JP2016130676A - 運針機構及び時計 - Google Patents
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Abstract
Description
とはいえ、この機械式の構造を単純なシングルコアのステッピングモータに置き換えただけでは、指針に加えるトルクに大きな変化を付けることが難しい。そのため、目盛端に至った指針を急速に基点まで振り戻したり、或いは、外部からの衝撃などで指針が拘束されてしまったときに強いトルクを掛けて指針の拘束を解いたり、といったことが必ずしも容易ではなく、好適な運針が難しかった。
指針を運針させる運針機構において、
複数のコイルを有し、回転軸を正逆両方向に回転可能なステッピングモータと、
前記ステッピングモータの前記回転軸に連結された一の歯車、及び、前記指針に連結された他の歯車を含む複数の歯車からなる輪列機構と、
前記複数のコイルへの通電を個別に制御して、前記ステッピングモータの駆動を制御するモータ駆動制御手段と、
を備え、
前記モータ駆動制御手段は、表示運針時と非表示運針時とで、同時に通電させるコイル数を異ならせることを特徴とする。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
この図に示すように、本実施形態の時計100は、文字板1と複数の指針2とを備えており、円形の文字板1上で複数の指針2を運針させて時刻等の表示を行うアナログ式の時計である。
複数の指針2は、文字板1のほぼ中央部回りに回転して時刻を表示する秒針21、分針22及び時針23と、文字板1上の個別の小領域で回動して種々の情報を表示する2つの小針24,25とから構成されている。
2つの小針24,25のうちの小針24は、秒針21,分針22及び時針23と同様に1方向に回転して例えばクロノグラフ機能などに用いられるものである。一方、小針25は、所定角度の扇形の範囲内を往復回転して所定の情報(本実施形態では曜日)を表示するレトログラード針である。
図2は、モジュール3の内部構成を示す平面図である。
この図に示すように、モジュール3は、文字板1に対応した平面視略円形状に形成されており、その内部に、時計100の電源部である電池36や、制御回路が実装された回路基板37(図3参照)のほか、複数の指針2を運針させる複数の運針機構4等を収容している。
これら複数の運針機構4のうち、秒針21、分針22及び時針23に対応する運針機構41〜43は、文字板1の中央部回りに回転する秒針21、分針22及び時針23を運針させることから、モジュール3内の中央部寄りに配置されている。但し、時針23に対応する運針機構43は、本実施形態では、モジュール3内のレイアウトスペースの都合上、やや中央部から離れた位置に配置されている。
一方、2つの小針24,25に対応する運針機構44,45は、運針機構41〜43等を避けて、モジュール3内のうちの湾曲した周縁部の近傍に配置されている。
輪列機構5は、複数の歯車が噛合されて構成されており、そのうち一端の歯車がステッピングモータ6の回転軸に連結され、他端の歯車が指針2に連結されている。
複数の運針機構4におけるステッピングモータ6のうち、秒針21、分針22、時針23及び小針24に対応する運針機構41〜44のステッピングモータ61〜64は、いずれも1つのコイルコアのみを有するものである。このステッピングモータ61〜64は一般的な構造のものであるため、その詳細な説明は省略する。
一方、小針25に対応するステッピングモータ65は、後述する2つのコイルコア86a,86bを有するデュアルコアモータであり、その回転軸(後述するロータ7)を正逆両方向に回転可能となっている。なお、当該ステッピングモータ65、輪列機構55及び小針25は、レトログラード針である小針25を所定の回転角度範囲内で往復運針させるレトログラード機構を構成している。
この図に示すように、ステッピングモータ65は、回転軸であるロータ7と、ロータ7を回転させるステータ8とを備えている。
ロータ7を構成する磁石としては、例えば希土類磁石等(例えば、サマリウムコバルト磁石等)の永久磁石が好適に用いられるが、ロータ7を構成する磁石の種類はこれに限定されない。
ロータ7は、後述するステータ本体80のロータ受容部84に受容され、回転支軸を回転中心として回転可能に配置されている。
ロータ7には輪列機構55の所定の歯車が連結されており(図2参照)、ロータ7が回転することにより、この歯車を回転させるようになっている。
図4(a)は、ステータ本体80の平面図であり、図4(b)は、コイル支持部85の平面図である。
