JP6578744B2 - 異常診断装置、軸受、回転装置及び車両 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、車体重量の変化する車両の備える回転装置の異常の誤診断を低減することが可能な異常診断装置、軸受、回転装置及び車両を提供することを目的としている。
また、本発明の第3の態様に係る回転装置は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、本発明の第4の態様に係る車両は、上記第1の態様に係る異常診断装置を備える。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
本発明の一実施形態に係る鉄道車両1は、図1(a)及び(b)に示すように、複数の回転装置2を含んで構成される。
回転装置2は、車軸21と、車軸21の両端部において車軸21を支持する一対の複列円すいころ軸受3と、車軸21の一対の複列円すいころ軸受3よりも内側の両端部に固定支持された一対の車輪22とを含んで構成される。
複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の内側にて車軸21の端部を回転自在に支持する。
第1の円すいころ軸受部24Aは、第1の内輪26Aと、複数個の第1の円すいころ27Aと、第1の保持器28Aとを備え、第2の円すいころ軸受部24Bは、第2の内輪26Bと、複数個の第2の円すいころ27Bと、第2の保持器28Bとを備える。
第1の内輪26Aは、外周面に円すい凸面状の第1の内輪軌道31Aを有し、第2の内輪26Bは、外周面に円すい凸面状の第2の内輪軌道31Bを有し、それぞれ車軸21の端部に外嵌固定した状態で、使用時にこの車軸21と共に回転するように構成されている。
また、第2の円すいころ27Bは、第2の外輪軌道30Bと、第2の内輪軌道31Bとの間にそれぞれ複数個ずつ、第2の保持器28Bにより保持された状態で転動自在に設けられている。
更に、複列円すいころ軸受3は、図2に示すように、軸受ハウジング23の外周面に取り付けられた異常診断装置4を含んで構成される。この異常診断装置4は、複列円すいころ軸受3の傷や剥離、車軸21の偏摩耗、車輪22のフラット磨耗等、異常診断対象である回転装置2の構成部品に生じる異常を診断するものである。
加速度センサ33は、複列円すいころ軸受3の近傍で発生する振動を電気信号として出力する。
加速度センサ33は、異常診断対象の異常発生時の振動特性に応じて、1軸方向の加速度を測定可能なもの、2軸方向の加速度を測定可能なもの、3軸方向の加速度を測定可能なもの等を適宜選択して使用する。また、測定したい振動の方向に合わせて、1軸又は2軸のセンサを複数配置する構成としてもよい。また、本実施形態では、異常診断対象の異常が複数軸方向への振動を発生する場合、異常発生時の振動方向のうち最も大きい振動レベルの振動方向を代表軸方向として決定し、この軸方向の振動を測定可能な加速度センサを使用する。
重量センサ38は、例えば、車両の高さを制御する空気ばね(不図示)内に設けられた圧力センサ等から構成され、鉄道車両1の車体重量(ばね上重量)を検出する。
異常診断ユニット35は、軸受ハウジング23の外周面に固定された基板ハウジング36と、基板ハウジング36の内側に配置された回路基板37とを備える。
具体的に、異常診断ユニット35は、図4に示すように、チップ部品やディスクリート部品等として回路基板37上に実装された、第1のI/F部37aと、第2のI/F部37bと、第3のI/F部37cと、コントローラ37dとを含んで構成される。
ここで、本実施形態では、コントローラ37dは、CPU(Central Processing Unit)等が搭載されたマイクロコントローラ(マイコン)から構成されている。
第1のI/F部37aは、変換後のデジタルの重量信号Wdを、コントローラ37dに出力する。
第3のI/F部37cは、第1のI/F部37aと同様の構成を有し、加速度センサ33から出力されるアナログの電気信号である加速度信号Gを、後段のコントローラ37dで演算処理可能な信号形式に変換するものである。第3のI/F部37cは、変換後のデジタルの加速度信号Gdを、コントローラ37dに出力する。
コントローラ37dは、第1のI/F部37aからの重量信号Wdに基づく閾値設定処理、第2のI/F部37bからの車速信号Vdに基づく車軸回転数ωの算出処理を行う。加えて、算出した車軸回転数ωと、第3のI/F部37cからの加速度信号Gdとに基づき、本実施形態では、複列円すいころ軸受3、車軸21及び車輪22に摩耗や破損等の異常が発生しているか否かを診断する。
コントローラ37dは、図5に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU60と、主記憶装置を構成するRAM(Random Access Memory)61と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)62と、時間計測用のタイマ63とを備える。加えて、データ転送用の各種内外バス65と、入出力インターフェース(I/F)64とを備える。本実施形態では、RAM61は、例えばNOR型のフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリから構成される。
