JP2020124124A - 食用油脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた加熱調理用油脂の製造技術を提供することである。【解決手段】本発明は、水蒸気を用いた脱臭工程において、温度が195〜235℃、真空度が1.2〜2.4Torrの条件で、食用油脂に対して3質量%以下の水蒸気を用いて食用油脂を処理する。本発明によって得られる食用油脂は、加熱調理時の泡立ちが抑制される。【選択図】図1

Description

本発明は、食用油脂の製造方法に関する。特に本発明によれば、フライ(油ちょう)に用いる食用油脂の製造方法に関する。
一般に、食用油脂の製造においては、脱臭などを目的とした精製が行われる。すなわち、風味のよい食用油脂を製造するため、油脂を高温で処理することによって油脂に含まれる有臭成分を取り除くことが行われる。
しかしながら、食用油脂を高温で処理すると、トランス脂肪酸やグリシドール脂肪酸エステル、3−モノクロロプロパン−1,2−ジオール脂肪酸エステルの生成や増加、α−トコフェロールの減少などの課題が生じることも知られている。
例えば、特許文献1には、特定の条件で菜種油を処理することによって、トランス脂肪酸の増加やトコフェロールの減少を抑制しつつ、風味が良好な精製菜種油を製造することが記載されている。特許文献2には、ホイップクリームやマーガリンなどに用いるための食用油脂を製造するため、特定の条件で油脂を処理して油脂に含まれる酪酸やカプロン酸などの含有量を特定の範囲にすることが記載されている。特許文献3には、粗パーム油を特定の条件で処理することによってモノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルの含有量を低減することが提案されている。特許文献4には、原料油脂を特定の条件で脱臭することによって、油脂中のアルデヒド類の量を低減させたり、油脂の曝光臭を抑制したりすることが提案されている。特許文献5には、動植物性油脂をリパーゼで処理することによって油脂中のトランス酸を実質的に含まないことが記載されている。
特開2014−005442号公報 特開2017−042157号公報 特開2016−185998号公報 特開2015−193776号公報 特開平4−65493号公報
食用油脂をフライ(油ちょう)などの長時間加熱調理に用い、油脂が劣化してくると、食材を食用油脂に投入した際の泡立ちが消えにくくなる現象が生じる。フライなどの加熱調理時の消えにくい小さい泡の発生は好ましいものではなく、泡立ちが抑制された食用油脂を開発することは重要な技術課題である。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、加熱調理の際の持続性のある泡立ちが抑制された食用油脂を開発することである。
本発明者は、食用油脂の精製工程に着目して鋭意検討したところ、水蒸気を用いた脱臭時の真空度を高くした上で処理温度を低くすることによって、水蒸気の量が少なくても優れた食用油脂が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、これに限定されるものではないが、下記の発明を包含する。
(1) 加熱調理用の食用油脂を製造する方法であって、水蒸気を用いた脱臭工程において、温度が195〜235℃、真空度が1.2〜2.4Torrの条件で、食用油脂に対して3質量%以下の水蒸気を用いて食用油脂を処理する工程を含む、上記方法。
(2) 前記食用油脂がフライ油である、(1)に記載の方法。
(3) 前記食用油脂が、菜種油および/または大豆油を含む、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 1.4〜2.1Torrで食用油脂を処理する、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 食用油脂に含まれる油脂重合物量が、基準油脂分析試験法に基づいて測定した場合、0.25〜0.33%である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 加熱調理における食用油脂の泡立ちを抑制する方法であって、温度が195〜235℃、真空度が1.2〜2.5Torrの条件で、食用油脂に対して3質量%以下の水蒸気を用いて処理した食用油脂を用いることを含む、上記方法。
本発明によれば、加熱調理の際の泡立ちが抑制された食用油脂を製造することができる。また、本発明に基づいて比較的穏やかな条件で食用油脂を水蒸気処理することによって、加熱調理時のにおい、および常温における風味に優れた食用油脂を得ることができる。
図1は、実施例におけるフライ時の泡立ちを評価する実験の写真である(左:泡立ちなし、右:泡立ちあり)。
加熱調理用の食用油脂
本発明に係る食用油脂は、加熱調理に用いられるものである。本発明において加熱調理とは、食材に熱を加えて調理することを意味し、例えば、揚げる、炒める、蒸す、焼く、炊く、電子レンジ調理などの調理法が挙げられる。好ましい態様において、本発明に係る油脂組成物を用いて食材をフライ(油ちょう)や炒め調理することができる。本発明によれば、加熱調理後の食品における風味を良好にすることができる。
