本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機の室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。図1に示すように、空気調和機Aは、室内機100と、室外機200と、リモコンReと、を備えている。室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)を介して接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置される室内(被空調空間)を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。
リモコンReはユーザによって操作され、その操作に応じて室内機100のリモコン受信部Qに対して赤外線信号を送信する。当該信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求などの指令である。空気調和機Aは、これらの信号に基づいて冷房モード、暖房モード、除湿モードなどの空調運転を行う。
撮像手段120は、室内機100の左右方向中央に位置し、外部に露出している。なお、撮像手段120の詳細については後記する。
図2は、室内機の側断面図である。筐体ベース101は、室内熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108などの内部構造体を収容している。また、前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されている。
室内熱交換器102は複数本の伝熱管102aを有し、送風ファン103によって室内機100に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒との熱交換によって加熱又は冷却する。なお、伝熱管102aは、前記した冷媒配管(図示せず)と連通し、周知のヒートポンプサイクル(図示せず)の一部を構成している。
送風ファン103は、一端側に設置される送風ファン駆動部103a(図3参照)が駆動することによって回転し、室内機100に室内空気を取り入れつつ送風する。
左右風向板104は、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして、左右風向板駆動部104a(図3参照)によって回動される。
上下風向板105は、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして、上下風向板駆動部105a(図3参照)によって回動される。
なお、前記した送風ファン駆動部103a、左右風向板駆動部104a、及び上下風向板駆動部105aは、駆動制御部137(図3参照)からの指令に従って駆動する。
撮像手段120は、室内機100が設置される室内を撮像する装置であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラである。図2に示すように、撮像手段120は、露受皿110よりも下方において左右方向に延びる固定部111に設置される。
また、撮像手段120は、レンズ(図示せず)の光軸P(図7(a)参照)が水平面に対して俯角ε(図7(a)参照)だけ下方を向くように設置され、室内機100が設置される室内を適切に撮像できるようになっている。
図2に示す送風ファン103が回転することによって、空気吸込み口107及びフィルタ108を介して室内空気が取り込まれ、室内熱交換器102で熱交換された空気が吹出し風路109aに導かれる。さらに、吹出し風路109aに導かれた空気は、左右風向板104及び上下風向板105によって風向きを調整され、空気吹出し口109bから外部に送り出され、室内を空調する。
図3は、空気調和機の制御手段を含む構成図である。制御手段130は、撮像手段120から入力される画像情報や、各種センサ(図示せず)から入力されるセンサ信号などに応じて、空気調和機Aの動作を統括制御する。
記憶手段140は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)など含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムが制御手段130のCPU(Central Processing Unit)によって読み出されてRAMに展開され、各種処理が実行される。
送風ファン駆動部103aは、制御手段130からの指令に従って、所定回転速度で送風ファン103を回転させるモータである。左右風向板駆動部104aは、制御手段130からの指令に従って左右風向板104(図2参照)を左右方向に回動させるモータである。上下風向板駆動部105aは、制御手段130からの指令に従って上下風向板105(図2参照)を上下方向に回動させるモータである。
その他、制御手段130によって制御される対象として、撮像手段120を左右方向に回動させる撮像手段駆動部(図示せず)、圧縮機(図示せず)を駆動するモータ(図示せず)、運転状態を表示する表示ランプ(図示せず)などがある。
