JP2016109647A - 異常診断装置、軸受、回転装置、産業機械及び車両 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、異常の早期発見と共に診断閾値の設定を比較的容易に行うことが可能な異常診断装置、軸受、回転装置、産業機械及び車両を提供することを目的としている。
また、本発明の第3の態様に係る回転装置は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第4の態様に係る産業機械は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
(構成)
本発明の一実施形態に係る鉄道車両1は、図1(a)及び(b)に示すように、複数の回転装置2を含んで構成される。
回転装置2は、回転軸としての車軸21と、車軸21の両端部において車軸21を支持する一対の複列円すいころ軸受3と、車軸21の一対の複列円すいころ軸受3よりも内側の両端部に取り付けられた回転体としての一対の車輪22とを含んで構成される。
複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の内側にて車軸21の端部を回転自在に支持する。
第1の円すいころ軸受部24Aは、第1の内輪26Aと、複数個の第1の円すいころ27Aと、第1の保持器28Aとを備え、第2の円すいころ軸受部24Bは、第2の内輪26Bと、複数個の第2の円すいころ27Bと、第2の保持器28Bとを備える。
第1の内輪26Aは、外周面に円すい凸面状の第1の内輪軌道31Aを有し、第2の内輪26Bは、外周面に円すい凸面状の第2の内輪軌道31Bを有し、それぞれ車軸21の端部に外嵌固定した状態で、使用時にこの車軸21と共に回転するように構成されている。
また、第2の円すいころ27Bは、第2の外輪軌道30Bと、第2の内輪軌道31Bとの間にそれぞれ複数個ずつ、第2の保持器28Bにより保持された状態で転動自在に設けられている。
更に、複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の外周面に取り付けられた異常診断装置4を含んで構成される。この異常診断装置4は、複列円すいころ軸受3の傷や剥離、車軸21の偏摩耗、車輪22のフラット磨耗等、異常診断対象である回転装置2の構成部品に生じる異常を診断するものである。
軸速度センサ32は、永久磁石により円筒状に構成されたエンコーダ32aと、第1のセンサ32bと、第2のセンサ32cとを含んで構成される。
第1のセンサ32b及び第2のセンサ32cは、外輪25の軸方向中間部で複列に配置された第1の円すいころ27A及び第2の円すいころ27Bの間の部分にそれぞれの検出部を、被検出面であるエンコーダ32aの外周面に近接対向させた状態で設けられている。このエンコーダ32aの外周面には、N極に着磁した磁極とS極に着磁した磁極とを、円周方向に交互に且つ等間隔で配置している。
本実施形態において、加速度センサ33は、複列円すいころ軸受3の近傍で発生する振動を電気信号として出力する。
加速度センサ33は、異常診断対象の異常発生時の振動特性に応じて、1軸方向の加速度を測定可能なもの、2軸方向の加速度を測定可能なもの、3軸方向の加速度を測定可能なもの等を適宜選択して使用する。また、測定したい振動の方向に合わせて、1軸又は2軸のセンサを複数配置する構成としてもよい。また、本実施形態では、異常診断対象の異常が複数軸方向への振動を発生する場合、異常発生時の振動方向のうち最も大きい振動レベルの振動方向を代表軸方向として決定し、この軸方向の振動を測定可能な加速度センサを使用する。
異常診断ユニット35は、軸受ハウジング23の外周面に固定された基板ハウジング36と、基板ハウジング36の内側に配置された回路基板37と、回路基板37と第1のセンサ32b及び第2のセンサ32cの出力端子とを電気的に接続するコネクタ38とを備える。
回路基板37は、具体的に、図3に示すように、チップ部品やディスクリート部品等として実装された、第1のI/F部37aと、第2のI/F部37bと、異常診断部37dとを含んで構成される。
ここで、本実施形態では、異常診断部37dは、CPU(Central Processing Unit)等が搭載されたマイクロコンピュータ(マイコン)から構成されている。
第1のI/F部37aは、変換後のデジタルの回転速度信号ωdを、異常診断部37dに出力する。
異常診断部37dは、第1のI/F部37aからの回転速度信号ωdと、第2のI/F部37bからの加速度信号Gadとに基づき、本実施形態では、複列円すいころ軸受3、車軸21及び車輪22に摩耗や破損等の異常が発生しているか否かを診断する。
異常診断部37dは、図4に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、時間計測用のタイマ63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成される。
振動測定部371は、予め設定した測定タイミングにおいて、第1のI/F部37aからの回転速度信号ωdに基づき、車軸21が予め設定した設定回転速度ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値を測定する。
