JP2016121262A - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法 - Google Patents

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性の高い脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を安定的に得る製造方法を提供する。【解決手段】[1](A)ケイ素原子結合水酸基含有オルガノポリシロキサンと(B)特定の加水分解性オルガノシランを混合機中で分散する、[2]これに(C1)N原子含有有機化合物を加え分散させる、[3]これに(D)特定の無機質充填剤を添加し分散させる、[4]これに(E)窒素含有官能性基含有アルコキシシラン(接着促進剤)、(F)オルガノシラザン化合物、(G)ケテンシリルアセタール型化合物及び/又は2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物、及び(C2)硬化触媒から選ばれる成分を加え十分に均質になるまで分散して組成物を調製する、[5]組成物から揮発成分を取り除く(但し、これ以前で揮発成分は取り除かない)の工程を含む組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、空気中に放出(曝露)することでエラストマー状の固形物(シリコーンゴム弾性体)へと硬化する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、並びに該方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる自動車オイルシール、建築用シーラント及び電気電子部品に関する。
エラストマー状の固形物(シリコーンゴム弾性体)へと硬化する室温硬化性のオルガノポリシロキサン組成物はよく知られている。典型的にかかる組成物は、ベースポリマーの反応性末端基として、一般的にシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)を有するポリジオルガノシロキサン(ベースポリマー)を、例えばアルケニルオキシシラン、オキシムシラン、アセトキシシラン、アルコキシシラン、又はアミノシランのようなポリジオルガノシロキサン用の加水分解性オルガノシラン架橋剤と混合することにより得られる。これらの材料は、室温で大気中の水分に曝されると、ポリジオルガノシロキサンと反応したオルガノシラン架橋剤が加水分解・縮合し、相当するガスを放出すると同時に架橋することで硬化する。
上述した硬化可能な組成物の重要な用途の1つは、自動車用オイルシールや建築用防水シール材、並びに電気電子部品の分野にて使用され、期待される性能としては一般に意匠性を保持するための外観や施工性のための性状、エラストマーとしての物性や基材との接着性である。
これらの組成物に用いられる無機質充填剤(フィラー)は、ノンフィラー系エラストマーのみでは得られないようなゴム物性(機械的強度)や耐薬品性、接着性を与えるために使用される。それら無機質充填剤は通常、さまざまな粒子径を有しており、それら無機質充填剤の表面は無処理のものや脂肪酸等の処理剤にて処理されている。無機質充填剤の一例としては、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)、焼成シリカ、沈降シリカ(湿式シリカ)、重質炭酸カルシウム、コロイド質炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカ等が挙げられ、それら全ては、硬化生成物(シリコーンゴム)に機械的強度や耐薬品性、接着性を与える目的で用いられる。
また、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、様々な基材、特に金属(アルミニウムや鉄等)やプラスチック(ポリブチレンテレフタレートやポリカーボネート、変性ポリプロピレンオキサイド等)に対する接着性を高めるために、接着促進剤を添加させていることが一般的である。標準的に用いられる接着促進剤としては、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン及びそれらの誘導体のようなアルコキシシランが挙げられる。
接着促進剤として用いられてきた化合物の別の群は、例えば、米国特許第3517001号、米国特許第3708467号及び米国特許第4100129号明細書(ゼネラルエレクトリックカンパニー)(特許文献1〜3)に記載されるようなイソシアヌレートを含むケイ素化合物である。典型的にこれは、下記式で示される化合物である。
Figure 2016121262
(式中、D置換基の1つは、−Ry−Si−(R3 p)(OR3 3-p)(ここでRは、アルキレンアリーレン、アルキレン、シクロアルキレン及びそれらのハロゲン置換誘導体から選択される二価の炭化水素基であり、R3は、8個以下の炭素原子を有するアルキル又はハロアルキル基であり、pは、0〜3であり、yは1である)を含有する。残りのD置換基は、上述の−Ry−Si−(R3 p)(OR3 3-p)、スチリル、ビニル、アリル、クロロアリル又はシクロヘキセニルから選択される。)
但し、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物にこれらの接着促進剤を添加したとしても、必ずしも期待する接着が得られるとは限らない場合があり、この場合、上記の無機質充填剤を併用することで期待する接着性が得られる場合が多い。しかし、その中のある種の無機質充填剤には、シリコーンオイル中に分散させる際、自己同士が凝集して意匠性を損なうほか、分散性が低下するためチキソ性が低下し、形状保持性が悪化する、即ち流動してしまう組成物となるものが存在する。この傾向を低減するために、表面が疎水化処理された無機質充填剤を使用することが適切である。適切な疎水化処理剤としては、例えば脂肪酸、オルガノクロロシラン、オルガノポリシロキサン、及びヘキサメチルジシラザンが挙げられる。そのような表面処理を施した無機質充填剤を使用することで、形状保持性はある程度向上するが、その効果が十分でなかったり、表面処理された無機質充填剤の価格が高騰する問題がある。
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の性状(粘度、流動性、チキソ性、形状保持性等)をコントロールするための技術としては、工程や原料添加方法を変更する方法が過去の技術として提案されている。一例を挙げると、特開平8−104816号公報(特許文献4)においては、接着促進剤であるアミノシランカップリング剤を充填剤より先に添加することで、流動性が向上するという提案がなされている。また特開2005−247923号公報(特許文献5)においては、硬化触媒であるチタン触媒を硬化性ベースオイル中に先に添加し、その後無機質充填剤であるシリカ粉末を添加することで、保存性や透明性・低温硬化性が向上したり、経時における粘度上昇を抑えることができるとの提案がなされている。
形状保持性を向上させる技術としては、特許第2613446号公報(特許文献6)において、両末端水酸基を有するオルガノポリシロキサンにオキシムシランを添加し、無機充填剤、硬化触媒の順序にて調整することで、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物のチキソ性が増すことにより形状保持性が向上できるという提案がなされている。しかし、本提案では脱オキシム型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物のみ得られ、他の硬化タイプ、例えば脱アセトン型や脱アルコール型、脱酢酸型には応用できないという制限があった。
その問題を解決するため、近年、特許第4351816号公報(特許文献7)においては、両末端水酸基を有するオルガノポリシロキサンにオルガノシランと硬化触媒を添加し、その後充填剤、接着促進剤の順にて添加、混合することで、チキソ性の高い種々硬化タイプの室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができるという提案がなされている。しかし、この提案では、特にバッチプロセスにおいては反応性が高いオルガノシラン、例えばビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケニルオキシシラン類、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルプロピルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルプロピルケトオキシム)シラン等のオキシムシラン類を用いた場合、同時に添加する硬化触媒により硬化が急激に進行する部分が生じ、釜内に硬化物ゲルが生じる他、充填剤を添加する際に空気中の湿気で硬化が進行したり、充填剤が含有する水分にて硬化が進行してしまい、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が高粘度になったり、硬化物ゲルが混入するため、シリコーンゴム硬化物の意匠性が損なわれる問題が生じていた。またメチルトリメトキシシランやビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシランを用いた場合、最終生成物から揮発成分(上記の場合はメタノール)を取り除いたとしても、経時で揮発成分が生成し、添加する触媒によりクラッキング反応や触媒失活反応を起こすことから、保存安定性が低下するという問題を生じていた。
