JP2016125054A - 接着剤組成物 - Google Patents

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JP2016125054A JP2015197697A JP2015197697A JP2016125054A JP 2016125054 A JP2016125054 A JP 2016125054A JP 2015197697 A JP2015197697 A JP 2015197697A JP 2015197697 A JP2015197697 A JP 2015197697A JP 2016125054 A JP2016125054 A JP 2016125054A
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Yoriko Shimomura
依子 下村
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貴史 城野
坂井 信支
Nobushi Sakai
信支 坂井
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Kazumi Nakayoshi
和己 中吉
和孝 石川
Kazutaka Ishikawa
和孝 石川
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Abstract

【課題】ガラス転移温度が低く、耐熱性を向上させた接着層を形成できる接着剤組成物を提供する。
【解決手段】特定のジアミンと;特定のテトラカルボン酸二無水物と;下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンを含む接着剤組成物であって、前記酸無水物または前記モノアミンの使用量が、0.1〜10mol%である。

(Rは、水素原子、メチル基又はフェニル基)

(Rはエチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基;Rは水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基)
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物に関する。
近年、ディスプレイ等の半導体素子の軽量、フレキシビリティ化を目的として、フィルム上(特には、高分子フィルム)に半導体素子を形成する技術開発が活発に行われている。ディスプレイ素子などの機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながら、例えばディスプレイ産業界では、これまでガラス基材ベースのリジッドな平面基材を対象としたプロセス技術が構築されてきた。そのため、現実的な選択としては、高分子フィルムを、リジッドな支持体(特には、ガラス基材などの無機物)に貼り合わせし、所望の素子を形成した後に支持体から剥離することが考えられ、これにより既存インフラを利用して高分子フィルム上に形成した機能素子を得ることが可能となる。
従来、無機物からなる支持体への高分子フィルムの貼り合わせは、粘着剤や接着剤を用いて広く行われてきた。
しかしながら、高分子フィルムと無機物からなる支持体とを貼り合わせた積層体に所望の機能素子を形成する場合、機能素子の形成を行う上で支障ないレベルの表面平滑性、寸法安定性、クリーン性、プロセス温度への耐性、微細加工に用いられる薬液への耐性等が当該積層体に求められる。特にポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200〜500℃程度の温度域でのプロセスが必要となる。例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタの作製においては、脱水素化のために400℃以上(特には、450℃以上)の加熱処理が必要な場合がある。このように機能素子の形成温度が高い場合には、高分子フィルムに耐熱性が必要であることは勿論、高分子フィルムと支持体との接合面(すなわち貼り合せ用の接着剤や粘着剤)がその加工温度に耐えなければならない。しかしながら、従来の貼り合せ用の接着剤や粘着剤は十分な耐熱性を有していなかったため、機能素子の形成温度が高い場合には適用できないのが現状であった。また、貼り合せ工程では、装置上および環境負荷を減らすため、250℃以下の温度での貼り合せが求められている。
一方、芳香系ポリイミド化合物は、耐熱性に優れるため、耐熱用途での接着剤に用いられている。特にポリエーテル構造を有するポリイミドは、ガラス転移温度を低くすることが出来るため、250℃以下での貼り合せが可能である(特許文献1)。一方、成形体材料として、樹脂の末端に熱架橋基を有する酸無水物を導入したポリエーテルイミド樹脂が提案されている(特許文献2)。
特開平5−306387号公報 米国特許6,359,107号明細書
しかしながら、これまで報告されているポリエーテルイミドを用いた接着剤は、耐熱性が不十分で450℃の加熱処理に用いると剥がれ、ボイド発生するなどの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた接着層を形成できる接着剤組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、下記式(1)で示されるジアミンと;下記式(2)または下記式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物と;下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンと;を含む原料を混合することを有して得られる、接着剤組成物であって、前記酸無水物または前記モノアミンの使用量が、前記原料において、0.1〜10mol%である、接着剤組成物:
n=0以上の整数である
上記式(4)中、Rは、水素原子、メチル基またはフェニル基である
上記式(5)中、
は、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基であり、
は、水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基である、を提供することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた接着層を形成できる接着剤組成物を提供することができる。
本発明の一実施形態の積層体の概略断面図を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜60%RHの条件で測定する。
