JP2023054680A - ポリイミド前駆体樹脂組成物及び、これを用いたフレキシブル表示装置及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体樹脂組成物及び、これを用いたフレキシブル表示装置及びその製造方法 Download PDF

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Atsuko Fujita
友弘 江頭
Tomohiro Egashira
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Abstract

【課題】剥離基板から剥離する工程を包含して製造するフレキシブル表示装置に用いるポリイミド前駆体樹脂組成物、これを用いたフレキシブル表示装置及びその製造方法の提供。【解決手段】液状の樹脂組成物を剥離基板上に塗布して樹脂膜を形成する工程と、樹脂膜上に回路を形成する工程と、回路が表面に形成された樹脂膜を剥離基板から剥離する工程と、を含む、フレキシブル表示装置の製造方法において用いられ、フレキシブル表示装置の基板を形成する、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体と、有機溶媒とを含有してなる樹脂組成物。TIFF2023054680000013.tif2991【選択図】なし

Description

本発明は、低熱膨張、高耐熱性、靭性に優れる、各種フレキシブル表示装置において、液晶ディスプレイ用基板、有機ELディスプレイ用基板、電子ペーパー用基板などのフレキシブル表示装置の基板を得る為に使用可能なポリイミド前駆体樹脂組成物に関し、特にフレキシブル有機ELディスプレイ用基板として有用であるポリイミド前駆体樹脂組成物に関する。また、本発明は前記ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いるフレキシブル表示装置の製造方法及び前記製造方法により製造された表示デバイスであるフレキシブル表示装置に関する。
表示素子の多くにはガラス基板が用いられている。ガラス基板は破損の問題を回避しがたく、また軽量化、薄型化すると強度が低下する問題を抱えている。そこでガラス基板の代替品として、軽量であり、破損しがたく成型加工が容易である薄型化可能なプラスチック基板の使用が求められている。プラスチック基板の採用は、曲げたり丸めたりすることが可能なフレキシブルディスプレイパネルの実現を可能とする。例えば、特許文献1には、硬質剥離基板の上にプラスチック基板を設け、この上に画素回路及びディスプレイ層を形成した後、形成した表示素子を前記硬質剥離基板から剥離するという工程を経て得られるフレキシブルディスプレイの製造方法が記載されている。この方法によれば、予め独立したフィルム状の基板を用いるよりも、薄く軽量な基板を形成できるという利点がある。
この方法は、軽量かつ高靭性であるプラスチック基板が得られるが、耐熱性において、ガラス基板に劣るという問題がある。例えば、プラスチック基板上にTFT(薄膜トランジスタ)を形成することを考えたとき、製造工程上、プラスチック基板は200℃以上の高温に耐える必要がある。しかし、プラスチックのガラス転移点は高くても約150℃であるため、耐熱性が不十分である。前記特許文献1には、耐熱性の高いものとして、パリレン薄膜が具体的に記載されているが、成膜プロセスが煩雑かつ大型化しがたいという問題がある。また、スピンコーターなどを用いた塗布の際に、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホンなどのプラスチック基板材料を使用することも示唆されてはいるが、いまだ十分な特性は達成されていない。
このように、塗布によって簡単に薄膜が形成でき、その上に直接回路を形成した後に剥離する工程を経ることが可能であって、かつ靭性と耐熱性を同時に持つプラスチック基板は、未だ知られていない。その為、工程は煩雑となってしまうが、高耐熱性であるガラス基板にTFTを形成し、高温プロセスを終えてからTFTを一次基板に転写、さらに一時基板からプラスチック基板へ再転写する方法によって、プラスチック基板を用いたフレキシブルディスプレイの製造がなされている。
一方、電子機器の小型軽量化に伴い、リード・オン・チップ(LOC)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(TAB)、チップ・オン・フィルム(COF)などの電子部品向けフレキシブル回路基板について、近年盛んに開発がなされている。例えば、特許文献2、3および4には、ポリイミドフィルム材料を用いた電子部品向けフレキシブル回路基板の製造方法が記載されている。この方法は、一般に、ポリイミドの長尺フィルムを形成し、次いでその表面に、接着剤層の形成やアッシングなどの表面処理を施したうえで、銅箔などの導電体層を形成するものである。そして、さらに導電体層をエッチング処理することでポリイミド上に回路を形成してフレキシブル回路基板となす。これらの特許文献には、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類から得られる芳香族ポリイミドフィルムが、優れた耐熱性やフレキシブル性を有することが記載されている。
特表2007-512568号公報 特開平11-4055号公報 特開2006-291165号公報 特開2006-225667号公報
しかしながら、液晶ディスプレイ用基板、有機ELディスプレイ用基板、電子ペーパー用基板などの表示デバイスとしてのフレキシブル表示装置の基板用の材料としては、簡易な工程に適用でき、かつ、要求特性を高度に満足するものは知られていない。即ち、前記フレキシブル表示装置の基板用の材料としては、さらなる薄膜化の要求や、工程上一旦剥離基板上に薄膜を形成した状態でその上に各種回路を形成し、その後に剥離することができることへの要求から、液状樹脂組成物が好ましいが、このような工程に用いることができ、かつ、高度な要求特性を有する液状樹脂組成物は知られていない。
