JP7371512B2 - 診断装置、方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、診断装置、診断方法、及び診断プログラムに関する。
従来、軸受機構を含む減速機等が使用されている生産機械の予防保全のため、減速機等の劣化状態を診断し、交換するか否かを判断するための定期点検が行われている。軸受機構内の傷などの劣化が生じると、軸受機構内の潤滑油又はグリスに鉄粉が混ざる。そこで、上記の定期点検では、作業員が、生産機械を停止し、外蓋を開け、軸受機構内の潤滑油又はグリスを取り出して鉄粉濃度を計測することが通例となっている。
このような診断に関する技術として、例えば、事前の準備が必要なく、かつ生産工程を中断することなくロボットの異常診断を実行できるロボット制御装置が提案されている。このロボット制御装置は、異常診断に使用される第1のデータを時系列で取得し、異常診断に使用される第1のデータを抽出するのに使用される第2のデータを時系列で取得する。そして、このロボット制御装置は、第2の時系列データに基づいて特定される、異常診断に使用される第1のデータの抽出時間に対応する第1のデータを抽出し、抽出された第1のデータに基づいて、ロボットの異常診断を実行する(特許文献1参照)。
特開2016-179527号公報
特許文献1に記載の装置は、対象の生産機械(ロボット)を止めずに、モータ電流等の収集が容易なデータから、モータや減速機の異常を診断している。しかしながら、特許文献1に記載の装置では、異常か否かを診断できるだけで、軸受機構の劣化具合を把握することができない。そのため、ユーザがいつどのような対策をすべきかを判断することができないという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、軸受機構の劣化具合を診断することができる診断装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る診断装置は、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部と、前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果から特徴量を抽出する抽出部と、前記特徴量の変化と前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズとの予め定めた関係と、前記抽出部により抽出された特徴量とに基づいて、前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズを推定する推定部と、前記推定部による推定結果を出力する出力部と、を含んで構成される。
また、前記抽出部は、前記データを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出することができる。
また、前記推定部は、前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定することができる。
また、前記推定部は、前記外輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分のn倍のサイズと推定するか、又は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定することができる。
また、前記推定部は、前記内輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量が最初の極大値となった時点、及び経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満である場合の前記n回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定し、経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が前記所定値以上である場合、前記内輪に傷が2か所生じていると推定することができる。
また、前記推定部は、前記内輪に傷が2か所生じていると推定した場合、一方の傷のサイズを前回推定時の傷のサイズよりも大きいと推定し、他方の傷のサイズを前記一方の傷のサイズよりも小さいと推定することができる。
また、前記推定部は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での2か所の傷のサイズを、前記一方の傷のサイズと前記他方の傷のサイズとの差が転動体間距離のn倍となる組み合わせから推定し、n回目の極小値となった時点での2か所の傷のサイズを、前記一方の傷のサイズと前記他方の傷のサイズとの和が転動体間距離のn倍又は1/2倍となる組み合わせから推定することができる。
また、前記推定部は、前記組み合わせの最大値又は平均値を前記2か所の傷のサイズとして推定することができる。
また、前記推定部は、前記特徴量の経時変化に基づいて、n回目の極大値又は極小値となった時点での傷のサイズを予測し、予測したサイズを含む所定範囲の値となる前記組み合わせから、前記2か所の傷のサイズを推定することができる。
また、前記抽出部は、前記軸受機構の回転速度と、傷が無い状態での第1特徴量、及び所定の傷が存在する状態での第2特徴量との予め定めた関係に基づいて特定される、前記取得部によりデータが取得された際の前記軸受機構の回転速度に応じた前記第1特徴量及び前記第2特徴量、又は、前記第1特徴量に相当する値として予め定めた既定値及び前記第2特徴量を用いて、抽出した特徴量を正規化することができる。
また、前記抽出部は、前記第1特徴量又は前記既定値を最小値、前記第2特徴量を最大値として、前記抽出した特徴量を正規化することができる。さらに、前記抽出部は、経時変化する前記特徴量の最初の極大値を含む所定範囲内の値を前記第2特徴量とすることができる。
また、本発明に係る診断方法は、取得部が、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得し、抽出部が、前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果から特徴量を抽出し、推定部が、前記特徴量の変化と前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズとの予め定めた関係と、前記抽出部により抽出された特徴量とに基づいて、前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズを推定し、出力部が、前記推定部による推定結果を出力する方法である。
また、本発明に係る診断プログラムは、コンピュータを、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部、前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果から特徴量を抽出する抽出部、前記特徴量の変化と前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズとの予め定めた関係と、前記抽出部により抽出された特徴量とに基づいて、前記外輪又は前記内輪に生じた傷のサイズを推定する推定部、及び、前記推定部による推定結果を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
本発明に係る診断装置、方法、及びプログラムによれば、軸受機構の劣化具合を診断することができる。
