のBSG膜を1分程度で除去した後、電
極材の銀(層)を裏面全面に蒸着形成して、その後に、5%水素(窒素95%)の気圏中
で400℃,10分間のアニール処理を行なって、図21の(e)のように、p領域を
持ったバックサーフェース(BSF)構造層26に接する裏面電極28を形成する。これで
、本発明の太陽電池が形成される。
図22は、実施例太陽電池の出力特性図である。図中、水素アニールを行わない場合の出
力特性(曲線)31が、上記5%水素(窒素95%)の気圏中での400℃,10分間の
アニール処理を行うことにより電圧(V)−電流(I)の出力特性(曲線)32になり、
解放端電圧(Voc/mV):601mV,短絡電流密度(Jsc/mA/cm):3
9.25mA/cm、形状因子(FF):0.77、変換効率(η%):18.2%であ
るという、いずれも特性の改善されることが分かった。
図23は、この実施例による太陽電池の入力波長に対する量子効率(左軸)及び反射率(
右軸)特性図である。図23から、水素処理の効果は、水素処理を行なわない場合の外部
量子効率:EQE特性曲線41に比較して、5%水素(窒素95%)の気圏中で400℃
,10分間のアニール処理を行なって、外部量子効率(EQE)特性曲線42が得られた
。特性曲線43は外部量子効率から反射効率を考慮して見積もった内部量子効率(IQE
)であり、水素処理の有効性が明確に認められた。
また、図24は、本発明の別の実施例として、p型単結晶シリコン基板に替えて、試料の
シリコン基板21に156mm角のp型多結晶シリコンの膜厚180μの基板を用いて製
作した太陽電池の模式的断面構造図である。図24に示す構造の太陽電池の製作工程は、
図21において、p型多結晶シリコンの基板を用いて製作した太陽電池の構造と同じであ
り、この場合の太陽電池の性能は、図示していないが、5%水素(窒素95%)気圏中1
0分間の加熱処理によってデバイス構造を製作して、電圧(V)−電流(I)の特性から
測定した結果、開放端電圧(Voc):589mV、短絡電流密度(Jsc):37.4
4mA/cm2、形状因子(FF):0.76、変換効率(η):16.89%の太陽電池を
実現することができた。これは、5%水素(窒素95%)気圏中10分間の加熱処理をし
なかったときの測定値が、当事者実験事例で、開放端電圧(Voc):561mV、短絡
電流度(Jsc):35.67mA/cm2、形状因子(FF):0.75、変換効率(η)
:14.93%であったのに比べて、いずれも高性能であることが分った。
SSCT処理基板において、新たな表面パッシベーションの実験を行った。以下、詳細を
述べる。
図25(a)、(b)は、この実施例7のSi基板表面部の模式的断面構造による工程フ
ロー図である。両図中の符号は、実施例6において示す図21の場合と同様に、各図面に
おいて、同じ構造部を表している。
実施の試料に、厚さ725μm、比抵抗7〜12Ωcm、直径8インチの(100)面の
片面ミラーのp型単結晶シリコン基板を用いたことを除けば、その試料の洗浄及び処理過
程については、上述の実施例6と同様である。
まず、図25(a)のように、p型シリコン基板21の表面及び裏面に対し、シリコンを
酸化しかつ溶解し得る処理溶液として、濃度50wt%のフッ化水素(HF)水100c
cと濃度30wt%の過酸化水素(H)水100ccとを同量ずつ合わせて混合し
、その溶液に銀イオン(Agイオン)1ppmを含ませた薬液を用い、ローラーに巻い
た白金箔の面を前記p型シリコン基板21の表面に接触させるというSSCT法により、
図25(a)の通り、p型シリコン基板21の表面と裏面とに、それぞれ、凡そ200n
mの厚みのシリコンナノクリスタル層22を形成した。このとき、SSCT法の処理過程
は、表面側及び裏面側への各シリコンナノクリスタル層22の形成には、レジストを用い
て片面ずつ保護して、交互にSSCT法の処理を行なう工程によったが、各工程での処理
手順は上述の実施例6の場合と同様である。
次に、図25(b)のように、p型シリコン基板21の一つの面(表面)に、リンケイ酸
ガラス(PSG)薄膜23を有機ケイ酸溶液からなるリン含有の被膜形成用コート剤によ
りスピンコート法で被膜形成、乾燥/焼付して設け、ついで、同じp型シリコン基板21
