以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記導電部は、外表面に複数の突起を有する。上記突起のX線回折における(111)面の割合は50%以上である。上記突起の基部の平均最大径は1nm以上、500nm以下である。
本発明に係る導電性粒子における上述した構成の採用により、本発明に係る導電性粒子を用いて、電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。
本発明に係る導電性粒子の粒子径は0.5μm以上、30μm以下であることが好ましい。粒子径が小さい導電性粒子を採用する場合には、導電性粒子の粒子径は、好ましくは5μm未満、より好ましくは3μm未満、更に好ましくは2.8μm以下である。導電性粒子の粒子径が小さい場合には、絶縁信頼性を高めることができる。さらに、本発明では、導電性粒子の粒子径が小さくても、特定の突起が形成されているために、導通信頼性を高めることができる。また、粒子径に関しては、用いる用途により、粒子径が大きく、粒子径が5μm以上である導電性粒子を採用してもよい。また、粒子径が大きい導電性粒子に関しては、導電性粒子の粒子径は、20μm未満であることが好ましい。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
複数の上記突起の平均高さAは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。上記突起の平均高さAが上記下限以上であると、突起による接触性及び貫通性がより一層高くなる。例えば、導電部の外表面及び電極の表面に酸化膜が形成されている場合に、突起が酸化膜を貫通しやすくなる。この結果、接続抵抗が低くなる。上記突起の平均高さAが上記上限以下であると、突起が過度に折れにくくなる。なお、折れた突起は、電極間の接続抵抗を上昇させることがある。
上記突起の平均高さAは、導電性粒子1個に含まれる突起の高さの平均である。上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図1に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図1に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図1においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
複数の上記突起の基部の平均最大径Bは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。上記平均最大径Bが上記下限以上であると、突起が過度に折れにくくなる。上記平均最大径Bが上記上限以下であると、突起による接触性及び貫通性がより一層高くなる。
上記突起の基部の平均最大径Bは、導電性粒子1個に含まれる突起の基部の最大径の平均である。基部の最大径は、突起における基部のそれぞれの最大径である。導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図1に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線部分(図1に示す破線L2)の端部が、上記突起の基部であり、上記仮想線部分の端部間距離が基部の径である。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均最大径Bに対する比(平均高さA/平均最大径B)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。上記比(平均高さA/平均最大径B)が上記下限以上であると、突起による接触性及び貫通性がより一層高くなる。上記比(平均高さA/平均最大径B)が上記上限以下であると、突起が過度に折れにくくなる。また、上記比(平均高さA/平均最大径B)が上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間を電気的に接続したときに、接続されてはならない横方向に隣接する電極間が電気的に接続され難い。
上記導電性粒子1個あたりの上記導電部の外表面の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上、更に好ましくは50個以上、特に更に好ましくは100個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
上記導電性粒子1個あたりに含まれる突起の全個数100%中、基部の最大径(1つのある突起における基部の最大径)が200nm以下である突起の個数の割合Xは、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。この突起の個数の割合が多いほど、突起による効果がより一層効果的に得られる。
上記導電性粒子1個あたりに含まれる突起の全個数100%中、基部の最大径(1つのある突起における基部の最大径)が導電性粒子の粒子径の10%以下である突起の個数の割合Zが10%以上であることが好ましい。この突起の個数の割合が多いほど、突起による効果がより一層効果的に得られる。
導電部の外表面の表面積の全体100%中、突起が形成されている表面積の割合Yは好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記突起のX線回折における(111)面の割合は好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。このような(111)面の割合を満足することによって、突起がより一層折れにくくなり、かつ導電部がより一層割れにくくなる。この結果、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、各実施形態における異なる部分構成は、適宜置き換えて、組み合わせることが可能である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを備える。
導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。導電部3は、基材粒子2に接している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。導電部3は連続皮膜である。
導電性粒子1は導電性の表面に、複数の突起1aを有する。導電部3は外表面に、複数の突起3aを有する。
導電部3は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。複数の突起1a,3aを除く部分が、導電部3の上記第1の部分である。複数の突起1a,3aは、導電部3の厚みが厚い上記第2の部分である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、導電性粒子1Aは、基材粒子2と、導電部3Aとを備える。
導電部3Aは、基材粒子2の表面上に配置されている。導電性粒子1Aは導電性の表面に、複数の突起1Aaを有する。導電部3Aは外表面に、複数の突起3Aaを有する。
導電性粒子1Aでは、複数の突起1Aa,3Aaの平均高さAは、複数の突起1Aa,3Aaの基部の平均最大径Bよりも大きい。
導電性粒子1,1Aのように、複数の突起1a,3a,1Aa,3Aaの平均高さAと、複数の突起1a,3a,1Aa,3Aaの基部の平均最大径Bとの関係は、適宜変更することができる。例えば、めっき成長の程度により、複数の突起1a,3a,1Aa,3Aaの基部の平均最大径Bとの関係を制御できる。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、導電性粒子1Bは、基材粒子2と、導電部3Bとを備える。
導電性粒子1と導電性粒子1Bとでは、導電部のみが異なっている。すなわち、導電性粒子1では、1層構造の導電部3が形成されているのに対し、導電性粒子1Bでは、多層(2層)の導電部3Bが形成されている。
導電部3Bは、第1の導電部3BA及び第2の導電部3BBを有する。第1,第2の導電部3BA,3BBは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の導電部3BBとの間に、第1の導電部3BAが配置されている。従って、基材粒子2の表面上に第1の導電部3BAが配置されており、第1の導電部3BAの表面上に第2の導電部3BBが配置されている。第1の導電部3BAの外形は球状である。導電性粒子1Bは導電性の表面に、複数の突起1Baを有する。導電部3Bは、外表面に複数の突起3Baを有する。第2の導電部3BBは外表面に、複数の突起3BBaを有する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、導電性粒子1Cは、基材粒子2と、導電部3と、絶縁性物質4を備える。導電性粒子1Cは、導電性の表面に複数の突起1Caを有する。
