JP2016118498A - 異常診断装置、軸受装置、産業機械及び車両 - Google Patents

異常診断装置、軸受装置、産業機械及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】摩耗粉含有量に基づく正確な異常診断を比較的容易に行うことが可能な異常診断装置、軸受装置、産業機械及び車両を提供することを目的としている。【解決手段】異常診断装置4を、同一条件下で使用される同型の複列円筒ころ軸受3A〜3Dそれぞれの内部に供給される潤滑油中に含まれる金属粉含有量を検出する金属粉含有量センサ40A〜40Dと、複列円筒ころ軸受3A〜3Dそれぞれの金属粉含有量の相対値を算出し、算出した相対値と予め設定した相対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき複列円筒ころ軸受3A〜3Dの異常を診断する異常診断部46とを備える構成とした。【選択図】 図5

Description

本発明は、軸受の異常診断に関する。
従来、軸受の転動体を潤滑する潤滑剤中の摩耗粉の含有状態に基づき軸受の異常診断を行う技術として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この技術は、風力発電装置のブレード用軸受の転動体を潤滑する潤滑剤中の金属粉の含有状態を、潤滑剤(グリース)の光透過度として検出し、この光透過度を閾値と比較して異常診断を行うものである。
特開2010−72289号公報
しかしながら、上記従来技術では、回避したい事象に応じて診断閾値を設定することについて、対象となる軸受それぞれの個体差までは考慮されていない。そのため、製品量産時に同型製品共通の絶対的な診断閾値を設定するにあたっては大量のバックデータと統計的な判断が必要になり適切な診断閾値設定までに多くの検証が必要となる問題があった。
また、軸受は接触面剥離や金属保持器破損が起こると、正常状態に比べ潤滑油内の金属粉含有量が増加するため、これを検出することで軸受の破損状況を確認することができる。ところが、測定値を直接閾値と比較する絶対値診断の場合、経年磨耗による正常な金属粉増加なのか破損による金属粉増加なのかの区別が付かない。そのため、診断のたびに経過時間、総回転数、使用状況に応じた磨耗情報との比較診断を行う必要があり、これにおいても大量のバックデータと統計的な判断が必要で多くの検証が必要となる問題があった。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、摩耗粉含有量に基づく正確な異常診断を比較的容易に行うことが可能な異常診断装置、軸受装置、産業機械及び車両を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る異常診断装置は、同一条件下で使用される同型の複数の軸受それぞれの内部に供給される潤滑剤中に含まれる摩耗粉の含有量である摩耗粉含有量を検出する複数の摩耗粉含有量検出部と、複数の摩耗粉含有量検出部で検出した複数の軸受に対応する複数の摩耗粉含有量の相対値を算出し、算出した相対値と予め設定した相対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき複数の軸受の異常を診断する相対値異常診断部と、を備える。
また、本発明の第2の態様に係る軸受装置は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第3の態様に係る産業機械は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第4の態様に係る車両は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
本発明によれば、同一条件下で使用される同型の複数の軸受について、軸受内部の潤滑剤に含まれる摩耗粉含有量の相対値を算出し、算出した相対値に対して診断閾値との比較を行い、この比較結果に基づき異常診断を行うことが可能である。これによって、軸受の稼働中に異常診断を行うことが可能となるので異常の早期発見が可能になり、事故や装置故障が未然に防げると共にメンテナンス効率の向上が可能になるという効果が得られる。加えて、従来と比較して、個体差に起因した初期値のばらつきを無視することが可能となり、個体差によるばらつきを無視した(相対値のみに着目した)診断閾値設定を行うことが可能となる。その結果、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。また、相対比較を行うようにしたので、周辺環境や経年劣化による誤診断を低減し、故障による磨耗を的確に検出することが可能になるという効果も得られる。
(a)及び(b)は、鉄道車両1の概略構成を示す模式図である。 回転装置2の要部の詳細な構成を示す模式図である。 金属粉含有量センサ40の一構成例を示すブロック図である。 異常診断装置4の一構成例を示す模式図である。 診断処理装置41の一構成例を示すブロック図である。 異常診断部46のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 異常診断部46の機能構成の一例を示すブロック図である。 異常診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 異常診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、部材ないし部分の縦横の寸法や縮尺は実際のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法や縮尺は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(実施形態)
(構成)
本発明の一実施形態に係る鉄道車両1は、図1(a)に示すように、複数の回転装置2と、複数の異常診断装置4と、を含んで構成される。
複数の回転装置2は、図1(b)に示すように、それぞれ、車軸AXと、車軸AXを支持する一対の複列円筒ころ軸受3と、車軸AXの複列円筒ころ軸受3よりも内側の端部に取り付けられた一対の車輪WHとを備える。
また、異常診断装置4は、図1(a)及び(b)に示すように、共通の台車フレームFRに設けられた一対の回転装置2を構成する二対の複列円筒ころ軸受3にそれぞれ設けられた計4つの金属粉含有量センサ40を含んで構成される。加えて、異常診断装置4は、4つの金属粉含有量センサ40の検出結果に基づき二対の複列円筒ころ軸受3の異常を診断する診断処理装置41を含んで構成される。
複列円筒ころ軸受3は、図2(a)及び(b)に示すように、車軸AXと共に回転する内輪22と、内輪22に対向配置された第1外輪24a及び第2外輪24bとを備える。
内輪22は、車軸AXに外嵌されており、この内輪22の外側に対向して第1外輪24a及び第2外輪24bが環状の軸箱10に固定されている。
更に、内輪22は、第1外輪24aとの対向面に周方向に連続して形成された第1内輪軌道面22Saと、第2外輪24bとの対向面に周方向に連続して形成された第2内輪軌道面22Sbとを備える。
第1外輪24aは、第1内輪軌道面22Saとの対向面に周方向に連続して形成された第1外輪軌道面24Saを備え、第2外輪24bは、第2内輪軌道面22Sbとの対向面に周方向に連続して形成された第2外輪軌道面24Sbを備える。即ち、第1外輪24aの内周面に第1外輪軌道面24Saが形成され、第2外輪24bの内周面に第2外輪軌道面24Sbが形成されている。
また、第1外輪24a及び第2外輪24bは、外輪間座12を介在した状態で複列に構成されている。
そして、内輪22は、複列の第1外輪軌道面24Sa及び第2外輪軌道面24Sbに対向する外周面に第1内輪軌道面22Sa及び第2内輪軌道面22Sbが形成されている。
また、複列円筒ころ軸受3は、第1内輪軌道面22Saと第1外輪軌道面24Saとの間に転動自在に組み込まれた複数の第1転動体(ころ)26aと、第2内輪軌道面22Sbと第2外輪軌道面24Sbとの間に転動自在に組み込まれた複数の第2転動体(ころ)26bとを備える。
更に、複列円筒ころ軸受3は、複数の第1転動体(ころ)26aを1つずつ回転自在に保持しながら、内輪22及び第1外輪24a間に沿って公転する第1保持器28aと、複数の第2転動体(ころ)26bを1つずつ回転自在に保持しながら、内輪22及び第2外輪24b間に沿って公転する第2保持器28bとを備える。
このような構成において、外輪間座12を介して複列配置された第1外輪24a及び第2外輪24bは、軸箱10に嵌合した前蓋30と後蓋32との間に挟持された状態で固定されている。後蓋32は、車軸AXに外嵌された油切り部材16に外嵌して位置決めされている。この状態において、軸端ナット14によって内輪22を油切り部材16に当て付けてボルト34で締め付けることで、内輪22を、軸箱10に固定された第1外輪24a及び第2外輪24bに対向させて、車軸AXに固定させる。
なお、前蓋30は、車軸AXの軸端側全体を覆うように軸箱10に嵌合されており、一方、後蓋32と油切り部材16との間には、異物(水や塵埃など)の浸入防止及び後述する潤滑剤(油)の漏洩防止を図るために密封機構が構築されている。本実施形態では、後蓋32と油切り部材16との間の密封機構として、オイルシール35とラビリンスシール36とを併用している。なお、これら各シール35,36の種類や形状は、例えば複列円筒ころ軸受3の使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。また、複列円筒ころ軸受3に対する密封性能を更に向上させるため、前蓋30及び後蓋32と軸箱10とが嵌合する各部にOリング37を介在させている。
この構成において、車軸AXを回転させると、内輪22と、第1外輪24a及び第2外輪24bとが相対回転する間(軸受回転中)に、複数の第1転動体26aは、第1内輪軌道面22Sa及び第1外輪軌道面24Saに沿って転動し、複数の第2転動体26bは、第2内輪軌道面22Sb及び第2外輪軌道面24Sbに沿って転動する。このとき、軸受回転中における潤滑性能を一定に維持し、円滑な回転性能を実現するために、本実施形態の複列円筒ころ軸受3は、油浴潤滑を行うための油浴潤滑構成を備えている。
油浴潤滑構成において、軸箱10の内周の下部側(図2(a)及び(b)中下側)には、所定量の潤滑油を溜めるための軸箱油溜り部10gが第1外輪24a及び第2外輪24bに対向して設けられている。軸箱油溜り部10gは、水平方向に延出する車軸AXに複列円筒ころ軸受3をセットした状態において、垂直下方に位置して設けられている。これにより、複列円筒ころ軸受3に封入された潤滑油は、その自重により常に軸箱油溜り部10gに流れ込むことになる。
