JP2016117670A - シアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板 - Google Patents

シアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板を提供する。
【解決手段】
ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有し、かつ、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にシアナト基を有するシアン酸エステル化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板に関する。
近年、電子工業や通信、コンピューターなどの分野において使用される周波数はギガヘルツ帯のような高周波領域になりつつある。このような高周波領域で用いられる電気用積層板などの絶縁層には低誘電率、低誘電正接の材料が求められている。このため各種の低誘電率、低誘電正接樹脂が開発されてきた。
その中でもシアン酸エステル化合物は、硬化後の誘電率、誘電正接の誘電特性が優れることが知られている。特許文献1には、代表的なシアン酸エステル化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)誘導体であるビスフェノールA型シアン酸エステル化合物が記載されている。しかし、前記化合物を含む従来のシアン酸エステル樹脂組成物は、一般に電子回路基板のマトリックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂組成物や、ポリエステル樹脂組成物、さらにはフェノール樹脂組成物や、ポリイミド樹脂組成物等と比べて、高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電特性に優れるものの、その誘電特性は市場の要求に応えられるものではなかった。
加えて、近年、環境問題に対する法規制等により、鉛を使用しない高融点はんだが主流となっており、この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜40℃高くなること、さらに環境への配慮や防災上の理由から、シアン酸エステル樹脂組成物を電子材料等に用いる場合、硬化物においてこれまで以上に高い耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性を発現させることが要求されている。
特開2002−69156号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方がナフチレン骨格を有し、かつ、前記2つのアリーレン基の何れもがその芳香環上にシアナト基を有するシアン酸エステル化合物は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有し、かつ、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にシアナト基とを有するシアン酸エステル化合物に関する。
本発明は更に、前記シアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂に関する。
本発明は、分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを酸触媒の存在下で反応させてフェノール化合物を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物とハロゲン化シアンと反応させる工程とを備え、前記キノン構造を有する化合物(Q)又は前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は分子内にナフタレン環を有するものであるシアン酸エステル化合物の製造方法に関する。
本発明は更に、前記シアン酸エステル化合物又は前記シアン酸エステル樹脂と、硬化促進剤とを必須成分とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を硬化反応させてなる硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥してなるビルドアップ用接着フィルムに関する。
本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物と無機充填材とを含有し、前記無機充填材の含有量が硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲にある半導体封止材料に関する。
本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物をワニス化したものを補強基材に含浸してなる含浸基材を半硬化して得られるプリプレグに関する。
本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型してなる回路基板に関する。
本発明によれば、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物、シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板を提供できる。
実施例1で得られたフェノール樹脂(A−1)のGPCチャートである。 実施例2で得られたフェノール樹脂(B−1)のGPCチャートである。 実施例3で得られたフェノール樹脂(C−1)のGPCチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシアン酸エステル化合物は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有し、かつ、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にシアナト基を有することを特徴としている。
前記のように、本発明のシアン酸エステル化合物は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を分子構造中に有するので、その分子構造は剛直であり、芳香環濃度が高いという特徴を有する。前記のように、本発明のシアン酸エステル化合物は、分子構造が剛直であることから、分子運動が抑制され、硬化物における誘電率及び誘電率が低いという特徴を有する。さらに、本発明のシアン酸エステル化合物は、剛直な分子構造であることに加え、芳香環濃度やシアナト基濃度が高いという特徴を有するため、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる特徴を有する。
一般的に、硬化物の耐熱性を向上させるためには、芳香環をホルムアルデヒド等の結節基で多官能化する方法が知られているが、このような方法により多官能化された化合物は芳香環同士が1つの結節基のみで結節しているため、燃焼時に前記結節基が容易に開裂してしまい、難燃性が低い。これに対し、本発明のシアン酸エステル化合物は、芳香環同士がエーテル結合と直接結合との2つの結合により固定されたジアリーレン[b,d]フラン構造を有しているため、燃焼時に芳香環を結びつけているこれら結合が容易に開裂せず、硬化物において高い難燃性を発現する。さらには、2つのアリーレン基のうち少なくとも一方がナフタレン骨格を有するものであることから、さらに芳香環濃度が高くなり、得られる硬化物は極めて優れた難燃性を発現するものである。
本発明のシアン酸エステル化合物は、更に、反応性に優れ、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にシアナト基を有し、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基が、フラン環を形成する酸素原子が結合する炭素原子のパラ位にシアナト基を有するものであることが好ましい。