導電性粒子1Cは、導電性粒子1の外表面に絶縁性物質4が配置された導電性粒子である。導電部3の外表面上に、絶縁性物質4が配置されている。本実施形態では、絶縁性物質4は、絶縁性粒子である。導電部3の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質4により被覆されている。絶縁性物質4は絶縁性を有する材料により形成されている。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有することが好ましい。
図5は、本発明の第5の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、導電性粒子1Dは、基材粒子2と、導電部3Dとを備える。
導電部3Dは、基材粒子2の表面上に配置されている。導電性粒子1Dは導電性の表面に、複数の突起1Daを有する。導電部3Dは外表面に、複数の突起3Daを有する。
導電性粒子1Dは、基材粒子2の表面上に複数の芯物質5Dを有する。導電部3Dは、基材粒子2と芯物質5Dとを被覆している。芯物質5Dを導電部3Dが被覆していることにより、導電性粒子1Dは表面に、複数の突起1Daを有する。芯物質5Dにより導電部3Dの表面が隆起されており、複数の突起3Daが形成されている。
このように、突起を形成するために、芯物質を用いてもよいが、芯物質が用いられていないことが好ましい。突起の内側に芯物質が配置されていないことが好ましい。導電部における突起を導電部における突起が無い部分と一体的に形成することによって、突起がより一層折れにくくなる。
また、図7〜9(a),(b)に、実際に製造された導電性粒子の画像を示した。図7〜9(a),(b)に示す導電性粒子は、導電部の外表面に複数の突起を有する。上記突起のX線回折における(111)面の割合は50%以上である。上記突起の基部の平均最大径が上記の特定の範囲内である。
以下、導電性粒子をより詳しく説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
(導電性粒子)
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続に、より一層適した導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼結させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記コアの粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記コアの粒径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒径は、コアを任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が狭くなる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
[導電部]
上記導電部は導電層であることが好ましい。上記導電部の材料である金属は特に限定されない。上記導電部の材料である金属としては、金、銀、銅、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、リチウム、テルル、セレン、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウム、銅がより好ましい。突起を有する上記導電部は、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、タングステン、モリブデン、ルテニウム、白金、金、銀、ロジウム、イリジウム、リチウム、リン及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、タングステン、モリブデン、ルテニウム、白金、金、リン及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、銅と、ニッケルと、リン又はボロンとを含むことが更に好ましい。上記導電部の材料は、リン及びボロンなどを含む合金であってもよい。上記導電部では、ニッケルとタングステン又はモリブデンとが合金化していてもよい。上記導電部の融点は、好ましくは300℃以上、より好ましくは450℃以上である。
導電部の硬度をより一層高くし、電極間の接続時に、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜をより一層効果的に排除し、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電部は、銅又はニッケルを含む導電部を有することが好ましい。銅を含む導電部は銅を主金属として含むことが好ましい。上記銅を含む導電部100重量%中、銅の含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記銅を含む層100重量%中、銅の含有量は好ましくは75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、更に好ましくは95重量%以上である。銅の含有量が上記下限以上であると、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
突起を容易に形成可能であることから、上記導電部は、ニッケル、銅及びリンを含む導電部であるか、ニッケル及びパラジウムを含む導電部であるか、ニッケル及び鉄を含む導電部であるか、コバルト、ニッケル及びリンを含む導電部であることが好ましい。
突起を有する上記導電部はリン又はボロンを含むことが好ましく、上記ニッケルを含む導電部はリン又はボロンを含むことが好ましい。上記導電部がリン又はボロンを含む場合に、リン又はボロンを含む導電部100重量%中、リンとボロンとの合計の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、好ましくは10重量%以下である。リンとボロンとの合計の含有量が上記上限以下であると、導電部の抵抗がより一層低くなり、またニッケルなどの金属の含有量が相対的に多くなるので、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよく、複数の層(多層)により形成されていてもよい。すなわち、導電部は、単層であってもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が多層の導電部である場合に、導電部の最も外側に位置する導電部が、外表面に複数の突起を有する。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層又はパラジウム層であることがより好ましく、金層であることが特に好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
導電部の外表面に突起を形成する方法としては、下記の方法が挙げられる。
硫黄化合物と金属化合物の結晶改質剤を用い、縦方向と横方向のめっき成長速度の制御による無電解ニッケル合金めっきによる方法、還元剤としてヒドラジンを用いた無電解高純度ニッケルめっきによる方法、還元剤としてヒドラジンを用いた無電解パラジウム−ニッケル合金による方法、還元剤として次亜リン酸化合物を用いた無電解CoNiP合金めっき方法、並びに還元剤として次亜リン酸化合物を用いた無電解銅−ニッケル合金めっきによる方法等が挙げられる。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、硫黄化合物と金属化合物の結晶改質剤を用い、縦方向と横方向のめっき成長速度の制御により基材表面に無電解ニッケル合金めっき層及び導電部の外表面に突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、錯化剤、緩衝剤及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解ニッケル合金めっき方法において、還元剤として次亜リン酸化合物を含み、結晶改質剤として硫黄化合物及び金属化合物を含み、かつ非イオン系界面活性剤を含むニッケル−リン合金めっき液を用いることが好ましい。
無電解ニッケル−リン合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、ニッケル−リン合金を析出させることができ、ニッケル及びリンを含む導電層を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤に加えて、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の錯化剤を含有することが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000のポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記金属化合物の結晶改質剤には、異方成長促進の効果がある。上記結晶改質剤としては、鉛、ビスマス、タリウム、アンチモン、テルル等の1種又は2種以上の金属イオンを含有する結晶改質剤が挙げられる。例えば、硝酸鉛、酢酸鉛、硫酸鉛、塩化鉛、酢酸ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸タリウム、硝酸タリウム、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、テルル酸、塩化テルル、二酸化テルル等、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