本実施形態において、振動測定部371は、予め設定した回転装置2の稼働中の初期測定タイミングにおいて、車軸21が予め設定した設定回転速度ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値Gavを測定する。加えて、振動測定部371は、回転装置2の稼働中の初期測定タイミング以降の実測タイミングにおいて、車軸21が設定回転速度ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値Gavを測定する。
一方、振動測定部371は、実測タイミングにおいて、経過時間Tpが診断可能時間Td以上となった場合に、測定処理を停止すると共に、実測周波数成分As1〜AsNの抽出処理の開始を指示する実測抽出開始指令Stsを特徴周波数成分抽出部372に出力する。
また、振動測定部371は、測定タイミングに関係なく、経過時間Tpが診断可能時間Td未満であった場合に、タイマ63をクリアすると共に、これまでに記憶した加速度値GavをRAM61から削除する。また、特徴周波数成分抽出部372において、特徴周波数成分の抽出処理が完了した場合も、完了した特徴周波数成分に対応する加速度値Gav(初期振動値群Gave又は実測振動値群Gavs)をRAM61から削除する。
特徴周波数成分抽出部372は、振動測定部371からの初期抽出開始指令Steの入力に応じて、初期測定タイミングにおいてRAM61に記憶された初期振動値群Gaveに対して次数解析処理を行う。これにより、初期振動値群Gaveで示される振動波形に含まれる、予め設定した測定対象の次数1〜N(Nは2以上の自然数)にそれぞれ対応する特徴周波数成分(以下、「初期周波数成分Ae1〜AeN」と称す)を抽出する。特徴周波数成分抽出部372は、抽出した初期周波数成分Ae1〜AeNを、RAM61に記憶する。本実施形態では、RAM61が不揮発性のメモリから構成されているため、記憶した初期周波数成分Ae1〜AeNは、意図的に削除しない限り、電源が落ちたあとも保存される。そして、本実施形態では、1度、初期周波数成分Ae1〜AeNを抽出後は、例えば、回転装置2の部品交換を行う等の再度初期測定タイミングの発生条件を満たすまでは、RAM61に記憶保持したものを繰り返し使用する。
また、実測タイミングは、基本的に、初期測定タイミング以降であって、且つ、初期周波数成分を抽出後の運転タイミングとなる。
差分値演算部373は、演算した差分値Ad1〜AdNを、比較診断部374に出力する。
比較診断部374は、差分値演算部373から差分値Ad1〜AdNが入力されると、入力された差分値Ad1〜AdNを、次数毎に予め設定された診断閾値Th1〜ThNと比較する。そして、各比較結果に基づき、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断する。比較診断部374は、この異常診断結果を、第1異常診断結果として、例えば、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。
次に、図6に基づき、異常診断装置4における異常診断処理の処理手順の一例を説明する。なお、異常診断処理は、鉄道車両1の運転中(駆動源の駆動中又は車両走行中)に所定周期で繰り返し実行される処理である。
CPU60において、プログラムが実行され異常診断処理が開始されると、図6に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS102では、特徴周波数成分抽出部372において、特徴周波数成分抽出処理を実施して、初期振動値群Gave又は実測振動値群Gavsから、初期周波数成分Ae1〜AeN又は実測周波数成分As1〜AsNを抽出し、ステップS104に移行する。
ステップS106に移行した場合は、差分値演算部373及び比較診断部374において、比較診断処理を実施して、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断して、一連の処理を終了する。
次に、図7に基づき、ステップS100の振動測定処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS100で振動測定処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、振動測定部371において、現在、初期測定タイミングであるか否かを判定し、初期測定タイミングであると判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS210に移行する。
ステップS204に移行した場合は、振動測定部371において、第2のI/F部37bからの加速度信号Gadに基づき加速度値Gavを取得し、取得した加速度値GavをRAM61の予め設定した初期振動値群Gaveの記憶領域に記憶する。その後、ステップS206に移行する。