診断装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 診断装置と診断対象機器との関係を説明するための図である。 ベアリングの概略構成を示す図である。 波動歯車装置の概略構成を示す図である。 計測データの一例を示す図である。 診断装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 診断装置と診断対象機器との関係を説明するための図である。 外輪傷周波数と回転周波数との関係を説明するための図である。 内輪又は外輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 内輪又は外輪に生じた傷を転動体が連続通過する場合の計測データを説明するための図である。 外輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 波動歯車装置において発生する2か所の傷を説明するための図である。 内輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 特徴量DBの一例を示す図である。 稼働時間に対する外輪傷特徴量の変化を示すグラフである。 稼働時間に対する内輪傷特徴量の変化を示すグラフである。 診断結果DBの一例を示す図である。 第1実施形態における診断処理の一例を示すフローチャートである。 推定処理の一例を示すフローチャートである。 軸受機構の回転速度と特徴量との関係を示すモデルの一例を示す図である。 第2実施形態における診断処理の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法及び比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る診断装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、診断装置10は、CPU(Central Processing Unit)12、メモリ14、記憶装置16、入力装置18、出力装置20、記憶媒体読取装置22、及び通信I/F(Interface)24を有する。各構成は、バス26を介して相互に通信可能に接続されている。
記憶装置16には、診断処理を実行するための診断プログラムが格納されている。CPU12は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU12は、記憶装置16からプログラムを読み出し、メモリ14を作業領域としてプログラムを実行する。CPU12は、記憶装置16に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
メモリ14は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置16は、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力装置18は、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための装置である。出力装置20は、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための装置である。出力装置20として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置18として機能させてもよい。
記憶媒体読取装置22は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
通信I/F24は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
図2に示すように、診断装置10は、ロボット等の生産機械を診断対象機器60として傷の診断を行う。診断対象機器60は、モータ62と、減速機64とを含む。
モータ62は、ユーザにより入力される動作指令に基づいて、ロボット制御装置(図示省略)で生成される動作プロファイルに従って、減速機64が備える軸受機構の軸を動作(回転)させる。動作プロファイルとは、加減速プロファイル、モーションプロファイル等であり、モータ62の動作における、速度、加減速等の特性及び条件のことである。例えば、動作プロファイルは、台形加減速等の時間に対する速度の変化として表される。
減速機64は、軸受機構を備える。本実施形態では、軸受機構として、ロボットの減速機として広く使用される波動歯車装置を主な例として説明する。
一般的な軸受機構(ベアリング)は、図3に示すように、外輪72と内輪74との間に転動体76を備え、玉軸受(内輪74の形状)は真円である。一方、波動歯車装置は、図4に示すように、外輪72と内輪74との間に転動体76を備える点は一般的なベアリングと同様であるが、玉軸受が楕円状である。これにより、振動の周期性が一般的な軸受機構とは異なる。波動歯車装置の劣化診断においては、一般的な軸受機構と共通する点も多いが、本実施形態では、この振動の周期性の相違に着目した診断を行う。
ここで、軸受機構を対象とした振動による劣化診断の基本原理について説明する。
図5に、モータ62の出力トルクや軸の振動等の軸受機構の回転に応じた振動に関する計測データの一例を示す。軸受機構の外輪72又は内輪74に傷が生じている場合、転動体76が傷の箇所を通過する度に振動し、図5に示すように、軸の回転速度に応じて、計測データの周期的な変化として表れる。したがって、計測データに対して、FFT(fast Fourier transform)等の周波数解析を行い、外輪72及び内輪74の各々に応じた特定の周波数にスペクトルのピークが表れているか否かや、ピークの大きさ等を分析することにより、傷の有無を診断することができる。
次に、第1実施形態に係る診断装置10の機能構成について説明する。
図6は、診断装置10の機能構成の例を示すブロック図である。図6に示すように、診断装置10は、機能構成として、取得部32と、抽出部34と、推定部36と、出力部38とを含む。また、診断装置10の所定の記憶領域には、特徴量DB(Database)42と、診断結果DB44とが記憶される。各機能構成は、CPU12が記憶装置16に記憶された診断プログラムを読み出し、メモリ14に展開して実行することにより実現される。
取得部32は、診断対象機器60から、軸受機構の回転に応じた振動に関するデータであって、軸受機構の状態を監視するための計測データを取得する。計測データは、モータ電流等の収集が容易なデータを用いることができる。なお、図2の例では、モータ電流値が示す出力トルクをモータ62の計測データとして取得する場合を示しているが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、減速機64の振動を検知する振動センサ66を設け、取得部32は、この振動センサ66からのセンサ出力を計測データとして取得してもよいし、エンコーダデータ等の他のデータを計測データとして取得してもよい。取得部32は、取得した計測データを抽出部34へ受け渡す。
抽出部34は、取得部32から受け渡された計測データをFFT等により周波数解析し、解析の結果から特徴量を抽出する。具体的には、抽出部34は、計測データを周波数解析した結果において、外輪72に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を、外輪72に生じている傷に対応した特徴量(以下、「外輪傷特徴量」という)として抽出する。また、抽出部34は、内輪74に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を、内輪74に生じている傷に対応した特徴量(以下、「内輪傷特徴量」という)として抽出する。