また、上記金属化合物の結晶改質剤に加えて、異方成長促進効果を有する結晶改質剤として、硫黄化合物を使用することが好ましい。硫黄化合物の結晶改質剤としては、例えば、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボキシル基)、−CSSH(ジチオカルボキシル基)、−CSNH2(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)からなる1種又は2種以上の基を有する硫黄化合物が挙げられる。また、硫黄化合物は、有機硫黄化合物であってもよく、無機硫黄化合物であってもよい。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、システイン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン等並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、金属化合物の結晶改質剤と硫黄化合物の結晶改質剤とのモル比を制御することが望ましい。上記の硫黄化合物の使用量は、金属化合物に対するモル比で2倍から500倍であることが好ましい。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均最大径Bに対する比(平均高さA/平均最大径B)は、導電部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は30℃から100℃であることが好ましく、まためっき時間は5分以上であることが好ましい。析出反応速度を抑える観点から、めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、まためっき時間は好ましくは30分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、高純度ニッケルめっき層及び導電部の外表面に突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、錯化剤、緩衝剤、非イオン系界面活性剤、及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解高純度ニッケルめっき方法において、還元剤としてヒドラジン、結晶改質剤として硫黄化合物及び金属化合物を含む高純度ニッケルめっき液が好適に用いられる。
高純度ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、高純度ニッケルめっきを析出させることができ、高純度ニッケルの導電層を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、塩化ニッケルであることが好ましい。
上記の還元剤としては、ヒドラジン一水和物、塩酸ヒドラジン、及び硫酸ヒドラジンが挙げられる。上記の還元剤は、ヒドラジン一水和物であることが好ましい。
上記錯化剤としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤等が挙げられる。上記錯化剤は、アミノ酸系であるグリシンであることが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000のポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記金属化合物の結晶改質剤には、異方成長促進の効果がある。上記結晶改質剤としては、鉛、ビスマス、タリウム、アンチモン、テルル等の1種又は2種以上の金属イオンを含有する結晶改質剤が挙げられる。例えば、硝酸鉛、酢酸鉛、硫酸鉛、塩化鉛、酢酸ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸タリウム、硝酸タリウム、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、テルル酸、塩化テルル、二酸化テルル等、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
また、上記金属化合物の結晶改質剤に加えて、異方成長促進効果を有する結晶改質剤として、硫黄化合物を使用することが好ましい。硫黄化合物の結晶改質剤としては、例えば、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボキシル基)、−CSSH(ジチオカルボキシル基)、−CSNH2(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)からなる1種又は2種以上の基を有する硫黄化合物が挙げられる。また、硫黄化合物は、有機硫黄化合物であってもよく、無機硫黄化合物であってもよい。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、システイン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン等並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、金属化合物の結晶改質剤と硫黄化合物の結晶改質剤とのモル比を制御することが望ましい。上記の硫黄化合物の使用量は、金属化合物に対するモル比で2倍から500倍であることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、めっき液のpHを6.0以上に調整することが好ましい。還元剤としてヒドラジンを用いる無電解めっき液では、ヒドラジンの酸化反応によりニッケルを還元する際にpHの急激な低下をともなう。上記のpHの急激な低下を抑制するために、リン酸、ホウ酸、炭酸等の緩衝剤を用いることが好ましい。上記緩衝剤は、pH8.0以上の緩衝作用の効果があるホウ酸であることが好ましい。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均最大径Bに対する比(平均高さA/平均最大径B)は、導電部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは100℃以下であり、まためっき時間は好ましくは5分以上である。析出反応速度を抑える観点から、めっき温度は、好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、まためっき時間は好ましくは30分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、パラジウム−ニッケル合金めっき層及び導電部の突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、パラジウム化合物、安定剤、錯化剤、緩衝剤、非イオン系界面活性剤、及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解パラジウム−ニッケルめっき方法において、還元剤としてヒドラジンを含み、結晶改質剤として硫黄化合物及び金属化合物を含むパラジウム−ニッケル合金めっき液が好適に用いられる。
パラジウム−ニッケル合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、パラジウム−ニッケル合金めっきを析出させることができ、パラジウム−ニッケルの導電層を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記パラジウム含有化合物としては、ジクロロエチレンジアミンパラジウム(II)、塩化パラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム(II)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)硫酸塩、オキザラトジアンミンパラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)シュウ酸塩、及びテトラアンミンパラジウム(II)クロライド等が挙げられる。上記パラジウム含有化合物は、塩化パラジウムであることが好ましい。
上記の還元剤としては、ヒドラジン一水和物、塩酸ヒドラジン、及び硫酸ヒドラジンが挙げられる。上記の還元剤は、ヒドラジン一水和物であることが好ましい。
