JP7375584B2 - シミュレーション装置、方法、プログラム、及び診断システム - Google Patents

シミュレーション装置、方法、プログラム、及び診断システム Download PDF

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Description

本発明は、シミュレーション装置、シミュレーション方法、シミュレーションプログラム、及び診断システムに関する。
従来、軸受機構を含む減速機等が使用されている生産機械の予防保全のため、減速機等の劣化状態を診断し、交換するか否かを判断するための定期点検が行われている。軸受機構内の傷などの劣化が生じると、軸受機構内の潤滑油又はグリスに鉄粉が混ざる。そこで、上記の定期点検では、作業員が、生産機械を停止し、外蓋を開け、軸受機構内の潤滑油又はグリスを取り出して鉄粉濃度を計測することが通例となっている。
このような診断に関する技術として、例えば、少なくとも1つの回転構成要素を備えた機械と、少なくとも1つの回転構成要素の周波数を検出するように構成された少なくとも1つのセンサとを含む監視システムが提案されている。この監視システムは、少なくとも1つの周波数を含む信号を少なくとも1つのセンサから受信し、受信した信号をデジタル振動信号に変換し、振動信号を変形させてエンベロープ信号を生成する。そして、この監視システムは、エンベロープ信号を同期オーバサンプリングして同期エンベロープ信号を生成し、かつ同期エンベロープ信号を周波数スペクトルに変換して少なくとも1つの周波数を分離する(特許文献1参照)。
また、例えば、ロボット駆動系の残余寿命を予測するロボット保守支援装置が提案されている。この装置は、ロボット駆動系を構成するサーボモータの電流指令値について取得したデータに基づいて、電流指令値の将来の変化傾向を診断し、変化傾向に基づいて、電流指令値が、予め設定された値に到達するまでの期間を判定する(特許文献2参照)。
特開2011-221015号公報 特開2016-117148号公報
上述した通例の定期点検では、軸受機構内に傷が生じているか否か、又は、どの程度の傷が生じているかが不明な状態で、生産機械を停止して点検を行う必要がある。そこで、例えば、軸受機構内における所定サイズの傷の発生の検知条件を事前に設定しておき、検知条件に該当する傷の発生が推測された場合にメンテナンスを行うことを考える。
特許文献1に記載の装置は、対象の生産機械(ロボット)を止めずに、モータ電流等の収集が容易なデータから、モータや減速機の異常を診断している。しかしながら、特許文献1に記載の装置では、異常か否かを診断できるだけで、軸受機構の劣化具合を把握することができないため、上述した検知条件を適切に設定できないという課題がある。
また、特許文献2に記載の装置は、減速機が故障するか否かを判断するための閾値の決め方が示されているが、この閾値は、モータの設計条件から設定しており、減速機の劣化そのものを示すものではない。そのため、特許文献2に記載の装置でも、上述した検知条件を適切に設定できないという課題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、軸受機構劣化の適切な検知条件を事前に設定することができるシミュレーション装置、方法、プログラム、及び診断システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション装置は、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する生成部と、前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する抽出部と、前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する出力部と、を含んで構成される。
また、前記抽出部は、前記特徴量を、複数の前記特定の周波数におけるスペクトル強度の各々を組み合わせて抽出することができる。
また、前記出力部は、前記関係として、軸受機構を有する診断対象機器から取得される前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号から抽出される特徴量と比較した際に、前記軸受機構内の劣化状態を診断するための閾値となる特徴量を出力することができる。
また、前記閾値は、前記関係における、所定の傷のサイズに対応した特徴量とすることができる。
また、前記取得部は、さらに、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報を取得し、前記生成部は、前記取得部により取得された前記機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を生成することができる。
また、前記生成部は、前記軸受機構が備える複数の転動体の各々が、前記傷に入る際に生じる振動と、前記傷から出る際に生じる振動とを足し合わせて、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を生成することができる。
また、本発明に係るシミュレーション方法は、取得部が、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得し、生成部が、前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成し、抽出部が、前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出し、出力部が、前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する方法である。
