JP2016114916A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

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知子 鶴田
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Abstract

【課題】 表示品位を落とすことなく、応答性に優れたエレクトロクロミック素子を提供すること。【解決手段】 少なくとも一方の電極層とエレクトロクロミック層の間に導電層を具備し、エレクトロクロミック層との界面に凹凸形状を有することで、接触界面の表面積を広くして配線抵抗を低くし表示切替速度(応答速度)を速めるとともに、凹凸形状の大きさを好適化することで光透過性の低下を抑え、反射率(明度)及びコントラストの高いエレクトロクロミック素子とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、表示デバイスや調光材料等として使用されるエレクトロクロミック素子に関する。
近年、画像表示装置としてバックライトを使用した液晶表示装置が主流であるが、目にかかる負担が大きく、長時間見続ける用途には適していない。
目に対する負担が小さい表示装置として、一対の電極間に電気泳動表示層を備える反射型表示装置が提案されている(特許文献1参照)。この電気泳動式表示装置は、印刷された紙面と同様に、反射光によって文字や画像を表示するものであるため、目に対する負担が小さく、画面を長時間見続ける作業に適している。
しかしながら、電気泳動式表示装置は、構造上、電気泳動表示層上に、赤、緑、青の3原色の画素からなるカラーフィルタを設けて多色表示するため、カラーフィルタ自身が光を吸収し、表示素子の反射率が低下し、それに伴ってコントラストが低下する。
一方、上記のようなカラーフィルタを設けず、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミズム現象を用いる方式がある。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色を利用した表示素子が、エレクトロクロミック素子である。このエレクトロクロミック素子については、反射型の表示素子であること、メモリー効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示素子技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
しかしながら、液晶表示装置と比較して、エレクトロクロミック素子は流れる電流が大きいため、電極の配線抵抗が大きいと応答速度が遅くなったり、端子からの距離によって表示速度にバラツキが生じたり、配線抵抗部分でのエネルギーロスにより消費電力が増大したりする等の問題があった。
この問題の解決に向け、それぞれ電極層(上部電極層、下部電極層)を形成した2つの基板(上部基板、下部基板)が、エレクトロクロミック層と電解質層を挟んで対向するように配置された従来のエレクトロクロミック素子に対して、上部基板と上部電極層、または、上部電極層とエレクトロクロミック層との間に低抵抗配線層を具備することで、配線抵抗を小さくし、応答速度を速める構成が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この構成の場合、低抵抗配線層は金属箔膜または合金薄膜であるために、膜厚の増加に対する透過率低下の割合が大きく、表示素子の反射率(明度)が低下し、それに伴ってコントラストが低下するという問題がある。
特公昭50−015115号公報 特許第4412529号
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、応答速度を速めるとともに、光透過性の低下を抑え、反射率(明度)及びコントラストの高いエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、基材上に少なくとも電極層とエレクトロクロミック層とを順に積層して形成された2つの基板が、電解質層を挟んで対向するように配置されたエレクトロクロミック素子において、少なくとも一方の電極層とエレクトロクロミック層の間に、エレクトロクロミック層との界面に凹凸形状を有する導電層を具備することを特徴とする、エレクトロクロミック素子としたものである。
請求項2に記載の本発明は、前記凹凸形状を有する導電層の凸部の最大ピークまでの膜厚をt、該導電層に接する前記凹凸形状を有するエレクトロクロミック層の凸部の最大ピークまでの膜厚をtecとするとき、該導電層の凹凸形状の算術平均粗さRaは次式
Figure 2016114916
の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
請求項3に記載の本発明は、前記凹凸形状を有する導電層の、凸部の最大ピークまでの膜厚tが10nm≦t≦1000nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
