JP2004151021A - 車両用故障診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車載装置の状態を確実に検知することができる車両用故障診断装置、プログラム、及び記録媒体を提供すること。
【解決手段】ステップ100では、レディネスステータスのデータが、完了を示す「1」であるか否かを判定する。ステップ110では、故障コードが有るか否かを判定する。ステップ120では、MIL点灯指示コードがあるか否かを判定する。ステップ130では、MIL9が点灯したか否かを判定する。ステップ140では、レディネスステータスが完了を示し、故障コードが無く、MIL点灯指示コードが無く、MIL9が点灯していないので、総合的に見て車載装置が正常であるとみなして合格と判定し、その判定結果を合否判定記憶エリアに記憶する。また、ステップ180では、レディネスステータスが未完了であるので、総合的に見て異常であるとみなして不合格と判定し、その判定結果を合否判定記憶エリアに記憶する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の状態を診断する車両用故障診断装置、プログラム、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両には、センサ等の各種の機器の異常を自動的に検出するために、マイコン等を主要部とする故障診断装置が搭載されている。
ところが、この故障診断装置が、何らの原因で正常に機能しない場合には、センサ等の異常を的確に検出できないので、故障診断装置の機能をチェックする方法として、例えばCARB(California Air Resources Board)により所定の故障診断規則が提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
この規則は、故障診断装置の機能を車載状態(オンボード)でチェックするものであり、センサ等の複数の機器に対する各故障診断の実施状態(完了/未完了のレディネスステータス)を、MIL(マルチインジケータランプ)により報知し、また、各故障診断の結果を同様にMILで報知するとともに、ダイアグコードで記憶するように定めている。
【0004】
【非特許文献1】
OBDII(故障診断装置)規則「OBDII Malfunction and DiagnosticSystem Requirements」(米国)、CARB、2002年4月25日発行
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した技術では、次の様な問題があり必ずしも十分ではない。
つまり、前記故障診断の技術では、主としてMILの点灯状態を目視により観察するので、故障診断の判定に際して、人為的な検査ミスの可能性がある。
【0006】
しかも、MILの点灯状態を正確に認識した場合でも、状況によっては、正しい判定ができないことがある。
具体的には、MIL表示によるレディネスステータス確認後に、MIL表示やダイアグコードを確認する場合において、レディネスステータス確認後にバッテリ外れが発生したときには、ダイアグコードを記憶しているSRAMのデータは消去されてしまうので、即ち、センサ等の機器の故障が記憶されていた場合でも、そのデータが消去されてしまうので、ダイアグデータが出力されず、対応するMIL表示もされないということになる。
【0007】
その結果、実際には異常が発生しているにもかかわらず、異常がないと判断されてしまう。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車載装置の状態を確実に検知することができる車両用故障診断装置、プログラム、及び記録媒体に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明では、車載の診断対象となる個々の機器の故障診断を行う故障診断手段と、前記故障診断手段による診断結果に基づいて、前記車載の機器全体が正常か否かの総合的な合否判定を行う合否判定手段と、前記合否判定手段による判定結果を記憶手段に記憶する記憶制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、個々の機器の故障診断の診断結果に基づいて、車載の機器(即ち車載装置)全体が正常か否かの総合的な合否判定を行い、その判定結果を記憶手段に記憶するので、例えば外部装置からの要求により、必要に応じて合否判定の判定結果等を出力することができる。
【0010】
これにより、車載装置の状態を容易に且つ確実に得ることができるという顕著な効果を奏する。
また、従来の様に、車載装置の状態の総合判定において、人の(目視による)直接検査をする必要が無くなる(又は減少する)ので、人為的な検査ミスを防ぐことができる。
【0011】
