JP2016130094A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両ユーザに対するサービス性を向上できるようにした電子制御装置を提供する。
【解決手段】レディネス記憶領域21は異常診断項目の成立を示すレディネスを記憶し、履歴情報記憶領域22は異常診断履歴として正常履歴有るか否かを履歴情報として記憶する。マイクロコンピュータ12は、車両を異常診断するときに、履歴情報記憶領域22に記憶された履歴情報に正常履歴有が存在する場合には、レディネス記憶領域21に記憶されるレディネスが完了するための異常診断項目の成立条件を緩和して異常診断する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の異常診断処理を可能にした電子制御装置に関する。
一般に、車両には多数の電子制御装置が搭載されているが、その中で特定の電子制御装置は、車両の自己異常診断(OBD:On-Board Diagnostics)機能を備えている。近年では、OBDII規格が制定されており、ガソリン車、ディーゼル車は幅広く対象とされている。OBDII規格においては、排気ガス、エンジンなどの主要部品を定期的にモニタすることで、車両状態、車両用部品を診断可能になっている。
電子制御装置は、車両に搭載された各種センサ情報に基づいて、様々な検査項目を異常と判断すると、異常を示す情報を記憶手段に記憶させる。この情報は、ガソリンスタンドなどに設置された外部装置を用いて読み出され、異常チェックなどに必要な情報として活用される(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−151021号公報
異常診断機能が何らかの原因で正常に機能しない場合にはセンサ等の異常を適切に判断できないため、当該装置の機能を車載状態のまま外部からチェック可能にしており、記憶手段がセンサ等の複数機器に対する各異常診断の実施状態を記憶するようにしている。
例えば、OBDII規格では、異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下、異常診断項目と称す)の成立を示すレディネス(readiness)情報を記憶手段に保持させるように規定している。例えば、このレディネスは、全ての異常診断項目が完了した場合に、製造工場から出荷可能、修理工場にて修理完了等と見做される。
このレディネスは、規格上、外部装置によりクリア可能になっており記憶手段から抹消できる。しかし逆に、このレディネスは、全ての異常診断項目が成立しないと全て完了とならない。この異常診断項目は、条件成立の容易性、判定時間がそれぞれ異なり、一度クリアされた場合には再び完了させることが容易ではない項目も存在する。例えば多大な時間を要する場合もある。したがって、製造工場出荷プロセス又は車両ディーラーによる修理環境下などにおいて、ユーザに対し迅速なサービスを提供する上では不都合要因となっている。
本発明の目的は、車両ユーザに対するサービス提供性を向上できるようにした電子制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、第1記憶手段は異常診断項目の成立を示すレディネスを記憶し、第2記憶手段は異常診断履歴として正常履歴有るか否かを履歴情報として記憶する。異常診断手段が車両を異常診断するときに、履歴情報に正常履歴が有る場合には、レディネスが完了するための異常診断項目の成立条件を緩和して異常診断する。
異常診断手段は、履歴情報に正常履歴が有る場合には、異常診断項目の成立条件が緩和された状態で異常診断するため、たとえ異常診断項目の条件成立が困難又は判定時間を多大に要する場合であったとしても、緩和された異常診断項目の成立条件を満たせば完了を示すレディネスが第1記憶手段に記憶されることになる。これにより、迅速に処理を施すことができ、車両ユーザに対して迅速にサービス提供できるようになる。
請求項2記載の発明によれば、異常診断手段は、第2記憶手段の履歴情報として正常履歴無し、と記憶されているときには、異常診断項目の成立条件を緩和することなく異常診断するため、履歴情報が正常履歴無しのときには、通常の異常診断項目通り異常診断することになり、通常の流れに従って異常を発見できる。