請求項4に記載の本発明は、前記凹凸形状を有するエレクトロクロミック層の、凸部の最大ピークまでの膜厚tecが100nm≦tec≦2000nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
請求項5に記載の本発明は、前記凹凸形状を有する導電層は、波長380〜780nmの光に対する透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
請求項6に記載の本発明は、前記凹凸形状を有する導電層は、少なくとも導電粒子及びバインダー材料から構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
請求項7に記載の本発明は、前記凹凸形状を有する導電層中に導電粒子が含まれる割合は、該導電層全体の70体積%以上であることを特徴とする、請求項6に記載のエレクトロクロミック素子としたものである。
本発明によれば、電極層とエレクトロクロミック層の間に、エレクトロクロミック層との界面に凹凸形状を有する導電層を具備することで、接触界面の表面積を広くして配線抵抗を低くし応答速度を速めるとともに、凹凸形状の大きさを好適化することで光透過性の低下を抑え、反射率(明度)及びコントラストの高いエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子の概略断面図。 本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子の導電層/エレクトロクロミック層界面の概略断面図。 従来構造のエレクトロクロミック素子の概略断面図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、はじめに本発明のエレクトロクロミック素子の構造とそれらを構成する材料、及び作製方法について説明し、その後本発明で規定する数値範囲の意味について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子の概略断面図である。図1に示すように、本発明のエレクトロクロミック素子では、電極層とエレクトロクロミック層とを順に積層して形成された2枚の積層基板10、20が、電解質層を挟んで対向するように配置され、少なくとも一方の(図1の場合は2枚の積層基板ともに)電極層とエレクトロクロミック層の間に導電層を具備しており、エレクトロクロミック層と導電層の界面は凹凸形状となっている。
尚、電極層は電圧を印加するために2つの積層基板ともに必要であり、エレクトロクロミック層も一方のエレクトロクロミック層で酸化反応が進行している場合は、もう一方のエレクトロクロミック層では還元反応が進行し、そこで電荷のやり取りを行って酸化還元反応が進行するため、2枚の積層基板ともに必要である。また、導電層は一方の積層基板にのみ存在する形態もありうるが、応答速度を上げるために2枚の積層基板ともに存在するほうが好ましい。
また、図1の構造は上下対称であるため、「裏面側」から見ることもできるが、「表示面側」の発色/消色反転表示となるのみであるため、ここでは、「表示面」側からのみ見ることとし、第1の積層基板10側を表示面側、第2の積層基板20側を裏面側とする。
導電層に凹凸形状を形成するには、導電層を成膜後に、導電層表面にリソグラフィ、エッチンング、インプリント、レーザ加工等の後加工処理を行う方法がある。あるいは、何らかの湿式成膜法や自己整合法などで、導電層の成膜時点で凹凸形状を形成する方法も考えられる。前者の後加工処理を行う方法は一般に工程数が多くなり、設備も大がかりになるという欠点がある。
以下の一実施形態の説明では、凹凸形状を有する導電層を形成する方法として、導電粒子とバインダー材料を使って、凹凸形状を有する導電層を形成する場合について説明する。
図1に示すエレクトロクロミック素子は、第1の基材11の上に第1の電極層12、第1の導電層13、第1のエレクトロクロミック層14、電解質層30、接着層31、第2のエレクトロクロミック層24、第2の導電層23、第2の電極層22、及び第2の基材21を、順に積層した構造をとる。図2には、第1の導電層13と第1のエレクトロクロミック層14の界面を示し、導電粒子33とバインダー材料34から形成される第1の導電層13上に、第1のエレクトロクロミック層14が形成されている。尚、第2の導電層23と第2のエレクトロクロミック層24についても同様である。
第1の基材11及び第2の基材21は、少なくとも一方が光透過性基材であれば特に限定されるものではないが、ガラス基板、高分子フィルム等の基材が用いられる。高分子フィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース (TAC) 、ポリエチレンテレフタレート (PET) 、ポリエチレンナフタレート (PEN) 、シンジオタクチックポリスチレン (SPS) 、ポリフェニレンスルフィド (PPS) 、ポリカーボネート (PC) 、ポリアリレート (PAr) 、ポリスルフォン (PSF) 、ポリエーテルスルフォン (PES) 、ポリエーテルイミド (PEI) 、環状ポリオレフィンなどが挙げられる。