更に、人による項目毎の検査や判定ではなく、全ての検査項目のチェックと合否判定を同時に行うことができるので、作業性が向上するという利点がある。
(2)請求項2の発明では、前記故障診断手段による診断結果には、前記各機器の故障診断の診断結果に加えて、前記故障診断の完了状態を示すデータを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明は、診断結果のデータの種類を例示したものである。
本発明では、各機器の故障診断の診断結果と故障診断の完了状態(故障診断が完了しているか否か)を示すデータを含むので、これらのデータに基づいて、即ち、診断結果とその完了状態のデータに基づいて、正確な合否判定を行うことができる。
【0013】
(3)請求項3の発明では、前記故障診断手段による診断結果を、前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
本発明では、故障診断手段による診断結果(例えばダイアグコード)を、記憶手段に記憶しているので、例えばダイアグコードの出力や、それに対応するMIL等による表示が可能である。
【0014】
また、記憶手段に各機器の診断結果とその完了状態を記憶している場合には、そのデータに基づいて、合否判定を実施することができる。
(4)請求項4の発明では、前記記憶手段が、不揮発性メモリであることを特徴とする。
【0015】
本発明は記憶手段を例示したものである。
本発明では、記憶手段が不揮発性メモリであるので、外乱の影響を受けにくくなり、例えばバッテリが外れた場合でも、合否判定の判定結果等のデータを確実に保持することができる。
【0016】
従って、上述した様に、例えばレディネスステータス確認後にバッテリ外れが発生したときでも、不揮発性メモリのデータは消去されないので、合否判定の判定結果を得ることができる。また、不揮発性メモリに、合否判定だけでなく、診断結果も記憶している場合には、バッテリ外れが生じたときでも、ダイアグデータ等のデータを得ることができる。
【0017】
その結果、車載装置において、実際には異常が発生しているにもかかわらず、異常がないと判断されてしまうことを防止できる。
(5)請求項5の発明では、前記各機器の故障診断が全て完了した場合に、前記合否判定を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明では、各機器の故障診断が全て完了した場合に、合否判定を行うので、正確な合否判定を行うことができる。
(6)請求項6の発明では、外部装置からの要求により、前記合否判定を実施することを特徴とする。
【0019】
本発明では、外部装置からの要求により、合否判定を実施させることができるので、必要に応じてユーザ等は容易に合否判定の結果を得ることができる。
尚、この外部装置とは、前記車両用故障診断装置とは別体の異なる外部の装置である(以下同様)。
【0020】
(7)請求項7の発明では、外部装置からの要求により、前記合否判定の判定結果を出力することを特徴とする。
本発明では、外部装置からの要求により、合否判定の判定結果を出力させることができるので、必要に応じてユーザ等は容易に合否判定の結果を得ることができる。
【0021】
(8)請求項8の発明では、前記外部装置は、前記車載装置との間で、有線により通信を行う装置であることを特徴とする。
本発明では、外部装置とその外部装置に接続された車載装置との間で通信を行うので、容易に且つ確実に、故障診断の診断結果や合否判定の判定結果を得ることができる。
【0022】
(9)請求項9の発明では、前記外部装置は、前記車載装置との間で、無線による通信を行う装置であることを特徴とする。
本発明では、リモートにより、外部装置と車載装置との間で通信を行うので、サービス性が向上し、容易に故障診断の診断結果や合否判定の判定結果を得ることができる。
【0023】
(10)請求項10の発明では、前記故障診断の診断結果及び/又は前記合否判定の判定結果を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
本発明では、例えばMILや外部装置に対する出力等により、故障診断の診断結果や合否判定の判定結果を報知するので、ユーザ等は、それにより、車載装置の状態を正確に把握することができる。
【0024】
(11)請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の車両用故障診断装置の機能を実現するための手段を有するプログラムを示している。
つまり、上述した車両用故障診断装置の機能を実現するための各手段は、コンピュータのプログラムにより実行される処理により実現することができる。
【0025】
(12)請求項12の発明は、請求項11に記載のプログラムの機能を実現するための手段を記憶している記録媒体を示している。