外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量について、より具体的に説明する。
内輪74の形状が真円のベアリングでは、内輪74は回転するが、外輪72は固定される。このような減速機64の構造、及びモータ62の回転周波数frotから、転動体76が内輪74の傷の上を通過することによる振動の周波数(以下、「内輪傷周波数」という)finは、下記(1)式で特定される。また、転動体76が外輪72の傷の上を通過することによる振動の周波数(以下、「外輪傷周波数」という)foutは、下記(2)式で特定される。
ここで、Rは内輪74の半径、Rは外輪72の半径(図3参照)、Nは転動体76の数、Cは減速比(ベアリングの場合は0)である。
波動歯車装置では、内輪74の形状が楕円である。また、波動歯車装置では、内輪74はモータ62の回転速度で回転し、外輪72はそのC(減速比)の速度で逆回転する。そのため、波動歯車装置では、ベアリングと同様の理論が内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutで成り立ち、かつ外輪72に生じた傷は、回転周波数の2倍(2frot)でも観測可能となる。
具体的には、波動歯車装置では、図4に示すように、いつでも長軸方向に強い力がかかるため、内輪74では長軸方向側に傷ができ易い。図8の上段の図に示すように、長軸方向にできた傷は転動体76が通過する度に振動し、その振動の周波数は上記(1)式とほぼ一致する。
一方、外輪72では、図8の中段の図に示すように、回転周波数frotで1回転する内輪74の長軸方向が当たったときのみ強い力がかかる。したがって、図8の下段の図に示すように、転動体76が傷の上を通過し、かつ内輪74の長軸方向が傷の上を通過したときのみ振動する。そのため、外輪傷周波数foutでは若干振動が観測し難くなり、一方、回転周波数の2倍(2frot)でも傷による振動が観測できるようになる。
上記を踏まえ、抽出部34は、周波数解析の結果から、下表に示す内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutの各々における振幅(スペクトルのパワー値)を、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量として抽出する。
なお、波動歯車装置における外輪傷周波数としては、上記表に記載の2つのfoutのうち、いずれかを採用して監視すればよい。また、両方の周波数を監視し、抽出される外輪傷特徴量の大きさ等に基づいて、いずれかを採用してもよい。なお、2frotの場合より、(2)式に示すfoutの方が、傷の状態を細かく監視することができる。以下の実施形態では、外輪傷周波数として、fout=2frotを採用する場合について説明する。
抽出部34は、所定時間(例えば、10分~1時間)毎に、一定時間分の計測データを周波数解析した結果から抽出した外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を推定部36へ受け渡す。
推定部36は、特徴量の変化と外輪72又は内輪74に生じた傷のサイズとの予め定めた関係と、抽出部34から受け渡された特徴量とに基づいて、外輪72及び内輪74のいずれに傷が生じているかを推定する。また、推定部36は、外輪72及び内輪74のいずれかに傷が生じている場合、外輪72又は内輪74に生じた傷のサイズを推定する。
ここで、特徴量と傷のサイズとの関係を説明するために、まず、傷の箇所を転動体76が通過する際の振動、すなわち計測データの変化の基本について説明する。なお、計測データの大きさは傷の深さと関係があるが、以下では、傷の深さが一定として説明する。
図9(A)に示すように、外輪72又は内輪74に傷が生じていない場合、計測データは平坦なデータとなる。図9(B)に示すように、外輪72又は内輪74に点状の傷が生じている場合、転動体76が傷の箇所を通過する時間において、計測データの値が大きく変化する。また、図9(C)及び(D)に示すように、外輪72又は内輪74に、サイズX[mm]の面状の傷が生じている場合、転動体76が傷のない箇所から傷の箇所に入る時点で計測データの値が大きく変化する。この変化のことを、以下では、「入の振動」ともいう。そして、転動体76が傷の箇所から傷のない箇所へ出る時点で、入の振動とは逆側に計測データが大きく変化する。この変化のことを、以下では、「出の振動」ともいう。
図9の(A)~(D)と同様の傷のケースにおいて、転動体76が連続的に傷の箇所を通過する場合を、図10に示す。転動体間距離をL[mm]とする。
図10(A)の場合、図9(A)の場合と同様に、計測データは平坦なデータとなる。図10(B)の場合、転動体76の各々が傷の箇所を通過する時間において、計測データの値が連続的に変化する。また、図10(C)に示すように、傷のサイズX[mm]が転動体間距離L[mm]よりかなり小さい場合、具体的には、X<L/2の場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とが相互に打ち消し合うことなく、連続して生じる。XがL/2に近づくと、各転動体76の傷への出入りにより、入の振動と出の振動とが均等な間隔で出現する。したがって、周波数解析した場合に、特定の周波数での振幅が最大化する。
また、図10(D)に示すように、XがLに近い場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とが相互に打ち消し合う傾向が強くなる。特にX=Lの場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とのタイミングが一致するため、計測データが打ち消し合い、周波数解析した場合に、特定の周波数の振幅が最小化する。
次に、波動歯車装置において、外輪72に傷が生じている場合の計測データの変化について説明する。図11に示すように、楕円形状の内輪74の長軸の一方側を長軸A、他方側を長軸Bとし、外輪周の1/2をLOUTとする。図11では、計測データを、長軸Aが傷の位置を通過する際の振動を示すデータ(以下、「長軸Aの計測データ」という)と、長軸Bが傷の位置を通過する際の振動を示すデータ(以下、「長軸Bの計測データ」という)とに分解して表している。実際に計測される計測データは、この両者を足し合わせたものである。
図11(A)に示すように、傷のでき始めでは、長軸Aが傷の位置、かつ転動体76が傷の箇所を通過した際に、長軸Aの計測データが大きく変化し、長軸Bの計測データは平坦である。図11(B)に示すように、傷が広がり、傷のサイズXがX≦LOUT/2の範囲では、長軸Aと長軸Bとでは、傷への入りと出のタイミングがずれるため、長軸Aの計測データと長軸Bの計測データとでは、入の振動と出の振動とは重ならない。図11(C)に示すように、さらに傷が広がり、LOUT/2<X≦LOUTの範囲では、長軸Aと長軸Bとで、傷への入りと出のタイミングが重なるため、入の振動と出の振動とが重なり、長軸Aの計測データと長軸Bの計測データとが打ち消し合う傾向が強まる。図11(D)に示すように、さらに傷が広がり、LOUT<X≦3LOUT/2の範囲では、長軸Aと長軸Bとで、傷への入りと出のタイミングが逆転し、計測データは、図11(B)と類似の波形になる。