本発明は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの表示デバイスにおいて、ガラス基板などの剥離基板上に塗布することで簡単にかつ所望の厚さの薄膜を形成し、その樹脂薄膜上に回路やディスプレイ層などを形成できるとともに、耐熱性に優れ、熱膨張係数の低いポリイミド膜となって、回路などの形成過程で剥離基板層からの剥がれや剥離基板層の反りを生じさせず、回路などの剥がれなどの欠陥も生じず、そしてその後、剥離基板から欠陥を生じずに剥離ができる、フレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物、これを用いたフレキシブル表示装置及びその製造方法を提供するものである。
本発明におけるフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物は、低熱膨張、高耐熱性、高靭性に優れ、表示デバイス又は受光デバイスの基板として適したポリイミド薄膜を形成できる。特に本発明におけるポリイミド前駆体樹脂組成物から調整されるポリイミド薄膜は加熱後、熱膨張率の変化が小さく、CVDなどの加熱プロセスを経て製造されるデバイスに好適である。
また、現在の主流である、すでにフィルムとして成型されている厚さの決まったベースフィルムを用いるのではなく、デバイスの製造に即して塗布して成膜する液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を使用するため、スピンコート法やスクリーン印刷などによりガラス基板などの剥離基板上に塗布できる。この時、塗布後の膜厚を変化させることにより、樹脂膜(ベースフィルム)の厚さを所望の厚さ、特に薄膜に調整することも可能となる。この手法によりフレキシブル表示装置のさらなる薄型化も可能となり、最終製品の小型化、軽量化が可能となる。
また、塗布工程によって表面平坦化を達成でき、有機EL表示素子などの基板としての薄膜を形成する場合に発光方向の偏りを生じることがなく好都合である。
また、ガラス基板などの剥離基板上に薄く塗布することで簡単にかつ所望の膜厚の薄膜として成膜でき、その上に回路やディスプレイ層などを形成できるとともに、耐熱性に優れ、熱膨張係数が低く、加熱度膨張率の変化が小さいポリイミド膜となって、回路などの形成過程で剥離基板層からの剥がれや剥離基板層の反りを生じさせず、回路などの剥がれなどの欠陥も生じない上、その後剥離基板から剥がす際には、ポリイミド膜自体にも、その上に形成された回路などにも欠陥を生じることがなく、きれいに剥がせるものである。従って、本発明のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いた、表示デバイス又は受光デバイスとなるフレキシブル表示装置の製造方法は、剥離基板上に形成されたベースフィルムに直接回路を形成し、その後剥離することが可能となるため、再転写の製造工程を省略することができる。そして得られるフレキシブル表示装置は、薄くても靱性が高く、耐熱性にも優れるものとなる。
フレキシブル表示装置の製造例を示し、ガラス基板上にポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布して固体状のポリイミド樹脂膜を形成する工程を示す模式図である。 フレキシブル表示装置の製造例を示し、ポリイミド樹脂膜上にTFT電極を形成した状態を示す模式図である。 フレキシブル表示装置の製造例を示し、図2のTFT電極上に有機EL各層、カバーフィルムの層を形成した状態を示す模式図である。 フレキシブル表示装置の製造例を示し、剥離基板からフレキシブル表示装置を剥離する工程を示す模式図である。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「フレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物」の用語を、「ポリイミド前駆体樹脂組成物」あるいは「樹脂組成物」と略すことがある。本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布して得られたポリイミド樹脂膜を、「樹脂膜」あるいは「薄膜」と記載することがある。「フレキシブル表示装置」は、回路が表面に形成された樹脂膜を意味し、単に「表示装置」と記載することがある。
本発明は次の各項に関する。
項1. 液状の樹脂組成物を剥離基板上に塗布して樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜上に回路を形成する工程と、前記回路が表面に形成された樹脂膜を前記剥離基板から剥離する工程と、を含むフレキシブル表示装置の製造方法において用いられる、フレキシブル表示装置の基板を形成する前記液状の樹脂組成物であって、
式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体と、有機溶媒とを含有してなるフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
Figure 2023054680000001

式(1)中、Rは独立して、水素又は一価の有機基であり;Rは式(A1)から式(A4)のいずれか1つで表される二価の有機基であり、式(A2)中R’は独立して、水素、炭素数1~3のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1~3のアルキルであり;
Figure 2023054680000002

は式(B)で表される四価の有機基であり、式(B)中、Qは独立して水素または炭素数1から4のアルキルであり;mは0または1であり;
Figure 2023054680000003

nは繰り返し数を表す正の整数である。
項2. フレキシブル表示装置の基板が、液晶ディスプレイ用基板、有機ELディスプレイ用基板又は電子ペーパー用基板である、項1に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
項3. ポリイミド前駆体の重量平均分子量が、15,000から200,000である項1又は2に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