上記のように、フィルム上(特には、高分子フィルム上)に半導体素子を形成する技術開発にあたり、高分子フィルムを、リジッドな支持体(特には、ガラス基材などの無機物)に貼り合わせし、所望の素子を形成した後に支持体から剥離することが手段の一つとして提案されており、これにより高分子フィルム上に形成した機能素子を得ることが可能となる。
そこで、以下では、接着剤組成物が、基材と、フィルムとを接着するために用いられた、積層体の実施形態につき、適宜図面を参照しながら、説明を行う。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<積層体>
図1は、本発明の一実施形態の積層体の概略断面図を示す図である。
図1に示されるように、積層体40は、基材30と;本発明の接着剤組成物により形成される接着層20と;フィルム10と;が、この順で積層されてなる。かような積層体であれば、機能素子の形成を行う上で支障ないレベルのプロセス温度への耐性を有することになる。
[接着層]
接着層20は、本発明の接着剤組成物により形成され、基材30と;フィルム10とを接着する作用を有している。
本発明の接着剤組成物は、上記のように、下記式(1)で示されるジアミンと;下記式(2)または下記式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物と;下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンと;を含む原料を混合することを有して得られる、接着剤組成物であって、前記酸無水物または前記モノアミンの使用量が、前記原料において、0.1〜10mol%である、接着剤組成物:
n=0以上の整数である
上記式(4)中、Rは、水素原子またはフェニル基である
上記式(5)中、Rは、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基であり、Rは、水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基である。
本発明の接着剤組成物を、かような構成とすることによって、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた接着層を形成できる。
本発明の好ましい形態によれば、式(1)で示されるジアミンと;式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物と;を反応させることによってポリアミック酸を得る。そして、ポリアミック酸を含む反応物を加熱処理することによってポリイミド接着層を得る。ポリイミドは、その物理的特性として、通常の高分子に比べて、高強度、耐熱性を有するため、半導体加工プロセスにおいて高温環境下になる場合に好適に使用できる。
本発明の接着剤組成物においては、ポリアミック酸(ポリイミド)を得るための原料(ジアミン)として、下記式(1):
n=0以上の整数である、で示されるものを使用する。
上記構造以外のジアミンを使用すると、高耐熱性と低ガラス転移温度とのトレードオフが顕著となるため、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた接着剤層を形成する接着剤組成物とすることができない。
式(1)中のnは、0以上の整数であるが、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた(本明細書中、単に「本発明の技術的効果」とも称する)接着層を形成するための接着剤組成物を作製する観点で、好ましくは1である。上限としては、本発明の技術的効果を発揮する観点で、2または3である。ただし、式(1)で示されるジアミンは、n=1〜3である混合物の形態になっていてもよいが、本発明の技術的効果を発揮する観点で、n=1であるジアミンを、ジアミン全体において、50質量%以上で含むことが好ましく、80質量%以上で含むことがより好ましい。なお、実施例で使用したジアミンは、n=1であるジアミンが約98%含まれ、約2%が、n=2または3である。
なお、特にn=4以上であるジアミンを、ジアミン全体において、20質量%以上含むと、耐熱性との観点で好ましくない。
また、上記式(1)で示されるジアミンにおいて、エーテルの結合位は、アニリンのオルト位であっても、メタ位であっても、パラ位であってもよいが、ガラス転移温度の観点で、メタ位であることが好ましい。なお、両末端のエーテルの結合位は異なるものであってもよいが、ガラス転移温度の観点で同じであることが好ましい。
上記式(1)で示されるジアミンは、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって合成して準備することもできるし、市販品を購入することによって準備することもできる。
市販品としては、型番APB−N(三井化学ファイン社製);型番TPE−R、TPE−Q(和歌山精化社製)などを使用することができる。
本発明の接着剤組成物においては、ポリアミック酸(ポリイミド)を得るための原料(テトラカルボン酸二無水物)として、下記式(2)または下記式(3):
で示されるものを使用する。
上記構造以外のテトラカルボン酸二無水物を使用すると、ガラス転移温度が低く、貼り合せ性を維持しながら、耐熱性を向上させた接着層を形成する接着剤組成物を作製することができない。
上記式(2)または(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物は、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって合成して準備することもできるし、市販品を購入することによって準備してもよい。
市販品としては、上記式(2)として型番BPDA(三菱化学社製);上記式(3)として型番BTDA(ダイセル社製)などを使用することができる。
なお、テトラカルボン酸二無水物としては、式(2)および式(3)の混合物の形態で使用してもよく、その混合比は特に制限されない。ただし、耐熱性の観点から、式(2)で示されるテトラカルボン酸二無水物の配合比が大きい方がより好ましい。
本発明の接着剤組成物において、原料として、式(1)で示されるジアミンと;下記式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物と;を使用し、さらに下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンを使用して得られるポリアミック酸の分子量(数平均分子量)としては特に制限はないが、本発明の技術的効果を効率的に奏させるため、6千〜15万であることが好ましく、3万〜10万であることがより好ましい。
なお、本明細書において「数平均分子量」は、以下の方法によって測定して得られる値を意味するものとする。
