本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機の構成を示すブロック図である。空気調和機ACは、室内機100、室外機200、リモートコントローラであるリモコンReを含んで構成される。空気調和機ACは、室内の扇風機またはサーキュレータの有無にかかわらず、間取りおよび人の位置に基づいて、室内機100からの気流の流れに協働する扇風機またはサーキュレータの位置および風向を、扇風機設置位置推奨情報として、スマートフォン(携帯端末)等の外部端末300(外部端末装置)を通じてユーザに示すことができる。このため、ユーザは、省エネに効果的な空気調和機ACとの併用方法を知ることができる。また、空気調和機ACは、例えば、暖房運転時に、扇風機またはサーキュレータとの併用に応じた風向制御を行うことで、室内に人が多く居る場合でも人を避けるように風向を制御することができる。なお、空気調和システムACSは、空気調和機ACと外部端末300とを含んで構成される。
室内機100は、室内を撮影する撮影する撮像部110と、撮像部110によって撮影された人の検出を行う人検出部111と、撮像部110によって撮影された室内(部屋)の間取りの検出を行う間取り検出部112と、人検出部111および間取り検出部112によって所得された画像を処理する画像処理部113と、室内機と併用を行う扇風機の最適な設置位置を演算する設置位置情報処理部114と、リモコンReおよびスマートフォン等の外部端末300と通信を行う通信部115と、室内機100の風向を調節する左右風向板104(図3参照)および上下風向板105(図3参照)を制御する駆動制御部116を備える。
なお、人検出部111は、図15および図16を参照して説明する。間取り検出部112は、図17〜図22を参照して説明する。設置位置情報処理部114は、図6〜図9を参照して説明する。
リモコンReは、ユーザによって操作され、室内機100のリモコン受信部Q(図2参照)に対して、例えば赤外線信号を送信する。当該信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求等の様々な指令である。空気調和機ACは、これらの信号に基づいて、少なくとも室内の冷房、暖房、除湿、涼快等を行うことができる。また、人に室内機100から吐出する空気が直接当たらないようにする運転(以下、風よけ運転と記す)、左右に風向を吹きわける左右風向等の機能を有している。
リモコンReは、間取りを入力する間取り入力部401と、室内機100との通信を行う通信部402と、間取り情報の画像を処理する画像処理部403と、画像処理部403にて処理された間取り情報を表示する表示部404を備える。室内機の通信部115とリモコンReの通信部402は、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、Wi−Fi(登録商標)のいずれかによって双方向通信を行う。なお、間取り入力部401については、図23〜図26で詳細に説明する。
外部端末300は、ユーザによる入力を行う入力部301と、室内機100との通信を行う通信部302と、室内機100から送信された間取りおよび人位置情報の画像を処理する画像処理部303(外部端末装置の処理部)と、画像処理部303にて処理された間取りおよび人位置情報を表示する液晶の表示部304を備える。室内機の通信部115と外部端末300の通信部302は、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、Wi−Fi(登録商標)のいずれかによって双方向通信を行う。
本実施形態では、既存のリモコンReを利用するとして説明するが、外部端末300を空調制御端末として使用する際は、外部端末300にリモコンReの機能を含めるとよい。または、リモコンReに外部端末300の機能を含めてもよい。つまり、表示はスマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビ(TV)等どこで行ってもよい。空気調和機ACと外部端末300とを含めて空気調和システムACSとして構成することも可能である。
図2は、本実施形態に係る空気調和機の室内機、室外機、リモコンおよび外部端末の正面図である。図2に示すように、室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。また、室内機100の前面パネル106の左右方向中央の下部には、撮像部110が設置されている。
図3は、本実施形態に係る室内機の側断面図である。室内機100の筐体ベース101は、熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108などの内部構造体を収容している。熱交換器102は、複数本の伝熱管102aを有し、送風ファン103により室内機100内に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させ、前記空気を加熱又は冷却するように構成されている。なお、伝熱管102aは、前記した冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
左右風向板104は、室内機マイコン(図示せず)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(図示せず)により回動される。
上下風向板105は、室内機マイコンからの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ(図示せず)により回動可能な構成となっている。ちなみに、前面パネル106を、下端に固定されるものとして構成してもよい。
図3に示す送風ファン103が回転することによって、空気吸込み口107およびフィルタ108を介して室内空気を取り込み、熱交換器102で熱交換された空気が吹出し風路109aに導かれる。さらに、吹出し風路109aに導かれた空気は、左右風向板104および上下風向板105によって風向きを調整され、空気吹出し口109bから外部に送り出されて室内を空調する。
