JP2016121314A - 耐摩耗剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶、車両などの内燃機関の様々な機器に用いられている摺動部材用の、耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系被膜を与える耐摩耗剤の提供。【解決手段】下式で表される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル等の脂環式2官能エポキシ及び光酸発生剤である重合開始剤を含有耐摩耗剤1。さらにレベリング剤、好ましくはシリコンレベリング剤を含有し、そのレベリング剤を前記エポキシ100質量部に対して0〜5質量部含有する耐摩耗剤。【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗剤に関し、さらに詳しくは耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系被膜を与え得る耐摩耗剤に関する。
従来から、船舶、車両などの内燃機関では様々な機器に摺動部材が用いられている。これらの摺動部材について、摩擦係数を低減してエネルギー損失を減らし、地球環境の保護のためのCAFE規制などに対応すべく、様々な開発が進められてきた。
このため、摺動部材として様々な開発が進められ、それらの中で良好な耐摩耗性を有する摺動部材として、被膜としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いたDLC系摺動部材が提案された。
例えば、特許文献1には、鉄鋼で形成された摺動面に、ダイヤモンドライクカーボンからなる固体潤滑剤被膜を有する摺動部材において、前記摺動面と固体潤滑剤被膜との間に、珪素、珪素化合物又はWとSとOとからなる化合物で構成される中間層を設けた摺動部材が記載されており、具体例として炭素をターゲットとしたマグネトロンスパッタリング法によりW−S−O膜表面にDLC膜を形成した摺動部材が示されている。
しかし、前記の従来技術によっては、DLC被膜の形成のために物理的蒸着法を必要とするため生産性が低く高コストが避けられなかった。
特開平7−41779号公報
従って、本発明の目的は、耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系被膜を与え得る耐摩耗剤を提供することである。
本発明は、脂環式2官能エポキシおよび重合開始剤を含有することを特徴とする耐摩耗剤に関する。
本発明によれば、耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系被膜を与え得る耐摩耗剤を得ることができる。
図1は、本発明の実施態様の耐摩耗剤の適用例を示す断面模式図である。
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1) 前記脂環式2官能エポキシが、式
Figure 2016121314
で示される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルである前記の耐摩耗剤。
2) 前記樹脂層が、さらにレベリング剤を含有する前記の耐摩耗剤。
3) 前記レベリング剤が、シリコンレベリング剤である前記の耐摩耗剤。
4) 前記レベリング剤の割合が、エポキシ100質量部に対して0〜5質量部である前記の耐摩耗剤。
5) 前記重合開始剤が、光酸発生剤である前記の耐摩耗剤。
以下、図面を参照して本発明を詳説する。
本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用した摺動部材10は、図1に示すように、金属基材2の摺動面上に形成されたエポキシ樹脂下塗りプライマー層3と、前記下塗りプライマー層上に形成された被膜1とを有し、前記被膜が2官能型脂環式エポキシおよび重合開始剤を含有する耐摩耗剤層を硬化して形成されてなる。
本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用した摺動部材は、前記の構成によって、実施例の結果から分るように、油塗布条件下、高温で使用される金属部品(金属基材)に塗布して耐摩耗性に効果がある。
このことは、本発明の範囲外の多官能アクリレート樹脂系耐摩耗剤を適用した摺動部材と比較して全く予想外のことである。
本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用した摺動部材が良好な耐摩耗性能を有する理論的な解明は十分にはなされていないが、エポキシ樹脂下塗りプライマー層と、脂環式2官能エポキシおよび重合開始剤を含有する耐摩耗剤層、あるいは脂環式2官能エポキシ、重合開始剤およびレベリング剤を含有する耐摩耗剤層を硬化して形成されてなる被膜との組み合わせによる効果と考えられる。