すなわち、数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定する。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:昭和電工社製、KD803+KD805
・カラムサイズ:各8.0mmφ×30cm 計60cm
・カラム温度:50℃
・流量:1.0ml/min
・注入量:20μl
・溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加材として臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン。
本発明の接着剤組成物において、式(1)で示されるジアミンと、式(2)および式(
3)で示されるテトラカルボン酸二無水物とを原料として使用し、さらに下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンを使用してポリアミック酸を得る場合、得られるポリアミック酸(特に、式(2)および式(3))の重合形式には特に制限されず、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また上記のように、本発明の接着剤組成物においては、下記式(4):
上記式(4)中、Rは、水素原子、メチル基またはフェニル基である、で示される酸無水物、または、下記式(5):
上記式(5)中、Rは、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基であり、Rは、水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基である、で示されるモノアミンも原料として使用する。
上記式(4)で示される酸無水物および上記式(5)で示されるモノアミンは、式(1)で示されるジアミンと、式(2)および式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物との重合により得られるポリアミック酸の末端を封止し、ポリアミック酸の分子量を調整する作用がある。さらには、式(4)で示される酸無水物も、式(5)で示されるモノアミンも、各分子構造の中に架橋基を有しているので、高温(特には300℃以上)の加熱処理を行うことによって、架橋構造が形成され、強固な接着層(架橋ポリイミド接着層)を形成することができる。
ここで、上記式(4)中、Rは、水素原子、メチル基またはフェニル基である。Rが、水素原子、メチル基またはフェニル基であることによって、耐熱性が向上する技術的効果を有する。特に、Rが、フェニル基であると、架橋構造が強固となり、耐熱性と接着性との点から見て好ましい。つまり、本発明の好ましい実施形態によれば、式(4)で示される酸無水物は、4−フェニルエチニルフタル酸無水物である。
上記式(4)で示される酸無水物は、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって合成して準備することもできるし、市販品を購入することによって準備することもできる。
市販品としては、型番NEXAMID100、型番NEXAMID200、型番NEXAMID500(以上、NEXAM Chem社製);型番PEPA(マナック社製)などを使用することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、Rが導入されている位置は、3位であっても4位であってもよいが、架橋反応のし易さの観点から、4位が好ましい。
他方で、Rが、例えば、長鎖アルキル(例えば、炭素数3以上)や、エチレンオキサイド鎖や、ハロゲン基などである場合、熱劣化要因になるため、本発明の技術的効果を奏しない虞がある。
また、式(5)中、Rは、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基であり、Rは、水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基である。式(5)中のRとRとが、これらから選択されることによって、250℃以上で熱架橋が起こり、接着性と耐熱性が向上する技術的効果を有する。特に、RおよびRは、いずれもシアノ基であることが好ましい。つまり、本発明の好ましい実施形態によれば、(5)で示されるモノアミンは、4−アミノフタロニトリルであることが好ましい。また、Rが、エチニル基であることが好ましく、Rは、水素原子であることが好ましい。かかる観点より、本発明の好ましい実施形態によれば、(5)で示されるモノアミンは、3−エチニルアニリンであることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、RとR(水素原子以外)とが導入されている位置は、アニリンのオルト位、メタ位、パラ位のいずれか2つであってよいが、架橋後の接着性と耐熱性の向上との観点から、メタ位,パラ位や、オルト位,メタ位であることが好ましい。
他方で、RあるいはRが、例えば、アルキル基や、ビニル基や、ハロゲン基などである場合、熱劣化要因になるため、本発明の技術的効果を奏しない虞がある。
本発明の接着剤組成物においては、式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンの使用量が、本発明の接着剤組成物を構成する原料において、0.1〜10mol%である点も特徴の一つである。
ここで、式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンの使用量が、本発明の接着剤組成物を構成する原料において、10mol%を超えると、接着剤組成物から形成される接着層が、高温(特に、450℃以上)で、長時間(特に、1時間以上)加熱された際、分解してしまい、気泡が発生し、接着力が悪化することになる。他方で、0.1mol%未満であると、常温接着性の低下と高温時の接着性低下による剥がれが発生する虞がある。
式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンの使用量は、本発明の接着剤組成物を構成する原料において、0.1〜10mol%であればよいが、耐熱性、常温接着性と高温時の接着性との観点で、好ましくは0.1〜5mol%、より好ましくは0.7〜4mol%、さらに好ましくは0.8〜3mol%である。
なお、(4)と(5)とは併用してもよく、その使用量の比は特に制限されないが、分子量の制御との観点から単独が好ましい。併用した場合、使用量は、その合計量であるとよい。
上記のように、接着層20は、本発明の接着剤組成物により形成される。
ここで、接着層20の形態としては、
