JP2016121605A - 車両の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
Description
エンジンから排出された排ガスは、排気通路を経てケーシングの上流側内に導入され、前段酸化触媒を経てDPFフィルタを流通する際に含有している粒子状物質が捕集される。その後、排ガスは噴射ノズルから尿素水溶液が噴射され、尿素水溶液は排ガスに混合及び拡散・霧化し加水分解されてNH3を生成する。そして、生成されたNH3によりSCR触媒で排ガス中のNOxが無害なN2に還元されてNOxの浄化が行われる一方、このとき残ったNH3が後段酸化触媒によりN2に変換されて排出される。
しかし、排気ガスの温度が低い運転条件の下では、粒子状物質の燃焼がなされず、連続再生ができないため、強制再生が行われる。強制再生手段は、走行中に燃料のポスト噴射、あるいはバーナや電気ヒータによってフィルタを加熱し、強制的にフィルタに堆積した粒子状物質を酸化(燃焼)してフィルタを再生する手段である。
また、特許文献1では、還元剤噴射部としての還元剤噴射弁の温度などを検出し、この検出値などから還元剤の固化有無を推定しているので、固化有無の判定精度はあまり高くない。さらに排ガス温度が低いエンジンの始動時にDPFフィルタの再生を行うので、DPFフィルタの昇温が遅く再生時間が長くなり、エンジンの燃費を低下させるおそれがあるという問題がある。
また、還元剤の固化を検出する精度を向上させることを目的とする。さらに、排ガス温度が高い運転中に強制再生を行うことで、再生時間を短縮し、燃費を向上できるようにすることを目的とする。
(1)エンジンの排気路に上流側から順に設けられた粒子状物質を捕集するためのフィルタ、還元剤噴射部、及びNOX還元触媒と、
前記還元剤噴射部に接続された還元剤供給路と、
前記還元剤供給路に設けられた加圧気体供給部と、
前記加圧気体供給部から前記還元剤供給路に供給される加圧気体の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記還元剤供給路に供給された加圧気体の圧力を検出する圧力センサと、
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質を強制的に酸化除去して前記フィルタを再生する強制再生手段と、
前記圧力センサで検出された圧力が閾値以上になったとき、前記強制再生手段により前記フィルタを強制再生するための制御装置と、を備えている。
また、エンジン停止時だけでなく、車両の走行中でも固化及び詰まりを検出でき、車両走行中に排ガス温度が高い状態で強制再生を行うことができるので、エンジンの燃費を向上できる。
また、加圧気体を還元剤に混合して排気通路に噴射するので、還元剤を排ガスに均一に混合でき、排気浄化能力を高めることができる。そのため、排ガス量が多い中大型車両でも適用可能である。
(2)前記制御装置は、
車両の走行中前記フィルタの強制再生が行われているかを判定する判定手段を有し、前記強制再生が行われていると判定したとき、前記圧力センサで前記加圧気体の圧力を検出するものである。
前記構成(2)によれば、前記判定手段により前記フィルタの強制再生が行われていることを確認した後、加圧気体の圧力検出を行い、圧力検出値が前記閾値未満であれば、強制再生は不要になり、余分な操作をしないで済む。また、排ガス温度が高い車両走行中に行うことで、強制再生時間を短縮でき、燃費を向上できる。
(3)前記制御装置は、
前記強制再生後、前記圧力センサの検出値が前記閾値未満であり、かつ排ガス温度が閾値未満となった後、前記還元剤の噴射を再開させるものである。
強制再生後、圧力センサの検出値が前記閾値未満になったとしても、排ガス温度が高い状態で還元剤を噴射すると、還元剤噴射部で還元剤が濃縮し、再び還元剤噴射部が閉塞するおそれがある。
前記構成(3)によれば、排ガス温度が閾値(例えば300〜350℃)以下になったら、還元剤の噴射を再開するので、再び還元剤噴射部が閉塞するおそれはなくなる。
(4)前記制御装置は、