上記錯化剤としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤等が挙げられる。上記錯化剤は、アミノ酸系であるエチレンジアミンであることが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000のポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記金属化合物の結晶改質剤には、異方成長促進の効果がある。上記結晶改質剤としては、鉛、ビスマス、タリウム、アンチモン、テルル等の1種又は2種以上の金属イオンを含有する結晶改質剤が挙げられる。例えば、硝酸鉛、酢酸鉛、硫酸鉛、塩化鉛、酢酸ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸タリウム、硝酸タリウム、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、テルル酸、塩化テルル、二酸化テルル等、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
また、上記金属化合物の結晶改質剤に加えて、異方成長促進効果を有する結晶改質剤として、硫黄化合物を使用することが好ましい。硫黄化合物の結晶改質剤としては、例えば、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボキシル基)、−CSSH(ジチオカルボキシル基)、−CSNH2(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)からなる1種又は2種以上の基を有する硫黄化合物が挙げられる。また、硫黄化合物は、有機硫黄化合物であってもよく、無機硫黄化合物であってもよい。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、システイン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン等並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、金属化合物の結晶改質剤と硫黄化合物の結晶改質剤とのモル比を制御することが望ましい。上記の硫黄化合物の使用量は、金属化合物に対するモル比で2倍から500倍であることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、パラジウム化合物とニッケル化合物とのモル比を制御することが望ましい。上記のパラジウム化合物の使用量は、ニッケル化合物に対するモル比で50倍から500倍であることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、めっき液のpHを8.0から10.0に調整することが好ましい。pH7.5以下では、めっき液の安定性が低下し、浴分解を引き起こすため、pH8.0以上にすることが好ましい。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均最大径Bに対する比(平均高さA/平均最大径B)は、導電部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは100℃以下であり、まためっき時間は好ましくは5分以上である。析出反応速度を抑える観点から、めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、まためっき時間は好ましくは30分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、コバルトとニッケルを含む合金めっき層及び導電部の外表面に突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、コバルト含有化合物、無機添加剤、錯化剤、緩衝剤、非イオン系界面活性剤、及び還元剤を含有するめっき液を用いる無電解コバルト−ニッケル−リン合金めっき方法において、還元剤として次亜リン酸化合物を含み、還元剤の反応開始金属触媒としてコバルト含有化合物を含み、結晶改質剤として硫黄化合物及び金属化合物を含むコバルト−ニッケル−リン合金めっき液が好適に用いられる。
コバルト−ニッケル−リン合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、コバルト−ニッケル−リン合金を析出させることができ、コバルト、ニッケル、及びリンを含む導電層を形成できる。
上記コバルト含有化合物は、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、炭酸コバルであることが好ましい。上記コバルト含有化合物は、硫酸コバルトであることが好ましい。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤に加えて、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の錯化剤を含有することが好ましい。
上記無機添加剤は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及びホウ酸からなる群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記無機添加剤は、無電解コバルトめっき層の析出を促進させる作用をすると考えられる。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量1000のポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記金属化合物の結晶改質剤には、異方成長促進の効果がある。上記結晶改質剤としては、鉛、ビスマス、タリウム、アンチモン、テルル等の1種又は2種以上の金属イオンを含有する結晶改質剤が挙げられる。例えば、硝酸鉛、酢酸鉛、硫酸鉛、塩化鉛、酢酸ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸タリウム、硝酸タリウム、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、テルル酸、塩化テルル、二酸化テルル等、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
また、上記金属化合物の結晶改質剤に加えて、異方成長促進効果を有する結晶改質剤として、硫黄化合物を使用することが好ましい。硫黄化合物の結晶改質剤としては、例えば、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボキシル基)、−CSSH(ジチオカルボキシル基)、−CSNH2(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)からなる1種又は2種以上の基を有する硫黄化合物が挙げられる。また、硫黄化合物は、有機硫黄化合物であってもよく、無機硫黄化合物であってもよい。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、システイン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン等並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、金属化合物の結晶改質剤と硫黄化合物の結晶改質剤とのモル比を制御することが望ましい。上記の硫黄化合物の使用量は、金属化合物に対するモル比で2倍から500倍であることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、コバルト化合物とニッケル化合物とのモル比を制御することが望ましい。上記のコバルト化合物の使用量は、ニッケル化合物に対するモル比で50倍から500倍であることが好ましい。
また、突起を形成するためには無機添加剤を用いることが好ましく、硫酸アンモニウムを用いることが特に好ましい。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均最大径Bに対する比(平均高さA/平均最大径B)は、導電部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは100℃以下であり、まためっき時間は好ましくは5分以上である。析出反応速度を抑える観点から、めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、まためっき時間は好ましくは30分以上である。
次に、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、銅とニッケルを含む合金めっき層及び導電部の外表面に突起を形成する方法の例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が用いられる。また、上記還元剤として、リン含有還元剤を用いることで、リンを含む導電層を形成できる。
