JP6977364B2 - 回転機構の異常検知感度設定装置および異常検知感度設定方法 - Google Patents

回転機構の異常検知感度設定装置および異常検知感度設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転機構の異常検知感度設定装置および異常検知感度設定方法に関する。
一般的に、連続稼働する機器が、予期せぬときに故障すると損害が大きくなる。これを避けるため、機器に想定寿命を設定し、この想定寿命を超える前に部品交換や保守を行うことが一般的である。ここで、想定寿命の安全率を高くすると費用が増加し、安全率を低くすると対応が遅れて損害が拡大するという問題がある。このため精度良く劣化や故障を検知できる異常検知手法が求められている。
ファン、ポンプのような回転機構を有する装置では、故障や劣化により正常時と異なる振動を発生することが知られている。このため、振動を監視して、異常を検知することが可能である。この際、異常検知の感度を高くしすぎると、異常と関係のないノイズを異常として誤検出する確率が高くなる。また、感度を低くしすぎると、異常を見逃す確率が高くなる。このため、異常検知の感度を適切に設定することが重要である。なお、故障や劣化によって弾性波が発生する場合には、そこで発生する音を監視することで、異常を検知することも可能である。
例えば、特許文献1には、チェーンを用いた動力伝達機構において、スプロケットに加速度センサを装着し、所定期間内に閾値以上の加速度が検出された回数に基づいて、異常を検知する技術が開示されている。異常検知感度は、この閾値によって決まるが、閾値の値は利用者が予め定めるとされている。
また特許文献2には、軸受内蔵型車輪または低速回転軸受において、特許文献1と同様に所定期間内に閾値以上の加速度が検出された回数に基づいて異常を検知する技術が開示されている。特許文献2では、上記の閾値を、正常時の振動加速度を2倍して3乗した値とするように異常検知感度を調整している。そして、測定された振動加速度の3乗がこの閾値以上となった回数を異常加速度としてカウントしている。軸受内蔵型車輪などの低速回転軸受では、S/N比(Signal−Noise ratio)が小さいため、3乗することによりS/Nを向上する効果がある。また、上記の閾値は、下記の実験結果を根拠として定められている。その実験結果とは、異常軸受の振動加速度を3乗した値が、上記の閾値を越えた回数を、軸受回転数に対してプロットした曲線が、2次曲線で近似される特性を示すというものである。
また、回転系の異常を音で検知する技術は、例えば特許文献3に開示されている。この技術では、回転機器の軸受部が発生する音を計測し、計測した音をデジタル信号に変換し、この信号波形から周期的な波形を取り除いた不規則な波形を抽出する。そして、この不規則な信号の振幅を、予め定めた閾値と比較して異常を検知している。この閾値は、利用者が設定するものとされている。
特開2009−300243号公報 特開平11−337450号公報 特開平9−43105号公報
特許文献1や3の技術では、異常を判定する閾値を利用者が経験的に定めていた。このため、異常検知感度設定の適否が人に依存してしまうという問題があった。一方、特許文献2の技術では、閾値を正常時の振動加速度に基づいて客観的に算出している。しかしながら、上記の技術は、軸受内蔵型車輪などの低速回転軸受に特化して有効に適用されるものであり、様々な回転機構に対して普遍的に適用できるものとはなっていなかった。このため、異なる形態の回転機構の異常検知には、別の方式を準備する必要があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転機構の異常検知感度を、回転機構の形態によらず適切に定める、回転機構の異常検知感度設定装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明の異常検知感度設定装置は、まず回転機構が正常に稼働している時の正常時振動データを取得する。閾値候補設定手段は、稼働時の振動データが異常であるか正常であるかを判定するための閾値の候補を設定する。この時、正常時振動データの統計量を用いて、大きさの異なる複数の閾値候補を作成する。異常検知感度検証手段は、所定期間の稼働時振動データについて、上記で定めた複数の閾値候補を用いて、それぞれ異常検知を行い、検知された異常振動データの個数をカウントする。さらに、大きさが隣り合う閾値で異常検知回数の差分を算出し、差分が小さい閾値の組みを特定する。ここで特定した閾値の近傍に、閾値を設定することにより、異常検知感度を適切に設定することができる。