閾値設定部371は、第1のI/F部37aからの重量信号Wdに基づき、現在の車体重量に対して適正な診断閾値を設定する。
そして、閾値設定部371は、重量信号Wdが示す車体重量(以下、「車体重量Wd」と記載する場合がある)に基づき、閾値マップを参照して、閾値マップから現在の車体重量に対応する診断閾値を取得する。そして、取得した診断閾値をRAM61の予め設定された診断閾値用の記憶領域に記憶する。なお、閾値マップの詳細については、後述する。
具体的に、下式(1)に従って、車速Vdと車輪径Rと円周率πとから車軸回転数ωを算出する。なお、下式(1)において、Vdの単位は[km/h]、ωの単位は[rpm]とする。
車軸回転数検出部372は、算出した車軸回転数ωを、振動測定部373に出力する。
振動測定部373は、車軸回転数検出部372からの車軸回転数ωに基づき、車軸21が予め設定した設定回転数範囲ωsで回転しているときに回転装置2に生じる振動に応じた加速度値を測定する。なお、設定回転数範囲ωsは、例えば、6000[rpm]〜9000[rpm]または6000[rpm]以上などの範囲に設定する。
更に、本実施形態の振動測定部373は、タイマ63を用いて、車軸21が設定回転数範囲ωsで回転を開始したと判定してから、設定回転数範囲ωsで回転をし続けている間の経過時間Tpを計測する。そして、経過時間Tpが診断可能時間Tfとなった場合に、特徴周波数成分の抽出処理の開始を指示する抽出開始指令Stsを特徴周波数成分抽出部374に出力する。なお、第1実施形態では、診断可能時間Tfとなっても、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれている間は同様の測定処理を継続して行う。一方、特徴周波数成分の抽出処理は診断可能時間Tfとなる毎に振動の測定処理と並行して行われる。
また、振動測定部373は、経過時間Tpが診断可能時間Tf未満であった場合に、タイマ63をクリアすると共に、これまでに記憶した振動値GdをRAM61から削除する。また、特徴周波数成分抽出部374において、特徴周波数成分の抽出処理が完了した場合も、完了した特徴周波数成分に対応する振動値群GdsをRAM61から削除する。
特徴周波数成分抽出部374は、振動測定部373からの抽出開始指令Stsの入力に応じて、RAM61に記憶された振動値群Gdsに対して次数解析処理を行う。
本実施形態では、診断可能時間Tfの期間の振動値を特徴周波数成分の抽出に必要な時間間隔で(周期的な振動区間毎に)M分割(Mは2以上の自然数)し、各分割区間の振動値に対して特徴周波数成分の抽出処理を行う。
以下、特徴周波数成分As11,As12,・・・,As(M−1)(N−1),AsMNを、「特徴周波数成分As11〜AsMN」と略記する場合がある。
異常診断部375は、特徴周波数成分抽出部374から診断開始指令Stdが入力されると、RAM61に記憶された特徴周波数成分As11〜AsMNと、RAM61に記憶された、閾値設定部371で設定された現在の車体重量に対応する診断閾値Th1〜ThNとを比較する。そして、各比較結果に基づき、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断する。異常診断部375は、この異常診断結果を、例えば、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。
ここで、鉄道車両1の車体重量は、乗客、積み荷等によって変化する。例えば、通勤ラッシュ時や帰宅ラッシュ時の時間帯とそれ以外の時間帯とでは車体重量が大きく変化する。車体重量が変化すると、回転装置2に生じる振動が変化する。
従って、閾値マップは、次数成分毎に、各車体重量の大きさに対応する振動波形の大きさに対して適正な診断閾値Th1〜ThNが登録されたものとなっている。具体的に、鉄道車両1の空車時の車体重量Wrを基準として、予め基準診断閾値Thr1〜ThrNが設定されており、この基準診断閾値Thr1〜ThrNを、各車体重量に対応する振動の大きさに応じて適正な値へと補正した診断閾値Th1〜ThNがマップに登録されている。例えば、診断閾値Th1〜ThNは、車体重量Wrに対して、所定重量(例えば、100kg)が増加する毎に適正な値が設定されている。
次に、図7に基づき、異常診断装置4における異常診断処理の処理手順の一例を説明する。なお、異常診断処理は、鉄道車両1の運転中(駆動源の駆動中又は車両走行中)に所定周期で繰り返し実行される処理である。