図4(a)に示すように、ステータ本体80は、例えばパーマロイ等の高透磁率材料によって形成されており、第1ヨーク81、第2ヨーク82、第3ヨーク83を備えている。また、これら第1ヨーク81、第2ヨーク82、第3ヨーク83の交点には、ほぼ円形の孔部であるロータ受容部84が形成されている。ロータ受容部84には、ロータ7が回転可能に配置されている。
また、第2ヨーク82と第3ヨーク83とは、第1ヨーク81がある側とは反対側で互いになす角度が180°未満となるように、ロータ受容部84を中心に互いにやや屈曲している。
2つのコイルコア86a,86bは、当該コイルコア86a,86bに巻回されたコイル88(第1コイル88a、第2コイル88b)を担持している。こうして2つのコイルコア86a,86bにそれぞれコイル88が担持されることで、2つのコイルブロック89(第1コイルブロック89a、第2コイルブロック89b)が構成されている。なお、2つのコイルコア86a,86bは、本実施形態では、ほぼ同程度の長さとなっており、巻回されるコイル88の量(巻線数)も同程度となっている。
また、2つのコイルコア86a,86bは、それぞれは直線状に形成されているものの、モジュール3の周縁部の湾曲形状に倣うようにして、連結部87を中心に所定の角度で互いに屈曲している(図3参照)。
具体的には、第1コイルブロック89aは、第1ヨーク81と第2ヨーク82とを磁気的に接続するように配置され、第2コイルブロック89bは、第1ヨーク81と第3ヨーク83とを磁気的に接続するように配置されている。
各コイル基板91のうち、2つのコイル端子92周辺は、接続されたコイル88の端部とともに、コイルの断線を防止するための保護樹脂93が被覆されている。そのため、この保護樹脂93の被覆部分は、コイル基板91の表面よりも高く盛り上がっている。
回路基板37には、コイル基板91の表面よりも盛り上がった2箇所の保護樹脂93を避けるための2つの切欠き37aが、モジュール3の外周側に向けて開口するように形成されている。そのため、回路基板37は、この2箇所の保護樹脂93を避けて、2つのコイル基板91と確実に面接触するようになっている。
この図に示すように、時計100は、制御部38を備えている。制御部38は、回路基板37に実装されたCPU(Central Processing Unit)等から構成され、時計100の各部を統合制御する。
具体的に、制御部38は、電池36を電源部として、複数の運針機構4におけるステッピングモータ6に駆動パルスを印加することで、当該ステッピングモータ6の駆動,ひいては指針2の回転動作を制御する。
特に、制御部38は、デュアルコアモータであるステッピングモータ65に対しては、2つのコイル88への通電(駆動パルスの印加)を個別に制御することで、当該ステッピングモータ65のロータ7を、ひいてはレトログラード針である小針25を、正転方向(時計回り)及び逆転方向(反時計回り)のいずれの方向にも所定のステップ角で回転制御可能となっている。
まず、レトログラード針である小針25を正転方向(時計回り)に回転させて、当該小針25に所定の情報(本実施形態では曜日)を表示させる表示運針時について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6及び図7は、同時に通電させるコイル数を1つとした場合におけるステッピングモータ65のロータ7を正転させるときの磁束の流れを説明するための図である。
この状態からロータ7を正転させる場合には、まず制御部38は、第2コイル88bのみにプラス方向の駆動パルスを印加する。これにより、図6(a)に示すように、第2コイル88bに実線で示す向きの磁束が生じ、第1ヨーク81の磁極がN極となり、第3ヨーク83の磁極がS極となる。さらに、第1ヨーク81及び第1コイル88aのコイルコア86aを介して第2ヨーク82に磁束が流れて、第2ヨーク82の磁極がN極となる。この結果、ロータ7は、S極となった第3ヨーク83にN極側が引きつけられるようにして、正転方向に回転を開始する。
図8は、ステッピングモータ65のロータ7を逆転させるときの磁束の流れを説明するための図である。
この状態からロータ7を急速に逆転させる場合には、まず制御部38は、第1コイル88aにプラス方向の駆動パルスを印加すると同時に、第2コイル88bにプラス方向の駆動パルスを印加する。これにより、図8(a)に示すように、第1コイル88a及び第2コイル88bに実線で示す向きの磁束が生じ、第2ヨーク82の磁極がN極となり、第3ヨーク83の磁極がS極となる。この結果、ロータ7は、N極となった第2ヨーク82にS極側が引きつけられるようにして、逆転方向に回転を開始する。