設定間隔で前記圧力センサによる前記加圧気体の圧力を検出し、
前記圧力センサの検出値が閾値未満のとき、前記強制再生を行わせないものである。
前記構成(4)によれば、設定間隔で還元剤供給路の加圧気体の圧力を検出することで、還元剤噴射部の閉塞時期及び閉塞解除時期を早期に把握できる。そのため、速やかに連続再生に戻ることができ、エンジンの燃費低下を抑えることができる。
(5)前記制御装置は、
車両の走行中前記圧力センサの検出値が閾値を超えたとき、前記圧力調整手段によって前記還元剤供給路に供給される前記加圧気体にパルス状の圧力を付加するパルシング制御を行い、
前記パルシング制御で前記還元剤噴射部の閉塞を解消できないとき、前記強制再生手段による強制再生を行うものである。
前記構成(5)によれば、前記パルシング制御を行うことで、還元剤噴射部の閉塞を解消し、前記パルシング制御でも還元剤噴射部の閉塞を解消できないときは、強制再生を行う。これによって、還元剤噴射部の閉塞を確実に解消できる。
(6)前記制御装置は、
前記パルシング制御を行った後、前記加圧気体の圧力が前記閾値以上のとき、前記還元剤供給路に供給される前記加圧気体にパージ圧を付加するパージ制御を行い、
前記パージ制御で前記還元剤噴射部の閉塞を解消できないとき、前記強制再生手段による強制再生を行うものである。
さらに、還元剤を供給する輸送媒体として加圧気体を用いているので、前記パルシング制御及び前記パージ制御が容易になり、かかるパルシング制御及びパージ制御を用いることで、還元剤噴射部の固化及び該固化による閉塞を容易に解消できる。
(7)前記圧力センサの検出値が前記閾値を超えたとき警告を発するための警告手段を備え、
前記制御装置は、
前記強制再生手段による強制再生を行った後、前記加圧気体の圧力が前記閾値以上のとき、前記警告手段を作動させるものである。
前記構成(7)によれば、前記強制再生手段によっても還元剤噴射部の閉塞を解消できないときは、前記警告手段を作動させることで、運転者にPM堆積量の異常を注意喚起し、別な対策を講じさせることができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1において、ディーゼルエンジン10は、トラックやバスなどの車両に搭載され、直列6気筒エンジンであり、燃焼室に燃料噴射を行うためのインジェクタ12が各気筒に設けられている。燃料はコモンレール14から各インジェクタ12に供給される。そして、各インジェクタ12に設けられた電磁バルブ(不図示)の開時期や開時間がECU(エンジン・コントロール・ユニット)(制御装置)90で演算された燃料噴射時期や燃料噴射量に基づいて制御される。
ECU90は、燃料の主噴射制御に加え、DPFフィルタ36の強制再生を行うため、主噴射後の膨張工程や排気工程でさらに追加の燃料をインジェクタ12から噴射させる追加燃料噴射(ポスト噴射)の制御も行う。即ち、ECU90は強制再生手段としても機能する。
従って、吸気iは吸気管18、インタークーラ20、及び吸気マニホールド16を順に流れて、ディーゼルエンジン10の燃焼室に吸入される。
ディーゼルエンジン10には、NOxの低減を目的として排ガス再循環装置30が設けられている。排ガス再循環装置30は、排気マニホールド24から吸気マニホールド16へと通じる再循環管32と、再循環管32の入口側に設けられたEGR弁34と、EGR弁34の下流側に設けられたEGRクーラ36とを備えている。
前段酸化触媒44及び後段酸化触媒50は、共に触媒担体に酸化触媒成分が担持されている。前段酸化触媒44は排気ガス中のNOを高活性なNO2に酸化する。このNO2により、低排気ガス温度(例えば、250℃程度)からDPFフィルタ46に堆積した粒子状物質を酸化除去できる(連続再生)。
前段酸化触媒44は必ずしも設ける必要はなく、前段酸化触媒44を設けず、DPFフィルタ46に酸化触媒を担持させるようにしてもよく、あるいは前段酸化触媒44を設け、かつDPFフィルタ46に酸化触媒を担持させるようにしてもよい。
後段酸化触媒50は、強制再生時に生じるCOを酸化して無害化する。