本発明の効果は、回転機構の異常検知感度を、回転機構の形態によらず適切に定める、回転機構の異常検知感度設定装置を提供できることである。
第1の実施形態の異常検知感度設定装置を示すブロック図である。 第2の実施形態の異常検知感度設定装置を示すブロック図である。 第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。 第3の実施形態の回転機構の具体例を示す側面図である。 第3の実施形態の加速度波形の第1の例を示すグラフである。 第3の実施形態の加速度波形の第2の例を示すグラフである。 第3の実施形態の加速度波形の第3の例を示すグラフである。 第3の実施形態の加速度波形の第4の例を示すグラフである。 第3の実施形態の加速度波形の第5の例を示すグラフである。 第3の実施形態の異常加速度カウント動作を示すフローチャートである。 第3の実施形態の異常加速度回数の試算結果の第1の例を示すグラフである。 第3の実施形態の異常加速度回数の試算結果の第2の例を示すグラフである。 第3の実施形態の異常加速度回数の試算結果の第3の例を示すグラフである。 第3の実施形態の異常加速度回数の試算結果の第4の例を示すグラフである。 第3の実施形態の異常加速度回数の試算結果の第5の例を示すグラフである。 第3の実施形態の規格化された異常加速度回数度の第1の例を示すグラフである。 第3の実施形態の規格化された異常加速度回数度の第2の例を示すグラフである。 第3の実施形態の規格化された異常加速度回数度の第3の例を示すグラフである。 第3の実施形態の規格化された異常加速度回数度の第4の例を示すグラフである。 第3の実施形態の規格化された異常加速度回数度の第5の例を示すグラフである。 第4の実施形態の回転機構監視装置を示すブロック図ある。 第4の実施形態の回転機構異常検知方法を説明するためのグラフである。 第4の実施形態の回転機構寿命予測方法監視装置を示すブロック図ある。 第5の実施形態の異常検知感度設定装置を示すブロック図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の異常検知感度設定装置を示すブロック図である。異常検知感度設定装置は、正常時振動データ取得手段1と、稼働時振動データ取得手段2と、閾値候補設定手段3と、異常検知感度検証手段4と、閾値決定手段5とを有する。
正常時振動データ取得手段1は、回転機構が正常に稼働している時の正常時振動データを取得する。振動データは、例えば加速度、音圧などである。なお正常時とは、例えば保守が完了し、稼働テストに合格した直後などを指し、正常時振動データは、この時に取得した振動データなどとすることができる。
稼働時振動データ取得手段2は、回転機構の稼働時の振動データを取得する。
閾値候補設定手段3は、稼働時の振動データの大きさ(振幅)が異常であるか正常であるかを判定するための閾値の候補を設定する。この時、正常時振動データの統計量を用いて、大きさの異なる複数の閾値候補を作成する。
異常検知感度検証手段4は、上記の閾値候補それぞれを用いた場合の異常検知感度の適切性を検証する。そのために、まず、所定期間の稼働時振動データについて、上記で定めた複数の閾値候補を用いて、それぞれ異常検知を行う。この時、閾値が小さすぎる、すなわち異常検知感度が高すぎれば、異常ではないノイズを異常として検知するため、異常検知数が実態よりも多くなる。一方、閾値が大きすぎる、すなわち異常検知感度が低すぎれば、異常を見逃すため異常検知数が実態よりも少なくなる。このため、ノイズの誤検出が減る閾値と、見逃しにより異常検知回数が減る閾値の間に閾値を設定することで異常検知感度を適切に調整することができる。さらに、より適切な閾値の近傍では、大きさの隣り合う閾値候補を用いて異常検知を行った時の、異常検知回数の差が小さくなると考えられる。