図3に示すように、制御手段130は、人体検出部131と、座標変換部132と、移動距離算出部133と、活動量算出部134と、移動軌跡推定部135と、体感温度推定部136と、駆動制御部137と、を備えている。
人体検出部131は、撮像手段120から所定時間ごとに入力される画像情報に基づいて人体の位置を検出し、その検出結果を座標変換部132に出力する。ちなみに、前記した検出結果には、検出したそれぞれの人体の顔中心の座標(画面上の座標)と、顔の大きさ(画面上での縦方向の長さ)と、が含まれる。
座標変換部132は、前記した人体の検出結果に関して、撮像画面のピクセル数で特定される画面上の座標系から実空間の座標系に変換し、移動距離算出部133に出力する。ちなみに、座標変換部132から移動距離算出部133に出力される情報には、人体中心のX,Y,Z座標の値が含まれる。
移動距離算出部133は、座標変換部132から入力される各人体の位置と、過去(例えば、1sec前)に算出した人体の位置と、で想定される全ての組み合わせについて移動速度を算出し、それぞれに識別記号を付して活動量算出部134に出力する。
活動量算出部134は、移動距離算出部133によって算出される各移動距離に基づいて活動量を算出する。なお、「活動量」とは、人体の単位表面積あたりの代謝量[W/m2]を意味し、人体の移動速度と正の相関がある。活動量算出部134は、算出した活動量を前記した識別記号と対応付けて、移動軌跡推定部135及び体感温度推定部136に出力する。
移動軌跡推定部135は、人体検出部131によって今回検出された人体の位置と、過去に検出された人体の位置との想定される組み合わせについて、それぞれに対応する活動量を比較し、当該比較結果に基づいて人体の移動軌跡を推定する。
そして、移動軌跡推定部135は、推定した移動軌跡を各人体の活動量に反映させ、当該活動量と各人体の現在位置とを対応付けて、駆動制御部137に出力する。
体感温度推定部136は、活動量算出部134から入力される情報と、各種センサから入力されるセンサ信号と、に基づいて体感温度の平均値を推定し、駆動制御部137に出力する。ちなみに、体感温度の平均値は、空調室内の各在室者の体感温度を平均した値である。
また、前記した各種センサ信号に対応する情報は、例えば、室内温度センサ(図示せず)によって検出される室内温度や、湿度センサ(図示せず)によって検出される室内の湿度である。
駆動制御部137は、移動軌跡推定部135から入力される情報(つまり、空調室内での活動量の分布)と、体感温度推定部136から入力される体感温度の平均値と、前記したセンサ信号とに基づいて、空調制御のパラメータを変更する。
なお、「空調制御のパラメータ」とは、送風ファン103の回転速度、左右風向板104の回動角度、及び上下風向板105の回動角度を含んでいる。図3に示すように、駆動制御部137から入力される指令信号に応じて、送風ファン駆動部103a、左右風向板駆動部104a、及び上下風向板駆動部105aがそれぞれ駆動する。
図4(a)は、撮像手段によって撮像される上下方向の撮像領域の説明図(側面図)である。図4(a)に示すように、撮像手段120が有するレンズ(図示せず)の焦点120aを通り、室内機100が設置される壁面Wに垂直な直線(室内側が正)をZ軸とする。また、室内機100の背面から、レンズの焦点120aまでの距離をΔdとする。
また、レンズの焦点120aよりも距離Δdだけ後方に位置する原点Oを通り、水平面と垂直な直線(室内機100の下側が正)をY軸とする。
撮像手段120は、レンズの光軸が水平面から俯角ε(図7(a)参照)だけ下方を向くように設置されている。なお、側面視で扇状に広がる撮像手段120の視野の上端は、前記したZ軸に略一致している。
本実施形態では、レンズ(図示せず)の焦点120aを通る水平面と、焦点120aを通るとともに水平面に対し所定の傾きを有する4つの仮想平面a1,a2,a3,a4,a5とによって、撮像領域を上下方向に5分割する。
すなわち、水平面と仮想平面a1とによって挟まれる領域をA1とし、仮想平面anと仮想平面a(n+1)とによって挟まれる領域をA(n+1)とする(ただし、n=1,…,4)。
なお、前記した領域A1,…,A5は、人体の検出結果などに応じて、駆動制御部137が上下風向板105の角度を制御する際に用いられる。
図4(b)は、撮像手段によって撮像される左右方向の撮像領域の説明図(平面図)である。なお、図4(b)では、室内機100を省略している。
前記した原点Oを通り、Y軸及びZ軸に対して垂直な直線(室内機100に向かって左側が正)をX軸とする。
撮像手段120の視野角は、例えば、平面視で60°である。制御手段130は、前記した撮像手段駆動部(図示せず)を駆動することによって、撮像手段120を回動軸(図示せず)周りで左右方向に往復させる。すなわち、制御手段130は、所定時間(例えば、30sec)ごとに左→中央→右→中央→左→…のように撮像手段120を往復させる。
本実施形態では、X軸に垂直であり、Z軸を含む平面に対して所定の傾きを有する10個の仮想平面b1,…,b10によって、撮像領域を左右方向に10分割する。すなわち、仮想平面b(n−1)と仮想平面b(n)とによって挟まれる領域をBnとする(ただし、n=1,…,10)。
なお、領域B1,…,B10は、人体の検出結果に応じて駆動制御部137が左右風向板104の角度を制御する際に用いられる。