つまり、上述した様なプログラムをコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAM等をコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAM等をコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の車両用故障診断装置、プログラム、及び記録媒体の実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例1)
本実施例の車両用故障診断装置は、センサ等の機器の故障診断の診断結果と、その故障診断の完了/未完了の情報とから、前記機器(車載装置)全体が、総合的に正常か異常かの合否判定を行うことができるものである。
【0027】
a)まず、本実施例の車両用故障診断装置を含む制御システムについて説明する。
図1に示す様に、本実施例では、車両のエンジン1を制御する電子制御装置であるエンジン制御装置(エンジンECU)3を備えており、このエンジンECU3が、センサ等の各機器の異常を検出する故障診断機能と、故障診断の完了状態をチェックする機能と、各機器全体(車載装置全体)が正常か異常かの合否判定する機能とを有する。
【0028】
前記エンジンECU3は、周知の演算処理装置であるマイクロコンピュータ(マイコン)5と、上述した故障診断の結果、故障診断の完了状態、及び合否判定結果等を記憶する記憶装置7とを備えている。従って、このマイコン5が、前記故障診断手段、合否判定手段、及び記憶制御手段を備えた車両用故障診断装置として機能する。
【0029】
前記マイコン5は、エンジン1側、詳しくはエンジン1及びその周囲等に配置された(異常検出の対象である)センサ等の機器と接続されるとともに、異常検出等の結果を報知するMIL(マルチインジケータランプ)9と接続されている。また、マイコン5には、(図示しない接続端子を介して)外部装置(外部ツール)11が、例えばガソリンスタンド等の車両をチェックする場所等にて、必要に応じて適宜接続される。
【0030】
前記記憶装置7としては、不揮発性メモリであるEEPROM等が挙げられ、この不揮発性メモリには、故障データ記憶エリアと合否データ記憶エリア等とが設けられている。
つまり、故障データ記憶エリアには、センサ等の各機器の故障診断結果を示すダイアグコードやMIL9の点灯を指示するMIL点灯指示コード等の故障に関するデータが記憶されている。
【0031】
また、合否データ記憶エリアには、図2(a)に示す様に、8つの記憶領域(bit)に分けてその検査結果等(data)が記憶される。
具体的には、図2(b)に示すように、bit7〜5は、「0」に設定されている(尚、このエリアのデータは使用されない)。
【0032】
bit4は、センサ等の診断対象の機器全体に対して、総合的に正常か否かの合否判定を行った判定結果を記憶するエリアであり、データの数値が「1」の場合には合格(異常がない)を意味し、「0」の場合には不合格(異常がある)を意味する。
【0033】
bit3は、各故障診断の完了状態を示すデータ(レディネスステータス)、即ち全ての故障診断が完了しているか否かのデータを記憶するエリアであり、データの数値が「1」の場合には全ての故障診断が完了していることを意味し、「0」の場合には完了していない故障診断があること(未完了)を意味する。
【0034】
bit2は、故障コード(即ち故障を示す何らかのダイアグコード)があるか否かのデータを記憶するエリアであり、データの数値が「1」の場合には故障コードがあることを意味し、「0」の場合には故障コードがない(即ち全くダイアグコードがない)ことを意味する。尚、複数の機器の故障診断を実施し、それぞれにおいて故障が検出された場合には、各故障に対応して各ダイアグコードが設定されるが、いずれか1つでもダイアグコードがある場合に、故障コードが「1」に設定される。
【0035】
bit1は、故障コード(詳しくはダイアグコード)に対応してMIL9の点灯を指示するMIL点灯指示コードを記憶するエリアであり、データの数値が「1」の場合にはMIL点灯指示コードがあることを意味し、「0」の場合にはMIL点灯指示コードがないことを意味する。尚、後述する様に、ダイアグコードがある場合でも、特にMIL9を点灯させる必要がない場合には、MIL点灯指示コードが設定されない場合がある。
【0036】
bit0は、実際にMIL9が点灯しているか否かを示すデータを記憶するエリアであり、データの数値が「1」の場合にはMIL9が点灯していることを意味し、「0」の場合にはMIL9が点灯していないことを意味する。
ここで、MIL9の基本的な動作について説明する。
【0037】
図3(a)に示す様に、車載装置に何等異常がない場合には、イグニッションキー(IG キー)をオンとしたときに、MIL9が点灯し、その後、IG キーをスタータの位置に回したときに(即ちスタータを駆動したときに)、MIL9が消灯する。