以上のような理由により、大きさが隣り合う閾値で検知した異常検出回数の差分を比較することで、閾値の適切性を検証することができる。すなわち異常検知回数の差分が大きくなる閾値候補の近傍は不適切であり、差分が小さくなる閾値候補の近傍が適切である。
閾値決定手段5は、異常検知感度検証手段4の検証で、適切と判定された(異常検知回数の差分が小さくなった)閾値候補の組み合わせの近傍に閾値を決定する。最終的に2つもしくは3つの閾値候補が残るので、例えば、複数の閾値候補のいずれかを採用する、あるいは複数の閾値候補の中間に定めるといった方法により、閾値を決定することができる。
以上のようにして、客観的なデータのみに基づいて、回転機構の異常検知感度を適切に設定することができる。
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の回転機構の異常検知感度設定装置を示すブロック図である。異常検知感度設定装置100は、振動データとしての加速度を計測するための加速度計測部10と、閾値設定部20とを有する。
加速度計測部10は、加速度センサ11と、A/D変換機12(Analog/Digital Conveter)とを有する。A/D変換機12は、加速度センサ11が出力する加速度のアナログ信号を、所定のサンプリング間隔でデジタル化する。
閾値設定部20は、正常時加速度データ取得部21と、正常時統計量算出部22と、閾値候補設定部23と、稼働時加速度データ取得部24と、異常加速度検知回数試算部25と、異常検知感度検証部26と、閾値決定部27とを有する。
正常時加速度データ取得部21は、A/D変換機12でデジタル化された正常時の加速度データを取得し、記憶する。
正常時統計量算出部22は、所定期間の正常時加速度データの統計処理を行い、平均値、レンジ、標準偏差などの統計量を算出する。
閾値候補設定部23は、異常検知感度の検証に用いる大きさの異なる複数の閾値候補からなる閾値候補シリーズを設定する。設定する数値は異常検知感度の過剰に高い領域から過剰に低い領域までをカバーするようにする。それぞれの閾値候補同士の間隔は、上記の範囲を適度な密度でカバーするようにすることが望ましい。決め方は、この条件を満たす限り任意であるが、例えば、正常時統計量算出部22が算出した統計量を用いて、所定のステップで増加するようなシリーズとすることができる。統計量としては、例えば、平均値μ、標準偏差σ、レンジRなどを用いることができる。閾値をDk、kはシリーズ内の番号として、以下に具体例を示す。なお、ここでは加速度の絶対値を用いて判定するものとする。
例1)D1=2μ、D2=4μ、D3=8μ、・・・、Dk=2^k×μ
例2)D1=μ+R、D2=μ+2R、D3=μ+3R、・・・、Dk=μ+kR
例3)D1=μ+3σ、D2=μ+6σ、D3=μ+12σ、・・・、Dk=μ+3σ×2^(k−1)
上記のようなシリーズの1つを閾値候補として設定する。なお簡単のため、以降の説明は、例3)の標準偏差σを用いた閾値候補シリーズを使って行う。
稼働時加速度データ記憶部24は、稼働時の加速度データを取得し、時系列で記憶する。
異常加速度検知回数試算部25は、選択した閾値候補シリーズの、それぞれの閾値候補を用いて、所定期間において、稼働時加速度が閾値を超えた異常加速度が検知された回数を試算する。この回数を異常加速度回数Nと称することとする。この試算の結果、それぞれの閾値候補に対応した、異常加速度回数Nが算出される。閾値D1で試算した異常加速度回数をN1、閾値D2で試算した異常加速度回数をN2、・・・、閾値Dkで試算された異常加速度回数をNkと称するものする。
