JPH068774B2 - ベアリングの余寿命推定方法 - Google Patents
ベアリングの余寿命推定方法Info
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- JPH068774B2 JPH068774B2 JP1147374A JP14737489A JPH068774B2 JP H068774 B2 JPH068774 B2 JP H068774B2 JP 1147374 A JP1147374 A JP 1147374A JP 14737489 A JP14737489 A JP 14737489A JP H068774 B2 JPH068774 B2 JP H068774B2
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- bearing
- time
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,回転機器に内臓されたベアリングの余寿命推
定方法に関し,より具体的には該回転機器の振動加速度
の増加傾向を基に余寿命を算出するベアリングの余寿命
推定方法に関する。
定方法に関し,より具体的には該回転機器の振動加速度
の増加傾向を基に余寿命を算出するベアリングの余寿命
推定方法に関する。
ベアリングを内臓した回転機器の振動加速度強度の経時
変化からベアリングの破壊予知を行う試みが種々されて
おり,その一例として特開昭59-81531号公報記載の技術
を挙げることが出来る。これは,各回転機器に圧電素子
型の振動加速度センサを固定しておき,該センサからの
信号出力をスキャニング装置で時分割して周波数分析計
に送出し、該周波数分析計において20〜75kHzの範囲内
の振動加速度強度を検出する。そして,該範囲内の振動
加速度強度の平均値が予め設定されている初期値の6倍
以上となった場合には「異常域」に突入したものと判断
し,ベアリングが破壊される前にその交換を警告するも
のである。これによれば,確かにベアリングの破壊予知
は可能となるが,破壊まであと何時間の余裕があるの
か」というベアリングの余寿命時間が予測できないので
設備の運転計画や保全計画を立てることができなかっ
た。そこで,上記破壊予知保全方法を基に,あと何時間
でベアリングが破壊するかを算出するベアリングの余寿
命推定方法が試みられている。これは,先ず上記方法に
よって一定時間毎に検出される振動加速度強度を前記初
期値で除し,その商を「今回振動加速度増加倍率」とし
て決定する。次にこの今回増加倍率及びこれ以前の19測
定時点における増加倍率(即ち,合計20時点での増加倍
率)を基に曲線近似をして,前記初期値の6倍以上の測
定値(これを以後「異常域値」という)が得られる時点
txは今回測定時点から何時間後であるかを各測定時点
毎に算出せんとするものである。これによれば,測定時
点が1つ進む毎に算出の基礎となるデータも1つずつ更
新されていくので,時々刻々変化するベアリングの余寿
命をより正確に算出することが出来る。
変化からベアリングの破壊予知を行う試みが種々されて
おり,その一例として特開昭59-81531号公報記載の技術
を挙げることが出来る。これは,各回転機器に圧電素子
型の振動加速度センサを固定しておき,該センサからの
信号出力をスキャニング装置で時分割して周波数分析計
に送出し、該周波数分析計において20〜75kHzの範囲内
の振動加速度強度を検出する。そして,該範囲内の振動
加速度強度の平均値が予め設定されている初期値の6倍
以上となった場合には「異常域」に突入したものと判断
し,ベアリングが破壊される前にその交換を警告するも
のである。これによれば,確かにベアリングの破壊予知
は可能となるが,破壊まであと何時間の余裕があるの
か」というベアリングの余寿命時間が予測できないので
設備の運転計画や保全計画を立てることができなかっ
た。そこで,上記破壊予知保全方法を基に,あと何時間
でベアリングが破壊するかを算出するベアリングの余寿
命推定方法が試みられている。これは,先ず上記方法に
よって一定時間毎に検出される振動加速度強度を前記初
期値で除し,その商を「今回振動加速度増加倍率」とし
て決定する。次にこの今回増加倍率及びこれ以前の19測
定時点における増加倍率(即ち,合計20時点での増加倍
率)を基に曲線近似をして,前記初期値の6倍以上の測
定値(これを以後「異常域値」という)が得られる時点
txは今回測定時点から何時間後であるかを各測定時点
毎に算出せんとするものである。これによれば,測定時
点が1つ進む毎に算出の基礎となるデータも1つずつ更
新されていくので,時々刻々変化するベアリングの余寿
命をより正確に算出することが出来る。
上記の余寿命推定方法は,一定数のデータ(増加倍率)
を基に曲線を描き,その延長線上にある異常域値(増加
倍率が6以上)に到達するまでの時間を算出するもので
あるため,各測定時点における増加倍率が時間の経過に
伴い常に増加していくものでなければ正確な推定が行え
ないものである。しかしながら,増加倍率は一般にその
初期段階から破壊に至るまでの間一様に増加していくも
のではなく,第5図に示すように途中で一旦増加倍率が
低下する所謂「呼吸域」を繰り返し挿みながら成長して
ゆき,最終的な破壊に到達するという傾向を示す。従っ
て、従来の方法の如く単純に一定の測定時点毎の増加倍
率を基に異常域値に達するまでの所要時間を算出せんと
した場合,上記「呼吸域」における増加倍率をもそのま
まデータの1つとして取り扱うことになり,その結果予
測精度が非常に低くなり,場合によっては算出不可能と
いうことにもなるという欠点があった。
を基に曲線を描き,その延長線上にある異常域値(増加
倍率が6以上)に到達するまでの時間を算出するもので
あるため,各測定時点における増加倍率が時間の経過に
伴い常に増加していくものでなければ正確な推定が行え
ないものである。しかしながら,増加倍率は一般にその
初期段階から破壊に至るまでの間一様に増加していくも
のではなく,第5図に示すように途中で一旦増加倍率が