平面視で扇形に広がる領域B1,…,B10に関し、それぞれの扇形の中心角θ2は、例えば15°である。
図4(b)に示すように、左領域は、領域B1,…,B4で構成される。当該左領域とは、撮像手段120によって撮像される3つの領域のうち、室内機100に向かって左側の領域である。なお、領域B1,…,B4の中心角θ2の合計(15°×4=60°)は、撮像手段120の視野角に等しい。
中央領域は、領域B4,…,B7で構成される。当該中央領域とは、撮像手段120によって撮像される3つの領域のうち、中央に位置する領域である。ちなみに、領域B4は、左領域に属するとともに、中央領域にも属する。このように、左領域の右端に位置する領域B4と、中央領域の左端に位置する領域B4とを共通にすることで、人体の検出漏れなどを防止している。
右領域は、領域B7,…,B10で構成される。前記した領域B4と同様の理由により、領域B7は、中央領域に属するとともに、右領域にも属するように設定される。
撮像手段120によって左領域→中央領域→右領域(又はその逆順序)のように順次撮像することで、空調室内において平面視で角度θ1(例えば、150°)の領域を撮像できる。
ちなみに、前記した上下方向に連なる領域A1,…,A5と、左右方向に連なる領域B1,…,B10とによって、空調室内は仮想的に50(=5×10)個の領域に分割される。制御手段130は、これら50個の領域における活動量の分布に応じて、左右風向板104及び上下風向板105の角度を調整する。
図5は、制御手段が実行する空調制御処理の概要を示す説明図である。図5に示す時刻t0は、人体検出に基づく空調制御の開始時刻である。また、図5は、左から右に向かうにつれて時間が経過するように記載している。
前記したように、制御手段130は、撮像手段120を往復させることによって、左領域→中央領域→右領域→中央領域→左領域→…のように空調室内を順次撮像する(撮像領域G1を参照)。
時刻t0において空調制御を開始すると、制御手段130は、例えば1secごとに左領域(領域B1,…,B4:図4(b)参照)を30回撮像する。そして、当該撮像結果を用いて左領域の在室者の人数、位置、及び活動量を算出し、記憶手段140に格納する(領域判定α1L:符号G2を参照)。
次に、時刻t1において制御手段130は、撮像手段120を右向きに回動させ、例えば1secごとに中央領域(領域B4,…,B7:図4(b)参照)を30回撮像する。そして、当該撮像結果を用いて中央領域の在室者の人数、位置、及び活動量を算出し、記憶手段140に格納する(区間判定α1M:符号G2を参照)
次に、時刻t2において制御手段130は、撮像手段120をさらに右向きに回動させ、例えば1secごとに右領域(領域B7,…,B10:図4(b)参照)を30回撮像し、右領域の在室者の人数、位置、及び活動量を算出し、記憶手段140に格納する(区間判定α1R:符号G2を参照)。
このように制御手段130は、撮像手段120を右回りに回動させて左・中央・右領域を順次撮像し、撮像によって取得される画像情報を用いて各領域に存在する人体の活動量などを算出する(1回目の撮像:符号G3を参照)。
また、制御手段130は、左・中央・右領域のそれぞれについて算出した在室者の人数、位置、及び活動量を記憶手段140から読み出し、空調室内に存在する全在室者の人数、位置、及び活動量を算出する(最終判定β1:符号G4を参照)。なお、人体検出処理などの詳細については、後記する。
さらに、制御手段130は、1回目の検出処理が終了するまでは、左右風向板104及び上下風向板105を全幅で回動させる(符号G6,G7を参照)。
1回目の撮像(左・中央・右領域)が完了すると、制御手段130は、検出した在室者の人数に応じて表示ランプ(図示せず)を点灯させる(符号G5を参照)。例えば、制御手段130は、室内機100の所定箇所に配置された3個の表示ランプ(図示せず)を、在室者が1人の場合は1個、2〜3人の場合は2個、4人以上の場合は3個点灯させる。
これによって、ユーザ(つまり、在室者)は、制御手段130が適切に在室者を検出していることを容易に確認できる。
さらに、制御手段130は、1回目の処理結果に応じて左右風向板104(符号G6を参照)、及び上下風向板105(符号G7を参照)を制御する際のパラメータを更新し、それぞれの風向を制御する。なお、図5では省略したが、制御手段130は、1回目の処理結果に応じて送風ファン103の回転速度も制御する。
そして、1回目の人体検出処理に応じた風向制御を行いつつ、制御手段130は時刻t3〜t5において2回目の人体検出処理を実行する。2回目の人体検出処理を行う際、制御手段130は撮像手段120を左回りに回動させ、右・中央・左領域を順次撮像する(符号G3を参照)。
ここで、2回目の最初に撮像する右領域の画像情報は、1回目に撮像した右領域の画像情報(30枚分の画像)をそのまま用いる。これによって、撮像手段120を往復運動させつつ、空調室内を連続的かつスムーズに撮像できる。従って、撮像時間を短縮して、適切な空調制御に反映することができる。