次に、軸受機構において、内輪74に傷が生じている場合の計測データの変化について説明する。傷が1か所の場合は、図9及び図10で示した基本の場合と同様である。
前提として、傷はまず1個発生し、あるタイミングで2個になるものとする。また、図12に示すように、2個の傷はおおよそ長軸方向の対面する位置に発生する。先に発生した傷を傷A、後に発生した傷を傷Bとする。完全な対面に傷の入り同士が位置し、転動体76の数が奇数個の場合、傷A及び傷Bの各々へ転動体76の入りに応じた計測データの変化の位相は180度ずれる。
図13に、計測データを、傷Aを転動体76が通過する場合の振動を示すデータ(以下、「傷Aの計測データ」という)と、傷Bを転動体76が通過する場合の振動を示すデータ(以下、「傷Bの計測データ」という)とに分解して示す。実際に計測される計測データは、この両者を足し合わせたものである。
図13(A)に示すように、傷が1個の場合には、転動体76が傷Aの箇所を通過した際に、傷Aの計測データが大きく変化し、傷Bの計測データは平坦である。図13(B)に示すように、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合、入の振動が重なるため、計測データは、両者を足し合わせて大きく変化する。また、ある転動体76の傷Aからの出と、他の転動体76の傷Bからの出のタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最大となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最大化する。
一方、図13(C)に示すように、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Bからの出のタイミングが一致する場合、入の振動と出の振動とが重なるため、計測データは打ち消し合う。ある転動体76の傷Aからの出と、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最小となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最小化する。
同様に、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Aからの出のタイミングが一致する場合、入の振動と出の振動とが重なるため、計測データは打ち消し合う。ある転動体76の傷Bからの出と、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最小となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最小化する。
上記についてより具体的に説明する。2ヶ所の傷の中心が内輪74の長軸方向の対面する位置にあり、傷が点状である場合の傷A及び傷Bの計測データの波形は、下記(3)式及び(4)式で表される。
傷A=ag(fin,0) ・・・(3)
傷B=bg(fin,π) ・・・(4)
g(f,0)は、インパルス的な波形が生成される周波数f、位相ゼロの周期関数、g(f,θ)は、θ[rad]の位相が存在する周波数fの周期関数である。また、a及びbは、周期波形の振幅である。
[mm]の傷が発生した場合の傷Aの周期波形は、入の振動と出の振動との足し算として、下記(5)式のようになる。
傷A=ag(fin,-θ)-ag(fin,+θ) ・・・(5)
ここで、仮定より、入の振動と出の振動とは逆位相を持つ。すなわち、転動体間距離LIN[mm]とすると、X=LINのとき、θ=πとなり、下記(6)式に示すように、入の振動と出の振動とは打ち消しあってゼロとなる。
傷A=ag(fin,-π)-ag(fin,+π) ・・・(6)
それ以外のときは、θ=πX/LINと表されるため、傷Aの周期波形は、下記(7)式で表される
傷A=ag(fin,-πX/LIN)-ag(fin,+πX/LIN
・・・(7)
同様に、X[mm]の傷が発生した場合の傷Bの周期波形は、下記(8)式のようになる。
傷B=bg(fin,π-πX/LIN)-bg(fin,π+πX/LIN
=bg(fin,π(1-X/LIN))-bg(fin,π(1+X/LIN))
・・・(8)
(7)式及び(8)式から、内輪74の長軸方向の対面する位置に2個の傷が発生しており、2個の傷の深さが同じ場合、傷のサイズが下表の条件のとき、内輪傷特徴量は極大値又は極小値を取る。
上記の点を踏まえ、推定部36は、以下のように傷の有無及び傷のサイズを推定する。
推定部36は、抽出部34から受け渡された特徴量を、診断対象機器60の稼働時間と対応付けて、図14に示すような特徴量DB42に記憶する。そして、推定部36は、特徴量DB42に記憶された稼働時間毎の外輪傷特徴量を読み出し、図15に示すように、診断対象機器60の稼働時間に対する外輪傷特徴量の変化をプロットする。同様に、推定部36は、特徴量DB42に記憶された稼働時間毎の内輪傷特徴量を読み出し、図16に示すように、診断対象機器60の稼働時間に対する内輪傷特徴量の変化をプロットする。
推定部36は、図15に示すような外輪傷特徴量の変化において、外輪傷特徴量が予め定めた閾値を初めて超えた場合に、外輪72に傷が生じていると推定し、以降の診断時においては、外輪72に傷があるものとして推定処理を行う。同様に、推定部36は、図16に示すような内輪傷特徴量の変化において、内輪傷特徴量が予め定めた閾値を初めて超えた場合に、内輪74に傷が生じていると推定し、以降の診断時においては、内輪74に傷があるものとして推定処理を行う。
すなわち、特徴量である、内輪傷周波数finの振幅(内輪傷特徴量)が変化しているか、外輪傷周波数foutの振幅(外輪傷特徴量)が変化しているかで、傷の発生位置が内輪か外輪かを見分けることができる。
なお、傷が生じているか否かを推定するためには、正常時の外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量の各々の平均及び分散を予め算出しておき、上記の閾値として、平均+分散の値を用いればよい。また、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量について、それぞれの正常時の平均値からの増加の割合が大きい方の位置を、傷の位置と推定してもよい。
また、推定部36は、外輪72に傷が生じていると推定した場合、図15に示すような外輪傷特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを、外輪周の半周分の(n-1/2)倍のサイズと推定する。また、推定部36は、外輪傷特徴量がn回目の極小値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分のn倍のサイズと推定する。
OUT=0.5×外輪周とすると、図15の例では、(A)~(D)の各時点で、以下のように外輪傷のサイズが推定される。
(A)初回(n=1)の極大値の時点 :外輪傷のサイズ=0.5LOUT
(B)初回(n=1)の極小値の時点 :外輪傷のサイズ=1.0LOUT
(C)2回目(n=2)の極大値の時点:外輪傷のサイズ=1.5LOUT
(D)2回目(n=2)の極小値の時点:外輪傷のサイズ=2.0LOUT