また、本発明に係るシミュレーションプログラムは、コンピュータを、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得する取得部、前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する生成部、前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する抽出部、及び、前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
また、本発明に係る診断システムは、上記のシミュレーション装置と、前記軸受機構と、制御部とを含む診断対象機器と、を含む診断システムであって、前記制御部は、前記軸受機構を有する診断対象機器から前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を取得し、取得した前記時系列信号を周波数解析し、周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出し、抽出した特徴量と、前記出力部から出力された前記関係とに基づいて、前記診断対象機器の前記軸受機構内の劣化状態を診断するシステムである。
本発明に係るシミュレーション装置、方法、プログラム、及び診断システムによれば、軸受機構劣化の適切な検知条件を事前に設定することができる。
シミュレーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 シミュレーション装置と診断対象機器との関係を説明するための図である。 ベアリングの概略構成を示す図である。 波動歯車装置の概略構成を示す図である。 計測データの一例を示す図である。 シミュレーション装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 内輪又は外輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 内輪又は外輪に生じた傷を転動体が連続通過する場合の計測データを説明するための図である。 外輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 外輪傷周波数と回転周波数との関係を説明するための図である。 特徴量の抽出を説明するための図である。 シミュレーション結果の一例を概略的に示す図である。 第1実施形態におけるシミュレーション処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る診断システムの概略構成を示すブロック図である。 波動歯車装置において発生する2か所の傷を説明するための図である。 内輪に生じた傷と計測データとの関係を説明するための図である。 2か所の傷のサイズの組み合わせを説明するための図である。 2か所の傷を想定した疑似信号の生成を説明するための図である。 第2実施形態における診断処理の一例を示すフローチャートである。 特徴量の抽出の他の例を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法及び比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るシミュレーション装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、シミュレーション装置10は、CPU(Central Processing Unit)12、メモリ14、記憶装置16、入力装置18、出力装置20、記憶媒体読取装置22、及び通信I/F(Interface)24を有する。各構成は、バス26を介して相互に通信可能に接続されている。
記憶装置16には、シミュレーション処理を実行するためのシミュレーションプログラムを含む各種プログラムが格納されている。CPU12は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU12は、記憶装置16からプログラムを読み出し、メモリ14を作業領域としてプログラムを実行する。CPU12は、記憶装置16に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
メモリ14は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置16は、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを記憶する。
入力装置18は、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための装置である。出力装置20は、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための装置である。出力装置20として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置18として機能させてもよい。
記憶媒体読取装置22は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
通信I/F24は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
図2に示すように、シミュレーション装置10は、ロボット等の生産機械を診断対象機器60として、傷の状態をシミュレーションする。診断対象機器60は、モータ61と、減速機62とを含む。