つまり本実施例の空気調和機においては、左右方向に往復して、室内機が設置される室内を撮像する撮像手段と、撮像手段から所定時間ごとに入力される画像情報に基づいて、人体の位置を検出する人体検出手段と、人体検出手段で検出された人体の位置に基づいて、在室者の位置を推定する在室者置推定手段と、在室者位置推定手段によって推定される在室者の位置に応じて空調制御を変更する空調制御変更手段と、を備え、在室者位置推定手段は、撮像装置を左右方向に回動させて、右領域、中央領域、左領域のそれぞれについて算出した在室者の位置情報に基づいて、第1回目の室内の在室者の位置を推定し、その後、撮像装置を左右方向に回動させて、左領域、中央領域、右領域のそれぞれについて算出した在室者の位置情報に基づいて、第2回目の室内の在室者の位置を推定し、第2回目の室内の在室者の位置の推定に用いた左領域の画像情報として、第1回目の室内の在室者の位置の推定に用いた撮像手段が撮像した左領域の画像情報を用いる。第2回目の室内の在室者の位置の推定に用いた左領域の画像情報として、第1回目の室内の在室者の位置の推定に用いた撮像手段が撮像した左領域の画像情報を用いることにより、撮像時間を短縮することができるので、在室者の位置を適切に検出して空調制御に反映させることができる。
2回目以後の撮像(右・中央・左領域)の結果を用いた空調制御は、前記した1回目の撮像を行う場合と同様である。このように制御手段130は、右・中央・左領域の画像情報を順次取得して人体検出処理を実行し、その検出結果を空調制御に反映させる。
図6は、制御手段が行う処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6の処理は、例えば、人体検出を行う運転モードがユーザによって選択され、リモコンReから室内機100のリモコン受信部Q(図1参照)に所定の指令信号が入力されることによって開始される。
また、図6に示す「START」時は、前記した図5に示す時刻t0に対応し、撮像手段120は、空調室内の左領域を撮像する向きであるとする。
ステップS101において制御手段130は、nの値を1に設定し(n=1)、記憶手段140に格納する。ちなみに、nの値は、撮像手段120から画像情報が入力されるたびに逐次インクリメントされる(S111)。
ステップS102において制御手段130は、撮像手段120から画像情報の入力を受け付ける。撮像手段120から入力される画像情報は、例えば、A/D変換されたデジタル信号である。当該画像情報は、画素を特定するピクセル数(縦方向・横方向)と、画素値と、を含んでいる。
ステップS103において制御手段130は、撮像手段120から入力される画像情報から、空調室内に存在する在室者の人数及び位置を検出する。
制御手段130は、まず、撮像手段120から入力される画像情報を用いて人体の頭部及び肩部を検出する。当該検出処理は、例えば、エッジ抽出処理及びパターンマッチングによって実行できる。
次に、制御手段130は、検出した人体ごとに顔中心の位置を算出するとともに、頭部の大きさ(縦方向の長さ)D0を算出する。そして、制御手段130は、前記算出結果を、検出時の時刻情報及び所定の識別情報と対応付けて、記憶手段140に格納する。
また、制御手段130は、検出した人体の数(つまり、人数)と検出時の時刻情報とを対応付けて記憶手段140に格納する。
次に、図6のステップS104において制御手段130は、座標変換処理を実行する。
図7(a)は、光軸Pと垂直面Sとの関係を示す説明図である。図7(a)に示すように、撮像手段120の光軸Pは、水平面に対して俯角εを有している。垂直面Sは、光軸Pに垂直であるとともに、在室者の顔中心を通る仮想平面である。距離Lは、撮像手段120が有するレンズ(図示せず)の焦点120aと、在室者の顔中心との距離である。
なお、前記したように、室内機100が設置される壁面Wとレンズの焦点120aとの距離はΔdである。
図7(b)は、画像面に撮像される画像と、実空間に存在する在室者との関係を示す説明図である。図7(b)に示す画像面Rは、撮像手段120が有する複数の受光素子(図示せず)を通る平面である。算出した頭部の大きさD0に対応する縦方向の画角γyは、以下に示す(数式1)で表される。ちなみに、角度βy[deg/pixel]は、1ピクセル当たりの画角(y方向)の平均値であり、既知の値である。
そうすると、レンズ(図示せず)の焦点120aから顔中心までの距離L[m]は、顔の縦方向の長さの平均値をD1[m](既知の値)とすると、以下に示す(数式2)で表される。前記したように、俯角εは、レンズの光軸が水平面となす角度である。
図7(c)は、レンズの焦点から顔中心までの距離Lと、画角δx,δyとの関係を示す説明図である。
画像面Rの中心から画像上の顔中心までのX方向、Y方向の画角をそれぞれδx,δyとすると、これらは以下に示す(数式3)、(数式4)で表される。ここで、xc,ycは、画像内の人体中心の位置(画像内でのX座標、Y座標)である。また、Tx[pixel]は撮像画面の横サイズであり、Ty[pixel]は撮像画面の縦サイズであり、それぞれ既知の値である。
したがって、実空間における人体中心の位置は、以下に示す(数式5)〜(数式7)によって表される。