低下する所謂「呼吸域」を繰り返し挿みながら成長して
ゆき,最終的な破壊に到達するという傾向を示す。従っ
て、従来の方法の如く単純に一定の測定時点毎の増加倍
率を基に異常域値に達するまでの所要時間を算出せんと
した場合,上記「呼吸域」における増加倍率をもそのま
まデータの1つとして取り扱うことになり,その結果予
測精度が非常に低くなり,場合によっては算出不可能と
いうことにもなるという欠点があった。
本発明の目的は,上記従来方法の欠点を解消し,「呼吸
域」を挿みながら成長していく振動加速度増加倍率を対
象にしながら,正確なベアリングの余寿命推定を可能と
する方法を提供することにある。
域」を挿みながら成長していく振動加速度増加倍率を対
象にしながら,正確なベアリングの余寿命推定を可能と
する方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明は,ベアリングを内
臓する回転機器から検出される任意の間隔をおいた測定
時点毎の振動加速度強度を所定の初期値で除して今回振
動加速度増加倍率を算出し,該今回振動加速度増加倍率
及びこれに先行する過去の所定数時点において得られた
振動加速度増加倍率を基に曲線近似をして所定値以上の
振動加速度増加倍率が得られるまでの時間を各測定時点
毎に算出していくベアリングの余寿命推定方法におい
て,該今回振動加速度増加倍率が前回振動加速度増加倍
率に対して所定の比率以上低下した場合には「呼吸域」
に入ったものと見做してその時点以降における余寿命の
算出を中断すると共に,過去最高の振動加速度増加倍率
が得られた時点で「呼吸域」を脱したものと見做し,そ
の時点における振動加速度増加倍率,及び「呼吸域」に
入る以前の所定数時点における振動加速度増加倍率を夫
々「呼吸域」の期間Δt分先の時点にずらしたものを基
に曲線近似をしてベアリングの余寿命の算出を再開する
ように構成した。
臓する回転機器から検出される任意の間隔をおいた測定
時点毎の振動加速度強度を所定の初期値で除して今回振
動加速度増加倍率を算出し,該今回振動加速度増加倍率
及びこれに先行する過去の所定数時点において得られた
振動加速度増加倍率を基に曲線近似をして所定値以上の
振動加速度増加倍率が得られるまでの時間を各測定時点
毎に算出していくベアリングの余寿命推定方法におい
て,該今回振動加速度増加倍率が前回振動加速度増加倍
率に対して所定の比率以上低下した場合には「呼吸域」
に入ったものと見做してその時点以降における余寿命の
算出を中断すると共に,過去最高の振動加速度増加倍率
が得られた時点で「呼吸域」を脱したものと見做し,そ
の時点における振動加速度増加倍率,及び「呼吸域」に
入る以前の所定数時点における振動加速度増加倍率を夫
々「呼吸域」の期間Δt分先の時点にずらしたものを基
に曲線近似をしてベアリングの余寿命の算出を再開する
ように構成した。
以上の如く構成したので,ベアリングの余寿命を推定す
る際に「呼吸域」において得られた増加倍率を排除出
来,正確な推定結果を得られる。
る際に「呼吸域」において得られた増加倍率を排除出
来,正確な推定結果を得られる。
以下に本発明の実施例について説明する。
本発明に係るベアリングの余寿命推定方法は,第1図に
示す如く,先ずベアリングを内臓した回転機器(図示せ
ず)に振動加速度検出端たる圧電素子型の振動加速度セ
ンサ10を固定し,その振動加速度を検出することから始
まる。即ち,ベアリングの玉(或いはローラ)やそれに
接触する内輪,外輪等にキズがある場合には,軸の回転
に伴って周期的な振動が発生する。そして,該センサか
らこの振動加速度強度に比例した電圧信号が出力される
ので,該信号を監視することによってキズの有無やその
程度を把握することが出来る。振動加速度センサは、回
転機器の軸受部に垂直にネジ或いは接着剤にて固定され
ている。尚,該センサ自体は公知であるため,これ以上
の説明は省略する。
示す如く,先ずベアリングを内臓した回転機器(図示せ
ず)に振動加速度検出端たる圧電素子型の振動加速度セ
ンサ10を固定し,その振動加速度を検出することから始
まる。即ち,ベアリングの玉(或いはローラ)やそれに
接触する内輪,外輪等にキズがある場合には,軸の回転
に伴って周期的な振動が発生する。そして,該センサか
らこの振動加速度強度に比例した電圧信号が出力される
ので,該信号を監視することによってキズの有無やその
程度を把握することが出来る。振動加速度センサは、回
転機器の軸受部に垂直にネジ或いは接着剤にて固定され
ている。尚,該センサ自体は公知であるため,これ以上
の説明は省略する。
上記電圧信号はプリアンプ12で増幅された後に中継器14
に送出される。該中継器には複数の振動加速度検出端が
接続されているが,内臓されたスキャニング(時分割)
機能によって夫々の振動加速度検出端に順次切り換える
ので,1台の中継器で最高32個の振動加速度検出端を処
理できる。中継器には,振動加速度計が内臓されてい
る。
に送出される。該中継器には複数の振動加速度検出端が
接続されているが,内臓されたスキャニング(時分割)
機能によって夫々の振動加速度検出端に順次切り換える
ので,1台の中継器で最高32個の振動加速度検出端を処
理できる。中継器には,振動加速度計が内臓されてい
る。
振動加速度計においては,先ず入力された電圧信号を振
動加速度の単位であるG(=9.8m/S2)の絶対スケール
に変換する。次に,振動加速度計に内臓されたフィルタ
によって分析する周波数帯の範囲が決定される。即ち,
振動加速度計には分析範囲の下限を決めるハイパスフィ
ルタ及び上限を決めるローパスフィルタが各々5種類づ
つ内臓なれている。各フィルタのサイズは以下の通りで
ある。
動加速度の単位であるG(=9.8m/S2)の絶対スケール
に変換する。次に,振動加速度計に内臓されたフィルタ
によって分析する周波数帯の範囲が決定される。即ち,
振動加速度計には分析範囲の下限を決めるハイパスフィ
ルタ及び上限を決めるローパスフィルタが各々5種類づ
つ内臓なれている。各フィルタのサイズは以下の通りで
ある。