なお、2つのコイル88に同時に通電される「非表示運針時」としては、小針25を振り戻すときだけに限定されず、例えば、外部からの衝撃などで小針25が拘束されてしまって当該拘束を解きたいときや、或いはバックラッシュ取り時など、小針25による情報の表示を伴わないときを広く含むものとする。
このため、視認者の目に触れないように速い速度で小針25を振り戻したり、小針25が拘束されたときに大きなトルクを掛けて当該拘束を解いたりなどして、好適に小針25を運針させることができる。
また、通電させるコイル88の数を増やすだけで、ロータ7を正逆いずれの方向にも大きなトルクで回転させることができる。
このため、複数のカムやばね等が組み合わされていた機械式のものに比べ、簡便な構造で、好適に小針25を運針させることができる。
このため、2つのコイルコア86a,86b、ひいては2つのコイルブロック89をモジュール3の周縁部に沿わせて当該周縁部近傍に配置することができる。したがって、秒針21、分針22及び時針23に対応する運針機構41〜43をモジュール3内の中央部寄りに配置させるといった、モジュール3内の配置レイアウトを容易にすることができる。
このとき、2つのコイルコア86a,86bをモジュール3の周縁部に倣って湾曲させると、当該コイルコア86a,86bにコイル88が偏って巻かれ、結果として巻線数の減少を招来してしまうところ、本実施形態では、2つのコイルコア86a,86bをそれぞれ直線状に形成しつつ互いに屈曲させているので、このような巻線数の減少を招来することなく、2つのコイルブロック89をモジュール3内の周縁部近傍に配置することができる。
つまり、コイル基板91を2つのコイルコア86a,86bの両端側に設けることにより、モジュール3の外周側に開口する切欠き37aによって保護樹脂93を避けつつ、コイル基板91と回路基板37とを好適に面接触させることができる。
これに対し、仮に2つのコイルコア86a,86b間の連結部87にコイル基板91が設けられていた場合、まず連結部87上のコイル基板91に保護樹脂93が被覆される。そして、回路基板37のうちコイル基板91に接続される部分には配線パターンを通さなければならないことから、この場合には、保護樹脂93を避ける形状が外周側への切欠きではなく、その外周側に回路基板37の配線パターン部分が存在する孔部となってしまう。さらに、耐衝撃性などの点から、この孔部よりも外周側の回路基板37部分は一定程度以上の幅が必要となる。すなわち、この幅の分だけ回路基板37が外周側へ張り出すこととなるため、当該回路基板37とモジュール3との干渉を避けるには、ステッピングモータ65をモジュール3の内周側へ移動させなければならなくなる。
したがって、本実施形態では、コイル基板91を2つのコイルコア86a,86bの両端側に設けることにより、当該コイル基板91を2つのコイルコア86a,86bの間に設ける場合と異なり、ステッピングモータ65をモジュール3の周縁部近傍に配置することができ、ひいてはモジュール3内の配置レイアウトを容易にすることができる。
当該レトログラード機構は、例えば、時刻やカレンダ情報等の各種情報を文字等により表示させる文字板(例えば、液晶表示部等)を備えるデジタル式の時計に設けられることとしてもよいし、アナログ式とデジタル式の2つの表示部を備える時計に設けられることとしてもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
指針を運針させる運針機構において、
複数のコイルを有し、回転軸を正逆両方向に回転可能なステッピングモータと、
前記ステッピングモータの前記回転軸に連結された一の歯車、及び、前記指針に連結された他の歯車を含む複数の歯車からなる輪列機構と、
前記複数のコイルへの通電を個別に制御して、前記ステッピングモータの駆動を制御するモータ駆動制御手段と、
を備え、
前記モータ駆動制御手段は、表示運針時と非表示運針時とで、同時に通電させるコイル数を異ならせることを特徴とする運針機構。
<請求項2>
前記ステッピングモータは、2つのコイルを有し、
前記モータ駆動制御手段は、前記表示運針時には1つのコイルのみに通電させつつ前記指針を一の方向に回転させ、前記非表示運針時には2つのコイルに通電させつつ前記指針を他の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の運針機構。
<請求項3>
前記ステッピングモータは、