再び、図6に戻って説明を続ける。ステップS105において制御手段130は、ノイズ除去処理1を実行する。すなわち制御手段130は、前記した人体中心の位置(X,Y,Z)が、適切に在室者を検出した場合には想定されない値であったとき、誤検出(つまり、ノイズ)であると判定し、これに対応する画像情報を削除する。
例えば、Y≦0である場合や(通常、人体中心が水平面よりも上方に位置することはない)、Y≧2である場合(通常、人体中心が床面よりも下方に位置することはない)の画像情報を削除する。前記ノイズの例として、テレビ画面やポスターに映っている人物が挙げられる。
このように、誤検出した場合の画像情報を早期に削除することで、移動軌跡推定処理(S109)などを行う際の演算量を低減できる。
次に、ステップS106において制御手段130は、ステップS105の処理によって残った人体の位置座標と、過去に撮像した人体の位置情報と、で想定される全ての組み合わせについて移動距離を算出する。例えば、図9(a)に示す検出結果として、所定時刻に人体が位置A及びBにあり、次の撮像で人体が位置Cにあり、さらに次の撮像で人体が位置D及びEにあったとする。
今回の撮像によって位置Cを検出した場合、制御手段130は、過去に検出した位置A,Bと、今回検出した位置Cとの間で想定される全ての組み合わせについて、移動距離を算出する。すなわち、制御手段130は、在室者が位置Aから位置Cに移動した場合の距離LACと、位置Bから位置Cに移動した場合の距離LBCとを算出する。なお、本実施形態では撮像を1secごとに行っているため、距離LAC,LBCを移動速度とみなすことができる(他の移動距離についても同様である)。
このように、制御手段130は、今回検出した一つ又は複数の人体と、過去に検出した一つ又は複数の人体と、の想定される全ての組み合わせについて移動速度を算出する。なお、この時点において、今回検出した人体と過去に検出した人体との対応関係は判明していない。
次に、ステップS107において制御手段130は、ノイズ除去処理2を実行する。すなわち、制御手段130は、移動距離が所定値以上となる組み合わせを、移動軌跡の推定対象から除外する。
図8は、在室者の移動速度と活動量との関係を示すグラフである。図8に示すグラフの横軸は、在室者の移動速度[m/s]であり、縦軸は在室者の活動量[W/m2]である。図8に示すように、すなわち、移動速度が0.5m/s未満の領域において活動量は1(在室者は概ね静止している)である。また、移動速度が0.5m/s以上の領域において活動量は、移動速度に略比例して増加する。
ちなみに、図8に示す情報(移動速度と活動量との対応関係)は、予め記憶手段140(図3参照)に格納されている。
また、在室者が1.5[m/s]以上の速度で移動することは稀であるため、当該領域を無効領域(図8の斜線部分)とした。したがって、ステップS107において制御手段130は、移動距離が1.5[m/s]以上となる組み合わせ(今回の検出結果と、過去の検出結果との組み合わせ)を、処理対象から除外する。
このように、所定条件を満たす組み合わせを予め除去することによって、過去に検出できなかった別の人体との取り違いを防止できる。また、後記する移動軌跡推定処理を行う際の演算負荷を軽減できる。
次に、ステップS108において制御手段130は、活動量を算出する。すなわち、制御手段130は、移動速度と活動量との対応関係を示す情報(図8参照)を参照し、ステップS106で算出した各移動距離(ただし、S107の処理で残ったもの)に対応して活動量を算出する。
なお、この時点においても、今回検出した人体と過去に検出した人体との対応関係は判明していない。
次に、ステップS109において制御手段130は、移動軌跡推定処理(トラッキング)を実行する。すなわち、制御手段130は、候補となる複数の移動軌跡の中から在室者の実際の移動軌跡を推定する。なお、図9(a)で示す例では、検出した人体の移動軌跡として次の2通りが考えられる。
1.在室者(1人目)が、位置Aから位置Cに移動した。
2.在室者(2人目)が、位置Bから位置Cに移動した。
制御手段130は、今回検出される人体の位置と、過去に検出された一つ又は複数の人体の位置と、の想定される組み合わせのうち、対応する活動量が最小となる組み合わせを
特定する。
すなわち、制御手段130は、前記した1,2のいずれが正しいかを、距離LACに対応する活動量MACと、距離LBCに対応する活動量MACとの大小を比較することによって判定する。前記したように、本実施形態では撮像を1secごとに行っているため、距離LAC,LBCを移動速度とみなすことができる。また、図8より、移動速度と活動量とは正の相関を有する。したがって、活動量の大小は、移動距離の長短にそのまま対応する。
例えば、図9(a)に示す距離LACと距離LBCとを比較すると、距離LACのほうが短い(LAC<LBC)。したがって、活動量MACと活動量MBCとを比較すると、活動量MACのほうが小さくなる(MAC<MBC)。
制御手段130は、相対的に小さい活動量を与える移動軌跡を、在室者の実際の移動軌跡であると推定する。すなわち、制御手段130は、位置Aから位置Cに1人目の人体が移動したと推定し(図9(b)参照)、当該位置(A→C)と活動量MACとを対応付けて記憶手段140に格納する。
このように、最も距離の短い移動軌跡を実際の移動軌跡であると推定することによって、適切かつ容易に移動軌跡を特定できる。