第1実施形態における通信システム及び電子制御装置の電気的構成を概略的に示すブロック図 処理動作を概略的に示すフローチャート(その1) 処理動作を概略的に示すフローチャート(その2) 第2実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート 第3実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート 第4実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート 第5実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート(その1) 第5実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート(その2) 第6実施形態における処理動作を概略的に示すフローチャート
以下、電子制御装置の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、各実施形態で説明した構成と同一又は類似機能を備えた構成又は処理について同一符号又は類似符号を付し、第2実施形態以降では必要に応じて説明を省略する。
(第1実施形態)
図1〜図3は第1実施形態に係る説明図を示す。図1に示す通信システム1は、車両に搭載された複数の電子制御装置(以下、ECU)2、3、4を備え、当該複数のECU2〜4が車両ネットワークによる通信線5を通じて双方向通信可能に接続されている。各ECU3、4には、温度センサA1などの各種のセンサA1、A2、アクチュエータB1、B2などが接続されており、複数の電子制御装置2〜4はこれらのセンサA1、A2、アクチュエータB1、B2を制御することで車両内の各種制御を行う。また、通信線5には、車外からスキャンツール(外部装置相当)6を接続可能にするテストポート(DLC:Data Link Connector)7が設けられる。
スキャンツール6は、例えば液晶ディスプレー8、複数のボタン9、ケーブル10、コネクタ11などを備え、例えば車両製造業者又はディーラーなどに所属する作業者がコネクタ11を通信線5のテストポート7に接続することで使用される。複数のボタン9は、例えば全消去ボタン、一部消去ボタン及び確定ボタンなどのボタンである。
ECU2は、スキャンツール6から通信線5を通じて入力されるコマンドに従って、異常診断に関連する情報等をスキャンツール6に応答する。例えば、スキャンツール6は、ECU2に記録されたダイアグ情報(ダイアグコード:DTC)の読み出し、消去、車両内の警告灯の消灯制御、車台番号(VIN:Vehicle Identification Number)の読出し、警告灯(MIL:Malfunction Indicator Light)の状況を表示することができる。
ECU2は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)12、通信インタフェース13、及び、不揮発性記憶手段としてのEEPROM14を備える。このマイコン12は、CPU16と、バックアップRAMとしてのSRAM15を備える。マイコン12は、CPU16と、ROM17、RAM18及びバックアップRAMとしてのSRAM15などのメモリとを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPU16が実行することに応じて各種の機能を実現する。マイコン12は、プログラムを実行することで、例えば異常診断手段、受付手段、クリア手段として機能するものである。なお、RAM18にはバッテリ20から断続的に電源供給されイグニッションスイッチ19のオフ時に内容が消去され、CPU16がプログラムを実行する際の作業領域を確保している。
SRAM15は、イグニッションスイッチ19のオンオフ状態に影響されることなく、バッテリ20から常時電力供給されており、当該バッテリ20から電源が供給されている間、書き込まれたデータを常時記憶保持する揮発性メモリである。SRAM15は、異常に関連する情報を記憶するための領域として使用される。このSRAM15は、レディネスを記憶するレディネス記憶領域(第1記憶手段相当)21と、履歴情報記憶領域(第2記憶手段相当)22と、異常を診断したときのデータなどのダイアグ情報(DTC)を記憶する異常関連情報記憶領域23と、を備えている。
レディネス記憶領域21は、ECU2が実行可能な異常診断処理の種類毎に異常診断の実行の有無(完了/未完了)を示すレディネスフラグ(以下レディネスと略す)が記憶される。このレディネスは、異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下、異常診断項目と略す)の完了を示す情報を示す。
例えば、OBDII規格では、常時監視対象、定期監視対象の項目が予め定められている。常時監視対象の項目としては、ミスファイア、フューエルシステム、排ガス制御系(A/Fセンサ)、などが挙げられ、定期監視対象の項目としては、排ガス再循環システム、Oセンサ及びそのヒータ、触媒装置、燃料蒸発ガス排出抑制装置(エバポシステム)、二次空気供給装置、エアコンディショニングシステム、などが挙げられる。マイコン12は、これらの各構成の異常診断を行い、異常診断項目の診断が完了したときに、レディネスを完了としてSRAM15のレディネス記憶領域21に記憶させる。