このようなシアン酸エステル化合物としては、例えば、下記構造式(I)又は下記構造式(II)で表される分子構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2016117670
式(I)、(II)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。Ar1は下記構造式(i)で表される構造部位であり、Ar2は下記構造式(i)又は(ii)で表される構造部位である。
Figure 2016117670
式(i)、(ii)中、R2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(i)において、ナフタレン環に結合するR2、シアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
前記構造式(I)、(II)で表されるシアン酸エステル化合物は、例えば、分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを、無触媒又は酸触媒条件下、40〜180℃の温度範囲で反応させてフェノール化合物又はフェノール樹脂を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物又はフェノール樹脂とハロゲン化シアンとを反応させる工程とを備える製造方法であって、前記キノン構造を有する化合物(Q)又は前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は、分子内にナフタレン環を有する化合物である製造方法により製造される。このような方法により本発明のシアン酸エステル化合物を製造する場合、反応条件により任意の成分を選択的に製造したり、複数種のシアン酸エステル化合物の混合物であるシアン酸エステル樹脂として製造したりすることが出来る。また、混合物であるシアン酸エステル樹脂から任意の成分のみを単離して用いても良い。
前記キノン構造を有する化合物(Q)は、例えば、下記構造式(Q1)又は(Q2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016117670
式(Q1)又は(Q2)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。
前記構造式(Q1)又は(Q2)で表される化合物として、具体的には、パラベンゾキノン、2−メチルベンゾキノン、2,3,5−トリメチル−ベンゾキノン、ナフトキノン、及びこれらのベンゾキノンや、ナフトキノンに炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基が1つ乃至複数置換した化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物又はシアン酸エステル樹脂が得られることから、ナフトキノンを用いることが好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物(P)は、例えば、下記構造式(P1)又は(P2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016117670
式(P1)又は(P2)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数、p、qは2以上の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。なお、式(P2)において、ナフタレン環に結合するOH基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
前記構造式(P1)又は(P2)で表される化合物として、具体的には、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、及びこれらのジヒドロキシベンゼンや、ジヒドロキシナフタレンに炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基が1つ乃至複数置換した化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるシアン酸エステル化合物が得られることから1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンの何れかが好ましく、2,7−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記フェノール性水酸基を有する化合物(P)との反応は、反応性が高いことから無触媒条件下でも進行するが、適宜酸触媒を用いて行うことが好ましい。ここで用いる酸触媒は例えば、塩酸、硫酸、リン酸、などの無機酸や、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸等が挙げられる。これら酸触媒を用いる場合は、前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との合計質量に対し、5.0質量%以下の量で用いることが好ましい。
また、前記反応は無溶剤条件下で行うことが好ましいが、必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。ここで用いる有機溶媒は例えば、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これら有機溶剤を用いる場合は、反応効率が向上することから、キノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との合計100質量部に対し、有機溶剤が50〜200質量部の範囲となる割合で用いることが好ましい
前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との反応終了後は、減圧乾燥するなどしてフェノール化合物又はフェノール樹脂を得ることが出来る。
そのようなフェノール化合物又はフェノール樹脂に含まれるフェノール化合物としては、例えば、下記のような構造で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 2016117670
式(a1)〜(a4)中、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、Rは同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(a1)〜(a3)において、ナフタレン環に結合するR、OH基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
前記反応では、前記構造式(a1)〜(a4)で表される化合物以外にも、例えば、下記構造式(a1−1)〜(a4−1)で表される化合物等が生成する。
Figure 2016117670
式(a1−1)〜(a4−1)中、k、iは、それぞれ1〜2の整数を表す。x、yはナフタレン環との結合点を示し、フラン環を形成するように互いに隣接する炭素に結合することを表す。
前記構造式(a1−1)、(a3−1)、又は(a4−1)において、kは1〜2の整数である。ここで、kの値が1の場合に相当する化合物(以下「2核体化合物(α1)」と略記する。)は、ハロゲン化シアンと反応することによって、硬化物において耐熱性、耐熱分解性、難燃性及び誘電特性に優れるシアン酸エステル化合物を与える。一方、前記構造式(a1−1)、(a3−1)、又は(a4−1)で表される化合物において、kの値が2の場合に相当する化合物(以下「3核体化合物(α2)」と略記する。)は、分子骨格の剛直性がより高く、芳香環濃度も高いことから、ハロゲン化シアンと反応することによって、硬化物において耐熱性により一層優れるシアン酸エステル化合物を与える。
