JP2016114766A - 網目構造を有する熱線遮蔽部材、並びに、それを用いた熱線遮蔽フィルム、ガラス、中間膜及び合せガラス - Google Patents

網目構造を有する熱線遮蔽部材、並びに、それを用いた熱線遮蔽フィルム、ガラス、中間膜及び合せガラス Download PDF

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洋介 原田
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Abstract

【課題】高い可視光線透過性を有し、かつ、高い熱線遮蔽性(日射反射率)を有する熱線遮蔽部材を提供する。
【解決手段】透明基材上に熱線遮蔽層である金属又は金属化合物からなる網目構造が存在し、網目構造の全表面積に対する金属又は金属化合物の面積率が5〜90%であり、金属又は金属化合物の平均線幅が1〜1000nmである、熱線遮蔽部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、網目構造を有する熱線遮蔽部材、並びに、それを用いた熱線遮蔽フィルム、ガラス、中間膜及び合せガラスに関する。
熱線反射性透明基材としては、従来、ガラスやプラスチック等の透明基板上にスパッタリング法や蒸着法等を用いて形成された金、銀、銅等の金属薄膜層を高屈折率の透明誘電体層で挟んだ3層膜構造や、上記金属薄膜層と透明誘電体層の積層をさらに繰り返した多層膜構造を有するものが知られている。この熱線反射性透明基材は、可視光線を透過しつつ近赤外線を良く反射するため、優れた熱線反射機能を有する。同時に、上記金属薄膜層は導電性が高いため、電磁波遮蔽(電界シールド)機能も有している。そのため、熱線反射性透明基材を、建物や自動車等の窓材に適用した場合、日射エネルギーを遮蔽して冷暖房効果を向上させることが可能となる。
従来の熱線反射性透明基材は、上述したようにスパッタリング法や蒸着法等を用いかつ3層以上の多層膜構造を有しているため、製造コストが非常に高いという問題点を有していた。
また、従来の熱線反射性透明基材を建物や自動車の窓材に適用した場合、その高い導電性により電磁波反射性能(遮蔽性能)が高くなるため、ビル周辺におけるテレビ画像のゴースト現象等の障害や、自動車内や建物内でのテレビ、ラジオ、携帯電話、ETC、GPS等の通信障害を引き起こす問題も有していた。
上記の課題に対し、例えば、特許文献1には透明基板、及び、この透明基板上に順次形成された貴金属微粒子含有層と透明コート層とで構成された透明2層膜を備える熱線反射性透明基材が開示されている。この熱線反射性透明基材では、上記貴金属微粒子含有層が、互いに連結されて網目状構造を形成している平均粒径1〜100nmの貴金属微粒子群とこの網目状構造の空隙部分を埋めるバインダーマトリックスとでその主要部が構成されている。
しかしながら、網目の穴のサイズが10〜50nmであるために、可視光透過率が26〜51%と、大変低かった(特許文献1 表1参照。)。
また、特許文献2には、透明なフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に配置され、反射性材料で構成されたワイヤグリッドと、を具備することを特徴とする透明熱線反射フィルムが開示されている(特許文献2 図5及び図6を参照。)。
しかしながら、ワイヤグリッドのような二元的な間隙では、特定波長の反射が困難であり、また、可視光域にも反射が生じるため、結果的に可視光透過率の低下が生じた。また、ワイヤグリッドはスパッタした薄膜をエッチングして形成するものであり、非常に高価になるという問題がある。
特許文献3には、透明フィルム、及びその表面に設けられた熱線反射層を含む熱線遮蔽フィルムであって、熱線反射層が、金属ナノ繊維を含むことを特徴とする熱線遮蔽フィルムが開示されている。しかしながら、金属ナノ繊維からなる熱線反射層は、熱線遮蔽性能が充分ではなかったため、さらに、導電性高分子を使用することにより熱線遮蔽性能を向上させている。
特開2002−131531号公報 特開2010−085917号公報 特開2012−252172号公報
本発明の課題は、高い可視光線透過性を有し、かつ、高い熱線遮蔽性(日射反射率)を有する熱線遮蔽部材を提供することである。
本発明者らは、金属又は金属化合物を使用して透明基材上に形成した網目構造(熱線遮蔽層)において、熱線遮蔽層の全表面積に占める網目構造の面積率及び線幅を所定値に規定することにより、高い可視光線透過性、かつ、高い熱線遮蔽性(日射反射率)が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の網目構造を有する熱線遮蔽部材等が提供される。
1.透明基材上に熱線遮蔽層である金属又は金属化合物からなる網目構造が存在し、前記網目構造の全表面積に対する前記金属又は金属化合物の面積率が5〜90%であり、前記金属又は金属化合物の平均線幅が1〜1000nmである、熱線遮蔽部材。
2.前記金属が金、銀、銅、クロム、ニッケル、チタン及びアルミニウムからなる群から選択される金属、又は、前記群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金である1記載の熱線遮蔽部材。
3.前記金属が銀である1又は2に記載の熱線遮蔽部材。
4.前記面積率が10〜70%である1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
5.前記面積率が15〜50%である1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
6.前記平均線幅が10〜250nmである1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
7.前記網目構造が不規則な網目構造である、1〜6のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
8.前記熱線遮蔽層が高分子材料及び前記網目構造を含有する1〜7のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
9.前記透明基材は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂又はガラスである8に記載の熱線遮蔽部材。
10.前記高分子材料は、アルコキシ基を有するシラン化合物、又は、Ti、Zr若しくはAlのアルコキシド化合物である8又は9に記載の熱線遮蔽部材。
11.上記1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材の製造方法であって、透明基材の面上に、金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子を用いて金属又は金属化合物からなる網目構造を形成する工程を有する、熱線遮蔽部材の製造方法。
12.上記8〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材の製造方法であって、透明基材の面上に、金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子と、アルコキシ基を有するシラン化合物、又は、Ti、Zr若しくはAlのアルコキシド化合物である高分子材料を用い、前記高分子材料を加水分解及び重縮合させることにより、前記ナノワイヤ又は微粒子の不規則な網目構造を形成する、熱線遮蔽部材の製造方法。