(ローパス 50kHz 20kHz 10kHz 1kHz 500kHz フィルタ) (ハイパス 1kHz 500Hz 10Hz 5Hz 1Hz フィルタ) 上記ローパスフィルタ,ハイパスフィルタの各種サイズ
のうち1種類づつを夫々組み合わせることによって振動
加速度の計測範囲を決定する。フィルタの組合せは,演
算制御用のマイクロコンピュータ16から指令され,制御
されている。振動加速度は,上記フィルタによって高域
成分(1kHz〜50kHz)と低域成分(1Hz〜1kHz)に分
解される。低域成分にはベアリングの振動以外に機械の
異常振動(例えば,機械のガタ,アンバランス等によっ
て生じる振動)が重なっているため,後述の如く機械の
異常振動の診断に用いられる。一方ベアリングの破壊予
知診断には,機械の異常振動の影響の少ない16kHz以上
の超音波域が含まれる高域成分が用いられる。低域成分
はそのまま次段の周波数分析器18に送出されるが,高域
成分は半波整流した後にピーク値をつなぎ合わせる包路
線処理がなされ,復調波に変換された後に周波数分析器
18に送出される。
のうち1種類づつを夫々組み合わせることによって振動
加速度の計測範囲を決定する。フィルタの組合せは,演
算制御用のマイクロコンピュータ16から指令され,制御
されている。振動加速度は,上記フィルタによって高域
成分(1kHz〜50kHz)と低域成分(1Hz〜1kHz)に分
解される。低域成分にはベアリングの振動以外に機械の
異常振動(例えば,機械のガタ,アンバランス等によっ
て生じる振動)が重なっているため,後述の如く機械の
異常振動の診断に用いられる。一方ベアリングの破壊予
知診断には,機械の異常振動の影響の少ない16kHz以上
の超音波域が含まれる高域成分が用いられる。低域成分
はそのまま次段の周波数分析器18に送出されるが,高域
成分は半波整流した後にピーク値をつなぎ合わせる包路
線処理がなされ,復調波に変換された後に周波数分析器
18に送出される。
周波数分析器18においては,高域成分の中から特定周波
数の振動加速度強度のみが抽出され監視される。この特
定周波数とは,前記したベアリングを構成する玉(ロー
ラ),内輪及び外輪のそれぞれに対応する周波数のこと
である。即ち,ベアリングは軸受箱に固定された外輪,
玉(ローラ)及び回転軸に固定された内輪と保持器から
構成されている。そして,このベアリングを構成する各
部位に傷が付くと軸の回転により内輪と玉,玉と外輪が
衝突を繰り返すので,小さな傷も次第に成長して破壊に
至る。そこで,このベアリングを構成する各部位毎に,
軸の回転数と回転直径を関数とする以下の式によって機
械的な衝突周波数を求めておき,該周波数における振動
加速度強度の増加傾向を監視することによって破壊部位
及び破壊の程度を予知することが出来るのである。
数の振動加速度強度のみが抽出され監視される。この特
定周波数とは,前記したベアリングを構成する玉(ロー
ラ),内輪及び外輪のそれぞれに対応する周波数のこと
である。即ち,ベアリングは軸受箱に固定された外輪,
玉(ローラ)及び回転軸に固定された内輪と保持器から
構成されている。そして,このベアリングを構成する各
部位に傷が付くと軸の回転により内輪と玉,玉と外輪が
衝突を繰り返すので,小さな傷も次第に成長して破壊に
至る。そこで,このベアリングを構成する各部位毎に,
軸の回転数と回転直径を関数とする以下の式によって機
械的な衝突周波数を求めておき,該周波数における振動
加速度強度の増加傾向を監視することによって破壊部位
及び破壊の程度を予知することが出来るのである。
外輪の監視周波数:Z×fc fc=fr/2・(1−d/D・cosα) 内輪の監視周波数:Z×fi fi=fr−fc 玉(ローラ)の監視周波数:fb fb=fr/2・D/d(1−d2/D2・cosα) d:玉(ローラ)の直径(mm) D:ピッチ円の直径(mm) α:玉(ローラ)の接触角(deg) Z:玉(ローラ)の数(個) fr:軸の回転周波数(Hz) fc:保持器の回転周期(Hz) fi:軸と保持器の回転周波数(Hz) fb:玉(ローラ)の回転周波数(Hz) 以上の如くして求めた各周波数の成分は,周波数分析器
18のGP/IBインターフェースを介してデジタル信号
に変換され,振動加速度強度が決定される。尚,上記の
ようにベアリングの各構成部位毎の特定周波数を監視す
る代わりに,高域成分に含まれる周波数の平均値をデジ
タル化したものを使用してベアリング全体としての破壊
予知をすることも可能である。また,ベアリングの構成
部位毎に監視するのと並行してベアリング全体の破壊予
知を行ってもよい。
18のGP/IBインターフェースを介してデジタル信号
に変換され,振動加速度強度が決定される。尚,上記の
ようにベアリングの各構成部位毎の特定周波数を監視す
る代わりに,高域成分に含まれる周波数の平均値をデジ
タル化したものを使用してベアリング全体としての破壊
予知をすることも可能である。また,ベアリングの構成
部位毎に監視するのと並行してベアリング全体の破壊予
知を行ってもよい。
次に,上記の如くして得られた振動加速度強度を任意の
時刻毎に抽出し,所定の初期値で除してその商たる今回
振動加速度増加倍率(以下単に「増加倍率」という)を
測定する。そして,この今回増加倍率が5以上となった
場合には注意域に突入したものと見做して取り替え用の
部品を用意すると共に,6以上となった場合には何時破
壊してもおかしくない異常域に突入したものと見做し,
現実の破壊が生じるまえに損傷部分を取り替えることと
する。これにより,突然の破壊による被害を未然に回避
出来る。なお,前記初期値とは回転機器導入時或いはベ
アリング交換時(即ち,ベアリングに傷のない状態時)
における各所定周波数の振動加速度強度のことである。
又,増加倍率が6以上で異常域突入というのは,過去の
実験則に基づいて決定された。
時刻毎に抽出し,所定の初期値で除してその商たる今回
振動加速度増加倍率(以下単に「増加倍率」という)を
測定する。そして,この今回増加倍率が5以上となった
場合には注意域に突入したものと見做して取り替え用の
部品を用意すると共に,6以上となった場合には何時破