なお、フェノール樹脂が前記のような構造で表される2核体化合物(α1)や3核体化合物(α2)を含む場合、前記2核体化合物(α1)や前記3核体化合物(α2)の含有率は、その後の反応でも維持され、最終的に得られるシアン酸エステル樹脂において、2核体のシアン酸エステル化合物(β1)と3核体のシアン酸エステル化合物β2)の含有率と、おおよそ同一となる。そのため、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、難燃性及び誘電特性に優れるシアン酸エステル樹脂を得たい場合には、フェノール樹脂に含まれる2核体化合物(α1)や3核体化合物(α2)の含有率が重要となる。
次いで、得られたフェノール化合物又はフェノール樹脂と反応させるハロゲン化シアンは、具体的には、塩化シアンや臭化シアン等が挙げられる。また、この反応は塩基性触媒条件下で行うことにより反応が促進されることから好ましく、ここで用いる塩基性触媒は、例えば、トリエチルアミンやトリメチルアミン等の3級アミン、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。
前記フェノール化合物又はフェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応は、具体的には、シアナト化を効率的に進めるため、フェノール化合物又はフェノール樹脂が含有する水酸基に対しハロゲン化シアンが過剰となる条件で反応させることが好ましく、具体的には、フェノール化合物又はフェノール樹脂が含有する水酸基1モルに対し、ハロゲン化シアンが1.05〜2.5モルとなる割合で反応させることが好ましい。
前記フェノール化合物又はフェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応は、各原料成分を有機溶媒に溶解させて反応に供することが好ましく、ここで用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物溶媒や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒等が挙げられる。
反応終了後は、反応液に適量の水を加えて生成塩を溶解し、水洗を繰り返して系内の生成塩を除去する。次いで、脱水や濾別によりさらに精製し、有機溶媒を蒸留で除去することにより、目的とするシアン酸エステル化合物又は前記シアン酸エステル化合物を含むシアン酸エステル樹脂を得ることが出来る。
なお、本発明のシアン酸エステル化合物は、前記一般式(I)、(II)で表される構造を有するものであれば、いずれの場合であっても、得られる硬化物において、誘電率、誘電正接が低く、耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるという特徴を有する。以下で、前記一般式(I)、(II)で表される構造を有するシアン酸エステル化合物のより好ましい態様について説明する。
前記構造式(I)、(II)で表されるシアン酸エステル化合物は、具体的には、下記構造式(1)〜(4)の何れかで表される分子構造を有するものが挙げられる。
Figure 2016117670
式(1)〜(4)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(1)〜(3)において、ナフタレン環に結合するR2、シアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
前記構造式(1)で表されるシアン酸エステル化合物として、更に具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−9)で表されるシアン酸エステル化合物等が挙げられる。
Figure 2016117670
前記構造式(1−1)〜(1−9)に代表される前記(1)で表されるシアン酸エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)としてパラベンゾキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このときパラベンゾキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、パラベンゾキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。
前記構造式(1−1)〜(1−9)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(1−8)又は(1−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られるシアン酸エステル化合物が好ましい。
前記構造式(1)で表されるシアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂は、更にこれら以外のシアン酸エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高いシアン酸エステル樹脂となることから、下記構造式(1’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。
Figure 2016117670
式(1’)中kは1〜2の整数である。また、ナフタレン環に結合するシアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
この場合、シアン酸エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(1)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で5〜60%の範囲であり、かつ、前記構造式(1’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で10〜70%の範囲であることが好ましい。
なお、本発明において、シアン酸エステル樹脂中の各成分の含有率とは、下記の条件によるGPC測定データから算出される、シアン酸エステル樹脂の全ピーク面積に対する前記各成分のピーク面積の割合である。
<GPC測定条件>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
前記構造式(2)で表されるシアン酸エステル化合物として、更に具体的には、下記構造式(2−1)〜(2−9)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物等が挙げられる。
Figure 2016117670
前記構造式(2−1)〜(2−9)に代表される前記構造式(2)で表されるシアン酸エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(2)で表される化合物を高効率で製造できることから、2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。
前記構造式(2−1)〜(2−9)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(2−8)又は(2−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られるシアン酸エステル化合物が好ましい。
前記構造式(2)で表されるシアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂としては、更にこれら以外のシアン酸エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高いシアン酸エステル樹脂となることから、下記構造式(2’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。
Figure 2016117670