の他方の面(裏面)に、リンケイ酸ガラス(PSG)薄膜23を有機ケイ酸溶液からなる
リン含有の被膜形成用コート剤によりスピンコート法で被膜形成、乾燥/焼付して設ける
。このとき、PSG被膜23は、各面ごとにそれぞれ、有機ケイ酸溶液からなるn型不純
物源のリン含有の被膜形成用コート剤を滴下、スピンコート(3000rpm,30秒)
後、空気中約150℃の乾燥処理を行なって形成した。
その後、熱酸化炉で500℃〜600℃、30分酸化処理し、窒素置換し、窒素中で92
5℃,20分間の加熱アニール処理を施すことにより、同時に、表面側と裏面側とに同形
のn領域25を持った構造に形成した。
次いで、5%水素(窒素95%)気圏中及び100%水素気圏中での400℃の10分間
加熱処理を行なって、デバイス構造を製作し、そのデバイス特性の測定結果を図26及び
図27に記載した。
図26では、5%水素(窒素95%)気圏中で400℃、10分間の加熱処理を行なった
場合のp型シリコン基板表面の少数キャリアのライフタイム及び擬定常状態フォトコンダ
クタンス測定結果から算定される,潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)
]を表示した比較特性を示す。この潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)
]測定値は、[シントン社(Sinton Inst.)製 WCT−120]の測定装置
を用いて得られたものである。なお、この測定装置では、太陽電池で実用の出力用電極の
形成を行う前に、試料の潜在的開放端電圧[Implied Voc(mV)]を判定す
ることができる。
測定試料は、p型シリコン基板21の表裏両面に、リンケイ酸ガラス(PSG)薄膜22
を形成して水素処理したもので、図26中での左縦軸に示す棒グラフで潜在的開放端電圧
[Implied Voc(mV)]の値を示し、また、図26中での右縦軸には、1/
e少数キャリアライフタイム測定値を比較して実線で表したものである。この結果を見る
と、1/e少数キャリアライフタイム測定値と潜在的開放端電圧[Implied Vo
c(mV)]の値とには相関のあることと合わせて、十分な表面パッシベーションの効果
のあることが分かる。
また、図26では、100%水素気圏中での400℃、10分間の加熱処理を行なった場
合の特性であり、この場合も、水素処理は、潜在的開放端電圧[Implied Voc
(mV)]の値及び少数キャリアライフタイム測定値から、5%水素処理を超える十分な
表面パッシベーションの効果のあることが分かる。
本実施例に照らして、p型単結晶シリコン基板(試料)を用いて、リンケイ酸(PSG)
被膜からのn型不純物導入の拡散処理により、前記シリコンナノクリスタル構造層22を
介してシリコン基板21の表面にn型領域25を形成して電荷(少数キャリア)の移動
度の向上と表面パッシベーションの向上を図り、この試料基板を用いて、pn接合型太陽
電池を作製すると、電圧(V)‐電流(I)特性において、開放端電圧(Voc)及び変
換効率が共に高い、高性能の太陽電池を実現できる。
本発明は、実施例6あるいは実施例7で使用のp型単結晶シリコン基板に限らず、また、
シリコン基板表面のシリコンナノクリスタル構造層上の極薄の化学的酸化膜形成のNAO
S膜の有無に関わらず、p型又はn型不純物拡散用の酸化物主体でなる薄膜の種類を違え
て、n型単結晶シリコン基板、あるいはp型又はn型多結晶シリコン基板を用いるものに
も適用可能であり、さらに、製造方法での処理条件で、例えば5%乃至100%水素中の
アニール処理温度を400℃〜500℃に設定すること、他の諸要件に関しても、最適化
を求めて適宜選定し得ることは当然可能である。その1つとして、実施例中でPSG膜に
窒化シリコン(SiN)の積層を付加して用いることによりライフタイムや潜在的解放端
電圧(Implied Voc)の特性維持と向上が可能となる。さらに、シリコン基板
の処理過程で、薬液や処理溶液の種類、その濃度や温度、処理時間、あるいは使用容器等
を目的達成に合うよう随意に設定することも、最適化のために適宜選定し得ることである