壊してもおかしくない異常域に突入したものと見做し,
現実の破壊が生じるまえに損傷部分を取り替えることと
する。これにより,突然の破壊による被害を未然に回避
出来る。なお,前記初期値とは回転機器導入時或いはベ
アリング交換時(即ち,ベアリングに傷のない状態時)
における各所定周波数の振動加速度強度のことである。
又,増加倍率が6以上で異常域突入というのは,過去の
実験則に基づいて決定された。
このように,本願に係る予知保全方法は,ベアリングの
構成部位に固有の振動周波数が「正常」であった初期値
の何倍に増加したかを示す増加倍率を基に「正常・注意
・異常」の判定及び破壊発生箇所の識別をする相対判定
基準法に拠っている。相対判定基準法は正常時のベアリ
ングの周波数分析結果を必要とするので,正常時の周波
数分析データのない回転機器には適用できない。そこ
で,このような回転機器については初期値が得られる次
の交換までの間,ISO規格で定めた絶対判定基準法で診
断する。以下の表にISO規格の絶対判定基準法の状態診
断域値を示す。
構成部位に固有の振動周波数が「正常」であった初期値
の何倍に増加したかを示す増加倍率を基に「正常・注意
・異常」の判定及び破壊発生箇所の識別をする相対判定
基準法に拠っている。相対判定基準法は正常時のベアリ
ングの周波数分析結果を必要とするので,正常時の周波
数分析データのない回転機器には適用できない。そこ
で,このような回転機器については初期値が得られる次
の交換までの間,ISO規格で定めた絶対判定基準法で診
断する。以下の表にISO規格の絶対判定基準法の状態診
断域値を示す。
(ISO規格2372−1984) 本表は,一般の回転機器では振動速度が4mm/sを超える
と何らかの劣化が進行していることを意味している。本
実施例の場合,16kHz以上の超音波域の振動を含む振動
加速度から,振動加速度の実行値を次式で換算して求め
る。
と何らかの劣化が進行していることを意味している。本
実施例の場合,16kHz以上の超音波域の振動を含む振動
加速度から,振動加速度の実行値を次式で換算して求め
る。
ここでVは振動速度の実行値(mm/s),Gは重力加速度
に対する倍率で表現した振動加速度,fは周波数(Hz)
を示す。
に対する倍率で表現した振動加速度,fは周波数(Hz)
を示す。
以上述べてきた方法によれば、ベアリングの破壊予知保
全は可能であるが、あと何時間でベアリングが破壊する
のかまではわからない。そこで,次に上記破壊予知保全
方法に基づくベアリングの余寿命の推定方法について以
下説明する。
全は可能であるが、あと何時間でベアリングが破壊する
のかまではわからない。そこで,次に上記破壊予知保全
方法に基づくベアリングの余寿命の推定方法について以
下説明する。
本願に係るベアリングの余寿命推定方法は,先ず上記の
如くして求められた今回増加倍率が3以上となった場合
にそれまでの測定時点の間隔を短くする。例えば,1日
1回であったのを30分に1回というように間隔を狭め
る。そして,今回増加倍率及びこれに先立つ過去19時点
における増加倍率(即ち,合計20時点における増加倍
率)をデータとして用い,曲線近似することによって余
寿命を推定する。即ち,増加倍率の増加傾向を指数関数
で近似し,最小二乗法で指数関数の定数を刻々決定し,
倍率の増加予想曲線が初期値の6倍の振動加速度に達す
るまでの残余時間を逆算するのである。具体的には,以
下の式を用いて余寿命時間を算出する。
如くして求められた今回増加倍率が3以上となった場合
にそれまでの測定時点の間隔を短くする。例えば,1日
1回であったのを30分に1回というように間隔を狭め
る。そして,今回増加倍率及びこれに先立つ過去19時点
における増加倍率(即ち,合計20時点における増加倍
率)をデータとして用い,曲線近似することによって余
寿命を推定する。即ち,増加倍率の増加傾向を指数関数
で近似し,最小二乗法で指数関数の定数を刻々決定し,
倍率の増加予想曲線が初期値の6倍の振動加速度に達す
るまでの残余時間を逆算するのである。具体的には,以
下の式を用いて余寿命時間を算出する。
A・e-Bt=6 A:曲線の接片 B:曲線の傾 t:余寿命時間 A及びBは学習係数であり,合計20のデータを基に最小
二乗法で算出される。そして,eに今回増加倍率を代入
して余寿命時間tを各測定時点毎に求めていく。尚,本
実施例においては推定精度を高めるために合計20のデー
タを用いているが,余寿命時間の推定のためには少なく
とも10のデータがあれば足りる。即ち,最小二乗法を用
いて計算する場合にはデータ(時間と振動加速度増加倍
率)は正規分布に従うことが要求されるが,この正規分
布に従うことを検定するためには実用上4ケ以上のデー
タが必要とされる(中心極限定理)。そして,最小二乗
法で計算された結果の有意性を判断するパラメータとし
て相関係数があるが,この場合「時間と振動加速度増加
倍率」の母集団に相関がある(P≠0)と仮定して最小
二乗法を適用するので,相関係数の分布は,Z変換を適
用して正規分布に近いものとなる。このZ変換が有効な
ものであるためには,データ数が10以上必要となるので
ある。
二乗法で算出される。そして,eに今回増加倍率を代入
して余寿命時間tを各測定時点毎に求めていく。尚,本
実施例においては推定精度を高めるために合計20のデー
タを用いているが,余寿命時間の推定のためには少なく
とも10のデータがあれば足りる。即ち,最小二乗法を用
いて計算する場合にはデータ(時間と振動加速度増加倍
率)は正規分布に従うことが要求されるが,この正規分
布に従うことを検定するためには実用上4ケ以上のデー
タが必要とされる(中心極限定理)。そして,最小二乗
法で計算された結果の有意性を判断するパラメータとし
て相関係数があるが,この場合「時間と振動加速度増加
倍率」の母集団に相関がある(P≠0)と仮定して最小
二乗法を適用するので,相関係数の分布は,Z変換を適
用して正規分布に近いものとなる。このZ変換が有効な
ものであるためには,データ数が10以上必要となるので
ある。
基本的には,以上の計算方法によって今回増加倍率が6
以上となる測定時点が出現するまで余寿命の推定が継続