履歴情報記憶領域22は、これらの異常診断処理の実行時の異常診断履歴を記憶する領域であり、レディネス記憶領域21に対応した異常診断処理の種類毎にそれぞれ異常診断履歴(正常履歴/異常履歴)を記憶する領域として設けられる。異常関連情報記憶領域23は、レディネスに対応して異常診断の実行結果を示すデータとして異常診断関連情報を記憶保持する領域として設けられる。この異常診断関連情報は、例えば、異常有/異常無/異常有無不明を表す情報を含み、リセットされていれば異常有無不明として設定される。
EEPROM14は、ダイアグ情報(DTC)の中でも恒久的に記憶すべき情報としてパーマネントダイアグ情報(PDTC)を記憶するためのPDTC記憶領域24を備えた不揮発性記憶メモリである。
マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで所定の車両制御を実行し、また並行して車両制御に関する異常診断を行う。異常診断処理の実行時期は異常診断の種類ごとに異なるものの、マイコン12は、イグニッションスイッチ19がオンして車両が起動した直後に各種センサの出力信号に基づいて異常診断処理したり、車両の走行時に車両制御の実行結果に基づいて異常診断したりすることもある。またマイコン12は、イグニッションスイッチ19がオフされている最中においてもソークタイマ(図示せず)を用いて自ら起動して異常診断処理することもある。また、マイコン12は、イグニッションスイッチ19が一旦オフされて再度オンされることで所謂ドライビングサイクルが変化しても、前回の車両状態(各種センサの出力信号等)を予めSRAM15に記憶しておき、今回の車両状態(各種センサの出力信号等)と照合することで異常診断処理することもある。
すなわち、多数の異常診断項目の中で、比較的短時間で検出しやすい項目と長時間かけなければ検出し難い項目とが存在する。例えば検出し難い異常検出項目としては、燃料噴射系の異常診断項目がある。例えば、インジェクタの複雑又は稀な駆動条件を満たした状態で再度その異常を検出するか判定するための項目が挙げられる。例えば、ミスファイアが生じた場合には異常条件の成立履歴(異常履歴)が記憶されるが、この異常履歴が記憶されている状態でエンジン回転数が当該ミスファイアの生じた回転数領域に入っていることを条件として次回ミスファイアを生じるか、を判定する異常診断項目は比較的検出し難い項目となる。これは、エンジン回転数がミスファイアの生じた回転数領域に再度入る可能性が低いときには当該条件を満たすこと自体が稀となるためである。
また、例えば所定走行速度範囲(例えば40〜50km/h)の走行状態が10秒間続き、その後エンジンアイドル状態となる期間が所定時間(例えば60秒間)となる条件を満たしたときに、エンジン冷却水の温度センサA1の温度検出結果が所定温度以上の変化があれば当該温度センサA1は正常動作、温度センサA1の温度検出結果が所定温度未満の変化しかなければ温度センサA1は異常動作、という類の異常診断項目も比較的検出しにくい項目となる。これは、車両走行状態等に依存する項目であり、これらの条件を全て満たすことが比較的稀となるためである。また、イグニッションスイッチ19のオフを検出した後に数時間程度の所定時間の間、ユーザ操作がないことを条件として異常診断処理を行う項目も比較的検出し難い項目として挙げられる。
ECU2は、イグニッションスイッチ19のオフを検出した後には、ソークタイマを用いて所定時間毎(例えば数時間〜数日毎)に自己起動し異常診断処理を実行することもあるが、エンジン始動中(前回ECU2の起動時)に条件成立し、エンジン停止中(今回ECU2の起動時)においてエンジン始動中とは異なる条件を必要とする異常診断項目も検出し難い項目として挙げられる。例えば、エンジンの始動中に温度センサA1の温度検出結果が第1所定温度(例えば40度)以上であり、且つ、その後のエンジンの停止後ユーザ操作がなく、且つ、水温センサの検出結果が第2所定温度(例えば20度)未満となることを条件として正常判定する場合などである。これも、比較的長時間を要することになり条件成立しにくいため検出し難い項目となる。さらに、エンジンの冷却水の温度変化以外にも、吸気温の変化を条件とする場合も比較的検出し難い項目として挙げられる。