式(2’)中、ナフタレン環に結合するシアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。
この場合、シアン酸エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(2)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で50〜95%の範囲であり、かつ、前記構造式(2’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で1〜50%の範囲であることが好ましい。
前記構造式(3)で表されるシアン酸エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(3−1)〜(3−9)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物等が挙げられる。
Figure 2016117670
前記構造式(3−1)〜(3−9)に代表される前記構造式(3)で表されるシアン酸エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として1,4−ナフトキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき1,4−ナフトキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、1,4−ナフトキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。
前記構造式(3−1)〜(3−9)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(3−8)又は(3−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られるシアン酸エステル化合物が好ましい。
前記構造式(3)で表されるシアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂としては、これら以外のその他のシアン酸エステル化合物を含有していても良い。シアン酸エステル樹脂が前記構造式(3)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物以外のその他のシアン酸エステル化合物を含有する場合、シアン酸エステル樹脂中の前記構造式(3)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率は、GPC測定における面積比率で5〜70%の範囲であることが好ましい。
その他のシアン酸エステル化合物の具体例としては、耐熱性の高いシアン酸エステル樹脂となることから、下記構造式(3’)又は(3”)で表される多官能化合物が好ましい。
Figure 2016117670
式(3’)〜(3”)中、kは1〜2の整数である。式(3”)中のx、yはナフタレン環との結合点を示し、フラン環を形成するように互いに隣接する炭素に結合する。
シアン酸エステル樹脂が前記構造式(3’)で表される多官能化合物を含有する場合、その含有率はGPC測定における面積比率で2〜60%の範囲であることが好ましい。また、シアン酸エステル樹脂が前記構造式(3”)で表される多官能化合物を含有する場合、その含有率はGPC測定における面積比率で2〜40%の範囲であることが好ましい。
前記構造式(4)で表されるシアン酸エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(4−1)〜(4−4)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物等が挙げられる。
Figure 2016117670
前記構造式(4−1)〜(4−9)に代表される前記構造式(4)で表されるシアン酸エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として1,4−ナフトキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシベンゼンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき1,4−ナフトキノンとジヒドロキシベンゼンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、1,4−ナフトキノン1モルに対し、ジヒドロキシベンゼンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。
前記構造式(4−1)〜(4−4)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(4−2)又は(4−3)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として1,3−ジヒドロキシベンゼンを用いて得られるシアン酸エステル化合物が好ましい。
前記構造式(4)で表されるシアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂としては、更にこれら以外のシアン酸エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高いシアン酸エステル樹脂となることから、下記構造式(4’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。
Figure 2016117670
式(4’)中、k、iはそれぞれ1〜2の整数である。
この場合、シアン酸エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(4)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で5〜70%の範囲であり、かつ、前記構造式(4’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で1〜60%の範囲であることが好ましい。
これら例示したシアン酸エステル化合物のうち、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性とのバランスに優れることから前記構造式(1)〜(3)の何れかで表されるシアン酸エステル化合物が好ましく、前記構造式(3)で表されるシアン酸エステル化合物が特に好ましい。
前記本発明のシアン酸エステル化合物を含むシアン酸エステル樹脂は、硬化性に優れることから、シアナト基当量が120〜300g/eqの範囲であることが好ましい。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は、以上詳述したシアン酸エステル化合物又はシアン酸エステル樹脂と、硬化促進剤とを必須成分とするものである。
ここで用いる硬化促進剤は、具体的には、フェノール化合物、アミン化合物、ルイス酸、3級スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。これらの中でも、シアン酸エステル樹脂との相溶性が高く、反応が円滑に進行する点からは、ノニルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、銅、鉛、スズ、マンガン、ニッケル、鉄、亜鉛、コバルト等のカルボン酸塩、チタンテトラ-n-ブトキシドとそのポリマー、銅、ニッケル、コバルト等のペンタジオナート塩、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、オクチル酸亜鉛が好ましい。また、反応速度がより高まることからはエポキシ基含有化合物が特に好ましい。