モータ61は、ユーザにより入力される動作指令に基づいて、ロボット制御装置(図示省略)で生成される動作プロファイルに従って、減速機62が備える軸受機構の軸を動作(回転)させる。動作プロファイルとは、加減速プロファイル、モーションプロファイル等であり、モータ61の動作における、速度、加減速等の特性及び条件のことである。例えば、動作プロファイルは、台形加減速等の時間に対する速度の変化として表される。
減速機62は、軸受機構を備える。本実施形態では、軸受機構として、ロボットの減速機として広く使用される波動歯車装置を主な例として説明する。
一般的な軸受機構(ベアリング)は、図3に示すように、外輪72と内輪74との間に転動体76を備え、玉軸受(内輪74の形状)は真円である。一方、波動歯車装置は、図4に示すように、外輪72と内輪74との間に転動体76を備える点は一般的なベアリングと同様であるが、玉軸受が楕円状である。これにより、振動の周期性が一般的な軸受機構とは異なる。波動歯車装置の劣化診断においては、一般的な軸受機構と共通する点も多いが、本実施形態では、この振動の周期性の相違に着目したシミュレーションを行う。
ここで、軸受機構を対象とした振動による劣化診断の基本原理について説明する。
図5に、モータ61の出力トルクや軸の振動等の軸受機構の回転に応じた振動に関する計測データの一例を示す。軸受機構の外輪72又は内輪74に傷が生じている場合、転動体76が傷の箇所を通過する度に振動し、図5に示すように、軸の回転速度に応じて、計測データの周期的な変化として表れる。したがって、計測データに対して、FFT(fast Fourier transform)等の周波数解析を行い、外輪72及び内輪74の各々に応じた特定の周波数にスペクトルのピークが表れているか否かや、ピークの大きさ等を分析することにより、傷の有無を診断することができる。
次に、第1実施形態に係るシミュレーション装置10の機能構成について説明する。
図6は、シミュレーション装置10の機能構成の例を示すブロック図である。図6に示すように、シミュレーション装置10は、機能構成として、取得部32と、生成部34と、抽出部36と、出力部38とを含む。各機能構成は、CPU12が記憶装置16に記憶されたシミュレーションプログラムを読み出し、メモリ14に展開して実行することにより実現される。
取得部32は、外輪72と内輪74との間に転動体76を備える軸受機構の、外輪72、内輪74、及び転動体76に関する機構情報を取得する。具体的には、取得部32は、詳細を後述する疑似信号の生成、及び特徴量の抽出に必要な、外輪72の半径、内輪74の半径、転動体76の数、及び転動体間距離を含む機構情報を取得する。取得部32は、取得した機構情報を生成部34及び抽出部36へ受け渡す。
生成部34は、取得部32から受け渡された機構情報に基づいて、軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、軸受機構の回転に応じた振動に関する疑似的な時系列信号(以下、「疑似信号」という)を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する。具体的には、生成部34は、軸受機構が備える複数の転動体76の各々が傷に入る際に生じる振動と、傷から出る際に生じる振動とを足し合わせて、疑似信号を生成する。
ここで、生成部34が疑似信号を生成するための基本となる、傷の箇所を転動体76が通過する際の振動、すなわち計測データの変化について説明する。なお、計測データの大きさは傷の深さと関係があるが、以下では、傷の深さが一定として説明する。
図7(A)に示すように、外輪72又は内輪74に傷が生じていない場合、計測データは平坦なデータとなる。図7(B)に示すように、外輪72又は内輪74に点状の傷が生じている場合、転動体76が傷の箇所を通過する時間において、計測データの値が大きく変化する。また、図7(C)及び(D)に示すように、外輪72又は内輪74に、サイズX[mm]の面状の傷が生じている場合、転動体76が傷のない箇所から傷の箇所に入る時点で計測データの値が大きく変化する。この変化のことを、以下では、「入の振動」ともいう。そして、転動体76が傷の箇所から傷のない箇所へ出る時点で、入の振動とは逆側に計測データが大きく変化する。この変化のことを、以下では、「出の振動」ともいう。
図7の(A)~(D)と同様の傷のケースにおいて、転動体76が連続的に傷の箇所を通過する場合を、図8に示す。転動体間距離をL[mm]とする。
図8(A)の場合、図7(A)の場合と同様に、計測データは平坦なデータとなる。図8(B)の場合、転動体76の各々が傷の箇所を通過する時間において、計測データの値が連続的に変化する。また、図8(C)に示すように、傷のサイズX[mm]が転動体間距離L[mm]よりかなり小さい場合、具体的には、X<L/2の場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とが相互に打ち消し合うことなく、連続して生じる。XがL/2に近づくと、各転動体76の傷への出入りにより、入の振動と出の振動とが均等な間隔で出現する。したがって、周波数解析した場合に、特定の周波数での振幅が最大化する。
また、図8(D)に示すように、XがLに近い場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とが相互に打ち消し合う傾向が強くなる。特にX=Lの場合、ある転動体76の入の振動と、他の転動体76の出の振動とのタイミングが一致するため、計測データが打ち消し合い、周波数解析した場合に、特定の周波数の振幅が最小化する。
次に、波動歯車装置において、外輪72に傷が生じている場合の計測データの変化について説明する。図9に示すように、楕円形状の内輪74の長軸の一方側を長軸A、他方側を長軸Bとし、外輪周の1/2をLOUTとする。図9では、計測データを、長軸Aが傷の位置を通過する際の振動を示すデータ(以下、「長軸Aの計測データ」という)と、長軸Bが傷の位置を通過する際の振動を示すデータ(以下、「長軸Bの計測データ」という)とに分解して表している。実際に計測される計測データは、この両者を足し合わせたものである。