ステップS206では、振動測定部371において、タイマ63のカウント値に基づき、経過時間Tpが診断可能時間Td以上になったか否かを判定することで、初期振動値の測定を開始してから診断可能時間Tdが経過したか否かを判定する。そして、診断可能時間Tdが経過したと判定した場合(Yes)は、測定を終了して、ステップS208に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS202に移行する。
一方、ステップS200において、初期測定タイミングではなくステップS210に移行した場合は、振動測定部371において、現在、実測タイミングであるか否かを判定する。そして、実測タイミングであると判定した場合(Yes)は、ステップS212に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS200に移行する。
即ち、振動測定部371は、実測タイミングにおいて取得した加速度値Gavを、実測振動値としてRAM61に記憶する。
ステップS218に移行した場合は、振動測定部371において、特徴周波数成分抽出部372に対して、実測抽出開始指令Stsを出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
次に、図8に基づき、ステップS102の特徴周波数成分抽出処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS102で特徴周波数成分抽出処理が開始されると、図8に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、特徴周波数成分抽出部372において、振動測定部371からの初期抽出開始指令が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS302に移行し、一方、実測抽出開始指令が入力されたと判定した場合(No)は、ステップS306に移行する。
ステップS304では、特徴周波数成分抽出部372において、ステップS302で抽出した初期周波数成分Ae1〜Ae4をRAM61に記憶して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
ステップS308では、特徴周波数成分抽出部372において、ステップS306で抽出した実測周波数成分As1〜As4をRAM61に記憶して、ステップS310に移行する。
ステップS310では、特徴周波数成分抽出部372において、診断開始指令Sdを差分値演算部373に出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
次に、図9に基づき、ステップS106の比較診断処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS106で比較診断処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、差分値演算部373において、変数iに「1」を代入して、ステップS402に移行する。
ステップS402では、差分値演算部373において、RAM61から初期周波数成分Aei及び実測周波数成分Asiを読み出し、上式(1)に従って、i次成分の差分値Adiを演算する。そして、演算した差分値Adiを、比較診断部374に出力して、ステップS404に移行する。
ステップS404では、比較診断部374において、差分値演算部373から差分値Adiが入力されると、RAM61からi次成分に対応する診断閾値Thiを読み出す。そして、読み出した診断閾値Thiと、入力された差分値Adiとを大小比較し、差分値Adiが診断閾値Thi以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS406に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS408に移行する。
ステップS406に移行した場合は、比較診断部374において、i次成分に対応する構成部品に異常が発生していると診断する。その後、ステップS410に移行する。
ステップS410では、比較診断部374において、ステップS406又はS408の診断結果をRAM61に記憶して、ステップS412に移行する。
ステップS412では、比較診断部374において、変数iの値がN(設定最大次数)と一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了し元の処理に復帰し、一致しないと判定した場合(No)は、ステップS414に移行する。
このようにして、実測周波数成分As1〜AsNに対して、比較診断処理を順次行って、各実測周波数成分(各次数成分)に対応する構成部品に異常が発生しているか否かを診断する。
次に、図10に基づき、本実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
鉄道車両1が運転を開始して回転装置2を含む各種装置に電源が供給されると、軸速度センサ32が車軸21の回転速度の検出を開始し、加速度センサ33が回転装置2に生じる振動に応じた加速度の出力を開始する。そして、軸速度センサ32から出力されたアナログの回転速度信号ωが第1のI/F部37aを介してデジタルの回転速度信号ωdとして、異常診断部37dに入力される。