図4は、風よけ運転を示す空気調和機を設置した室内の平面図であり、(a)は人が室内の片側に居る場合、(b)は人が室内の中央に居る場合、(c)は人が室内に分散して居る場合である。図5は、風よけ運転を示す空気調和機を設置した室内の側面図である。
図4に示すように、室内は、間取り検出部112で検出された壁334,335,336で構成されている。壁331は、室内機100が設置されている壁であり、壁335,336は壁331の側壁であり、壁334は、壁331の対向面である壁(対向壁)である。説明の便宜上、図4の室内平面図中央に引いた破線より左を室内の左部A、破線より右を室内の右部Bとする。また、図5の人の居る高さより高い位置を室内の上部C、床面から人の居る高さまでを室内の下部Dとする。
室内機100は、室内機100に備えられた撮像部110で、人41の位置を認識し、人41の位置に応じた方向に風向を制御する。例えば、図4(a)のように室内の左部Aに人41が偏っている場合は、左右風向板104を室内の右部Bに向け、人41の居る室内の左部Aに室内機100からの風42が直接流れないようにする。図4(b)のように室内の中央に人41が集まっていれば、左右風向板104で左右に吹き分けることで、人41に風42が直接当たらないように空調を行う。
しかし、図4(c)のように、室内に満遍なく人41が居る場合は、左右のどの方向に左右風向板104を向けても、人41に風42が直接当たってしまう。また、冷気は室内の下部に集まり、暖気は室内の上部に集まるという性質がある。ゆえに、冷房ならば上下風向板105を上方向である室内の上部Cに向けることで、人41に直接当てずに空調を行うことができる。しかし、暖房においては、上下風向板105を上方向に向けると、図5のように室内の上部Cに熱気が溜まってしまう熱だまり51ができ、人41の居る室内の下部Dを十分に暖めることができない。なお、室内機100からの送風を強風にすると、下部Dを温めることができるが消費エネルギの増大を招く問題が発生する。
<設置位置情報処理部>
設置位置情報処理部114の処理内容を図6〜図9を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る設置位置情報処理部による扇風機設置位置の決定を示す室内の側面図である。図5のように室内の上部Cに熱だまり51が発生するような状態においても、図6に示すように、設置位置情報処理部114は、扇風機設置位置推奨情報として、人41の後方壁である壁334の上方に扇風機62の送風方向を向けて、人41の後方に扇風機62を設置することを決定する。詳細は後記するが、この決定の結果を外部端末300の表示部304に表示させる。これにより、ユーザが表示された扇風機設置位置に扇風機62を設置した場合、熱だまり51が発生している室内の上部Cに送風63を行うことができる。そして、室内の上部Cに溜まった熱だまり51は、室内機100からの調和空気の流れと、扇風機62による室内空気の流れとが合成された後に、障害物(例えば、天井、壁)等で状態変化したあとの風の風量と向きを示す風のベクトル64(破線の矢印)の如く押し出され、暖気を室内の下部Dに送られる。室内の上部Cに溜まった暖気は、室内機100から直接送風されている空気よりも温度が低く、室内機100からの高温な風を直接受けることを嫌う人41にとっては不快感を受けづらい効果がある。
図7は、本実施形態に係る設置位置情報処理部による扇風機設置位置の決定を示す室内の平面図であり、(a)は室内の左部Aおよび右部Bに分布する人数に差がない場合、(b)は室内の左部Aに人が多く居る場合、(c)は室内の右部Bに人が多く居る場合である。図7は、図6における扇風機との併用を行った際の扇風機設置位置に関する平面図である。なお、後記するが、ユーザは外部端末300の表示部304に表示されたお勧めの設置位置を参照して、ユーザが扇風機62をお勧め設置位置に設置する。
例えば、図7(a)のように室内の左部Aおよび室内の右部Bに分布する人数に差がない場合、設置位置情報処理部114は、室内に満遍なく人が居るとし、室内の中央に風のベクトル64が届くように扇風機設置位置を決定する。同様に、設置位置情報処理部114は、図7(b)のように室内の左部Aに人が多く居る場合は室内の左部Aに扇風機設置位置を決定する。また、設置位置情報処理部114は、図7(c)のように室内の右部Bに人が多く居る場合は室内の右部Bに扇風機設置位置を決定する。
なお、ユーザが人の少ないほうへ風を向けるといった要望を、ユーザが外部端末300(リモコンRe)を通じて行った場合、設置位置情報処理部114は、図7(b)、図7(c)の逆の位置に扇風機を設置するように、扇風機設置位置を決定する。
すなわち、設置位置情報処理部114は、間取り検出部112で検出された対向壁(例えば、壁334)の方向に複数の人が居る場合、調和空気の吹出し口109b(図2参照)からみて複数の人の位置の延長線上で、人の位置と対向壁との間を扇風機の位置とし、対向壁の方向を扇風機の風向として決定する。後記するように、決定の結果は外部端末300を介してユーザに知らせる。
また、設置位置情報処理部114は、間取り検出部112で検出されたコーナの方向に複数の人が居る場合、調和空気の吹出し口109bからみて人の位置とコーナとの間を扇風機の位置として、コーナの方向を前記扇風機の風向として決定する。後記するように、決定の結果は外部端末300を介してユーザに知らせる。
図8は、本実施形態に係る設置位置情報処理部による扇風機設置位置の決定の他の例であり、(a)は室内の側面図であり、(b)は室内の平面図である。設置位置情報処理部114は、複数の人41の位置(例えば、頭)を多角形の頂点として捉え、その重心の位置に室内機100からの風42と扇風機62からの送風63がぶつかるように扇風機62の位置を決定する。それにより、人41は等しく拡散された暖気を受けることができる。
具体的には、図8(a)に示すように、設置位置情報処理部114は、人41に直接風が当たらない高さに送風方向を向けて人41の後方に扇風機62の設置位置を決定し、室内の上部Cに送風されている室内機100からの風42と反対側からぶつかる方向への送風63を行う。このことで、暖気は室内上部で熱だまりになることなく、風のベクトル64の如く室内下部方向を含めた室内全体に拡散し、人41は直接風を受けることなく温まることができる。なお、図7(a)、図7(b)、図7(c)および図8(b)での室内機からの風42は、すべて人41に当たらぬように室内の上部に向けられている。