図9(A)に示すように、傷のでき始めでは、長軸A及び転動体76が傷の箇所を通過した際に、長軸Aの計測データが大きく変化し、長軸Bの計測データは平坦である。図9(B)に示すように、傷が広がり、傷のサイズXがX≦LOUT/2の範囲では、長軸Aと長軸Bとでは、傷への入りと出のタイミングがずれるため、長軸Aの計測データと長軸Bの計測データとでは、入の振動と出の振動とは重ならない。図9(C)に示すように、さらに傷が広がり、LOUT/2<X≦LOUTの範囲では、長軸Aと長軸Bとで、傷への入りと出のタイミングが重なるため、入の振動と出の振動とが重なり、長軸Aの計測データと長軸Bの計測データとが打ち消し合う傾向が強まる。図9(D)に示すように、さらに傷が広がり、LOUT<X≦3LOUT/2の範囲では、長軸Aと長軸Bとで、傷への入りと出のタイミングが逆転し、計測データは、図9(B)と類似の波形になる。
内輪74に傷が生じている場合の計測データの変化についても、傷が1か所の場合は、図8及び図9で示した基本の場合と同様である。なお、内輪74に2か所の傷が生じている場合については、第2実施形態で詳述する。
上記の基本を踏まえ、生成部34は、機構情報を用いて、複数の傷のサイズの各々について、疑似信号を生成する。具体的には、生成部34は、傷のサイズを設定し、軸受機構の回転周波数、傷の深さ等、取得部32で取得された情報以外で、疑似信号の生成に必要な値として、予め定めた固定値を設定する。そして、生成部34は、設定された各値と、取得部32から受け渡された軸受機構の機構情報から得られる外輪周及び転動体間距離とを用いて、上記の基本に従った疑似信号を生成する。生成部34は、傷のサイズの設定を変えて、複数の疑似信号を生成する。生成部34は、生成した疑似信号を抽出部36へ受け渡す。
抽出部36は、生成部34から受け渡された、複数の傷のサイズの各々についての疑似信号の各々をFFT等により周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する。
具体的には、抽出部36は、疑似信号の各々を周波数解析した結果において、外輪72に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を、外輪72に生じている傷に対応した特徴量(以下、「外輪傷特徴量」という)として抽出する。また、抽出部36は、内輪74に傷が生じている場合にピークが発生する周波数として予め定められた周波数の振幅を、内輪74に生じている傷に対応した特徴量(以下、「内輪傷特徴量」という)として抽出する。
外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量について、より具体的に説明する。
内輪74の形状が真円のベアリングでは、内輪74は回転するが、外輪72は固定される。このような減速機62の構造、及びモータ61の回転周波数frotから、転動体76が内輪74の傷の上を通過することによる振動の周波数(以下、「内輪傷周波数」という)finは、下記(1)式で特定される。また、転動体76が外輪72の傷の上を通過することによる振動の周波数(以下、「外輪傷周波数」という)foutは、下記(2)式で特定される。
ここで、Rは内輪74の半径、Rは外輪72の半径(図3参照)、Nは転動体76の数、Cは減速比(ベアリングの場合は0)である。
波動歯車装置では、内輪74の形状が楕円である。また、波動歯車装置では、内輪74はモータ61の回転速度で回転し、外輪72はそのC(減速比)の速度で逆回転する。そのため、波動歯車装置では、ベアリングと同様の理論が内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutで成り立ち、かつ外輪72に生じた傷は、回転周波数の2倍(2frot)でも観測可能となる。
具体的には、波動歯車装置では、図4に示すように、いつでも長軸方向に強い力がかかるため、内輪74では長軸方向側に傷ができ易い。図10の上段の図に示すように、長軸方向にできた傷により、軸受機構は転動体76が通過する度に振動し、その振動の周波数は上記(1)式とほぼ一致する。
一方、外輪72では、図10の中段の図に示すように、回転周波数frotで1回転する内輪74の長軸方向が当たったときのみ強い力がかかる。したがって、図10の下段の図に示すように、軸受機構は、転動体76が傷の上を通過し、かつ内輪74の長軸方向が傷の上を通過したときのみ振動する。そのため、外輪傷周波数foutでは若干振動が観測し難くなり、一方、回転周波数の2倍(2frot)でも傷による振動が観測できるようになる。
上記を踏まえ、抽出部36は、図11に示すように、周波数解析の結果から、下表に示す内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutの各々におけるスペクトル強度(振幅)を、内輪傷特徴量及び外輪傷特徴量として抽出する。
なお、波動歯車装置における外輪傷周波数としては、上記表に記載の2つのfoutのうち、いずれかを採用すればよい。また、両方の周波数の各々について抽出される外輪傷特徴量の大きさ等に基づいて、いずれかを採用してもよい。なお、2frotの場合より、(2)式に示すfoutの方が、傷の状態を細かくシミュレーションすることができる。
抽出部36は、複数の傷のサイズの各々についての疑似信号の各々から抽出した外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量を出力部38へ受け渡す。以下では、外輪傷特徴量と内輪傷特徴量とを区別なく説明する場合には、単に「特徴量」と表記する。