エンジン停止中においてユーザによる操作がないときでも異常診断処理を行うためにECU2がソークタイマを用いて起動し、ECU2〜4が意図的にアクチュエータB1、B2(例えば、A/F(空燃比)センサのヒータ、O(酸素)センサのヒータ、パージバルブ)を駆動することがある。このようにユーザ操作がない条件下でアクチュエータB1、B2を操作しなければ異常有無を判定できない異常診断項目もあり、このような異常診断項目も比較的検出しにくい項目として挙げられる。このような異常診断項目は、概ね数時間〜数日必要となるものが多く、逆に、これらの異常診断項目以外の項目は短時間で検出可能となるため、比較的検出し易い異常診断項目となる。
マイコン12は、各種の異常診断項目毎に対応して診断完了を示すレディネスをSRAM15のレディネス記憶領域21にセットし、異常診断完了したことを示す情報を記憶させる。そして、マイコン12は、SRAM15内の異常診断関連情報の内容を当該異常診断結果に従った内容に更新する。また、マイコン12は、異常を生じた場合には、例えば警告表示ランプ(図示せず)を点灯させることで車両乗員に報知する。
また、スキャンツール6が通信線5に接続されると外部要求受付処理を実行する。すなわち、マイコン12は、通信インタフェース13を通じて外部から何らかの要求を受付けるまで待機し、要求信号を受け付けると、これに応じた処理を実行する。スキャンツール6は、SRAM15に記憶されるレディネスのコードクリア要求をECU2に出力可能になっている。このコードクリア要求は、スキャンツール6のユーザ操作に応じてマイコン12に向けて出力されるコマンドであり、ユーザによるスキャンツール6の例えば1回のボタン操作により1回のコードクリア要求がなされるものとなっている。
以下、本実施形態に係る作用について説明する。図2に車両制御に関する異常診断を行う場合のマイコン12の処理を概略的に示している。この図2に示す処理は、個々の異常診断項目毎に実行される処理を示す。この図2に示すように、マイコン12は、個々の異常診断の実行処理時において、履歴情報記憶領域22に正常履歴が有るか否か判定し(S1)、正常履歴が存在する場合には(S1:YES)、緩和された異常診断項目の成立条件(図2には「緩和条件」と示す)を満たしているか否かを判定する(S2)。
マイコン12は、緩和された異常診断項目の成立条件を用いて異常診断を行い、この成立条件を満たしていれば(S2:YES)、レディネスを完了とする(S3)。マイコン12は、ステップS3の処理を行った後、この異常診断項目の正常履歴をクリアする(S4)。
他方、マイコン12は、正常履歴が存在しない場合には(S1:NO)、緩和された異常診断項目の成立条件を用いることなく通常の異常診断を行う(S5〜S9)。マイコン12は、通常の異常診断処理を行うとき(S5〜S9)には、異常診断項目の異常条件が成立したか否かを判定し(S5)、異常条件が成立すれば(S5:YES)、履歴情報記憶領域22内の正常履歴をクリアする(S6)。ここで異常条件の成立とは例えばセンサA1、A2の動作異常などの異常動作確定を意味する。逆に、マイコン12は、異常診断処理を行うときに、異常診断項目の正常条件が成立すれば(S7:YES)、履歴情報記憶領域22に正常履歴として保持する(S8)。ここで正常条件の成立とは例えばセンサA1、A2の動作正常などの正常動作確定を意味する。また、マイコン12は、これらの異常診断項目の正常条件又は異常条件の何れかが成立した場合には、レディネスを完了とする(S9)。また、図2のステップS7にてNOと判定され、レディネスが未完とされている場合(S10:YES)、図3に示すように、マイコン12は、緩和された異常診断項目の成立条件を満たしているとき(S11:YES)、レディネスを完了とし(S12)、正常履歴をクリアする(S13)が、それ以外の場合、処理を終了する。
以下、具体例を説明する。車両のイグニッションスイッチ19がオンされると、エンジンが始動され、暖機運転状態となる。マイコン12のCPU16は、例えばタイマ(図示せず)を用いてエンジン始動後に第1所定秒経過したことを検出し、且つ、走行距離が第1所定距離以上となったか否かを判定し、これらの所定条件が成立しても異常状態とならなかった場合には、正常条件が成立したものと判定し(S7:YES)、履歴情報として正常履歴有としてSRAM15に記憶、保持する(S8)。前記では「所定の条件」を1回だけ判定した例を示すが、所定の条件(すなわちエンジン始動後に第1所定秒経過且つ走行距離が第1所定距離以上)を複数の所定回繰り返し判定することを正常条件の成立条件としても良い。
そして、マイコン12は、次回の異常診断処理時には緩和条件を適用して異常診断処理を行う(次回のS1〜S4)。この緩和条件は、例えば「第1所定秒」を減じた「第2所定秒」(<第1所定秒)とすると共に、「第1所定距離」を減じた「第2所定距離」(<第1所定距離)とする。
