JP6919755B2 - グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステル含有量を低減させた食用油脂及びその製造方法 - Google Patents

グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステル含有量を低減させた食用油脂及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂及びその製造法に関するものである。
グリシドールとは、グリセロール骨格の2位、3位でエポキシ環を形成した化合物である。近年複数種の食用油脂中から、グリシドールに脂肪酸がエステル結合したグリシドール脂肪酸エステルが検出された。グリシドール脂肪酸エステルの存在が確認された油脂の中でも、特にパーム油脂及びパーム油脂を原料とした精製食用油脂にて含有量が比較的高いと報告された(非特許文献1)。
グリシドール脂肪酸エステルが体内に摂取されると、体内に存在するリパーゼの作用により加水分解されグリシドールが生じる懸念がある。グリシドールは国際がん研究機関(IARC)により「グループ2A」に分類されている。「グループ2A」とは、ヒトに対して恐らく発がん性が有る化合物が分類されるグループである。(非特許文献2)。
以上の背景を踏まえ、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた油脂の開発が望まれている。
グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減する方法として、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルは脱臭処理中に生成される傾向より、特許文献1には、グリセリド組成物を190〜230℃の低温脱臭処理が開示されている。
特開2011−147436号公報
平成26年12月17日 農林水産省消費・安全局、食品中の3−MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査の結果について (平成24、25年度) IARC、IARC Monogr,Eval,Carcinog,Risks Hum.,77,469−486,2000
特許文献1の方法では、脱臭後の精製油酸価の低下が不十分で、かつ精製油風味が油っぽいものになるという問題があることがわかった。
本発明は、上記課題を解決し、風味と色調が良好で、かつグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を満足できるレベルまで低減させた食用油脂及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、3−MCPD(3−クロロ−1,2−プロパンジオール)がある濃度以下の原料油脂を、脱色作業工程中に、酸による接触処理工程を行なうことで、風味・色調が良好でかつグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルを低減することが出来るという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1) パーム系油脂を含む油脂の脱色脱臭工程において、下記の原料油脂を使用し、脱色作業工程中に、酸を水溶液添加する工程を含み、脱色脱臭工程後下記の食用油脂が得られる、グリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法、
原料油脂:
パーム系油脂を含む油脂であって、3−MCPD濃度が1.5mg/kg以下
脱色脱臭工程後の食用油脂:
グリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量が、グリシドール等量で1.0mg/kg以下
(2) 酸として下記の水溶液を0.01〜10重量%添加する、(1)のグリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法、
・濃度1〜85重量%である、クエン酸および/またはリン酸水溶液
(3) 脱臭工程が下記条件である、(1)または(2)のグリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法、
・真空度100〜800Pa
・水蒸気使用量0.5〜5重量%
・脱臭温度230〜260℃
(4) (1)〜(3)のいずれかのグリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法による、食用油脂のグリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの低減方法、である。
本発明により、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量が低減された食用油脂を提供することができる。
得られる脱臭後の油脂中のグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステル含有量をグリシドール等量で1.0mg/kg以下、好ましくは0.5mg/kg以下に低減することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用することができる原料油脂は、3−MCPD濃度が1.5mg/kg以下である、パーム系油脂を含む油脂を使用することができる。3−MCPDの濃度が1.5mg/kgを超える原料油脂を使用した場合、本発明の効果が得られない場合がある。
本発明において、パーム系油脂とは、物理精製パーム油、物理精製パーム油を原料として得られる分画油を使用することができる。物理精製パーム油を原料とした分画油の例として、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等が例示できる。
