JP2016123331A - 食用油脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食用油脂の製造において、以下の工程のうちいずれかを含むことを特徴としている。
(i)吸着剤とアルカリ物質とをその共存下で処理対象油に接触させる工程
(ii)pH5.0以上の吸着剤を処理対象油に接触させる工程
【選択図】なし
Description
(ii)pH5.0以上の吸着剤を処理対象油に接触させる工程
この食用油脂の製造方法において、吸着剤が、白土および活性炭のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
(i)吸着剤とアルカリ物質とをその共存下で処理対象油に接触させる工程
(ii)pH5.0以上の吸着剤を処理対象油に接触させる工程
のうちいずれかを含むことを特徴としている。
<(i)工程>
本発明の(i)の工程においては、吸着剤とアルカリ物質とをその共存下で処理対象油に接触させることを特徴としている。本発明の(i)の工程において利用することができる吸着剤としては、通常の油脂の精製工程、特に脱色工程において用いられる吸着剤を好適に用いることができ、活性白土、酸性白土および活性炭、ベントナイト、シリカゲル、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート、珪藻土等が例示される。これらの吸着剤は、白土および活性炭のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。すなわち、吸着剤を単独または2種以上を併用することが可能である。また、工程(i)において、吸着剤のpHは特に限定されず、pHが5.0未満の吸着剤を用いても、食用油脂の戻り臭の発生を抑制し、風味劣化の少ない食用油脂を製造することができる。
<(ii)工程>
(ii)の工程においては、吸着剤のpHが5.0以上であることを特徴としている。
<処理対象油>
処理対象油は、原料油または原料油に脱ガム、脱酸、脱色、脱ロウおよび脱臭のいずれか一つ以上の精製処理を行った精製油である。原料油は、動植物油種から油を得る方法(圧搾、抽出)で得られたものの他、食用油脂または2種以上の食用油脂を食用油脂分野において通常行われる水素添加、分別、エステル交換等を施した水素添加油、分別油、エステル交換油でよく、また、グリセリンと脂肪酸をエステル化したトリグリセリドでもよい。また、脱ガム、脱酸、脱色、脱ロウおよび脱臭等の各処理は食用油脂分野において通常行われる処理であってよい。
<食品添加物>
本発明の製造方法で得られた食用油脂は、そのまま、食卓および調理油としてや、加工されて利用することができる。また、必要に応じて、食品添加物を添加した上で市場に提供してもよい。食品添加物は、一般的な食用油に用いられる成分であり、例えば、乳化剤、酸化・劣化防止剤、結晶調整剤、香辛料、着色成分等が例示される。乳化剤として、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよび有機酸モノグリセリド、レシチン等が例示される。酸化・劣化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸エステル、フラボン誘導体、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキンおよびそのエステル、フキ酸、ゴシポール、セサモール、テルペン類、シリコーン等が例示される。結晶調整剤としては、例えば、トリアシルグリセロール、ジアシルグルセロール、ワックス類、ステロールエステル類等が例示される。香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン等が例示される。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が例示される。
<RBDパーム油の再精製>
RBDパーム油の再精製は、以下の工程に沿って行った。
RBDパーム油を1Lの四つ口フラスコに420g分注し、4000Paの減圧条件下で110℃まで加熱した。フラスコ内で、後述する実施例1〜15、比較例1〜4の処理を行い、15分間攪拌後、濾過により吸着剤やアルカリ物質を除去した。なお、実施例1〜10は、工程(i)、実施例11〜15は、工程(ii)を示している。
上記処理後のパーム油を1Lの四つ口フラスコに400g分注し、600Paの真空下で255℃まで加熱した。フラスコ内に水蒸気を吹き込みながら、40分間脱臭処理した。脱臭処理後に、上記パーム油を冷却し、120℃になったところでクエン酸を20ppmになるように添加した。さらに、上記パーム油を冷却し、60℃になったところで濾紙を用いて濾過し、脱臭油を得た。
上記脱臭後のパーム油を、100mLのねじ口瓶に80g分取し、5℃で保管した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土(GALLEON EARTH V2、以下V2と表記、pH3.3、SiO2含量79.8%、水澤化学工業株式会社製)と、アルカリ物質として対油2.5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2を添加した後15分後に、アルカリ物質として10%(w/v)の水酸化ナトリウム水溶液を対油2.5質量%添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油2.5質量%の2.5%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油2.5質量%の5%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油1質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油1.5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油10質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油2.5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液とを同時に添加した後15分間撹拌し、濾紙で濾過して、白土とアルカリ物質を除去した。濾過後、さらに活性白土V2を対油2.5質量%添加した。