また、加圧気体(例えば加圧空気)が内蔵された加圧タンク62が設けられ、加圧タンク62には管路64が接続され、管路64には管路64を流れる加圧気体の圧力を調整可能な圧力調整ユニット(圧力調整手段)65が設けられている。管路64は圧力調整ユニット65の下流側で分岐管路66a及び66bに分岐し、分岐管路66aは還元剤サプライユニット58に導設され、分岐管路66bは還元剤ドージングユニット56に導設されている。
還元剤ドージングユニット56の加圧気体流路に、加圧気体の圧力を検出する圧力センサ70が設けられている。
また、運転室内のインストルメントパネル82には、圧力センサ70の検出値が閾値以上となったとき、運転者に警報を発する警報ランプ84が設けられている。
図3において、通常走行中(S10)、還元剤ドージングユニット56に設けられた圧力センサ70で分岐管路66bを流れる加圧空気の圧力を検出する。この検出値が閾値以上のとき(S12)、還元剤噴射ノズル52に還元剤の固定又は該固定による詰まりが発生したとみなし、ECU90で圧力調整ユニット65を作動させ、管路64を流れる加圧空気の圧力がパルス状となるように管路64の開閉を制御する(パルシング制御/S14)。
さらに、管路64を流れる加圧空気の圧力を検出し、この圧力値が前記閾値以上のとき、ECU90から強制再生指令が発せられ(S22)、強制再生を開始する(S24)。
さらに、管路64を流れる加圧空気の圧力を検出し、この圧力値が閾値Ps未満のとき、S10に戻り、閾値Ps以上のとき(S28)、還元剤の固化又は該固化による詰まりが解消しないとみなし、警報ランプ84が点灯され、運転者に注意喚起する(S30)。
図4において、通常走行中(S10)、各センサ46a〜46bの検出値に基づいて、強制再生判定部90aは、強制再生が行われているか否かを判定する(S32)。強制再生が行われていると判定したとき、設定時間tだけ経過した後(S33)、図3に示すS28以降の工程を行う。強制再生が行われていないと判定したとき、図3のS12以降の手順を行う。
この排ガス浄化手順は、図3の工程中、圧力センサ70の検出値が閾値Ps未満のとき(S28)、温度センサ46cで検出した排ガス温度が閾値TO未満であるかどうかを確認する。排ガス温度が閾値TO未満のとき(S34)、還元剤の噴射を再開し(S36)、S10に戻る。
図6において、通常走行中(S10)、設定時間間隔Δtの間隔で還元剤供給管54を流れる加圧空気の圧力を検出し、該圧力値が閾値Ps未満かどうかを確認する(S38)。該圧力値が閾値Ps以上のとき、図3に示す工程のS14以降を行う。
また、エンジン停止時だけでなく、車両の走行中でも固化及び詰まりを検出でき、車両走行中に排ガス温度が高い状態で強制再生を行うことができるので、エンジンの燃費を向上できる。
また、加圧空気を尿素水溶液に混合して排気管28に噴射するので、尿素水溶液を排ガスに均一に混合でき、排気浄化能力を高めることができる。そのため、排ガス量が多い中大型車両でも適用可能である。
また、図5に示す操作手順によれば、強制再生で加圧空気圧が閾値Ps未満となった後、排ガス温度が閾値TO未満となった状態で還元剤噴射ノズル52の還元剤噴射を再開させるので、還元剤噴射ノズル52の閉塞のおそれなく、還元剤の噴射を再開できる。
また、図3に示す操作手順によれば、車両の走行中、圧力センサ70の検出値が閾値Ps以上のとき、パルシング制御及びパージ制御を行い、これでも還元剤噴射ノズル52の閉塞が解消できないときは、強制再生を行うので、還元剤噴射ノズル52の閉塞を確実に解消できる。
さらに、強制再生によっても還元剤噴射ノズル52の閉塞が解消できないとき、運転室のインストルメントパネル82に設けられた警報ランプ84が点灯して運転者に注意換気するので、還元剤噴射ノズル52の閉塞状態を解消する別な処理を講じることができる。
12 インジェクタ
14 コモンレール
16 吸気マニホールド
18 吸気管
20 インタークーラ
22 排気ターボチャージャ
22a 排気タービン
22b コンプレッサ
24 排気マニホールド
26 排気シャッタ