このとき、加速度信号Gadは、例えば、第2のI/F部37bのフィルタ回路(ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタ)によって、不要周波数成分が除去された信号となる。
具体的に、振動測定部371は、所定サンプリング周期で順次入力される回転速度信号ωdに基づき、車軸21の回転速度が設定回転速度ωsとなったか否かを判定する。このとき、完全一致とせずに予め設定した誤差範囲内であれば設定回転速度ωsになったと判定してもよい。
具体的に、特徴周波数成分抽出部372は、FFT等の処理によって、実測振動値群Gavsから、例えば、図10に示すようなスペクトル曲線を得る。そして、図10に示すように、基本周波数fsの周波数成分を1次成分として抽出すると共に、ここでは、初期周波数成分Ae1〜Ae5に合わせて、基本周波数の2倍〜5倍の周波数成分を2〜5次成分として抽出する。そして、これら抽出した1〜5次成分を実測周波数成分As1〜As5としてRAM61に記憶する。その後、診断開始指令Sdを、差分値演算部373に出力する。
そして、演算した差分値Ad1〜Ad5を、比較診断部374に順次出力する。
ここで、複列円すいころ軸受3が軸受に対応し、車軸21が回転軸に対応し、車輪22が回転体に対応し、加速度センサ33が振動検出部に対応し、軸速度センサ32が回転速度検出部に対応し、比較診断部374が異常診断部に対応する。
(1)異常診断装置4は、加速度センサ33が、車軸21を支持する複列円すいころ軸受3を含んで構成される回転装置2に生じる振動を検出する。軸速度センサ32が、車軸21の回転速度を検出する。振動測定部371が、軸速度センサ32の検出結果と加速度センサ33の検出結果とに基づき車軸21が予め設定した設定回転速度ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動を測定する。
この構成によって、回転装置2が稼働中の初期測定タイミングで測定した初期振動値から抽出した初期周波数成分と、回転装置2が稼働中の実測タイミングで測定した実測振動値から抽出した実測周波数成分との差分値(即ち初期値からの変化量)に対して診断閾値との比較を行い、この比較結果に基づき異常診断を行うことが可能となる。
上記(1)の構成であれば、回転装置2の稼働中(即ち鉄道車両1の運転中)に異常診断を行うことが可能となるので異常の早期発見が可能になるという効果が得られる。加えて、差分値との診断閾値比較を行うことによって異常診断を行うようにしたので、従来と比較して、個体差に起因した初期値のばらつきを無視することが可能となり、個体差によるばらつきを無視した(変化量のみに着目した)診断閾値設定を行うことが可能となる。その結果、従来と比較して診断閾値設定を容易に行うことができるという効果が得られる。また、実測振動値は、個体差に起因した初期値のばらつきと、変化量のばらつきとの合算となるが、差分をとることよって除去できる初期値のばらつきの分、測定信頼性を向上することができるという効果が得られる。
この構成であれば、回転装置2の構成部品毎の異常を診断することが可能となり、構成部品毎に修理や交換等を行うことが可能となる。これによって、回転装置のメンテナンスにかかるコストを低減することが可能となる。
この構成であれば、回転装置2の各構成部品に生じる異常に係る特徴周波数成分を容易且つ適切に抽出することが可能となる。
ここで、次数解析処理によって次数成分として抽出される各特徴周波数成分は、例えば、m次成分(mは「1≦m<N」の自然数)であれば軸受剥離、(m+1)次成分であれば装置回転軸偏磨耗など、各構成部品の故障内容にそれぞれ対応している。
これによって、回転装置2の稼働中に発生する異常診断対象の異常を、より早期に検出することが可能となる。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(7)回転装置2は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(8)産業機械の1種である鉄道車両1は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(1)上記実施形態では、振動を検出するセンサとして、加速度センサを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、AE(acoustic emission)センサ、超音波センサ、ショックパルスセンサ、マイクロホン等や、あるいは、速度、加速度、歪み、応力、変位型等、回転装置2の振動に起因して発生する物理量を電気信号化できるものであれば他のセンサを用いる構成としてもよい。また、ノイズが多いような機械装置に取り付ける際には、絶縁型を使用する方がノイズの影響を受けることが少ないので好ましい。さらに、圧電素子等の振動検出素子を使用する場合には、この素子をプラスチック等にモールドして構成してもよい。