第1の電極層12及び第2の電極層22は、導電性を有する材料であることの他に、前記光透過性基材と接する電極層は光透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明性導電材料が用いられる。透明性導電材料としては、ITO等の酸化インジウム系、酸化スズ系、酸化亜鉛系のような透明性を有する導電性酸化物、またはカーボンナノチューブやチオフェン系化合物などを用いることができる。電極層の形成には、蒸着法、スパッタ法、CVD法などの乾式成膜法や、塗液を用いた湿式成膜法などの従来技術を用いることができる。
エレクトロクロミック層と接する第1の導電層13及び第2の導電層23の表面は、凹凸形状を有するが、この凹凸は導電粒子33の粒子形状により実現され、凹凸の大きさは、導電粒子33の粒径と、導電層中の導電粒子33の濃度(体積%)に依存する。
導電粒子33とバインダー材料34からなる導電層の形成方法としては、特に限定されることはないが、導電粒子33をバインダー材料34及び溶媒と混合して塗料とし、スクリーン印刷、スピンコート、ダイコーティング、コンマコート、グラビアコートなどの汎用の塗布技術を用いることができる。
導電層を形成する塗料に用いる溶媒としては、分散可能であれば特に限定されることはなく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、及びテルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、及びプロピレングリコールプロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、及びエトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、及びドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、及びトリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、及び、シクロオクタン等の環状アルカン等のような常温で液体の溶媒を適宜選択して使用すればよい。
導電粒子33としては、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、TO(酸化スズ)、PTO(リンドープ酸化スズ)等の透明性を有する導電性酸化物粒子を用いることが好ましい。
バインダー材料34は、導電粒子33を固着するために用いるものであり、ポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体などの天然系樹脂などが挙げられる。
第1のエレクトロクロミック層14及び第2のエレクトロクロミック層24に含まれるエレクトロクロミック化合物の材料としては、酸化還元により色の変化を起こす材料が用いられる。このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物を用いることができる。
具体的に、ポリマー系及び色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン
系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
一方、金属錯体系及び金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物が用いられる。
エレクトロクロミック層の形成方法としては、特に限定されることはないが、例えばエレクトロクロミック材料35を水に分散して塗布し、焼結して形成することができる。
電解質層30の材料としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的に、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg (ClO) 、Mg (BF) 等を用いることができる。また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。
また、電解質層30に分散させる反射材料として、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セシウム、酸化イットリウム、シリカなどの白色反射材料を用いることにより、一方(表示面側)のエレクトロクロミック層の発色のみが表示され、他方のエレクトロクロミック層の発色状態を見えなくすることができる。この場合、表示面側のエレクトロクロミック層が消色状態の時は、電解質層30の白色の反射光が確認できることになる。
電解質層30の形成方法としては、スクリーン印刷、スピンコート、ダイコート等の一般的な塗布方法で塗布し、容易に形成することができるが、これに限られるものではない。