マイコン12は、履歴情報として正常履歴有と判定する(S1でYES)ため、エンジン始動後に第2所定秒経過し、且つ、走行距離が第2所定距離以上となったときに、この所定の条件が成立しても異常状態とならなかった場合に、緩和条件が成立したものとして(S2:YES)、レディネスを完了(S3)とする。そしてSRAM15に記憶された正常履歴をクリアする(S4)。このようにして、緩和された異常診断項目の成立条件が満たされた場合にレディネスを完了とすることができる。これにより、正常履歴が有る場合には緩和条件を適用して異常診断項目の異常診断処理を行うことになり、条件を満たせばレディネスを完了とすることができ、レディネスを完了とするのに多大な時間を必要とせず、レディネスを完了させやすくなる。
なお、緩和された異常診断項目の成立条件は、前述した具体例以外にも様々な例があり、どういった種類の異常に対してどの緩和条件を適用するのかは予め決定されている。また、この緩和された異常診断項目の成立条件は、全体システムで統一した同一条件としても良いし、異常診断項目毎に別々の条件を設定しても良い。
また、マイコン12は、緩和された異常診断項目の成立条件が満たされないときには(S2:NO)、異常診断項目の異常条件が成立したとき(S5:YES)、または、異常診断項目の正常条件が成立したとき(S7:YES)にレディネスを完了(S9)とする。
以上説明したように、本実施形態によれば、マイコン12は、車両を異常診断するときに、履歴情報記憶領域22の履歴情報に正常履歴が有る場合には、レディネスが完了するための異常診断項目の成立条件を緩和(S2)して異常診断しているため、レディネスを完了させやすくなる。たとえ、異常判定項目の条件成立が困難又は判定時間を多大に要する場合であっても、レディネスがレディネス記憶領域21に記憶されやすくなる。これにより、迅速に処理を施すことができ、車両ユーザに対して迅速にサービスを提供できる。
また、マイコン12が車両を異常診断するときに、履歴情報記憶領域22に記憶される履歴情報として正常履歴無し、と記憶されているときには、異常診断項目の成立条件を緩和することなく異常診断するため、履歴情報が正常履歴無しのときには、通常の異常診断項目通りに異常診断処理することになり、通常の流れに従って車両の異常を発見できる。
また、マイコン12は、履歴情報記憶領域22に記憶される履歴情報として正常履歴有り、と記憶されているとき(S1:YES)には、緩和された異常診断項目の成立条件が満たされたとき(S2:YES)にレディネスが完了した(S3)と見做し、緩和された異常診断項目の成立条件が満たされないときには(S2:NO)、異常診断項目の異常条件が成立したとき(S5:YES)、または、正常条件が成立したとき(S7:YES)にレディネス記憶領域21に記憶されるレディネスが完了(S9)したと見做すと良い。
マイコン12は、異常診断項目の異常条件及び正常条件の成立/不成立を判定し、異常条件が成立した場合には正常履歴をクリアし(S6)、正常条件が成立した場合には正常履歴を有(保持)とする(S8)と良い。
(第2実施形態)
図4は第2実施形態の追加説明図を示す。第2実施形態では、コードクリア要求を受付けた場合の処理について示す。スキャンツール6はコードクリア要求をECU2に出力可能になっている。このコードクリア要求は、スキャンツール6のユーザのボタン9の操作に応じてマイコン12に向けて出力されるコマンドであり、ユーザによるスキャンツール6の例えば1回のボタン9の操作により1回のコードクリア要求がなされるものとなっている。本実施形態においては、マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、異常診断手段、受付手段、クリア手段として機能するものである。
ユーザ操作に応じて、スキャンツール6がコードクリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12はコードクリア要求を受付ける(T1:YES)。この後、マイコン12は、緩和された異常診断項目の成立条件(緩和条件)が成立したか否かを判定し(T2)、緩和条件が成立していれば(T2:YES)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアする(T3)が、緩和条件が成立していなければ(T2:NO)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアすることなく終了する。
本実施形態によれば、マイコン12がコードクリア要求を受付けたとしても、緩和条件が成立することを条件として正常履歴をクリアし、緩和条件が成立していないときには履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアしない。履歴情報記憶領域22の正常履歴がクリアされにくくなり、正常履歴を再度成立させるための時間等を必要としなくなる。