28 排気管
30 排ガス再循環装置
32 再循環管
34 EGR弁
36 EGRクーラ
40 排ガス浄化装置
42 HCドージングノズル
43 DPFマフラ
44 前段酸化触媒
46 DPFフィルタ
47 SCRマフラ
46a、70 圧力センサ
46b 差圧センサ
46c、46d、72 温度センサ
48 NOX還元触媒
50 後段酸化触媒
52 還元剤噴射ノズル
54 還元剤供給管
56 還元剤ドージングユニット
58 還元剤サプライユニット
60 還元剤タンク
62 加圧タンク
64 管路
65 圧力調整ユニット
66a、66b 分岐管路
70、74 圧力センサ
76、78 ヒータ
80 還元剤ドージング弁
82 インストルメントパネル
84 警報ランプ
90 ECU
90a 強制再生判定部
i 吸気
e 吸気
Claims (7)
- エンジンの排気路に上流側から順に設けられた粒子状物質を捕集するためのフィルタ、還元剤噴射部、及びNOX還元触媒と、
前記還元剤噴射部に接続された還元剤供給路と、
前記還元剤供給路に設けられた加圧気体供給部と、
前記加圧気体供給部から前記還元剤供給路に供給される加圧気体の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記還元剤供給路に供給された加圧気体の圧力を検出する圧力センサと、
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質を強制的に酸化除去して前記フィルタを再生する強制再生手段と、
前記圧力センサで検出された圧力が閾値以上になったとき、前記強制再生手段により前記フィルタを強制再生するための制御装置と、を備えていることを特徴とする車両の排気浄化装置。 - 前記制御装置は、
車両の走行中前記フィルタの強制再生が行われているかを判定する判定手段を有し、前記強制再生が行われていると判定したとき、前記圧力センサで前記加圧気体の圧力を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の車両の排気浄化装置。 - 前記制御装置は、
前記強制再生後、前記圧力センサの検出値が前記閾値未満であり、かつ排ガス温度が閾値未満となった後、前記還元剤の噴射を再開させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の排気浄化装置。 - 前記制御装置は、
設定間隔で前記圧力センサによる前記加圧気体の圧力を検出し、
前記圧力センサの検出値が閾値未満のとき、前記強制再生を行わせないものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の排気浄化装置。 - 前記制御装置は、
車両の走行中前記圧力センサの検出値が閾値を超えたとき、前記圧力調整手段によって前記還元剤供給路に供給される前記加圧気体にパルス状の圧力を付加するパルシング制御を行い、
前記パルシング制御で前記還元剤噴射部の閉塞を解消できないとき、前記強制再生手段による強制再生を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の車両の排気浄化装置。 - 前記制御装置は、
前記パルシング制御を行った後、前記加圧気体の圧力が前記閾値以上のとき、前記還元剤供給路に供給される前記加圧気体にパージ圧を付加するパージ制御を行い、
前記パージ制御で前記還元剤噴射部の閉塞を解消できないとき、前記強制再生手段による強制再生を行うものであることを特徴とする請求項5に記載の車両の排気浄化装置。 - 前記圧力センサの検出値が前記閾値を超えたとき警告を発するための警告手段を備え、
前記制御装置は、
前記強制再生手段による強制再生を行った後、前記加圧気体の圧力が前記閾値以上のとき、前記警告手段を作動させるものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両の排気浄化装置。
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