米国特許第3517001号明細書 米国特許第3708467号明細書 米国特許第4100129号明細書 特開平8−104816号公報 特開2005−247923号公報 特許第2613446号公報 特許第4351816号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、保存安定性の高い脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を安定的に得るための製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)ケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(B)加水分解性オルガノシランを予め混合分散し、その後、(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物を添加することで、(A)成分中のシラノール基と(B)成分中の加水分解性基を穏やかに反応させることにより、硬化物ゲルの混入や増粘を防ぐことができることを見出した。
また、その後無機質充填剤(D)を添加し、混合分散することで組成物に補強性を持たせることができ、また、目的に応じた速硬化性を得るために追加の硬化触媒(C2)を添加し、混合分散することで組成物に速硬化性を付与することができ、更に、目的に応じた接着性を得るために、接着促進剤(E)を添加し、混合分散することで組成物に自己接着性を付与することができ、更にまた、目的に応じた良好な保存性を得るために、シラザン化合物(F)もしくは後述する一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物(G)を添加することで、良好な保存安定性を有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることに成功し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法等を提供するものである。
〔1〕
以下の工程[1]〜[5]を含むことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[1]:(A)ケイ素原子に結合した水酸基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(B)下記一般式(1)
(R1(4-n)Si(OR2n (1)
(式中、R1がビニル基であり、R2がメチル基であり、nは2又は3である。)
で示される加水分解性オルガノシランを、混合機中で分散し、ブレンドを形成する工程;
[2]:該ブレンドに、(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物を加え、分散させる工程;
[3]:工程[2]を経て得られた該ブレンドに、(D)炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボン、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤を添加し、分散させてベースを作製する工程;
[4]:該ベースに、下記の(E)、(F)、(G)及び(C2)成分から選ばれる1種又は2種以上の成分を加え、十分に均質になるまで分散して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製する工程;
(E)下記一般式(2)で示される窒素含有官能性基を有するアルコキシシランからなる接着促進剤、
(R3O)(3-q)Si(R3qX (2)
(式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基又はハロアルキル基であり、Xはアミノ基、ケチミノ基、イソシアネート基及びウレイド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基によって官能化された、1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、qは0〜2である。)
(F)下記一般式(3)で示されるオルガノシラザン化合物、
Figure 2016121262
(式中、R4は水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基又はビニル基であり、R4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
(G)下記一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は下記一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物、
(R5O)2SiR6OC(OR6)CHCH3 (4)
(R5O)2Si(CH3)CH(CH3)COOR6 (5)
(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R6は炭素原子数1〜12の非置換又は置換のアルキル基であり、R5、R6は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
(C2)硬化触媒、
及び、
[5]:工程[4]で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物から揮発成分を取り除く工程(但し、工程[1]〜[3]において揮発成分を取り除く工程を除く。)。
〔2〕
工程[4]において、(E)、(F)及び(C2)成分、又は(E)、(G)及び(C2)成分を加えて、十分に均質になるまで分散して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製するものである〔1〕記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔3〕
バッチプロセスである〔1〕又は〔2〕記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔4〕
(C2)成分の硬化触媒が、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有する非ケイ素系有機化合物、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有するシラン化合物、有機スズ触媒及び有機ビスマス触媒から選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔5〕
(E)成分の接着促進剤が、アミノアルキルアルコキシシラン、ケチミノアルキルアルコキシシラン及びウレイドアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔6〕
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の揮発分が70℃、24時間の条件に曝された場合、質量換算で7.0%以下であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔7〕
工程[1]〜[5]の全工程時間が48時間以内であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる自動車オイルシール。
〔9〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる建築用シーラント。