上記無電解めっき工程では、銅含有化合物、錯化剤、緩衝剤、及び還元剤を含有する無電解銅−ニッケル−リン合金めっき方法において、還元剤として次亜リン酸化合物を用い、さらに還元剤の反応開始金属触媒としてニッケル含有化合物用い、結晶改質剤として硫黄化合物及び金属化合物を含み、非イオン系界面活性剤を含有する銅−ニッケル−リン合金めっき液が好適に用いられる。
銅−ニッケル−リン合金めっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、銅−ニッケル−リン合金を析出させることができ、銅とニッケル、リンを含む導電層を形成できる。
上記銅含有化合物としては、硫酸銅及び塩化第二銅、硝酸銅等が挙げられる。上記銅含有化合物は、硫酸銅であることが好ましい。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記リン含有還元剤に加えて、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、並びに、これらの塩からなる群からなる群より選択される少なくとも1種の錯化剤を含有することが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系または両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、1分子内に、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、エチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられ、好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。このような界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。特に分子量1000のポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
上記金属化合物の結晶改質剤には、異方成長促進の効果がある。上記結晶改質剤としては、鉛、ビスマス、タリウム、アンチモン、テルル等の1種又は2種以上の金属イオンを含有する結晶改質剤が挙げられる。例えば、硝酸鉛、酢酸鉛、硫酸鉛、塩化鉛、酢酸ビスマス、硝酸ビスマス、硫酸ビスマス、硫酸タリウム、硝酸タリウム、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム、テルル酸、塩化テルル、二酸化テルル等、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
また、上記金属化合物の結晶改質剤に加えて、異方成長促進効果を有する結晶改質剤として、硫黄化合物を使用することが好ましい。硫黄化合物の結晶改質剤としては、例えば、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボキシル基)、−CSSH(ジチオカルボキシル基)、−CSNH2(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)からなる1種又は2種以上の基を有する硫黄化合物が挙げられる。また、硫黄化合物は、有機硫黄化合物であってもよく、無機硫黄化合物であってもよい。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオジグリコール酸、システイン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン−α−スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン等並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の硫黄化合物の結晶改質剤を用いることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、金属化合物の結晶改質剤と硫黄化合物の結晶改質剤とのモル比を制御することが望ましい。上記の硫黄化合物の使用量は、金属化合物に対するモル比で2倍から500倍であることが好ましい。
導電部の外表面に突起を形成するためには、銅化合物とニッケル化合物のモル比を制御することが望ましい。上記の銅化合物は、ニッケル化合物に対するモル比で50倍から500倍とすることが好ましい。
複数の上記突起の平均高さAの、複数の上記突起の基部の平均径Bに対する比(平均高さA/平均径B)は、導電層の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間で制御する事ができる。めっき温度は、30℃から100℃程度が好ましく、まためっき時間は5分以上であることが好ましい。特に多角柱状の形状を有する突起を形成するためには、析出反応速度を抑えるために、めっき温度は30℃から60℃がより好ましく、まためっき時間は30分以上であることがより好ましい。
上記突起が無い部分における導電部全体の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。導電部全体の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。導電部全体の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から導電部が剥離し難くなる。上記導電部の厚みは、導電部が複数の導電部(第1の導電部と第2の導電部)を有する場合には、導電部全体の厚み(第1,第2の導電部の合計の厚み)を示す。
上記導電部が複数の導電部を有する場合に、最外層の上記突起が無い部分における導電部の厚みは、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。上記最外層の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆を均一にでき、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が内層の導電部よりも高価である場合に、最外層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定可能である。
[絶縁性物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有するので、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
熱圧着時の絶縁性粒子の脱離性をより一層高める観点からは、絶縁性粒子は、無機粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることが好ましい。上記無機粒子としては、シラス粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、マグネシア粒子、酸化ジルコニウム粒子及びシリカ粒子等が挙げられる。上記シリカ粒子としては、粉砕シリカ、球状シリカが挙げられ、球状シリカを用いることが好ましい。
上記導電部の表面上に絶縁性物質を配置する方法としては、公知の方法を採用可能である。
上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択可能である。上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁性物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁性物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁性物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は湿気硬化性樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
本発明に係る導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。上記接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されていることが好ましい。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部の材料が上述した導電性粒子であるか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料である接続構造体であることが好ましい。上記接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。