また、軸箱油溜り部10gの両側には、それぞれ前蓋側油路10aと後蓋側油路10bとが設けられている。前蓋側油路10aは、前蓋30寄りの第1外輪24aと軸箱10との間に設けられており、前蓋内部30pに連通している。一方、後蓋側油路10bは、後蓋32寄りの第2外輪24bと軸箱10との間に構成されており、後蓋内部32pに連通している。
ここで、前蓋内部30pは、前蓋30と複列円筒ころ軸受3と車軸AXの軸端とで囲まれた領域から構成される。
また、後蓋内部32pは、後蓋32と油切り部材16と軸箱10と複列円筒ころ軸受3とで囲まれた領域から構成される。
更に、外輪間座12には、その外周を一部周方向に沿って連続して窪ませたグルービング溝12gが形成されていると共に、外輪間座12を半径方向に貫通して形成された複数の貫通穴12hがグルービング溝12gに沿って所定間隔(例えば、等間隔)で設けられている。各貫通穴12hの大きさ(穴径)や数は、例えば外輪間座12やグルービング溝12gの大きさ(幅寸法、周方向長さ)、或いは、潤滑油の種類(例えば、粘度)や、軸受回転時における潤滑油の循環速度に応じて任意に設定される。そのため、ここでは特に限定しない。
また、複数の貫通穴12hの形状は、円形の丸穴に限定されることは無く、グルービング溝12gに沿って所定量延長させた長穴形状の貫通穴12hとしても良い。更に、例えば、長穴形状の貫通穴12hと丸穴形状の貫通穴12hとを混在させても良い。この場合、当該外輪間座12を第1外輪24a及び第2外輪24b相互間に介在させる際には、長穴形状の貫通穴12hが軸箱油溜り部10gに対向するように位置決めすることが好ましい。
上述したように、軸箱油溜り部10gは、水平方向に延出する車軸AXに複列円筒ころ軸受3をセットした状態において、垂直下方に位置して設けられている。このため、長穴形状の貫通穴12hを軸箱油溜り部10gに対向させることで、複列円筒ころ軸受3に封入された潤滑油を、その自重により長穴形状の貫通穴12hを介してスムーズに軸箱油溜り部10gに流れ込ませることができる。
また、外輪間座12の外周に形成されたグルービング溝12gは、軸受回転時における遠心力によって貫通穴12hから排出された潤滑油を、当該グルービング溝12gに沿って周方向に移動させて、軸箱油溜り部10gにスムーズに流入させる機能を有する。更に、複数の貫通穴12hは、軸受回転時に撹拌された潤滑油を軸箱油溜り部10gに向けて回収させる機能と同時に、回収した潤滑油を軸箱油溜り部10gから軸受内部に向けて給油(循環)させる機能を有する。
このような複列円筒ころ軸受3によれば、軸受回転時に、車軸AXと共に内輪22が回転すると、軸箱10の内部に封入された潤滑油は、外輪間座12の各貫通穴12hから内輪22と、第1外輪24a及び第2外輪24bとの間に流入した後、その流れ方向が軸方向に沿って2方向に分岐する。この場合、その一方の流れ方向Faでは、潤滑油を前蓋内部30pに向けて還流させると共に、その他方の流れ方向Fbでは、潤滑油をリング部材38に向けて環流させる。
この結果、潤滑油は、前蓋内部30pを経由した後、前蓋側油路10aから再び軸箱油溜り部10gに戻される。
一方、リング部材38まで誘導され且つ環流した潤滑油は、後蓋内部32pを経由した後、後蓋側油路10bから再び軸箱油溜り部10gに戻される。更に、リング部材38が油切り部材16の外径よりも大きな径寸法を有することにより、リング部材38まで誘導され且つ環流した潤滑油は、当該リング部材38によって振り飛ばされる。これにより、オイルシール35への潤滑油の過剰な浸入が防止され、その結果、オイルシール35からの潤滑油の漏洩防止が図られる。
このように、前蓋側油路10a及び後蓋側油路10bから軸箱油溜り部10gに戻された潤滑油は、リング部材38の回転に伴って、再び外輪間座12の各貫通穴12hから内輪22と、第1外輪24a及び第2外輪24bとの間に流入する。これにより、軸箱10内部には、潤滑油の循環経路が構成され、この循環経路に沿って潤滑油を循環させることができる。
また、金属粉含有量センサ40は、図3に示すように、金属粉検出部42と、信号処理ユニット43とを含んで構成される。なお、金属粉含有量センサ40は、潤滑油中に配置され、潤滑油中の金属粉含有量を検出するセンサである。
金属粉検出部42は、側面視略U字状の検出枠42aと、発光用光ファイバ42bと、受光用光ファイバ42cと、反射鏡42dとを含んで構成される。
発光用光ファイバ42b及び受光用光ファイバ42cは、それぞれ一端側が検出枠42aの下端部を貫通して内側に発光端と受光端とが配置されるように接続されている。
反射鏡42dは、発光用光ファイバ42b及び受光用光ファイバ42cの発光端及び受光端に対して鏡面が対向するように設けられている。なお、発光端及び受光端と反射鏡42dの鏡面との間の距離dgは、潤滑油の種類や循環速度等に応じて金属粉の検出に適した距離に設計する。
信号処理ユニット43は、回路基板43aと、回路基板43a上に実装された、発光素子駆動回路43bと、発光素子43cと、受光素子43dと、増幅器43fと、無線送信回路43gとを含んで構成される。
発光素子駆動回路43bは、発光素子43cの駆動及び調光を行う回路である。
発光素子43cは、例えば、LED等から構成され、発光素子駆動回路43bによって駆動されて所定波長の光を出力する。発光素子43cは、発光用光ファイバ42bの他端部と接続用コネクタ等を介して接続され、発光素子43cの出力光は、発光用光ファイバ42bの他端側の接続部を介して発光用光ファイバ42b内へと入射される。この入射光Leは、発光用光ファイバ42bの内部を伝わって発光用光ファイバ42bの一端側(金属粉検出部42側)から出射する。この出射した光Leは、更に潤滑油中を通って反射鏡に入射する。反射鏡に入射した光Leは、鏡面で反射し、この反射光Lrが受光用光ファイバ42cの一端側に入射する。
受光素子43dは、例えば、フォトダイオード等から構成されている。受光素子43dは、受光用光ファイバ42cの他端部と接続用コネクタ等を介して接続されている。従って、受光用光ファイバ42cの一端側から入射され内部を伝わって他端側から出射した反射光Lrは、受光素子43dで受光される。受光素子43dは、受光した反射光Lrを光電変換して電気信号へと変換し、この反射光Lrに応じた電気信号を増幅器43fに出力する。
増幅器43fは、受光素子43dから入力された電気信号を増幅し、金属粉含有量信号Mとして、無線送信回路43gに出力する。
無線送信回路43gは、増幅器43fから入力された金属粉含有量信号Mを、診断処理装置41に無線送信する回路である。
なお、本実施形態の潤滑油中に含まれる金属粉は、主に複列円筒ころ軸受3を構成する金属部品の摩耗粉が該当し、例えば、アルミニウム、錫、銅などの非磁性金属の摩耗粉、鉄などの磁性体の摩耗粉が含まれる。これらの金属粉が潤滑油中に存在すると光の透過率が変化する。具体的には、金属粉の含有量が多いほど光の透過率が低下する。従って、潤滑油中を通って減衰した光(反射光Lr)の強度から金属粉含有量を検出することが可能である。
また、本実施形態では、図2(a)及び(b)に示すように、軸箱油溜り部10g内に金属粉検出部42が設けられている。金属粉検出部42は、軸箱油溜り部10gの内壁に、例えば、全体が潤滑油内に漬かるように固定配置されている。更に、本実施形態では、軸箱10の外周面に信号処理ユニット43が設けられている。
異常診断装置4は、具体的に、図4に示すように、共通の台車フレームFRに対応する4つの複列円筒ころ軸受3A〜3Dに設けられた計4つの金属粉含有量センサ40A〜40Dと、診断処理装置41とを含んで構成される。
なお、複列円筒ころ軸受3A〜3Dは同一構成であり、それぞれを区別するために末尾にA〜Dの符号を付している。同様に、金属粉含有量センサ40A〜40Dも同一構成であり、それぞれを区別するために末尾にA〜Dの符号を付している。
また、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのグループは、例えば、同型の軸受であってかつ共通の台車フレームに設けられた一対の回転装置2を構成する軸受といったように、予め設定した同一条件を満たすグループが選定される。
即ち、例えば複数の車輪を有する自動車や鉄道車両の台車等の回転軸の支持に使用される軸受など、略同一の環境下で使用される複数の軸受が同一条件を満たす軸受のグループに該当する。
診断処理装置41は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dに摩耗や破損等の異常が生じているか否かを診断し、且つ、異常が生じている部品を特定する為に、金属粉含有量センサ40A〜40Dの出力した電気信号等を演算処理するものである。診断処理装置41は、例えば、鉄道車両1の各台車に設置される。
具体的に、診断処理装置41は、図5に示すように、第1のI/F部44Aと、第2のI/F部44Bと、第3のI/F部44Cと、第4のI/F部44Dと、異常診断部46とを含んで構成される。
第1のI/F部44Aは、金属粉含有量センサ40Aから出力されるアナログの電気信号である複列円筒ころ軸受3Aの潤滑油中に含まれる金属粉含有量を示す金属粉含有量信号M(以下、「第1金属粉含有量信号Ma」と称す)を、後段の異常診断部46で演算処理可能な信号形式に変換するものである。
ここで、本実施形態では、異常診断部46は、CPU(Central Processing Unit)等が搭載されたマイクロコンピュータ(マイコン)から構成されている。
従って、本実施形態の第1のI/F部44Aは、図示省略するが、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器、ACカップリングのためのコンデンサ、信号増幅のための信号増幅器等を含んで構成されている。
第1のI/F部44Aは、変換後のデジタルの金属粉含有量信号(以下、「第1金属粉含有量信号Mad」と称す)を、異常診断部46に出力する。
第2〜第4のI/F部44B〜44Dは、第1のI/F部44Aと同様の構成を有している。
第2のI/F部44Bは、金属粉含有量センサ40Bから出力される複列円筒ころ軸受3Bの潤滑油中に含まれる金属粉含有量を示すアナログの金属粉含有量信号M(以下、「第2金属粉含有量信号Mb」と称す)を、後段の異常診断部46で演算処理可能な信号形式に変換するものである。第2のI/F部44Bは、変換後のデジタルの金属粉含有量信号(以下、「第2金属粉含有量信号Mbd」と称す)を、異常診断部46に出力する。