〔10〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる電気電子部品。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法によれば、保存安定性が良好な室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を安定的に製造することができる。また得られた組成物の外観も良好であるため、意匠性や粘度安定性に優れる。本製造方法により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、硬化触媒の添加量を自由に決定できるため、硬化性の調整が非常に簡便である。本発明により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、自動車分野、建築用シーラント分野、電気電子用接着剤等の用途として好適に用いることができる。
なお、本発明において「室温」又は「常温」とは、特段の規定がない場合、通常0〜35℃、特に20℃±10℃の範囲を意味する。
本発明の製造方法により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、下記(A)、(B)、(C1)及び(D)成分を含有し、更に下記(E)、(F)、(G)及び(C2)成分から選ばれる1種又は2種以上を含有してなるものである。
(A)ケイ素原子に結合した水酸基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(B)下記一般式(1)で示される加水分解性オルガノシラン、
(R1(4-n)Si(OR2n (1)
(式中、R1がビニル基であり、R2がメチル基であり、nは2又は3である。)
(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物、
(D)炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボン、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤、
(E)下記一般式(2)で示される窒素含有官能性基を有するアルコキシシランからなる接着促進剤、
(R3O)(3-q)Si(R3qX (2)
(式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基又はハロアルキル基であり、Xはアミノ基、ケチミノ基、イソシアネート基及びウレイド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基によって官能化された、1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、qは0〜2である。)
(F)下記一般式(3)で示されるオルガノシラザン化合物、
Figure 2016121262
(式中、R4は水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基又はビニル基であり、R4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
(G)下記一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は下記一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物、
(R5O)2SiR6OC(OR6)CHCH3 (4)
(R5O)2Si(CH3)CH(CH3)COOR6 (5)
(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R6は炭素原子数1〜12の非置換又は置換のアルキル基であり、R5、R6は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
(C2)硬化触媒。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分であるケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)として作用するものであり、種々の構造で表されるが、その中でも最も単純な構造としては下記一般式(6)で表される主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰返しからなり、分子鎖両末端がヒドロキシジオルガノシロキシ基で封鎖されたα,ω−シラノール基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
HO(R2SiO)LH (6)
(式中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はそれらの水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基であり、Lは10以上の整数で、このジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が100〜20万mPa・sの範囲となる数である。)
上記式(6)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基又はそれらの水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基等、アルケニル基としてはビニル基、アリル基等、アリール基としてはフェニル基等、ハロゲン置換基としては3,3,3−トリフルオロプロピル基等が例示される。
また、Lは10以上の整数で、このジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が100〜20万mPa・sの範囲、好ましくは500〜10万mPa・sの範囲となる数である。なお、粘度は例えば回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定することができる。なお、上記粘度範囲は、通常、該α,ω−シラノール基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサンの重合度L(又は分子中のケイ素原子数)が、約50〜3,000、特に約100〜1,500程度に相当するものである。
また適切には、該ポリマーは、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%の量で存在する。該ポリマーが30質量%未満では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械的特性が劣る場合があり、90質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の形状保持性が低下する場合がある。
[(B)成分]
(B)成分である加水分解性オルガノシランは、下記一般式(1)で示される1分子中に1個のビニル基と3個のメトキシ基と、又は2個のビニル基と2個のメトキシ基とを有する加水分解性のビニルメトキシシラン化合物である。
(R1(4-n)Si(OR2n (1)
(式中、R1がビニル基であり、R2がメチル基であり、nは2又は3である。)
上記加水分解性オルガノシランは、(A)成分中の水酸基と縮合反応して、通常、(A)成分であるベースポリマーの両末端に導入されることによって、通常、(A)成分の分子鎖両末端に位置するシラノール基を加水分解性シリル基へと変性するほか、下記に記載する無機質充填剤(D)や製造中に混入する水分を除去するための原料であり、かつまた、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の架橋剤(硬化剤)としても作用するものである。(B)成分としての加水分解性オルガノシランは、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシランから選択される。その中でもより好ましくは、ビニルトリメトキシシランを用いる場合がより有効である。
(B)成分の加水分解性オルガノシランの適切な添加量は、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%の量で存在することである。該オルガノシランが0.5質量%未満では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の経時における保存安定性が悪くなるほか、硬化物ゲル等が混入し、シリコーンゴム硬化物の意匠性が低下する場合がある。また、10質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械的特性が低下したり、硬化が遅延してしまう場合がある。
[(C1)成分]