されるわけであるが、今回増加倍率が前回増加倍率に対
して所定比率以上低下する「呼吸域」に遭遇した場合に
は特別な処理が必要となる。「呼吸域」においては,そ
れまでの曲線近似とは傾が逆になるため余寿命時間が算
出不可能となるからである。この「呼吸域」において
は,ベアリングの破壊はあたかも停止しているかのよう
に見えるが,実際には着実に進行している。そこで,か
かる「呼吸域」を認定し,これを効果的に処理する方法
を以下に説明する。
以上となる測定時点が出現するまで余寿命の推定が継続
されるわけであるが、今回増加倍率が前回増加倍率に対
して所定比率以上低下する「呼吸域」に遭遇した場合に
は特別な処理が必要となる。「呼吸域」においては,そ
れまでの曲線近似とは傾が逆になるため余寿命時間が算
出不可能となるからである。この「呼吸域」において
は,ベアリングの破壊はあたかも停止しているかのよう
に見えるが,実際には着実に進行している。そこで,か
かる「呼吸域」を認定し,これを効果的に処理する方法
を以下に説明する。
先ず,今回増加倍率が前回増加倍率に対して5%以上低
下した場合に「呼吸域」に遭遇したものと認定する。該
判定幅の5%は,実験を通じての試行錯誤の結果,測定
誤差等を考慮して導かれたものである。「呼吸域」にお
いては,振動加速度強度の測定及び該測定値の増加倍率
への変換はそのまま一定時間毎に継続して行われるが,
ベアリングの余寿命時間の算出は「呼吸域」を脱するま
で中断される。「呼吸域」における増加倍率を算出の基
準データとすると,正確な結果が得られないからであ
る。次に,それまでに記録された最高の増加倍率(ピー
ク値)が得られた測定時点をもって「呼吸域」を脱した
ものと判断する。そして、「呼吸域」を脱した場合に
は,「呼吸域」に突入する直前の19時点における増加倍
率を「呼吸域」の期間Δt分先にずらしたデータ及び
「呼吸域」を脱した時点のデータ(合計20のデータ)を
基に曲線近似をして余寿命時間の算出を継続する。この
結果,あたかも「呼吸域」がなかったのと同様に正確な
余寿命推定を実現できる。
下した場合に「呼吸域」に遭遇したものと認定する。該
判定幅の5%は,実験を通じての試行錯誤の結果,測定
誤差等を考慮して導かれたものである。「呼吸域」にお
いては,振動加速度強度の測定及び該測定値の増加倍率
への変換はそのまま一定時間毎に継続して行われるが,
ベアリングの余寿命時間の算出は「呼吸域」を脱するま
で中断される。「呼吸域」における増加倍率を算出の基
準データとすると,正確な結果が得られないからであ
る。次に,それまでに記録された最高の増加倍率(ピー
ク値)が得られた測定時点をもって「呼吸域」を脱した
ものと判断する。そして、「呼吸域」を脱した場合に
は,「呼吸域」に突入する直前の19時点における増加倍
率を「呼吸域」の期間Δt分先にずらしたデータ及び
「呼吸域」を脱した時点のデータ(合計20のデータ)を
基に曲線近似をして余寿命時間の算出を継続する。この
結果,あたかも「呼吸域」がなかったのと同様に正確な
余寿命推定を実現できる。
以上述べた余寿命推定方法を,第2図を参照して具体的
に考察する。先ず,「呼吸域」に突入する前のt1時点
における余寿命時間は,d2及びd3〜d21の増加倍率を
基に曲線近似をして,該曲線の延長線上にある「異常
域」(初期値の6倍の領域)に達するのはあと何時間後
であるかを算出する。次にt2時点移り,ここでも同じ
く該時点における増加倍率を「今回増加倍率」とし,該
増加倍率d1及び過去19時点における増加倍率(d2〜d
20)を基に余寿命時間の算出が行われる。次に,今回増
加倍率(図中V1で示す)が前回増加倍率(図中d1で示
す)に比較して5%以上低下した時点において「呼吸
域」に入ったものと判断される。そこで,振動加速度強
度の測定及び該測定値の増加倍率への変換はそのまま一
定時間毎に継続して行うが,ベアリングの余寿命時間の
算出は中断される。そして,測定開始時から現在迄の最
高の増加倍率(図中のd1)以上の増加倍率(図中の
P1)が得られた時点,即ちt3において「呼吸域」を脱
したものと判断される。t3時点における余寿命の推定
は,今回増加倍率P1及び「呼吸域」に入る直前の19時
点の増加倍率(即ち,d1〜d19)を夫々「呼吸域」の
期間Δt分だけ先にずらしたデータ(図中のd1′〜d
19′)を基に曲線近似して「異常域」に達する迄の所要
時間を算出することによって行う。更に,次の測定時点
t4においては,そこにおける今回増加倍率P2及び前回
増加倍率P1更にd1′〜d18′の増加倍率を基に曲線近
似をして余寿命を算出する。このようにして,次の「呼
吸域」に遭遇するまで各測定時点毎に余寿命を算出して
いき,「呼吸域」に再突入した場合には前述と同じ要領
で再度「呼吸域」を処理する。そして,増加倍率が6以
上となるまで(即ち,異常域に達するまで)上記手順を
繰り返し,各測定時点におけるベアリングの余寿命を推
定し続ける。
に考察する。先ず,「呼吸域」に突入する前のt1時点
における余寿命時間は,d2及びd3〜d21の増加倍率を
基に曲線近似をして,該曲線の延長線上にある「異常
域」(初期値の6倍の領域)に達するのはあと何時間後
であるかを算出する。次にt2時点移り,ここでも同じ
く該時点における増加倍率を「今回増加倍率」とし,該
増加倍率d1及び過去19時点における増加倍率(d2〜d
20)を基に余寿命時間の算出が行われる。次に,今回増
加倍率(図中V1で示す)が前回増加倍率(図中d1で示
す)に比較して5%以上低下した時点において「呼吸
域」に入ったものと判断される。そこで,振動加速度強
度の測定及び該測定値の増加倍率への変換はそのまま一
定時間毎に継続して行うが,ベアリングの余寿命時間の
算出は中断される。そして,測定開始時から現在迄の最
高の増加倍率(図中のd1)以上の増加倍率(図中の
P1)が得られた時点,即ちt3において「呼吸域」を脱
したものと判断される。t3時点における余寿命の推定
は,今回増加倍率P1及び「呼吸域」に入る直前の19時
点の増加倍率(即ち,d1〜d19)を夫々「呼吸域」の