また、推定部36は、内輪74に傷が生じていると推定した場合、図16に示すような内輪傷特徴量が最初の極大値となった時点での傷のサイズを、転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定する。推定部36は、内輪傷特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満である場合のn回目の極大値となった時点での傷のサイズも同様に、転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定する。さらに、推定部36は、内輪傷特徴量がn回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定する。
また、推定部36は、内輪傷特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値以上である場合、内輪74に傷が2か所生じていると推定する。この場合、推定部36は、傷A(先に発生している傷)のサイズを前回推定時の傷のサイズ以上と推定し、傷B(後から発生した傷)のサイズを傷Aのサイズよりも小さいと推定する。
傷が1か所の場合には、n回目の極大値とn-1回目の極大値とは大きく変わらないが、傷が2か所となった場合には、n回目の極大値は、n-1回目の極大値に比べ、大きな値となる。傷が1か所か2か所かを推定するための所定値は、この切り分けが可能な値を予め定めておいてもよいし、n-1回目の極大値の所定割合(例えば、50%)の値としてもよい。
推定部36は、具体的には、内輪傷特徴量がn回目の極大値となった時点での2か所の傷のサイズを、傷Aのサイズと傷Bのサイズとの差が転動体間距離のn倍となる候補サイズの組み合わせから推定する。また、推定部36は、内輪傷特徴量がn回目の極小値となった時点での2か所の傷のサイズを、傷Aのサイズと傷Bのサイズとの和が転動体間距離のn倍又はn/2倍となる候補サイズの組み合わせから推定する。
より具体的には、推定部36は、傷AのサイズXと傷BのサイズXとの和の最大値を内輪周の値とし、上記表2の条件に従うX及びXの組み合わせを、候補サイズの組み合わせとする。
また、推定部36は、XとXとの和の最大値を、過去の内輪傷特徴量の変化に基づいて予測される、n回目の極大値又は極小値となった時点での傷のサイズとしてもよい。例えば、稼働時間T1~T2のΔT1-2の間に、傷のサイズがΔX1-2大きくなって、稼働時間T2の時点で傷のサイズがXT2であったとする。この場合、稼働時間T3の時点での傷のサイズXT3を、下記(9)式のように予測することができる。
T3=XT2+(ΔX1-2×ΔT2-3)/ΔT1-2
この場合、推定部36は、XとXとの和の最大値をXT3とし、上記表2の条件に従うX及びXの組み合わせを、候補サイズの組み合わせとすることができる。これにより、候補サイズの組み合わせが膨大になることを抑制することができる。なお、XとXとの和の最大値をXT3にマージンを加えた値としてもよい。
推定部36は、例えば、候補サイズの組み合わせの最大値又は平均値を、傷A及び傷Bのサイズとして推定する。
転動体間距離LIN=8[mm]とすると、図16の例では、(E)~(I)の各時点で、以下のように内輪傷のサイズが推定される。
(E)初回(n=1)の極大値の時点 :
傷は1か所・・・内輪傷のサイズ=0.5LIN=4mm
(F)初回(n=1)の極小値の時点 :
傷は1か所・・・内輪傷のサイズ=1.0LIN=8mm
(G)2回目(n=2)の極大値、かつ(E)の極大値との差が所定値未満:
傷は1か所・・・内輪傷のサイズ=1.5LIN=12mm
(H)2回目(n=2)の極小値の時点:
傷は1か所・・・内輪傷のサイズ=2.0LIN=16mm
(I)3回目(n=3)の極大値、かつ(G)の極大値との差が所定値以上:
傷は2か所・・・以下の候補サイズの組み合わせから推定
上記(I)の場合、(E)~(H)の間がおよそ600時間で、その間に傷Aのサイズが12mm大きくなっており、(H)~(I)間がおよそ600時間である。これを利用して、(I)の時点での傷AのサイズXと傷BのサイズXとの和の最大値を、12mm×2(傷2個分)+16mm((H)の時点でのX)=40mmとする。また、Xは(H)の時点でのサイズである16mm以上であり、XはXよりも小さく、かつ表2の条件「X-X=nLIN」から、X-X=3×8=24mmである。したがって、候補サイズを1mm単位とすると、以下の組み合わせ(X,X)の各々が候補サイズとなる。
(25,1)、(26,2)、(27,3)、(28,4)、
(29,5)、(30,6)、(31,7)、(32,8)
この候補サイズの組み合わせの中から最大値を選択すると、Xは32mm、Xは8mmと推定される。また、平均値をとると、Xは28.5mm、Xは4.5mmと推定される。
なお、外輪傷周波数として、上記(2)式のfoutを採用した場合、推定部36は、上記の内輪傷のサイズと同様に外輪傷のサイズを推定することができる。
推定部36は、推定した傷の位置(外輪72か内輪74か)、及び傷のサイズを診断結果として、例えば図17に示すような診断結果DB44に稼働時間と対応付けて記憶する。
出力部38は、診断結果DB44に記憶された診断結果を出力する。出力する診断結果は、直近の診断結果のみでもよいし、過去の診断結果も併せて出力してもよい。出力の方法は、ディスプレイへの画面表示、スピーカからの音声出力、プリンタによる帳票への印字等、任意の方法を利用することができる。
次に、第1実施形態に係る診断装置10の作用について説明する。
図18は、診断装置10のCPU12により実行される診断処理の流れを示すフローチャートである。CPU12が記憶装置16から診断プログラムを読み出して、メモリ14に展開して実行することにより、CPU12が診断装置10の各機能構成として機能し、図18に示す診断処理が実行される。
ステップS10で、取得部32が、前回の診断処理の実行から所定時間(例えば、10分~1時間)が経過したか否かを判定する。経過している場合には、処理はステップS20へ移行し、経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返す。
ステップS20では、取得部32が、診断対象機器60から、軸受機構の回転に応じた振動に関するデータとして、例えばモータ62の出力トルク等の計測データを取得する。
次に、ステップS30で、抽出部34が、取得部32により取得された計測データをFFT等により周波数解析する。そして、抽出部34が、周波数解析の結果から、表1に示す内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutの各々における振幅を、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量として抽出する。抽出部34は、抽出した外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を推定部36へ受け渡す。推定部36は、抽出部34から受け渡された特徴量を、診断対象機器60の稼働時間と対応付けて、図14に示すような特徴量DB42に記憶する。
次に、ステップS40で、推定処理が実行される。ここで、図19を参照して、推定処理について詳述する。
ステップS41で、推定部36が、診断結果DB44を参照して、傷の診断結果が記憶されているか否かを判定する。内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量の双方とも正常値を維持している場合には、診断結果DB44に傷の診断結果は記憶されていない。傷の診断結果が記憶されている場合には、処理はステップS44へ移行し、記憶されていない場合には、処理はステップS42へ移行する。