(i) 式(1)で示されるジアミンと;式(2)または式(3)で示される、テトラ
カルボン酸二無水物と;式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンと;を溶媒に溶解してなる混合物を、基材30上に塗布してなる形態や、
(ii) 式(1)で示されるジアミンと;式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物とを溶媒に溶解した混合物を反応させ、さらに式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミン;を反応させることによって得たポリアミック酸を含む反応物を基材30上に塗布してなる形態や、
(iii) 前記(ii)の形態に対して、比較的低温(例えば、100℃以上300℃未満)の加熱処理を行った形態や、
(iv) 前記(iii)の形態に対して、さらに高温(特には300℃以上)の加熱処理を行った形態を含む。
以下、本発明の好ましい実施形態として、(ii)〜(iv)の形態を説明する。
まずは、(ii)の形態について説明する。
(ii)の形態においては、まずは、式(1)で示されるジアミンと;式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物とを溶媒に溶解した混合物を反応させ、さらに式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミン;を反応させることによってポリアミック酸を含む反応物を得る。つまり本形態によれば、接着剤組成物は、原料を反応させることによってポリアミック酸を含んでもよいし、また別途添加することによってポリアミック酸を含んでもよい。ポリアミック酸の原料を溶解させるための溶媒としては、原料およびポリアミック酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。
かかる極性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料を溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、原料を溶解した溶液に占める原料の質量を、好ましくは5〜50質量%として、より好ましくは10〜40質量%となるような量とすることが好適である。
式(1)で示されるジアミンと;式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物との混合比としては、反応性を鑑みると、それぞれ等モル程度であることが好ましく、式(1)で示されるジアミンに対する、式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物のモル比としては、好ましくは0.9〜1.1程度である。
ポリアミック酸を得るための重合反応の条件は、従来公知の条件を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって設定することができる。具体例として、原料を溶媒中で撹拌および/または混合することがよい。重合反応における温度としても特に制限はないが、イミド化を抑制するとの観点で、例えば、好ましくは−10〜30℃、より好ましくは0〜10℃である。また、重合反応における時間としても特に制限はないが、重合反応が収束する観点で、例えば、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜8時間である。また、大気雰囲気で反応させてもよいが、水分の混入や原料の酸化劣化との観点で、窒素ガスや、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で反応させることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、次いで、式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンを添加する。そして、その使用量は、本発明の接着剤組成物を
構成する原料において、0.1〜10mol%である。この範囲を逸脱して添加すると、作製される接着層の耐熱性が悪化する。また、所望の分子量が得られないとの虞もある。
式(1)で示されるジアミンに対する、式(4)で示される酸無水物のモル比としては、好ましくは0.002〜0.3程度である。また、式(2)または式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物に対する式(5)で示されるモノアミンのモル比としては、好ましくは0.002〜0.3程度である。
式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンを添加した後の反応時間も特に制限はないが、重合反応が収束する観点から、例えば、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜8時間である。また、温度としても特に制限はないが、イミド化を抑制する観点で、例えば、好ましくは−10〜30℃、より好ましくは0〜10℃である。
重合反応によって得られる反応物に含まれるポリアミック酸は、反応条件等によっても前後するが、反応物全体に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。また、かかるポリアミック酸を含む反応物の粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定(20℃)で、取り扱いやすさの点から、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、より好ましくは50〜10,000mPa・sである。
上記のようにして得たポリアミック酸を含む反応物を基材30上に塗布し、基材上に、ポリアミック酸を含む反応物からなる塗布膜を形成する。
基材上に塗布する方法としては、特に制限されないが、例えば、スピンコート法、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター、コンマコーター等を用いる方法、スクリーン印刷法、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スリットコート法、リバースコート法、ディップコート法等が挙げられる。
このようにして、(ii)の形態の接着層(ポリアミック酸を含む反応物の接着層)を得る。
続いて、(iii)の形態を説明する。
(iii)の形態は、前記(ii)の形態に対して、比較的低温(例えば、100℃以上300℃未満)の加熱処理を行った形態である。本明細書中、「比較的低温の加熱処理」を「第1加熱処理」と称する場合もある。