CPU60において、プログラムが実行され異常診断処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS102では、車軸回転数検出部372において、車速Vに基づき車軸回転数ωを算出して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、振動測定部373において、車軸回転数ωに基づき振動の測定タイミングか否かを判定する。そして、測定タイミングであると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS106に移行した場合は、振動測定部373において、振動測定処理を実施して、振動値群Gdsを測定する。そして、測定結果をRAM61に記憶して、ステップS108に移行する。
ステップS108では、特徴周波数成分抽出部374において、特徴周波数成分抽出処理を実施して、振動値群Gdsから、特徴周波数成分As11〜AsMNを抽出する。そして、抽出した特徴周波数成分As11〜AsMNをRAM61に記憶して、ステップS110に移行する。
ステップS112では、異常診断部375において、ステップS110の比較結果に基づき、診断処理を実施して、回転装置2の各構成部品に異常が発生しているか否かを診断して、一連の処理を終了する。
次に、図8に基づき、ステップS100の閾値設定処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS100で閾値設定処理が開始されると、図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、閾値設定部371において、第1のI/F部37aからの車体重量Wdを取得して、ステップS202に移行する。
ステップS202では、閾値設定部371において、ROM62に記憶された閾値マップから車体重量Wdに対応する診断閾値Th1〜ThNを読み出す。その後、ステップS204に移行する。
次に、図9に基づき、ステップS110の閾値比較処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS110で閾値比較処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、異常診断部375において、変数i及びjに「1」を代入して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、異常診断部375において、RAM61から特徴周波数成分Asijと、特徴周波数成分Asijに対応する診断閾値Thiとを読み出す。次に、特徴周波数成分Asijが診断閾値Thi以上であるか否かを判定し、診断閾値Thi以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS304に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS314に移行する。
ステップS304に移行した場合は、異常診断部375において、特徴周波数成分Asijが診断閾値Thi以上であるという判定結果を、RAM61に記憶する。その後、ステップS306に移行する。
ステップS308に移行した場合は、異常診断部375において、変数jの値がN(設定最大次数)と一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合(Yes)は、ステップS310に移行し、一致しないと判定した場合(No)は、ステップS314に移行する。
一方、ステップS312に移行した場合は、異常診断部375において、現在の変数iの値に1を加算した値を変数iに代入すると共に、変数jに1を代入して、ステップS302に移行する。
上記一連の処理を変数iがM、変数jがNとなるまで繰り返し行うことで、特徴周波数成分As11〜AsMNが診断閾値以上であるか否かを判定する。
次に、図10に基づき、ステップS112の診断処理の処理手順の一例を説明する。
ステップS112で診断処理が開始されると、図10に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、異常診断部375において、変数jに「1」を代入して、ステップS402に移行する。
即ち、本実施形態では、診断可能時間Tf以上の期間、j次成分が診断閾値Thj以上となる状態が継続した場合に、異常と診断する。
ステップS406では、異常診断部375において、ステップS404又はS412の診断結果をRAM61に記憶すると共に、車載ネットワークを介して、統括制御装置へと出力する。その後、ステップS408に移行する。
ステップS410では、異常診断部375において、現在の変数jの値に1を加算した値を変数jに代入して、ステップS402に移行する。
一方、ステップS402において、全てが閾値以上と判定されずステップS412に移行した場合は、異常診断部375において、j次成分に対応する構成部品を正常と診断して、ステップS406に移行する。
次に、図11に基づき、本実施形態に係る鉄道車両1の具体的な動作例を説明する。