ステップS42で、推定部36が、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量のいずれかが閾値を超えたか否かを判定する。閾値を超えた場合には、処理はステップS43へ移行し、超えていない場合には、推定処理を終了し、処理は診断処理(図18)へリターンする。
ステップS43では、推定部36が、内輪傷特徴量が閾値を超えた場合には、傷の位置が内輪74であること、外輪傷特徴量が閾値を超えた場合には、傷の位置が外輪72であることと、診断対象機器60の稼働時間とを対応付けて、診断結果DB44に記憶する。そして、推定処理を終了し、処理は診断処理(図18)へリターンする。
ステップS44では、推定部36が、内輪傷特徴量の変化、及び外輪傷特徴量の変化のいずれかにおいて、新たな極大値又は極小値が生じているか否かを判定する。新たな極大値又は極小値が生じている場合には、ステップS45へ移行し、生じていない場合には、推定処理を終了し、処理は診断処理(図18)へリターンする。
ステップS45では、推定部36が、新たな極大値又は極小値が生じたのは、内輪傷特徴量か外輪傷特徴量かを判定する。外輪傷特徴量の場合には、処理はステップS46へ移行し、内輪傷特徴量の場合には、処理はステップS47へ移行する。
ステップS46では、上記ステップS44で生じていると判定された新たな極大値又は極小値が外輪傷特徴量のn回目の極大値の場合、推定部36が、(n-1/2)×LOUT(LOUT=0.5×外輪周)を、外輪傷のサイズと推定する。また、上記ステップS44で生じていると判定された新たな極大値又は極小値が外輪傷特徴量のn回目の極小値の場合、推定部36が、n×LOUTを、外輪傷のサイズと推定する。
ステップS47では、推定部36が、内輪傷特徴量が最初の極大値か、又は、内輪傷特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満かを判定することにより、内輪傷が1か所か否かを判定する。内輪傷が1か所の場合には、処理はステップS48へ移行し、2か所の場合には、処理はステップS49へ移行する。なお、診断結果DB44を参照して、過去の診断結果において、既に内輪傷が2か所推定されている場合には、本ステップの判定は省略して、ステップS49へ移行するようにしてもよい。
ステップS48では、上記ステップS44で生じていると判定された新たな極大値又は極小値が内輪傷特徴量のn回目の極大値の場合、推定部36が、(n-1/2)×LIN(LIN=転動体間距離)を、内輪傷のサイズと推定する。また、上記ステップS44で生じていると判定された新たな極大値又は極小値が内輪傷特徴量のn回目の極小値の場合、推定部36が、n×LINを、内輪傷のサイズと推定する。
ステップS49では、推定部36が、傷A(先に発生している傷)のサイズXを前回推定時の傷のサイズ以上とし、傷B(後から発生した傷)のサイズXをXよりも小さいものとする。また、推定部36が、XとXとの和の最大値を内輪周又は過去の内輪傷特徴量に基づいて予測される値とし、上記表2の条件に従うX及びXの組み合わせを、候補サイズの組み合わせとする。そして、推定部36が、候補サイズの組み合わせの最大値又は平均値をX及びXとして推定する。
次に、ステップS50で、推定部36が、上記ステップS45で推定した傷の位置(外輪72か内輪74か)と、上記ステップS46、S48、又はS49で推定した傷のサイズを診断結果として、診断結果DB44に稼働時間と対応付けて記憶する。また、推定部36は、診断結果を出力部38へ受け渡す。そして、推定処理を終了し、処理は診断処理(図18)へリターンする。
次に、診断処理(図18)のステップS60で、出力部38は、診断結果DB44に記憶された診断結果を出力する。
次に、ステップS70で、出力部38が、診断結果が診断処理の終了条件に到達したか否かを判定する。終了条件としては、例えば、傷のサイズがユーザにより予め設定されたサイズに到達した場合、傷が2か所発生した場合等の条件を予め定めておく。終了条件に到達していない場合には、処理はステップS10に戻り、到達した場合には、診断処理を終了する。
以上説明したように、第1実施形態に係る診断装置によれば、軸受機構の回転に応じた振動に関する計測データの周波数解析の結果から、内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutの各々における振幅を、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量として抽出する。そして、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量の変化と傷のサイズとの予め定めた関係に基づいて、内輪傷又は外輪傷のサイズを推定する。これにより、軸受機構に異常があるか否かだけでなく、軸受機構に生じた傷の位置及びサイズを把握することができ、軸受機構の劣化具合を診断することができる。
また、上記のように軸受機構の劣化具合を診断することができることにより、ユーザが定期点検、減速機交換、潤滑油の交換等の時期を劣化状態に合わせて判断することができ、診断対象機器の劣化状態に応じた対策及び対策時期を決定し易くなる。また、傷のサイズという詳細な劣化状態を示す情報が得られるため、交換部品の納品日に合わせて、診断対象機器の暫定的延命処置、例えば、負荷の少ない動作に変える等の対策もとり易くなる。
さらに、減速機内の潤滑油等を取り出して鉄粉濃度を測るといった作業が不要であるため、診断作業自体の工数を削減することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る診断装置において、第1実施形態に係る診断装置10と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第2実施形態に係る診断装置のハードウェア構成は、図1に示す、第1実施形態に係る診断装置10のハードウェア構成と同様であるため、説明を省略する。
図2又は図7に示すように、第2実施形態に係る診断装置210は、第1実施形態に係る診断装置10と同様に、ロボット等の生産機械を診断対象機器60として傷の診断を行う。
図6に示すように、診断装置210は、機能構成として、取得部32と、抽出部234と、推定部36と、出力部38とを含む。また、診断装置210の所定の記憶領域には、特徴量DB42と、診断結果DB44とが記憶される。各機能構成は、CPU12が記憶装置16に記憶された診断プログラムを読み出し、メモリ14に展開して実行することにより実現される。
抽出部234は、第1実施形態の抽出部34と同様に、外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を抽出する。
ここで、診断対象機器60が、コンベアピッキング等を行うロボットの場合、ロボットの動作速度及び動作距離がサイクル毎に異なり、これにより、軸受機構の回転速度もサイクル毎に異なる。この場合、単純動作を行う診断対象機器60の場合と比べ、軸受機構内の傷の状態が同程度であっても、傷のサイズの推定精度が低下する場合がある。これは、診断対象機器60の動作に応じて、取得される計測データの変動の仕方が、単純動作を行う診断対象機器60の場合と異なるためである。
そこで、第2実施形態の抽出部234は、診断対象機器60の動作がサイクル毎に異なっても、計測データの変動による、傷のサイズの推定への影響を抑制し、安定して外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を抽出する。