期間Δt分だけ先にずらしたデータ(図中のd1′〜d
19′)を基に曲線近似して「異常域」に達する迄の所要
時間を算出することによって行う。更に,次の測定時点
t4においては,そこにおける今回増加倍率P2及び前回
増加倍率P1更にd1′〜d18′の増加倍率を基に曲線近
似をして余寿命を算出する。このようにして,次の「呼
吸域」に遭遇するまで各測定時点毎に余寿命を算出して
いき,「呼吸域」に再突入した場合には前述と同じ要領
で再度「呼吸域」を処理する。そして,増加倍率が6以
上となるまで(即ち,異常域に達するまで)上記手順を
繰り返し,各測定時点におけるベアリングの余寿命を推
定し続ける。
各測定時点毎の算出結果(ベアリングの余寿命時間)は
その都度CRT20上に表示しても良く,プリンタ22によ
って印字しても良いことはいうまでもない。又,各種デ
ータはフロッピーディスク24に記録される。
その都度CRT20上に表示しても良く,プリンタ22によ
って印字しても良いことはいうまでもない。又,各種デ
ータはフロッピーディスク24に記録される。
次に,機械の異常振動の診断方法について説明する。回
転部を持つ機械はベアリングの破壊の他に,架台のガ
タ,ミスアライメント,アンバランスなどの原因で異常
振動を発生する。本実施例は,軸回転数を正確に計測す
る機能を利用して,軸回転数を中心とするn倍の振動,
または1/n倍の振動周波数帯を監視することにより,
機械の異常振動の原因を診断できる。以下に診断可能な
機械の異常原因と監視周波数を示す。
転部を持つ機械はベアリングの破壊の他に,架台のガ
タ,ミスアライメント,アンバランスなどの原因で異常
振動を発生する。本実施例は,軸回転数を正確に計測す
る機能を利用して,軸回転数を中心とするn倍の振動,
または1/n倍の振動周波数帯を監視することにより,
機械の異常振動の原因を診断できる。以下に診断可能な
機械の異常原因と監視周波数を示す。
(異常原因) (監視周波数) 架台のガタ fr, 1/2 ×fr, 1/4 ×fr アンバランス fr ミスアライメント fr, 2×fr, 3×fr シャフトの曲り fr, 2×fr 羽根(ギア)の欠損 N×fr fr:軸回転周波数(Hz) N:羽根(ギア)の枚数 機械の異常振動の診断には,前述の通り振動加速度計で
分離された振動加速度信号の低域成分(1Hz〜1kHz)
が利用される。
分離された振動加速度信号の低域成分(1Hz〜1kHz)
が利用される。
次に,発明者らの行った2種類の実験結果を示すことに
よって本願の有効性を実証する。
よって本願の有効性を実証する。
本実験ではローラ型のベアリング(EC−NU204)を
使用した。ベアリングの寸法諸元を以下に示す。
使用した。ベアリングの寸法諸元を以下に示す。
ピッチ円直径・・・・・・D=35.0mm ローラの直径・・・・・・d=5.5mm ローラの数・・・・・・・Z=10個 軸とローラの接触角・・・α=30度 また,ベアリングには加工精度±0.05mmの放電精密加工
法で,1本当り以下の寸法諸元を有する傷を与えた。
法で,1本当り以下の寸法諸元を有する傷を与えた。
長さ・・・・・・・・・・2.75mm 深さ・・・・・・・・・・0.5mm 幅・・・・・・・・・・・0.5mm 方向・・・・・・・・・・回転軸と平行 振動加速度検出端は回転軸に対して垂直方向の軸受箱に
ネジ止めした。
ネジ止めした。
ベアリングの破壊検出機能の検証実験 ローラにのみ傷を付けたベアリング,内輪にのみ傷を付
けたベアリング,ローラ及び内輪に傷を付けたベアリン
グ,全く傷のない正常なベアリングの合計4種類のベア
リングを用意し,これら4種類のベアリングに関して振
動加速度を繰り返し測定する実験を行った。測定間隔10
分で,各50回の振動加速度を連続運転をして測定した。
けたベアリング,ローラ及び内輪に傷を付けたベアリン
グ,全く傷のない正常なベアリングの合計4種類のベア
リングを用意し,これら4種類のベアリングに関して振
動加速度を繰り返し測定する実験を行った。測定間隔10
分で,各50回の振動加速度を連続運転をして測定した。
上記4種類のベアリングの振動加速度測定値を基に,
「分散」,「平均値の差の検定」を行い,ベアリング破
壊検出機能の統計的解析を行った。
「分散」,「平均値の差の検定」を行い,ベアリング破
壊検出機能の統計的解析を行った。
該統計解析の結果を以下に示す。
なお,前表において**印は1%の有意水準を示す。
表中F分布は,傷の無い場合の母集団と傷の有る場合の
母集団とで,測定結果の不偏分散(V)に違いが有るか
否かを検定するために,各々の分散比をとった値であ
る。ベアリングの破壊発生部位の検知に用いている高域
成分(1KHz〜50KHz)のオールパス値に着目すると,ロ
ーラ・内輪共に傷の有る実験番号#4はF分布の値が小
さめであるが,これはベアリングが破壊寸前の状態で,
振動加速度の変動が激しくなっているためで,実験上の
誤差ではないと思われる。よって,今回の測定結果に基
づく平均値の差の検定には,不偏分散に差はないと判断
し以下の式を用いて行った。
母集団とで,測定結果の不偏分散(V)に違いが有るか
否かを検定するために,各々の分散比をとった値であ
る。ベアリングの破壊発生部位の検知に用いている高域
成分(1KHz〜50KHz)のオールパス値に着目すると,ロ
ーラ・内輪共に傷の有る実験番号#4はF分布の値が小
さめであるが,これはベアリングが破壊寸前の状態で,
振動加速度の変動が激しくなっているためで,実験上の
誤差ではないと思われる。よって,今回の測定結果に基
づく平均値の差の検定には,不偏分散に差はないと判断
し以下の式を用いて行った。
:平均値 S:残差平方和 n:データ数 A:傷の無い場合の母集団 B:傷の有る場合の母集団 表中,上記式により求められたt分布の値をみると,傷
の有るベアリングの低域及び高域成分のオールパスの測
定値は,傷の無いベアリングのオールパス測定値に対し
て,少なくとも危険率1%で有意差があることがわか
る。これは,低域及び高域成分のオールパスの測定は,
ベアリングに傷が付いた段階で破壊を予知できることを
示している。