前記の本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用した摺動部材において、金属基材としては、通常、金属、例えばアルミニウム製又は鉄製であり得る。前記アルミニウムおよび鉄としては単一金属であってもよいが他の金属を含む合金であってもよい。
本発明の耐摩耗剤は、金属基材がアルミニウムである場合に特に効果がある。
前記エポキシ樹脂下塗りプライマー層は、金属基材にエポキシ樹脂下塗りプライマーを塗布、加熱して形成され得る。前記エポキシ樹脂下塗りプライマー層の厚みは、好適には0.2〜5μmの範囲、例えば0.2〜3μmの範囲、典型的には約2μmであり得る。
前記のエポキシ樹脂下塗りプライマーとしては、前記下塗りプライマー層上に形成される被膜との親和性および耐熱性が良好なプライマー層を与え得る主成分としてのエポキシ樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリコールエーテル型エポキシ樹脂、グリコールエーテル型エポキシ樹脂など、硬化開始剤、例えばカチオン硬化開始剤、イミダゾール類、ヒドラジドン類、酸無水物、液状フェノール、芳香族アミン類又はアミン類のエポキシアダクト型アミン系化合物など、および溶剤、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなど、さらに場合により無機粉末、例えばシリカ、酸化チタン、ワラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム等を混合した下塗りプライマーが挙げられる。
前記のエポキシ樹脂下塗りプライマーとしては、市販品を用いることができ、例えばFCプライマーAL、FCプライマーEPあるいはレイマジック07(以上、カナエ塗料株式会社製)などを単独であるいは2種以上を混合して用い得る。
エポキシ樹脂下塗りプラーマーを金属基材に塗布し、加熱して、エポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成し得る。
本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用する場合、被膜は、2官能型脂環式エポキシおよび重合開始剤を含有する耐摩耗剤層、あるいは脂環式2官能エポキシ、重合開始剤およびレベリング剤を含有する耐摩耗剤層を硬化して形成されてなり、好適には10〜75μmの範囲、例えば15〜50μmの範囲、典型的には約40μmの厚みを有し得る。
前記脂環式2官能エポキシとしては、下記式
Figure 2016121314
[式中、Rは、直接結合又は式−CH−COO−、−(CH−COO−、−(CH−COO−、−(CH−COO−、−CH−COO−CH−OOC−CH−、−(CH−COO−CH−OOC−(CH−、−(CH−COO−CH−OOC−(CH−、−(CH−COO−(CH−OOC−(CH−のカルボキシアルキレン基である。]
で示されるエポキシが挙げられる。
前記脂環式2官能エポキシとして、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、 ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシル、1,2,5,6−ジエポキシヘキサヒドロインダンなど、好適には3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルが挙げられる。前記脂環式2官能エポキシは、取扱いの容易さ、混合性の観点から室温で液状であるものが好ましい。
前記重合開始剤としては、カチオン重合開始剤、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤などが挙げられる。
前記重合開始剤の割合は、重合開始剤の種類によって異なり、エポキシ100質量部に対して、カチオン重合開始剤では0.01〜10質量部の範囲、例えば0.1〜5質量部が好ましく、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤又は過硫酸塩開始剤では0.1〜20質量部の範囲、例えば0.1〜10質量部が好ましい。
前記カチオン重合開始剤としては、熱や光により重合開始剤が分解してルイス酸あるいはブレンステッド酸を発生する熱酸発生開始剤あるいは光酸発生開始剤が挙げられ、特に光酸発生開始剤が好適である。
前記熱酸発生開始剤としては、カチオン部が、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホキソニウム塩等の錯体イオン等とアニオン部が、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)等との組み合わせからなるオニウム塩型酸発生剤が挙げられる。