項4. 項1から3のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物を剥離基板上に塗布してポリイミド樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜上に回路を形成する工程、および前記回路が表面に形成された樹脂膜を前記剥離基板から剥離して表示装置を得る工程の各工程を含む、フレキシブル表示装置の製造方法。
項5. ポリイミド樹脂膜の厚さが、1μmから20μmである項4に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
項6. ポリイミド樹脂膜のガラス転移温度が、200℃以上である項4又は5に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
項7. ポリイミド樹脂膜の100℃から200℃の範囲における熱膨張係数が、20ppm/K以下である項4から6のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
項8. 項4から7のいずれか1項に記載されたフレキシブル表示装置の製造方法により製造された表示デバイスであるフレキシブル表示装置。
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、剥離基板上に塗布、乾燥、成膜し、次いで、好ましくは加熱などの手段により、脱水閉環させて、固体状のポリイミド樹脂膜を形成する工程、その上に回路を形成する工程、前記回路が表面に形成された固体状の樹脂膜を前記剥離基板から剥離する工程、の各工程を含む、フレキシブル表示装置の製造方法に用いられるものである。この方法によれば、前述のように直接固体状のポリイミド樹脂膜(ベースフィルム)へ回路を形成することが可能となり、再転写の製造工程を省略することができる。
本発明におけるポリイミド前駆体樹脂組成物は、以下の式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体と、有機溶媒とを含有する。
式(1)
Figure 2023054680000004
式(1)において、Rは独立して水素又は一価の有機基を示す。一価の有機基として、炭素原子数1~20のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が特に好ましい。
は式(A1)から式(A4)のいずれか1つで表される二価の有機基である。
Figure 2023054680000005
式(A1)および式(A4)において、ベンゼン環の一辺を横切る斜線は、環上の任意の水素が斜線の基に置き換えられてもよいことを表す。式(A1)において、mが1のとき、環上の任意の水素が-CH-に置き換えられる。mが0のときは、単結合となる。2つの-(CH-は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式(A2)において、R’は独立して、水素、炭素数1~3のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1~3のアルキルであ。ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくはフッ素である。
は、式(B)で表される四価の有機基である。
Figure 2023054680000006
式(B)中、Qは独立して水素または炭素数1から4のアルキルである。好ましくは水素またはメチルであり、特に好ましくは水素である。
nは繰り返し数を表す正の整数である。具体的には、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体の重量平均分子量が、15,000から200,000の範囲を満たす、正の整数である。
ポリイミド前駆体は、一般に1つのテトラカルボン酸残基と1つのジアミン残基から形成される構造単位(構造式中の括弧でくくられた構造単位)が繰り返し単位となって形成されるが、本発明においては式(1)中の括弧でくくられた構造単位が、全構造単位中40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることが特に好ましい。
ポリイミド前駆体は、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合することにより得られる。この重合は両者を有機溶媒中で混合することにより行うことができる。
式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体を形成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1-メチル-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。その他のテトラカルボン酸二無水物を併用することもでき、その例としては、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-スルホニルジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体を形成するテトラカルボン酸二無水物の使用量は、テトラカルボン酸二無水物の総量に対して、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることが特に好ましい。
また、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体を形成するために用いられるジアミンとしては、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、メタキシレンジアミン、ベンジジン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジドなどが挙げられる。このうち、p-フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジドが耐熱性を向上させる点で好ましく、安全性の観点を考慮すると、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジドがより好ましい。m-フェニレンジアミン、メタキシレンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルは調製されるポリアミック酸の溶解性が高い点で好ましい。