また、外部端末300が、後記する間取り入力の機能(図23〜図26参照)を有している場合、ユーザは室内で干されている洗濯物または加湿器の位置を、外部端末300の表示部304に表示された間取り情報に入力(例えば、表示された間取り情報内の位置をタッチパネル部で指定)する。すると、設置位置情報処理部114は、指定された位置に室内機100からの風42と扇風機62からの送風63がぶつかるように扇風機62の位置を決定する。例えば、濡れている洗濯物の位置が指定されると、洗濯物の乾燥時間を短縮できる上に、濡れている洗濯物の水気を用いて室内の乾燥を防ぐことができる。また、加湿器の位置が指定されると、加湿器の蒸気を室内に拡散できる。逆に加湿器を避けるように位置が指定されると、設置位置情報処理部114は、加湿器の蒸気を乱さない位置を、室内機100からの風42と扇風機62からの送風63がぶつかるように扇風機62の位置を決定することができる。
図9は、本実施形態に係る設置位置情報処理部による扇風機設置位置の決定を示す図7とは異なる室内の平面図である。間取り検出部112が、図9のように廊下338を検出した場合、設置位置情報処理部114は廊下338がない室内の左部Aに、扇風機62を設置する扇風機設置位置を決定する。これにより、風のベクトル64が届くようにすることで、室内を効率的に暖めることができる。本実施形態の設置位置情報処理部114は、扇風機62の設置位置を検出する必要はなく、検出された間取りおよび人の位置に基づいて、調和空気の吹出し口109bからの気流と協働する扇風機62の位置および風向を、扇風機設置位置推奨情報として決定することができる。
なお、図9では、右部B側に廊下338があるとしているが、右部Bと廊下338との境に引き戸が有る場合、間取り検出部112は、引き戸の開閉に応じて、壁がどこにあるか否かを認識することができる。詳細は、図18を参照して後記する。
図10は、本実施形態に係る空気調和機の室内機と外部端末の処理を示すフローチャートである。室内機100は、撮像部110により、間取りおよび人位置情報を取得し(処理S101)、間取りおよび人位置情報ならびに運転モードを外部端末300に送信する(処理S102)。なお、運転モードには、リモコンReで設定された運転モードである。この例では、外部端末300は単に表示だけでなく、空調に関する演算を行っており、室内機100と外部端末300とで空気調和システムを構成しているとみなすことができる。
外部端末300は、間取りおよび人位置情報、運転モードを受信した場合(処理S111)、間取りおよび人位置情報を、外部端末300の表示部304に表示する(処理S112)。外部端末300は、運転モードから暖房かつ風よけ運転(暖房風よけ運転)か否かを判定し(処理S113)、暖房風よけ運転を行っている場合(処理S113,Yes)、処理S114に進む。暖房風よけ運転でない場合(処理S113,No)、処理を終了する。
外部端末300は、人に当たらない向きに風向不可能か否かを判定する(処理S114)。例えば、図4(c)で示したように、暖房および風よけ運転モードの場合、室内に満遍なく人41が居ると、左右のどの方向に左右風向板104を向けても、人に風42が直接当たってしまうので、判定結果が「否(Yes)」となる。判定結果が「否」である場合(処理S114、Yes)、外部端末300は、表示部304に「現在の設定モードでは、風よけ運転ができません。」を表示し、ユーザが確認ボタン(タッチパネル部の場合は、表示されたソフトボタン)を押下すると、お勧め設置位置演算要求を室内機100に送信する(処理S115)。一方、判定結果が「否」でない場合(処理S114、No)、処理を終了する。
室内機100は、お勧め設置位置演算要求を受信すると(処理S103)、図6〜図9での判断方法に基づき、扇風機62のお勧め設置位置の演算を行う(処理S104)。室内機100は、演算結果をお勧め設置位置演算結果として、外部端末300に送信する(処理S105)。
ここで、本実施形態の室内機100は、扇風機62の存在の有無に関わらず、扇風機62のお勧め設置位置を演算するのがひとつの特徴であり、扇風機62が室内になかった場合にも、室内機100のユーザに、快適な気流を作り出す方法として提案できる。
外部端末300は、お勧め設置位置演算結果を受信すると(処理S116)、表示部304の間取り情報にお勧め設置位置を表示し(処理S117)、扇風機連動制御実行受付画面を表示する(処理S118)。扇風機連動制御実行受付画面とは、ユーザに室内機と扇風機とが併用して室内で送風(図7〜図9参照)の意思があるか否かを問い合わせる画面である。表示内容をみたユーザは、扇風機62があればそのお勧め設置位置に置き、風向を合せるとよい。また、ユーザは別の部屋に扇風機62があれば、それを設置してもよい。なお、扇風機62は、既存の扇風機62が利用できるように、扇風機62は、特許文献1に示すような室内機100が扇風機62の動作を制御できるような必要性はない。
図11は、外部端末の表示部にお勧め設置位置を示した説明図である。外部端末300の表示部304には、モード情報表示部321、間取りおよび人位置情報表示部322、設置位置ナビゲーション表示部323を備えている。図11の画面例は、図7(b)の間取りおよび人位置情報である。現在の制御設定は、モード情報表示部201から暖房風よけモードである。間取りおよび人位置情報表示部322には、室内の間取りが表示されており、室内は室内機100(エアコン)が設置されている壁331、側壁である壁335,336、壁331の対向壁である壁334から構成されている。また、間取りおよび人位置情報表示部322には、扇風機62の設置位置324および扇風機設置方向325が表示され、ユーザに正確に設置位置を伝えることができる。また、設置位置ナビゲーション表示部323には、「扇風機を上図位置に置くと人に当てずに効果的に暖房できますが置きますか?」と表示される。