前記硬化促進剤の使用量は、硬化促進能が十分に発揮されることから、例えば、シアン酸エステル樹脂100質量部に対し、0.001〜1質量部の範囲であることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記硬化促進剤に加え、更に、エポキシ樹脂を含有することにより、有機溶剤への溶解性や成形性がより良好なものとなることから好ましい。
ここで用いるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノール化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ジグリシジルオキシナフタレン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン等の分子構造中にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;リン原子含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、より耐熱性の高い硬化物が得られることから、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ナフタレン骨格を含有するナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂や、結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂や、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック型エポキシ樹脂(ホルムアルデヒドでグリシジル基含有芳香環及びアルコキシ基含有芳香環が連結された化合物)等が好ましい。
前記エポキシ樹脂を用いる場合、その使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物中、10〜50質量%の範囲であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂を用いる場合、更にエポキシ樹脂用硬化剤を併用しても良い。ここで用いるエポキシ樹脂用硬化剤は、例えば、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等のアミン化合物;ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
また、前記エポキシ樹脂を併用する場合、必要に応じてエポキシ樹脂用硬化促進剤を適宜併用しても良い。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のシアン酸エステル樹脂及び前記硬化促進剤に加え、更にビスマレイミド化合物を含有していても良い。ここで用いるビスマレイミド化合物は、1分子中に2個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド等のN−脂肪族マレイミド;N−フェニルマレイミド、N−(P−メチルフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−芳香族マレイミド;4,4’―ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’―ジフェニルスルホンビスマレイミド、m―フェニレンビスマレイミド、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3、5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン等のビスマレイミド化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に硬化物の耐熱性が良好なものとなることから、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3、5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
前記ビスマレイミド化合物を併用する場合、必要に応じて硬化促進剤を適宜併用しても良い。ここで用いる硬化促進剤は、例えば、アミン化合物、フェノール化合物、酸無水物、イミダゾール化合物、有機金属塩などが挙げられる。
以上詳述した本発明の硬化性樹脂組成物は、特にプリント配線基板用ワニスにする場合、前記各成分の他に有機溶剤を配合することが好ましい。ここで用いる有機溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶剤の種類や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、前記硬化性樹脂組成物は、難燃性を発揮させるために、例えばプリント配線板の分野においては、信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO2−MgO−H2O、PbO−B2O3系、ZnO−P2O5−MgO系、P2O5−B2O3−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V2O5−TeO2系、Al2O3−H2O系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填材を配合することができる。前記無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、硬化性樹脂組成物の全体量に対して20質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記した各成分を均一に混合することにより得られ、加熱することにより硬化し容易に硬化物とすることができる。具体的には、前記した各成分を均一に混合することにより得られ、かかる硬化性樹脂組成物を約100℃以上の温度、好ましくは20〜300℃の温度で加熱することにより容易に硬化物とすることができる。このようにして得られる硬化物としては、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、半導体封止材料、回路基板材料、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等が挙げられる。また、これら各種用途のうち、プリント配線板や電子回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、高耐熱性、低熱膨張性、及び溶剤溶解性といった特性からプリント配線板材料やビルドアップ用接着フィルムに用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物から半導体封止材料を調整するには、シアン酸エステル樹脂、硬化促進剤、及び無機充填剤等の配合剤を必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填材としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ、アルミナ,窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。無機充填材の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲であることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上や、線膨張係数の低下を図るためには、70〜95質量部であることがより好ましく、80〜95質量部であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物から回路基板を製造するには、硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを得、これを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型するとよい。