図6に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図6に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂(硬化したバインダー樹脂など)とを含む。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料により形成されている。接続部54は、導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、図6では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子1A,1B,1C,1Dなどの他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、SUS電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
粒子径が2.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(基材粒子A、積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(後述する実施例でも使用)を得た。
また、無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、硝酸ビスマス1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール10mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム10g/Lと、グリシン35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液500mlを2ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:102nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
(実施例2)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸銅150g/Lと、硫酸ニッケル5g/Lと、硝酸ビスマス0.5mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール5mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH8に調整しためっき液を用意した。
このめっき液150mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面に銅−ニッケル−リン合金導電層(厚み:101nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例3)
無電解高純度ニッケルめっき液として、塩化ニッケル40g/Lと、硝酸ビスマス0.5mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール5mg/Lと、ヒドラジン一水和物80g/Lと、グリシン50g/Lと、ホウ酸20g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH10に調整しためっき液を用意した。
このめっき液2000mlを20ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、60℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面に高純度ニッケル導電層(厚み:103nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例4)
無電解パラジウム−ニッケル合金めっき液として、塩化パラジウム60g/Lと、硫酸ニッケル3g/Lと、硝酸ビスマス0.1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール1mg/Lと、ヒドラジン一水和物80g/Lと、エチレンジアミン25g/Lと、DL−りんご酸30g/Lと、酢酸リチウム二水和物6g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH8に調整しためっき液を用意した。
このめっき液1000mlを10ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、50℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にパラジウム−ニッケル合金導電層が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例5)
無電解コバルト−ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸コバルト70g/Lと、硫酸ニッケル5g/Lと、硝酸ビスマス0.8mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール8mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、硫酸アンモニウム50g/Lと、ピロリン酸ナトリウム20g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH10に調整しためっき液を用意した。
このめっき液1000mlを10ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にコバルト−ニッケル−リン合金導電層(厚み:100nm)が配置された導電性粒子を得た。外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例6)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、次亜リン酸ナトリウム50g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、コハク酸ナトリウム20g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液250mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、40℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−リン合金導電層(厚み:51nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−リン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、硝酸ビスマス1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール10mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム10g/Lと、グリシン35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液250mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部のニッケル−リン合金導電層(厚み:53nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例7)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、ジメチルアミンボラン80g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、クエン酸ナトリウム30g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液250mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層(厚み:50nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、硝酸ビスマス1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール10mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム5g/Lと、グリシン25g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液250mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部のニッケル−リン合金導電層(厚み:52nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例8)