【0038】
また、図3(b)に示す様に、車載装置に異常がある場合には、IG キーをオンとしたときに、MIL9が点灯し、その後、IG キーをスタータの位置に回したときに、一旦MIL9が消灯する。その後、所定期間が経過した後に、機器の異常を示すために、MIL9が点灯する。
【0039】
更に、図3(c)に示す様に、故障診断が全て完了していない状態の場合には、IG キーをオンとしたときに、MIL9が点灯し、その後、IG キーをスタータの位置に回したときに、一旦MIL9が消灯する。その後、所定期間にわたり、MIL9が点滅する。
【0040】
b)次に、本実施例の車両用故障診断装置の基本的な動作について説明する。通常は、マイコン5により、センサ等の機器及びMIL6の動作を制御する。また、マイコン5には、センサ等からの信号が入力する。
更に、マイコン5に外部装置11が接続された場合には、外部装置11から出力された各種の要求信号に応じて、マイコン5では、後述する合否判定の処理や外部装置11に対する出力等の処理を行う。
【0041】
例えば、外部装置11からマイコン5に対して、合否判定の結果を出力する要求がなされた場合には、マイコン5から外部装置11に対して、合否判定の結果が出力される。
特に、本実施例では、センサ等の故障診断を実施した場合に、故障診断の結果を記憶するとともに、故障診断が全て完了したか否かの判定や、これらの結果から、装置全体としての機能が正常か否かの合否判定を実施し、その合否判定の結果を記憶装置7に記憶する。
【0042】
ここで、上述したセンサ等の機器の異常検出を行う項目としては、例えば排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサの異常チェック、燃料タンクからの燃料の蒸発状態をチェックするエバポシステムの異常チェック、失火状態の異常チェック、排気再循環(EGR)の異常チェック、触媒機能の異常チェックなどが挙げられる。
【0043】
c)次に、本実施例の車両用故障診断装置のマイコン5にて実施される主要な処理について説明する。
本処理は、外部装置11からの処理要求がある場合に実施される処理である。
図6のフローチャートに示す様に、ステップ100では、レディネスステータスのデータが、完了を示す「1」であるか否か、即ち、センサ等の機器の故障診断が全て終了しているか否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されるとステップ180に進む。
【0044】
ステップ180では、レディネスステータスが未完了であるので、即ち、各種の故障診断のうち完了していないものがあるので、車載装置が総合的に見て異常である(正常ではない)とみなして、不合格と判定する。そして、その判定結果を、合否データ記憶エリアにおけるbit4のデータとして「0」に設定し、一旦本処理を終了する。
【0045】
一方、ステップ110では、レディネスステータスが完了であるので、故障コードが有りか否か、即ちセンサ等の機器のいずれかに異常があるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ120に進み、一方否定判断されるとステップ150に進む。
【0046】
ステップ120では、MIL点灯指示コードがあるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ130に進む。一方ここで否定判断されることは有り得ないので、即ち、故障コードが無い場合にMIL点灯指示コードがあることは有り得ないので、その場合には、前記ステップ180に進んで不合格とする。
【0047】
ステップ130では、実際にMIL9が(機器の異常を示す様に)点灯したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ140に進む。一方ここで否定判断されることは有り得ないので、即ち、MIL点灯指示コードが無い場合に点灯することは有り得ないので、その場合には、前記ステップ180に進んで不合格とする。
【0048】
ステップ140では、レディネスステータスが完了を示し、故障コードが無く、MIL点灯指示コードが無く、MIL9が点灯していないので、車載装置が総合的に見て異常ではない(正常である)とみなして、合格と判定する。そして、その判定結果を、合否データ記憶エリアにおけるbit4のデータとして「1」に設定し、一旦本処理を終了する。
【0049】
一方、前記ステップ110にて、故障コードがあると判定されて進むステップ150では、MIL点灯指示コードがあるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ170に進む。一方否定判断されるとステップ160に進む。