図12は、扇風機位置をクリックした場合のホップアップ表示を示した説明図である。図12に示すように、ユーザが扇風機位置をクリックした場合、間取りおよび人位置情報表示部322には、ポップアップ画面326が表示され、扇風機62の縦方向(上下方向)の角度をユーザにより正確に伝えることができる。また、設置位置ナビゲーション表示部323には、「部屋の左側コーナ上側に向けて風を送って下さい。」と表示されている。
図10に戻り、外部端末300は、扇風機連動実施要請入力があるか否かを判定し(処理S119)、ユーザからの扇風機連動実行要請入力がある場合(処理S119,Yes)、空調制御の変更処理要請を室内機100へ送信する(処理S120)。一方、扇風機連動実行要請入力がない場合(処理S119,Yes)、処理を終了する。
室内機100は、前記空調制御の変更処理要請を受信すると(処理S106)、空調制御を、扇風機62との併用モードに変更処理を実施する(処理S107)。具体的には、暖房風よけの場合、室内機100は、図6および図7の風42の風向になるように、室内機100の左右風向板104および上下風向板105を制御する。また、風量は、扇風機62の併用によって風量も減らすことができるので、室内機100単独の場合よりも風量を減少させる。
図13は、外部端末としてスマートフォンを利用した場合の操作画面例を示す説明図である。図13に示す外部端末300Aは、スマートフォンを利用して、空調制御端末として使用するためのソフトウェアをダウンロードすると操作設定等ができる。すなわち、図1に示したリモコンReの空調制御の操作機能を外部端末300Aに適用した場合である。表示部304に表示された操作画面には、運転状態部341、運転モード部342、詳細設定部343、送信ボタン344が含まれる。本画面より運転モード等を選択することができる。
次に、撮像部110、人検出部111、間取り検出部112、間取り入力部401の概要について説明する。
<撮像部>
図14は、撮像部の水平方向の向きの移動と視野角を示す説明図である。図14を参照して、撮像部110の水平方向の向きの移動と視野角について説明する。図14は、室内機100および当該室内機100が設けられている室内を鉛直上方側からみた概念図であり、図14の上側は当該室内機100が取り付けられている壁側となり、下側は室内機100が取り付けられている室内の室内機100の前方側の空間となる。
この例で、撮像部110の水平方向の視野角はおよそ60°である。よって、撮像部110の水平方向の向きが真正面(方向311)にあるときに撮像部110で撮像すれば、矢印の範囲312の室内の画像の撮像を行うことができる。また、方向311から撮像部110の向きを室内機100に向かって右に例えば45°移動させ、方向313の向きで撮像すれば、矢印の範囲314の室内の画像の撮像を行うことができる。さらに、方向311から撮像部110の向きを室内機100に向かって左に例えば45°移動させ、方向315の向きで撮像すれば、矢印の範囲316の室内の画像の撮像を行うことができる。これにより、本例では室内機100が設置された室内を合計で約150°の視野角で撮像することができる。また、矢印の範囲312と矢印の範囲314とは一部(約15°の範囲)重なって画像を取得することができ、同様に矢印の範囲312と矢印の範囲316とは一部(約15°の範囲)重なって画像を取得することができる。また、前記の約150°の視野角で室内の画像を撮像するためには、方向313から方向315までの範囲で撮像部110の向きを水平方向に変動すればよい。なお、間取り検出部112が検出した室内のコーナは、コーナ373と示されている。また、コーナ373の方向は方向376、方向377である。
室内機100の記憶部118(図1参照)には、撮像部110で撮影した画像データが記憶される。例えば、矢印の範囲316の範囲の画像データを左画像、矢印の範囲312の範囲の画像データを中画像、矢印の範囲314の範囲の画像データを右画像として記憶している。
<人検出部>
人検出部111は、撮像部110で撮影された画像に基づいて、室内の人の位置を検出する。撮像部110以外にも、赤外線センサ、近赤外線センサ、サーモグラフィー、焦電型センサ、超音波センサ、騒音センサを使用してもよい。人検出部111で検出するのは、人の有無に限られず、位置、活動量、生活シーン等を検出してもよい。
人の位置は、撮像部110で撮像された画像から人の頭部等の位置を検出し、頭部の位置を人の位置としている。さらに、本実施形態では、人の位置に加え、人の足元の位置も検出している。人の足元の位置は、撮像部110で撮像された画像に基づいて、直接人の足元の位置を検出するようにしてもよいし、人の頭部等の位置を検出し、人の頭部等の位置から人の足元の位置を推定するようにしてもよい。
<間取り検出部>
間取り検出部112は、撮像部110で撮影された画像に基づいて、画像内のエッジの抽出し、太く長いエッジを抽出し、直線を延長し、交点を作成し、交点の重心点を消失点とする。このことにより、間取り検出部112は、室内のコーナ373(図14参照)を検出し、検出したコーナ373を壁と壁あるいは壁と天井あるいは壁と床の接線とし、室内の壁や天井や床の面の位置を検出している。
なお、人検出部111で検出した人の位置を累積し、人の位置の累積値に基づいて、コーナ373の検出結果を補完してもよい。すなわち、人の位置の累積値よりも外側に室内の壁が存在し、人の位置の累積値よりも内側に室内の壁が存在することはないため、室内の壁が人の位置の累積値よりも内側の位置で検出された場合は、当該検出結果を除外するようにしてもよい。詳細については、図21および図22を参照して後記する。
また、間取り検出部112の代わりに、または、間取り検出部112と併用して、ユーザが間取りを入力する間取り入力部401(図1参照)を用いてもよい。例えば、リモコンReおよびスマートフォン等の外部端末300に複数の間取りをサイクリックに表示し、ユーザが最も近い間取りを選択する方法が考えられる。リモコンReの間取り入力部401を介して、間取りの設定方法を図23〜図26を参照して説明する。図23は間取りの入力完了画面であり、図24〜図26は間取りの設定方法である。
<間取り入力部>