第3のI/F部44Cは、金属粉含有量センサ40Cから出力される複列円筒ころ軸受3Cの潤滑油中に含まれる金属粉含有量を示すアナログの金属粉含有量信号M(以下、「第3金属粉含有量信号Mc」と称す)を、後段の異常診断部46で演算処理可能な信号形式に変換するものである。第3のI/F部44Cは、変換後のデジタルの金属粉含有量信号(以下、「第3金属粉含有量信号Mcd」と称す)を、異常診断部46に出力する。
第4のI/F部44Dは、金属粉含有量センサ40Dから出力される複列円筒ころ軸受3Dの潤滑油中に含まれる金属粉含有量を示すアナログの電気信号である金属粉含有量信号M(以下、「第4金属粉含有量信号Md」と称す)を、後段の異常診断部46で演算処理可能な信号形式に変換するものである。第4のI/F部44Dは、変換後のデジタルの金属粉含有量信号(以下、「第4金属粉含有量信号Mdd」と称す)を、異常診断部46に出力する。
異常診断部46は、第1〜第4のI/F部44A〜44Dからの第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddに基づき、複列円筒ころ軸受3A〜3Dに摩耗や破損等の異常が発生しているか否かを診断する。
次に、図6及び図7に基づき、異常診断部46のハードウェア構成及び機能構成を説明する。
異常診断部46は、図6に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、時間計測用のタイマ63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成される。
ここで、本実施形態のタイマ63は、並列に動作する少なくとも4つのタイマを内臓している。
更に、CPU60、RAM61、ROM62及びタイマ63との間を各種内外バス65で接続していると共に、このバス65に入出力I/F64を介して、診断処理装置41の第1のI/F部44A、第2のI/F部44B、第3のI/F部44C及び第4のI/F部44Dとが接続されている。図示省略するが、その他にも必要に応じて、例えば、データ記憶容量確保のための外部記憶装置、異常診断結果を車載ネットワークを介して各異常診断装置を統括制御する制御装置(以下、「統括制御装置」と称す)に送信するための通信装置などが接続される。
そして、電源を投入すると、ROM62等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM62に予め記憶された各種のコンピュータプログラムをRAM61にロードし、RAM61にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで後述する各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
また、異常診断部46は、CPU60によってプログラムを実行することで実現する機能部として、図7に示すように、絶対値異常診断部47と、相対値異常診断部48と、総合診断部49とを備えている。
絶対値異常診断部47は、第1絶対比較診断部471と、第2絶対比較診断部472とを備えている。
第1絶対比較診断部471は、第1〜第4のI/F部44A〜44Dから入力される第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddの示す第1〜第4金属粉含有量TA〜TDのうち、最大の金属粉含有量(以下、「含有量最大値Td」と称す)を、該含有量最大値Tdに対応する軸受の識別情報と対応付けてRAM61に順次記憶する。ここで、複列円筒ころ軸受3A〜3Dを含む各診断対象の軸受には、予め識別番号が付してある。
なお、第1絶対比較診断部471は、予め設定した測定時間Tm(秒)分の含有量最大値TdをRAM61に記憶するようになっている。そして、常に最新の測定時間Tm分の含有量最大値TdがRAM61に格納された状態となるように、含有量最大値Tdが求められる毎に順次古いデータを削除して新しいデータへと更新するようになっている。
第1絶対比較診断部471は、RAM61に記憶された最新の測定時間Tm分の含有量最大値Tdの移動平均(以下、「含有量最大移動平均Tmu」と称す)を、予め設定した時間間隔Tg(Tg<Tm)が経過する毎に算出する。そして、算出した含有量最大移動平均TmuをRAM61に上書き保存する。即ち、時間間隔Tg毎に含有量最大移動平均Tmuを更新する。
なお、測定時間Tm及び時間間隔Tgは、例えば、診断対象の軸受の用途、回避したい故障程度、潤滑剤の種類、潤滑剤の流速等に応じて診断に適した時間が適宜設定される。
引き続き、第1絶対比較診断部471は、RAM61に記憶した含有量最大移動平均Tmuと、ROM62に予め記憶されている第1の絶対比較用診断閾値Tu1とを比較する。そして、この比較結果に基づき、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上であるか否かを判定する。
ここで、第1の絶対比較用診断閾値Tu1は、例えば、回避したい故障の程度、潤滑油の種類、潤滑油の流速等に応じて適宜設定される閾値であり、本実施形態では、異常と判定すべき金属粉含有量の直前の値に相当する値である。例えば、即座に異常と診断すべき第零の絶対比較用診断閾値Tu0を設定し、この第零の絶対比較用診断閾値Tu0の例えば90%の値を、第1の絶対比較用診断閾値Tu1に設定する。
即ち、第1絶対比較診断部471は、含有量最大移動平均Tmuが異常判定直前を示す上限値を超えているか否かを絶対値比較によって診断する。
更に、第1絶対比較診断部471は、タイマ63を用いて、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上と判定される状態が、予め設定した第1診断時間T1t以上継続したか否かを判定する。そして、継続したと判定した場合、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定して、予め設定された第1含有量異常発生フラグFT1をONに設定する。
即ち、潤滑油は流動体であるため、瞬間的な検出値のみでは、例えば金属粉の分布に偏りが生じている場合等において、全体的な含有量が少ない場合にも異常と診断してしまう可能性がある。従って、本実施形態では、「Tmu≧Tu1」の状態が第1診断時間T1t以上継続した場合に異常と診断するように構成している。
ここで、第1含有量異常発生フラグFT1は、ON状態(例えば、値が「1」)のときに異常が発生していることを示し、OFF状態(例えば、値が「0」)のときに異常が発生していないことを示すフラグである。
また、第1診断時間T1tは、例えば、回避したい故障程度、潤滑剤の種類、潤滑剤の流速等に応じて診断に適した時間が適宜設定される。
第1絶対比較診断部471は、第1含有量異常発生フラグFT1を、総合診断部49に出力する。
第2絶対比較診断部472は、第1絶対比較診断部471によってRAM61に記憶された含有量最大値Tdと、ROM62に予め記憶されている第2の絶対比較用診断閾値Tu2とを比較する。そして、含有量最大値Tdが第2の絶対比較用診断閾値Tu2以下であるか否かを判定する。
ここで、第2の絶対比較用診断閾値Tu2は、例えば、第1の絶対比較用診断閾値Tu1よりも小さい閾値であり、異常が生じている可能性がある金属粉含有量に相当する値である。例えば、第零の絶対比較用診断閾値Tu0の80%の値を、第2の絶対比較用診断閾値Tu2に設定する。
即ち、第2絶対比較診断部472は、含有量最大値Tdが異常判定直前を示す上限値は超えていないが、異常が発生している可能性がある上限値を超えているか否かを絶対値比較によって診断する。
更に、第2絶対比較診断部472は、タイマ63を用いて、含有量最大値Tdが第2の絶対比較用診断閾値Tu2以下と判定される状態が、予め設定した第2診断時間T2t以上継続したか否かを判定する。そして、継続したと判定した場合、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていない(正常である)と判定し、予め設定された含有量正常フラグFNをONに設定する。
即ち、第1絶対比較診断部471と同様の理由から、誤診断を回避するために、本実施形態では、「Td≦Tu2」の状態が第2診断時間T2t以上継続した場合に異常が生じていない(正常である)と診断するように構成している。
ここで、含有量正常フラグFNは、ON状態(例えば、値が「1」)のときに正常であることを示し、OFF状態(例えば、値が「0」)のときに異常が発生している可能性があることを示すフラグである。
また、第2診断時間T2tは、例えば、診断対象の軸受の用途、回避したい故障程度、潤滑剤の種類、潤滑剤の流速等に応じて診断に適した時間が適宜設定される。
第2絶対比較診断部472は、含有量正常フラグFNを、総合診断部49に出力する。
相対値異常診断部48は、第1相対比較診断部481と、第2相対比較診断部482とを備えている。
第1相対比較診断部481は、第1〜第4のI/F部44A〜44Dから入力される第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddの示す第1〜第4金属粉含有量TA〜TDのうち、含有量最大値Tdに対応する金属粉含有量を除く、残り3つの金属粉含有量の平均値(以下、「含有量平均値Tavr」と称す)を算出する。例えば、残り3つの金属粉含有量を金属粉含有量Ta〜Tcとした場合に、「Tavr=(Ta+Tb+Tc)/3」を算出する。
更に、第1相対比較診断部481は、下式(1)に従って、含有量最大値Tdと、算出した含有量平均値Tavrとの差分値である第1相対値Daを算出する。
Da=Td−Tavr ・・・(1)
第1相対比較診断部481は、算出した第1相対値Daと、ROM62に予め記憶されている第1の相対比較用診断閾値Tdnとを比較し、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上であるか否かを判定する。
即ち、第1相対比較診断部481は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dの金属粉含有量の相対値(第1相対値Da)が異常状態を示す上限値を超えているか否かを診断する。
更に、第1相対比較診断部481は、タイマ63を用いて、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上と判定される状態が、予め設定した第3診断時間T3t以上継続したか否かを判定する。そして、継続したと判定した場合、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定し、予め設定された第2含有量異常発生フラグFT2をONに設定する。