ちなみに、前回の撮像で位置Bに存在した2人目の人体に対応する人体が、今回の撮像では検出されていない(図9(b)参照)。この場合、制御手段130は、位置Bと撮像時刻とを対応付け、後の移動軌跡推定処理の候補として記憶手段140に格納する。このように、今回検出漏れした可能性がある候補は、次回から所定回数(例えば、5回)の撮像が終わるまで残しておく。
次の撮像において図9(a)に示す位置D,Eで人体を検出すると、制御手段130は、距離LCD、距離LCE、距離LBD、及び距離LBEにそれぞれ対応する活動量の大小を比較する。ここでは、移動軌跡推定処理の候補として、前記した位置Bが記憶手段140から読み出される。
図9(a)に示すように、移動距離の長短は、LCD<LCE<LBE<LBDとなっている。したがって、対応する活動量の大小は、MCD<MCE<MBE<MBDとなる。そして、制御手段130は、相対的に小さい活動量を与える移動軌跡、つまり、C→Dと活動量MCDとを対応付けて記憶手段140に格納する。
そうすると、1人目の人体はA→C→Dのように移動したと推定される(図9(b)参照)。したがって、制御手段130は、B→Dの移動、及びC→Eの移動を移動軌跡の推定対象から除外する。その結果、制御手段130は、2人目の人体が位置B→□→Eのように移動したと推定する(図9(b)参照)。
このようにして、制御手段130は、撮像手段120から画像情報が入力されるたびに在室者を検出し、その移動軌跡を推定する。
なお、移動軌跡を推定する際、過去に検出された一つ又は複数の人体に関して、前記過去の検出時までの活動量が小さい人体から順に移動軌跡を推定することが好ましい。ここで、「前記した過去の検出時までの活動量」は、前々回から前回までの移動に伴う活動量であってもよいし、それより前の移動も考慮して現在に近づくほど重み付けした活動量の和であってもよい。
一般に、人間は急に動作速度を変えることはできない。例えば、過去に動いていなかった人体は、現在でも動きがないか、又は動きがあったとしても移動距離が比較的短い可能性が高い。また、過去に動いていた人体は、現在も動き続けている可能性が高い。
活動量の小さい人体から順に、移動軌跡を推定することによって、過去の動作履歴を活動量に反映させ、より効率的かつ適切に移動軌跡を推定できる。
別の例として、図10(a)に示すように、所定時刻に人体が位置A及びBで検出され、次の撮像で人体が位置C,Dで検出され、さらに次の撮像で人体が位置E及びFで検出されたとする。
また、図10に示す距離LAD,LBD,LDE,LDFは、それぞれ1.5m以上である(つまり、移動速度が1.5m/s以上である)とする。
この場合、前記したステップS107のノイズ除去処理2(図6参照)において、移動速度が1.5m/s以上であるA→D、B→D、D→E、及びD→Fの組み合わせは、移動軌跡の候補から除外される。
したがって、制御手段130は、図9(a)の場合と同様の方法を用いて、1人目がA
→C→Eのように移動し、2人目がB→□→Eのように移動したと推定する(図10(b)参照)。また、位置Dで検出した人体については、前記二者とは異なる人体(3人目)であると推定し(図10(b)参照)、記憶手段140に格納する。
なお、図6に示すステップS102〜S110は、図5に示す時刻t0〜t1(左領域の撮像:符号G3参照)で実行するN回の撮像うち、1回ぶんの画像情報を用いた処理に相当する。
次に、図6のステップS110において制御手段130は、n=Nであるか否かを判定する。なお、Nは予め設定された値(例えば、N=30)であり、左・中央・右領域のそれぞれにおいて室内を撮像する回数である。
n=Nである場合(S110→Yes)、制御手段130の処理はステップS112に進む。一方、n=Nでない、つまりn<Nである場合(S110→No)、制御手段130の処理はステップS111に進む。ステップS111において制御手段130は、nの値をインクリメントし、ステップS102の処理に戻る。
次に、ステップS112において制御手段130は、以下のようにして領域判定処理αを実行する(図5に示す領域判定α1Lに対応)。
すなわち、制御手段130は、在室者の人数を、途中で見失った人体、及び最後まで追跡できた人体のうち、その検出率が20%以上である人体の数とする。図10(b)に示す例では、1人目の検出回数は30回の撮像のうち27回であり、検出率は90%である。同様に、2人目の検出率は50%であり、3人目の検出率は10%(<20%)である。
したがって、制御手段130は、3人目を誤検出であった(又は、途中で空調室内から退出した)とみなし、処理の対象外とする。
また、30回の撮像のうち連続して5回検出できなかった人体についても、制御手段130は誤検出であった(又は、途中で空調室内から退出した)とみなし、処理の対象外とする。
また、制御手段130は、それぞれの在室者の位置を、その領域(今回は左領域)において最後に検出できた位置とする。
さらに、制御手段130は、ステップS109で推定した移動軌跡に対応する活動量に関し、現在時刻に近いほど重み付けして和を算出し、在室者の位置と対応付けて記憶手段140に格納する。