図23は、リモコンにおける間取りの入力完了画面を示す図である。リモコンReの間取り入力部401は、タッチパネル部であるとして説明する。リモコンReの記憶部には、間取りを設定するためのレイアウト情報、部屋の広さ情報、および室内機100および生活周りの什器のエレメント情報が記憶されており、リモコンReの処理部は、間取りの設定モードを有している。リモコンReの処理部は、間取りの設定要求があった場合、間取り入力部401を介して、レイアウト情報に基づく選択画面、広さ情報に基づく選択画面、およびエレメント情報を用いた配置要求画面をタッチパネル部に表示する。そして、タッチパネル部の画面操作に基づいて、室内機100を設置する間取り情報およびその間取り内の室内機100および什器の配置情報をユーザの間取り図情報として記憶部118に登録する。間取りの設定には、レイアウト選択、広さ選択、室内機100のエアコンの位置および関連する什器の位置、およびリビング、居室などの方角を設定することができる。図23に示す入力完了画面の一例であるL字型の部屋には、室内機100、テレビ121、リビング用のテーブル122、リビング用ソファ123、ダイニング用テーブル124、サイドボード125、システムキッチン126が配置されている。
図24は、間取りの入力操作を示す図である。図24(a)において、ユーザが「レイアウト」を指でタッチすると、図24(b)に示す「レイアウト」画面が表示される。本画面で、エアコンを使用する部屋のおおまかな形状を指定することができる。ユーザがL字型を選択し、「決定する」のソフトボタンをタッチすると、図24(c)の画面が表示される。図24(c)において、形状の細かな調整をする場合は、辺をつまんでドラッグすると変更することができる。そして、ユーザが「決定する」のソフトボタンをタッチすると、図24(d)の画面が表示される。図24(d)において、大まかな形状を設定することができる。具体的には、辺をタッチしてスライドさせると、部屋の大きさが変更できる。そして、ユーザが「決定する」のソフトボタンをタッチすると、図25に進む。
図25は、間取りの広さ情報の入力操作を示す図である。図25(a)は、レイアウト選択が終了したのちの環境設定の画面である。レイアウト選択で選択された部屋のL字型が表示されている。ユーザが「広さ」を指でタッチすると、図25(b)に示す「広さ」画面が表示される。エアコンの使用する部屋の大まかな広さを設定することができる。そして、設定後、ユーザが「決定する」のソフトボタンをタッチすると、図26に進む。
図26は、間取りのエアコンの位置および什器の配置の入力操作を示す図である。図26(a)は、広さ選択が終了したあとの間取りの設定の画面である。「広さ」の欄には、選択された「16畳程度(約26m2)」が表示されている。ユーザが「エアコンの位置や什器」を指でタッチすると、図26(b)に示す「エアコンの位置や什器」画面が表示される。図26(b)において、エアコンの位置や什器をドラッグして配置することができる。図26(c)は、任意の家具を任意の位置に配置後の画面である。配置が終了すると、ユーザが「決定する」のソフトボタンをタッチすると、前記した図23に進む。
もし、入力事項を変更する必要がある場合、例えば、配置を変更したい場合は、再度、「エアコンの位置や什器」の欄をタッチするとよい。ユーザは入力事項を確認し、配置がよければ「決定する」ソフトボタンをタッチすると、設置環境の一連の入力が終了する。これにより、エアコンを設置する環境設定である間取り図が完成したことになる。完成した間取り図は、間取り図情報として室内機100に送信され記憶部118に格納される。
図27は、設置位置情報処理部による間取りに基づく扇風機設置位置の決定を示す室内の平面図である。設置位置情報処理部114は、記憶部118に入力された間取り図情報に基づいて、送風が十分にできない死角領域66を探索し、死角領域66のうち室内機100からの送風が十分に届かない位置に扇風機62の推奨位置として決定することができる。また、設置位置情報処理部114は、死角領域66であるシステムキッチン126の方向を扇風機62の推奨方向として決定することができる。
本実施形態の空気調和機ACは、間取りを入力する間取り入力部401と、間取り入力部401で入力された間取りに基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部304を有する外部端末300に送信する設置位置情報処理部114と、を有する。ここでは、設置位置情報処理部114に通信部115の機能を含めている。
また、空気調和機ACは、人の位置を検知する人検出部111を有し、設置位置情報処理部114は、間取り入力部で入力された間取りおよび人検出部111で検出された人の位置に基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部304を有する外部端末300に送信することができる。
本実施形態の空気調和機ACは、間取りを検出する間取り検出部112と、間取り検出部で検出された間取りに基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部304を有する外部端末300に送信する設置位置情報処理部114と、を有する。ここでは、設置位置情報処理部114に通信部115の機能を含めている。
また、空気調和機ACは、人の位置を検知する人検出部111を有し、設置位置情報処理部114は、間取り検出部112で検出された間取りおよび人検出部111で検出された人の位置に基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部304を有する外部端末300に送信することができる。
本実施形態の空気調和機ACは、間取りを入力する間取り入力部401と、間取り入力部401で入力された間取りに基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部404に表示する設置位置情報処理部114と、を有する。
また、空気調和機ACは、人の位置を検知する人検出部111を有し、設置位置情報処理部114は、間取り入力部401で入力された間取りおよび人検出部111で検出された人の位置に基づいて算出した扇風機62の推奨位置および推奨風向を、表示部404)に表示することができる。