(C1)成分である分子内に少なくとも1個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個のN(窒素)原子を有する有機化合物は、(A)成分中に含まれる水酸基と(B)成分のオルガノシランとの反応を、比較的緩やかに促進するために添加することが目的である。ここで、分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物はどのような構造のものを用いてもよい。その具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン等の1級アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン等の2級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等の3級アミン類、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジンなどのグアニジン骨格を有するアミン類が例示される。また、(C1)成分の分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物は、後述する(C2)成分の硬化触媒と同一種類のものであってもよく、即ち(C1)成分として、例えば、後述する(C2)成分と同様の、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有する非ケイ素系有機化合物及び/又は分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有するシラン化合物を用いても構わない。但し、(C1)成分は、(E)、(F)成分を含まないものである。
(C1)成分の適切な添加量は用いる有機化合物種によっても異なるが、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、0.01〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜1.5質量%の量で存在することである。(C1)成分が0.01質量%未満では(A)成分中に含まれる水酸基と(B)成分中に含まれる加水分解性基との反応を十分に促進することができないため、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の保存安定性が低下する可能性があり、3.0質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化性が速すぎて作業性が悪くなったり、製造中に硬化しやすくなり、結果的に硬化物ゲルが混入し、シリコーンゴム硬化物の意匠性が低下してしまう場合がある。
[(C2)成分]
(C2)成分の硬化触媒は、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物において必要に応じた速硬化性を付与することが目的で添加される任意成分である。この(C2)成分は、反応プロセスを促進すればどのような触媒種であってもよいが、その中でもより適切な触媒としては、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有する非ケイ素系有機化合物、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有するシラン化合物、有機スズ触媒あるいは有機ビスマス触媒が好ましい。その具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジンなどのグアニジン骨格を有するアミン類、ジメチルジメトキシスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジバーサテート等の有機スズ化合物類、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物類が例示される。また前述同様、(C1)成分の分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物と(C2)成分の硬化触媒とは、同一種類のものであってもよく、即ち、(C1)成分及び(C2)成分として、いずれも、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有する非ケイ素系有機化合物及び/又は分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有するシラン化合物同士を使用しても構わない。但し、(C2)成分は、(E)、(F)成分を含まないものである。
(C2)成分を配合する場合の適切な添加量は触媒種によっても異なるが、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、0.001〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.5質量%の量で存在することである。なお、(C1)成分の硬化触媒と(C2)成分の硬化触媒が同一種類のものである場合の添加量は、(C1)成分の添加量範囲と同じ、即ち0.01〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜1.5質量%の量で存在することである。(C2)成分が0.001質量%未満では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化性が低下したり、未硬化となる可能性があり、3.0質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化性が速すぎて作業性が悪くなったり、製造中に硬化しやすくなり、結果的に硬化物ゲルが混入し、シリコーンゴム硬化物の意匠性が低下してしまう場合がある。
[(D)成分]
(D)成分である炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボン、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤は、硬化後のゴム状弾性体に機械的強度や硬さを付与する目的で配合される成分である。これら無機質充填剤は1種であっても、複数種を使用しても構わない。これら無機質充填剤の表面処理については制限を受けないが、より形状保持性を高めるためには表面処理剤により表面を疎水化処理した無機質充填剤を使用することが好ましい。しかしながら、表面処理をすることにより価格的に高騰するようであれば、無処理の充填剤を使用する方が好ましい。表面疎水化処理又は未処理の、炭酸カルシウムの具体例としては、表面疎水化処理又は未処理の重質炭酸カルシウム、コロイド質炭酸カルシウム等が挙げられ、シリカの具体例としては、表面疎水化処理又は未処理の煙霧状シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。
これら無機質充填剤の適切な添加量は、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、2〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜58質量%、更に好ましくは8〜53質量%の量で存在する。該無機質充填剤が2質量%未満では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の形状保持性が低下する場合があり、60質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度が高すぎて作業性が悪くなったり、製造中に硬化しやすくなり、結果的に硬化物ゲルが混入し、シリコーンゴム硬化物の意匠性が低下してしまう場合がある。
[(E)成分]
(E)成分である接着促進剤は、下記一般式(2)で示される窒素含有官能性基を有するアルコキシシランからなるものである。
(R3O)(3-q)Si(R3qX (2)
(式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基又はハロアルキル基であり、Xはアミノ基、ケチミノ基、イソシアネート基及びウレイド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基によって官能化された、1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、qは0〜2、好ましくは0又は1である。)
上記式(2)中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基又はハロアルキル基であり、具体的に、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、ハロアルキル基としては、これらのアルキル基の水素原子の一部又は全部が塩素、フッ素等のハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。