(第3実施形態)
図5は第3実施形態の追加説明図を示す。第3実施形態は第2実施形態の変形例を示す。本実施形態では、マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、異常診断手段、受付手段、クリア手段として機能する構成要素となる。
図5に示すように、スキャンツール6がユーザ操作に応じてコードクリア要求をECU2に出力し、ECU2のマイコン12はコードクリア要求を受付けたか否かを判定し(T1)、コードクリア要求を合計で所定回数受付けたことを条件として(T1a:YES)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアする。マイコン12は、これ以外の条件(T1、T1aでNO)のときには、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアすることなく終了する。
この本実施形態に示すように、マイコン12がコードクリア要求を合計で所定回数以上受け付けたことを条件として正常履歴をクリアし、これ以外のときには正常履歴をクリアしないようにしても良い。
(第4実施形態)
図6は第4実施形態の追加説明図を示す。第4実施形態では、ドライビングサイクルが移行した場合の処理について説明する。本実施形態では、マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、異常診断手段、ドライビングサイクル判定手段、クリア手段として機能する構成要素となる。
図6に示すように、マイコン12は、ドライビングサイクルが移行したか否かを判定する(U1)。ドライビングサイクルは、車両が始動したタイミングで切替わるサイクルであり、例えばイグニッションスイッチ19をオフからオンに切り替えたときに切り替わるサイクルである。
マイコン12は、イグニッションスイッチ19をオフからオンに切換わったか否かを判定することで、ドライビングサイクルが移行(変化)したか否かを判定する(U1)。マイコン12は、ドライビングサイクルが移行したときには(U1:YES)、緩和された異常診断項目の成立条件(緩和条件)が成立したか否かを判定する(U2)。このとき、マイコン12は、緩和条件が成立していれば、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアする(U3)が、緩和条件が成立していなければ(U2:NO)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアすることなく終了する。
本実施形態によれば、マイコン12はドライビングサイクルが移行したか否かを判定し、次回のドライビングサイクルに移行したと判定されたときには、緩和条件が成立していることを条件として正常履歴をクリアし、これ以外のときには正常履歴をクリアしない。この実施形態に示すように、ドライビングサイクルが移行するまで正常履歴を保持するようにしても良い。
また、図示しないが、履歴情報記憶領域22がRAM18内などに設けられている場合、例えばイグニッションスイッチ19がオフされた後(エンジン停止中)においても、履歴情報記憶領域22に記憶された異常診断項目の正常履歴を保持できる。
(第5実施形態)
図7及び図8は第5実施形態の追加説明図を示す。第5実施形態は第4実施形態の変形例を示す。本実施形態では、マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、異常診断手段、ドライビングサイクル判定手段、クリア手段として機能する構成要素となる。図7に示すように、マイコン12は、ドライビングサイクルが移行(変化)したか否かを判定し(U1)、ドライビングサイクルが所定回数(例えば10回)移行したことを条件として(U1a:YES)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアする(U3)。マイコン12は、これ以外の条件(U1、U1aでNO)のときには、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアすることなく終了する。
本実施形態によれば、マイコン12はドライビングサイクルが合計で所定回数移行したことを条件として正常履歴をクリアし、これ以外のときには正常履歴をクリアしない。この実施形態に示すように、ドライビングサイクルが所定回数移行するまで正常履歴を保持するようにしても良い。この意義は、ドライビングサイクルが所定回数以上移行すれば、車両状態(センサA1、A2の正常/異常状態)が変化している可能性が高くなるため、正常履歴をクリアすることで履歴情報記憶領域22の記憶情報の信頼性を保持できるようにすることである。