異常加速度検知感度検証部26は、大きさが隣り合う2つの閾値を用いて計算された異常加速度回数Nの差分に基づいて、異常加速度検知感度の適切性を検証する。第1の実施形態で説明したように、隣り合うNの差が大きい領域は不適切、差が小さい領域を適切と判定する。このようにすることで、感度が高すぎることによる誤検出や、感度が低すぎることによる異常の見逃しがない、適切な感度を設定することが可能になる。
閾値決定部27は、Nの差分が小さくなる時の閾値の組のいずれか、もしくは、両者の中間の値を、稼働時加速度を監視する閾値に決定する。
次に、閾値設定部20の動作について説明する。図3は、この動作を示すフローチャートである。まず正常時加速度データを取得する(S1)。次に正常時加速度データの統計量を算出する(S2)。次に統計量のいずれかを選択して、閾値候補シリーズを設定する(S3)。このシリーズは、例えば、平均値μと標準偏差σを用いて作成することができる。次に各閾値候補を用いて、稼働時加速度データの正常、異常を判定し、所定期間における異常加速度回数を試算する(S4)。次に、大きさが隣り合う閾値候補を用いて検知した異常加速度回数の差分を計算し、差分が小さくなる閾値の組み合わせを特定する(S5)。そして、特定した閾値の組み合わせに基づいて、稼働時加速度の監視を行う閾値を決定する。閾値は、例えば、差分が小さくなる時の閾値の組のいずれか、もしくは両者の中間の値として決定することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、客観的なデータと計算に基づいて、異常加速度の検知感度を適切に設定することができる。
(第3の実施形態)
次に、具体的な回転機構の例を用いて、異常振動閾値の計算方法について説明する。図4は、脚部2210に支持されたモーター2100で駆動されるポンプ2200を有する回転機構2000を示す側面図である。ポンプ2200はケーシング2210に内蔵された羽根車2220を有し、羽根車2220が回転することによって、IN側からOUT側に向かう気流を発生させる。モーター2100の動力は、回転軸2300によって羽根車2220に伝達される。ケーシング2210の回転軸2300貫通部には、回転軸2300を滑らかに支持し、気密性を保つシール2230が形成されている。モーター2100とポンプ2200の間の部分には、回転軸2300を回転自在に支持する軸受2400が設けられている。軸受2400は脚部2410に支持され、脚部2410の上方には加速度センサ11が配置されている。なお加速度センサ11は、モーター2100の表面など、他の位置に配置されていても良い。また複数設けられていても良い。
この回転機構2000で計測され、図示しない異常振動閾値設定装置で取得された加速度波形の例を図5A〜5Eに示す。図5Aは事前サンプリングのデータであり、これを正常状態の波形とする。図5Bは稼働10日目、図5Cは稼働30日目、図5Dは稼働40日目、図5Eは稼働50日目のサンプリングの加速度波形である。図示したデータは、それぞれが1日、1回、サンプリング10sec、サンプリング間隔は100μsecで計測したものであり、それぞれが10万回分の加速度データとなっている。
次に、それぞれの加速度データに含まれる異常加速度回数をカウントする。そのために、まず第2の実施形態で説明したように、正常時の加速度の統計量を用いて閾値候補のシリーズを作成する。次に、設定し閾値候補の1つを選択して、異常加速度回数をカウントする。図6は、このカウント動作を示すフローチャートである。最初に閾値Dkを選択する(S101)。添字のkは、シリーズの中のk番目の意味である。次に異常加速度回数Nkを初期化する(S102)。すなわちカウント数を0にする。次に、加速度のサンプリングを開始する(S103)。次にサンプリングした加速度を読取り(S104)、閾値Dkと比較する(105)。加速度がDk未満だったら(105_No)、サンプリング回数が規程回数に到達したか判定する(S107)。図5の例では、規定回数は10万回である。規定回数に達していなければ(S107_No)、S104にもどり、次の加速度を読取る。一方、規定回数に到達していたら(S107_Yes)、異常加速度回数データベースを更新して(S108)、終了する。
