JP6956486B2 - フレキシブルデバイス用ポリイミドフィルム、その前駆体、及び機能層付ポリイミドフィルム - Google Patents

フレキシブルデバイス用ポリイミドフィルム、その前駆体、及び機能層付ポリイミドフィルム Download PDF

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Description

本発明は、有機EL装置、液晶表示装置、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスにおいて、素子等の各種機能層を搭載する基板として利用できるポリイミドフィルムに関する。
テレビのような大型ディスプレイや、携帯電話、パソコン、スマートフォンなどの小型ディスプレイをはじめ、各種のディスプレイ用途に使用される有機EL装置は、一般にガラス基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を形成し、さらにその上に電極、発光層及び電極を順次形成し、これらをガラス基板や多層薄膜等で気密封止して作られる。有機EL装置の構造には、ガラス基板側から光を取り出すボトムエミッション構造と、ガラス基板とは逆側から光を取り出すトップエミッション構造とが有り、用途により使い分けられている。ボトムエミッションTFT基板には透明材料が要求されるが、トップエミッションTFT基板には非透明材料でも良い。
このような有機EL装置において、EL表示素子などの各種機能層を搭載する基板を従来のガラス基板から樹脂基板へと置き換えることにより、薄型・軽量・フレキシブル化でき、有機EL装置の用途を更に広げることができる。しかしながら、樹脂は一般にガラスと比較して寸法安定性、透明性、耐熱性、耐湿性、フィルムの強さ等に劣るため、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1は、フレキシブルディスプレイ用プラスチック基板として有用なポリイミド、及びその前駆体に関し、特定構造のポリイミド前駆体溶液を無機基板上に流延し、乾燥およびイミド化して得られるポリイミドフィルムと無機基板とからなる積層体を開示しており、光透過率が高いことと、アウトガスが少ないことを報告している。しかしながら、ここで得られるポリイミドの熱膨張係数(CTE)は、いずれも40ppm/Kを超えるため、ガラス基板の熱膨張係数との差が大きいため、有機EL基板として使用した場合、反りが発生し、デバイス形成後、剥離やクラックが発生するなど、形状安定性に優れた有機EL装置を得るのが難しくなる。
また、特許文献2、特許文献5は、キャリア基板から剥離して製造する表示デバイス、受光デバイスなどのフレキシブルデバイス基板形成用のポリイミド前駆体樹脂組成物に係る発明に関し、300℃以上のガラス転移温度と20ppm/K以下の熱膨張係数を示すことが記載されている。しかしながら、特許文献2では、よりガラスに近い熱膨張係数(4ppm/K以下)の達成は困難であり、特許文献5のようなモノマーは高価なもので、簡単に使えるものではない。
有機EL装置は、水分に対する耐性が弱く、水分により発光層であるEL素子の特性が低下する。そこで、有機EL基板として樹脂を用いる場合には、有機EL装置内への水分や酸素の侵入を防ぐため、吸湿率が低い樹脂が好まれる。一般に、有機EL基板としては、ガラスなど酸化珪素や窒化珪素に代表される無機系材料が使用されており、これらの熱膨張係数(CTE)は、通常、0〜10ppm/Kである。これに対して、一般的なポリイミドは、CTEが10ppm/Kより大きいため、単にポリイミドを有機EL基板に適用しようとすると、熱応力によって反りやクラックが生じたり、剥離したりするなどの問題が発生してしまうことがある。特許文献6で開示するポリイミドは、熱膨張係数は20ppm/Kよりも大きく、反りを発生してしまう可能性がある。
また、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む芳香族テトラカルボン酸二無水物と2−(4’−アミノフェニル)−5−アミノベンゾイミダゾールからなるポリイミドフィルムが、特許文献7に報告されている。しかし、特許文献7は、回路基板材料として利用されるポリイミド金属積層体について、接着剤を介して他の基材と積層する場合において、特に接着剤との接着性向上について注目しているにすぎず、有機EL基板などフレキシブルデバイス基板用途におけるガラス基板代替材料としては何ら検討されていない。
イソプロピリデンビス(4-フェニレンオキシ-4-フタル酸)二無水物と6-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾイミダゾールとの共重合体である新規ポリイミド共重合体が、特許文献8に報告されている。しかし、特許文献8も、金属箔に積層される金属積層体用途において、ピール強度を満足させるものと提供することを主眼としており、特許文献7と同様に、有機EL基板などフレキシブルデバイス基板用途におけるガラス基板代替材料としては何ら検討されていない。