13.前記金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子の固形分濃度が15質量%〜95質量%である、11又は12に記載の熱線遮蔽部材の製造方法。
14.上記1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材を含む熱線遮蔽フィルム。
15.さらに、赤外反射層を有する14に記載の熱線遮蔽フィルム。
16.上記1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材を含む熱線遮蔽ガラス。
17.さらに、赤外反射層を含む16に記載の熱線遮蔽ガラス。
18.上記14又は15に記載の熱線遮蔽フィルムを組み込んだ合わせガラス用中間膜。
19.上記18に記載のガラス用中間膜を用いた合せガラス。
本発明によれば、高い可視光線透過性を有し、かつ、高い日射反射率を有する熱線遮蔽部材を提供できる。
本発明の一実施形態に係る網目構造を有する熱線遮蔽部材の概略上面図である。 実施例1で形成した熱線遮蔽層を有するガラス基材の走査型顕微鏡写真である。 網目構造の平均線幅の測定法を説明するための図である。
本発明の熱線遮蔽部材は、金属又は金属化合物からなる網目構造を含有し、この網目構造の全表面積に対する金属又は金属化合物の面積率が5〜90%であり、かつ、金属又は金属化合物の平均線幅が1〜1000nmであることを特徴とする。面積率及び平均線幅が上記の範囲であれば、高い可視光線透過性を有し、かつ、高い熱線遮蔽性を有する部材が得られる。
本発明の網目構造有する熱線遮蔽部材は、熱線反射性能を有することが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱線遮蔽部材の概略上面図である。本実施形態に係る熱線遮蔽部材は、金属又は金属化合物からなる網目構造11と、空乏部12を有する。空乏部12には後述するバインダーより形成される硬化膜がある。網目構造の全表面積とは、網目構造11及び空乏部12の合計面積である。即ち、網目構造の面積率とは、網目構造で被覆された透明基材面の全表面積に対して網目構造が占める割合を意味する。
網目構造の全表面積に対する金属又は金属化合物の面積率は、好ましくは10〜70%であり、特に好ましくは15〜50%である。
面積率は、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を画像解析用ソフトウエアで処理して計算した値である。
例えば、10cm四方の部材を9等分しその中心点(計9箇所)について、走査型電子顕微鏡を用い、観察倍率5,000倍で「幅1280ピクセル×高さ960ピクセル」の二次電子像を取得する。二次電子像について、画像解析のソフトウェア(ImageJ等)を用いて網目構造領域を白色に空乏部を黒色に二値化した画像を作成して求める。二値化した全体の画像面積に対して白色部分の面積比を算出し、それを9枚の画像について解析し、得られた面積比を相加平均したものを面積率とする。
面積率は、後述する網目構造を形成する金属又は金属化合物材料の平均長、平均径又は平均粒径、塗布液中の含有率を調整することにより、制御できる。
金属又は金属化合物の平均線幅は、好ましくは10〜250nmであり、特に好ましくは30〜200nmである。
平均線幅は、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を画像解析用ソフトウエアで処理して計算した値である。
例えば、10cm四方の部材を9等分しその中心点(計9箇所)について、走査型電子顕微鏡を用い、観察倍率5,000倍で「幅1280ピクセル×高さ960ピクセル」の二次電子像を取得する。二次電子像について、画像解析のソフトウェア(ImageJ等)を用いて網目構造領域を白色に空乏部を黒色に二値化した画像を作成して求める。
二値化した画像を9分割する直線を引き、それらの直線を通る白色部分の長さを線幅とし、 得られた線幅を相加平均し、それを9枚の画像について解析し、得られた線幅を相加平均したものを平均線幅とする。
平均線幅は、後述する網目構造を有する部材を形成する金属又は金属化合物材料の平均径又は平均粒径、塗布液中の含有率を調整することにより、制御できる。
欠乏部の形は一定であるよりも不規則な場合の方が、広い波長範囲の赤外線を遮蔽できるため望ましい。
本発明の熱線遮蔽部材は、例えば、透明基材の面上に、金属又は金属化合物を用いて金属又は金属化合物からなる網目構造を有する層(熱線遮蔽層)を形成することにより製造できる。より具体的には、最終的に網目構造を形成する金属又は金属化合物材料と、硬化膜を形成するバインダー(高分子材料等)を含有する塗布液を、透明基材の面上に塗布し、その後、加熱や乾燥させることにより製造できる。
以下、使用部材及び材料等について説明する。
(a)透明基材
透明基材としては、樹脂基材やガラス基材等が使用できる。
基材に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂(例:JSR株式会社製「ARTON」、日本ゼオン株式会社製「ZEONOR」「ZEONEX」)、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、プラスチックレンズ用熱硬化樹脂、脂環式ポリオレフィン、アクリロニトリルスチレン共重合体、メタクリルスチレン共重合体、脂環式アクリル、ジグリコールジアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピスルフィド等を挙げることができる。また、上記樹脂を複数混合したポリマーアロイやポリマーブレンドでもよい。上記樹脂の中でも、ポリエステル系樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン系樹脂及びポリカーボネート樹脂が好ましい。
尚、基材は上記樹脂を複数積層した積層構造体でもよい。
基材は、透明及び半透明のいずれでもよく、また、着色されていてもよく、無着色のものでもよい。用途に応じて適宜選択することができる。透明性に優れ、無着色のものが好ましい。例えば、全光線透過率が50%以上の基材が好ましい。
基材の形状に制限はなく、フィルムや板等の平面状基材でもよく、曲面形状を有する基材でもよい。基材の厚さに特に制限はなく、用途に応じて適宜選定できる。通常、5μm〜30mm程度であり、好ましくは15μm〜10mmである。
(b)金属又は金属化合物
網目構造を形成する金属としては、金、銀、銅、クロム、ニッケル、チタン及びアルミニウムから選択される金属、又は、これら金属のうち少なくとも1種を含む合金が好ましい。なかでも、銀が好ましい。
また、金属化合物としては、酸化物(スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、複合酸化タングステン等)、窒化物(チッ化チタン等)、又はホウ化物(6ホウ化ランタン等)等が挙げられる。
金属又は金属化合物の形状としては、最終的に網目構造となる形状であれば、特に限定されない。例えば、ファイバー間の交差により網目構造を容易に形成することができるナノファイバー(ナノワイヤ)や、自己組織化により網目構造を形成する微粒子が好ましい。