また、S105で、加速度がDk以上であったら(S105_Yes)、異常加速度回数Nkに1を加えて、Nk=Nk+1とし(S106)、サンプリング回数が規定回数に到達したか判定する(S107)。ここで、規定回数に達していれば異常加速度回数データベースを更新して(S108)終了し、達していなければ(S107_No)、S104にもどり、次の加速度を読取る。
上記のようにして、カウントした異常加速度回数を日数に対してプロットしたグラフを図7に示す。ここでは閾値シリーズを、D1=μ+3σ、D2=μ+6σ、D3=μ+12σ、D4=μ+24σ、D5=μ+48σ、D6=μ+96σとしている。図7AがD1、図7BがD2、図7CがD3、図7DがD4、図7EがD5を用いてカウントした時のグラフである。なお、D6についてのグラフは全てになったため図示していない。
このままでは、閾値が大きい時のグラフの形状が分からないので、それぞれの閾値の場合に、異常加速度回数を最大異常加速度回数で規格化したグラフを作成した。これを図8A−Eに示す。また規格化された異常加速度回数を異常加速度回数度Aと称するものとする。
図8Aのように閾値が小さいと、小さなノイズを異常加速度としてカウントし、ある時点以降で飽和するようなグラフになる。一方、閾値が大きすぎると、異常加速度を見逃す可能性が高くなる。そこで、大きさが隣り合う閾値(以降、隣接閾値と称する)を用いた時の異常加速度回数を比較し、その差分が小さくなるところが適切な閾値であるものと考える。閾値を適当なところに設定することにより、ノイズによる誤検出と見逃しの両方を少なくすることができる。
この閾値を見つけるために、サンプリングの実施期間ごとに、隣接閾値による異常加速度回数度の差分を算出し、これを2乗したものを足し込んだ値を、差分和Sとして算出する。そしてSが小さくなる組み合わせの閾値を適切な閾値とする。ここで、m回目の測定の、k番目の閾値でカウントされた異常加速度回数度をA(k,m)、k+1番目の閾値でカウントされた異常加速度回数度をA(k+1,m)とする。そして各回の差分の2乗を足したものをS(k,k+1)とする。すなわちS(k,k+1)が次式で表されるものとする。
S(k,k+1)=Σ{A(k,m)−A(k+1,m)}^2 (式1)
上記の具体例についてのSの計算結果は下記の通りとなった。
S(1,2)=7499.904
S(2,3)=14158.259
S(3,4)=2307.662
S(4,5)=1464.640
S(5,6)=29412.081
上記で一番値が小さいのは、S(4,5)である。よって、D4=μ+24σまたはD5=μ+48σ、または、D4とD5の間が適切な閾値として求められる。
以上説明したように、本実施形態によれば、客観的なデータと計算とに基づいて、ノイズによる誤検出と見逃しの両方を少なくできる適切な閾値を設定することができる。
なお、上記の説明では、閾値の設定に標準偏差を用いたが、平均値、レンジなどを用いても良い。また、ランダムな数値を大きさの順番に並べる方法でも良い。
(第4の実施形態)
第2、3の実施形態の異常振動閾値設定装置を用いて、回転機構の異常を検知する回転機構監視装置を構成することができる。図9は、回転機構監視装置1000を示すブロック図である。回転機構監視装置1000は、異常検知感度設定装置100と、回転機構異常判定部200と、故障曲線格納部300と、寿命予測部400とを有している。なお異常検知感度設定装置100の構成および動作は第2の実施形態と同様なので説明を省略する。
回転機構異常検知部200は、異常加速度回数をモニターし、回転機構の異常を検知する。そのために、例えば、所定期間における異常加速度回数について定められた回転機構異常検知閾値を有する。そして、異常検知感度設定装置100が設定した適切な閾値を用いて、異常加速度回数をモニターし、異常加速度回数がこの閾値以上となったことをもって回転機構の異常を検知する。回転機構異常検知閾値を、回転機構が重大な故障に至る回数から適切なマージンをもって定めておけば、回転機構異常が検知された段階でタイムリーな保守を行うことができる。