有機EL装置の製造プロセスにおいて、有機EL基板には、蒸着、スパッタ等の工程に耐え得る高い耐熱性、良好なハンドリングのための平滑性や低反りが求められる。すなわち、樹脂基板としてポリイミドフィルムを採用する場合、そのポリイミドフィルムは、高い耐熱性、及び既存の基板材料であるガラス基板と同程度の線膨張係数を有する必要がある。尚、ガラス基板として一般的に使用されるソーダライムガラスや無アルカリガラスの線膨張係数はそれぞれ8〜9ppm/K、3〜5ppm/K程度である。
一方、特許文献3には、ガラス等の支持体上に、ジアミノジフェニルスルホン等のジフェニル型ジアミンをポリイミド前駆体として使用することによりポリイミドフィルムを形成してなる可撓性受光素子であって、ポリイミド前駆体の溶液を支持体上に流延し、熱イミド化してポリイミドフィルムを形成する方法を記載する。また、特許文献4では、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとから得られるポリイミド前駆体を使用して、低線膨張係数のポリイミドフィルムを無機基板上に、直接積層させることも報告されている。しかし、特許文献3、4に開示された手法では、いずれも、無機基板に近い熱膨張係数(4ppm/K以下)を得るのは困難である。
ポリイミド等の樹脂フィルムをガラス基板に代替するフレキシブルデバイス基板として検討するにあたり、既存のフレキシブルデバイス製造設備が、ガラス基板を使用することを前提に設計されている。よって、既存の生産設備を有効活用することが望ましく、その検討例の一つとして、ガラス支持基材上に樹脂フィルムを積層した状態で所定のフレキシブルデバイスを製造した後、ガラス支持基材を剥離して除去する手法がある。この場合、デバイスに損傷を与えずに樹脂フィルムをガラス支持基材から剥離できることも必要となる。
以上の点を考慮すると、有機EL基板などを、ガラス基板から樹脂基板に置き換えるにあたっては、少なくとも低CTE、高耐熱性、支持基材との剥離しやすい特性を同時に満足できる必要があるが、これらを全て満たす樹脂基板は存在していなかった。
特開2012−40836号公報 特開2010−202729号公報 特開昭64−774号公報 特開2012−35583号公報 特開2015−93915号公報 特許第4642664号 特許第5716493号 特許第4433655号
本発明は、有機EL装置、液晶表示装置、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスにおいて、機能層を搭載するガラス基板に代替できる樹脂基板であって、低線膨張で製膜性に優れ、支持基材から容易に剥離でき、耐熱性に優れたフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリアミド酸構造単位を有するポリイミド前駆体を熱処理することにより、特定のポリイミド構造単位を含有するポリイミドフィルムが、ガラス転移温度が400℃より高く、低線膨張で剥離性のよいフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルムを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フレキシブルデバイスの基板として使用されるポリイミドフィルムであって、一般式(1)で表されるポリイミド構造単位を10モル%以上含有することを特徴とするフレキシブルデバイス用ポリイミドフィルムである。
Figure 0006956486
(式中、Xは下記式(2)〜(4)で表される基から選択される四価の基である。)
Figure 0006956486
本発明の他の態様は、上記フレキシブルデバイス用ポリイミドフィルムの前駆体であって、一般式(5)で表されるポリアミド酸構造単位を10モル%以上含有することを特徴とするポリイミド前駆体である。
Figure 0006956486
(式中、Xは一般式(1)と同意である。)
本発明の他の態様は、上記フレキシブルデバイス用ポリイミドフィルムに、一種類又は二種類以上の機能層が形成されていることを特徴とする機能層付きポリイミドフィルムである。
機能層が、表示素子、発光素子、回路、導電膜、メタルメッシュ、ハードコート膜又はガスバリア膜であることが好ましい。
本発明のフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルムは、耐熱性が高く、低熱膨張で、支持基板との剥離が容易であり、ガラス基板を代替する樹脂基板として有用であり、表示素子、発光素子、回路、導電膜、メタルメッシュ、ハードコート膜又はガスバリア膜などの機能層を形成するフレキシブルデバイス基板材料として好適に使用することができる。