即ち、第1絶対比較診断部471と同様の理由から、誤診断を回避するために、本実施形態では、「Da≧Tdn」の状態が第3診断時間T3t以上継続した場合に異常と診断するように構成している。
ここで、第2含有量異常発生フラグFT2は、ON状態(例えば、値が「1」)のときに異常が発生していることを示し、OFF状態(例えば、値が「0」)のときに異常が発生していないことを示すフラグである。
また、第1の相対比較用診断閾値Tdn及び第3診断時間T3tは、例えば、回避したい故障程度、潤滑剤の種類、潤滑剤の流速等に応じて診断に適した値及び時間が適宜設定される。なお、軸受故障の早期発見という観点から、第1の相対比較用診断閾値Tdnは、例えば、第1の絶対比較用診断閾値Tu1と同様に、異常判定直前の相対値に相当する値を設定してもよい。
第1相対比較診断部481は、第2含有量異常発生フラグFT2を、総合診断部49に出力する。
第2相対比較診断部482は、第1〜第4のI/F部44A〜44Dから入力される第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddの示す第1〜第4金属粉含有量TA〜TDに基づき、第1〜第4金属粉含有量TA〜TDの変化率(以下、「第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SD」と称す)を算出する。
更に、第2相対比較診断部482は、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうち、最大の金属粉含有量変化率(以下、「含有量変化率最大値Sd」と称す)を、該含有量変化率最大値Sdに対応する軸受の識別情報と対応付けてRAM61に記憶する。
引き続き、第2相対比較診断部482は、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうち、含有量変化率最大値Sdに対応する金属粉含有量変化率を除く、残り3つの金属粉含有量変化率の平均値(以下、「含有量変化率平均値Savr」と称す)を算出する。例えば、残り3つの金属粉含有量変化率を金属粉含有量変化率Sa〜Scとした場合に、「Savr=(Sa+Sb+Sc)/3」を算出する。
更に、第2相対比較診断部482は、下式(2)に従って、含有量変化率最大値Sdと、算出した含有量変化率平均値Savrとの差分値である第2相対値Dsを算出する。
Ds=Sd−Savr ・・・(2)
第2相対比較診断部482は、算出した第2相対値Dsと、ROM62に予め記憶されている第2の相対比較用診断閾値Sdnとを比較し、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上であるか否かを判定する。
即ち、第2相対比較診断部482は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dの金属粉含有量の変化率の相対値(第2相対値Ds)が異常状態を示す上限値を超えているか否かを診断する。
更に、第2相対比較診断部482は、タイマ63を用いて、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上と判定される状態が、予め設定した第4診断時間T4t以上継続したか否かを判定する。そして、継続したと判定した場合、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量変化率最大値Sdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定し、予め設定された含有量変化率異常発生フラグFCをONに設定する。
即ち、第1絶対比較診断部471と同様の理由から、誤診断を回避するために、本実施形態では、「Ds≧Sdn」の状態が第4診断時間T4t以上継続した場合に異常と診断するように構成している。
ここで、含有量変化率異常発生フラグFCは、ON状態(例えば、値が「1」)のときに異常が発生していることを示し、OFF状態(例えば、値が「0」)のときに異常が発生していないことを示すフラグである。
また、第2の相対比較用診断閾値Sdn及び第4診断時間T4tは、例えば、回避したい故障程度、潤滑剤の種類、潤滑剤の流速等に応じて診断に適した値及び時間が適宜設定される。
第2相対比較診断部482は、含有量変化率異常発生フラグFCを、総合診断部49に出力する。
なお、本実施形態では、第2絶対比較診断部472において、含有量正常フラグFNがON状態のとき又はOFFからONに設定されたとき、複列円筒ころ軸受3A〜3Dは、いずれも正常状態であると判定する。この場合、第2絶対比較診断部472は、タイマ63による時間計測を行っている場合に、時間計測を中止して計測時間をリセットすると共に、第1絶対比較診断部471、第1相対比較診断部481及び第2相対比較診断部482に対して計測時間のリセット指示を送信する。
第1絶対比較診断部471、第1相対比較診断部481及び第2相対比較診断部482は、第2絶対比較診断部472からのリセット指示を受けると、時間計測を中止し計測時間をリセットする。
また、本実施形態では、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受が、時間計測の途中で他の軸受に代わった場合、時間計測を継続するように構成されている。但し、第2絶対比較診断部472において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dが、いずれも正常状態である場合は計測時間のリセットを行う。
総合診断部49は、絶対値異常診断部47から入力された、第1含有量異常発生フラグFT1及び含有量正常フラグFNと、相対値異常診断部48から入力された第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCとに基づき総合的な異常診断を行う。
本実施形態では、総合診断部49は、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCの少なくとも1つがON状態である場合に、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Td及び含有量変化率最大値Sdの少なくとも一方に対応する複列円筒ころ軸受に異常が発生していると診断する。
このとき、総合診断部49は、第1含有量異常発生フラグFT1がON状態で、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCがOFF状態である場合は、経年劣化による含有量異常であると診断する。
一方、総合診断部49は、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCがいずれもOFF状態でかつ含有量正常フラグFNがON状態の場合に複列円筒ころ軸受3A〜3Dはいずれも正常であると診断する。
また、総合診断部49は、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2、含有量変化率異常発生フラグFC及び含有量正常フラグFNがいずれもOFF状態の場合は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する軸受に異常が発生している可能性があると診断する。
総合診断部49は、診断結果を、例えば、統括制御装置に出力する。
(異常診断処理)
次に、図8−1及び図8−2に基づき、異常診断装置4における異常診断処理の処理手順の一例を説明する。なお、異常診断処理は、鉄道車両1の運転中(駆動源の駆動中又は車両走行中)に所定周期で繰り返し実行される処理である。
CPU60において、プログラムが実行され異常診断処理が開始されると、初期化処理を実行してから、図8−1に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、第1絶対比較診断部471において、第1〜第4のI/F部44A〜44Dからの第1〜第4金属粉含有量信号Ma〜Mdに基づき、含有量最大値Tdを求める。そして、第1絶対比較診断部471は、含有量最大値Tdを、この含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受の識別番号と対応付けてRAM61に記憶して、ステップS102に移行する。
ステップS102では、第1絶対比較診断部471において、RAM61に記憶された測定時間Tm分の含有量最大値Tdに基づき含有量最大移動平均Tmuを算出する。そして、算出した含有量最大移動平均TmuをRAM61に記憶して、ステップS104に移行する。
ここで、第1絶対比較診断部471は、測定時間Tm分の含有量最大値TdがRAM61に記憶されていない段階では、含有量最大移動平均Tmuを算出できないため、本実施形態では、例えば、「Tmu=0」をRAM61に記憶する。
また、第1絶対比較診断部471は、時間間隔Tgが経過する毎に含有量最大移動平均Tmuを算出し、RAM61に記憶された含有量最大移動平均Tmuを、新しく算出したものに更新する。
ステップS104では、第1絶対比較診断部471において、ROM62から第1の絶対比較用診断閾値Tu1(以下、単に「Tu1」と称する場合がある)を読み出し、RAM61から含有量最大移動平均Tmu(以下、単に「Tmu」と称する場合がある)を読み出す。そして、読み出したTmuが読み出したTu1以上であるか否かを判定する。そして、TmuがTu1以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS110に移行する。
ここで、第1絶対比較診断部471は、最初にTmuがTu1以上であると判定したタイミング、または、TmuがTu1未満であると判定している状態から、Tu1以上であると判定したタイミングで、タイマ63による第1診断時間T1tに係る時間測定を開始する。
また、本実施形態では、測定時間Tm分の含有量最大値TdがRAM61に記憶されていない状態では、「Tmu=0」となるため必ずステップS110に移行するようになっている。
ステップS106に移行した場合は、第1絶対比較診断部471において、タイマ63のカウント値に基づき、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上となる状態が第1診断時間T1t秒間継続したか否かを判定する。そして、第1診断時間T1t秒間継続したと判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS110に移行する。
