JP2016117033A - 膜分離処理システムおよび膜分離処理方法 - Google Patents

膜分離処理システムおよび膜分離処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水に対しても、有機系の分離膜の劣化を抑制して膜分離処理が可能となる、膜分離処理システムを提供する。【解決手段】酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、有機系分離膜を用いて膜分離処理を行う膜分離装置12と、被処理水と、有機系分離膜を逆洗するための逆洗水とのうち少なくとも1つに薬剤を供給する薬剤供給手段と、を備え、前記薬剤が、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む膜分離処理システムである。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水の膜分離処理を行う膜分離処理システムおよび膜分離処理方法に関する。
分離膜を有する膜モジュールを用いて被処理水を長期的に膜分離すると、被処理水に含まれる微生物等が繁殖することによってスライムが生成することがある。そのため、次亜塩素酸等の殺菌剤を原水中もしくは逆洗水中に添加することが行われる。
銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム等の酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)製やポリエーテルスルホン(PES)製等の有機系のUF膜やMF膜等に通水して不溶解性成分を除去する方法において、次亜塩素酸等の塩素系殺菌剤を添加して処理を行うと、有機系の分離膜の伸度および強度が劣化し、糸切れなどを起こすことがあった。また、有機系のRO膜においても、次亜塩素酸の酸化作用によって分離膜が劣化し、阻止率の低下などを起こすことがあった。
これは、金属が触媒として働き、塩素による酸化力を強化することによって、有機系の分離膜の劣化を促進していると考えられる。そのため、現状では被処理水がこれの金属を含む場合は膜分離処理を採用できず、砂ろ過等の方法を用いて処理を行わざるを得ない。
特開2010−201313号公報
本発明の目的は、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水に対しても、有機系の分離膜の劣化を抑制して膜分離処理が可能となる、膜分離処理システムおよび膜分離処理方法を提供することにある。
本発明は、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、有機系分離膜を用いて膜分離処理を行う膜分離処理手段と、前記被処理水と、前記有機系分離膜を逆洗するための逆洗水とのうち少なくとも1つに薬剤を供給する薬剤供給手段と、を備え、前記薬剤が、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む膜分離処理システムである。
前記膜分離処理システムにおいて、前記酸化性の触媒作用を有する金属が、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルおよびバナジウムのうち少なくとも1種以上の金属であることが好ましい。
前記膜分離処理システムにおいて、前記被処理水中の金属の濃度が、0.1〜10mg/Lの範囲であることが好ましい。
本発明は、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、有機系分離膜を用いて膜分離処理を行う膜分離処理工程と、前記被処理水と、前記有機系分離膜を逆洗するための逆洗水とのうち少なくとも1つに薬剤を供給する薬剤供給工程と、を含み、前記薬剤が、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む膜分離処理方法である。
前記膜分離処理方法において、前記酸化性の触媒作用を有する金属、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルおよびバナジウムのうち少なくとも1種以上の金属であることが好ましい。
前記膜分離処理方法において、前記被処理水中の金属の濃度が、0.1〜10mg/Lの範囲であることが好ましい。
本発明では、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水に対しても、有機系の分離膜の劣化を抑制して膜分離処理が可能となる、膜分離処理システムおよび膜分離処理方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る膜分離処理システムの一例を示す概略構成図である。 実施例および比較例における、引っ張り試験の結果(CT値(×10000mg/L・h)に対する分離膜の強度(N/本))を示す図である。 実施例および比較例における、引っ張り試験の結果(CT値(×10000mg/L・h)に対する分離膜の伸度(%))を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<膜分離処理システムおよび膜分離処理方法>
本発明の実施形態に係る膜分離処理システムの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。膜分離処理システム1は、膜分離処理手段として、分離膜を備える膜分離装置12を備える。膜分離処理システム1は、原水槽10と、透過水槽14とを備えてもよい。
図1の膜分離処理システム1において、原水槽10の入口には原水配管20が接続され、原水槽10の出口と膜分離装置12の入口は、ポンプ16を介して原水供給配管22により接続されている。膜分離装置12の透過水出口には透過水配管24が接続され、濃縮水出口には濃縮水配管28が接続されている。透過水配管24の途中と透過水槽14とは、透過水配管26により接続されている。透過水槽14の下部出口と膜分離装置12の二次側は、ポンプ18を介して逆洗水配管30により接続されている。原水供給配管22におけるポンプ16の下流側には、薬剤供給手段として薬剤供給配管32が接続されている。逆洗水配管30におけるポンプ18の下流側には、薬剤供給手段として薬剤供給配管34が接続されている。薬剤供給手段としての薬剤供給配管32,34のうち少なくとも1つを備えればよい。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システム1の動作について説明する。
酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水である原水は原水配管20を通して、必要に応じて原水槽10に貯留された後、ポンプ16により原水供給配管22を通して膜分離装置12に供給される。ここで、殺菌用の薬剤が薬剤供給配管32を通して原水供給配管22のポンプ16の下流側において原水に供給される(薬剤供給工程)。膜分離装置12において、分離膜により被処理水から不溶解性成分が除去される(膜分離処理工程)。