第1の導電部の無電解銅めっき液として、硫酸銅200g/Lと、エチレンジアミン四酢酸150g/Lと、グルコン酸ナトリウム100g/Lと、ホルムアルデヒド50g/Lとの混合液を、アンモニアにてpH10.5に調整した銅めっき液を用意した。
このめっき液250mlを10ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、65℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部の銅導電層(厚み:51nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部の銅導電層が配置された導電性粒子を蒸留水100重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。パラジウム触媒液を5重量%含む酸性溶液100重量部に、上記懸濁液を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、第1の導電部の銅導電層が配置された導電性粒子を取り出した。次いで、第1の導電部の銅導電層が配置された導電性粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、第1の導電部の銅導電層の表面を活性化させた。表面が活性化された第1の導電部の銅導電層が配置された導電性粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、硝酸ビスマス1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール10mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム10g/Lと、グリシン35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液250mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、55℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部のニッケル−リン合金導電層(厚み:50nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例9)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、ジメチルアミンボラン80g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、クエン酸ナトリウム30g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液450mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層(厚み:90nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の置換金めっき液として、シアン化金カリウム10g/Lと、クエン酸ナトリウム45g/Lと、エチレンジアミン四酢酸5g/Lと、水酸化ナトリウム20g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液700mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部の金導電層(厚み:21nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例10)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、ジメチルアミンボラン80g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、クエン酸ナトリウム30g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液450mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層(厚み:90nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の置換銀めっき液として、シアン化銀カリウム10g/Lと、シアン化カリウム80g/Lと、エチレンジアミン四酢酸5g/Lと、水酸化ナトリウム20g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液700mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、35℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部の銀導電層(厚み:20nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例11)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、ジメチルアミンボラン80g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、クエン酸ナトリウム30g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液450mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層(厚み:90nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の無電解パラジウムめっき液として、硫酸パラジウム12g/Lと、エチレンジアミン30ml/Lと、ギ酸ナトリウム80g/Lと、サッカリン酸ナトリウム5mg/Lとの混合液を、アンモニアにてpH8に調整しためっき液を用意した。
このめっき液600mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、50℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部のパラジウム導電層(厚み:19nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例12)
第1の導電部の無電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき液として、硫酸ニッケル100g/Lと、ジメチルアミンボラン80g/Lと、タングステン酸ナトリウム2g/Lと、クエン酸ナトリウム30g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液450mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1で得られた懸濁液に滴下した。反応温度は、45℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗することにより、樹脂粒子の表面に第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層(厚み:90nm)が配置された導電性粒子を得た。第1の導電部のニッケル−タングステン−ボロン合金導電層が配置された導電性粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、第2の懸濁液を得た。
次に、第2の導電部の無電解高純度ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル40g/Lと、ヒドラジン一水和物80g/Lと、グリシン50g/Lと、ホウ酸20g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH9に調整しためっき液を用意した。
このめっき液400mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記第2の懸濁液に滴下した。反応温度は、70℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、第1の導電部の表面上に第2の導電部の高純度ニッケル導電層(厚み:21nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例13)
基材粒子Aを、基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が2.0μmである基材粒子B(樹脂粒子)に変更した。
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル250g/Lと、硝酸ビスマス5mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール50mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム10g/Lと、グリシン35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。