ステップS108に移行した場合は、第1絶対比較診断部471において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定する。そして、第1含有量異常発生フラグFT1をONに設定すると共に、ONに設定した第1含有量異常発生フラグFT1を総合診断部49に出力する。その後、ステップS110に移行する。
ここで、第1含有量異常発生フラグFT1は、初期化処理においてOFF状態に初期化される。
ステップS110では、第2絶対比較診断部472において、RAM61から最新の含有量最大値Td(以下、単に「Td」と称する場合がある)を読み出し、ROM63から第2の絶対比較用診断閾値Tu2(以下、単に「Tu2」と称する場合がある)を読み出す。更に、読み出したTdがTu2以下であるか否かを判定する。そして、TdがTu2以下であると判定した場合(Yes)は、ステップS112に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS116に移行する。
ここで、第2絶対比較診断部472は、最初にTdがTu2未満であると判定したタイミング、または、TdがTu2よりも大きいと判定している状態からTu2以下であると判定したタイミングで、タイマ63による第2診断時間T2tに係る時間測定を開始する。
ステップS112に移行した場合は、第2絶対比較診断部472において、タイマ63のカウント値に基づき、含有量最大値Tdが第2の絶対比較用診断閾値Tu2以下となる状態が第2診断時間T2t秒間継続したか否かを判定する。そして、第2診断時間T2t秒間継続したと判定した場合(Yes)は、ステップS114に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS116に移行する。
ステップS114に移行した場合は、第2絶対比較診断部471において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dはいずれも正常であると判定する。そして、含有量正常フラグFNをONに設定すると共に、ONに設定した含有量正常フラグFNを総合診断部49に出力する。更に、第2診断時間T2tに係る計測時間をリセットすると共に、リセット指示を、第1絶対比較診断部471、第1相対比較診断部481及び第2相対比較診断部482に出力する。その後、一連の処理を終了する。
ここで、含有量正常フラグFNは、初期化処理においてOFF状態に初期化される。
一方、ステップS116に移行した場合は、第1相対比較診断部481において、入力された第1〜第4金属粉含有量TA〜TDのうち、含有量最大値Tdに対応する金属粉含有量を除く残り3つの金属粉含有量の平均値(含有量平均値Tavr)を算出する。その後、ステップS117に移行する。
ステップS117では、第1相対比較診断部481において、上式(1)に従って、含有量最大値Tdから、ステップS116で算出した含有量平均値Tavrを減算することで第1相対値Daを算出する。その後、ステップS118に移行する。
ステップS118では、第1相対比較診断部481において、ROM62から第1の相対比較用診断閾値Tdn(以下、単に「Tdn」と称する場合がある)を読み出す。更に、算出した第1相対値Daが読み出したTdn以上であるか否かを判定し、Tdn以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS120に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS124に移行する。
ここで、第1相対比較診断部481は、最初に第1相対値DaがTdn以上であると判定したタイミング、または、第1相対値DaがTdn未満であると判定している状態からTdn以上であると判定したタイミングで、タイマ63による第3診断時間T3tに係る時間測定を開始する。
ステップS120に移行した場合は、第1相対比較診断部481において、タイマ63のカウント値に基づき、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上となる状態が第3診断時間T3t秒間継続したか否かを判定する。そして、第3診断時間T3t秒間継続したと判定した場合(Yes)は、ステップS122に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS124に移行する。
ステップS122に移行した場合は、第1相対比較診断部481において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Tdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定する。そして、第2含有量異常発生フラグFT2をONに設定すると共に、ONに設定した第2含有量異常発生フラグFT2を総合診断部49に出力する。その後、ステップS124に移行する。
ここで、第2含有量異常発生フラグFT2は、初期化処理においてOFF状態に初期化される。
一方、ステップS124に移行した場合は、図8−2に示すように、第2相対比較診断部482において、入力された第1〜第4金属粉含有量TA〜TDに基づき、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDを算出する。その後、ステップS126に移行する。
ステップS126では、第2相対比較診断部482において、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうちから、含有量変化率最大値Sdを求める。そして、求めた含有量変化率最大値Sdを、該Sdに対応する軸受の識別情報と対応付けてRAM61に記憶する。その後、ステップS127に移行する。
ステップS127では、第2相対比較診断部482において、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうち、含有量変化率最大値Sdに対応するものを除く残り3つの金属粉含有量変化率の平均値(含有量変化率平均値Savr)を算出する。その後、ステップS128に移行する。
ステップS128では、第2相対比較診断部482において、上式(2)に従って、含有量変化率最大値Sdから、ステップS127で算出した含有量変化率平均値Savrを減算することで第2相対値Dsを算出する。その後、ステップS130に移行する。
ステップS130では、ROM62から第2の相対比較用診断閾値Sdn(以下、単に「Sdn」と称する場合がある)を読み出す。更に、算出した第2相対値Dsが読み出したSdn以上であるか否かを判定し、Sdn以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS132に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS136に移行する。
ここで、第2相対比較診断部482は、最初に第2相対値DsがSdn以上であると判定したタイミング、または、第2相対値DsがSdn未満であると判定している状態からSdn以上であると判定したタイミングで、タイマ63による第4診断時間T4tに係る時間測定を開始する。
ステップS132に移行した場合は、第2相対比較診断部482において、タイマ63のカウント値に基づき、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上となる状態が第4診断時間T4t秒間継続したか否かを判定する。そして、第4診断時間T4t秒間継続したと判定した場合(Yes)は、ステップS134に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS136に移行する。
ステップS134に移行した場合は、第2相対比較診断部482において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量変化率最大値Sdに対応する複列円筒ころ軸受に異常が生じていると判定する。そして、含有量変化率異常発生フラグFCをONに設定すると共に、ONに設定した含有量変化率異常発生フラグFCを総合診断部49に出力する。その後、ステップS136に移行する。
ここで、含有量変化率異常発生フラグFCは、初期化処理においてOFF状態に初期化される。
ステップS136では、総合診断部49において、異常を示すフラグが成立したか否かを判定し、成立したと判定した場合(Yes)は、ステップS138に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS140に移行する。
ここで、総合診断部49は、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCの少なくとも1つがON状態である場合に、異常を示すフラグが成立したと判定する。
更に、本実施形態では、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2、含有量変化率異常発生フラグFC及び含有量正常フラグFNがいずれもOFF状態の場合にも、異常を示すフラグがON状態であると判定する。
一方、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCがいずれもOFF状態である場合に、異常を示すフラグがON状態ではないと判定する。
ステップS138に移行した場合は、総合診断部49において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、いずれかの軸受に異常が発生している、経年劣化による異常が発生している又は異常が発生している可能性があると診断して、その診断結果を軸受の識別情報と対応付けてRAM61に記憶する。その後、一連の処理を終了する。
一方、ステップS140に移行した場合は、総合診断部49において、複列円筒ころ軸受3A〜3Dは、いずれも異常なしと診断して、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、本実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
鉄道車両1が運転を開始して異常診断装置4を含む各種装置に電源が供給されると、金属粉含有量センサ40A〜40Dが複列円筒ころ軸受3A〜3D内の潤滑油の金属粉含有量の検出を開始する。そして、金属粉含有量センサ40A〜40Dから出力されたアナログの第1〜第4金属粉含有量信号Ma〜Mdが第1〜第4のI/F部44A〜44Dを介してデジタルの第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddとして順次、異常診断部46に入力される。