(3)上記実施形態では、1つの加速度センサの出力する加速度信号に対して異常診断処理をする構成としたが、この構成に限らない。例えば、加速度センサを2つ設け、2つの加速度センサの出力する2つの加速度信号に対して、異常診断部によって異常診断処理を行う構成としてもよい。この場合、例えば、2つの加速度信号から得た2つの加速度値の平均値を求め、この平均値に対して異常診断処理を行う。
(5)上記実施形態では、回転軸(車軸)を支持する軸受として、複列円すいころ軸受を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等の他のころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受など他の軸受とする構成としてもよい。なお、複列の軸受に限らず、単列の軸受、四列の軸受など他の構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、振動を検出するセンサを、複列円すいころ軸受の近傍に設ける構成としたが、この構成に限らず、回転装置の構成部品の異常に係る特徴周波数成分を含む振動を検出可能であれば他の位置に設ける構成としてもよい。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
Claims (9)
- 回転軸を支持する軸受を含んで構成される回転装置に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記回転軸の回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記回転速度検出部の検出結果と前記振動検出部の検出結果とに基づき前記回転軸が予め設定した設定回転速度で回転しているときに前記回転装置に生じる振動を測定する振動測定部と、
前記回転装置の稼働中における予め設定した初期測定タイミングに前記振動測定部が測定した前記振動の値である初期振動値から、前記回転装置の異常診断対象毎の異常に係る特徴周波数成分を抽出する初期周波数成分抽出部と、
前記回転装置の稼働中における予め設定した前記初期測定タイミング以降の実測タイミングに前記振動測定部が測定した前記振動の値である実測振動値から、前記特徴周波数成分を抽出する実測周波数成分抽出部と、
前記初期振動値から抽出した前記特徴周波数成分である初期周波数成分と前記実測振動値から抽出した前記特徴周波数成分である実測周波数成分との差分値を演算する差分値演算部と、
前記差分値演算部で演算した前記差分値と予め設定した診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記異常診断対象毎の異常を診断する異常診断部と、を備える異常診断装置。 - 前記回転装置は、前記軸受と、前記回転軸と、前記軸受に支持された回転体とを含んで構成され、
前記異常診断対象は、少なくとも前記軸受、前記回転軸及び前記回転体を含む前記回転装置の構成部品である請求項1に記載の異常診断装置。 - 前記初期周波数成分抽出部及び前記実測周波数成分抽出部は、次数解析処理によって前記特徴周波数成分を抽出する請求項1又は2に記載の異常診断装置。
- 前記初期周波数成分抽出部が前記初期周波数成分を抽出後は、前記回転軸の回転速度が前記設定回転速度になる毎に、前記振動測定部は、前記実測振動値を測定し、前記実測周波数成分抽出部は、前記測定した前記実測振動値から前記実測周波数成分を抽出し、前記差分値演算部は、前記初期周波数成分と前記抽出した前記実測周波数成分との差分値を演算し、前記異常診断部は、前記演算した差分値と前記診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記異常診断対象毎の異常を診断する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異常診断装置。
- 前記初期周波数成分抽出部は、前記初期測定タイミングにおいて前記振動測定部が予め設定した診断可能時間以上の時間分の前記振動を測定したと判定すると、前記診断可能時間以上の時間分の前記初期振動値に対して前記初期周波数成分の抽出処理を実施し、
前記実測周波数成分抽出部は、前記実測タイミングにおいて前記振動測定部が前記診断可能時間以上の時間分の前記振動を測定したと判定すると、前記診断可能時間以上の時間分の前記実測振動値に対して前記実測周波数成分の抽出処理を実施する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の異常診断装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた軸受。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた回転装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた産業機械。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた車両。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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