本形態においては、かような第1加熱処理を行うことによって、ポリアミック酸を含む反応物の接着層をイミド化することができる。
イミド化の条件も特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって設定することができる。一例を挙げると、イミド化ための第1加熱処理の温度としては、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜270℃であり、さらに好ましくは220℃以上250℃未満である。また、加熱時間としては、溶媒除去、イミド化と架橋反応の抑制の観点から、例えば、好ましくは0.05〜2時間、より好ましくは0.1〜1時間である。
また、接着層の皮張りを抑制したり、発泡を防ぐ目的で、加熱温度を徐々に高める段階的な加熱を行ってもよい。一例を挙げると、80〜150℃で0.01〜2時間加熱し、その後、130〜220℃で0.02〜1時間加熱し、さらに200〜300℃で0.1
〜4時間加熱するような条件が好適である。
第1加熱処理後の接着層における残存溶媒の量は、10質量%以下が好ましく、5質量%がより好ましい。
このようにして、(iii)の形態の接着層(ポリイミド接着層)を得る。
なお、本発明の好ましい実施形態によれば、ポリイミド接着層のガラス転移温度(測定方法は実施例記載)は、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは220℃以下である。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、当該ポリイミド接着層の貼り合せ性評価(測定方法は実施例記載)における「ポリイミドフィルム剥離面積率」は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。下限としては特に制限はない。
続いて、(iv)の形態を説明する。
(iv)前記(iii)の形態に対して、さらに高温(特には300℃以上)の加熱処理を行った形態である。本明細書中、この「高温の加熱処理」を「第2加熱処理」と称する場合もある。
本形態においては、通常、接着層上にフィルムを積層し、積層体を作製した後に、第2加熱処理を行う。
本発明においては、接着剤層中に、式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンが含まれている。式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンには、特定の架橋基が含まれているので、第2加熱処理を行うことによって架橋反応が起こり、接着層の高温耐熱性が向上する。しかも、本発明では、式(4)で示される酸無水物または式(5)で示されるモノアミンが特定の量で含まれている。そのため、後に、接着層が高温(特に、450℃以上)で、長時間(特に、1時間以上)加熱される環境に置かれることがあっても、分解が有意に抑制され、気泡の発生を抑制し、強い接着力を維持することができ。よって、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタの作製において、400℃以上(特には、450℃以上)の加熱処理が必要な場合であっても適用可能である。
ここで接着層上にフィルムを積層する方法についても特に制限はないが、例えば、通常のフィルム貼り合せ装置等を用いることが好適である。
本形態における第2加熱処理は、架橋反応によって高温耐熱性が付与された接着層を得ることができる温度であることが好ましく、例えば、300℃以上に加熱することが好ましく、より好ましくは300〜450℃、さらに好ましくは300〜400℃である。また、本形態において、加熱時間としては、好ましくは0.05〜4時間、より好ましくは0.1〜2時間である。このようにして、(iv)の形態の接着層(架橋ポリイミド接着層)を得る。
なお、本発明において、接着層20の厚さは、特に限定されるものではないが、8μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。このように、有意に薄い接着層とすることによって、機能素子加工プロセスにおいて、特には450℃以上の加熱処理によって、万一気泡が発生したとしても、薄い分、気泡の量を少なくせしめることができる。なお、接着層20の厚さの下限としては、接着性の観
点から、0.1μm以上であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、架橋ポリイミド接着層の450℃ 1時間保持試験(測定方法は実施例記載)の重量減少は、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。下限としては特に制限はない。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、架橋ポリイミド接着層の接着強度(180°ピール試験)(測定方法は実施例記載)は、好ましくは0.5〜30N/25mmであり、より好ましくは1〜20N/25mmである。
[基材]
基材30の素材としては、ロール・トゥ・ロールプロセスでの加工にて要求されるリジッド性や、機能素子の形成における200〜500℃(特には、450℃以上)程度の温度域でのプロセスに耐えられる素材であることが好ましく、ガラス、セラミック、シリコンウェハ、金属を主体としているもの、および、これらガラス基材、セラミック基材、シリコンウェハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有しているものなどが挙げられる。
本発明にて用いられうるガラス基材としては、石英ガラス、無アルカリガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラスが含まれる。
本発明にて用いられうるセラミック基材としては、Al、Mullite、AlN、SiC、Si、BN、結晶化ガラス、菫青石、スポジュメン、ガラスセラミックス、ゼロデュア材などの基材用セラミックス;TiO、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi、BaTiO、BaSrCaZrTiO、Ba(TiZr)Oなどのキャパシター材料;PbNb、Pb0.5Be0.5Nb、PbTiO、PZT、PLZTなどの圧電材料;などが挙げられる。
本発明にて用いられうるシリコンウェハとしては、n型あるいはp型にドーピングされたシリコンウェハであっても、イントリンシックシリコンウェハであってもよい。また、シリコンウェハの表面に酸化シリコン層や、各種薄膜が堆積されたシリコンウェハであってもよい。また、シリコンウェハのほか、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモンも好適である。また、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛)などであってもよい。