鉄道車両1が運転を開始して回転装置2を含む各種装置に電源が供給されると、加速度センサ33が回転装置2に生じる振動に応じた加速度Gの出力を開始し、重量センサ38が車体重量Wの出力を開始し、車速センサ39が車速Vの出力を開始する。これにより、第1〜第3のI/F部37a〜37cを介して、加速度(振動値)Gd、車体重量Wd及び車速Vdがコントローラ37dに入力される。
その後、例えば停車駅で客が乗車することによって、車体重量が大きくなり、回転装置2にかかる重量が増加する。そのため、回転装置2に発生する振動が空車時とは異なる振動に変化する。具体的に、車体重量が大きくなるほど振動の振幅が小さくなる。
そのため、本実施形態の閾値設定部371は、乗車人数等に応じて変化する車体重量Wdに対して、都度適切な診断閾値Th1〜Th5を設定する。
振動測定部373は、車軸回転数検出部372からの車軸回転数ωの入力に応じて、振動測定タイミングであるか否かを判定する。即ち、振動測定部373は、車軸回転数検出部372から入力された車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれるようになったか否かを判定する。
具体的に、特徴周波数成分抽出部374は、FFT等の処理によって、各分割区間の振動値から、例えば、図11に示すようなスペクトル曲線を得る。そして、図11に示すように、基本周波数fsの周波数成分を1次成分として抽出すると共に、基本周波数の2倍〜5倍の周波数成分を2〜5次成分として抽出する。そして、これら抽出した各分割区間の1〜5次成分を特徴周波数成分As11〜As55としてRAM61に記憶する。その後、診断開始指令Stdを、異常診断部375に出力する。
統括制御装置では、例えば、異常診断結果に基づき、対象の回転装置2の診断対象部品毎の診断結果の情報(例えば、異常発生の有無等)を回転装置2の位置が解る情報と共に運転席のモニタに表示する。また、異常発生時は、異常の内容に応じて、部品交換を促すメッセージや警告メッセージを表示したり、警報を鳴らしたり、警告ランプを点灯したりしてもよい。
(1)異常診断装置4は、加速度センサ33が、車軸21を支持する複列円すいころ軸受3を含んで構成される回転装置2に生じる振動を検出する。特徴周波数成分抽出部374が、加速度センサ33で検出した振動の値である振動値から回転装置2の異常に係る特徴周波数成分を抽出する。異常診断部375が、特徴周波数成分抽出部374で抽出した特徴周波数成分As11〜AsMNと予め設定した診断閾値Th1〜ThNとを比較し、該比較の結果に基づき回転装置2の異常を診断する。重量センサ38が、車軸21を備える鉄道車両1の車体重量Wを検出する。閾値設定部371が、重量センサ38で検出した車体重量Wに基づき、該車体重量Wに対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値Th1〜ThNを、診断に用いる診断閾値として設定する。
これによって、乗車人数や積み荷等によって車体重量Wの変化する車両の備える回転装置の異常の誤診断を低減することが可能となる。
ここで、車体重量が大きくなるほど回転装置2に生じる振動の振幅が小さくなり、特徴周波数成分も小さくなる。
上記構成であれば、車体重量が大きいほど小さくなる診断閾値を設定するようにしたので、車体重量に対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値を設定することが可能となる。
この構成であれば、回転装置2の構成部品毎の異常を診断することが可能となり、構成部品毎に修理や交換等を行うことが可能となる。これによって、回転装置のメンテナンスにかかるコストを低減することが可能となる。
この構成であれば、回転装置2が稼働中において、車軸21が設定回転数範囲ωsで回転しているときの振動を測定することが可能となる。加えて、この測定した振動の振動値から抽出した特徴周波数成分と、同じく回転装置2が稼働中において、重量センサ38で検出した車体重量に応じて設定された診断閾値との比較を行い、この比較結果に基づき異常診断を行うことが可能となる。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(6)回転装置2は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(7)車両の1種である鉄道車両1は、異常診断装置4を備える。
この構成によって、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載した異常診断装置4の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることが可能である。