の有るベアリングの低域及び高域成分のオールパスの測
定値は,傷の無いベアリングのオールパス測定値に対し
て,少なくとも危険率1%で有意差があることがわか
る。これは,低域及び高域成分のオールパスの測定は,
ベアリングに傷が付いた段階で破壊を予知できることを
示している。
更に,低域及び高域成分のオールパス測定値の振動加速
度増加倍率を比較すると,高域成分の方がその変化が顕
著に出ている。これは,機械の異常振動によるエネルギ
ーの大きな低域成分より,機械の異常振動によるエネル
ギーの減衰した高域成分の方が,ベアリング構成部位の
破壊予知を検出する感度が高いことを示している。
度増加倍率を比較すると,高域成分の方がその変化が顕
著に出ている。これは,機械の異常振動によるエネルギ
ーの大きな低域成分より,機械の異常振動によるエネル
ギーの減衰した高域成分の方が,ベアリング構成部位の
破壊予知を検出する感度が高いことを示している。
次に,ベアリング構成部位の破壊検出精度であるが,実
験番号#2,#3,#4ともに傷の有る部位(ローラ,
内輪)に少なくとも危険率1%で有意差があることがわ
かる。これは各構成部位に固有の周波数帯域での振動加
速度を監視することで,ベアリングの何処に傷が付いた
かを判断でき,またその傷によるベアリングの破壊を予
知することができることを示している。
験番号#2,#3,#4ともに傷の有る部位(ローラ,
内輪)に少なくとも危険率1%で有意差があることがわ
かる。これは各構成部位に固有の周波数帯域での振動加
速度を監視することで,ベアリングの何処に傷が付いた
かを判断でき,またその傷によるベアリングの破壊を予
知することができることを示している。
ベアリングの余寿命時間推定実験 傷のない正常なベアリングの測定値を初期値として,相
対判定基準法に基づいたベアリング破壊の加速度試験を
行った。これには,上記と同じ寸法諸元の傷をローラと
内輪に持つベアリングからグリースを拭き取り,潤滑油
切れの状態で運転することでベアリングの破壊を加速し
た。測定間隔30分で,振動加速度の増加倍率が6倍を越
えるまで連続運転をして低域オールパス,高域オールパ
ス及び外輪,内輪,ローラに対応する周波数帯における
振動加速度強度の増加倍率を測定した。
対判定基準法に基づいたベアリング破壊の加速度試験を
行った。これには,上記と同じ寸法諸元の傷をローラと
内輪に持つベアリングからグリースを拭き取り,潤滑油
切れの状態で運転することでベアリングの破壊を加速し
た。測定間隔30分で,振動加速度の増加倍率が6倍を越
えるまで連続運転をして低域オールパス,高域オールパ
ス及び外輪,内輪,ローラに対応する周波数帯における
振動加速度強度の増加倍率を測定した。
第3図に内輪の傷に対応する周波数帯の振動加速度増加
倍率の経時変化をグラフ化したものを示す。本図より,
ベアリングが破壊に至るまでの振動加速度増加倍率は一
様な連続曲線ではなく,「呼吸域」を繰り返しながら不
連続に,しかも増加倍率が加速されていく様子が観察さ
れる。
倍率の経時変化をグラフ化したものを示す。本図より,
ベアリングが破壊に至るまでの振動加速度増加倍率は一
様な連続曲線ではなく,「呼吸域」を繰り返しながら不
連続に,しかも増加倍率が加速されていく様子が観察さ
れる。
次に,第4図に内輪の傷に対応する周波数帯の振動加速
度増加倍率を基に,ベアリングの余寿命時間を各測定時
点毎に推定した結果を示す。図中において,測定開始か
ら破壊迄の130時間を一様な破壊過程とみなして直線を
引いた「実際の余寿命時間」と比べると,予測値は小さ
めに出ているが,安全側を考えると問題ない予測といえ
る。また,「呼吸域」での処理にも不具合はみられず,
充分な余寿命時間の予測が出来ていることがわかる。
度増加倍率を基に,ベアリングの余寿命時間を各測定時
点毎に推定した結果を示す。図中において,測定開始か
ら破壊迄の130時間を一様な破壊過程とみなして直線を
引いた「実際の余寿命時間」と比べると,予測値は小さ
めに出ているが,安全側を考えると問題ない予測といえ
る。また,「呼吸域」での処理にも不具合はみられず,
充分な余寿命時間の予測が出来ていることがわかる。
尚,以上述べたベアリングの余寿命時間の推定は,制御
用マイクロコンピュータ10において演算されるものであ
る。該制御用マイクロコンピュータ16は他にも,前述し
た定期監視時刻の管理,振動加速度計のフィルタの選択
指令,包絡線処理,初期値の記憶,ベアリングを構成す
る各部位の振動周波数の演算,機械の異常振動診断,計
測・計算・判断結果の画面表示及び印字等を制御する役
割を有している。該マイクロコンピュータ16は,前記中
継器14とはI/Oボックス26を介して連結され,また周
波数分析器とは直接に連結され,上記制御を実現する。
用マイクロコンピュータ10において演算されるものであ
る。該制御用マイクロコンピュータ16は他にも,前述し
た定期監視時刻の管理,振動加速度計のフィルタの選択
指令,包絡線処理,初期値の記憶,ベアリングを構成す
る各部位の振動周波数の演算,機械の異常振動診断,計
測・計算・判断結果の画面表示及び印字等を制御する役
割を有している。該マイクロコンピュータ16は,前記中
継器14とはI/Oボックス26を介して連結され,また周
波数分析器とは直接に連結され,上記制御を実現する。
〔効果〕 以上の如く構成したために,本発明に係るベアリングの
余寿命推定方法によれば,ベアリングの余寿命推定を狂
わせる元となる「呼吸域」における振動加速度増加倍率
を算出の基準データとすることを排除し,その代わりに
「呼吸域」に入る前の測定値を「呼吸域」の期間Δt分
先にずらして算出データとして使用するため,「呼吸
域」が存在しないのと同じように各測定時点における正
確な余寿命の算出が可能となる。
余寿命推定方法によれば,ベアリングの余寿命推定を狂
わせる元となる「呼吸域」における振動加速度増加倍率
を算出の基準データとすることを排除し,その代わりに
「呼吸域」に入る前の測定値を「呼吸域」の期間Δt分
先にずらして算出データとして使用するため,「呼吸
域」が存在しないのと同じように各測定時点における正