具体的には、抽出部234は、抽出した外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を、診断対象機器60の動作による計測データの変動を抑制するように正規化する。より具体的には、抽出部234は、傷のない正常時に抽出された特徴量の値が最小値、第1実施形態で説明した特徴量の変化(図15及び図16)における1回目の極大値が最大値となるように、外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量の各々を正規化する。なお、1回目の極大値を利用するのは、特徴量の変化の1回目の極大値においては、まだ傷が1か所である可能性が高く、特徴量の大きさが一定値を取り易いためである。ただし、傷の大きさがある程度分かるのであれば、任意のn回目の極大値が最大値となるように正規化してもよい。また、正規化における最小値としては、傷のない正常時に抽出された特徴量を用いる場合に限定されず、傷のない正常時に抽出される特徴量に相当する値として予め定めた既定値(例えば、ゼロ)を用いてもよい。また、正規化における最大値としては、極大値自体を用いる場合に限定されず、極大値を含む所定範囲内の値、すなわち極大値付近の値を用いてもよい。例えば、極大値より所定値小さい値を最大値として正規化してもよい。
例えば、診断対象機器60について想定される動作に応じた、軸受機構の回転速度の各々について、上記の最大値及び最小値を予め求めておき、図20に示すように、回転速度と特徴量の最大値及び最小値とを対応付けたモデルを用意しておく。このモデルは、実験環境下で、傷のない正常時、及び所定サイズの傷が生じている状態の各々において、軸受機構の回転速度を異ならせながら計測データを計測し、その計測データから抽出された特徴量に基づいて作成しておくことができる。なお、図20では、内輪傷特徴量を正規化するためのモデルを示しているが、外輪傷特徴量についても同様のモデルを用意しておけばよい。
ここで、減速機64の振動は、減速機64内の潤滑油膜が厚くなるほど小さくなる。また、減速機64内の潤滑油膜の厚さは、転動体76の転がりの回転速度に比例する。したがって、図20に示すように、軸受機構の回転速度と特徴量との関係を示すモデルにおいて、回転速度が所定速度以上の場合、減速機64内の潤滑油膜の厚みが回転速度に応じて増し、傷による振動、すなわち特徴量が小さくなる(図20中のA)。一方、軸受機構の回転速度が極めて遅い場合は、潤滑油膜がほとんど形成されない。すなわち、潤滑油膜の厚みがゼロに近い値となるため、軸受機構の回転速度が上昇するほど振動、すなわち特徴量が大きくなる(図20中のB)。このように、上記のモデルは、軸受機構の回転速度の増加に伴う振動の増加と、軸受機構の回転速度の増加による潤滑油膜の厚みの増加に伴う振動の低下との2つのモデルによって表現されているといえる。
抽出部234は、特徴量を抽出したときの軸受機構の回転速度を取得し、上記のモデルを参照して、その回転速度における特徴量の最大値及び最小値を取得する。そして、抽出部234は、取得した特徴量の最大値及び最小値を用いて、例えば、下記(3)式により特徴量を正規化する。
(3)式において、x’は、正規化後の特徴量、xは、時刻tにおいて計測された計測データから抽出された正規化前の特徴量、vは、時刻tにおける軸受機構の回転速度である。また、fmax(v)及びfmin(v)の各々は、上記のモデルから取得される、回転速度vに対応付けられた特徴量の最大値及び最小値である。
次に、第2実施形態に係る診断装置210の作用について説明する。
図21は、診断装置210のCPU12により実行される診断処理の流れを示すフローチャートである。CPU12が記憶装置16から診断プログラムを読み出して、メモリ14に展開して実行することにより、CPU12が診断装置210の各機能構成として機能し、図21に示す診断処理が実行される。
第2実施形態における診断処理は、ステップS30とステップS40との間でステップS35が実行される点が、第1実施形態における診断処理(図18)と異なる。ステップS35では、抽出部234が、上記ステップS30で抽出した外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量の各々を、例えば図20に示すようなモデル、及び上記(3)式を用いて正規化し、正規化後の特徴量を推定部36へ受け渡す。
以上説明したように、第2実施形態に係る診断装置によれば、事前に用意した、軸受機構の回転速度と特徴量との関係を示すモデルに基づいて、特徴量抽出時の軸受機構の回転速度に応じた特徴量の最大値及び最小値を取得する。そして、抽出された特徴量を、取得した最大値及び最小値を用いて正規化する。これにより、診断対象機器の動作による計測データの変動の影響が抑制され、サイクル毎に動作速度及び動作距離が異なるような診断対象機器を対象とした場合であっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上記各実施形態では、軸受機構として、主に波動歯車装置の例を説明したが、一般的なベアリングにも本発明を適用範囲である。この場合、上記推定処理(図19)のステップS45で内輪傷と判定された場合には、ステップS48へ移行し、ステップS47及びS49の処理は省略すればよい。
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した診断処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、診断処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、診断プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
10、210 診断装置
12 CPU
14 メモリ
16 記憶装置
18 入力装置
20 出力装置
22 記憶媒体読取装置
24 通信I/F
26 バス
32 取得部
34、234 抽出部
36 推定部
38 出力部
42 特徴量DB
44 診断結果DB
60 診断対象機器
62 モータ
64 減速機
66 振動センサ
72 外輪
74 内輪
76 転動体

Claims (13)

  1. 外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部と、
    前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出する抽出部と、
    前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定する推定部と、
    前記推定部による推定結果を出力する出力部と、を含み、
    前記推定部は、前記外輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分のn倍のサイズと推定するか、又は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定する
    断装置。
  2. 外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部と、
    前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出する抽出部と、
    前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定する推定部と、
    前記推定部による推定結果を出力する出力部と、を含み、