前記熱酸発生開始剤としては、市販品を用いることができ、例えば、CI−2624、CI−2855(以上、日本曹達株式会社)、SI−60、SI−60L、SI−80、SI−80L、SI−100、SI−100L、SI−145、SI−150、SI−160、SI−180、SI−180L(以上、三新化学株式会社)TA−90、TA−100、TA−120、TA−160、IK−1、IK−2(以上、サンアプロ株式会社)、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(以上、株式会社ADEKA)などが挙げられる。
前記光酸発生開始剤としては、カチオン部が、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、チオキサントニウム塩、セレノニウム塩、チアンスレニウム塩、鉄錯体塩等の錯体イオンとアニオン部が塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、テトラフルオロボレート(BF4 )、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 )、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 )等とのオニウム組み合わせからなるオニウム塩型酸発生剤が挙げられる。
前記光酸発生開始剤としては、市販品を用いることができ、例えば、CD1010(サートマー社)、WPAG−281、WPAG−336,WPAG−367、WPI−113(以上、和光純薬株式会社)、IPTX、CI−5102、CI−2855(以上、日本曹達株式会社)、UVI−6970、UVI−6974(以上、ユニオンカーバイド社)、RHODORSIL Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社)、イルガキュアー 250(BASFジャパン株式会社)、SP−150、SP−151、SP−152、SP−170、SP−171、SP−172(以上、株式会社ADEKA)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−210S、CPI−300PG(以上、サンアプロ株式会社)が挙げられる。
前記アゾ系開始剤、過酸化物開始剤又は過硫酸塩開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシピパレート等、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(メチルイソブチレート)、α,α−アゾビス−(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレイン酸)等が挙げられる。
前記レベリング剤としては、例えばシリコンレベリング剤、アクリルレベリング剤、フッ素系レベリング剤、ビニル系レベリング剤が挙げられ、市販品を用いることができる。 前記レベリング剤として、好適にはシリコンレベリング剤が挙げられる。
前記レベリング剤は、脂環式2官能エポキシを含む組成物がエポキシ樹脂下塗りプライマー層上に流延塗布、硬化されて被膜が形成される工程において消泡効果を発揮して、硬化後の樹脂層の表面の摩擦係数を低減させる表面調整機能を有すると考えられる。
前記レベリング剤の割合は、エポキシ100質量部に対して0〜5質量部の範囲、例えば0〜3質量部であり得る。前記レベリング剤の量が多すぎると得られる耐摩耗剤を適用した摺動部材の耐摩耗性能が悪化する。
前記シリコンレベリング剤として、市販品を用いることができ、例えば、DC11PA、ST80PA、DC3074、DC3037、SR2402(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、KP−321、KP−324、KP−327、KR−9218、X−40−9220(以上、信越化学工業株式会社製)、TSR165、XR−31B1763(以上、東芝シリコーン株式会社製)、BYK−341、BYK−344、BYK−306、BYK−307、BYK−325、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−300、BYK−302、BYK−330、BYK−333、BYK−335、BYK−370、Silclean3700、Silclean3720(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、DISPARLON 1711、1751N、1761、LS−001、LS−050(以上、楠本化成株式会社製)、ポリフロー KL−400HF、KL−401、KL−402、KL−403、KL−404(以上、共栄化学株式会社製)などが挙げられる。