(1)上記実施形態では、予め設定した車体重量に対応する診断閾値が登録された閾値マップを参照して異常診断に用いる診断閾値を設定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、その都度、基準診断閾値を車体重量に応じた補正量で補正して車体重量に対応する診断閾値を算出し、これを異常診断に用いる診断閾値として設定する構成としてもよい。また、例えば、車体重量を入力値とし該車体重量に対応する振動の大きさに対して適正な診断閾値を出力値とする予め設定した関数を用いて車体重量に対応する診断閾値を算出し、これを異常診断に用いる診断閾値として設定する構成とするなど他の構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、振動を検出するセンサとして、加速度センサを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、AE(acoustic emission)センサ、超音波センサ、ショックパルスセンサ、マイクロホン等や、あるいは、速度、加速度、歪み、応力、変位型等、回転装置2の振動に起因して発生する物理量を電気信号化できるものであれば他のセンサを用いる構成としてもよい。また、ノイズが多いような機械装置に取り付ける際には、絶縁型を使用する方がノイズの影響を受けることが少ないので好ましい。さらに、圧電素子等の振動検出素子を使用する場合には、この素子をプラスチック等にモールドして構成してもよい。
(5)上記実施形態では、1つの加速度センサの出力する加速度信号に対して異常診断処理をする構成としたが、この構成に限らない。例えば、加速度センサを2つ設け、2つの加速度センサの出力する2つの加速度信号に対して、異常診断部によって異常診断処理を行う構成としてもよい。この場合、例えば、2つの加速度信号から得た2つの振動値の平均値を求め、この平均値に対して異常診断処理を行う。
(7)上記実施形態では、回転軸(車軸)を支持する軸受として、複列円すいころ軸受を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等の他のころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受など他の軸受とする構成としてもよい。なお、複列の軸受に限らず、単列の軸受、四列の軸受など他の構成としてもよい。
(10)上記実施形態では、振動を検出するセンサを、複列円すいころ軸受の近傍に設ける構成としたが、この構成に限らず、回転装置の構成部品の異常に係る特徴周波数成分を含む振動を検出可能であれば他の位置に設ける構成としてもよい。
(11)上記実施形態では、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれているときに振動の測定を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、車軸回転数ωに係わらず、常時振動の測定を行い、車軸回転数ωが設定回転数範囲ωsに含まれたら特徴周波数成分の抽出処理を行う構成など他の構成としてもよい。
Claims (7)
- 車軸を支持する軸受を含んで構成される回転装置に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部で検出した振動から前記回転装置の異常に係る特徴周波数成分を抽出する特徴周波数成分抽出部と、
前記特徴周波数成分抽出部で抽出した前記特徴周波数成分と予め設定した診断閾値とを比較し、該比較の結果に基づき前記回転装置の異常を診断する異常診断部と、
前記車軸を備える車両に取り付けられ、該車両の車体重量を検出する重量検出部と、
前記重量検出部で検出した前記車体重量に基づき、該車体重量に対応する前記振動の大きさに対して適正な診断閾値を、前記診断に用いる診断閾値として設定する閾値設定部と、を備える異常診断装置。 - 前記閾値設定部は、前記診断に用いる診断閾値として、前記車体重量が大きくなるほど小さくなる診断閾値を設定する請求項1に記載の異常診断装置。
- 前記回転装置は、前記軸受と、前記車軸と、前記軸受に支持された車輪とを含んで構成され、
前記異常診断部の異常診断対象は、前記軸受、前記車軸及び前記車輪を含む前記回転装置の構成部品である請求項1又は2に記載の異常診断装置。 - 前記車軸の回転数である車軸回転数を検出する車軸回転数検出部と、
前記車軸回転数検出部で検出した車軸回転数に基づき前記車軸が予め設定した設定回転数の範囲で回転しているときに前記振動検出部で検出される前記振動を測定する振動測定部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の異常診断装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた軸受。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた回転装置。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の異常診断装置を備えた車両。
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