異常診断部46は、第1絶対比較診断部471において、順次入力される第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddの示す第1〜第4金属粉含有量MA〜MDのうち、含有量最大値Tdを求める。そして、求めた含有量最大値Tdを軸受の識別番号と対応付けて順次RAM61に記憶する。
続いて、第1絶対比較診断部471は、RAM61に記憶された含有量最大値Tdに基づき、含有量最大移動平均Tmuを求める。
現在は、測定時間Tm秒(例えば10秒)分の含有量最大値TdがRAM61に記憶されていないため、第1絶対比較診断部471は、「Tmu=0」をRAM61に記憶する。
従って、第1絶対比較診断部471は、Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1未満であると判定する。
続いて、異常診断部46は、第2絶対比較診断部472において、含有量最大値Tdと第2の絶対比較用診断閾値Tu2とを比較する。ここでは、TdがTu2以下ではないと判定されたとする。
次に、異常診断部46は、第1相対比較診断部481において、含有量最大値Tdと、該Tdに対応する第1〜第4金属粉含有量MA〜MDに基づき、含有量最大値Tdを除く残り3つの金属粉含有量の平均値である含有量平均値Tavrを算出する。
続いて、第1相対比較診断部481は、含有量最大値Tdから算出した含有量平均値Tavrを減算することで第1相対値Daを算出する。そして、算出したDaと第1の相対比較用診断閾値Tdnとを比較し、DaがTdn以上であるか否かを判定する。
ここでは、DaがTdn以上であると判定したとする。これにより、第1相対比較診断部481は、タイマ63による第3診断時間T3tに係る時間計測を開始する。
現時点では、時間計測を開始したばかりであるため、第2含有量異常発生フラグFT2はOFF状態のままとなる。
次に、異常診断部46は、第2相対比較診断部482において、順次入力される第1〜第4金属粉含有量信号Mad〜Mddの示す第1〜第4金属粉含有量MA〜MDに基づき、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDを算出する。
続いて、第2相対比較診断部482は、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDから、含有量変化率最大値Sdを求める。そして、求めた含有量変化率最大値Sdを軸受の識別番号と対応付けてRAM61に記憶する。
引き続き、第2相対比較診断部482は、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうち、含有量変化率最大値Sdを除く残り3つの金属粉含有量変化率の平均値である含有量変化率平均値Savrを算出する。更に、含有量変化率最大値Sdから算出した含有量変化率平均値Savrを減算することで第2相対値Dsを算出する。
続いて、第2相対比較診断部482は、算出したDsと第2の相対比較用診断閾値Sdnとを比較し、DsがSdn以上であるか否かを判定する。
ここでは、DsがSdn以上であると判定したとする。これにより、第2相対比較診断部482は、タイマ63による第4診断時間T4tに係る時間計測を開始する。
現時点では、時間計測を開始したばかりであるため、含有量変化率異常発生フラグFCはOFF状態のままとなる。
次に、異常診断部46は、総合診断部49において、各種フラグFT1、FT2、FN及びFCの設定状態に基づき異常診断を行う。現時点では、いずれのフラグもOFF状態であるため、総合診断部49は、含有量最大値Tdに対応する軸受に異常が生じている可能性があると診断する。
その後、異常診断部46において、上記一連の処理が繰り返し行われ、測定時間Tm秒(例えば10秒)分の含有量最大値TdがRAM61に記憶されたとする。
これにより、第1絶対比較診断部471は、RAM61に記憶されたTm秒分の含有量最大値Tdに基づき、含有量最大移動平均Tmuを求め、求めたTmuをRAM61に記憶する。以降は、時間間隔Tg(例えば1秒)が経過する毎にRAM61に記憶された最新のTm秒分の含有量最大値Tdに基づき新たなTmuを算出し、RAM61に記憶されたTmuを算出した新たなTmuに更新する。
第1絶対比較診断部471は、RAM61に記憶されたTmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上であるか否かを判定する。ここでは、TmuがTu1以上であるとして、第2相対比較診断部482は、タイマ63による第1診断時間T1tに係る時間計測を開始する。
引き続き、第2絶対比較診断部472は、RAM61に記憶された最新の含有量最大値Tdと、Tu2とを比較し、TdがTu2以下であるか否かを判定する。ここでは、引き続きTdがTu2以下ではないと判定されたとする。
続いて、第1相対比較診断部481は、最新の含有量最大値Tdと、該Tdに対応する第1〜第4金属粉含有量MA〜MDとに基づき第1相対値Daを算出し、算出したDaとTdnとを比較する。ここでは、引き続きDaがTdn以上であると判定されたとする。
続いて、第2相対比較診断部482は、最新の第1〜第4金属粉含有量MA〜MDに基づき、第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDを算出し、これらSA〜SDに基づき第2相対値Dsを算出する。そして、算出したDsとSdnとを比較する。ここでは、引き続きDsがSdn以上であると判定されたとする。
これら算出処理及び判定処理が繰り返し行われ、第1絶対比較診断部471において、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上となる状態が第1診断時間T1t秒間継続したと判定したとする。これにより、第1絶対比較診断部471は、第1含有量異常発生フラグFT1をONに設定する。
また、第1相対比較診断部481において、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上となる状態が第3診断時間T3t以上継続したと判定したとする。これにより、第1相対比較診断部481は、第2含有量異常発生フラグFT2をONに設定する。
更にまた、第2相対比較診断部482において、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上となる状態が第4診断時間T4t以上継続したと判定したとする。これにより、第2相対比較診断部482は、含有量変化率異常発生フラグFCをONに設定する。
このように、フラグFT1、FT2及びFCがいずれもONに設定された場合、総合診断部49は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Td及び含有量変化率最大値Sdに対応する軸受に異常が発生していると診断する。そして、この診断結果を、例えば、統括制御装置に送信する。
また、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCがいずれもOFF状態で、含有量正常フラグFNがON状態であるとする。
この場合、総合診断部49は、複列円筒ころ軸受3A〜3Dは、いずれも正常であると診断し、この診断結果を、例えば、車載ネットワークを介して統括制御装置に送信する。
統括制御装置では、診断結果に基づき、例えば、診断対象の軸受の異常発生の有無等の診断結果の情報を異常の発生した軸受の位置が解る情報と共に運転席のモニタに表示する。また、異常発生時は、異常の内容に応じて、部品交換を促すメッセージや警告メッセージを表示したり、警報を鳴らしたり、警告ランプを点灯したりしてもよい。
ここで、複列円すいころ軸受3が軸受に対応し、金属粉含有量センサ40が摩耗粉含有量検出部に対応する。
(実施形態の効果)
(1)異常診断装置4は、複数の摩耗粉含有量検出部(金属粉含有量センサ40A〜40D)が、同一条件下で使用される同型の複列円筒ころ軸受3A〜3Dそれぞれの内部に供給される潤滑油中に含まれる金属粉の含有量である第1〜第4金属粉含有量MA〜MDを検出する。相対値異常診断部48が、金属粉含有量センサ40A〜40Dで検出した複列円筒ころ軸受3A〜3Dに対応する第1〜第4金属粉含有量MA〜MDの相対値(第1相対値Da又は第2相対値Ds)を算出する。そして、算出した相対値と予め設定した相対比較用診断閾値(第1の相対比較用診断閾値Tdn又は第2の相対比較用診断閾値Sdn)とを比較し、該比較の結果に基づき複数の軸受の異常を診断する。
この構成であれば、同一条件下で使用される同型の複数の軸受について、それぞれの軸受内部の潤滑油に含まれる金属粉含有量の相対値を算出し、算出した相対値に対して診断閾値との比較を行い、この比較結果に基づき異常診断を行うことが可能である。
これによって、軸受の稼働中に異常診断を行うことが可能となるので異常の早期発見が可能になり、事故や装置故障が未然に防げると共にメンテナンス効率の向上が可能になるという効果が得られる。
加えて、相対値との閾値比較による診断を行うようにしたので、個体差に起因した初期値のばらつきを無視することが可能となり、個体差によるばらつきを無視した(相対値のみに着目した)診断閾値設定を行うことが可能となる。その結果、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。
更に、相対値との閾値比較による診断を行うようにしたので、周辺環境や経年劣化による影響を低減でき、対象の軸受のなかから突出して変化が大きいものを的確に検出することができるという効果も得られる。即ち、周辺環境や経年劣化による誤診断を低減し、故障による磨耗を的確に検出することが可能となる。
また、一般的な振動周波数解析による異常診断では診断精度が軸受(支持軸)の回転速度に依存するため安定しにくい低回転速度域がネックとなるが、上記(1)の構成であれば、軸受の回転速度に依存せず、例えば回転停止中でも診断可能となるため回転制御を不要にできるという効果も得られる。
(2)異常診断装置4は、相対値異常診断部48が、相対値として複列円筒ころ軸受3A〜3Dの第1〜第4金属粉含有量MA〜MDのうち最大の金属粉含有量(含有量最大値Td)と、該含有量最大値Td以外の他の金属粉含有量の平均値(含有量平均値Tavr)との差分値である第1相対値Daを算出し、該第1相対値Daと予め設定した第1の相対比較用診断閾値Tdnとを比較し、該比較の結果に基づき複列円筒ころ軸受3A〜3Dの異常を診断する(第2含有量異常発生フラグFT2を設定する)第1相対比較診断部481を備える。