本発明のフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルムは、上記一般式(1)で表されるポリイミド構造単位を10モル%以上含有するポリイミドを使用する。好ましくは50モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリイミドである。
本発明のポリイミドフィルムは、一般的な製法として知られているテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(ポリアミド酸)を熱イミド化法又は化学イミド化法による閉環反応により得ることができる。そのため、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸においても、上記一般式(1)で表されるポリイミド構造単位に対応して、上記一般式(5)で表されるポリアミド酸構造単位を10モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有する。
一般式(1)で表されるポリイミド構造単位を所定量含有するポリイミド、又は一般式(5)で表されるポリアミド酸構造単位を所定量含有するポリアミド酸を合成するために用いるテトラカルボン酸二無水物としては、式中のXが上記式(2)、(3)、(4)で表される四価の基のいずれか1種以上を含むことが必要である。
すなわち、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される1種類又は二種類以上を必須成分とする。この中でも高耐熱性と低熱膨張係数の観点からは、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
ただし、本発明の目的を阻害しない限り、他のテトラカルボン酸二無水物を併用することも可能である。例えば、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ベンゾフェノン‐3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、4,4'−(2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物等である。
一般式(1)で表されるポリイミド構造単位を所定量含有するポリイミド、又は一般式(5)で表されるポリアミド酸構造単位を所定量含有するポリアミド酸を合成するために用いられるジアミンは、フェニルベンゾイミダゾール骨格を有するジアミンであり、好ましくは5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールである。
ただし、本発明の目的を阻害しない限り、他の芳香族ジアミンを併用することができる。好ましくは、耐熱性、低熱膨張性に有効な芳香族ジアミンである。例えば、5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等である。
本発明のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)は、上記に示した芳香族ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを0.9〜1.1のモル比で使用し、有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。すなわち、窒素気流下にて、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの非プロトン性アミド系溶媒に芳香族ジアミンを溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物を加えて、室温で3〜50時間程度反応させることにより得られる。この際、分子末端は芳香族モノアミン又は芳香族ジカルボン酸無水物で封止してもよい。溶媒としては、他にジメチルホルムアミド、2−ブタノン、ジグライム、キシレン、γブチルラクトン等が挙げられ、1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
次に、得られたポリアミド酸を、熱イミド化法又は化学イミド化法によりイミド化してポリイミドフィルムを得る。熱イミド化は、ガラス、金属、樹脂などの任意の支持基材上にアプリケーターを用いて塗布し、150℃以下の温度で2〜60分予備乾燥した後、溶剤除去、イミド化のために通常130〜450℃程度の温度で2〜300分程度熱処理することにより行われる。化学イミド化は、ポリアミド酸に脱水剤と触媒を加え、30〜60℃で化学的に脱水を行う。代表的な脱水剤としては無水酢酸が、触媒としてはピリジンが例示される。
テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンは、溶解性、乾燥性に優れる溶剤の組み合わせを選択することで、イミド化が比較的短時間で終了する。