    前記推定部は、前記内輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量が最初の極大値となった時点、及び経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満である場合の前記n回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定し、経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が前記所定値以上である場合、前記内輪に傷が2か所生じていると推定する
    断装置。
  3. 前記推定部は、前記内輪に傷が2か所生じていると推定した場合、一方の傷のサイズを前回推定時の傷のサイズよりも大きいと推定し、他方の傷のサイズを前記一方の傷のサイズよりも小さいと推定する請求項に記載の診断装置。
  4. 前記推定部は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での2か所の傷のサイズを、前記一方の傷のサイズと前記他方の傷のサイズとの差が転動体間距離のn倍となる組み合わせから推定し、n回目の極小値となった時点での2か所の傷のサイズを、前記一方の傷のサイズと前記他方の傷のサイズとの和が転動体間距離のn倍又は/2倍となる組み合わせから推定する請求項に記載の診断装置。
  5. 前記推定部は、前記組み合わせの最大値又は平均値を前記2か所の傷のサイズとして推定する請求項に記載の診断装置。
  6. 前記推定部は、前記特徴量の経時変化に基づいて、n回目の極大値又は極小値となった時点での傷のサイズを予測し、予測したサイズを含む所定範囲の値となる前記組み合わせから、前記2か所の傷のサイズを推定する請求項又は請求項に記載の診断装置。
  7. 前記抽出部は、前記軸受機構の回転速度と、傷が無い状態での第1特徴量、及び所定の傷が存在する状態での第2特徴量との予め定めた関係に基づいて特定される、前記取得部によりデータが取得された際の前記軸受機構の回転速度に応じた前記第1特徴量及び前記第2特徴量、又は、前記第1特徴量に相当する値として予め定めた既定値及び前記第2特徴量を用いて、抽出した特徴量を正規化する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の診断装置。
  8. 前記抽出部は、前記第1特徴量又は前記既定値を最小値、前記第2特徴量を最大値として、前記抽出した特徴量を正規化する請求項に記載の診断装置。
  9. 前記抽出部は、経時変化する前記特徴量の最初の極大値を含む所定範囲内の値を前記第2特徴量とする請求項又は請求項に記載の診断装置。
  10. 取得部が、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得し、
    抽出部が、前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出し、
    推定部が、前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定し、
    出力部が、前記推定部による推定結果を出力する診断方法であって、
    前記推定部は、前記外輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分のn倍のサイズと推定するか、又は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定する
    断方法。
  11. コンピュータを、
    外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部、
    前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出する抽出部、
    前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定する推定部、及び、
    前記推定部による推定結果を出力する出力部として機能させるための診断プログラムであって、
    前記推定部は、前記外輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを外輪周の半周分のn倍のサイズと推定するか、又は、経時変化する前記特徴量がn回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定する
    断プログラム。
  12. 取得部が、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得し、
    抽出部が、前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出し、
    推定部が、前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定し、
    出力部が、前記推定部による推定結果を出力する診断方法であって、
    前記推定部は、前記内輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量が最初の極大値となった時点、及び経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満である場合の前記n回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定し、経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が前記所定値以上である場合、前記内輪に傷が2か所生じていると推定する
    診断方法。
  13. コンピュータを、
    外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の回転に応じた振動に関するデータを取得する取得部、
    前記取得部により取得されたデータを周波数解析した結果において、前記外輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を外輪の特徴量、前記内輪に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を内輪の特徴量として抽出する抽出部、
    前記外輪の特徴量が予め定めた閾値を超えた場合に、前記外輪に傷が生じていると推定し、前記内輪の特徴量が前記閾値を超えた場合に、前記内輪に傷が生じていると推定する推定部、及び、
    前記推定部による推定結果を出力する出力部として機能させるための診断プログラムであって、
    前記推定部は、前記内輪に傷が生じていると推定した場合、経時変化する前記特徴量が最初の極大値となった時点、及び経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が所定値未満である場合の前記n回目の極大値となった時点での傷のサイズを転動体間距離の(n-1/2)倍のサイズと推定し、n回目の極小値となった時点での傷のサイズを転動体間距離のn倍のサイズと推定し、経時変化する前記特徴量のn回目の極大値とn-1回目の極大値との差が前記所定値以上である場合、前記内輪に傷が2か所生じていると推定する
    診断プログラム。
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