この構成であれば、複数の金属粉含有量のうち、最大の含有量と他の残りの平均値との差分値(即ち相対値)との閾値比較による異常診断を行うことが可能となる。
これによって、個体差によるばらつきを無視した(相対値のみに着目した)診断閾値設定を行うことが可能となる。その結果、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。加えて、周辺環境や経年劣化による影響を低減することが可能となるので、周辺環境や経年劣化の影響による誤診断を低減し、故障による摩耗(異常)を的確に検出することができるという効果も得られる。
(3)異常診断装置4は、第1相対比較診断部481が、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上となる状態が予め設定した第3診断時間T3t以上継続した場合に、含有量最大値Tdに対応する軸受に異常が生じていると診断する。
この構成であれば、第1相対値Daが第1の相対比較用診断閾値Tdn以上となる比較結果が第3診断時間T3t以上継続した場合に異常が生じていると診断することが可能となる。これによって、例えば、流動する潤滑剤中に金属粉等の磨耗粉が偏って存在している場合に、その偏っている部分のみの検出値だけによらずに比較的広範囲の潤滑剤に対する検出値に基づき診断を行うことが可能となる。
その結果、瞬間的な検出値のみで診断を行う場合と比較して、診断結果の信頼性を向上することができるという効果が得られる。
(4)異常診断装置4は、相対値異常診断部48が、複列円筒ころ軸受3A〜3Dの第1〜第4金属粉含有量MA〜MDの変化率である第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDを算出する。そして、相対値として複列円筒ころ軸受3A〜3Dの第1〜第4金属粉含有量変化率SA〜SDのうち最大の金属粉含有量変化率(含有量変化率最大値Sd)と、該含有量変化率最大値Sd以外の他の金属粉含有量変化率の平均値(含有量変化率平均値Savr)との差分値である第2相対値Dsを算出する。更に、該第2相対値Dsと予め設定した第2の相対比較用診断閾値Sdnとを比較し、該比較の結果に基づき複数の軸受の異常を診断する第2相対比較診断部482を備える。
この構成であれば、複数の金属粉含有量の変化率を算出し、複数の軸受に対応する複数の金属粉含有量変化率のうち、最大の金属粉含有量変化率と他の残りの金属粉含有量変化率の平均値との差分値(即ち相対値)との閾値比較による異常診断を行うことが可能となる。
これによって、相対値との閾値比較による診断を行うことが可能となるので、個体差によるばらつきを無視した診断閾値設定を行うことが可能となり、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。加えて、周辺環境や経年劣化による影響を低減することが可能となるので、周辺環境や経年劣化の影響による誤診断を低減し、故障による摩耗(異常)を的確に検出することができるという効果も得られる。
(5)異常診断装置4は、第2相対比較診断部482が、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上となる状態が予め設定した第4診断時間T4t以上継続した場合に、含有量変化率最大値Sdに対応する軸受に異常が生じていると診断する。
この構成であれば、第2相対値Dsが第2の相対比較用診断閾値Sdn以上となる比較結果が第4診断時間T4t以上継続した場合に異常が生じていると診断することが可能となる。これによって、例えば、流動する潤滑剤中に金属粉等の磨耗粉が偏って存在している場合に、その偏っている部分のみの検出値だけによらずに比較的広範囲の潤滑剤に対する検出値に基づき診断を行うことが可能となる。
その結果、瞬間的な検出値のみで診断を行う場合と比較して、診断結果の信頼性を向上することができるという効果が得られる。
(6)異常診断装置4は、絶対値異常診断部47が、金属粉含有量センサ40A〜40Dで検出した複列円筒ころ軸受3A〜3Dの第1〜第4金属粉含有量MA〜MDと予め設定した絶対比較用診断閾値(第1の絶対比較用診断閾値Tu1又は第2の絶対比較用診断閾値Tu2)とを比較し、該比較の結果に基づき複列円筒ころ軸受3A〜3Dの異常を診断する。
この構成であれば、相対値による診断に加えて、絶対値による診断を行うことが可能となるので、例えば相対値だけの診断では異常検出の厳しい状況下などにおいても異常検出漏れを低減することが可能となる。
(7)異常診断装置4は、絶対値異常診断部47が、予め設定した検出間隔で検出した第1〜第4金属粉含有量MA〜MDの各検出タイミングの最大値(含有量最大値Td)を記憶し、予め設定した測定時間Tmの間に記憶した含有量最大値Tdの移動平均(含有量最大移動平均Tmu)を算出し、該含有量最大移動平均Tmuと、予め設定した、異常と判定とすべき金属粉含有量よりも小さい異常判定直前の金属粉含有量に相当する値である第1の絶対比較用診断閾値Tu1とを比較し、該比較の結果に基づき複列円筒ころ軸受3A〜3Dの異常を診断する第1絶対比較診断部471を備える。
この構成であれば、瞬間的な検出値との絶対比較ではなく、移動平均に対して絶対値比較を行うことが可能となる。
これによって、測定時間Tmの検出値(含有量最大値Td)を平滑化した値との絶対値比較を行うことが可能となり、瞬間的な検出値を用いた場合と比較して、診断結果の信頼性を向上することができるという効果が得られる。
また、診断に用いる閾値を、異常判定直前の金属粉含有量に相当する値としたので、異常のより早期の発見が可能になるという効果が得られる。
(8)異常診断装置4は、第1絶対比較診断部471が、予め設定した時間間隔Tg毎に、最新の測定時間Tm分の含有量最大値Tdの新たな含有量最大移動平均Tmuを算出し、第1の絶対比較用診断閾値Tu1との比較に用いる含有量最大移動平均を新たな含有量最大移動平均に更新する。
この構成であれば、閾値との比較に用いる移動平均を時間間隔Tg毎に更新することが可能となるので、流動性の比較的高い潤滑剤に対して、診断結果の信頼性をより向上することができるという効果が得られる。
(9)異常診断装置4は、第1絶対比較診断部471が、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上となる状態が予め設定した第1診断時間T1t以上継続した場合に、含有量最大値Tdに対応する軸受に異常が生じていると診断する。
この構成であれば、含有量最大移動平均Tmuが第1の絶対比較用診断閾値Tu1以上となる比較結果が第1診断時間T1t以上継続した場合に異常が生じていると診断することが可能となる。これによって、例えば、流動する潤滑剤中に金属粉等の磨耗粉が偏って存在している場合に、その偏っている部分のみの検出値だけによらずに比較的広範囲の潤滑剤に対する検出値に基づき診断を行うことが可能となる。
その結果、例えば、第1診断時間T1tが経過する間に含有量最大移動平均Tmuを複数回更新することで、診断結果の信頼性をより向上することができるという効果が得られる。
(10)異常診断装置4は、絶対値異常診断部47が、複列円筒ころ軸受3A〜3Dの第1〜第4金属粉含有量MA〜MDのうち最大の金属粉含有量(含有量最大値Td)と、予め設定した、第1の絶対比較用診断閾値Tu1よりも小さい異常が生じている可能性のある金属粉含有量に相当する値である第2の絶対比較用診断閾値Tu2とを比較し、該比較の結果に基づき複列円筒ころ軸受3A〜3Dの異常を診断する第2絶対比較診断部472を備える。
この構成であれば、異常が生じている可能性のある軸受を検出することが可能となる。
これによって、故障の前触れのような状態を検出することが可能となり、後に入念な検査等を行うことによって、異常のより早期の発見が可能になるという効果が得られる。
(11)異常診断装置4は、第2絶対比較診断部472が、含有量最大値Tdが第2の絶対比較用診断閾値Tu2以下となる状態が予め設定した第2診断時間T2t以上継続した場合に、含有量最大値Tdに対応する軸受に異常が生じていないと診断する。
この構成であれば、含有量最大値Tdが第2の絶対比較用診断閾値Tu2以下となる比較結果が第2診断時間T2t以上継続した場合に異常が生じていないと診断することが可能となる。これによって、例えば、流動する潤滑剤中に金属粉等の磨耗粉が偏って存在している場合に、その偏っている部分のみの検出値だけによらずに比較的広範囲の潤滑剤に対する検出値に基づき診断を行うことが可能となる。
その結果、瞬間的な検出値のみで診断を行う場合と比較して、診断結果の信頼性を向上することができるという効果が得られる。
(12)産業機械の1種である鉄道車両1は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(11)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(変形例)
(1)上記実施形態では、光透過法を用いて潤滑油内の金属粉含有量を検出する構成としたが、この構成に限らず、SOAP法、フェログラフィ法、磁気バランス電磁誘導法等、他の検出方法を用いる構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、潤滑剤として、潤滑油を例に挙げて説明したがこの構成に限らず、例えば、グリース等の他の潤滑剤に適用する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、異常判定寸前の閾値である第1の絶対比較用診断閾値Tu1と含有量最大移動平均Tmuとの比較によって、完全に異常と診断される直前の状態を異常として検出する構成としたが、この構成に限らない。例えば、図8−1及び図8−2に示す異常診断処理において、最初に含有量最大値Td又は含有量最大移動平均Tmuと第零の絶対比較用診断閾値Tu0とを比較し、Td又はTmuがTu0以上であると判定した場合は、以降の処理をキャンセルして異常と診断する構成とするなど他の構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、図8−1及び図8−2に示すように、第1絶対比較診断部471の絶対診断処理、第2絶対比較診断部472の絶対診断処理、第1相対比較診断部481の相対診断処理、第2相対比較診断部482の相対診断処理の順で処理を行う構成とした。この構成に限らず、任意の順番で処理を行う構成としてもよい。または、4つのCPU若しくは4つのCPUコアを用いて並列に行う構成としてもよい。更にまた、ハードウェアとの組み合わせによって並列に行う構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、図8−1及び図8−2に示すように、第1絶対比較診断部471の絶対診断処理、第2絶対比較診断部472の絶対診断処理、第1相対比較診断部481の相対診断処理、第2相対比較診断部482の相対診断処理の4つの処理を行う構成とした。この構成に限らず、任意の絶対値診断処理及び相対診断処理の組み合わせ、または相対診断処理のみ等、いずれか1の相対診断処理を含む構成で任意の構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、各金属粉含有量センサ40A〜40Dから診断処理装置41へと無線送信によって第1〜第4金属粉含有量信号Ma〜Mdを送信する構成としたが、この構成に限らず、車載ネットワーク等の有線通信によって送信する構成としてもよい。