図10は、回転機構異常検知の具体例を説明するためのグラフである。ここでは、回転機構異常検知閾値が、異常加速度回数2000(回/10sec)と定められている例を示している。この例では、異常加速度回数が48日目に回転機構異常検知閾値を超え、回転機構の異常が検知されている。
故障曲線格納部300は、稼働時間または累積回転数を横軸に取り、異常加速度回数を縦軸に取った故障曲線を格納する。故障曲線の一例を図11に示す。
寿命予測部400は、例えば、異常加速度回数を時系列にプロットした曲線の傾きを、故障曲線の傾きと比較し、現在の回転機構が故障曲線のどの位置にいるかを推定する。そして、異常加速度回数が回転機構異常検知閾値を超えるまでに残された時間を寿命として予測する。図11の例では、現在が41日目で、回転機構異常が検知されるであろうと推定されるのが48日目であるため、残り寿命は7日と推定される。上記の動作では、実測された異常加速度回数に揺らぎがあるため、傾きの計算は、所定の期間ごとに平均化した値を用いても良い。
(第5の実施形態)
第2〜4の実施の形態では、振動データが加速度の例を用いて説明したが、音圧(音量)を振動データに採用しても良い。図12は、音圧を用いる異常検知感度設定装置101を示すブロック図である。異常検知感度設定装置101は、音圧計測部110と、閾値設定部20とを有している。
音圧計測部110は、音圧センサ111と、A/D変換機112とを有している。音圧センサ111は、回転機構が発する音の音圧を計測し、結果をアナログデータとして出力する。A/D変換機112は、音圧センサ111が出力する音圧のアナログ信号を、所定のサンプリング間隔でデジタル化する。
こうしてデジタル化された音圧信号は、第2の実施の加速度データと同様に扱うことができる。このため、閾値設定部20の構成および動作は、第2の実施形態と同様とすることができる。したがって、音圧データを用いても加速度データ同様に適切な感度を設定することができる。また、第4の実施の形態と同様に、回転機構の異常を検知し、寿命を予測する回転機構監視装置を構成することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、回転機構の異常を、適切な閾値で検出し、精度の高い回転機構の異常検知と寿命予測とを行うことができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
1 正常時振動データ取得手段
2 稼働時振動データ取得手段
3 閾値候補設定手段
4 異常検知感度検証手段
5 閾値決定手段
10 加速度計測部
11 加速度センサ
12 A/D変換機
20 閾値設定部
21 正常時加速度データ取得部
22 正常時統計量算出部
23 閾値候補設定部
24 稼働時加速度データ取得部
25 異常加速度検知回数試算部
26 異常加速度検知感度検証部
27 閾値決定部
100、101 異常検知感度設定装置
200 回転機構異常検知部
300 故障曲線格納部
400 寿命予測部

Claims (6)

  1. 回転機構の正常時の振動データを取得する正常時振動データ取得手段と、
    前記回転機構の稼働時の振動データを取得する稼働時振動データ取得手段と、
    前記正常時の振動データの統計量に基づいて、前記稼働時の振動データが正常であるか異常であるかを判定する閾値候補を複数設定する閾値候補設定手段と、
    複数の前記閾値候補を用いて前記稼働時の振動データの異常検知を行い、前記異常検知の結果に基づいて、それぞれの前記閾値候補で得られる異常検知感度の適切性を検証する異常検知感度検証手段と、
    前記異常検知感度の適切性に基づいて閾値を決定する閾値決定手段と、を有し、
    前記稼働時の振動データが加速度であり、
    前記閾値候補設定手段は、
    前記閾値候補として、所定期間内の加速度の絶対値の平均値に、標準偏差の3倍、6倍、12倍、24倍、48倍、96倍を加算した値を設定し、
    前記異常検知感度検証手段は、
    それぞれの前記閾値候補で前記所定期間内の異常加速度回数をカウントし、
    大きさが隣り合う2つの前記閾値候補を用いて計算された異常加速度回数の差分を算出し、