膜分離処理で得られた濃縮水は濃縮水配管28を通して排出される。透過水は、透過水配管24を通して排出され、透過水の少なくとも一部は、透過水配管24から分岐した透過水配管26を通して透過水槽14に貯留される。
膜分離装置12の洗浄が必要になった場合、透過水槽14から透過水の少なくとも一部が逆洗水としてポンプ18により逆洗水配管30を通して膜分離装置12の二次側から供給され、逆洗が行われる(逆洗工程)。逆洗排水は、濃縮水配管28を通して膜分離装置12の一次側から排出される。ここで、殺菌用の薬剤が薬剤供給配管34を通して逆洗水配管30のポンプ18の下流側において逆洗水に供給されてもよい(薬剤供給工程)。殺菌用の薬剤は、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つに供給されればよい。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、膜分離装置12の閉塞防止やスライム生成抑制用等の薬剤として、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つに、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む薬剤、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含む薬剤を供給する。
すなわち、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、上記薬剤として、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」と、を含む薬剤を使用する。これにより、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つ中で、次亜臭素酸安定化組成物が生成すると考えられる。
また、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、上記薬剤として、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を供給する。
具体的には本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、例えば、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つ中に、「臭素」、「塩化臭素」または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物」と、「スルファミン酸化合物」と、を供給する。
また、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、例えば、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つ中に、「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、「塩化臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を供給する。
例えば、原水槽10または原水供給配管22において、原水に「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを、またはこれらの反応生成物を薬注ポンプ等により注入すればよい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とは別々に添加してもよく、または、原液同士で混合させてから添加してもよい。
または、逆洗水配管30において、逆洗水に「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを、またはこれらの反応生成物を薬注ポンプ等により注入すればよい。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムによれば、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つ中に「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを存在させる、またはこれらの反応生成物を存在させることで、膜分離装置12の閉塞防止やスライム生成を抑制することができる。酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水に対しても、分離膜の劣化を抑制して膜分離処理が可能となり、砂ろ過等に比べてシステムを簡素化できる。
酸化性の触媒作用を有する金属としては、遷移金属であって、他の化学反応を促進させる作用を有するものであればよく、特に制限はないが、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルおよびバナジウムのうち少なくとも1種以上の金属である場合に、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムが好適に適用できる。
「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比は、1以上であることが好ましく、1以上2以下の範囲であることがより好ましい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比が1未満であると、有効成分が十分安定化しない可能性があり、2を超えると、製造コストが増加する場合がある。
被処理水中の殺菌剤の添加量は、有効ハロゲン濃度として有効塩素濃度換算で、0.01〜10mg/Lであることが好ましい。0.01mg/L未満であると、十分なスライム抑制効果を得ることができない場合があり、10mg/Lより多いと、配管等の金属材料の腐食を引き起こす可能性がある。
臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、次亜臭素酸、臭素酸、臭素酸塩等が挙げられる。
これらのうち、臭素を用いた「臭素とスルファミン酸化合物」または「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」の製剤は、「次亜塩素酸と臭素化合物とスルファミン酸」の製剤および「塩化臭素とスルファミン酸」の製剤等に比べて、塩化物イオンが少なく、配管等の金属材料の腐食を引き起こす可能性が低いため、より好ましい。
すなわち、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムでは、原水および逆洗水のうちの少なくとも1つ中に、臭素と、スルファミン酸化合物とを存在させる、または臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることが好ましい。