本発明に係る油脂組成物は、好ましくはフライ(油ちょう)に用いられる油脂組成物(フライ油)である。本発明においてフライとは、比較的多量の食用油脂を熱媒として使用する加熱調理方法をいい、日常的に幅広く用いられるものである。本発明に係る油脂組成物は、衣をつけてフライするような場合はもちろん、衣がないような素揚げに用いることもできる。フライした食品としては、例えば、天ぷら、から揚げ、とんかつ、コロッケ、さつま揚げ、即席麺、揚げせんべい、かりんとう、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツなどを挙げることができる。フライ調理を実施する場所は、一般家庭はもちろん、スーパーマーケットなどの店舗のバックヤード、大規模な食品工場など、多くの場所が挙げられる。本発明に係る油脂組成物を食品工場などにおいて連続して使用する場合、フライ作業終了後に、揚げ種に吸収されて減少した分の油を継ぎ足しながら使用することができる。
また、本発明に係る油脂組成物は、炒め調理に用いられる油脂組成物(炒め油)としてもよい。炒め調理の態様は特に限定されないが、例えば、フライパンや中華鍋、炒め釜、回転釜などの調理器具に油脂組成物(炒め油)を添加し、加熱して食材を調理することができる。炒め調理に用いる食材は特に制限されないが、例えば、キャベツ、ホウレンソウ、コマツナ、ナス、インゲン、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、ジャガイモなどの野菜類、マイタケ、シメジなどのきのこ類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの獣肉類、スズキ、タラ、タコ、イカ、エビ、貝類などの魚介類、パスタ、中華麺などの麺類、米飯類などを挙げることができる。これらの食材は、必要に応じて調理前に下茹で、あく抜きなどの下処理をしておくことができる。炒め調理した食品としては、例えば、野菜炒め、炒飯、焼きそばなどを挙げることができる。
本発明に係る油脂組成物を、オーブンや電子レンジなどの加熱調理に用いる場合、例えば、油脂組成物を予め食材に付着させてから加熱調理することができる。
本発明に係る食用油脂は、特に限定されるものではなく、植物由来であるか、動物由来であるか、また、合成品であるかも問わない。本発明によれば、1種類の油脂からなる油脂組成物としてもよいし、複数の油脂を含んでなる油脂組成物であってもよい。食用油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、綿実油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、オリーブ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ脂、藻類油などを単独または組み合わせて使用することができる。好ましい食用油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、パーム油、オリーブ油、ゴマ油などの植物油を挙げることができる。また、水素添加油脂、グリセリンと脂肪酸のエステル化油、エステル交換油、分別油脂なども適宜使用することができる。さらに、遺伝子組換えの技術を用いて品種改良した植物から抽出したものであってもよい。
本発明に係る食用油脂は、好ましい態様において油脂重合物量が0.25〜0.33%であり、より好ましくは0.28〜0.32%である。また、本発明に係る食用油脂は、油脂100gあたりのトランス脂肪酸が0.41g以下であることが好ましく、0.36g以下がより好ましく、0.31g以下がさらに好ましい。
本発明に係る食用油脂には、必要に応じて通常用いられる添加剤を添加することができる。前記添加剤としては、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温下での結晶抑制等を目的としたものであって、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、茶抽出物、コエンザイムQ、オリザノール等の抗酸化剤、β−カロテン等の色素、香料、シリコーンなどが挙げられる。本発明の油脂組成物は、乳化剤等の添加剤が添加されていてもよく、乳化剤等の添加剤が無添加でもよい。
食用油脂の製造
一般に、菜種油や大豆油などをはじめとする食用油脂については、脱臭などを目的として高温で油脂を処理することが知られている。本発明においては、一般的な脱臭工程よりも低温かつ真空度を高めた条件で食用油脂に水蒸気を吹込み、処理する。
本発明においては、食用油脂と水蒸気とを接触させる。加熱処理の温度は235℃以下であるが、好ましくは230℃以下、より好ましくは225℃以下である。また、加熱処理の温度は195℃以上であり、好ましくは205℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは215℃以上である。さらに、本発明においては、2.4Torr以下の真空度、好ましくは2.1Torr以下の真空度、より好ましくは2.0Torr未満の真空度で食用油脂を処理する。また、1.0Torr以上の真空度、好ましくは1.2Torr以上の真空度で食用油脂を処理する。このような温度と真空度で食用油脂を処理することによって、処理後の食用油脂について、加熱調理時の泡立ちを抑制することができる。ここで、本発明における「真空度」は、絶対圧基準で表記される。この値は、絶対真空をゼロとして、理想的な真空の状態(絶対真空)にどの程度接近しているかを示す。
本発明において水蒸気による食用油脂の処理時間は、30〜100分間が好ましく、35〜80分間がより好ましく、40〜70分間がさらに好ましい。処理時間は、連続していても不連続であってもよいが、エネルギー効率の観点から連続していることが好ましい。