ステップ160では、実際にMIL9が点灯したか否かを判定する。ここで肯定判断判断されることは有り得ないので、その場合には、前記ステップ180に進んで不合格とする。
【0050】
一方ここで肯定判断されると前記ステップ140に進んで、合格と判定する。つまり、ダイアグコードにも各種あり、必ずしもMIL点灯によりユーザ等に報知する必要がない内容があるので、故障コードがある場合でも、特にMIL点灯の必要がない場合には、MIL点灯指示コードが設定されない。従って、故障コードがあっても、MIL点灯指示コードが設定されない場合に、MIL9が点灯しないときには、一応、総合的に見て合格と見なすのである。
【0051】
また、前記ステップ150にて、MIL点灯指示コードがあると判定されて進むステップ170では、MIL9が点灯したか否かを判定する。この場合、MIL9が点灯したときでも或いは点灯しない時でも、MIL点灯指示コードが設定される(ユーザ等に報知すべき)異常な状態であるので、いずれの判定結果であっても、前記ステップ180に進んで不合格とし、一旦本処理を終了する。
【0052】
従って、上述した処理により、合否データ記憶エリアに記憶されたbit0〜3のデータに基づいて、車載装置が総合的に見て正常か異常かを判定し、その合否判定の判定結果を、同じエリアのbit4のデータとして記憶することができる。
【0053】
e)次に、本実施例の車両用故障診断装置の効果について説明する。
本発明では、外部装置11からの出力要求があった場合には、個々の機器の故障診断の診断結果と、全ての故障診断が実施されたかどうかを示すレディネスステータスとに基づいて、車載の機器(即ち車載装置)全体が正常か否かの総合的な合否判定を行い、その判定結果やダイアグデータ等を不揮発性メモリである記憶装置7に記憶している。
【0054】
従って、例えばレディネスステータス確認後にバッテリ外れが発生したときでも、不揮発性メモリのデータは消去されないので、ダイアグデータを得ることができるとともに、対応するMIL表示も行うことができ、しかも、合否判定の判定結果も得ることができる。
【0055】
その結果、車載装置において、実際には異常が発生しているにもかかわらず、異常がないと判断されてしまうことを防止することができる。
つまり、本実施例によれば、必要に応じて合否判定の判定結果等を出力することができるので、車載装置の状態を容易にかつ確実に得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0056】
尚、上述した判定方法以外の判定方法として、例えばレディネスステータスが完了で故障コードが無い場合には、そのまま合格と判定してもよい。また、レディネスステータスが完了で故障コードが無い場合以外を、すべて不合格と判定してもよい。これらの場合には、処理を簡易化できるという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0057】
本実施例は、前記実施例1とは、車両用故障診断装置にて実施される処理が異なるので、主として異なる点を説明する。
本実施例では、図5のフローチャートに示す様に、ステップ200にて、外部装置11からの合否判定の出力要求があるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ210に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0058】
ステップ210では、外部装置11からの要求に応じて、合否データ記憶エリアに記憶されているbit4のデータを検索する。
続くステップ220では、その検索結果に応じて、合否判定結果を出力し、一旦本処理を終了する。
【0059】
例えば合否判定結果を外部装置11に出力する場合には、合否判定結果をエンジンECU1側から外部装置11に送信し、外部装置11にて、そのデータを記憶したり表示する処理を行うことができる。また、合否判定結果を車載装置に出力する場合には、例えばMIL9の所定の点灯や点滅等の表示により、そのデータをユーザ等に報知することができる。
【0060】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、外部装置11からの要求に応じて合否判定の判定結果を出力できるので、必要なときにいつでも合否判定結果を取り出すことができるという利点がある。
尚、本実施例の場合、合否判定及び合否判定の判定結果の記憶の処理は、任意の所定のタイミングで(例えば始動時などに)実施することができる。
【0061】
また、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば外部装置を有線により接続するのではなく、無線によるリモートが可能な装置構成とし、外部装置からの無線の指示により、合否判定の判定結果を、外部装置又は車載装置に対して、無線により出力させるようにしてもよい。