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウム及び臭化水素酸等が挙げられる。これらのうち、製剤コスト等の点から、臭化ナトリウムが好ましい。
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩等が挙げられる。これらのうち、塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩素系酸化剤としては、取り扱い性等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(1)で示される化合物である。
NSOH (1)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。)
スルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N−メチルスルファミン酸、N−エチルスルファミン酸、N−プロピルスルファミン酸、N−イソプロピルスルファミン酸、N−ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N−ジメチルスルファミン酸、N,N−ジエチルスルファミン酸、N,N−ジプロピルスルファミン酸、N,N−ジブチルスルファミン酸、N−メチル−N−エチルスルファミン酸、N−メチル−N−プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N−フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6〜10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、スルファミン酸(アミド硫酸)を用いるのが好ましい。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムにおいて、さらにアルカリを存在させてもよい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ等が挙げられる。低温時の製品安定性等の点から、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとを併用してもよい。また、アルカリは、固形でなく、水溶液として用いてもよい。
膜分離装置12の分離膜としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、ポリエーテルスルホン(PES)製、ピペラジンアミド製、酢酸セルロース製、ポリアミド製等の有機系の逆浸透膜(RO膜)ナノろ過膜(NF膜)、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等が挙げられる。本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムは、特に、ポリエーテルスルホン(PES)製の分離膜に好適に適用できる。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムは、特に、逆浸透膜(RO膜)として昨今主流であるポリアミド系高分子膜に好適に適用することができる。ポリアミド系高分子膜は、酸化剤に対する耐性が比較的低く、遊離塩素等をポリアミド系高分子膜に連続的に接触させると、膜性能の著しい低下が起こる。しかしながら、本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムではポリアミド高分子膜においても、このような著しい膜性能の低下はほとんど起こらない。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムにおいて、被処理水である原水のpHが5〜14の範囲であることが好ましく、6.5〜12の範囲であることがより好ましい。原水のpHが5未満であると、膜の劣化が促進されたり、透過水量が低下する場合がある。また、原水のpHが12を超えると、膜やハウジングが劣化する場合がある。
膜分離装置12において、原水のpH5以上でスケールが発生する場合には、スケール抑制のために分散剤を次亜臭素酸安定化組成物と併用してもよい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ホスホン酸等が挙げられる。分散剤の給水(前膜分離処理水)への添加量は、例えば、濃縮水中の濃度として0.1〜1,000mg/Lの範囲である。
また、分散剤を使用せずにスケールの発生を抑制するためには、例えば、濃縮水中のシリカ濃度を溶解度以下に、カルシウムスケールの指標であるランゲリア指数を0以下になるように、膜分離装置12の回収率等の運転条件を調整することが挙げられる。
本実施形態に係る膜分離処理方法および膜分離処理システムは、例えば、半導体工場排水、液晶工場排水等の有機物を含む被処理水を処理対象とする。被処理水中の金属の濃度は、例えば、0.1〜10mg/Lの範囲である。
<膜分離処理用組成物>
本実施形態に係る膜分離処理用組成物は、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
また、本実施形態に係る膜分離処理用組成物は、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
臭素系酸化剤、臭素化合物、塩素系酸化剤およびスルファミン酸化合物については、上述した通りである。
本実施形態に係る膜分離処理用組成物としては、配管等の金属材料に対する腐食性が低く、臭素酸の副生が少ない等の点から、臭素と、スルファミン酸化合物とを含有するもの、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有するものが好ましい。
本実施形態に係る膜分離処理用組成物は、クロロスルファミン酸等の結合塩素系スライム抑制剤と比較すると、酸化力が高く、スライム抑制力、スライム剥離力が著しく高い。
本実施形態に係る膜分離処理用組成物は、次亜塩素酸等の酸化剤とは異なり、逆浸透膜をほとんど劣化させない。また、次亜塩素酸等と同様に現場で濃度を測定することができるため、より正確な濃度管理が可能である。
組成物のpHは、例えば、13.0超であり、13.2超であることがより好ましい。組成物のpHが13.0以下であると組成物中の有効ハロゲンが不安定になる場合がある。
膜分離処理用組成物中の臭素酸濃度は、5mg/kg未満であることが好ましい。膜分離処理用組成物中の臭素酸濃度が5mg/kg以上であると、処理水の水質が悪化する場合がある。
<膜分離処理用組成物の製造方法>
本実施形態に係る膜分離処理用組成物は、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを混合する、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを混合することにより得られ、さらにアルカリを混合してもよい。