ポリアミド酸及びポリイミドの重合度は、ポリアミド酸溶液の還元粘度(ηsp/C)として1〜10であり、好ましくは3〜7の範囲にあることがよい。還元粘度は、N,N−ジメルアセトアミド中、30℃、濃度0.5g/dLでウベローデ型粘度計を用いて測定し、(t/t0−1)/Cにより算出することができる。また、ポリアミド酸の分子量は、GPC法によって求めることができる。ポリアミド酸の好ましい分子量範囲(ポリスチレン換算)は、数平均分子量で15,000〜250,000、重量平均分子量で30,000〜800,000の範囲であることが望ましいが、これらは目安であり、この範囲外のポリイミドが使用できないというわけではない。なお、ポリイミドの分子量も、その前駆体であるポリアミド酸の分子量と同等の範囲にある。
本発明のポリアミド酸又はポリイミドは、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種充填剤や添加剤を配合して使用することもできる。例えば、滑り性の向上、熱伝導性の向上などの目的で、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの無機微粒子を添加しても良い。
本発明の製法においては、ポリアミド酸を支持基材上に塗布した後、乾燥、熱処理してイミド化するか、液相中でイミド化まで完了させた樹脂溶液を支持基材上に塗布乾燥するか、別途作成したポリイミドフィルムを別の支持基材上に張り付けることで、支持基材上に剥離可能に形成されたポリイミドフィルムを得ることができる。生産効率の観点からは、支持基材上でイミド化を行い、そのまま支持基材上にポリイミドフィルムが形成された積層体とすることが望ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、複数層のポリイミドからなるようにしてもよい。単層の場合には、3μm〜50μmの厚みを有するようにするのがよい。一方、複数層の場合においては、主たるポリイミド層が上記の厚みを有するポリイミドフィルムであれば良い。ここで主たるポリイミド層とは、複数層のポリイミドの中で、厚みが最も大きな比率を占めるポリイミド層を指し、好適にはその厚みを3μm〜50μmにするのがよく、さらに好ましくは4μm〜30μmである。
本発明のフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルムは、低熱膨張性、かつ、高耐熱性であり、ガラス基板を代替する樹脂基板材料として好適である。具体的には、熱膨張係数(CTE)が−5〜5ppm/Kの範囲にあり、ガラス転移温度(Tg)が400℃以上、熱分解温度(Td1%)が540℃以上である。
加えて、支持基材(ガラス)への製膜性、支持基材からの剥離性にも優れる。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム表面上に、さまざまな機能を有する素子等の機能層を形成することができる。機能層としては、表示素子、発光素子、回路、導電膜、メタルメッシュ、ハードコート膜又はガスバリア膜が挙げられる。本発明のポリイミドフィルムに前記機能層を積層したものは、以下に示すフレキシブルデバイスを構成する。例を挙げると、表示素子を積層した場合の液晶表示装置や電子ペーパー、発光素子を積層した場合の有機EL表示装置をはじめとする表示装置である。また、有機EL照明装置、水分や酸素等の浸透を防止するガスバリア膜を積層したガスバリアフィルム、フレキシブル回路基板の構成部品などを含めた、前記表示装置に付随して使用される各種機能装置も包含される。すなわち、本発明で言う機能層とは、液晶表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパー、有機EL照明装置、有機EL表示装置の電極層もしくは発光層、ガスバリアフィルム、接着フィルム、薄膜トランジスタ(TFT)、液晶表示装置の配線層もしくは透明導電層等の1種又は2種以上を組み合わせたものも含めている。
また、ポリイミドフィルム上に機能層を形成する方法は、目的とするデバイスに応じて、適宜、形成条件が設定されるが、一般的には金属膜、無機膜、有機膜等をポリイミドフィルム上に成膜した後、必要に応じて所定の形状にパターニングしたり、熱処理したりするなど、公知の方法を用いて得ることができる。すなわち、これら表示素子を形成するための手段については、特に制限されず、例えば、スパッタリング、蒸着、CVD、印刷、露光、浸漬など、適宜選択されたものであり、必要な場合には真空チャンバー内などでこれらのプロセス処理を行うようにしてもよい。そして、ポリイミドフィルム上に機能層を形成した後、支持基材と機能層付ポリイミドフィルムとを分離するのは、各種プロセス処理を経て機能層を形成した直後であってもよく、又はある程度の期間を経過させて支持基材と一体にしておき、例えば表示装置として利用する直前に分離して取り除くようにしてもよい。
ポリイミドフィルムは、その上に機能層を形成した後に、支持基材からポリイミドフィルムを機能層ごと剥離する。支持基材からポリイミドフィルムを機能層ごと剥離する際に、ポリイミドフィルムが延伸されると、リタデーションが大きくなる。このため、剥離の際にポリイミドフィルムにかかる応力が小さくなるように剥離する方法が好ましい。