本発明の式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体には、その他のジアミンを併用することもできる。その他のジアミンとしては、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4’-(又は3,4’-、3,3’-、2,4’-)ジアミノジフェニルメタン、3,3’-または2,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-(又は3,4’-、3,3’-、2,4’-)ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-(又は3,4’-、3,3’-、2,4’-)ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ベンゾフェノンジアミン、3,3’-ベンゾフェノンジアミン、4,4’-ジ(4-アミノフェノキシ)フェニルスルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジ(3-アミノフェノキシ)フェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、5,5’-メチレン-ビス-(アントラニル酸)、3,5-ジアミノ安息香酸、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル-6,6’-ジスルホン酸などの芳香族ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノ-s-トリアジン、2,7-ジアミノベンゾフラン、2,7-ジアミノカルバゾール、3,7-ジアミノフェノチアジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-チアジアゾール、2,4-ジアミノ-6-フェニル-s-トリアジンなどの複素環式ジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
本発明において、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体を形成するジアミンの使用量は、ジアミンの総量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
重合に使用する有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、シクロヘキサノンが挙げられ、また、これらは2種以上を併用してもよい。ポリイミド前駆体樹脂組成物を生成後、粘度を調整するために、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いてもよく、これらは2種以上を併用してもよい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物におけるポリイミド前駆体/有機溶媒の質量割合としては、良好な薄膜を形成できる塗布性などの観点から、ポリイミド前駆体/有機溶媒で、5/95~95/5が好ましい。
製造されるポリイミド前駆体の分子量としては、硬化膜の伸び及び溶媒への溶解性の観点から、重量平均分子量で、15,000~200,000が好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線により換算して算出することができる。
また、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、必要に応じて感光性を付与することが可能である。例えば、ネガ型の感光性を付与する場合、ポリイミド前駆体としてポリアミド酸(式(1)においてRが水素であるもの)にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアミンを配合して感光性を付与することができる。このようなアミンとしては、例えば、N,N-ジエチルアミノプロピルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
また、ポリイミド前駆体としてポリアミド酸エステル(式(1)においてRが一価の有機基であるもの)を用い、このときのRとして、アクリロキシアルキル基やメタクリロキシアルキル基などのアクリロイル基やメタクリロイル基を含む構造のものを用いて、感光性を付与することも可能である。これらのように、ネガ型の感光性を付与する場合、一般的にはさらに、ラジカル重合開始剤などの光重合開始剤を、樹脂組成物総量に対して0.01質量%~10質量%用いることが好ましい。
さらに、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物には、被塗布体である剥離基板(支持体)との接着性向上のため、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加することができる。
カップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ-アミノプロピルトリブトキシシラン、γ-アミノエチルトリエトキシシラン、γ-アミノエチルトリメトキシシラン、γ-アミノエチルトリプロポキシシラン、γ-アミノエチルトリブトキシシラン、γ-アミノブチルトリエトキシシラン、γ-アミノブチルトリメトキシシラン、γ-アミノブチルトリプロポキシシラン、γ-アミノブチルトリブトキシシランが挙げられる。
またチタンカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシチタン、γ-アミノプロピルトリメトキシチタン、γ-アミノプロピルトリプロポキシチタン、γ-アミノプロピルトリブトキシチタン、γ-アミノエチルトリエトキシチタン、γ-アミノエチルトリメトキシチタン、γ-アミノエチルトリプロポキシチタン、γ-アミノエチルトリブトキシチタン、γ-アミノブチルトリエトキシチタン、γ-アミノブチルトリメトキシチタン、γ-アミノブチルトリプロポキシチタン、γ-アミノブチルトリブトキシチタンが挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。このときの使用量は、ポリイミド前駆体(樹脂分)に対して、0.1質量%以上、3質量%以下が好ましい。
その他、必要に応じて、各種添加剤を配合することも可能である。
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物の塗布方法は、剥離基板(支持体)に均一な厚みを形成できる方法であれば、種類を問わず適用できる。例として、ダイコーティングやスピンコーティング、スクリーン印刷による塗布が可能である。
本発明におけるポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布、乾燥、イミド閉環して得られるポリイミド樹脂膜の厚さは、1μm~50μmであることが好ましい。より好ましくは、ポリイミドフィルムが十分な耐性を保持できずフレキシブル表示装置の基板として使用したとき応力に耐え切れず破壊されるのを防ぐために1μm以上であり、薄膜として適切な可撓性を維持するために20μm以下の範囲である。フレキシブル表示装置として十分な耐性を保持しながらより薄膜化するには、2μm~10μmの厚みであることが特に好ましい。
本発明のフレキシブル表示装置の製造方法において、ポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布する剥離基板(支持体)は、耐熱性があればよい。つまり製造工程上必要とされる高温にさらされても変形しない素材を用いていればよい。具体的には、金属箔または一般に200℃以上、好ましくは250℃以上のガラス転移温度を持つ非金属素材を用いるのが望ましく、このようなものとしては銅箔、アルミ箔、ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン、またはガラスが挙げられる。剥離基板の厚さは、0.3mmから5.0mmが好ましく、0.5mmから3.0mmがより好ましく、0.7mmから1.5mmであるものがさらに好ましい。
塗布した本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、一般に、加熱乾燥した後、脱水閉環してポリイミド樹脂膜を形成する。その加熱温度としては通常100℃~500℃、好ましくは150℃~450℃、さらに好ましくは200℃~400℃の範囲を任意に選択することができる。また加熱時間は、通常1分~6時間、好ましくは3分~4時間、さらに好ましくは15分~2時間とされる。
ポリイミド樹脂膜のガラス転移温度は、一般には基板のガラス転移温度以上であればよいが、上述したように、脱水閉環してポリイミド樹脂膜を形成する際の高い加熱温度に耐えうる為には、200℃以上であることが好ましい。
ポリイミド樹脂膜の熱膨張率は、100~200℃の範囲において20ppm/K以下であることが好ましく、15ppm/K以下であることがより好ましく、10ppm/K以下であることがさらに好ましく、被塗布体である剥離基板(例えばガラス基板)と同程度の熱膨張であることが最も好ましい。熱膨張率は、乾燥後のポリイミドフィルムを5mm×15mmに切り出したものを用い、サーマルメカニカルアナライザー(例えば、株式会社リガク製の熱機械分析装置)によって25℃から450℃まで、毎分5℃ずつ昇温することで測定することができる。
さらに、形成されるポリイミド樹脂膜は、破断伸びが、5%以上が好ましく(25℃)、10%以上がより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。破断伸びは、乾燥後のポリイミドフィルムを10mm×60mmに切り出したサンプルを用い、精密万能試験機(例えば株式会社島津製作所製 オートグラフ(AUTOGRAPHは登録商標)により測定することができる。
また、形成されるポリイミド樹脂膜の弾性率は、1GPa以上であることが好ましく(25℃)、1.5GPa以上であることがより好ましく、2GPa以上であることがさらに好ましい。破断伸びは乾燥後のポリイミドフィルムを10mm×60mmに切り出したサンプルを用い、精密万能試験機(例えば株式会社島津製作所製 オートグラフ(AUTOGRAPHは登録商標))により測定することができる。
次に、本発明のフレキシブル表示装置の製造方法について説明する。
本発明のフレキシブル表示装置の製造方法は、フレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物を剥離基板上に塗布してポリイミド樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜上に回路を形成する工程、前記回路が表面に形成された樹脂膜を前記剥離基板から剥離する工程の各工程を含む。
まず、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物を、ダイコーティングやスピンコーティング、スクリーン印刷など塗布方法を用いて、剥離基板(支持体)に均一な厚みに塗布する。塗布後の剥離基板を加熱乾燥した後、脱水閉環してポリイミド樹脂膜を形成する。
次に、形成したポリイミド膜の上に、表示デバイス、受光デバイスに必要な回路を形成する。この工程はフレキシブル表示装置の種類により異なる。例えば、TFT液晶ディスプレイデバイスを製造する場合には、この上に例えばアモルファスシリコンのTFTを形成することが出来る。TFTは、ゲート金属層、窒化ケイ素ゲート誘電体層、ITI画素電極を含む。さらにこの上に液晶ディスプレイに必要な構造を、公知の方法によって形成することも出来る。本発明において得られるポリイミド樹脂膜は耐熱性、靱性など各種特性に優れるので、回路などを形成する手法は特に制限されない。