【0062】
(2)更に、上述した合否判定等のデータを不揮発性メモリではなく、SRAM等の揮発性メモリに記憶してもよい。
この場合には、バッテリが外れた場合には、データを保持することができないが、そうでない場合には、例えば外部装置からの要求に応じて、合否判定の判定結果等を出力させることができる。
【0063】
(3)前記各実施例では、車両用故障診断装置について述べたが、本発明は、それらに限らず、上述したアルゴリズムに基づく処理を実行させるプログラムやそのプログラムを記憶している記録媒体にも適用できる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の各種の記録媒体が挙げられる。つまり、上述した車両用故障診断装置の処理を実行させることができるプログラムを記憶したものであれば、特に限定はない。
【0064】
尚、前記プログラムは、単に記録媒体に記憶されたものに限定されることなく、例えばインターネットなどの通信ラインにて送受信されるプログラムにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両用故障診断装置のシステム構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の合否判定結果記憶エリアに記憶されるデータ等の内容を示し、(a)はbitとdataの関係を示す説明図、(b)は各dataの内容等を示す説明図である。
【図3】実施例1のMILの点灯状態を示すタイミングチャートである。
【図4】実施例1の車両用故障診断装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】実施例2の車両用故障診断装置の処理内容を示すフローチャート である。
【符号の説明】
1…エンジン
3…電子制御装置(エンジンECU)
5…マイクロコンピュータ(マイコン)
7…記憶装置
9…マルチインジケータランプ(MIL)
11…外部装置(外部ツール)

Claims (12)

  1. 車載の診断対象となる個々の機器の故障診断を行う故障診断手段と、
    前記故障診断手段による診断結果に基づいて、前記車載の機器全体が正常か否かの総合的な合否判定を行う合否判定手段と、
    前記合否判定手段による判定結果を記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用故障診断装置。
  2. 前記故障診断手段による診断結果には、前記各機器の故障診断の診断結果に加えて、前記故障診断の完了状態を示すデータを含むことを特徴とする前記請求項1に記載の車両用故障診断装置。
  3. 前記故障診断手段による診断結果を、前記記憶手段に記憶することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の車両用故障診断装置。
  4. 前記記憶手段が、不揮発性メモリであることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の車両用故障診断装置。
  5. 前記各機器の故障診断が全て完了した場合に、前記合否判定を行うことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の車両用故障診断装置。
  6. 外部装置からの要求により、前記合否判定を実施することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の車両用故障診断装置。
  7. 外部装置からの要求により、前記合否判定の判定結果を出力することを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の車両用故障診断装置。
  8. 前記外部装置は、前記車載装置との間で、有線により通信を行う装置であることを特徴とする前記請求項6又は7に記載の車両用故障診断装置。
  9. 前記外部装置は、前記車載装置との間で、無線による通信を行う装置であることを特徴とする前記請求項6又は7に記載の車両用故障診断装置。
  10. 前記故障診断の診断結果及び/又は前記合否判定の判定結果を報知する報知手段を備えたことを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の車両用故障診断装置。
  11. 前記請求項1〜10のいずれかに記載の車両用故障診断装置の機能を実現するための手段を有することを特徴とするプログラム。
  12. 前記請求項11に記載のプログラムの機能を実現するための手段を記憶していることを特徴とする記録媒体。
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