このめっき液1000mlを2ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記懸濁液に滴下した。反応温度は、50℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:102nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記の基材粒子Bを用い、更に上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例14)
基材粒子Aを、基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が4.5μmである基材粒子C(樹脂粒子)に変更した。
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、無電解ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸ニッケル50g/Lと、硝酸ビスマス0.1mg/Lと、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール1mg/Lと、次亜リン酸ナトリウム100g/Lと、クエン酸ナトリウム10g/Lと、グリシン35g/Lと、ホウ酸10g/Lと、非イオン系界面活性剤としてポリエチレングリコール1000(分子量:1000)10mg/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH7に調整しためっき液を用意した。
このめっき液500mlを2ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、上記懸濁液に滴下した。反応温度は、60℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:101nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に複数の突起を有していた。
上記の基材粒子Cを用い、更に上記のめっき方法で導電部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例15)
粒子径が2.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−202」)の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いてシリカシェル(厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子D)を得た。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。このようにして、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:100nm)が配置された導電性粒子を得た。
(実施例16)
攪拌機及び温度計が取り付けられた500mLの反応容器内に、0.13重量%のアンモニア水溶液300gを入れた。次に、反応容器内のアンモニア水溶液中に、メチルトリメトキシシラン4.1gと、ビニルトリメトキシシラン19.2gと、シリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学工業社製「X−41−1053」)0.7gとの混合物をゆっくりと添加した。撹拌しながら、加水分解及び縮合反応を進行させた後、25重量%アンモニア水溶液2.4mLを添加した後、アンモニア水溶液中から粒子を単離して、得られた粒子を酸素分圧10−17atm、350℃で2時間焼成して、粒子径が2.5μmの有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子E)を得た。
上記基材粒子Aを上記基材粒子Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:102nm)が配置された導電性粒子を得た。
(実施例17)
基材粒子Aを、基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が10.0μmである基材粒子Fに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。このようにして、樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:101nm)が配置された導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に多角柱状ではなく多面体状の複数の突起を有していた。
(実施例18)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。0.3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は40%であった。
(比較例1)
粒子径が2.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(基材粒子A、積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。
上記ジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に樹脂粒子を添加し、パラジウムが付着された樹脂粒子を得た。
パラジウムが付着された樹脂粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(球状のニッケル粒子を含む、芯物質であるニッケルの平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された樹脂粒子を含む懸濁液を得た。
また、無電解ニッケル−リンめっき液として、硫酸ニッケル200g/Lと、次亜リン酸ナトリウム50g/Lと、めっき安定剤(ビスマス化合物)10ml/Lと、コハク酸ナトリウム20g/Lとの混合液を、水酸化ナトリウムにてpH6に調整しためっき液を用意した。このめっき液500mlを5ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液に滴下した。反応温度は、60℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、芯物質が付着された樹脂粒子の表面にニッケル−リン合金導電層(厚み:105nm)が配置された導電性粒子を得た。
(比較例2)
導電部の外表面に突起を形成せずに、導電部の外形が球状であるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(評価)
(1)導電部の面格子の評価
X線回折装置(理学電機社製「RINT2500VHF」)を用いて、回折角に依存する装置固有の回折線のピーク強度比を算出した。金層の回折線全体の回折ピーク強度に占める(111)方位の回折ピーク強度の割合((111)面の割合)を求めた。
(2)導通信頼性(接続抵抗)
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体15個の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗を下記の基準で判定した。
[接続抵抗の判定基準]
○○○:接続抵抗が5.0Ω以下
○○:接続抵抗が5.0Ωを超え、8.0Ω以下
○:接続抵抗が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗が15.0Ωを超える
(3)絶縁信頼性
上記(2)の評価で得られた接続構造体15個を、85℃及び湿度85%にて500時間放置した。放置後の接続構造体において、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定して、絶縁抵抗の平均値を算出した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○○:絶縁抵抗が1000MΩ以上
○○:絶縁抵抗が500MΩ以上、1000MΩ未満
○:絶縁抵抗が100MΩ以上、500MΩ未満
△:絶縁抵抗が10MΩ以上、100MΩ未満
×:絶縁抵抗が10MΩ未満
結果を下記の表1に示す。また、下記の表1では、複数の上記突起の平均高さA、複数の上記突起の基部の平均最大径B、導電性粒子1個あたりに含まれる突起の全個数100%中、基部の最大径が200nm以下である突起の個数の割合X、導電性粒子1個あたりに含まれる突起の全個数100%中、基部の最大径が導電性粒子の粒子径の10%以下である突起の個数の割合Z、並びに導電部の外表面の表面積の全体100%中、突起が形成されている表面積の割合Yを示した。