次に、人検出部111の詳細について説明する。
<人検出部>
図15は、人検出部の人位置判定処理を示すフローチャートである。図16は、人検出部の人位置判定処理を示す説明図であり、(a)〜(c)はそれぞれ具体的な計算について説明する説明図である。まず、人検出部111は、記憶部118に記憶されている左画像、中画像、右画像から人の位置を検出する(処理S31)。次に、人検出部111は、この検出した人の位置に関し、画面上の座標系から実空間の座標系に変換する(処理S32)。これにより、室内のどこに人が存在していたかを判定することができる。このようにして、人の実空間の座標を判定すると、人検出部111は、当該座標の情報を記憶部118に記憶する(処理S33)。
図16は、図15の室内の人位置判定処理について詳細に説明する説明図である。図15の処理S32においては、具体的には以下の処理により室内の人の実空間の座標を判定する。まず、人の体の部位のうち、頭部の大きさは、身長、性別に比較的依存しない。そこで、処理S31で検出した人ごとに当該人の顔中心の位置を算出するとともに、その頭部の大きさ(縦方向の長さ)D0を算出する。
図16(a)は、撮像部110の光軸Pと垂直面Sとの関係を示す説明図である。図16(a)に示すように、撮像部110の光軸Pは、水平面に対して俯角εを有している。垂直面Sは、光軸Pに垂直であるとともに、人391の顔中心を通る仮想平面である。距離Lは、撮像部110が有するレンズ(図示せず)の焦点131aと、人391の顔中心との距離である。また、室内機100が設置される壁331とレンズの焦点131aとの距離はΔdである。
図16(b)は、画像面に撮像される画像と、実空間に存在する人391との関係を示す説明図である。図16(b)に示す画像面Rは、撮像部110が有する複数の受光素子(図示せず)を通る平面である。算出した前記の頭部の大きさD0に対応する縦方向の画角γyは、以下に示す式(1)で表される。ちなみに、式(1)で角度βy[deg/pixel]は、1ピクセル当たりの画角(y方向)の平均値であり、既知の値である。
そうすると、撮像部110が有するレンズ(図示せず)の焦点131aから顔中心までの距離L[m]は、一般的な人の顔の縦方向の長さの平均値をD1[m](既知の値)とすると、以下に示す式(2)で表される。前記したように、俯角εは、前記レンズの光軸が水平面となす角度である。
図16(c)は、前記レンズの焦点から顔中心までの距離Lと、画角δx,δyとの関係を示す説明図である。画像面Rの中心から画像上の顔中心までのx方向、y方向の画角をそれぞれδx,δyとすると、これらは以下に示す式(3)、式(4)で表される。ここで、xc,ycは、画像内の人391の人中心の位置(画像内でのx座標、y座標)である。また、Tx[pixel]は撮像画面の横サイズであり、Ty[pixel]は撮像画面の縦サイズであり、それぞれ既知の値である。
したがって、実空間における人中心の位置座標は、以下に示す式(5)〜式(7)によって表される。
すなわち、このx,y,zの各値は図16に図示のとおりであり、これらの値から室内機100の空気吹出し口109b側からみたX方向(左右方向)、Y方向(上下方向)、Z方向(図16(a)参照)の座標が求められる。以上の処理により、処理S32の処理を実現している。
次に、間取り検出部112の詳細について説明する。
<間取り検出部・コーナ方向判定処理>
図17は、間取り検出部のコーナ方向判定処理を示すフローチャートである。図18は、間取り検出部のコーナ方向判定処理で行う画像処理を示す図であり、(a)〜(e)はこの順に画像処理の手順を示している。
記憶部118に記憶している左画像、中画像、右画像をそれぞれ対象として、次のような画像処理を行う。まず、間取り検出部112は、撮像部110で取得した画像(図18(a)に、その例を示す)からエッジを検出する(処理S21)。次に、間取り検出部112は、検出したエッジにフィルタリング処理を行い、所定値以上に太く、所定値以上に長く、かつ、所定値以上に明瞭なエッジのみを残す(処理S22)。図18(b)には、このようにして図18(a)の画像から得られたエッジ371を白い線図で示している。次に、間取り検出部112は、各エッジ371を、その長さ方向に延長する(処理S23)。図18(c)には、このようにして延長した各エッジ371を示している。そして、間取り検出部112は、このように延長した各エッジ371の交点(図18(d)に示す交点372)を求める(処理S24)。そして、各交点372の重心(図18(e)に示す重心373)を求める(処理S25)。この重心373の座標は、各交点372の画像上の基準位置からのX方向(横方向)、Y方向(縦方向)の距離の平均をそれぞれ求めることにより算出することができる。そして、この重心373の画像上の位置を部屋のコーナ(角部)の位置と推定することができる。これにより、室内のコーナ(重心373)の撮像部110からみた水平方向の方向がわかるので(前記の左画像、中画像、右画像のうちの何れの画像であるか、その画像中で重心373の位置は横方向の基準位置から何ピクセル目にあるかにより、当該方向がわかる)、当該コーナの方向を記憶部118に記憶(設定)する(処理S26)。この場合の記憶処理では、過去の所定回数分(例えば過去10回分)のみのコーナ(重心373)の方向を記憶部118に蓄積することとし、それより古い情報は削除する。そして、その過去の所定回数分の情報の平均値(移動平均の値)を、最終的なコーナ(重心373)の方向として確定し、記憶部118に記憶する。これは、室内における家具や器物の配置移動により、記憶部118に蓄積されている情報が示す室内の左右のコーナの方向は時間帯にばらつきを生じる場合があるからである。そのため、前記のとおり平均値を求めることで情報の中に含まれているノイズを除去して、最も確からしい方向を室内の左右のコーナ(重心373)の方向とすることができる。以下、重心373を適宜コーナ373という。処理S26により、後記の方向376,377(図19参照)が設定される。