出力部38は、抽出部36から受け渡された複数の傷のサイズの各々についての疑似信号の各々から抽出した特徴量に基づいて、傷のサイズと特徴量との関係を示すシミュレーション結果を作成して出力する。図12に、シミュレーション結果の一例を概略的に示す。なお、出力部38は、外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量の各々について、例えば図12に示すようなシミュレーション結果を作成して出力する。
また、出力部38は、軸受機構を有する診断対象機器60から取得される軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号である計測データから抽出される特徴量と比較して、軸受機構内の劣化状態を診断するための閾値となる特徴量を出力してもよい。すなわち、この閾値は、検知条件となる傷のサイズに対応した特徴量である。
次に、第1実施形態に係るシミュレーション装置10の作用について説明する。
図13は、シミュレーション装置10のCPU12により実行されるシミュレーション処理の流れを示すフローチャートである。CPU12が記憶装置16からシミュレーションプログラムを読み出して、メモリ14に展開して実行することにより、CPU12がシミュレーション装置10の各機能構成として機能し、図13に示すシミュレーション処理が実行される。
ステップS12で、取得部32が、外輪72と内輪74との間に転動体76を備える軸受機構の、外輪72、内輪74、及び転動体76に関する機構情報を取得し、取得した機構情報を生成部34及び抽出部36へ受け渡す。
次に、ステップS14で、生成部34が、傷のサイズxを初期値(例えば、0)に設定する。
次に、ステップS16で、生成部34が、軸受機構の回転周波数、傷の深さ等の値として固定値を設定する。そして、生成部34が、設定した傷のサイズx、及び固定値と、取得部32から受け渡された軸受機構の機構情報から得られる外輪周及び転動体間距離とを用いて、上記の基本に従った疑似信号を生成する。生成部34は、生成した疑似信号を抽出部36へ受け渡す。
次に、ステップS18で、抽出部36が、取得部32から受け渡された軸受機構の機構情報から得られる内輪74の半径R、外輪72の半径R、及び転動体76の個数Nと、固定値である回転周波数frot及び減速比Cとを用いて、内輪傷周波数fin及び外輪傷周波数foutを特定する。そして、抽出部36が、上記ステップS16で生成された疑似信号をFFT等により周波数解析し、周波数解析の結果において、特定した内輪傷周波数finにおけるスペクトル強度を内輪傷特徴量として抽出する。同様に、抽出部36が、疑似信号の周波数解析の結果において、特定した外輪傷周波数foutにおけるスペクトル強度を外輪傷特徴量として抽出する。
次に、ステップS20で、抽出部36が、設定されている傷のサイズと、上記ステップS18で抽出した特徴量とを対応付けて、所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS22で、生成部34が、設定されている傷のサイズxが、予め定めた最大値Xを超えたか否かを判定する。xがXを超えていない場合には、処理はステップS24へ移行し、生成部34が、xに所定値(Δ)を加算し、新たな傷のサイズxとして設定し、処理はステップS16に戻る。一方、xがXを超えた場合には、処理はステップS26へ移行する。
ステップS26では、出力部38が、上記ステップS20で所定の記憶領域に記憶された、複数の傷のサイズの各々についての疑似信号の各々から抽出した特徴量に基づいて、例えば、図12に示すような、傷のサイズと特徴量との関係を示すシミュレーション結果を作成する。そして、出力部38が、シミュレーション結果を出力して、シミュレーション処理は終了する。
以上説明したように、第1実施形態に係るシミュレーション装置は、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、外輪、内輪、及び転動体に関する機構情報を取得する。また、シミュレーション装置は、取得した機構情報に基づいて、軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号である疑似信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する。そして、シミュレーション装置は、疑似信号の各々を周波数解析した結果から、予め定めた特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する。さらに、シミュレーション装置は、疑似信号の各々に対応する傷のサイズと、その疑似信号から抽出された特徴量との関係をシミュレーション結果として作成し出力する。これにより、例えば、メンテナンス等が必要となる傷のサイズを予め想定しておく場合、シミュレーション結果を参照して、その傷のサイズに対応した特徴量を把握することができるため、この特徴量を検知条件として設定しておくことができる。すなわち、軸受機構劣化の適切な検知条件を事前に設定することができる。