ナノワイヤの形状としては、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状等、任意の形状が適用できる。高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であるものが好ましい。
ナノワイヤの断面形状は、基材上にナノワイヤ分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
ナノワイヤの平均径は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。平均径の下限は特に限定せず、例えば、1nm以上でよいが、耐久性を担保するため、平均径は5nm以上であることが好ましい。
ナノワイヤの平均長は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜80μmがより好ましく、1μm〜50μmがさらに好ましい。金属ナノワイヤの平均長が長すぎるとナノワイヤ製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長が短すぎると、十分な熱線遮蔽性を得ることができない場合がある。
ナノワイヤの平均径及び平均長は、ナノワイヤのサイズに応じ、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査式電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を用い、TEM像やSEM像、光学顕微鏡像を観察することにより測定する。
平均径は、100個のナノワイヤを観察し、それぞれの短軸方向の測定で最も短い箇所の長さを測定し、その平均値とする。また、平均長は、100個のナノワイヤを観察し、それぞれの長さを測定し、その平均値とする。ナノワイヤが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値の平均値を平均長とする。
ナノワイヤのアスペクト比は、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。アスペクト比は50〜1,000,000が好ましく、50〜100,000がより好ましい。
アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長/平均直径の比)を意味し、上述の方法で測定した平均長及び平均径の値から算出できる。
ナノワイヤを使用する場合、塗布液の固形分全体に占めるナノワイヤの含有率は、15〜100質量%であることが好ましい。この範囲であれば、ナノワイヤが上記の面積率を有する網目構造を形成しやすい。ナノワイヤの含有率は、20〜90質量%であることがさらに好ましく、
特に、35〜80質量%であることが好ましい。
自己組織化により網目構造を形成する微粒子は、その平均粒径(メジアン値)が1000nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下であることが好ましく、特に60nm以下が好ましい。これにより良好な網目構造を形成できる。
上記微粒子を使用する場合、塗布液の固形分全体における微粒子の含有率は、通常、15〜100質量%であり、20〜90質量%であることがさらに好ましく、特に、35〜80質量%であることが好ましい。この範囲であれば、微粒子が上記の面積率及び平均線幅を有する網目構造を形成しやすい。尚、微粒子の含有率が低いと充分な遮熱効果を得難い。一方、含有率が高すぎても、遮蔽効果は一定以上向上せず、また、可視光透過率が低下する場合がある。
(c)バインダー
バインダーは特に限定されず、公知の材料が使用できる。バインダーは、非感光性バインダー又は感光性バインダーでもよいが、非感光性バインダーが好ましい。非感光性のバインダーとしては、有機高分子又は無機高分子を含むもの(高分子材料)が挙げられる。高分子材料は、下記の1種を用いてもよく、また、2種以上組み合わせて使用してもよい。
有機高分子の具体例としては、ポリメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリレート(例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン(PU)、エポキシ樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース誘導体、シリコーン、シリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、含フッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン)、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)又はデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)等が挙げられる。
無機高分子としては、アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物、並びに、Ti、Zr及びAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、さらに所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物を挙げることができる。これらの無機高分子は、1種又は2種以上を用いてもよい。
上記ゾルゲル硬化物は、キズ及び磨耗に対して高い耐性を有するものが容易に製造できるという点から好ましい。
アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物としては、例えば、下記(B−1)〜(B−7)の加水分解縮合物が挙げられる。
(B−1)アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
(B−2)テトラアルコキシシラン化合物
(B−3)アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないオルガノアルコキシシラン化合物
(B−4)エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
(B−5)アルコキシ基を有するブロック化イソシアナトシラン化合物
(B−6)アルコキシ基及び炭素間に二重結合を有するシラン化合物
(B−7)メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
尚、(B−6)及び(B−7)成分は、加水分解縮合物であってもよく、また、加水分解縮合物でなくてもよい。
加水分解縮合物は(B−1)〜(B−7)成分の単独の化合物の加水分解縮合物であってもよいし、(B−1)〜(B−7)成分の中の任意の2種以上からなる混合物の加水分解縮合物であってもよい。
尚、本発明において、アルコキシ基を含むシラン化合物とは、アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物を意味する。アルコキシシラン化合物の部分縮合物とは、アルコキシシラン化合物の一部が縮合し、分子内にシロキサン結合(Si−O結合)を形成してなるポリアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物を意味する。