このようにして、回路などが表面に形成された固体状のポリイミド樹脂膜を前記剥離基板から剥離する。剥離方法は特に制限はなく、例えば剥離基板側からレーザーなどを照射することで剥離を行ってもよい。本発明により得られるポリイミド樹脂膜は、高い靭性を有するので、剥離基板(支持体)と単に物理的に剥離することも可能である。
こうして得られた、回路などが表面に形成されたポリイミド樹脂膜を用いて、表示デバイスであるフレキシブル表示装置を製造する。
本発明における、フレキシブル表示装置としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーを挙げることが出来る。特に、薄型化かつフレキシブル性を付与に適した有機ELデバイスへの適用に最適である。
以下に例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例及び比較例に用いた化合物の略称は以下の通りである。なお、これらの材料は、市販のものを利用できる。
NTCDA;ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物
PMDA;ピロメリット酸無水物
s-BPDA;3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA;4,4’-オキシジフタル酸二無水物
PDA;1,4-フェニレンジアミン
DDE;4,4‘―ジアミノジフェニルエーテル
m-DMB;メタトリジン
(実施例1)
窒素雰囲気下の200mlフラスコに、DDE(3.9g、19.6mmоl)とN-メチルピロリドン(41g)を仕込み、15分間、40℃で加熱しながら攪拌してモノマーを溶解させた。その後NTCDA(5.1g、19.0mmоl)を加え、さらに30分間攪拌し、粘度7100mPa・s(25℃)の、液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。なお、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体の重量平均分子量は63000であった。実施例1にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
得られた液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を、厚さ625μm、一辺が6インチのシリコン基板上に、回転数1000rpmで10秒間、スピンコート法で塗布した後、130℃のホットプレートで2分間加熱し、厚さ34μmになるように成膜した。次いで、硬化炉を用い200℃で30分間、さらに350℃で60分間加熱硬化してイミド化し、ポリイミド樹脂膜を得た。イミド化後の膜厚は3μmであった。このポリイミド樹脂膜は、シリコン基板(剥離基板)側からレーザーを照射してシリコン基板より剥離した。得られたポリイミド樹脂膜の状態はよく、欠損などは無かった。このポリイミド樹脂膜の熱特性、機械特性を測定した。その結果を表2に示す。
測定に使用した機器および条件は、次の通り。
ガラス転移温度:示差熱熱重量計(TG/DTA6200 セイコーインスツルメンツ社;
50℃→600℃ 20℃/min)
熱分解温度:示差熱熱重量計(TG/DTA6200 セイコーインスツルメンツ社;
50℃→600℃ 20℃/min 分解点は5%重量減で計算)
熱膨張率:熱機械分析装置(TMA7100 株式会社 日立ハイテクサイエンス;
30℃→530℃ 10℃/min、試料サイズ5mm×15mm)
伸び:小型卓上試験機(EZ Graph株式会社島津製作所;
試料サイズ10mm×60mm)
重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(Separation module 2695 waters(株)、Refractive index detector 2414 waters(株))
なお、重量平均分子量(Mw)の測定は、以下の操作にて行った。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミック酸をリン酸-DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB-M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
(実施例2)
窒素雰囲気下の200mlフラスコに、DDE(1.96g、9.8mmоl)とm-DMB(1.98g、9.8mmоl)N-メチルピロリドン(41g)を仕込み、15分間、40℃で加熱しながら攪拌してモノマーを溶解させた。その後NTCDA(5.1g、19.0mmоl)を加え、さらに30分間攪拌し、粘度25600mPa・s(25℃)の、液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。なお、式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体の重量平均分子量は51000であった。実施例2にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
得られた液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を、厚さ625μm、一辺が6インチのシリコン基板上にスピンコート法で塗布した後、130℃のホットプレートで45秒間、次いで160℃のホットプレートで45秒間加熱し、厚さ8μmになるように成膜した。次いで、実施例1に記載の条件で加熱硬化してイミド化し、ポリイミド樹脂膜を得た。この膜厚は5μmであった。この樹脂フィルムをシリコン基板より剥離し、熱特性、機械特性を測定した。結果を纏めて表2に示す。スピンコート法の塗布条件や測定条件は、実施例1に記載の条件に従った。
(実施例3)