また、Xはアミノ基、ケチミノ基、イソシアネート基及びウレイド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基によって官能化された、1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、具体的には、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、N−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピル基、3−イソシアネートプロピル基、3−ウレイドプロピル基等を挙げることができる。
上記接着促進剤は、必要に応じて、得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に良好な接着性を付与させる目的で使用する任意成分である。接着促進剤は1種のみでも、2種以上の異種の接着促進剤を組み合わせて併用して使用してもよい。接着促進剤としては、上記一般式(2)のX部に指定官能基を有する公知のものが好適に使用される。(E)成分の接着促進剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のケチミノシラン類、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類などが例示される他、下記のアミノ官能性基含有アルコキシシラン等を具体例として挙げることができる。
Figure 2016121262
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これらの中でもアミノアルキルアルコキシシラン、ケチミノアルキルアルコキシシラン及びウレイドアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。但し、(E)成分は、(C1)、(C2)成分を含まないものである。
これら接着促進剤を配合する場合の適切な添加量は、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%の量で存在する。該接着促進剤が0.2質量%未満では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の接着性が低下する場合があり、5質量%を超える量では得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械的特性が低下する場合があるほか、経済的にも不利となる。
[(F)成分]
(F)成分の下記一般式(3)で示されるオルガノシラザン化合物は、必要に応じて得られる組成物に良好な保存安定性と吐出性を付与するために添加する任意成分であって、後述する(G)成分であるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物も(F)成分の代わりとして添加することができ、どちらかを使用してもその両方を併用しても構わない。
Figure 2016121262
(式中、R4は水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基又はビニル基であり、R4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
上記一般式(3)のR4は同一又は異種の、水素原子、炭素原子数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基もしくはビニル基であり、その中でも水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、より好ましくは水素原子とメチル基がよい。
上記(F)成分の具体例としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラエチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラエチルジシラザンなどが例示され、これらは1種に限定されず、その2種以上を使用してもよい。但し、(F)成分は、(C1)、(C2)成分を含まないものである。
この(F)成分を配合する場合の配合量は、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、0.5〜10質量%が好ましく、0.7〜5質量%がより好ましい。(F)成分が0.5質量%未満では期待する良好な保存性を得ることができない他、吐出性が低下するおそれがあり、逆に10質量%より多くするとこの組成物の硬化性が著しく遅くなったり、かつ硬化時に発生する副生成ガスの発生が多くなる場合がある。
[(G)成分]
(G)成分の下記一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は下記一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物は、必要に応じて得られる組成物に良好な保存安定性と吐出性を付与するために添加する任意成分であって、前述した(F)成分のシラザン化合物も(G)成分の代わりとして添加することができ、どちらかを使用してもその両方を併用しても構わない。
(R5O)2SiR6OC(OR6)CHCH3 (4)
(R5O)2Si(CH3)CH(CH3)COOR6 (5)
(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R6は炭素原子数1〜12の非置換又は置換のアルキル基であり、R5、R6は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
上記一般式(4)、(5)において、R5の炭素原子数1〜4のアルキル基は、直鎖状、環状、分岐状のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基が挙げられる。
また、R6の炭素原子数1〜12の非置換又は置換のアルキル基は、直鎖状、環状、分岐状のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基及びtert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換したクロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換1価炭化水素基等で置換された基等を挙げることができる。これらの基は同一であっても異なっていてもよい。また、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。本発明において、R5は、メチル基、エチル基が好ましく、その中でもよりメチル基が好ましい。またR6は、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好ましく、その中でもより2−エチルヘキシル基が好ましい。
なお、一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物と一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステルとは、互いに構造異性体の関係にあるものであって、通常は、これらの混合物として存在するものである。
この(G)成分を配合する場合の配合量は、組成物全体(特に(A)〜(G)成分の合計)中に、0.5〜10質量%が好ましく、0.7〜5質量%がより好ましい。(G)成分が0.5質量%未満では期待される良好な保存性を得ることができない他、吐出性が低下するおそれがあり、逆に10質量%より多くするとこの組成物の硬化性が著しく遅くなる場合がある。
なお、上記の(E)、(F)、(G)及び(C2)成分は、いずれも、後述する工程[4](即ち、(A)、(B)、(C1)及び(D)成分を、所定の順序で添加し、分散させてベースを作製した後の工程)において添加されるものであって、この場合、(E)、(F)、(G)及び(C2)成分から選ばれる1種又は2種以上の任意の成分が添加されるものであるが、好ましくは、(E)、(F)及び(C2)成分の組み合わせ、(E)、(G)及び(C2)成分の組み合わせ、又は(E)、(F)、(G)及び(C2)成分の組み合わせで添加することが好ましい。
[その他の任意成分]