アルコキシ基を含むシラン化合物の加水分解縮合物は、アルコキシ基を含むシラン化合物の加水分解縮合物の他に加水分解縮合前の該アルコキシ基を含むシラン化合物を含んでもよい。
アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物は、好ましくは(B−1)〜(B−5)に由来する分子構造を全て含む。以下、アルコキシ基を有するシラン化合物(B−1)〜(B−5)について、具体的に説明する。
(B−1)アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(アミノ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物である、アミノ基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(1)で表わすことができる。
Si(OR4−b (1)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基;又はアミノ基(−NH基)、アミノアルキル基〔−(CH−NH基(ただし、xは1〜3の整数)〕及びアルキルアミノ基〔−NHR基(ただし、Rは炭素数1〜3のアルキル基)〕の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、アミノ基、アミノアルキル基及びアルキルアミノ基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基である。bは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(1)において、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。炭素数4のアルキル基としては、n−ブチル基等の各種ブチル基が挙げられる。
は炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
bは1であることが好ましい。
式(1)で表わされるアミノ基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N―(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、アミノ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物としては、例えば、信越シリコーン株式会社製の「KBP−90」等が挙げられる。
(B−2)テトラアルコキシシラン化合物
テトラアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物又はシロキサン結合(Si−O結合)で結合された部分縮合物(ポリアルコキシシラン化合物)を用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(2)で表すことができ、特に下記式(3)で表される化合物が好適である。
Si(OR (2)
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシアルキル基である。複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
[式中、Rは、式(2)と同じであり、nは1〜15の整数である。]
式(2)及び(3)において、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の各種ブチル基が挙げられ、また、Rが炭素数1〜4のアルコキシアルキル基であるORとしては、例えば、2−メトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基等が挙げられる。
具体的なテトラアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン等が挙げられる。
また、ポリアルコキシシラン化合物としては、多摩化学工業株式会社製の「Mシリケート51」「シリケート40」「シリケート45」、コルコート株式会社製の「メチルシリケート51」「メチルシリケート53A」「エチルシリケート40」「エチルシリケート48」等が挙げられる。
(B−3)アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないオルガノアルコキシシラン化合物
オルガノアルコキシシラン化合物としては、オルガノアルコキシシラン化合物又はその部分縮合物を用いることができる。(B−3)であるオルガノアルコキシシラン化合物は、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基を含まない。
これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オルガノアルコキシシラン化合物として、オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、好ましくは2官能アルコキシシラン又は3官能アルコキシシランであり、例えば下記式(4)で表わすことができ、特に下記式(5)で表される化合物が好適である。
Si(OR4−a (4)
[式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシアルキル基であり、aは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
[式中、R及びRは上記式(4)と同じであり、mは1〜15の整数である。]
式(4)及び(5)において、Rが示す炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基等が挙げられる。
フッ素化アルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
が示す炭素数1〜4のアルキル基及びアルコキシアルキル基については、上記式(2)のRと同様な基が挙げられる。
は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
aは1であることが好ましい。
式(4)で表わされるオルガノアルコキシシラン化合物の中で、3官能アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、デシルトリブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素化アルキル(トリアルコキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、2種類のアルコキシ基を含むメチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等も挙げられる。
2官能アルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリオルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、多摩化学工業株式会社製の「MTMS−A」、コルコート株式会社製の「SS−101」、東レ・ダウコーニング株式会社製の「AZ−6101」「SR2402」「AY42−163」等が挙げられる。
尚、(B−2)及び(B−3)のアルコキシシラン化合物として、下記式(6)で示される化合物を使用してもよい。