確な余寿命の算出が可能となる。
第1図は本願に係るベアリングの余寿命推定方法を実行
するための機械装置を示すブロック図,第2図は「呼吸
域」部分を拡大したグラフ,第3図は内輪の傷に対応す
る周波数帯の振動加速度増加倍率の経時変化を示すグラ
フ,第4図は内輪の傷に対応する周波数帯の振動加速度
増加倍率を基にベアリングの余寿命時間を推定した結果
を示すグラフ,第5図は振動加速度増加倍率の経時変化
を示すグラフである。
するための機械装置を示すブロック図,第2図は「呼吸
域」部分を拡大したグラフ,第3図は内輪の傷に対応す
る周波数帯の振動加速度増加倍率の経時変化を示すグラ
フ,第4図は内輪の傷に対応する周波数帯の振動加速度
増加倍率を基にベアリングの余寿命時間を推定した結果
を示すグラフ,第5図は振動加速度増加倍率の経時変化
を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】ベアリングを内臓する回転機器から検出さ
れる任意の間隔をおいた測定時点毎の振動加速度強度を
所定の初期値で除して今回振動加速度増加倍率を算出
し、該今回振動加速度増加倍率及びこれに先行する過去
の所定数時点において得られた振動加速度増加倍率を基
に曲線近似をして所定値以上の振動加速度増加倍率が得
られるまでの時間を各測定時点毎に算出していくベアリ
ングの余寿命推定方法において, 該今回振動加速度増加倍率が前回振動加速度増加倍率に
対して所定の比率以上低下した場合には「呼吸域」に入
ったものと見做してその時点以降における余寿命の算出
を中断すると共に, 過去最高の振動加速度増加倍率が得られた時点で「呼吸
域」を脱したものと見做し,その時点における振動加速
度増加倍率,及び「呼吸域」に入る以前の所定数時点に
おける振動加速度増加倍率を夫々「呼吸域」の期間Δt
分先の時点にずらしたものを基に曲線近似をしてベアリ
ングの余寿命の算出を再開することを特徴とするベアリ
ングの余寿命推定方法。 - 【請求項2】今回測定値が前回測定値に対して5%以上
低下した場合に「呼吸域」に入ったものと見倣すことを
特徴とする,請求項1に記載のベアリングの余寿命推定
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1147374A JPH068774B2 (ja) | 1989-06-10 | 1989-06-10 | ベアリングの余寿命推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1147374A JPH068774B2 (ja) | 1989-06-10 | 1989-06-10 | ベアリングの余寿命推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0312533A JPH0312533A (ja) | 1991-01-21 |
JPH068774B2 true JPH068774B2 (ja) | 1994-02-02 |
Family
ID=15428789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1147374A Expired - Lifetime JPH068774B2 (ja) | 1989-06-10 | 1989-06-10 | ベアリングの余寿命推定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH068774B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ITBO20030711A1 (it) * | 2003-11-24 | 2005-05-25 | Gd Spa | Metodo per la manutenzione predittiva di un componente |
JP2005214631A (ja) * | 2004-01-27 | 2005-08-11 | Kansai Electric Power Co Inc:The | 状態監視保全装置及び状態監視保全方法 |
DE102005015465B4 (de) * | 2005-04-04 | 2014-02-20 | Dietrich Behr | Verfahren und Gerät zum Kategorisieren von Wälzlagerschäden |
JP4793865B2 (ja) * | 2006-07-21 | 2011-10-12 | 三甲株式会社 | 井桁積み可能なコンテナ |
JP6253299B2 (ja) * | 2013-08-02 | 2017-12-27 | 株式会社日立製作所 | X線管装置及びx線撮影装置 |
CN106021719A (zh) * | 2016-05-19 | 2016-10-12 | 浙江工业大学 | 一种基于无迹卡尔曼滤波算法的轴承剩余寿命预测方法 |
JP6977364B2 (ja) * | 2017-07-25 | 2021-12-08 | 日本電気株式会社 | 回転機構の異常検知感度設定装置および異常検知感度設定方法 |
JP7371512B2 (ja) * | 2019-09-10 | 2023-10-31 | オムロン株式会社 | 診断装置、方法、及びプログラム |
CN112990524A (zh) * | 2019-12-16 | 2021-06-18 | 中国科学院沈阳计算技术研究所有限公司 | 基于残差修正的滚动轴承剩余寿命预测方法 |
-
1989
- 1989-06-10 JP JP1147374A patent/JPH068774B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0312533A (ja) | 1991-01-21 |
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Legal Events
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