(実施例10)
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、アルカリ物質として対油3質量%の5%(w/v)トリポリリン酸ナトリウム(食品添加物用トリポリ燐酸ソーダ、日本化学工業株式会社製)水溶液とを同時に添加した。
(実施例11)
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の酸性白土1(MIZUKA−ACE #300、pH8.5、SiO2含量70.5%、水澤化学工業株式会社製)を添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の酸性白土2(MIZUKA−ACE #200、pH6.4、SiO2含量71.0%、水澤化学工業株式会社製)を添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の塩基性活性炭(梅鉢IE印活性炭、pH9.7、灰分4.4%、大平化学産業株式会社製)を添加した。
あらかじめ活性白土V2に対白土200質量%の1%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液を加え、常温・常圧で5分間攪拌し、遠心分離により白土を回収後、水洗し残留遊離アルカリを除去した後、120℃で乾燥させた。RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の上記アルカリ溶液処理した活性白土V2(pH10.0)を添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油1.25質量%の酸性白土1(MIZUKA−ACE #300、pH8.5、SiO2含量70.5%、水澤化学工業株式会社製)と対油1.25質量%の塩基性活性炭(梅鉢IE印活性炭、pH9.7、灰分4.4%、大平化学産業株式会社製)とを同時に添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2のみを添加した。
RBDパーム油に、アルカリ物質として対油2.5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液を添加した後15分撹拌後、濾紙で濾過して、アルカリ物質を除去後、活性白土V2を対油2.5質量%添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2を添加した後15分後に、濾紙で濾過して、白土を除去後、アルカリ物質として対油2.5質量%の10%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液を添加した。
RBDパーム油に、吸着剤として対油2.5質量%の活性白土V2と、対油2.5質量%の水とを同時に添加した。
<評価方法>
(2−ノネナール生成量の定量)
冷蔵保存開始から7日後および14日後の再精製済みパーム油1gをヘッドスペース分析用バイアル管に分取し、80℃にて30分加温した際に発生する揮発性物質を固相マイクロ抽出法にて捕集した。この揮発性物質をGC/MS装置(GC 7890A MSD 5975C、アジレント・テクノロジー社製)の注入口にて250℃で4分間再加熱し、揮発性物質をガスクロマトグラフィー用カラム(InterCap Pure−WAX、ジーエルサイエンス社製)に供した。次いで、カラムにて単離した各成分を検出器にて検知し、2−ノネナールを同定した後、中鎖脂肪酸トリグリセリド(Medium Chain Triglycerides、MCT)で希釈した2−ノネナール標品(純度96.3%、東京化成工業製)を用いて、各試料に含まれる2−ノネナール量を定量した。
冷蔵保存開始から7日後および14日後の再精製済みパーム油を約60℃に加温後、10名のパネルがスポイトで1〜2mLを口に含み、官能評価を行った。その際の戻り臭の有無について5段階(5点:全く戻り臭がなく良好、4点:戻り臭がなく良好、3点:若干戻り臭を感じるが良好、2点:戻り臭を感じる、1点:戻り臭を非常に強く感じる)で点数化し、10名のパネルによる採点の平均値を以下の基準で評価した。
○:2.8点以上4点未満
△:1.5点以上2.8点未満
×:1.5点未満
結果を表1、2および3に示す。
実施例11〜14の結果から、吸着剤のpHが5.0以上であると、戻り臭の低減に有効であることが示された。また、pHが高いほど、戻り臭の低減により有効であることも示唆された。
Claims (6)
- 食用油脂の製造において、以下の工程のうちいずれかを含む食用油脂の製造方法。
(i)吸着剤とアルカリ物質とをその共存下で処理対象油に接触させる工程
(ii)pH5.0以上の吸着剤を処理対象油に接触させる工程 - 前記工程(i)(ii)での吸着剤が、白土および活性炭のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
- 前記工程(i)でのアルカリ物質が、アルカリ溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の食用油脂の製造方法。
- 前記アルカリ溶液の濃度が、0.3質量%以上25質量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の食用油脂の製造方法。
- 前記アルカリ溶液の添加量が、前記処理対象油全体の質量に対して1.0質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の食用油脂の製造方法。
- 前記工程(i)(ii)での処理対象油がRBDパーム系油脂であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の食用油脂の製造方法。
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