本発明において、パーム系油脂として、パーム系油脂(以下(A)と表記する)を使用して加工した油脂(以下(B)と表記する)を使用することができる。加工方法としては、硬化、硬化油を原料とした分別、分別油を原料とした硬化、エステル交換等を例示することができる。
(B)の原材料としては、(A)以外に、(B)の油脂類も使用することができ、(A)及び/又は(B)を必須成分として含有するが、それ以外に、他の食用油脂を含有しても良い。使用することができる油脂類を例示すると、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂、および乳脂、牛脂、豚脂等の動物脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
本発明において、原料油脂としては、前記したパーム系油脂を必須成分として含有するが、パーム系油脂以外に、他の食用油脂を含有しても良い。使用することができる油脂類を例示すると、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂、および乳脂、牛脂、豚脂等の動物脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
本発明において脱色脱臭工程とは、製造工程における一連の工程を全て含み、脱色缶や脱臭塔といった反応装置での製造工程に限定したものではない。脱色脱臭工程は、脱色作業工程と脱臭作業工程から構成される。
本発明において脱色作業工程とは、原料油脂を、脱色工程を行なう反応装置(脱色缶)へ移送する脱色準備工程、脱色缶への脱色白土等加工助剤等を投入し脱色缶を加温し減圧下で行なう脱色工程、脱色後必要であれば冷却し白土をろ別する脱色ろ過工程、以上の脱色準備工程、脱色工程、脱色ろ過工程の一連の工程から構成される。
本発明において脱臭作業工程とは、脱色ろ過後の脱色油を脱臭容器(脱臭塔)へ移送する脱臭準備工程、脱臭塔での脱臭工程、冷却、酸化防止剤の添加等を含む脱臭後処理工程、以上の脱臭準備工程、脱臭工程、脱臭後処理工程の一連の工程から構成される。
本発明は、パーム系油脂を含む油脂の脱色脱臭工程において、脱色作業工程中に、酸を水溶液添加する工程を含むことを特徴とする。好ましくは脱色作業工程中の脱色工程直前に、酸を水溶液添加する工程を含む。脱色作業工程中の脱色工程直前に、酸を水溶液添加する工程を含むとは、酸を水溶液添加する工程と脱色工程の間に他の工程を含まないことを意味する。他の工程とは、例えばアルカリ脱酸工程、水洗工程、脱水工程、エステル交換反応工程、脱臭工程等が挙げられる。
本発明に用いる酸としては、有機酸及び/又は無機酸が例示できる。有機酸としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、没食子酸、リン酸、およびリンゴ酸、並びにこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機酸またはその誘導体が例示できる。無機酸としては、リン酸類を使用することが好ましく、オルトリン酸や二リン酸(ピロリン酸)、メタリン酸などが例示できる
本発明の好ましい態様として、酸としてクエン酸及び/又はリン酸の水溶液を使用する。添加するクエン酸及び/又はリン酸水溶液の濃度は1〜85重量%、クエン酸及び/又はリン酸水溶液の添加量は0.01〜10重量%で実施することが好ましい。上記の範囲であれば特に条件は指定されないが、クエン酸及び/又はリン酸水溶液の添加量についてのみ、その中でも0.01〜5重量%がより好ましく、さらに好ましくは0.05〜1重量%、さらにより好ましくは0.05〜0.5重量%である。クエン酸及び/又はリン酸水溶液の添加量が0.01重量%より少ない場合、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの低減量が不十分な場合がある。一方、10重量%を超えると、設備への負荷が大きくなる場合がある。
脱臭工程は、脱臭温度が230〜260℃、真空度100〜800Pa、水蒸気使用量0.5〜5重量%で行われることが望ましい。脱臭温度が230℃より低い場合、脱臭後の食用油脂の風味と色調が悪化する場合があるため好ましくない。脱臭温度が260℃を超えると、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量が増加する場合があるため好ましくない。真空度は、より好ましくは200〜800Pa、さらに好ましくは200〜700Paである。真空度が800Paを超える場合、脱臭後の食用油脂の風味が悪化する場合があるため好ましくない。さらに、水蒸気使用量が0.5重量%以下の場合、同じく脱臭後の食用油脂の風味が悪化する場合があるため好ましくない。さらに、水蒸気使用量が5重量%を超える場合、設備への負荷が大きくなる場合があるため好ましくない。脱臭時間については、30〜120分であることが好ましく、特に60分〜90分であることが好ましい。脱臭時間が30分より短い場合、脱臭後の食用油脂の風味が悪化する場合があるため好ましくない。脱臭時間が120分を超える場合、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量が増加する場合があるため好ましくない。
本発明で使用する脱臭装置は、減圧水蒸気蒸留装置が挙げられ、バッチ式、半連続式、連続式等で行ってもよい。処理すべき油脂の量が少量の場合はバッチ式を用い、多量の場合は半連続式、連続式を用いることが好ましい。
半連続式装置としては、例えば数段のトレイを備えた脱臭塔からなるガードラー式脱臭装置等を用いることができる。本装置は、上部から油脂を供給し、トレイ上で油脂と水蒸気の接触を適当な時間行った後、油脂を下段のトレイへ下降させ、間欠的に次々と下降しながら移動することにより処理を行うものである。連続式装置としては、薄膜状の油脂と水蒸気を接触させることが可能な薄膜脱臭装置等を用いることができる。温度と水蒸気使用量が管理できる点で、半連続式装置を使用することが好ましい。