本発明にて用いられうる金属としては、W,Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金などが挙げられる。また、上記の金属に、他の金属層、セラミック層を付加している、多層金属板であってもよい。付加金属層として使用される金属としては、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げることができる。
なお、基材30の厚さとしては特に制限はない。
[フィルム]
フィルム10の素材としては、特に制限はないが、高分子フィルムであることが好ましく、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、スチレン・マレイン酸共重合樹脂、アートン(JSR社商品名)、ゼオネックス(日本ゼオン社商品名)、ポリアリレート、液晶ポリマー、全芳香族ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリブチルサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサジン、ポリエーテルイミド、熱硬化型ポリイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアリレート等を用いることができる。
本発明で好ましく用いられるフィルムとしては、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサジン、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアリレートのような耐熱性に優れ、かつ強靭である樹脂材料を適用することができ、このうちポリイミド、ポリベンゾオキサゾールは特に有用である。
本発明で使用することができるポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類を主成分とするジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類を主成分とするテトラカルボン酸類との反応によって得られるフィルムである。具体的には、ポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを少なくとも反応させて得られるポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミック酸フィルム」ともいう)とし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミック酸を構成するジアミン類は、耐熱性の観点から、芳香族ジアミン類を主成分とする。具体的には、芳香族ジアミン類は、全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
ポリアミック酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができるが、耐熱性の観点から、前記芳香族テトラカルボン酸類を主成分とする。具体的には、芳香族テトラカルボン酸類は、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%である。またテトラカルボン酸類が酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
無論、ポリイミド等のフィルムは、市販品等を購入することによって準備してもよく、市販品としては、型番カプトン(以上、デュポン社製);型番ユーピレックス(以上、宇部興産社製);型番ゼノマックス(以上、東洋紡社製);型番アピカルAH 、型番アピカルNPI、型番アピカルAF(以上、カネカ社製)などを使用することができる。
なお、フィルム10の厚さとしては特に制限はないが、20〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
<積層体の作製方法>
本発明の積層体の作成方法の好ましい実施形態としては、基材と;本発明の接着剤組成物により形成される接着層と;フィルムと;をこの順で積層する形態が好適である。
より具体的には、本発明においては、
基材上にポリアミック酸を含む反応物を塗布し、ポリアミック酸を含む反応物からなる塗布膜を形成する工程と;
第1加熱処理を行うことによって、前記塗布膜を、ポリイミド接着層に変換する工程と;
前記ポリイミド接着層上に、フィルムを積層する工程と;
第2加熱処理を行うことによって、前記ポリイミド接着層を、架橋ポリイミド接着層に変換する工程と;
を有する、積層体の作製方法が提供される。
かかる積層体の作製方法における、「基材」、「ポリアミック酸を含む反応物」、「第1加熱処理」、「ポリイミド接着層」、「フィルム」、「第2加熱処理」、「架橋ポリイミド接着層」の具体的説明は、上記で述べたものが同様に妥当するのでここでは説明を割愛する。
以下、本発明を、実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
[接着剤ワニス1の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)(型番BPDA、三菱化学社製、以下同様)を0.099mol、ジアミン成分に1、3、3−APB(1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン)(型番APB−N(三井化学ファイン社製)、以下同様)を0.1mol、それぞれを3つ口フラスコにいれ、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いて30重量%になるように調製した。
0℃、窒素雰囲気の下、2時間撹拌しながら反応させた後、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を0.002molを追加し、さらに0℃で3時間撹拌を続けて、接着剤ワニス1としてポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ポリイミド接着層A1の作製]
上記で得られた接着剤ワニス1をベーカーアプリケーターにて厚さ24μmになるようガラス上に塗布し、100℃で10分熱処理し、さらに180℃で10分熱処理し、さらに250℃で30分熱処理することによってイミド化を行い、ガラス(無アルカリガラス
Corning社製Eagle XG、以下同様)上にポリイミド接着層A1を形成した。