本発明において吹込む水蒸気量は、食用油脂に対して3.0質量%以下であり、2.8質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。また、吹込む水蒸気量は、食用油脂に対して1.0質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。本発明は、少ない水蒸気によって効率的に食用油脂を処理できるため好適なものである。水蒸気量が多いと、高真空状態を保つことが難しくなり、また、生産歩留りも悪化してしまうのに対して、本発明によれば、そのようなデメリットを避けることができる。
本発明において水蒸気を用いた処理は、公知の装置を用いて実施することができる。具体的な装置としては、バッチ式、半連続式、連続式等の型が知られる。また、構造に応じて、ガードラー式、キャンプロ式、キャンプロ−ミウラ式などの各種装置が脱臭装置として知られており、本発明においては、いずれの型の装置を使用してもよい。
ガードラー式脱臭装置は、シェルと呼ばれる、縦型円筒形の真空塔の中に、トレイが設けられているという構造を有する。脱臭装置中には複数のトレイが具備されており、各トレイには通常、水蒸気が吹込まれる。脱臭装置内に導入された油脂は、減圧下で加熱され、水蒸気と接触しながら処理される。処理された油脂は接触工程後のトレイで冷却され、回収される。
キャンプロ式またはキャンプロ−ミウラ式の脱臭装置には、トレイ内において、並行に向かい合うように立てられた2枚の薄版のセットの集合が備えられている。また、当該薄板の下端には水蒸気吹込み管が設けられている。薄板の下端を油脂へ浸し、減圧下で加熱して水蒸気を吹込むと、油脂が水蒸気とともに薄板表面に広がって薄膜を形成し、その間に油脂が処理される。キャンプロ式またはキャンプロ−ミウラ式の脱臭装置のいずれのトレイにも通常、水蒸気が吹込まれる。
本発明においては、各種の脱臭装置のうち、ガードラー式、キャンプロ式、キャンプロ−ミウラ式の脱臭装置を、以下、「トレイ式脱臭装置」と呼ぶ。本発明における「トレイ式脱臭装置」には、規則充填材を具備した薄膜式カラムを備える、カラム式の脱臭装置は含まれない。風味が良好な油脂を得られやすいという点で、本発明においてはトレイ式脱臭装置を使用することが好ましい。
本発明において使用できるトレイ式脱臭装置のうち、ガードラー式脱臭装置としては、特に限定されないが、真空塔がトレイによって区切られたシングルシェル型の装置、真空塔の中にさらに複数のシェルが組み込まれ、当該複数のシェルそれぞれがトレイの役割を果たしているダブルシェル型の装置、およびシングルシェル型とダブルシェル型とを組み合わせたコンビネーションシェル型の装置等が挙げられる。
本発明において使用できるトレイ式脱臭装置のうち、キャンプロ式またはキャンプロ−ミウラ式の脱臭装置としては、特に限定されないが、トレイが横に並んだタイプの装置や、トレイが縦に並んだタイプの装置等が挙げられる。
本発明に係る食用油脂は、水蒸気を用いた上述の工程以外は、一般的な工程によって製造することができる。例えば、種子などの原料に対して圧搾または/および溶剤抽出を行うことで採油する工程(圧搾または/および溶剤抽出を行う場合、各採油工程で得られた油脂を混合してもよい)、得られた油脂に対して脱ガム工程、脱酸工程、脱色工程などが挙げられる。本発明に係る食用油脂は、複数の原料から調製してもよい。その場合、混合および撹拌は、油脂を加温した状態で実施してもよい。また、混合および攪拌は、加圧、減圧、常圧下で実施することが可能であり、ある態様では常圧下で混合が行われる。
本発明に係る食用油脂を製造する装置は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、加熱用のジャケットなどを備えた加温可能な攪拌槽、邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合装置を用いることができる。回転数、攪拌時間などの撹拌条件は、原材料が均一に混合されれば、特に制限されない。攪拌機における攪拌翼の形状は特に制限されないが、例えば、プロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型またはいかり型などとすることができる。
一つの態様において、本発明は、上述の食用油脂を用いて加熱調理することを含む食品の製造方法であり、また別の態様において、本発明は、上述の食用油脂を用いて加熱調理した食品である。
以下、具体的な実験に基づいて本発明をより詳細に説明するが、以下に説明する具体例は、本発明の代表的な例を示したものであり、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
また、特に記載しない限り、本明細書において、濃度などは質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1:食用油脂の製造と評価(大豆油)
脱色大豆油(昭和産業)を、下表に記載の脱臭条件で処理して精製大豆油を得た。すなわち、クライゼンフラスコ(容量:3L)に脱色大豆油1kgを張り込み、油脂に対して2w/w%相当の水分を水蒸気として吹込み、60分間、バッチ式で減圧下にて水蒸気で処理した。
水蒸気で処理した食用油脂について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(酸価)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法 2.3.1−2013 酸価」に準拠して測定した。