Si(OR 4−a (6)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
式(6)におけるR及びRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。アルキル基又はアリール基は置換基をさらに有していてもよい。この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
式(6)においてaが2の場合、即ち、ジアルコキシシランの例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
式(6)においてaが3の場合、即ち、トリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(6)においてaが4の場合、即ち、テトラアルコキシシランの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
(B−4)エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物であって、アミノ基及びイソシアネート基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(エポキシ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物である、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(7)で表わすことができる。
Si(OR4−c (7)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基;又はグリシドキシ基及び3,4−エポキシシクロヘキシル基から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、グリシドキシ基又は3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、cは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(7)において、炭素数1〜4のアルキル基の例は、上記式(1)と同様である。炭素数1〜6のアルキル基の例は、上記式(4)の炭素数1〜10のアルキル基のうち炭素数1〜6のものと同様である。
好ましくは、Rは炭素数1〜4のアルキル基;又はグリシドキシ基及び3,4−エポキシシクロヘキシル基の選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又はグリシドキシ基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。
好ましくは、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。
好ましくは、bは2である。
式(7)で表わされるエポキシ基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(B−5)アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物
アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物(一般的にブロック化イソシアナトシラン化合物、又はブロック化イソシアナートシラン化合物とも称される)は、アルコキシ基及びブロック化イソシアネート基を含むが、アミノ基及びエポキシ基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(ブロック化イソシアネート基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ブロック化イソシアナトシラン化合物とは、イソシアネート基をオキシム等のブロック剤で保護して不活性としておき、加熱により脱ブロック化してイソシアネート基が活性化(再生)されるイソシアナトシラン化合物(一般的にイソシアネートシラン化合物とも称される)である。
アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物である、ブロック化イソシアネート基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(8)で表わすことができる。
Si(OR4−d ・・・(8)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又は、ブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、ブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、dは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(8)において、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基の例は、上記式(1)又は(7)と同様である。
好ましくは、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。
好ましくは、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。
好ましくは、dは1である。
式(8)で表わされるブロック化イソシアネート基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具合例としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン等の化合物におけるイソシアネート基を、ブロック化剤で保護したものが挙げられる。これらの中で、好ましい化合物としては、3−ブロック化イソシアナトプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
イソシアネート基のブロック化剤としては、アセトオキシム、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム化合物;ε−カプロラクタム等のラクタム類;モノアルキルフェノール(クレゾール、ノニルフェノール等)等のアルキルフェノール類;3,5−キシレノール、ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール類;トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;マロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステル;アセチルアセトン、アセト酢酸エチルのようなアセト酢酸エステル等の活性メチレン化合物類;メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の水酸基含有エーテル類;乳酸エチル、乳酸アミル等の水酸基含有エステル類;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;アセトアニリド、ダイマー酸アマイド等の酸アミド類;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類;1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類;コハク酸イミド、フタル酸イミド等の酸イミド類等を使用できる。