(7)上記実施形態では、金属粉含有量を検出する構成としたが、この構成に限らず、例えば、金属粉含有量に加えて、診断対象の軸受の構成部品に使用されていれば、例えば、セラミックス等の非金属の磨耗粉含有量を検出する構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、同一条件で使用される軸受として、共通の台車フレームに取り付けられる回転装置2を構成する同型の4つの複列円筒ころ軸受に本発明に係る異常診断装置4を適用する構成としたがこの構成に限らない。例えば、軸箱内に複数の同型の軸受を備える軸受装置であれば、この軸受装置それぞれに本発明に係る異常診断装置4を適用するなど他の構成としてもよい。このとき、異常診断装置4を例えば軸箱に取り付けて、異常診断装置4を備える軸受装置として構成してもよい。また、共通の台車フレームに限らず、同一の車軸を支持する同型の複数の軸受、同じ車両の全ての車軸を支持する同型の複数の軸受など、稼動状態が略同一となる環境下で使用される軸受であれば、どのような軸受に本発明に係る異常診断装置4を適用してもよい。
(9)上記実施形態では、第1含有量異常発生フラグFT1、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCの少なくとも1つがON状態である場合に、複列円筒ころ軸受3A〜3Dのうち、含有量最大値Td及び含有量変化率最大値Sdの少なくとも一方に対応する複列円筒ころ軸受に異常が発生していると診断する構成とした。この構成に限らず、例えば、第1含有量異常発生フラグFT1と、第2含有量異常発生フラグFT2とについては、両方がON状態となったときにのみ異常が発生していると診断する構成としてもよい。他にも、例えば、第1含有量異常発生フラグFT1と、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCのいずれか一方とが両方ON状態のときに異常と診断する、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCは、単独でもON状態のきに異常と診断するなどフラグの任意の組合せによる診断を行う構成としてもよい。また、例えば、第1含有量異常発生フラグFT1がON状態となってから、予め設定した診断時間T5tが経過しても、第2含有量異常発生フラグFT2及び含有量変化率異常発生フラグFCがOFF状態のままであった場合に、例えば、経年劣化による含有量異常であると診断するなどフラグの設定状態を時間測定して異常診断する構成としてもよい。
(10)上記実施形態では、軸受として、複列円筒ころ軸受を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等の他のころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受など他の軸受とする構成としてもよい。なお、複列の軸受に限らず、単列の軸受、四列の軸受など他の構成としてもよい。
(11)上記実施形態では、車両の1種である鉄道車両に本発明を適用する構成としたが、この構成に限らず、自動4輪車、自動2輪車等の、他の同一条件下で使用される同型の複数の軸受を持つ車両に対して適用する構成としてもよい。
(12)上記実施形態では、産業機械の1種である鉄道車両に本発明を適用する構成としたが、この構成に限らない。例えば、同一条件下で使用される同型の複数の軸受の組み込まれたものであれば、鉱山機械、化学機械、環境装置、動力伝導装置、タンク、業務用洗濯機、ボイラ・原動機、プラスチック機械、風水力機械、運搬機械、製鉄機械等のどのような産業機械に本発明を適用してもよい。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1 鉄道車両、2 回転装置、3 複列円筒ころ軸受、4 異常診断装置、40A〜40D 金属粉含有量センサ、41 診断処理部、44A〜44D 第1〜第4のI/F部、46 異常診断部、47 絶対値異常診断部、48 相対値異常診断部、49 総合診断部、471〜472 第1〜第2絶対比較診断部、481〜482 第1〜第2相対比較診断部

Claims (15)

  1. 同一条件下で使用される同型の複数の軸受それぞれの内部に供給される潤滑剤中に含まれる摩耗粉の含有量である摩耗粉含有量を検出する複数の摩耗粉含有量検出部と、
    前記複数の摩耗粉含有量検出部で検出した前記複数の軸受に対応する複数の前記摩耗粉含有量の相対値を算出し、算出した相対値と予め設定した相対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する相対値異常診断部と、を備える異常診断装置。
  2. 前記複数の摩耗粉含有量検出部は、3以上の前記摩耗粉含有量検出部から構成され、
    前記相対値異常診断部は、前記相対値として前記複数の軸受の摩耗粉含有量のうち最大の摩耗粉含有量と、該最大の摩耗粉含有量以外の他の摩耗粉含有量の平均値との差分値である第1相対値を算出し、該第1相対値と予め設定した第1の相対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する第1相対比較診断部を備える請求項1に記載の異常診断装置。
  3. 前記第1相対比較診断部は、前記第1相対値が前記第1の相対比較用診断閾値以上となる状態が予め設定した第1診断時間以上継続した場合に、前記最大の摩耗粉含有量に対応する軸受に異常が生じていると診断する請求項2に記載の異常診断装置。
  4. 前記複数の摩耗粉含有量検出部は、3以上の前記摩耗粉含有量検出部から構成され、
    前記相対値異常診断部は、前記複数の軸受の前記摩耗粉含有量の変化率である摩耗粉含有量変化率を算出し、前記相対値として前記複数の軸受の前記摩耗粉含有量変化率のうち最大の摩耗粉含有量変化率と、該最大の摩耗粉含有量変化率以外の他の摩耗粉含有量変化率の平均値との差分値である第2相対値を算出し、該第2相対値と予め設定した第2の相対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する第2相対比較診断部を備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  5. 前記第2相対比較診断部は、前記第2相対値が前記第2の相対比較用診断閾値以上となる状態が予め設定した第2診断時間以上継続した場合に、前記最大の摩耗粉含有量変化率に対応する軸受に異常が生じていると診断する請求項4に記載の異常診断装置。
  6. 前記複数の摩耗粉含有量検出部で検出した前記複数の軸受の前記摩耗粉含有量と予め設定した絶対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する絶対値異常診断部を備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  7. 前記絶対値異常診断部は、予め設定した検出間隔で検出した前記複数の磨耗粉含有量の各検出タイミングの最大値を記憶し、予め設定した測定時間の間に記憶した前記磨耗粉含有量の最大値の移動平均を算出し、該移動平均と、予め設定した、異常と判定とすべき摩耗粉含有量よりも小さい異常判定直前の摩耗粉含有量に相当する値である第1の絶対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する第1絶対比較診断部を備える請求項6に記載の異常診断装置。
  8. 前記第1絶対比較診断部は、予め設定した時間間隔毎に、最新の前記測定時間分の前記磨耗粉含有量の最大値の新たな移動平均を算出し、前記第1の絶対比較用診断閾値との比較に用いる前記移動平均を前記新たな移動平均に更新する請求項7に記載の異常診断装置。
  9. 前記第1絶対比較診断部は、前記移動平均が前記第1の絶対比較用診断閾値以上となる状態が予め設定した第3診断時間以上継続した場合に、前記摩耗粉含有量の最大値に対応する軸受に異常が生じていると診断する請求項7又は8に記載の異常診断装置。
  10. 前記絶対値異常診断部は、前記複数の軸受の前記摩耗粉含有量のうち最大の摩耗粉含有量と、予め設定した、前記第1の絶対比較用診断閾値よりも小さい異常が生じている可能性のある摩耗粉含有量に相当する値である第2の絶対比較用診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記複数の軸受の異常を診断する第2絶対比較診断部を備える請求項6乃至9のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  11. 前記第2絶対比較診断部は、前記最大の摩耗粉含有量が前記第2の絶対比較用診断閾値以下となる状態が予め設定した第4診断時間以上継続した場合に、前記最大の摩耗粉含有量に対応する軸受が正常であると診断する請求項10に記載の異常診断装置。
  12. 前記複数の摩耗粉含有量検出部は、金属摩耗粉の含有量及び非金属摩耗粉の含有量の少なくとも一方の含有量を検出する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の異常診断装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた軸受装置。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた産業機械。
  15. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた車両。
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