周縁部が湾曲したモジュール内の周縁部近傍に配置され、
それぞれ直線状に形成されるとともに中央の連結部から延出する2つのコイルコアを有し、
前記2つのコイルコアが、前記モジュールの周縁部の湾曲形状に倣った所定の角度で、中央の連結部を中心に互いに屈曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の運針機構。
<請求項4>
前記ステッピングモータは、
周縁部が湾曲したモジュール内の周縁部近傍に配置され、
中央の連結部から延出する2つのコイルコアを有し、
前記2つのコイルコアよりも各先端側に、各コイルコアに巻回されたコイルの両端が接続されたコイル基板を有し、
前記コイル基板のうち前記コイルの両端が接続された部分には、保護樹脂が被覆され、
前記保護樹脂を避けつつ前記モジュールの外周側に向けて開口する切欠きが形成された回路基板と前記コイル基板とが面接触していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の運針機構。
<請求項5>
請求項1〜4の何れか一項に記載の運針機構を備えることを特徴とする時計。
3 モジュール
7 ロータ(回転軸)
8 ステータ
25 小針(指針)
37 回路基板
37a 切欠き
38 制御部(モータ駆動制御手段)
45 運針機構
55 輪列機構
65 ステッピングモータ
80 ステータ本体
85 コイル支持部
86a,86b コイルコア
87 連結部
88 コイル
89 コイルブロック
91 コイル基板
92 コイル端子
93 保護樹脂
100 時計
指針を運針させる運針機構において、
複数のコイルを備え、回転軸を正逆両方向に回転させるステッピングモータと、
前記ステッピングモータの前記回転軸に連結された一の歯車、及び、前記指針に連結された他の歯車を含む複数の歯車からなる輪列機構と、
を備え、
前記ステッピングモータは、
周縁部が湾曲したモジュール内の周縁部近傍に配置され、
それぞれ直線状に形成されるとともに中央の連結部から延出する2つのコイルコアを備え、
前記2つのコイルコアが、前記モジュールの前記周縁部の湾曲形状に倣った所定の角度で、前記中央の連結部を前記2つのコイルコアの間で挟むようにそれぞれ屈曲していることを特徴とする。
Claims (5)
- 指針を運針させる運針機構において、
複数のコイルを有し、回転軸を正逆両方向に回転可能なステッピングモータと、
前記ステッピングモータの前記回転軸に連結された一の歯車、及び、前記指針に連結された他の歯車を含む複数の歯車からなる輪列機構と、
前記複数のコイルへの通電を個別に制御して、前記ステッピングモータの駆動を制御するモータ駆動制御手段と、
を備え、
前記モータ駆動制御手段は、表示運針時と非表示運針時とで、同時に通電させるコイル数を異ならせることを特徴とする運針機構。 - 前記ステッピングモータは、2つのコイルを有し、
前記モータ駆動制御手段は、前記表示運針時には1つのコイルのみに通電させつつ前記指針を一の方向に回転させ、前記非表示運針時には2つのコイルに通電させつつ前記指針を他の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の運針機構。 - 前記ステッピングモータは、
周縁部が湾曲したモジュール内の周縁部近傍に配置され、
それぞれ直線状に形成されるとともに中央の連結部から延出する2つのコイルコアを有し、
前記2つのコイルコアが、前記モジュールの周縁部の湾曲形状に倣った所定の角度で、中央の連結部を中心に互いに屈曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の運針機構。 - 前記ステッピングモータは、
周縁部が湾曲したモジュール内の周縁部近傍に配置され、
中央の連結部から延出する2つのコイルコアを有し、
前記2つのコイルコアよりも各先端側に、各コイルコアに巻回されたコイルの両端が接続されたコイル基板を有し、
前記コイル基板のうち前記コイルの両端が接続された部分には、保護樹脂が被覆され、
前記保護樹脂を避けつつ前記モジュールの外周側に向けて開口する切欠きが形成された回路基板と前記コイル基板とが面接触していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の運針機構。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の運針機構を備えることを特徴とする時計。
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