前記アクリルレベリング剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N、BYK−361N、BYK−392(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、DISPARLON LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985、NSH−8430HF(以上、楠本化成株式会社製)、ポリフローNo.50EHF、No.54N、No.55、No.77、No.85HF、No.90、No.90D−50、No.95、No.99C(以上、共栄化学株式会社製)などが挙げられる。
前記フッ素系レベリング剤としては、BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
また、ビニル系レベリング剤としては、DISPARLON LHP-90、LHP-91(以上、楠本化成株式会社製)などが挙げられる。
前記の本発明の実施態様の耐摩耗剤の適用例における金属基材に前記エポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成する工程において、金属基材にエポキシ樹脂下塗りプライマーを流延塗布し、次いで加熱および/又は光照射、例えば紫外線照射してエポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成し得る。
前記金属基材にエポキシ樹脂下塗りプライマーを流延塗布する際に、流延塗布して均一な塗布層を得るためにそれ自体公知の流延塗布法、例えばロール塗布、刷毛塗り、しごき塗布等、ワイヤーバー塗布、および塗布装置が適用され得る。
前記塗布装置として、均一な流延塗布層を得るために芯金にワイヤーを密に巻回した装置であるワイヤーバーが好適に用いられ得る。
次いで、加熱および/又は光照射、例えば紫外線照射してエポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成するために、流延塗布されたエポキシ樹脂下塗りプライマーを100〜150℃程度の温度で0.1〜10分程度、典型的には1分程度加熱し、好適にはさらに100〜800mJ/cm程度の照射条件で紫外線を照射して硬化し得る。これによって、好適には厚みが0.2〜5μmの範囲、例えば0.2〜3μmの範囲、典型的には約2μmであるエポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成し得る。前記エポキシ樹脂下塗りプライマーの硬化の一部を、後工程において被膜を形成するための硬化時の加熱および/又は光照射、例えば紫外線照射によって行ってもよい。
前記の適用例においては、次いで、前記エポキシ樹脂下塗りプライマー層上に前記脂環式2官能エポキシおよび前記重合開始剤を含有する耐摩耗剤層、あるいは前記脂環式2官能エポキシ、前記重合開始剤およびレベリング剤を含有する耐摩耗剤層を設ける。
本発明の実施態様の耐摩耗剤は、取扱いの容易さの観点から室温で液状であるものが好ましい。
前記の下塗りプライマー層上に耐摩耗剤層を設ける工程において、均一な耐摩耗剤層を得るためにそれ自体公知の流延塗布法、例えばロール塗布、刷毛塗り、しごき塗布等、ワイヤーバー塗布、および流延塗布装置が適用され得る。前記流延塗布装置として、均一な塗布層を得るための芯金にワイヤーを密に巻回した装置であるワイヤーバーが好適に用いられ得る。
前記適用例において、前記耐摩耗剤層を硬化して被膜を形成する硬化は、使用する重合開始剤の種類によって硬化条件を適宜選択し得る。例えば、前記耐摩耗剤層を、(1)加熱による硬化、又は(2)加熱→光照射、例えば紫外線照射による硬化、あるいは(3)加熱又は光照射、例えば紫外線照射により重合開始剤を分解して酸の発生→加熱硬化、などの硬化処理により硬化して被膜を形成し得る。前記の加熱は80〜200℃の範囲の温度、例えば125〜200℃の範囲の温度、例えば125〜175℃の温度で10分〜5時間、例えば30分〜2時間程度加熱する方法、光照射、例えば紫外線照射は200〜1000mJ/cmの照射条件、例えば200〜500mJ/cmの照射条件で照射処理し得る。前記の加熱に際し、加熱時間中に同一温度で加熱してもよくあるいは加熱時間中に異なる温度で加熱処理してもよい。後者の場合、初期加熱を80〜125℃で0.1〜5分程度行い、後加熱を125〜200℃の温度で30分〜2時間程度行って加熱処理し得る。いずれの場合も加熱時間は温度が高くなるほど短時間で加熱処理し得る。本発明の実施態様においては重合開始剤として光酸発生開始剤を用いて、前記耐摩耗剤層を加熱→光照射、例えば紫外線照射により重合開始剤を分解して酸発生→さらなる加熱硬化によって被膜を形成すると好適である。
前記の方法によって、耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系の被膜を形成し得る。