実施例1のN-メチルピロリドンを41.0gから38.8gに変更し、NTCDA(5.10g、19.0mmоl)の代わりにNTCDA(2.62g、9.8mmоl)およびPMDA(2.00g、9.2mmоl)、を用い、実施例1と同様の条件にて液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にしてポリイミド樹脂膜を得たのち、実施例1に記載の測定条件に従って、熱特性、機械特性を測定した。その結果を纏めて表2に示す。また、実施例3にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
(実施例4)
実施例3のN-メチルピロリドンを38.8gから39.1gに変更し、DDE(3.9g、19.6mmоl)の代わりにm-DMB(3.96g、19.6mmоl)を用い、実施例1と同様の条件にて液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。実施例1と同様にしてポリイミド樹脂膜を得たのち、実施例1に記載の測定条件に従って、熱特性、機械特性を測定した。その結果を纏めて表2に示す。また、実施例4にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
(実施例5)
実施例4のN-メチルピロリドンを39.1gから42.3gに変更し、PMDA(2.00g、9.2mmоl)の代わりにs-BPDA(2.71g)を用い、実施例1と同様の条件にて液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。実施例1と同様にしてポリイミド樹脂膜を得たのち、実施例1に記載の測定条件に従って、熱特性、機械特性を測定した。その結果を纏めて表2に示す。また、実施例5にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
(実施例6)
実施例4のN-メチルピロリドンを42.3gから34.6gに変更し、PMDA(2.00g、9.2mmоl)の代わりにOPDA(2.86g)を用い、m-DMB(3.96g、19.6mmоl)の代わりにPDA(2.12g)を用い、実施例1と同様の条件にて液状ポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。実施例1と同様にしてポリイミド樹脂膜を得たのち、実施例1に記載の測定条件に従って、熱特性を測定した。その結果を纏めて表2に示す。また、実施例6にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
(比較例1)
窒素雰囲気下の200mlフラスコにPDA、(2.12g、19.6mmоl)、N-メチルピロリドン35.1gを仕込み、室温で15分間攪拌しモノマーを溶解させた。その後s-BPDA(5.59g、19.0mmоl)を加え、さらに24時間攪拌した。その後80℃で加熱しながら攪拌して粘度調整を行い、粘度5900mPa・s(25℃)以上の液状のポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。比較例1にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
得られた液状ポリイミド前駆体樹脂組成物をガラス基板上にスピンコート法で塗布した後、140℃のホットプレートで1分間加熱し、厚さ8μmになるように成膜した。次いで、実施例1に記載の条件で加熱硬化してイミド化し、ポリイミド樹脂膜を得た。この膜厚は4μmであった。このポリイミド樹脂膜をシリコン基板より剥離し、熱特性、機械特性を測定し、その結果を纏めて表2に示す。スピンコート法の塗布条件や測定条件は実施例1に記載の条件に従った。
(比較例2)
窒素雰囲気下の200mlフラスコに、DDE(3.9g、19.6mmоl)、N-メチルピロリドン43.2gを仕込み、室温で15分間攪拌しモノマーを溶解させた。その後s-BPDA(5.59g、19.0mmоl)を加え、さらに24時間攪拌した。その後80℃の加熱しながら攪拌で粘度調整を行い、粘度3100mPa・s(25℃)の液状ポリイミド前駆体樹脂組成物を得た。比較例2にて得られたポリイミド前駆体の構成と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度を表1に示す。
得られた液状ポリイミド前駆体樹脂組成物をガラス基板上にスピンコート法で塗布した後、140℃のホットプレートで1分間加熱し、厚さ8μmになるように成膜した。次いで、実施例1に記載の条件で加熱硬化してイミド化し、ポリイミド樹脂膜を得た。この膜厚は4μmであった。この樹脂膜をシリコン基板より剥離し、熱特性、機械特性を測定し、その結果を纏めて表2に示した。スピンコート法の塗布条件や測定条件は実施例1に記載の条件に従った。
表1.ポリイミド前駆体の構成(重量部)と、ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度
Figure 2023054680000007
表2.熱特性および機械特性
Figure 2023054680000008
表示装置の製造例
(実施例7から12、比較例4および比較例4)
上記実施例1から6及び比較例1、2で得られた液状ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いたフレキシブル表示装置の製造例を示す。
図1に示すように剥離基板としてガラス基板を用い、ガラス基板上に各液状ポリイミド前駆体樹脂組成物を、スピンコート法で塗布した後、130℃のホットプレートで2分間加熱し、厚さ約5μmになるように成膜した。次いで、硬化炉を用い200℃で30分間、さらに350℃で60分間加熱硬化してイミド化し、固体状のポリイミド樹脂膜を形成した。この膜厚は3μmであった。このポリイミド膜上に、既知の方法に従って図2に示すTFT電極を形成した。さらにその上に既知の方法に従って、図3に示す有機EL表示素子およびカバーフィルムの層を形成した。その後、ガラス基板側からレーザーを照射して、図4に示すように、ガラス基板からフレキシブル表示装置を剥離した。