次に、ステップS113において制御手段130は、左・中央・右領域の全てを所定回数N回ずつ撮像したか否かを判定する。左・中央・右領域の全てを所定回数N回ずつ撮像した場合(S113→Yes)、制御手段130の処理はステップS115に進む。一方、左・中央・右領域のうち少なくとも一つを撮像していない場合、制御手段130の処理はステップS114に進む。
ステップS114において制御手段130は、撮像手段120を所定角度だけ回動させ、次の領域の撮像を開始し、ステップS101の処理に戻る。例えば、左領域の撮像が完了した場合、制御手段130は撮像手段120を右向きに回動させ、中央領域の撮像を開始する。
ステップS115において制御手段130は、以下のようにして最終判定βを実行する(図5に示す1回目の最終判定β1に対応)。
すなわち、左・中央・右領域で取得した活動量を、それぞれの位置に対応付けて重ね合わせる。なお、検出領域が重なっている領域B4,B7(図4(b)参照)の両方で人体が検出され、かつ、人体の間隔が所定距離(例えば、2m)以内の場合、制御手段130は同一人物であると判定する。
この場合、検出時からの経過時間が短いほうを採用し、重複したぶん人数を減らす。
このように、制御手段130は、空調室内における活動量(過去から現在までの活動量について重み付けされたもの)を、ステップS115の位置情報と対応付けることによって、活動量の分布を正確に把握できる。
さらに制御手段130は、前記した上下方向の5つの領域(図4(a)参照)と、左右方向の10個の領域(図4(b)参照)とによって区画される50(=5×10)の各領域と、前記した活動量の分布とを対応付けて、記憶手段140に格納する。
次に、図6のステップS116において制御手段130は、風向・風量の制御処理を実行する。つまり、制御手段130は、前記した50個の領域における活動量の分布を参照し、当該分布に応じて左右風向板104及び上下風向板105の角度を制御する。また、空調室内における活動量の分布、体感温度の平均値、及び各種センサから入力される信号に応じて、送風ファン103の回転速度を調整する。
ちなみに、冷房運転を実行している場合、制御手段130は、活動量の大きい領域に向けて重点的に冷風を送風する。一方、暖房運転を実行している場合、制御手段130は、活動量の小さい領域に向けて重点的に温風を送風する。
図11(a)は、活動量の分布に応じた上下方向の風向制御の説明図(側面図)である。冷房運転を実行する際、上下方向において図4(a)の領域A1での活動量が相対的に大きい場合、制御手段130は次のように風向を制御する。すなわち、制御手段130は、図11(a)の符号c1で示す方向に冷風を送風するように、上下風向板105を回動させる。
同様に、上下方向において図4(a)の領域An(n=2,…,5)での活動量が大きい場合、制御手段130は、符号cnで示す方向に冷風を送風するように上下風向板105を回動させる。
一方、暖房運転を実行する際、上下方向において図4(a)の領域An(n=1,…,5)での活動量が相対的に小さい場合、制御手段130は、図11(a)の符号hnで示す方向に温風を送風するように上下風向板105を回動させる。
図11(b)は、活動量の分布に応じた左右方向の風向制御の説明図(平面図)である。冷房運転を実行する際、左右方向において図4(a)の領域B1での活動量が相対的に大きい場合、制御手段130は、次のような制御を実行する。すなわち、制御手段130は、図11(a)の符号f1で示す方向に重点的に冷風を送風するように上下風向板105を回動させる。
同様に、左右方向において図4(a)の領域An(n=2,…,10)での活動量が大きい場合、制御手段130は、符号fnで示す方向に重点的に冷風を送風するように左右風向板104を回動させる。
一方、暖房運転を実行する際、左右方向において図4(a)の領域An(n=1,…,10)での活動量が相対的に小さい場合、制御手段130は、図12(a)の符号fnで示す方向に重点的に温風を送風するように左右風向板104を回動させる。このように、空調室内の活動量の分布、及び空調モードに応じて上下風向板105、左右風向板104の向きを制御する。
本実施形態に係る空気調和機Aによれば、撮像手段120から入力される画像情報を用いて人体検出を行うことによって、在室者の検出確率を高めることができる。
例えば、前記した特許文献1に記載の技術のように、顔検出機能を用いることによって在室者を検出する場合、顔検出を行うために高い解像度の撮像手段を用いても在室者の検出確率が低くなってしまう。この場合、撮像手段を用いて所定時間(例えば、1sec)ごとに室内を撮像しても在室者の移動軌跡を適切に推定できず、顔検出の結果が空調制御に有効に反映されない。
これに対して、本実施形態に係る空気調和機Aによれば、在室者の顔の向きによらず、また、逆光であるか否かに関わらず、人体(在室者の上半身)を高確率で検出できる。このように、人体検出を使用することによって検出確率を高め、個人を特定することなく移動軌跡の推定(トラッキング)を適切に行うことができる。
また、人体検出を行う場合、顔検出を行う場合よりも低い解像度で対応できる。したがって、撮像手段120にかかるコストを低減できる。
また、本実施形態において制御手段130は、今回検出した人体の位置と、過去に検出した複数の人体の位置とで想定される組み合わせのうち、対応する活動量が最小となる組み合わせを順次特定して移動軌跡を推定することとした。