本製造方法にて製造する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、期待される性能を損なわないことを条件とし、目的に応じて任意の成分を添加することができる。その具体例としては、ゴム物性を調整するための末端未反応性ポリマーである可塑剤、着色するための顔料や染料、導電性や放熱性を付与するための金属粉、押し出し作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防かび剤、耐熱性向上剤、難燃化剤など、各種の添加剤が例示できる。
[製造プロセス]
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、以下の工程[1]〜[5]を含むことを特徴とするものである。なお、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、バッチプロセスにて製造されることが好ましい。
[1]:(A)ケイ素原子に結合した水酸基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(B)前記一般式(1)で示される加水分解性オルガノシランを、適切な混合機、例えば井上製作所製プラネタリミキサーなどの混合機中で分散し、ブレンドを形成する工程;
[2]:該ブレンドに、(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物を加え、分散させる工程;
[3]:工程[2]を経て得られた該ブレンドに、(D)炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボン、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤を添加し、分散させてベースを作製する工程;
[4]:該ベースに、硬化触媒(C2)、接着促進剤(E)、オルガノシラザン化合物(F)及びケテンシリルアセタール型化合物及び/又は2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物(G)から選ばれる1種又は2種以上を加え、十分に均質になるまで分散して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製する工程;
[5]:工程[4]で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物から揮発成分を取り除く工程(但し、工程[1]〜[3]において揮発成分を取り除く工程を除く。)。
本発明において、無機質充填剤(D)を添加してベースを作製する工程(工程[3])の前に、ケイ素原子に結合した水酸基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン(A)と一般式(1)で示される加水分解性オルガノシラン(B)を完全に混合し混合液(ブレンド)を得る工程(工程[1])の後、硬化触媒である分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物(C1)を加え、分散させる工程(工程[2])は、上記工程[3]と共に、本発明の必須の工程である。
その後、工程[4]において、使用される用途に応じて必要量の硬化触媒(C2)、接着促進剤(E)、オルガノシラザン化合物(F)あるいはケテンシリルアセタール型化合物及び/又は2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物(G)を添加し、最終生成物が十分に均質になるまで分散することで、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができる。ここで、硬化触媒(C2)、接着促進剤(E)、オルガノシラザン化合物(F)及びケテンシリルアセタール型化合物及び/又は2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物(G)は、同時に添加しても、別々に添加しても構わないが、より好ましくは硬化触媒(C2)と接着促進剤(E)は、事前に混合せず添加する方が好ましい。
ここで、工程[5]の、工程[4]までで得られた生成物(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)から揮発成分を取り除く工程(手段、方法等)には特に制限を持たないが、具体的には真空ポンプ等の減圧脱泡混合により取り除くことが好ましい。その際の真空度は−0.06MPa以下であることがより好ましい。
なお、本発明の製造方法において、工程[5]に係る揮発成分の除去工程は、工程[1]〜[4]を経て製造された生成物(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)に対して初めて施される工程であって、本発明の製造方法では、工程[1]〜[3]において揮発成分を取り除く工程を含む場合を除くものである。
また、本発明においては、全工程(工程[1]〜[5])を経て得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の揮発分が、70℃、24時間の条件に曝された場合、質量換算で7.0%以下、より好ましくは質量換算で4.0%以下であることが好ましい。この理由は揮発分が7.0%より多い場合、揮発する成分が多いことから、組成物の硬化性が悪化するおそれがあり、また工程[5]の最終生成物から揮発成分を取り除く工程が不十分であることから、副生成物のアルコールを十分に取り除くことができていないことによる保存安定性の悪化が起こる。
全工程を経る工程時間については、48時間以内に行うことが好ましく、より好ましくは1時間以上24時間以内に全工程を経て組成物を得ることがよい。この理由は、工程時間が48時間を超える場合、組成物の硬化が進行して外観不良となったり、製造設備内にゲルを生じるおそれがあるためである。
またここで分散とは、理想的には内部添加成分が均一に分散することが好ましいが、これを確認する方法は時間を要する。そこで、適切な混合機内に添加した内部添加成分をある一定の回転速度(rpm)にて一定時間混合することを「分散」とした。好ましい回転数は2rpm以上にて約1分間以上混合し分散することが好ましく、その中でもより好ましくは5rpm以上にて約5分間以上混合し分散することが好ましい。
本製造方法にて得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、例えば自動車用オイルシール、建築用シーラント、電気電子用接着剤として使用される。本発明においては、この室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物にてシールされた、又は接着された構造体を提供するが、かかる構造体としては、自動車や建造物、電気電子部品等が挙げられる。また、シール又は接着の形態としてはFIPG(Formed In Place Gaskets)、シーリング材、接着剤等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例はすべてバッチプロセスにて行い、適切な混合機としてはプラネタリミキサー((株)井上製作所製)を用い、分散混合は回転速度1〜50rpmにて行い、減圧保持脱泡分散混合は、−0.02〜−0.07MPaの真空度で回転速度1〜50rpmにて行った。特に記載のない粘度などの物性値は、23℃での値を示す。また、粘度は回転粘度計による測定値を示す。
[実施例1]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を7質量部加え、分散混合したのち、
[2]1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C1)成分)を0.5質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[3]その後、煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面疎水化処理品、BET比表面積;120m2/g、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)((D)成分)を15質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[4]その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を1質量部、ヘキサメチルジシラザン((F)成分)を2質量部、1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C2)成分)を0.1質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物1を得た。