なお、図18(e)の例では、室内機100が設置されている部屋の引き戸374が開いているため、その開口部の奥のエッジが検出されて、重心373の位置が同図に示す位置となっている。しかし、引き戸374が閉められた状態の画像が撮像された場合であれば、符号375またはその近傍の位置が重心373となる可能性が高い。
図2に示すように、撮像部110は、空気吹出し口109b(図3参照)の長手方向の中央部近傍に位置するので、前記のようにして特定した重心373は、空気吹出し口109b側からみた室内のコーナとみなすことができる。
また、間取り検出部112は、図14に示すように、処理S25で求めた部屋のコーナ373の方向376,377のそれぞれの室内機100の正面の方向311からみた角度が何度になるか判断する(処理S27)。ここで、室内機100に向かって左右のコーナ373a,373bは、撮像部110でみた空気吹出し口109b側からの画像上での重心(図18(e))を意味する。そして、この角度の小さい方の壁は大きい方の壁より空気吹出し口109b側からみて近いと判断する(処理S28)。すなわち、方向376と方向311とがなす角度が方向377と方向311とがなす角度より小さければ、壁336の方が壁335(図19参照)より空気吹出し口109b側からみて近いと判断する。方向377と方向311とがなす角度が方向376と方向311とがなす角度より小さければ、壁335の方が壁336(図19参照)より空気吹出し口109b側からみて近いと判断する。このような、左右の壁336と壁335とのうち空気吹出し口109b側からみて近いのは、あるいは遠いのはどちらであるかの情報も記憶部118に記憶する(処理S29)。
図19は、間取り検出部のコーナ方向判定処理での室内の平面を示す説明図である。図14と同様の構成に対しては、同一符号を付す。図17を参照して、処理S27、処理S28の処理を具体的に説明する。まず、角度aを求める。これは、撮像部110の例えば水平方向の画素数が例えば640[pixel]であり、角度aの範囲の(上下、左右方向の)画素数がβ[pixel]であったとすれば、
“640[pixel]:β[pixel]=60°:a°”、
“a°=60°×β[pixel]/640[pixel]”から角度aが求められる。
そして、“A°=30°+a°”で角度Aが求められる。範囲312の角度が約60°で、30°はその半分である。同様の考え方で、角度bを求め、“B°=30°−b°”で角度Bが求められる。そして、この例では、“A°>B°”であるから、図19において、壁335の方が壁336より空気吹出し口109b側からみて遠いと判断できる。なお、角度aは撮像された画像における方向377からのずれの角度、角度bは撮像された画像における方向376からのずれの角度を示す。また、角度Aは方向311と方向377とのなす角度、角度Bは方向311と方向376とのなす角度を示す。
図20は、間取り検出部のコーナ方向判定処理を示す説明図であり、(a)は室内の平面図であり、(b)は画像中の重心の決定について説明する説明図である。図20(a)の平面図で示す室内のように、室内の形状が長方形、正方形ではなく、例えば、室内のコーナ部分378が室内側に角柱状に飛び出しているような形状の場合、撮影した画像379の例は図20(b)のようになる。このような場合には、図20(b)に示すように、コーナ(重心)373の候補(符号373c)が複数求められることがある。
このような場合には、複数の候補373cの画像上の基準位置からのX方向(横方向)、Y方向(縦方向)の距離の平均をそれぞれ求めることにより、当該平均後の座標をコーナ(重心)373として求めることができる。
以上の処理により、間取り検出部112は、空気吹出し口109b側からみた部屋の左右のコーナ373a,373b(図19参照)の方向376,377を的確に判断することができる。また、間取り検出部112は、空気吹出し口109b側からみて室内の左右の壁335,336のうちどちらが近く、どちらが遠いかも判断することができる。すなわち、間取り検出部112は、室内の中で室内機100の設置場所を検出することもできる。
なお、間取り検出部112の代わりに、または、間取り検出部112と併用して、室内の中で室内機100の設置場所をユーザが入力できるようにしてもよい。例えば、リモコンReおよびスマートフォン等の外部端末300に複数の室内機の設置場所をサイクリックに表示し、ユーザが最も近い設置場所を選択する方法が考えられる。
<間取り検出部・拡がり範囲判定処理>
図21は、間取り検出部の拡がり範囲判定処理を示すフローチャートである。図22は、間取り検出部の拡がり範囲判定処理での室内配置を示す平面図である。図21、図22を参照して、図15に示した人位置判定処理の結果を用いて室内の拡がりの範囲を判定する処理について説明する。まず、所定時間t1ごとに撮像処理が行われ、その度に図15の処理が実行され、その結果が記憶部118に記憶されている。そこで、間取り検出部112は、前記処理S33(図15参照)により、新たに人の座標情報が記憶部118に記憶されると(処理S41,Yes)、当該人の座標情報から、室内の左右のコーナの方向376と方向377との間の領域383の外側の領域381に人の座標が存在するか否かを判断する(処理S42)。領域381に人の座標が存在するときは(図22の符号382で当該人の例を示している)(処理S42,Yes)、当該人のX方向の座標(図22の左右方向)位置を室内機100に向かって右側の壁336(または左側の壁335)の位置と推定する(処理S43)。これは当該座標に人382が位置するということは、壁336(または左側の壁335)は少なくとも当該座標の位置あるいはさらにその外側にあることになるので、その人382の位置を現時点での壁336(または左側の壁335)の位置とするものである。
これにより、壁336(または壁335)の現時点における推定位置がわかるので、室内の各コーナおよび各壁の位置を推定する(処理S44)。すなわち、この壁336(または壁335)の位置のY方向を延長していき、コーナの方向376(またはコーナの方向377)との交点が現実のコーナ422a(またはコーナ422b)であると推定できる。また、当該コーナ422a(またはコーナ422b)の位置をX方向に延長していき、他のコーナの方向377(またはコーナ376)に達するまでが正面の壁334の位置と推定できる。そして、そのコーナの方向377(またはコーナ376)の方向と交わった位置が他の現実のコーナ422b(またはコーナ422a)であると判定できる。さらに当該位置からY方向に延長していった位置が壁335及び壁336のうちの他方の壁の位置であると推定することができる。