ポリイミドフィルムの延伸を防止するためには、支持基材上に他の層を形成し、その上にポリイミドフィルムを形成させ、その上に機能層を形成した後に、ポリイミドフィルムを当該他の層及び機能層ごと剥離し、剥離に必要な応力を当該他の層に分散する方法が好ましい。特にポリイミドフィルムが薄い場合に効果的である。この場合、当該他の層を含めて、本発明のポリイミドフィルムとみなす。他の層を形成する方法の例としては、粘着剤による樹脂フィルムや金属箔の張り合わせ、塗布、蒸着等が挙げられる。
さらに、支持基材からのポリイミドフィルムの剥離を容易にし、延伸を防止する方法として、公知の他の方法も適用できる。例えば、UVレーザー光の照射により、支持基材とポリイミドフィルムの剥離を行なうこともできる。この場合、例えば300〜410nmのスペクトルの範囲内のレーザーを用い、支持基材とポリイミドフィルムとの界面に照射する。因みに、剥離方法としては、支持基材(ガラス)側からレーザーを照射して、機能部を備えたポリイミドフィルムを支持基材から分離する方法、剥離層を支持基材に塗布して形成した後、剥離層の上にポリイミド前駆体又は樹脂を塗布してポリイミドフィルムを形成し、ポリイミドフィルム上に各種機能層を搭載する有機EL表示装置の製造工程が完了した後に、剥離層からポリイミドフィルムを剥離する方法、支持基材表面のカップリング剤処理を行なった後、UV照射等によりこのカプリング剤のパターン化処理を行ない、剥離強度が異なる良好接着部分と易剥離部分をもつ積層体を形成し、それから剥離する方法などが挙げられる。
フレキシブルデバイス内への水分や酸素の侵入を防ぐため、ポリイミドフィルムの上にガスバリア層を形成しても良い。この場合、ガスバリア層を含めて、本発明のポリイミドフィルムとみなす。単体のポリイミドフィルムに形成しても良く、ガラス、金属箔などの支持基材とポリイミドフィルムの積層体に形成しても良い。ガスバリア層は公知のものを使用できるが、酸素や水蒸気等に対するバリア性を備えたガスバリア層として、酸化珪素、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化炭化珪素、炭化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等の無機酸化物膜が好適に例示され、1種類の組成のみで構成されてもよいし、2種類以上を組合せた膜を選択しでもよい。
機能層として発光層をポリイミドフィルム上に積層した有機EL表示装置、特に基板の上部から光を取り出すトップエミッション構造の有機EL表示装置の製造方法の概略の一例を説明する。
ガラス等の支持体上に積層された本発明によるフレキシブルデバイス基板用ポリイミドフィルム上面に薄膜トランジスタ(TFT)を含む回路構成層を形成する。薄膜トランジスタとしては、動作速度が速いLTPS-TFTが選択される場合が多い。なお、先ず支持体上のポリイミドフィルム上面にガスバリア層を設けて、水分や酸素の透湿を阻止する構造にした後に、薄膜トランジスタを含む回路構成層を形成してもよい。この回路構成層は、配線やTFTで凹凸が生じるため、トップエミッション構造では透明樹脂を積層して平坦化を行っている。その上面にマトリックス状に配置された画素領域のそれぞれに対して、反射層ともなる導電膜からなるアノード電極を形成する。更に、アノード電極の上面には有機EL発光層を形成し、この発光層の上面に透明カソード電極を形成する。そして、このカソード電極の面を被うようにして透明ガスバリア層を形成する。更に、この有機EL装置の最表面には、表面保護のため封止基板を設置してもよい。このように、有機EL装置は上記順序で耐熱性ポリイミドフィルム上に各薄膜を形成し、最後に封止基板で封止するのが一般的である。また、有機EL発光層は、正孔注入層―正孔輸送層―発光層―電子輸送層等の多層膜(アノード電極−発光層−カソード電極)で形成されるが、特に、有機EL発光層は水分や酸素により劣化するため真空蒸着で形成され、電極形成も含めて真空中で連続形成されるのが一般的である。また、発光層をR、G、Bの各色で形成しても、白色発光の発光層で形成してカラーフィルターを用いる方式にしてもよい。
以下、実施例等に基づいて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、使用するモノマー等の略称、及び各種物性の測定方法等を示す。
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
NTCDA:2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
AAPBZI:5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール
支持基材:ガラス板(コーニング社製、0.7mm厚)