また、ブロック化剤解離温度を制御するため、ジブチル錫ジラウレート等の触媒を併用してもよい。
(B−6)炭素間2重結合を有するシラン化合物
(B−6)成分は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基等の炭素間2重結合を有する基を含むシラン化合物であって、好ましくはアルコキシ基を含む。また、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基は含まない。
尚、(B−6)成分の「炭素間2重結合」は、芳香族二重結合を含まない。本明細書において、芳香族二重結合とは、4n+2個(nは0以上の整数)のπ電子を有する環状共役化合物における二重結合である。
本発明で用いるバインダーは、(B−6)成分を含む場合、熱硬化に加え、光硬化(UV硬化)や電子線硬化(EB硬化)が可能となる。
炭素間2重結合を有するシラン化合物としては、その部分縮合物(炭素間2重結合を有する基を含有するポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素間2重結合を有するシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(9)で表すことができる。
20 Si(OR214−e (9)
[式中、R20は炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;又はビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、R20の少なくとも1つは、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。R21は炭素数1〜4のアルキル基であり、eは1又は2である。R20が複数ある場合、複数のR20は同一でも異なっていてもよく、複数のOR21は同一でも異なっていてもよい。]
上記式(9)において、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基の例は、上記式(1)又は(7)と同様である。
好ましくは、R20は炭素数1〜4のアルキル基、又はビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。
好ましくは、eは1である。
ビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基は、好ましくは、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基及びメタクリロキシ基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、より好ましくは、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基及びメタクリロキシ基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。
式(9)で表される化合物の具体例として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリルシラン化合物(アクリル基含有シラン化合物)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物が挙げられる。
(B−7)メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、チオール基(IUPAC;別名は水硫基、メルカプト基、スルフヒドリル基)を有する基、及び、アルコキシ基を含む。また、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基は含まない。また、トリアジンチオール基を有する基を含むシラン化合物であってもよい。
(B−7)成分の具体例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
アルコキシオリゴマーとしては、信越化学工業株式会社製X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810等が挙げられる。
トリアジンチオール基含有シリコーンアルコキシオリゴマーとしては、信越化学工業株式会社製X−24−9451、X−24−9452,X−24−9453,X−24−9454が挙げられる。
Ti、Zr及びAlからなる群から選ばれた元素の特定アルコキシド化合物としては、下記式(11)で示される化合物であることが好ましい。
M(OR 4−a (11)
(式中、MはTi、Al及びZrから選択される元素を示し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
式(11)におけるR及びRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。アルキル基又はアリール基は置換基をさらに有していてもよい。この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、式(11)で示される化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
(アルコキシチタネート)
MがTiでaが2の場合、即ち、ジアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが3の場合、即ち、トリアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが4の場合、即ち、テトラアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
(ジルコニウム又はアルミニウムのアルコキシド)
MがZrの場合、即ち、ジルコニウムのアルコキシドとしては、例えば、上記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
MがAlの場合、即ち、アルミニウムのアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
これらの特定アルコキシドは市販品として容易に入手できるほか、公知の合成方法、例えば各金属塩化物と任意のアルコールとの反応によって製造してもよい。
上記アルコキシドは、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
塗布液の固形分全体に占めるバインダーの含有率は、0〜85質量%であることが好ましい。この範囲であれば、金属又は金属化合物材料が上記の面積率を有する網目構造を形成しやすい。バインダーの含有率は、10〜80質量%であることがさらに好ましく、特に、20〜65質量%であることが好ましい。
バインダーに上述したアルコキシ基を有するシラン化合物又はその加水分解縮合物(B−1)〜(B−5)を使用する場合、アルコキシ基を有するシラン化合物全体に対する、各シラン化合物の含有率は、それぞれ、1〜50質量%であることが好ましい。
(d)その他の成分