[ガラス転移温度の測定]
ガラスからポリイミド接着層A1を剥離させて試験片A1を得、その試験片A1のガラス転移温度を、HITACHI社製DMS7100を用いたDMA法によって測定した。結果、ガラス転移温度は210℃であった。
[ポリイミド接着層A2の作製]
上記で得られた接着剤ワニス1をスピンコートにて乾燥後の膜厚が1μmになるようガラス上に塗布し、100℃で10分熱処理し、さらに180℃で10分熱処理し、さらに250℃で30分熱処理を行い、ガラス上にポリイミド接着層A2を形成した。
[各種評価試験]
得られたポリイミド接着層A2に対して、以下の方法で、貼り合せ性評価、接着性試験、450℃1時間保持後の重量減少測定、450℃耐熱性試験を行った。
(貼り合せ性評価)
ポリイミド接着層A2上にポリイミドフィルム(宇部興産社製 型番ユーピレックスS)(75μm)をサンテック社製ヒーター内蔵フィルム貼り合せ装置を用いて、貼合せ温度200℃、荷重49kgf、ローラー送り速度10mm/secの条件で積層し、積層体C1を作製した。
貼り合せ性評価は、積層体C1を7.5cm角に切断した際に、ポリイミドフィルムがポリイミド接着層A2からどの程度剥離するか(ポリイミドフィルム剥離面積率)を測定することによって行った。
ここで、「ポリイミドフィルム剥離面積率」は、積層体C1の面積(つまり、56.25cm)に対する、ポリイミド接着層A2から剥離した(つまり、浮きや、剥がれが発生している)ポリイミドフィルムの面積の割合と定義する。
測定の結果、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であった。
(接着性試験)
積層体C1の作製と同様の方法で、積層体C2を得た。
かかる積層体C2を300℃、30分間加熱して、ポリイミド接着層A2を架橋させることによって、ポリイミド接着層A2を、架橋ポリイミド接着層B1に変換し、架橋ポリイミド接着層B1を有する積層体C2を得た。
その後、積層体C2を25mm幅15cmにカットし、試験片C2を得、その試験片C2に対してテクスチャーテクノロジーズ製テクストアナライザーを用いて180°ピール試験を行い、接着強度を測定した。結果、接着強度は、10N/25mmであった。
(450℃1時間保持後の重量減少測定)
積層体C2より架橋ポリイミド接着層B1をサンプルとして10mg採取し、かかるサンプル10mgを450℃ 1時間加熱した。
その後、ティー・エイ・インスツルメント社製Discovery TGAを用いて、450℃ 1時間保持したサンプルの重量減少を測定した。重量減少は0.20%であった。
(450℃耐熱性試験)
積層体C2を450℃窒素雰囲気下に1時間暴露し、目視で剥離や気泡発生の有無を調べたところ、剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
なお、「180°ピール試験」と、「450℃1時間保持後の重量減少測定」と、「4
50℃耐熱性試験」とは、それぞれ積層体C2を準備することによって行っている。以下の実施例、比較例も同様に、それぞれの試験を独立して行っている。
<実施例2>
[接着剤ワニス2の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.1mol用い、ジアミン成分に1、3、3−APB(1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン)を0.099mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を4−アミノフタロニトリルに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス2としてのポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス2を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、8N/25mmであり、重量減少は、0.26%であり、450℃耐熱性試験における剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
<実施例3>
[接着剤ワニス3の調製]
4−アミノフタロニトリルを3−エチニルアニリンに変更した以外は、実施例2と同様の操作により、接着剤ワニス3としてのポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス3を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、8N/25mmであり、重量減少は、0.34%であり、450℃耐熱性試験における剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
<実施例4>
[接着剤ワニス4の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.0998mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を0.0004molに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス4としてのポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス4を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、9N/25mmであり、重量減少は、0.20%であり、450℃耐熱性試験における剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
<実施例5>
[接着剤ワニス5の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.09mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を0.02molに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス5としてのポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス5を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、14N/25mmであり、重量減少は、0.45%であり、450℃耐熱性試験における剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
<実施例6>