また、上記のように軸受機構の劣化具合をシミュレーションすることができることにより、ユーザが定期点検、減速機交換、潤滑油の交換等の時期を劣化状態に合わせて判断することができ、診断対象機器の劣化状態に応じた対策及び対策時期を決定し易くなる。また、傷のサイズという詳細な劣化状態を示す情報に応じたシミュレーション結果が得られるため、交換部品の納品日に合わせて、診断対象機器の暫定的延命処置、例えば、負荷の少ない動作に変える等の計画も立て易くなる。また、シミュレーション結果を利用することで、減速機内の潤滑油等を取り出して鉄粉濃度を測るといった作業が不要となり、診断作業自体の工数を削減することができる。さらに、外輪傷特徴量及び内輪傷特徴量のいずれが検知条件に該当したかを判定することで、外輪及び内輪のいずれに傷が生じたかを診断することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、シミュレーション装置と診断対象機器とを含む診断システムについて説明する。なお、第2実施形態に係るシミュレーション装置及び診断対象機器において、第1実施形態に係るシミュレーション装置10及び診断対象機器60と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第2実施形態に係るシミュレーション装置及び診断対象機器の制御部(詳細は後述)のハードウェア構成は、図1に示す、第1実施形態に係るシミュレーション装置10のハードウェア構成と同様であるため、説明を省略する。
図14に示すように、第2実施形態に係る診断システム200は、シミュレーション装置210と、診断対象機器260とを含む。
診断対象機器260は、モータ61と、減速機62と、制御部63とを含む。制御部63は、機能的には、動作制御部64と、データ処理部65と、診断部66とを含む。また、制御部63の所定の記憶領域には、シミュレーション装置210から出力されたシミュレーション結果67が記憶される。
動作制御部64は、入力された動作プロファイルに従ってモータ61を動作させるための制御信号をモータ61へ出力する。
データ処理部65は、診断対象機器60から、軸受機構の回転に応じた振動に関するデータであって、軸受機構の状態を監視するための計測データを取得する。計測データは、モータ電流等の収集が容易なデータを用いることができる。なお、図14の例では、モータ電流値が示す出力トルクをモータ61の計測データとして取得する場合を示しているが、これに限定されない。例えば、減速機62の振動を検知する振動センサを設け、データ処理部65は、この振動センサからのセンサ出力を計測データとして取得してもよいし、エンコーダデータ等の他のデータを計測データとして取得してもよい。
また、データ処理部65は、所定時間分の計測データを取得する都度、シミュレーション装置210の抽出部36と同様の処理により、所定時間分の計測データを周波数解析して、特徴量を抽出する。データ処理部65は、抽出した特徴量を診断部66へ受け渡す。
診断部66は、データ処理部65から受け渡された特徴量と、シミュレーション結果67とを比較して、診断結果を出力する。例えば、診断部66は、シミュレーション結果67を参照して、データ処理部65から受け渡された特徴量に対応する傷のサイズを取得し、診断結果として出力することができる。また、シミュレーション結果67として、閾値となる特徴量、すなわち検知条件となる傷のサイズに対応した特徴量が記憶されているとする。この場合、診断部66は、データ処理部65から受け渡された特徴量が、シミュレーション結果67として記憶された特徴量を超えた場合に、警告やメンテナンスを促すメッセージ等を出力するようにしてもよい。
シミュレーション装置210は、図6に示すように、機能的には、取得部232と、生成部234と、抽出部236と、出力部38とを含む。
取得部232は、第1実施形態の取得部32と同様に、軸受機構の外輪、内輪、及び転動体に関する機構情報を取得する。加えて、取得部232は、想定される傷の数(1又は2)、想定される傷の深さ、及び軸受機構の回転周波数を含む追加情報を取得する。取得部232は、機構情報及び追加情報を生成部234及び抽出部236へ受け渡す。
生成部234は、第1実施形態における生成部34と同様に、取得部232で取得された機構情報及び追加情報以外の情報については固定値を設定する。そして、生成部234は、設定した固定値と、取得部232で取得された機構情報及び追加情報とを用いて、複数の傷のサイズの各々について疑似信号の各々を生成する。追加情報が加わることで、第1実施形態のように固定値を用いる場合に比べ、疑似信号をより精緻に生成することができる。具体的には、想定される傷の深さを設定することにより、疑似信号の振幅をより実際の状況に近い値に疑似することができる。また、回転周波数を設定することにより、疑似信号の振幅及び振動間隔等をより実際の状況に近い値に疑似することができる。
ここで、想定される傷の数として2が設定された場合において、生成部34が疑似信号を生成するための基本となる計測データの変化について説明する。前提として、傷はまず1か所発生し、あるタイミングで2か所になるものとする。また、図15に示すように、2か所の傷はおおよそ長軸方向の対面する位置に発生する。先に発生した傷を傷A、後に発生した傷を傷Bとする。完全な対面に傷の入り同士が位置し、転動体76の数が奇数個の場合、傷A及び傷Bの各々への転動体76の入りに応じた計測データの変化の位相は180度ずれる。
図16に、計測データを、傷Aを転動体76が通過する場合の振動を示すデータ(以下、「傷Aの計測データ」という)と、傷Bを転動体76が通過する場合の振動を示すデータ(以下、「傷Bの計測データ」という)とに分解して示す。実際に計測される計測データは、この両者を足し合わせたものである。
図16(A)に示すように、傷が1か所の場合には、転動体76が傷Aの箇所を通過した際に、傷Aの計測データが大きく変化し、傷Bの計測データは平坦である。図16(B)に示すように、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合、入の振動が重なるため、計測データは、両者を足し合わせて大きく変化する。また、ある転動体76の傷Aからの出と、他の転動体76の傷Bからの出のタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最大となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最大化する。