接着層31の材料としては、公知の接着性樹脂を使用することができるが、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂ポリエチレン、ポリプロピレンなどの酸変性物からなる熱可塑性接着性樹脂などを使用することができる。接着層31には、必要に応じてギャップ制御のためにガラスや樹脂からなる球状、棒状などのスペーサーを混入することができる。
接着層31の形成方法としては、材料やパターンに応じて、スピンコート、スプレーコート、フレキソ、グラビア、マイクログラビア、凹版オフセットなどのコーティング法、印刷法や、インクジェット法、ディスペンサ塗布、ノズル吐出、転写法、ラミネート法などを用いることができる。スピンコートやスプレーコートはマスクをして塗布することでパターン塗布することができる。
接着層31を介して第1の積層基板10と第2の積層基板20とを貼り合わせる工程は、気泡等の混入防止のため真空中で行うことが好ましいが、特に限定されるものではない。
以下、本発明の請求項で規定する、数値範囲の意味について説明する。
本発明のエレクトロクロミック素子では、エレクトロクロミック層と導電層との接触界面の表面積を広くして配線抵抗を低くするとともに、光透過性の低下を抑えるために好適な凹凸形状を有する導電層を具備している。
前記導電層の凹凸(正確にはエレクトロクロミック層と導電層との界面の凹凸)は、導電層の凸部の最大ピークまでの膜厚をt(図1参照)、導電層に接する前記凹凸形状を有するエレクトロクロミック層の凸部の最大ピークまでの膜厚をtec(図1参照)とするとき、導電層の凹凸形状のRaが前記(数式1)の範囲内にあることが好ましい。ここでRaは、日本工業規格(JIS)で規定する算術平均粗さである。
Ra=5nm未満であると、導電粒子の最も小さいレベルの粒径より小さくなり、凹凸により接触界面の表面積を広げることによる効果が過少になる。Raがt/2よりも大きくなると、導電層の膜厚に対して大きくなりすぎ、導電層の膜厚バラツキにより表示切替速度(応答速度)のバラツキが生じ、表示ムラが発生する。また、tec/2よりも大きくなると、エレクトロクロミック層の膜厚に対して大きくなりすぎ、エレクトロクロミック層の膜厚バラツキによる色ムラが発生し、表示品位が損なわれてしまう。
導電層の膜厚tに関しては、10nm以上1000nm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下の範囲である。1000nmを超えると、光透過性が落ち、反射率が低下してしまうとともに、配線抵抗が大きくなり、応答速度が遅くなる。一方、10nm未満であると、導電粒子の粒径より小さくなり、凹凸により接触界面の表面積を広げることによる効果が過少になる。さらに、導電層の膜厚が500nm以下であると、膜厚が薄い分高い透過率を維持し、高反射率を維持することができるため、より好ましい。
また、エレクトロクロミック層の膜厚tecに関しては、100nm以上2000nm以下の範囲にあることが好ましい。2000nmを超えると、消色時の光透過性が落ち、電解質層からの反射率の低下を招く。一般に、エレクトロクロミック層の膜厚が薄いほど透明(消色)時の透過率が上がり、電解質層からの反射率が高いエレクトロクロミック素子を得ることができるが、100nm未満であると、膜厚不足による着色時の彩度低下が引き起こされる。
前記凹凸形状を有する導電層は、コントラストなどの表示品位を十分に有するためには、波長380〜780nmの光に対する透過率が50%以上であることが好ましい。
導電層を導電粒子及びバインダー材料から構成する場合、導電層中に導電粒子が含まれる割合は、70体積%以上の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、80体積%以上の範囲である。70体積%未満であると、導電粒子間の距離が遠くなり、抵抗が高くなり、応答性が悪化してしまう。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明はこの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
先ず、透明基板である平行平板のガラスからなる第1の基材11、及び第2の基材21上に、スパッタリング法を用いてITOを成膜し、その後、フォトリソグラフィ法を用いてパターン形成し、ITO膜(400nm)よりなる第1の電極層12、及び第2の電極層22を形成した。
次に、トルエン(和光純薬工業製)を溶媒として、バインダー材料34としてのPMMA(和光純薬工業製)と導電粒子33としての平均粒径30nmのITO粒子(三菱マテリアル電子化成製)を体積比=PMMA:ITO=1:9の割合で混合撹拌し、導電層形成用の塗料を作製した。この塗料を第1の電極層12及び第2の電極層22のITO膜上へスピンコート法にて塗布し、150℃で10分焼成してトルエンを消失させ、膜厚90nmの第1の導電層13及び第2の導電層23を形成した。この時、触針式の測定機で表面粗さRaを測定したところ、15nmであった。