本発明において、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含量は次のような方法で測定している。
油脂試料100mgにイソオクタン0.3mLを加え、油脂試料を溶解する。試験管に90U/mLリパーゼ含有臭化ナトリウム溶液3mL加えて、試験管を振盪機で30分間振盪する。試験管を80℃で10分間加熱後、試験管を室温になるまで放冷又は水冷する。試験管に2.0 μg/mL内部標準混合溶液を50μLとヘキサン3mLを加えて蓋を閉める。試験管をボルテックスミキサーで撹拌、遠心分離機後、水層をパスツールピペットで新たな試験管に移す。水層を移した試験管に、ヘキサン3mLを加えて蓋を閉め、ボルテックスミキサーで撹拌し、遠心分離機後、有機層を除去する。試験管にフェニルボロン酸溶液20μLとヘキサン3mL加えて蓋を閉める。試験管を振盪機で10分間振盪する。有機層をパスツールピペットで新たな試験管に移す。新たな試験管中の有機層を窒素ガスで0.5〜0.8mLに濃縮後、GC−MSにて分析を行う。
なお、GC−MSについては、分子イオンピークm/z 147、m/z 150、を用いて定量する。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の%は重量基準を意味する。
(実施例1)
3−MCPDの濃度が0.31mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、230℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(実施例2)
3−MCPDの濃度が0.45mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。85%リン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%し、110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、230℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(実施例3)
沃素価が53の物理精製パーム油、沃素価が31の物理精製パーム分別油、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を44対57対3で調合した油脂を、0.2重量%のナトリウムメトキシドを触媒としたエステル交換反応に供した。反応温度は80℃、反応時間は30分とした。反応終了後、ホモミキサーを用いて5000rpmの回転速度で攪拌している油脂に、50%クエン酸水溶液を5重量%添加し、1分間接触させた。その後、80℃の温水を20重量%添加し、5分間処理することで油脂を水洗した。水洗した油脂は遠心分離により水相を除去した後、110℃、1330Paの条件で10分間脱水処理を実施した。このとき得られたエステル交換油中の3−MCPDの濃度は0.14mg/kgであった。このエステル交換油を脱色-脱臭の工程に供した。50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加し、さらに活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(実施例4)
3−MCPDの濃度が1.01mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例1)
3−MCPDの濃度が2.12mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、230℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例2)
3−MCPDの濃度が0.39mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。原料である物理精製パーム油に活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、230℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例3)
3−MCPDの濃度が0.22mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、200℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例4)
3−MCPDの濃度が1.01mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂に、50%クエン酸水溶液を対油脂重量0.1重量%添加し、直ちに250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例5)
3−MCPDの濃度が1.01mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。クエン酸の粉体を対油脂重量0.05重量%、原料である物理精製パーム油に添加した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例6)
3−MCPDの濃度が1.01mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂に、クエン酸の粉体を対油脂重量0.05重量%添加し、直ちに250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例7)
3−MCPDの濃度が1.17mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。ホモミキサーを用いて5000rpmの回転速度で攪拌している油脂に、50%クエン酸水溶液を0.1重量%添加し、1分間接触させた。その後、80℃の温水を20重量%添加し、5分間処理することで油脂を水洗した。水洗した油脂は遠心分離により水相を除去した後、110℃、1330Paの条件で10分間脱水処理を実施した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例8)