一方、図16(C)に示すように、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Bからの出のタイミングが一致する場合、入の振動と出の振動とが重なるため、計測データは打ち消し合う。ある転動体76の傷Aからの出と、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最小となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最小化する。
同様に、ある転動体76の傷Aへの入りと、他の転動体76の傷Aからの出のタイミングが一致する場合、入の振動と出の振動とが重なるため、計測データは打ち消し合う。ある転動体76の傷Bからの出と、他の転動体76の傷Bへの入りのタイミングが一致する場合も同様である。前者及び後者が同時に起こる場合、計測データの変化は最小となる。この場合、周波数解析の結果において、特定の周波数での振幅が最小化する。
具体的には、生成部234は、図17に示すように、傷Aが先に発生し、傷Bが後で発生したと想定し、同時期における傷Aのサイズと傷Bのサイズとの関係を予め定めておき、この関係に基づいて、2か所の傷のサイズを設定する。例えば、生成部234は、図17に示す傷のサイズの関係に基づいて、傷Aのサイズを2.0*L(転動体間距離)、傷Bのサイズを0.8*Lと設定することができる(図17中の丸印の箇所に相当)。また、生成部234は、図18に示すように、設定したサイズに基づいて、傷A及び傷Bの各々について、第1実施形態における生成部34と同様に疑似信号を生成し、2つの疑似信号を合成することにより、2か所の傷が生じている場合の疑似信号を生成する。
抽出部236は、第1実施形態の抽出部36と同様に、生成部234で生成された疑似信号から特徴量を抽出する。この際、抽出部236は、内輪傷周波数及び外輪傷周波数の特定に必要な回転周波数として、取得部232から受け渡された追加情報に含まれる回転周波数を用いる。
出力部38は、第1実施形態と同様にシミュレーション結果を出力する。なお、想定される傷の数として2が設定された場合、シミュレーション結果として、特徴量と対応付けられる傷のサイズは、2か所の傷のサイズの組み合わせとなる。例えば、図12に示すようなシミュレーション結果の場合、横軸は、(傷Aのサイズ,傷Bのサイズ)のような組み合わせの値が設定される。
次に、第2実施形態に係る診断システム200の作用について説明する。
まず、シミュレーション装置210のCPU12が記憶装置16からシミュレーションプログラムを読み出して、メモリ14に展開して実行する。これにより、CPU12がシミュレーション装置210の各機能構成として機能し、シミュレーション処理が実行される。第2実施形態におけるシミュレーション処理は、図13に示す、第1実施形態のシミュレーション処理において、軸受機構の機構情報に加え追加情報が取得され、疑似信号の生成及び特徴量の抽出に利用される点が異なるだけであるため、詳細な説明を省略する。
シミュレーション処理により出力されたシミュレーション結果67は、診断対象機器260の制御部63の所定の記憶領域に記憶される。
図19は、診断対象機器260の制御部63のCPUにより実行される診断処理の流れを示すフローチャートである。CPUが記憶装置から診断プログラムを読み出して、メモリに展開して実行することにより、CPUが診断対象機器260の制御部63の各機能構成として機能し、図19に示す診断処理が実行される。診断処理は、動作制御部64が、入力された動作プロファイルに従ってモータ61を動作させるための制御信号をモータ61へ出力している間、すなわち診断対象機器260が動作している間、繰り返し実行される。
ステップS32で、データ処理部65が、前回の診断処理の実行から所定時間(例えば、10分~1時間)が経過したか否かを判定する。経過している場合には、処理はステップS34へ移行し、経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返す。
ステップS34では、データ処理部65が、診断対象機器260から、軸受機構の回転に応じた振動に関するデータとして、例えばモータ61の出力トルク等の計測データを取得する。
次に、ステップS36で、データ処理部65が、取得した計測データをFFT等により周波数解析し、解析結果から、所定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する。
次に、ステップS38で、診断部66が、上記ステップS36で抽出された特徴量と、所定の記憶領域に記憶されたシミュレーション結果67とを比較する。そして、診断部66が、例えば、シミュレーション結果67を参照して、データ処理部65から受け渡された特徴量に対応する傷のサイズを取得したり、検知条件として記憶されている特徴量を超えているか否かを判定したりすることにより、診断を行う。
次に、ステップS40で、診断部66が、診断結果を出力し、診断処理は終了する。
以上説明したように、第2実施形態に係る診断システムでは、シミュレーション装置が、軸受機構の機構情報に加え、想定される傷の数(1又は2)、想定される傷の深さ、及び軸受機構の回転周波数を含む追加情報を用いる。これにより、より精緻な疑似信号を生成することができ、より高精度にシミュレーションを行うことができる。
なお、上記各実施形態では、軸受機構として、主に波動歯車装置の例を説明したが、一般的なベアリングにも本発明を適用範囲である。