[実施例2]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を4質量部加え、分散混合したのち、
[2]1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C1)成分)を0.5質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[3]その後、煙霧状シリカ(商品名;MU−215(前出)、信越化学工業(株)製)((D)成分)を15質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[4]その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を1質量部、アクリル酸2−エチルヘキシルとジメトキシメチルシランとの反応物(商品名;OCMS−2、信越化学工業(株)製)((G)成分)を2質量部、1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C2)成分)を0.1質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物2を得た。
[実施例3]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を7質量部加え、分散混合したのち、
[2]イソプロピルアミン((C1)成分)を1質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[3]その後、煙霧状シリカ(商品名;MU−215(前出)、信越化学工業(株)製)((D)成分)を15質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[4]その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を1質量部、ヘキサメチルジシラザン((F)成分)を2質量部、ジオクチルスズジラウレート((C2)成分)を0.01質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物3を得た。
[実施例4]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を7質量部加え、分散混合したのち、
[2]1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C1)成分)を0.5質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[3]その後、煙霧状シリカ(商品名;MU−215(前出)、信越化学工業(株)製)((D)成分)を15質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[4]その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を1質量部、ヘキサメチルジシラザン((F)成分)を2質量部、ジオクチルスズジラウレート((C2)成分)を0.01質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物4を得た。
[実施例5]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を7質量部加え、分散混合したのち、
[2]1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C1)成分)を0.5質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[3]その後、重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートS−20、丸尾カルシウム(株)製)((D)成分)を80質量部、コロイド質炭酸カルシウム(商品名;白艶華CC−R、白石カルシウム(株)製)((D)成分)を20質量部、煙霧状シリカ(商品名;MU−215(前出)、信越化学工業(株)製)((D)成分)を7質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[4]その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を2質量部、ヘキサメチルジシラザン((F)成分)を2質量部、1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C2)成分)を0.1質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物5を得た。
[比較例1]
実施例1において[2]工程を省いた以外は同様の製造方法にて行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物6を得た。
[比較例2]
実施例1において[1]工程中に1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジン((C1)成分)を1質量部加えて、[2]工程を省いた以外は同様の製造方法にて行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物7を得た。
[比較例3]
[1]粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサン((A)成分)を100質量部に、
[3]煙霧状シリカ(商品名;MU−215(前出)、信越化学工業(株)製)((D)成分)を15質量部加え、減圧脱泡分散混合を行った。
その後、ビニルトリメトキシシラン((B)成分)を7質量部加え、混合したのち、
[4]3−アミノプロピルトリメトキシシラン((E)成分)を1質量部、ヘキサメチルジシラザン((F)成分)を2質量部、ジオクチルスズジラウレート((C2)成分)を0.01質量部加え、減圧保持脱泡分散混合を行った。
[5]その後、副生成物のメタノールを取り除くため、−0.08MPa以下にて減圧脱泡分散混合を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物8を得た。
[比較例4]
実施例1において、工程[1]〜[4]のすべての工程において揮発成分を取り除く操作を行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物9を得た。
[比較例5]
実施例1において、工程[5]を省いた以外は同様の製造方法にて行い、目的とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物10を得た。
[試験方法]
上述したように各室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物をバッチプロセスにて製造後、製造後の釜内部に硬化物ゲルの有無を目視にて確認した。
上記実施例及び比較例で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を深さ2mmの型枠に流し込み、23℃、50%RHで7日間養生して2mm厚のゴムシートを得た。その際、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の外観を目視にて確認し、硬化物ゲルや充填剤の凝集物の有無を確認した。また、JIS A 5758に規定する方法に準じてタックフリータイム(指触乾燥時間)を測定した。更に、得られた2mm厚のゴムシートより、JIS K 6249に準じてゴム物性(硬さ(デュロメータータイプA)、切断時伸び及び引張強さ)を測定した。
硬化速度試験方法は、内径が10mmのガラスシャーレに実施例及び比較例で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填し、23℃、50%RH×1日後に、空気に触れた部分から硬化した厚さを測定した。
更に、実施例及び比較例で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を70℃にて24時間曝し、その前後の質量から揮発分を算出した。
また、実施例及び比較例で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物より、幅25mm、長さ100mmのアルミニウム被着体を用いて接着面積2.5mm2、接着厚さ1mmの剪断接着試験体を作製し、23℃、50%RHで7日間養生して測定を行い、剪断接着力と凝集破壊率を確認した。