    閾値決定手段は、
    前記差分が最小となる組み合わせの前記閾値候補のいずれか、もしくは両者の中間の値を、前記閾値に設定する
    とを特徴とする回転機構の異常検知感度設定装置。
  2. 請求項1に記載の回転機構の異常検知感度設定装置と、
    前記異常検知感度設定装置が設定した前記閾値に基づいて前記稼働時の振動データの異常を検知する異常振動検知装置と、
    所定時間内に前記異常振動検知装置が前記稼働時の振動データの異常を検知した回数に基づいて前記回転機構の異常を検知する回転機構異常検知装置と
    を有することを特徴とする回転機構監視装置。
  3. 前記回転機構の稼働時間と前記稼働時の振動データの異常を検知した回数との関係を示す故障曲線を格納する故障曲線格納部と、
    前記故障曲線と現在の前記稼働時の振動データの異常を検知した回数とに基づいて前記回転機構の寿命を予測する寿命予測部と
    を有することを特徴とする請求項に記載の回転機構監視装置。
  4. 回転機構の正常時の振動データを取得し、
    前記回転機構の稼働時の振動データを取得し、
    前記正常時の振動データの統計量に基づいて、前記稼働時の振動データが正常であるか異常であるかを判定する閾値候補を複数設定し、
    複数の前記閾値候補を用いて前記稼働時の振動データの異常検知を行い、
    前記異常検知の結果に基づいて、それぞれの前記閾値候補を用いた異常検知感度の適切性を検証し、
    前記異常検知感度の適切性に基づいて閾値を決定し、
    前記稼働時の振動データが加速度であり、
    前記閾値候補として、所定期間内の加速度の絶対値の平均値に、標準偏差の3倍、6倍、12倍、24倍、48倍、96倍を加算した値を設定し、
    それぞれの前記閾値候補で前記所定期間内の異常加速度回数をカウントし、
    大きさが隣り合う2つの前記閾値候補を用いて計算された異常加速度回数の差分を算出し、
    前記差分が最小となる組み合わせの前記閾値候補のいずれか、もしくは両者の中間の値を、前記閾値に決定する
    ことを特徴とする回転機構の異常検知感度設定方法。
  5. 請求項に記載の回転機構の異常検知感度設定方法を用いて前記回転機構の前記異常検知感度を設定し、
    前記異常検知感度に基づいて前記稼働時の振動データの異常を検知し、
    所定時間内に前記稼働時の振動データの異常を検知した回数に基づいて前記回転機構の異常を検知する
    ことを特徴とする回転機構監視方法。
  6. 回転機構の正常時の振動データを取得するステップと、
    前記回転機構の稼働時の振動データを取得するステップと、
    前記正常時の振動データの統計量に基づいて、前記稼働時の振動データが正常であるか異常であるかを判定する閾値候補を複数設定するステップと、
    複数の前記閾値候補を用いて前記稼働時の振動データの異常検知を行うステップと、
    前記異常検知の結果に基づいて、それぞれの前記閾値候補を用いた時の異常検知感度の適切性を検証するステップと、
    前記異常検知感度の適切性に基づいて閾値を決定するステップと、をコンピュータに実行させ、
    前記稼働時の振動データが加速度であり、
    前記閾値候補を設定するステップでは、
    前記閾値候補として、所定期間内の加速度の絶対値の平均値に、標準偏差の3倍、6倍、12倍、24倍、48倍、96倍を加算した値を設定し、
    前記異常検知感度を検証するステップでは、
    それぞれの前記閾値候補で前記所定期間内の異常加速度回数をカウントし、
    大きさが隣り合う2つの前記閾値候補を用いて計算された異常加速度回数の差分を算出し、
    前記閾値を決定するステップでは、
    前記差分が最小となる組み合わせの前記閾値候補のいずれか、もしくは両者の中間の値を、前記閾値に決定する
    とを特徴とする回転機構の異常検知感度設定プログラム。
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