また、上記各実施形態では、予め定めた内輪傷周波数及び外輪傷周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する場合について説明したが、これに限定されない。抽出部は、特徴量を、複数の特定の周波数におけるスペクトル強度の各々を組み合わせて抽出してもよい。例えば、図20に示すように、内輪傷周波数finにおけるスペクトル強度と、内輪傷周波数finの高調波(図20の例では2fin)におけるスペクトル強度とを足し合わせて内輪傷特徴量を抽出してもよい。外輪傷特徴量についても同様である。
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した診断処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、診断処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、シミュレーションプログラム及び診断プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
10、210 シミュレーション装置
12 CPU
14 メモリ
16 記憶装置
18 入力装置
20 出力装置
22 記憶媒体読取装置
24 通信I/F
26 バス
32、232 取得部
34、234 生成部
36、236 抽出部
38 出力部
60、260 診断対象機器
61 モータ
62 減速機
63 制御部
64 動作制御部
65 データ処理部
66 診断部
67 シミュレーション結果
72 外輪
74 内輪
76 転動体
200 診断システム

Claims (8)

  1. 外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得する取得部と、
    前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する生成部と、
    前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する抽出部と、
    前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する出力部と、
    を含むシミュレーション装置。
  2. 前記抽出部は、前記特徴量を、複数の前記特定の周波数におけるスペクトル強度の各々を組み合わせて抽出する請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記出力部は、前記関係として、軸受機構を有する診断対象機器から取得される前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号から抽出される特徴量と比較した際に、前記軸受機構内の劣化状態を診断するための閾値となる特徴量を出力する請求項1又は請求項2に記載のシミュレーション装置。
  4. 前記閾値は、前記関係における、所定の傷のサイズに対応した特徴量である請求項3に記載のシミュレーション装置。
  5. 前記生成部は、前記軸受機構が備える複数の転動体の各々が、前記傷に入る際に生じる振動と、前記傷から出る際に生じる振動とを足し合わせて、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を生成する請求項1~請求項のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
  6. 取得部が、外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得し、
    生成部が、前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成し、
    抽出部が、前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出し、
    出力部が、前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する
    シミュレーション方法。
  7. コンピュータを、
    外輪と内輪との間に転動体を備える軸受機構の、前記外輪、前記内輪、及び前記転動体に関する機構情報と、想定される傷の数、想定される傷の深さ、及び前記軸受機構の回転周波数を含む追加情報とを取得する取得部、
    前記取得部により取得された機構情報及び前記追加情報に基づいて、前記軸受機構内に傷が発生していると仮定した場合における、前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を、複数の異なる傷のサイズの各々について生成する生成部と、
    前記生成部により生成された前記時系列信号の各々を周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出する抽出部、及び、
    前記傷のサイズと、前記抽出部により抽出された特徴量との関係を出力する出力部
    として機能させるためのシミュレーションプログラム。
  8. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載のシミュレーション装置と、前記軸受機構と、制御部とを含む診断対象機器と、を含む診断システムであって、
    前記制御部は、前記軸受機構を有する診断対象機器から前記軸受機構の回転に応じた振動に関する時系列信号を取得し、取得した前記時系列信号を周波数解析し、周波数解析した結果から、特定の周波数におけるスペクトル強度を特徴量として抽出し、抽出した特徴量と、前記出力部から出力された前記関係とに基づいて、前記診断対象機器の前記軸受機構内の劣化状態を診断する
    診断システム。
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