また、図示しないが、履歴情報記憶領域22がRAM18内などに設けられている場合、例えばイグニッションスイッチ19がオフされた後(エンジン停止中)においても、履歴情報記憶領域22に記憶された異常診断項目の正常履歴を極力保持できる。
なお、図8に示すように、緩和条件が成立したか否か(図6のU2)の判定条件を図7のステップU3より前に挿入して処理するようにしても良い。この意義は、ドライビングサイクルが何度も移行して車両が走行したにも関わらず緩和条件が成立しないのであれば(U2:NO)、正常履歴自体が信頼できない可能性があるため、正常履歴をクリアする(U3)ことで、履歴情報記憶領域22の記憶情報の信頼性を保持できるようにすることである。
(第6実施形態)
図9は第6実施形態の追加説明図を示す。第6実施形態は、第2実施形態又は第3実施形態の変形例であるため、図4又は図5に示すステップ番号T1、T1a〜T3と同一又は類似のステップ番号を図9に付して説明を行う。本実施形態では、マイコン12は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、異常診断手段、受付手段、計測手段、カウント手段として機能する構成要素となる。
図9に示すように、スキャンツール6がコードクリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12は、コードクリア要求を受付ける(T1)。コードクリア要求は、例えば、要求ボタン及び確認ボタンなどのボタン9の押下に応じて1回出力され、さらに、確認ボタンなどのボタン9の所定操作に応じてさらに1回出力されるコマンドとなっている。
マイコン12は、コードクリア要求を受付けると、タイマ(図示せず)を用いてこのコードクリア要求を受付けたタイミングからの時間を計測し、前回のコードクリア要求から所定秒以内であるか否かを判定する(T10)。そして、マイコン12は、このステップT10の条件を満たしていればコードクリア要求回数をインクリメント(+1)し(T11)、この要求回数が所定回数に達したか否かを判定する(T1a)。
マイコン12は、要求回数が所定回数に達していれば(T1a:YES)、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアする(T3)。マイコン12は、逆に、前回のコードクリア要求から所定秒(所定時間)以内の受付ではない場合(T10:NO)や、要求回数が所定回数に達しない場合(T1a:NO)には、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアしない。また、マイコン12は、前回のコードクリア要求から所定秒以内の受付ではない場合には、コードクリア要求回数をクリアする(T12)ことで、コードクリア要求をリセットする。
本実施形態によれば、マイコン12は前回のコードクリア要求を受付けてから次回のコードクリア要求を受付けるまでの時間を計測し当該計測時間が所定時間以内になることを条件としてコードクリア要求を受付けるものとし、合計で所定回数のコードクリア要求を受付けることを条件として、履歴情報記憶領域22の正常履歴をクリアし、これ以外の条件のときには正常履歴をクリアしないようにしている。この場合、前記の条件を満たさなければ正常履歴がクリアされることはない。
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
各種情報(例えばレディネス、履歴情報、異常診断関連情報等)がバックアップRAMとしてのSRAM15に記憶される形態を示したが、記憶媒体はこれに限られるものではなく、例えばノーマルRAM18、不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に記憶させるようにしても良い。
図面中、12はマイコン(異常診断手段、受付手段、クリア手段、ドライビングサイクル判定手段、計測手段、カウント手段)、21はレディネス記憶領域(第1記憶手段)、22は履歴情報記憶領域(第2記憶手段)、を示す。

Claims (10)

  1. 車両を異常診断する異常診断手段(12)と、
    前記異常診断手段による異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下異常診断項目と称す)の完了を示すレディネスを記憶する第1記憶手段(21)と、
    異常診断履歴として正常履歴有るか否かを履歴情報として記憶する第2記憶手段(22)と、を備え、