具体的には、例えば硬質プリント配線基板を製造するには、前記有機溶剤を含むワニス状の硬化性樹脂組成物を、更に有機溶剤を配合してワニス化し、これを補強基材に含浸し、半硬化させることによって製造される本発明のプリプレグを得、これに銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性樹脂組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この際、用いる硬化性樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、前記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とする回路基板を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物からフレキシルブル配線基板を製造するには、前記シアン酸エステル樹脂、硬化促進剤、及び有機溶剤を配合して、リバースロールコータ、コンマコータ等の塗布機を用いて、電気絶縁性フィルムに塗布する。次いで、加熱機を用いて60〜170℃で1〜15分間加熱し、溶媒を揮発させて、接着剤組成物をB−ステージ化する。次いで、加熱ロール等を用いて、接着剤に金属箔を熱圧着する。その際の圧着圧力は2〜200N/cm2、圧着温度は40〜200℃が好ましい。それで十分な接着性能が得られれば、ここで終えても構わないが、完全硬化が必要な場合は、さらに100〜200℃で1〜24時間の条件で後硬化させることが好ましい。最終的に硬化させた後の接着剤組成物膜の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、微細導電性粒子を該硬化性樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ用接着フィルムを製造する方法は、例えば、支持フィルムの上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布したのち、硬化性樹脂組成物を乾燥させることにより、支持フィルムの上に樹脂組成物層を形成して多層プリント配線板用の接着フィルムとする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物をビルドアップ用接着フィルムに用いる場合、該フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう前記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
前記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
前記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
次に、前記のようして得られた接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、GPC、IRは以下の条件にて測定した。
GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
<IRの測定装置>
IRの測定装置は以下の装置を使用した。
装置: 日本分光(株)製「FT/IR−550」
実施例1 シアン酸エステル樹脂(A−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、1,4−ナフトキノン158g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、メチルイソブチルケトン318gを仕込み、撹拌しながら室温から120℃まで昇温した。120℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、水200gで3回洗浄した。その後、150℃まで加熱して減圧下乾燥し、フェノール樹脂(A)300gを得た。得られたフェノール樹脂(A)のGPCチャートを図1に示す。フェノール樹脂(A)の水酸基当量は137g/eqであった。また、GPCチャートから算出され、下記構造式(a)で表されるジナフト[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は55.3%、下記構造式(b)で表されkの値が1である2核体化合物に相当する化合物に相当する成分の含有量は9.7%、下記構造式(c)で表される3核体化合物に相当する成分の含有量は22.0%であった。
Figure 2016117670
続いて、温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けた四つ口フラスコに窒素ガスを流しながら、前記で得られたフェノール樹脂(A)68.5g(0.5モル)と臭化シアン106g(1.0モル)を仕込みアセトン1000gに溶解させた後、−3℃に冷却した。次に、トリエチルアミン111g(1.1モル)を滴下ロートに仕込み、攪拌しながらフラスコ内温が10℃以上にならない様な速度で滴下した。滴下終了後、2時間10℃以下の温度下で攪拌し、生じた沈澱を濾過により除いた後、大量の水に注ぎ再沈した。これを塩化メチレンで抽出し、水洗することによりシアン酸エステル樹脂を80g得た。このシアン酸エステル樹脂の官能基当量は仕込み比より163g/eqであった。また、この樹脂はIRスペクトルにおいて、2264cm−1(シアナト基)の吸収を示し、かつ水酸基の吸収は示さなかったことから、目的のシアン酸エステル樹脂(A−1)であることが確認された。
実施例2 シアン酸エステル樹脂(B−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、1,4−ナフトキノン158g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、イソプロピルアルコール333gを仕込み、撹拌しながら室温から80℃まで昇温した。80℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、水200gで3回洗浄した。その後、150℃まで加熱して減圧下乾燥し、フェノール樹脂(B)295gを得た。得られたフェノール樹脂(B)のGPCチャートを図2に示す。フェノール樹脂(B)の水酸基当量は119g/eqであった。また、GPCチャートから算出され、前記構造式(a)で表されるジナフト[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は50.2%、前記構造式(b)で表されkの値が1である2核体化合物に相当する化合物に相当する成分の含有量は14.8%、前記構造式(c)で表される3核体化合物に相当する成分の含有量は24.2%であった。
続いて、温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けた四つ口フラスコに窒素ガスを流しながら、前記で得られたフェノール樹脂(B)59.5g(0.5モル)と臭化シアン106g(1.0モル)を仕込みアセトン1000gに溶解させた後、−3℃に冷却した。次に、トリエチルアミン111g(1.1モル)を滴下ロートに仕込み、攪拌しながらフラスコ内温が10℃以上にならない様な速度で滴下した。滴下終了後、2時間10℃以下の温度下で攪拌し、生じた沈澱を濾過により除いた後、大量の水に注ぎ再沈した。これを塩化メチレンで抽出し、水洗することによりシアン酸エステル樹脂を70g得た。このシアン酸エステル樹脂の官能基当量は仕込み比より144g/eqであった。また、この樹脂はIRスペクトルにおいて、2264cm−1(シアナト基)の吸収を示し、かつ水酸基の吸収は示さなかったことから、目的のシアン酸エステル樹脂(B−1)であることが確認された。