このように、活動量の小さい組み合わせ(つまり、単位時間当たりの移動距離が短い組み合わせ)から移動軌跡を順次特定することによって、適切かつ効率的に移動軌跡を推定できる。
また、本実施形態では、人体中心(X,Y,Z)が所定範囲に位置する場合や、人体の移動速度が1.5m/s以上である場合、制御手段130はこれらを処理対象から除外する(S105,S107:図6参照)。
これによって、誤検出を防止するとともに、その後の移動軌跡推定処理などに要する演算量を低減できる。
また、本実施形態によれば、撮像手段120を左右方向に往復させて部屋全体を撮像し、右回りで撮像手段120を回動させて撮像した右領域の画像情報を、次に撮像手段120を左回りに回動させて撮像する際にそのまま用いる(左領域も同様である)。したがって、撮像手段120を往復運動させつつ、空調室内を連続的かつスムーズに撮像できる。
また、本実施形態によれば、人体の移動軌跡を推定する(トラッキングを行う)ことによって、検出した人体それぞれの活動量を時間的に連続して検出することができる。したがって、検出したそれぞれの人体の活動量及び体感温度を適切に推定し、人体の位置と対応付けて空調制御に適切に反映させることができる。
例えば、暖房運転時に活動量が小さい(体感温度が低い)人体に向けて重点的に温風を送風するように、送風ファン103の回転速度、左右風向板104の角度、及び上下風向板105の角度を制御する。これによって、体感温度の平均値よりも体感温度の低い在室者の快適性を保ちながら、設定温度を体感温度の平均値に応じて低くすることで消費電力を低減し、節電することができる。
以上、本発明に係る空気調和機Aについて前記実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、活動量に基づいて移動軌跡を推定する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、人体の移動距離を直接的に用いることによって、移動軌跡を推定してもよい。
前記したように、所定時間当たりの人体の移動距離(つまり、移動速度が速いほど)とは、活動量とは正の相関がある(図8参照)。したがって、今回検出される人体の位置と、過去に検出された一つ又は複数の人体の位置と、の想定される組み合わせのうち、対応する移動距離が最小となる組み合わせを、今回検出される一つ又は複数の人体ごとに順次特定することで移動軌跡を推定できる。
また、移動軌跡を推定する際、過去に検出された一つ又は複数の人体に関して、当該過去の検出時までの移動距離(移動速度)が小さい人体から順に移動軌跡を推定してもよい。これによって、過去の動作履歴を反映させ、効率的かつ適切に移動軌跡を推定できる。
また、人体検出部131による検出結果を用いることによって、空調室内における在室者の密度(単位体積当たりに存在する人数)を在室者密度推定手段により求めることができる。在室者の体感温度は、活動量の他、前記した密度によっても変動する(密度と正の相関を有する)。この場合、制御手段130は、空調室内(左・中央・右領域)を撮像するたびに、室内に存在する人体の密度分布を算出し、当該密度を在室者の体感温度に反映させる。
例えば、暖房運転を行う際、前記密度によって在室者の体感温度が比較的高くなっていると推定した場合、制御手段130は、体感温度の上昇を相殺するように設定温度を低くし、圧縮機(図示せず)の回転速度を低下させる(冷房運転時は、逆に、圧縮機の回転数を増加させる。)。これによって、在室者の快適性を保ちつつ、電力消費を低減することができる。
また、制御手段130が、上下風向板105及び左右風向板104の回動角度を調整し、人体の密度が高い領域を避けるように送風するようにしてもよい(冷房運転時は逆に、人体の密度が高い領域に向けて送風する)。
また、前記実施形態では、撮像手段120(視野角60°)を回動させることによって左・中央・右領域を順次撮像し、平面視で150°の領域を撮像する場合について説明したが、これに限らない。
撮像手段120が十分な視野角を有する場合、撮像手段120を回動させることなく人体検出処理を行うことができる。この場合の移動軌跡の推定処理方法は、前記実施形態と同様の方法で行うことができる。
また、前記実施形態では、撮像手段120を室内機100の固定部111に設置する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、空調室内を撮像できるのであれば、撮像手段120を室内機100の他の箇所に設置してもよい。
また、前記各実施形態では、移動軌跡推定処理の結果に応じて、送風ファン103の回転速度、左右風向板104の角度、及び上下風向板105の角度を変更する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、送風ファン103の回転速度、左右風向板104の角度、及び上下風向板105の角度のうち少なくとも一つを変更してもよい。
また、移動軌跡推定処理の結果に応じて空気調和機Aの設定温度を適宜変更し、これに伴って圧縮機(図示せず)に設置されるモータ(図示せず)の回転速度を変更してもよい。