(油脂重合物)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法 2.5.7−2013 油脂重合物(ゲル浸透クロマトグラフ法)」に準拠して、食用油脂に含まれる油脂重合物を測定した。
(酸化安定指数)
AOCS Official Method Cd 12b−92に準拠し、酸化安定度試験装置(オムニオン社製)を用いて酸化安定指数(OSI)測定した。数値(時間)が大きいほど、酸化安定性が良好であることを意味する。
(トコフェロールの含有量)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法 2.4.10−2013 トコフェロール(蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法)」に準拠して、食用油脂に含まれるトコフェロールを定量した。
(トランス脂肪酸の含有量)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法 2.4.4.3−2013 トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)」に準拠して、食用油脂に含まれるトランス脂肪酸を定量した。
(色相)
日本油化学協会編「基準油脂分析試験法 2.2.1.1−2013(ロビボンド法)」に準拠して、食用油脂の色を評価した。ロビボンド比色計を用いて評価した標準色ガラスの値に基づいて「Y(黄)+R(赤)×10」の値を算出した。
(フライ時の泡立ち)
(a) 食用油脂500gを鍋(ステンレス製、直径:約23cm)に入れ、180℃まで加熱する。
(b) 180℃に到達後、1つの小麦粉団子を投入し、3分間フライする。ここで、この実験における小麦粉団子は、小麦粉(「月桂冠」、昭和産業)と蒸留水を2:1の重量比で混合し、混捏して作製する。中央を少し凹ませた形状であり、小麦粉団子1つあたりの重量は約75gである。
(c) 温度を180℃に維持し、1時間後にふたたび小麦粉団子を3分間フライする。
(d) cの操作を5回繰り返し、フライ開始から5時間後における泡立ちを評価した。具体的には、鍋における油脂の表面積に対する持続性のある小さい泡の占める面積割合を評価する(図1参照)。例えば、小麦粉団子を投入した後、油脂表面の約80%を占める泡立ちが発生した場合、80と評価する。
(におい・風味)
サンプルの食用油脂について、180℃に加熱した際のにおい(加熱臭)を1〜7の7段階で官能評価した。評価は、13人の専門パネルで行い、評価結果は評価点の平均値で示した。評価基準は下記のとおりであり、数値が大きい程、加熱した際のにおいが良好である。
7点:非常に良好、6点:良好、5点:やや良好、4点:普通、3点:異臭や刺激臭が感じられ、やや劣る、2点:異臭や刺激臭があり、劣る、1点:異臭や刺激臭が強く、非常に劣る
また、サンプルの食用油脂を口に含み、常温における風味(冷時風味)を1〜7の7段階で官能評価した。評価は、13人の専門パネルで行い、評価結果は評価点の平均値で示した。評価基準は下記のとおりであり、数値が大きい程、常温における風味が良好である。
7点:非常に良好、6点:良好、5点:やや良好、4点:普通、3点:異質な風味が感じられ、やや劣る、2点:異質な風味があり、劣る、1点:異質な風味が強く、非常に劣る
実験2:食用油脂の製造と評価(菜種油)
原料として脱色菜種油(昭和産業)を用いた以外は、実験1と同様にして、精製菜種油を製造した。具体的な処理条件は下表のとおりである。
次いで、製造した食用油脂について、実験1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
上記の実験結果から明らかなように、本発明に基づいて食用油脂を減圧下で水蒸気処理することによって、フライ時の泡立ちを抑制することができた。
本発明によれば、比較的低温で油脂を処理するため、食用油脂を製造する際の熱履歴を緩和することができた。また本発明によれば、比較的低温で油脂を処理しているにもかかわらず、高温(250℃)で処理した場合と同様ににおいおよび風味に優れた食用油脂を得ることができた。

Claims (6)

  1. 加熱調理用の食用油脂を製造する方法であって、
    水蒸気を用いた脱臭工程において、温度が195〜235℃、真空度が1.2〜2.4Torrの条件で、食用油脂に対して3質量%以下の水蒸気を用いて食用油脂を処理する工程を含む、上記方法。
  2. 前記食用油脂がフライ油である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記食用油脂が、菜種油および/または大豆油を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 1.4〜2.1Torrで食用油脂を処理する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 食用油脂に含まれる油脂重合物量が、基準油脂分析試験法に基づいて測定した場合、0.25〜0.33%である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 加熱調理における食用油脂の泡立ちを抑制する方法であって、
    温度が195〜235℃、真空度が1.2〜2.5Torrの条件で、食用油脂に対して3質量%以下の水蒸気を用いて処理した食用油脂を用いることを含む、上記方法。
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