以下、本発明の実施例を示す。
以下に示す例は、本発明の耐摩耗剤について本発明の範囲外の耐摩耗剤と比較するためのものであって、本発明を限定するものではない。
以下の各例において、耐摩耗剤の性能を比較するために、下記の測定法で評価した。
[評価方法]
ハードコートを片面に塗装したアルミ板について、油塗布条件下での耐摩耗性を評価するために、下記条件でボールオンディスク往復摺動試験を行った。
試験機:高千穂精機社製のデュアルマイクロテスターおよびボールとして材質:SUJ2、形状:φ10mmを用いて、10Nの試験荷重、10mmの振幅、油としてキャッスルオイルSN/GF−5 OW−20を用いて、80℃の油温、および5分間の試験時間で試験を行った。
[評価]
摺動試験結果に基づいて、動摩擦係数を試験開始〜30秒間、2〜3分間、4〜5分間で整理し、摺動の経過に伴う値の変化をみた。試験時間全体での平均動摩擦係数(n3平均値)を求めた。
また、摺動痕についての凹凸の形成を観察した。
動摩擦係数および摺動痕について凹凸の形成から、耐摩耗性能について下記の評価とした。
○(良好):平均動摩擦係数≦0.035、摺動痕に凹凸が確認されない
△(やや不良):平均動摩擦係数>0.035又は摺動痕に凹凸が確認される
×(不良):平均動摩擦係数>0.035、摺動痕に凹凸が確認される
実施例1
脂環式2官能エポキシ樹脂として3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルに、シリコンレベリング剤としてSilclean3720(固形分25質量%、ビックケミー・ジャパン株式会社製)5質量%(参考例1)、および重合開始剤としてCPI−300PG(光酸発生剤、固形分50質量%、サンアプロ株式会社製)3質量%の混合溶液を調製し、ハードコート液(耐摩耗剤)とした。
アルミニウム板(鏡面)の片面にレイマジック07(カナエ塗料株式会社製)をワイヤーバー(3番)で流延塗布した後、100℃のオーブン内で1分間放置し、次いで、照射条件:400mJ/cmにて紫外線照射して厚み約2μmのエポキシ樹脂下塗りプライマー層を形成した。次に、ハードコート液を下塗りプライマー層側にワイヤーバー(30番)を使用して流延塗布した後、100℃のオーブン内で1分間放置し、次いで照射条件:400mJ/cmにて紫外線照射し、最後に150℃で1時間加熱して熱処理することによってハードコート液の塗工膜を硬化させて、約2μmのエポキシ樹脂下塗りプライマー層と厚み41μmのハードコート層(被膜)を有するアルミニウム板を作製した。
得られた試料について耐摩耗性能試験を行った。
結果は、○(良好)であった。
比較例1
エポキシ樹脂に代えて、2官能アクリレート系樹脂(ダイセルオルネクス社製、製品名:IRR214K、固形分:100質量%)に、シリコンレベリング剤としてEB1360(ダイセルオルネクス社製、シリコン含有アクリレート、固形分:100質量%)10質量%、および重合開始剤としてイルガキュア184(BASF社、ラジカル開始剤、固形分:100質量%)5質量%の割合の混合溶液を調製し、ハードコート液(耐摩耗剤)とした。
アルミニウム板(鏡面)の片面に、下塗りプライマーとして信越化学工業社製のKBM303(シランカップリング剤、固形分濃度:100質量%)を用いた他は実施例1と同様にして下塗りプライマー層を形成し、次いで、実施例1のハードコート液に代えて前記ハードコート液を用いた他は実施例1と同様にして、約2μmの下塗りプライマー層と厚み40μmのハードコート層(被膜)を有するアルミニウム板を作製した。
得られた試料について耐摩耗性試験を行った。
結果は、△(やや不良)であった。
本発明によれば、耐摩耗性能を有するエポキシ樹脂系の耐摩耗剤を得ることができる。
1 被膜
2 金属製基材
3 エポキシ樹脂下塗りプライマー層
10 本発明の実施態様の耐摩耗剤を適用した摺動部材

Claims (6)

  1. 脂環式2官能エポキシおよび重合開始剤を含有することを特徴とする耐摩耗剤。
  2. 前記脂環式2官能エポキシが、式
    Figure 2016121314
    で示される3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルである請求項1に記載の耐摩耗剤。
  3. 前記樹脂層が、さらにレベリング剤を含有する請求項1又は2に記載の耐摩耗剤。
  4. 前記レベリング剤が、シリコンレベリング剤である請求項3に記載の耐摩耗剤。
  5. 前記レベリング剤の割合が、前記エポキシ100質量部に対して0〜5質量部である請求項3又は4に記載の耐摩耗剤。
  6. 前記重合開始剤が、光酸発生剤である1〜5のいずれか1項に記載の耐摩耗剤。
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