次に、エレクトロクロミック材料35として、表示面側の第1エレクトロクロミック層14には酸化タングステンを、裏面側の第2エレクトロクロミック層24にはプルシアンブルーを選択した。酸化タングステンを分散させた1.0mol/L分散液を調製し、この分散液を第1の導電層13上に塗布し、膜厚300nmの第1のエレクトロクロミック層14を形成した。さらに、プルシアンブルーを分散させた1.0mol/Lプルシアンブルー分散液を調製し、この分散液を第2の導電層23上にスピンコート法にて塗布し、膜厚300nmの第2のエレクトロクロミック層24を形成した。
電解質材料として、炭酸プロピレン(和光純薬工業製)に0.1mol/Lの過塩素酸リチウム(和光純薬工業製)を溶解した電解液に、更に20重量%の酸化チタン(石原産業製R−830)、10重量%のPMMA(和光純薬工業製)を分散させ、電解質層30を形成する材料を調製した。酸化チタンは前述のように、白色反射材料であるので、表示面側のエレクトロクロミック層14の発色のみが表示され、消色時は電解質層30の白色の反射光が確認されることになる。
続いて、第2のエレクトロクロミック層24/第2の導電層23/第2の電極層22/第2の基材21を積層させた第2の積層基板20の周縁部に、ギャップ制御用としての粒径50μmのスペーサー粒子(ミクロパール、積水化学工業社製)を適量入れた紫外線硬化型接着材をディスペンサにより塗布し、ダム状の遮蔽物を形成した。次に、前記遮蔽物内に、前記電解質層30を形成する材料を均等に流し込んだ。その上から第1の基材11/第1の電極層12/第1の導電層13/第1のエレクトロクロミック層14を積層させた第1の積層基板10を重ね合わせ、500mJ/cm(波長420nm)の光を照射して前記紫外線硬化型接着材を硬化して接着層31を形成し、本発明のエレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極12、22間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は51%、還元(青)時は10%であった。表示切替速度(応答速度)は、青→白に約5秒、白→青に約4秒であった。
<実施例2>
PMMAバインダー、ITO導電粒子からなる導電層を、表示面側の第1の積層基板のみに積層し、裏面側の第2の積層基板には省略した以外は、実施例1と同じ材料、製法により、本発明のエレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は51%、還元(青)時は10%であった。表示切替速度は、青→白に約6秒、白→青に約5秒であった。表示面側の導電層は実施例1と同じであるので、反射率は実施例と同じ値になったが、裏面側に導電層がない分だけ配線抵抗が大きくなり、表示切替速度は実施例1よりもやや遅くなった。
<比較例1>
導電層の膜厚を1500nmとした以外は、実施例1と同じ材料、製法により、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は44%、還元(青)時は5%であった。表示切替速度は、青→白に約10秒、白→青に約9秒であった。導電層の膜厚が厚くなった分、光透過性が落ち、エレクトロクロミック層及び電解質層からの反射率が低下するとともに、高抵抗化による表示切替速度の低下が見られた。
<比較例2>
バインダー材料34としてのPMMA(和光純薬工業製)と導電粒子33としての平均粒径30nmのITO粒子(三菱マテリアル電子化成製)を体積比=PMMA:ITO=6:4の割合とした以外は、実施例1と同じ材料、製法により、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は53%、還元(青)時は11%であった。表示切替速度は、青→白に約9秒、白→青に約9秒であった。導電粒子33の添加量が少なかった分、導電層中の導電材料の占める体積割合が少なくなり、高抵抗化し、表示切替速度が遅くなった。
<比較例3>
下記のように、導電粒子の粒径、導電層の膜厚を変更した以外は、実施例1と同じ材料、製法により、エレクトロクロミック素子を作製した。
トルエン(和光純薬工業製)を溶媒として、バインダー材料34としてのPMMA(和光純薬工業製)と導電粒子33としての平均粒径600nmのITO粒子(三菱マテリアル電子化成製)を体積比=PMMA:ITO=1:9の割合で混合撹拌し、導電層形成用の塗料を作製した。この塗料を第1の電極層12及び第2の電極層22のITO膜上へスピンコート法にて塗布し、150℃で10分焼成してトルエンを消失させ、膜厚1200nmの第1の導電層13及び第2の導電層23を形成した。この時、触針式の測定機で表面粗さRaを測定したところ、200nmであった。尚、Raは実施例1よりも大きくなったが、エレクトロクロミック層の形成は実施例1と同様の工程で行った。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、導電層の膜厚増加により酸化(白)時は47%、還元(青)時は7%となり、色ムラが観察された。表示切替速度は、青→白に約9秒、白→青に約9秒であった。導電層の表面粗さRaが大きくなった影響でエレクトロクロミック層の膜厚バラツキができ、色ムラとなった。