実施例3 シアン酸エステル樹脂(C−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノン150g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、メチルイソブチルケトン310gを仕込み、撹拌しながら室温から120℃まで昇温した。120℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、析出した結晶を水200gで3回洗浄後、減圧下乾燥し、フェノール樹脂(C)290gを得た。得られたフェノール樹脂(C)のGPCチャートを図3に示す。フェノール樹脂(C)の水酸基当量は148g/eqであった。また、GPCチャートから算出され、前記構造式(2)で表されるジアリーレン[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は100%であった。
続いて、温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けた四つ口フラスコに窒素ガスを流しながら、前記で得られたフェノール樹脂(C)74g(0.5モル)と臭化シアン106g(1.0モル)を仕込みアセトン1000gに溶解させた後、−3℃に冷却した。次に、トリエチルアミン111g(1.1モル)を滴下ロートに仕込み、攪拌しながらフラスコ内温が10℃以上にならない様な速度で滴下した。滴下終了後、2時間10℃以下の温度下で攪拌し、生じた沈澱を濾過により除いた後、大量の水に注ぎ再沈した。これを塩化メチレンで抽出し、水洗することによりシアン酸エステル樹脂を85g得た。このシアン酸エステル樹脂の官能基当量は仕込み比より173g/eqであった。また、この樹脂はIRスペクトルにおいて、2264cm−1(シアナト基)の吸収を示し、かつ水酸基の吸収は示さなかったことから、目的のシアン酸エステル樹脂(C−1)であることが確認された。
実施例4〜6、比較例1
シアン酸エステル樹脂として、実施例1〜3で得られたシアン酸エステル樹脂(A−1)、(B−1)、(C−1)およびLONZA製BA−200(ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂)、硬化促進剤としてオクチル酸亜鉛を用いて表1に示した組成で配合し、プレスで200℃の温度で10分間成型した後、200℃の温度で5時間後硬化して硬化物(試験片1)を作製した。前記で得られた試験片1の耐熱性、耐熱分解性、難燃性、誘電率、誘電正接を下記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
<耐熱性の測定>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、以下の温度条件で2回、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度(Tg)を試験片1について測定した。
<耐熱分解性の測定>
試験片1を厚さ0.8mmの硬化物を幅5mm、長さ54mmのサイズに切り出したものを250℃で72時間保持した後、初期質量と比較した際の質量減少率を測定した。
<難燃性の測定>
UL−94試験法に準拠し、試験片1を5本用いて難燃性を測定した。
<誘電率及び誘電正接の測定>
JIS−C−6481に準拠し、アジレント・テクノロジー株式会社製インピーダンス・マテリアル・アナライザ「HP4291B」により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の試験片1の1GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
Figure 2016117670

Claims (12)

  1. ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有し、かつ、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にシアナト基を有するシアン酸エステル化合物。
  2. 前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基が、フラン環を形成する酸素原子が結合する炭素原子のパラ位に前記シアナト基を有する請求項1に記載のシアン酸エステル化合物。
  3. 下記構造式(I)又は下記構造式(II)で表される分子構造を有する請求項2に記載のシアン酸エステル化合物。
    Figure 2016117670
    [式(I)、(II)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。Arは下記構造式(i)で表される構造部位であり、Arは下記構造式(i)又は(ii)で表される構造部位である。]
    Figure 2016117670
    [式(i)、(ii)中、Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、Rは同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(i)において、ナフタレン環に結合するR、シアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。]
  4. 下記構造式(1)〜(4)の何れかで表される分子構造を有する請求項3記載のシアン酸エステル化合物。
    Figure 2016117670
    [式(1)〜(4)中、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、Rは同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(1)〜(3)において、ナフタレン環に結合するR、シアナト基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。]
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載のシアン酸エステル化合物を含有するシアン酸エステル樹脂。
  6. 分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを酸触媒の存在下で反応させてフェノール化合物を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物とハロゲン化シアンと反応させる工程とを備え、前記キノン構造を有する化合物(Q)又は前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は分子内にナフタレン環を有するものであるシアン酸エステル化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜4の何れか一つに記載のシアン酸エステル化合物又は請求項5の何れかに記載のシアン酸エステル樹脂と、硬化促進剤とを必須成分とする硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  9. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥してなるビルドアップ用接着フィルム。
  10. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物と無機充填材とを含有し、前記無機充填材の含有量が硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲にある半導体封止材料。
  11. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物をワニス化したものを補強基材に含浸してなる含浸基材を半硬化して得られるプリプレグ。
  12. 請求項7記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型してなる回路基板。
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