保存劣化試験は、実施例及び比較例で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を常温(0〜30℃の環境下)にて密封条件下、未硬化状態に6ヶ月間放置し、その後製造初期と同様の試験(揮発分、ゴム物性、剪断接着力及び凝集破壊率の測定)を行うことで、性能劣化の確認を行った。
下記に実施例1〜5及び比較例1〜5の試験結果を表1に示す。また、実施例1〜5及び比較例1〜5の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物製造における全工程時間を表1に併記する。
Figure 2016121262
表1からわかるように、実施例1〜5で調製された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、装置内部や組成物中に硬化物ゲルが確認されておらず、また常温保存6ヶ月後の物性、接着性共に良好である結果が分かる。
それに対し、比較例1では[2]工程を省いたため、[1]工程でポリマーとオルガノシランの反応が行われず、保存安定性が悪化する結果となっている。
更に、比較例2においては、[1]工程中に(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物である1,1,3,3−テトラメチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]グアニジンが添加されたため、ポリマーとオルガノシランとの反応が急激に進行し、装置内及び組成物中に硬化物ゲルが発生・混入する結果となっている。
また、比較例3においては、(A)成分のポリシロキサンと(D)成分の無機質充填剤を混合後、(B)成分の加水分解性オルガノシラン、(E)成分の接着促進剤と(F)成分のオルガノシラザン化合物と(C2)成分の硬化触媒の順で混合されたため、ポリマー末端の水酸基や充填剤表面の水酸基等とオルガノシランとの反応が経時で起こったことから、保存安定性が悪化する結果となっている。
比較例4においては、最終目的物から副生成物を取り除く工程をすべての工程後に行ったため、添加された(B)成分の加水分解性オルガノシラン(ビニルトリメトキシシラン)や(F)成分のオルガノシラザン化合物(ヘキサメチルジシラザン)も本工程により取り除かれてしまい、保存安定性が悪化する結果となっている。
比較例5においては、比較例4とは逆に最終目的物から副生成物を取り除く工程を行っていないため、副生成物のメタノールが除去できず、保存安定性が低下する結果となっている。これは得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の揮発分からも裏付けられる。
これらの結果から、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は有効であることが分かる。

Claims (10)

  1. 以下の工程[1]〜[5]を含むことを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
    [1]:(A)ケイ素原子に結合した水酸基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(B)下記一般式(1)
    (R1(4-n)Si(OR2n (1)
    (式中、R1がビニル基であり、R2がメチル基であり、nは2又は3である。)
    で示される加水分解性オルガノシランを、混合機中で分散し、ブレンドを形成する工程;
    [2]:該ブレンドに、(C1)分子内に少なくとも1個のN原子を有する有機化合物を加え、分散させる工程;
    [3]:工程[2]を経て得られた該ブレンドに、(D)炭酸カルシウム、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボン、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クレー及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機質充填剤を添加し、分散させてベースを作製する工程;
    [4]:該ベースに、下記の(E)、(F)、(G)及び(C2)成分から選ばれる1種又は2種以上の成分を加え、十分に均質になるまで分散して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製する工程;
    (E)下記一般式(2)で示される窒素含有官能性基を有するアルコキシシランからなる接着促進剤、
    (R3O)(3-q)Si(R3qX (2)
    (式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基又はハロアルキル基であり、Xはアミノ基、ケチミノ基、イソシアネート基及びウレイド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基によって官能化された、1価の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、qは0〜2である。)
    (F)下記一般式(3)で示されるオルガノシラザン化合物、
    Figure 2016121262
    (式中、R4は水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基又はビニル基であり、R4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
    (G)下記一般式(4)で示されるケテンシリルアセタール型化合物及び/又は下記一般式(5)で示される2−メチルジアルコキシシリルプロピオン酸エステル又はそれらの部分加水分解物、
    (R5O)2SiR6OC(OR6)CHCH3 (4)
    (R5O)2Si(CH3)CH(CH3)COOR6 (5)
    (式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R6は炭素原子数1〜12の非置換又は置換のアルキル基であり、R5、R6は互いに同一であっても異種の基であってもよい。)
    (C2)硬化触媒、
    及び、
    [5]:工程[4]で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物から揮発成分を取り除く工程(但し、工程[1]〜[3]において揮発成分を取り除く工程を除く。)。
  2. 工程[4]において、(E)、(F)及び(C2)成分、又は(E)、(G)及び(C2)成分を加えて、十分に均質になるまで分散して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製するものである請求項1記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  3. バッチプロセスである請求項1又は2記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  4. (C2)成分の硬化触媒が、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有する非ケイ素系有機化合物、分子内に少なくとも1個のグアニジン骨格を有するシラン化合物、有機スズ触媒及び有機ビスマス触媒から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  5. (E)成分の接着促進剤が、アミノアルキルアルコキシシラン、ケチミノアルキルアルコキシシラン及びウレイドアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  6. 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の揮発分が70℃、24時間の条件に曝された場合、質量換算で7.0%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  7. 工程[1]〜[5]の全工程時間が48時間以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる自動車オイルシール。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる建築用シーラント。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法で得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる電気電子部品。
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