臭素と、スルファミン酸化合物とを含有する膜分離処理用組成物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有する膜分離処理用組成物の製造方法としては、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程を含むことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で添加して反応させることにより、組成物中の臭素酸イオン濃度がより低くなり、好ましい。
用いる不活性ガスとしては限定されないが、製造等の面から室素およびアルゴンのうち少なくとも1つが好ましく、特に製造コスト等の面から窒素が好ましい。
臭素の添加の際の反応器内の酸素濃度は6%以下が好ましいが、4%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。臭素の反応の際の反応器内の酸素濃度が6%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。
臭素の添加率は、組成物全体の量に対して25重量%以下であることが好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。臭素の添加率が組成物全体の量に対して25重量%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。1重量%未満であると、殺菌力が劣る場合がある。
臭素添加の際の反応温度は、0℃以上25℃以下の範囲に制御することが好ましいが、製造コスト等の面から、0℃以上15℃以下の範囲に制御することがより好ましい。臭素添加の際の反応温度が25℃を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合があり、0℃未満であると、凍結する場合がある。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[安定化次亜臭素酸組成物の調製]
窒素雰囲気下で、液体臭素:16.9重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.94重量%、水:残分を混合して、組成物を調製した。組成物のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7.5重量%であった。安定化次亜臭素酸組成物の詳細な調製方法は以下の通りである。
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加え混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0〜15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の組成物を得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO−02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
[膜の強度および伸度の測定]
UF膜(東洋紡株式会社製、UF膜(PES製))の単糸を、以下の溶液に25℃で27〜188時間浸漬した後、引っ張り試験機(ミネベア株式会社製、TCM−1kNB)を用いて、膜の強度(N/本)および伸度(%)を測定した。それぞれの結果を図2,3に示す。
(試験条件)
溶液1 次亜塩素酸水溶液 有効ハロゲン濃度:1000mg/L
溶液2 安定化次亜臭素酸組成物 有効ハロゲン濃度:1000mg/L
溶液3 Cu:0.1mg/L含有次亜塩素酸水溶液 有効ハロゲン濃度:1000mg/L
溶液4 Cu:0.1mg/L含有安定化次亜臭素酸組成物 有効ハロゲン濃度:1000mg/L
有効ハロゲン濃度は、残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定)して測定し、有効塩素濃度換算したものである。銅(Cu)は、試薬の硫酸銅を用いて調製した。
安定化次亜臭素酸に浸漬した膜は、銅の有無に関わらず強度および伸度の低下率が小さかった。これに対して、次亜塩素酸および次亜塩素酸+銅に浸漬した膜は、強度および伸度が低下した。
このように、酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水に対しても、分離膜の劣化を抑制して膜分離処理が可能となることが示唆された。
1 膜分離処理システム、10 原水槽、12 膜分離装置、14 透過水槽、16,18 ポンプ、20 原水配管、22 原水供給配管、24,26 透過水配管、28 濃縮水配管、30 逆洗水配管、32,34 薬剤供給配管。

Claims (6)

  1. 酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、有機系分離膜を用いて膜分離処理を行う膜分離処理手段と、
    前記被処理水と、前記有機系分離膜を逆洗するための逆洗水とのうち少なくとも1つに薬剤を供給する薬剤供給手段と、
    を備え、
    前記薬剤が、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含むことを特徴とする膜分離処理システム。
  2. 請求項1に記載の膜分離処理システムであって、
    前記酸化性の触媒作用を有する金属が、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルおよびバナジウムのうち少なくとも1種以上の金属であることを特徴とする膜分離処理システム。
  3. 請求項1または2に記載の膜分離処理システムであって、
    前記被処理水中の金属の濃度が、0.1〜10mg/Lの範囲であることを特徴とする膜分離処理システム。
  4. 酸化性の触媒作用を有する金属を含む被処理水を、有機系分離膜を用いて膜分離処理を行う膜分離処理工程と、
    前記被処理水と、前記有機系分離膜を逆洗するための逆洗水とのうち少なくとも1つに薬剤を供給する薬剤供給工程と、
    を含み、
    前記薬剤が、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む、もしくは、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物との反応生成物を含むことを特徴とする膜分離処理方法。
  5. 請求項4に記載の膜分離処理方法であって、
    前記酸化性の触媒作用を有する金属が、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケルおよびバナジウムのうち少なくとも1種以上の金属であることを特徴とする膜分離処理方法。
  6. 請求項4または5に記載の膜分離処理方法であって、
    前記被処理水中の金属の濃度が、0.1〜10mg/Lの範囲であることを特徴とする膜分離処理方法。
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