本発明は、シリコン基板の表面に対して、シリコンを酸化しかつ溶解し得る処理溶液、例
えばフッ酸および過酸化水素水の混合の処理溶液中で転写用部材の表面で触媒金属を作用
させて、または触媒機能を有する第1の金属による転写用部材を、シリコンを酸化しかつ
溶解し得る処理溶液中でシリコン基板上に接触ないし接近させることにより、上記シリコ
ン基板の表面にナノクリスタル構造層を形成する過程と、極薄の化学的酸化膜形成の二酸
化シリコン(SiO)膜及び/又はn型あるいはp型導電性不純物含有の酸化物の薄膜
の形成過程を持つすべての半導体装置及びその製造方法に利用することができること、並
びに、少なくともpn接合を有する太陽電池、光電変換作用を利用する半導体デバイスで
、表面反射率の低減を図り、併せて、そのデバイスの高性能化を得る半導体装置及びその
製造方法として、広範囲の半導体機能デバイスおよびその製造方法への利用、応用を可能
にするものである。
1,21 P型シリコン基板
2,22 ナノクリスタル構造層
3 アルミニウム蒸着層
23 PSG薄膜
24 BSG薄膜
25 n領域
26 バックサーフェース(BSF)構造層

Claims (9)

  1. ナノクリスタル構造層を持つ半導体の表面に酸化性薬液中での化学的処理により形成の酸
    化膜を有し、酸素雰囲気中600℃〜1000℃の範囲で加熱アニール処理及び/又は4
    00〜500℃での水素アニール処理を施したことを特徴とする半導体基板。
  2. ナノクリスタル構造層を持つ半導体を酸化性薬液中での化学的処理により前記半導体の表
    面に酸化膜を形成後、ドライ酸素雰囲気中600℃以上で加熱アニール処理を施すこと及
    び/又は400〜500℃での水素アニール処理を施すことを特徴とする半導体装置の製
    造方法。
  3. ナノクリスタル構造層上のシリコン窒化膜を焼成処理することを特徴とする請求項1〜請
    求項2の1つに記載の半導体装置の製造方法。
  4. 半導体を酸化性薬液中での化学的処理により前記半導体の表面に酸化膜を形成後、酸素中
    で600℃〜1000℃の温度範囲の熱アニール処理、及び水素中で400〜500℃の
    温度範囲のアニール処理を施す手段を備えたことを特徴とする半導体装置の製造装置。
  5. シリコン基板表面にSiナノクリスタル構造層と、前記シリコンナノクリスタル層の表面
    に化学的酸化膜形成の二酸化シリコン膜及び/又はn型あるいはp型導電性不純物含有の
    酸化物の薄膜を設けて酸素雰囲気中及び/又は水素雰囲気中で加熱処理して形成のpn接
    合とを備えた太陽電池。
  6. シリコン基板表面にSiナノクリスタル構造層と、前記Siナノクリスタル構造層上に化
    学的酸化膜形成の二酸化シリコン(SiO)膜及び/又はn型あるいはp型導電性不純
    物含有の酸化物の薄膜とを形成し、さらに酸素雰囲気中で加熱アニール処理及び/又は水
    素雰囲気中でアニール処理する工程を備えた太陽電池の製造方法。
  7. 500〜950℃の酸素雰囲気中で加熱アニール処理及び/又は400〜500℃の水素
    雰囲気中でアニール処理を行う工程を含む請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. シリコン基板表面にSiナノクリスタル構造層と、前記Siナノクリスタル構造層上に化
    学的形成の二酸化シリコン(SiO)膜及び/又はn型あるいはp型導電性不純物含有
    の酸化物の薄膜を形成し、400〜500℃の水素雰囲気中でアニール処理する工程を備
    えた太陽電池の製造方法
  9. シリコン基板表面にSiナノクリスタル構造層と、前記Siナノクリスタル構造層上に化
    学的形成の二酸化シリコン(SiO)膜及び/又はn型あるいはp型導電性不純物含有
    の酸化物の薄膜を形成して、800〜950℃の高温酸素雰囲気中で加熱アニール処理及
    び/又は400〜500℃の5%又は100%水素雰囲気中でアニール処理する機能を備
    えた太陽電池の製造装置。

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