沃素価が53の物理精製パーム油、沃素価が31の物理精製パーム分別油、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を44対57対3で調合した油脂を、0.2重量%のナトリウムメトキシドを触媒としたエステル交換反応に供した。反応温度は80℃、反応時間は30分とした。反応終了後、ホモミキサーを用いて5000rpmの回転速度で攪拌している油脂に、50%クエン酸水溶液を5重量%添加し、1分間接触させた。その後、80℃の温水を20重量%添加し、5分間処理することで油脂を水洗した。水洗した油脂は遠心分離により水相を除去した後、110℃、1330Paの条件で10分間脱水処理を実施した。このとき得られたエステル交換油中の3−MCPDの濃度は0.14mg/kgであった。このエステル交換油を脱色-脱臭の工程に供した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
(比較例9)
3−MCPDの濃度が1.01mg/kgの物理精製パーム油を脱色-脱臭の工程に供した。活性白土を対油脂重量1.5重量%添加し、攪拌しながら110℃、1330Paの条件で10分間脱色処理した。脱色終了後、活性白土を除去した油脂を、250℃、266Pa、蒸気使用量3重量%の条件で90分間脱臭処理した。脱臭後、真空を1330Paに維持した状態で50%クエン酸水溶液を0.1重量%添加した。最後に、油脂に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析を実施した。
表1に、実施例1〜4、比較例1〜9で得た油脂の分析結果と風味の評価結果を示す。風味の評価は複数人で行い、最も風味が良い(無味・無臭)の場合は5点とし、風味が悪くなるに従い点数が低くなるよう評価した。表中の風味の点数は各評価人が採点した点数の平均値を示す。3点以上が合格、3点未満が不合格である。
Figure 0006919755
表1に示すように、原料中の3−MCPDの濃度が1.5mg/kg以下のパーム油を原料とし、クエン酸、リン酸水溶液を添加した実施例では、風味が良好でグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルをグリシドール等量で1.0mg/kg以下に低減することが出来た。このときの脱臭温度は230〜260℃であった。
比較例1は、原料であるパーム油中の3−MCPD濃度が1.5mg/kg以上であるが、この場合、脱臭後のグリシドール等量が1.45mg/kgとなった。比較例2は、脱色時にクエン酸水溶液及び/又はリン酸水溶液を添加しなかった場合であるが、この場合のグリシドール等量は1.39mg/kgとなった。比較例3は脱臭温度を200℃とした場合であるが、この場合、風味が2.8点となった。
クエン酸水溶液を脱臭直前に添加した比較例4、クエン酸の粉体を使用した比較例5〜比較例6、クエン酸水溶液の添加タイミングが実施例と相違する比較例4〜9では、精製後のグリシドール等量を1.0mg/kg以下に低減することができなかった。
以上の結果を表2に纏める。クエン酸水溶液及び/又はリン酸水溶液を脱色作業工程中に添加し、原料油中の3−MCPD濃度が1.5mg/kg以下の原料を使用し、脱臭温度が230〜260℃で脱臭を行った場合のみ、風味が良好で、かつグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量がグリシドール等量で1.0mg/kg以下まで低減された食用油脂を得ることが出来る。
Figure 0006919755
本発明により、人の健康に悪影響を及ぼす恐れのあるグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステル含有量を、風味を損なうことなく低減させた油脂を製造することが出来る。

Claims (3)

  1. 物理精製パーム油及び/又はその分画油を原材料として使用した、パーム系油脂を含む油脂の脱色脱臭工程において、下記の原料油脂を使用し、脱色作業工程中に、酸を水溶液添加する工程を含み、脱臭工程を下記条件で行い、脱色脱臭工程後下記の食用油脂が得られる、グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法。
    原料油脂:
    3−MCPD濃度が1.5mg/kg以下
    脱色脱臭工程後の食用油脂:
    グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量が、グリシドール等量で1.0mg/kg以下
    脱臭条件:
    ・真空度100〜800Pa
    ・水蒸気使用量0.5〜5重量%
    ・脱臭温度230〜260℃
  2. 酸として下記の水溶液を0.01〜10重量%添加する、請求項1に記載のグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法。
    ・濃度1〜85重量%である、クエン酸及び/又はリン酸水溶液
  3. 請求項1又は請求項2に記載のグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの含有量を低減させた食用油脂の製造方法による、食用油脂のグリシドール及びグリシドール脂肪酸エステルの低減方法。
JP2020157773A 2019-12-25 2020-09-18 グリシドール及びグリシドール脂肪酸エステル含有量を低減させた食用油脂及びその製造方法 Active JP6919755B2 (ja)

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