[接着剤ワニス6の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.0495molとBTDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)(型番BTDA、ダイセル社製)を0.0495molに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス6としてのポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス6を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、205℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、12N/25mmであり、重量減少は、0.5%であり、450℃耐熱性試験における剥離や気泡発生は、いずれも認められなかった。
<実施例7>
接着層の厚みを10μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、10N/25mmであり、重量減少は、0.20%であり、450℃耐熱性試験において、軽微な気泡の発生が認められた。
<比較例1>
[接着剤ワニス7の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.046mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を0.108molを用いた以外は実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス7としてポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス7を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、10N/25mmであり、重量減少は、2.0%であり、450℃耐熱性試験において、気泡発生が、試験片全面に認められた。
<比較例2>
[接着剤ワニス8の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.096mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物の代わりに、フタル酸無水物を0.08molを用いた以外は実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス8としてポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス8を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、4N/25mmであり、重量減少は、1.2%であり、450℃耐熱性試験において、気泡発生が、試験片全面に認められた。
<比較例3>
[接着剤ワニス9の調製]
原料として、テトラカルボン酸二無水物成分にBPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を0.08mol用い、4−フェニルエチニルフタル酸無水物を0.04molを用いた以外は実施例1と同様の操作により、接着剤ワニス9としてポリアミック酸を含む反応物を得た。
[ガラス転移温度の測定・各種評価試験]
接着剤ワニス1の代わりに、接着剤ワニス9を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ガラス転移温度の測定と、各種評価試験を行った。結果、ガラス転移温度は、210℃であり、ポリイミドフィルム剥離面積率は、0.5%程度であり、接着強度は、6N/25mmであり、重量減少は、1.0%であり、450℃耐熱性試験において、気泡発生が、試験片全面に認められた。
結果を、下記の表1にまとめる。
10 フィルム、
20 接着層、
30 基材、
40 積層体。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で示されるジアミンと;
    下記式(2)または下記式(3)で示される、テトラカルボン酸二無水物と;
    下記式(4)で示される酸無水物または下記式(5)で示されるモノアミンと;
    を含む原料を混合することを有して得られる、接着剤組成物であって、
    前記酸無水物または前記モノアミンの使用量が、前記原料において、0.1〜10mol%である、接着剤組成物:
    n=0以上の整数である
    上記式(4)中、Rは、水素原子、メチル基またはフェニル基である
    上記式(5)中、
    は、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基であり、
    は、水素原子、エチニル基、シアノ基またはフェニルエチニル基である。
  2. ポリアミック酸を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記酸無水物が、4−フェニルエチニルフタル酸無水物および4−メチルエチニルフタル酸無水物からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記モノアミンが、4−アミノフタロニトリル、2−エチニルアニリン、3−エチニル
    アニリンおよび4−エチニルアニリンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  5. 300℃以上に加熱することによって架橋される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  6. 基材と、フィルムとを接着するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  7. 前記基材の素材が、ガラス、シリコンウェハ、またはセラミックである、請求項6に記載の接着剤組成物。
  8. 前記フィルムが、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、またはポリベンゾオキサジンからなるフィルムである、請求項6または7に記載の接着剤組成物。
  9. 基材と;
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着剤組成物により形成される接着層と;
    フィルムと;
    が、この順で積層されてなる、積層体。
  10. 前記接着層が、5μm以下の厚さである、請求項9に記載の積層体。
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