一方、処理S44の後、または、領域381に人の座標が存在しなかった場合には(処理S42,No)、室内の左右のコーナの方向376と方向377との間の領域383に人の座標が存在するときは(図22の符号384で当該人の例を示している)(処理S45,Yes)、当該人のY方向の座標位置を室内機100の正面の壁334の位置と推定する(処理S46)。これは当該座標に人384が位置するということは、壁334は少なくとも当該座標の位置あるいはさらにその外側にあることになるので、その人384の位置を現時点での壁334の位置とするものである。
これにより、正面の壁334の位置がわかるので、室内の各コーナおよび各壁の位置を判断する(処理S47)。すなわち、この正面の壁334をX方向に延長していき、コーナの方向376およびコーナの方向377との交点が、現実のコーナ421aおよびコーナ421bであると推定できる。そして、この現実の各コーナ421a及びコーナ421bをY方向に延長していくと、当該位置が壁336および壁335であると推定することができる。
処理S47の後、または、室内の左右のコーナの方向376と方向377との間の領域383に人の座標が存在しなかったときは(処理S45,No)、処理S44および処理S47で推定された現実の各コーナおよび各壁の位置のうち、室内機100側から最も遠いものを各コーナおよび各壁の位置の最終的な判定結果とする(処理S48)。
図22には、人384に基づいて推定される壁331,334,335,336の位置をそれぞれ331a,334a,335a,336a(破線)として示している。同様に、人382に基づいて推定される壁331,334,335,336の位置をそれぞれ331b,334b,335b,336b(実線)として示している。
この場合、処理S44または処理S47でしか判定結果が得られなかったときは、当該得られた判定結果(人を複数検出したときは、室内機100側から最も遠いものの判定結果)を各壁および各コーナの位置の判定結果とする。そして、この判定結果を記憶部118に記憶する(処理S49)。この各壁及び各コーナの情報は所定時間t1ごとに取得するので、この情報の記憶は、所定時間t1ごとに行われる。そして、この情報の記憶は、所定の基準時以後(例えば、直近の過去30回分)の各壁及び各コーナの情報のうち、壁の位置が室内機100側から最も遠いものの情報で更新するように行う。これにより、所定の基準時以後に取得した情報のうち、各壁及び各コーナの位置が室内機100側から最も遠いものの情報が処理S49で記憶される。
なお、このようにして特定した空気吹出し口109b側からの室内の左右における現実のコーナ421a,421b,422a,422b(と推定される位置)までのそれぞれの距離も、次のように求められる。すなわち、
“コーナ421aまでの距離=√((壁336aまでの距離)2+(壁334aまでの距離)2)”、
“コーナ421bまでの距離=√((壁335aまでの距離)2+(壁334aまでの距離)2)”である。コーナ422aまでの距離、コーナ422bまでの距離も同様に求められる。
以上説明したように、間取り検出部112は、撮像部110で撮影された画像から、風向板の水平方向の向きにおいて、空気吹出し口109bの前方側の右のコーナの方向と、空気吹出し口109bの前方側の左のコーナの方向と、人検出部111で検知した人の位置とに基づいて室内の壁の位置を検知することができる。
本実施形態での外部端末300は、通信部302と画像処理部303(処理部)と表示部304とを有し、通信部302が空気調和機ACの室内機100が設置された室内の間取り情報および人位置情報を受信した場合、画像処理部303が表示部304に間取り情報および人位置情報を含む室内画像を表示し、通信部302が室内機100からの気流と協働する扇風機(例えば、扇風機62)の位置および風向を、扇風機設置位置推奨情報として受信した場合、画像処理部303は、表示部304に室内画像に扇風機設置位置推奨情報を合せて表示するとともに、ユーザに扇風機の使用を促す旨を表示することができる。
本実施形態の空気調和システムACS(図1参照)は、室内を撮像する撮像部110と、撮像部110で撮影された画像に基づいて間取りを検出する間取り検出部112と、撮像部110で撮影された画像に基づいて人の位置を検知する人検出部111と、検出された間取りおよび人の位置に基づいて、調和空気の吹出し口109b(図3参照)からの気流と協働する扇風機の位置および風向を、扇風機設置位置推奨情報として決定する設置位置情報処理部114と、扇風機設置位置推奨情報を外部端末装置(例えば、外部端末300)に送信する通信部115と、を有する空気調和機ACを備えるとともに、扇風機設置位置推奨情報を受信する通信部302と、扇風機設置位置推奨情報を表示する表示部304と、を有する外部端末装置を備える。ユーザは、外部端末装置を介して室内における扇風機設置位置推奨情報を容易に知ることができる。
室内機100と扇風機62との併用は省エネルギであるため、暖房時の風よけ運転に限らず、例えば、冷房時のサーキュレーション運転時での制御を実施してもよい。
本実施形態の空気調和機ACは、扇風機またはサーキュレータの最適な設置位置や運転モードをスマートフォン等の外部端末300を通じてユーザに示すことで、効果的な空気調和機ACとの併用方法をユーザに示すことができる。また、扇風機またはサーキュレータとの併用に応じた風向制御を行うことで、人が多く居る場合でも人を避けるように風向を制御する暖房運転を行うことができる。
本実施形態によれば、撮像部110によって人の位置や室内の間取りを検出し、人の位置に基づいて室内機100の風向方向の制御および扇風機またはサーキュレータの設置位置の提案を行うので、人を避けるために室内上部に送風しても、十分な空調効果を得ることができる。