    前記異常診断手段は、車両を異常診断するときに、前記第2記憶手段に記憶された履歴情報に正常履歴有が存在する場合には、前記第1記憶手段に記憶されるレディネスが完了するための異常診断項目の成立条件を緩和して異常診断することを特徴とする電子制御装置。
  2. 請求項1記載の電子制御装置において、
    前記異常診断手段は、前記第2記憶手段の履歴情報として正常履歴無し、と記憶されているときには前記異常診断項目の成立条件を緩和することなく異常診断することを特徴とする電子制御装置。
  3. 請求項1記載の電子制御装置において、
    前記異常診断手段は、
    前記第2記憶手段の履歴情報として正常履歴が有、と記憶されているときには、
    前記緩和された異常診断項目の成立条件が満たされたときにレディネスが完了したと見做し、
    前記緩和された異常診断項目の成立条件が満たされないときには、異常診断項目の異常条件が成立したとき、または、正常条件が成立したときに、レディネスが完了したと見做す、ことを特徴とする電子制御装置。
  4. 請求項2記載の電子制御装置において、
    前記異常診断手段は、異常診断項目の異常条件の成立/不成立を判定し当該異常条件が成立した場合には前記正常履歴を無とし、前記異常条件が不成立のときに異常診断項目の正常条件の成立/不成立を判定し当該正常条件が成立した場合には前記正常履歴を有とする、ことを特徴とする電子制御装置。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子制御装置において、
    外部からコードクリア要求を受付ける受付手段(12、T1)と、
    前記受付手段によりコードクリア要求を受け付けたときに前記第2記憶手段に履歴情報として正常履歴有と記憶されていれば当該正常履歴をクリアするクリア手段(12、T3)と、を備え、
    前記クリア手段は、前記受付手段がコードクリア要求を受付けたときには、緩和された異常診断項目の成立条件(T2)が成立したときに正常履歴をクリアすることを特徴とする電子制御装置。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子制御装置において、
    外部からコードクリア要求を受付ける受付手段(12、T1)と、
    前記第2記憶手段に履歴情報として正常履歴有と記憶されてから前記受付手段が合計で所定回数以上のコードクリア要求を受付けた(T1a)ことを条件として正常履歴をクリアするクリア手段(12、T3)と、を備えることを特徴とする電子制御装置。
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子制御装置において、
    ドライビングサイクルが変化したか否かを判定するドライビングサイクル判定手段(12、U1)と、
    前記ドライビングサイクル判定手段により次回のドライビングサイクルに移行したと判定されたときには、緩和された異常診断項目の成立条件(U2)が成立したことを条件として前記正常履歴をクリアするクリア手段(12、U3)と、を備えることを特徴とする電子制御装置。
  8. 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子制御装置において、
    ドライビングサイクルが変化したか否かを判定するドライビングサイクル判定手段(12、U1)と、
    前記ドライビングサイクル判定手段により次回のドライビングサイクルに所定回数移行(U1a)したと判定されたことを条件として前記正常履歴をクリアするクリア手段(12、U3)と、を備えることを特徴とする電子制御装置。
  9. 請求項8記載の電子制御装置において、
    前記クリア手段は、緩和された異常診断項目の成立条件(U2)が成立しないことを条件として前記正常履歴をクリアすることを特徴とする電子制御装置。
  10. 請求項1〜4の何れか一項に記載の電子制御装置において、
    外部からコードクリア要求を受付ける受付手段(12、T1)と、
    前記受付手段が前回のコードクリア要求を受付けてから次回のコードクリア要求を受付けるまでの時間を計測する計測手段(12、T10)と、
    前記計測手段により計測される計測時間が所定時間以内であることを条件として要求回数をカウントするカウント手段(12、T11)と、を備え、
    前記第2記憶手段に履歴情報として正常履歴有と記憶されている場合、前記カウント手段のカウントが予め定められた所定回数以上となることを条件として前記正常履歴をクリアすることを特徴とする電子制御装置。
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