剥離後の樹脂膜を目視および顕微鏡で観察すると、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物から得られた樹脂膜(実施例7から12)では、いずれも樹脂膜の剥離性が良好であり、また形成した各種回路(TFT電極、有機EL素子)のはがれや欠損もみられなかった。これに対し、比較例3および4で得られた液状ポリイミド前駆体樹脂組成物から得られた樹脂膜(比較例)は、やや剥離性が悪く、その為か、各種回路(TFT電極、有機EL素子)のはがれや欠損が見られた。表3に結果を示す。
表3.剥離性の観察
Figure 2023054680000009
このようにして得られる、実施例のフレキシブル有機ELディスプレイは良好な性能を示したが、比較例のものはポリイミド膜物性が劣るため、信頼性に優れるフレキシブル有機EL表示装置は得られなかった。
表2に示したように、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物を用いた樹脂膜は、ガラス転移温度、熱分解温度、熱膨張率、熱膨張率変化率などの熱特性、伸びなどの機械特性に優れる。特に実施例1、3、4および5で示される組み合わせによるポリイミド樹脂膜に於いては、熱分解点が550℃を超える著しい耐熱性の向上が確認された。実施例1、2、3および4の組み合わせによるポリイミド樹脂膜は熱膨張率変化が20以下と小さく、加熱工程前後での位置ずれがなく、精度の高いディスプレイの製造に好適であることが判る。実施例6の組み合わせによるポリイミド樹脂膜はガラス点移転が340℃を超えるので超高耐熱のポリイミド樹脂膜が得られ、蒸着などの条件温度が高くなるプロセスを適用する材料を用いることも可能である。これに対し、式(1)で表される構造を有さない比較例1および2は、熱特性、機械特性に劣る。また、表3に示したように、実施例のフレキシブル表示装置は、非常に薄い樹脂膜にもかかわらず、その上に形成した各種回路(TFT電極、有機EL素子)に剥がれなどの欠陥を生じさせることなく剥離基板からの剥離性に優れる。
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、フレキシブル表示装置の基板の形成に用いることが出来る。また、得られたフレキシブル表示装置は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの表示デバイスに用いることが出来る。
1 フレキシブル表示装置の一例
1a フレキシブル表示装置の製造過程の構成を表す一例
1b フレキシブル表示装置の製造過程の構成を表す一例(TFT電極を有する形態の一例)
1c フレキシブル表示装置の製造過程の構成を表す一例(TFT電極上に、有機EL層を有する形態の一例)
10 SiNやSiOなどの絶縁層
20 ポリイミド樹脂膜
30 ガラス基板などの剥離基板
40 TFT(薄膜トランジスタ)
50 有機EL層
60 カバーフィルムなどの封止層

Claims (8)

  1. 液状の樹脂組成物を剥離基板上に塗布して樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜上に回路を形成する工程と、前記回路が表面に形成された樹脂膜を前記剥離基板から剥離する工程と、を含むフレキシブル表示装置の製造方法において用いられる、フレキシブル表示装置の基板を形成する前記液状の樹脂組成物であって、
    式(1)で表される構造を有するポリイミド前駆体と、有機溶媒とを含有してなるフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2023054680000010

    式(1)中、Rは独立して、水素又は一価の有機基であり;Rは式(A1)から式(A4)のいずれか1つで表される二価の有機基であり、式(A2)中R’は独立して、水素、炭素数1~3のアルキル、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1~3のアルキルであり;
    Figure 2023054680000011

    2は式(B)で表される四価の有機基であり、式(B)中、Qは独立して水素または炭素数1から4のアルキルであり;mは0または1であり;
    Figure 2023054680000012

    nは繰り返し数を表す正の整数である。
  2. フレキシブル表示装置の基板が、液晶ディスプレイ用基板、有機ELディスプレイ用基板又は電子ペーパー用基板である、請求項1に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
  3. ポリイミド前駆体の重量平均分子量が、15,000から200,000である請求項1又は2に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置基板形成用ポリイミド前駆体樹脂組成物を剥離基板上に塗布してポリイミド樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜上に回路を形成する工程、および前記回路が表面に形成された樹脂膜を前記剥離基板から剥離して表示装置を得る工程の各工程を含む、フレキシブル表示装置の製造方法。
  5. ポリイミド樹脂膜の厚さが、1μmから20μmである請求項4に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
  6. ポリイミド樹脂膜のガラス転移温度が、200℃以上である請求項4又は5に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
  7. ポリイミド樹脂膜の100℃から200℃の範囲における熱膨張係数が、20ppm/K以下である請求項4から6のいずれか1項に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
  8. 請求項4から7のいずれか1項に記載されたフレキシブル表示装置の製造方法により製造された表示デバイスであるフレキシブル表示装置。
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