[熱膨張係数(CTE)]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、SEIKO製の熱機械分析(TMA)装置TMA100にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(20℃/min)で30℃から280℃までに昇温して、それから30℃までに降温して、この温度範囲で引張り試験を行い、250℃から100℃への温度範囲におけるポリイミドフィルムの伸び量の変化から熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
ポリイミドフィルム(5mm×70mm)をティーエイ・インスツリメント・ジャパン製の動的粘弾性測定(DMA)装置RSA3にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度Tg(tanδ極大値)を求めた。
[熱分解温度(Td1%)]
窒素雰囲気下で10〜20mgのポリイミドフィルムを、SEIKO製の熱重量分析(TG)装置TG/DTA6200にて一定の速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、200℃での重量をゼロとし、重量減少率が1%の時の温度を熱分解温度(Td1%)とした。
[剥離性]
ポリイミドフィルムを、破断・破れがなく支持基材から剥離できる場合は「○」と判断した。また、剥離する過程で、破断・破れが発生し、剥離できなくなる場合は「×」と判断した。
[製膜性]
ポリアミド酸から熱処理により、発泡なく、外観が綺麗なポリイミドが得られるものは「○」とし、外観上発泡が見られたり、脆いものを「×」とした。
合成例1
窒素気流下で、100mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら、AAPBZI:7.6156gを溶剤85gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にPMDA:7.7384gを加えた。その後、溶液を室温で24時間攪拌を続けて重合反応を行った。そして、粘稠なポリアミド酸溶液が得られて、高重合度のポリアミド酸A(固形分15wt%)が生成されていることが確認された。溶液粘度はE型粘度計を用いて測定したところ、55000cPであった。
合成例2、3
表1の合成例2、3に示すように組成を変更した以外は、合成例1と同じ方法で重合を行い、ポリアミド酸B〜Cを得た。
Figure 0006956486
実施例1
合成例1で得られたポリアミド酸A溶液に、DMAcを加えて、粘度が4000cPになるように希釈した。厚み0.5mm、15mm角のガラス板上に、スピーンコーターを用いて熱処理後の膜厚が約10μmとなるように塗布し、100℃で10分加熱乾燥後、4℃/minの速度で室温から360℃まで昇温させ(途中温度130℃、160℃でそれぞれ10min保持する)、ガラス板上に剥離可能なポリイミドフィルムを形成し、ガラス板上にポリイミドフィルムが積層されたポリイミド積層体Aを得た。次に、積層体のポリイミドフィルムをガラス板から剥離し、ポリイミドフィルムAを得た。得られたポリイミドフィルムAについて、各種評価を行った結果を表2に示す。
実施例2〜3
表2に示すように樹脂をポリアミド酸B〜Cに変更した以外は、実施例1と同じ方法で積層体B〜C及びポリイミドフィルムB〜Cを作製した。評価結果を同様に表2に示す。
Figure 0006956486

Claims (5)

  1. フレキシブルデバイスの基板として使用されるポリイミドフィルムであって、一般式(1)で表されるポリイミド構造単位を10モル%以上含有して、熱膨張係数が−5〜5ppm/Kであることを特徴とするフレキシブルデバイス用ポリイミドフィルム。
    Figure 0006956486
    (式中、Xは下記式(2)〜(4)で表される基から選択される四価の基である。)
    Figure 0006956486
  2. ガラス転移温度が400℃以上であり、熱分解温度が540℃以上である請求項1に記載のフレキシブルデバイス用ポリイミドフィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のフレキシブルデバイス用ポリイミドフィルムの前駆体であって、一般式(5)で表されるポリアミド酸構造単位を10モル%以上含有することを特徴とするポリイミド前駆体。
    Figure 0006956486
    (式中、Xは一般式(1)と同意である。)
  4. 請求項1又は2に記載のフレキシブルデバイス用ポリイミドフィルムに、一種類又は二種類以上の機能層が形成されていることを特徴とする機能層付きポリイミドフィルム。
  5. 機能層が、表示素子、発光素子、回路、導電膜、メタルメッシュ、ハードコート膜又はガスバリア膜である請求項に記載の機能層付きポリイミドフィルム。
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