<比較例4>
実施例1と同じ材料、製法により、第1の導電層、及び第2の導電層を形成した後、両導電層の表面粗さがRa=2nmとなるよう両導電層を表面研磨し平滑にする工程を追加した。その後、実施例1と同じ材料、製法により、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は51%、還元(青)時は10%であった。表示切替速度は、青→白に約10秒、白→青に約9秒であった。導電層の表面粗さRaが小さくなった分、高抵抗化により表示切替速度は遅くなった。
<比較例5>
従来構造のエレクトロクロミック素子(図3)として、導電層を表示面側の第1の積層基板、裏面側の第2の積層基板をともに具備しないこと以外は、実施例1と同じ材料、製法により、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子のITO電極間に1.5Vの電圧を10秒間印加し、表示面側から目視したところ、青から透明に着色変化し、電解質層30の白色が目視で確認でき、酸化タングステンの酸化還元に伴うエレクトロクロミック挙動が確認できた。また、この素子に標準光であるD65光源を照射したときの反射率の値は、酸化(白)時は54%、還元(青)時は12%であった。表示切替速度は、青→白に約15秒、白→青に約14秒であった。導電層がない分、反射率が僅かに上昇したが、高抵抗化により表示切替速度は遅くなった。
実施例1、2、及び比較例1〜5で使用した各試料の導電層と導電粒子の条件、及び反射率、表示切替速度、色ムラを測定、観察した結果を表1にまとめて示す。
Figure 2016114916
表1の結果から分かるように、両側(表示面側及び裏面側)の積層基板にエレクトロクロミック層との界面に凹凸形状を有する導電層を備え、凹凸形状のRa、導電層の膜厚、導電層中に導電粒子が含まれる割合を本発明で規定する好適な範囲内とすることで、総合的にもっとも良い反射率、表示切替速度(応答速度)の結果が得られた。
本発明は、電圧印加によって色を制御するエレクトロクロミック素子として、表示素子、調光素子等、多様な用途へ適用可能である。
10、50・・・第1の積層基板
11、51・・・第1の基材
12、52・・・第1の電極層
13・・・第1の導電層
14、54・・・第1のエレクトロクロミック層
20、60・・・第2の積層基板
21、61・・・第2の基材
22、62・・・第2の電極層
23・・・第2の導電層
24、64・・・第2のエレクトロクロミック層
30、70・・・電解質層
31、71・・・接着層
33・・・導電粒子
34・・・バインダー材料
35・・・エレクトロクロミック材料

Claims (7)

  1. 基材上に少なくとも電極層とエレクトロクロミック層とを順に積層して形成された2枚の基板が、電解質層を挟んで対向するように配置されたエレクトロクロミック素子において、少なくとも一方の電極層とエレクトロクロミック層の間に導電層を具備し、エレクトロクロミック層との界面に凹凸形状を有することを特徴とする、エレクトロクロミック素子。
  2. 前記凹凸形状を有する導電層の凸部の最大ピークまでの膜厚をt、該導電層に接する前記凹凸形状を有するエレクトロクロミック層の凸部の最大ピークまでの膜厚をtecとするとき、該導電層の凹凸形状の算術平均粗さRaは次式
    Figure 2016114916
    の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記凹凸形状を有する導電層の、凸部の最大ピークまでの膜厚tが10nm≦t≦1000nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記凹凸形状を有するエレクトロクロミック層の、凸部の最大ピークまでの膜厚tecが100nm≦tec≦2000nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記凹凸形状を有する導電層は、波長380〜780nmの光に対する透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記凹凸形状を有する導電層は、少なくとも導電粒子及びバインダー材料から構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記凹凸形状を有する導電層中に導電粒子が含まれる割合は、該導電層全体の70体積%以上であることを特徴とする、請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
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