ゾルゲル硬化膜を形成する上記アルコキシド化合物を含有したゾルゲル塗布液を使用する場合、塗膜中でアルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(ゾルゲル反応)を促進させるため、酸性触媒又は塩基性触媒を添加することが好ましい。
触媒としては、アルコキシド化合物の加水分解及び重縮合の反応を促進させるものであれば、任意のものを使用することができる。
このような触媒としては、酸又は塩基性化合物が挙げられる。これら化合物はそのまま用いてもよく、また、水又はアルコール等の溶媒に溶解させた状態で使用してもよい(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)。
酸又は塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸や塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量等に応じて適宜選択すればよい。触媒を構成する酸又は塩基性化合物の濃度が高い場合、加水分解及び重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して熱線遮蔽層の欠陥となる場合がある。塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが好ましい。
酸性触媒又は塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の高い触媒を用いる必要がある場合には、乾燥後の層中にほとんど残留しない化合物が好ましい。
具体的に、酸性触媒としては、塩酸等のハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、ギ酸や酢酸等のカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他の元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。
塩基性触媒としては、アンモニア水等のアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリン等のアミン類等が挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸も触媒として好ましく使用できる。
特に好ましい触媒は、金属錯体触媒である。具体的に、周期表の第2族、第13族、第4族及び第5族から選ばれる金属元素と、β−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体が好ましい。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Ba等の第2族元素、Al、Ga等の第13族元素、Ti、Zr等の第4族元素、及び、V、Nb及びTa等の第5族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al又はTiから得られる錯体の触媒効果が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオン等のβジケトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等のケトエステル類;乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチル等のヒドロキシカルボン酸及びそのエステル;4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノン等のケトアルコール類;モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類;メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステル等のエノール性活性化合物;アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体である。尚、アセチルアセトン誘導体は、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物も含む。
アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。
上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体である。金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基等通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れている。中でも、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が特に好ましい。
上述した金属錯体の対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意である。例えば、硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。即ち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに熱線遮蔽層の皮膜面質及び高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
上記触媒は、ゾルゲル塗布液中に、その塗布液の固形分全体に対して、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
塗布液には、基材上に均一な塗布液膜の形成するために、所望により、溶剤を含有させてもよい。
溶剤としては、例えば、水、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等)、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等)、塩素系溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等)、芳香族系溶剤(例えば、ベンゼン、トルエン等)、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等)、エーテル系溶剤(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、グリコールエーテル系溶剤(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等)等が挙げられる。
上記溶剤は、塗布液の固形分全体を100質量部とした際に、好ましくは
100〜100000質量部、さらに好ましくは260〜20000質量部の範囲で使用される。
塗布液は、必要に応じ、有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子を含んでいてもよい。
有機高分子微粒子としては、エチレン系不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体、スチレン、酢酸ビニル等)を重合させたものが例示される。
有機高分子微粒子は、製造性、組成物中における分散性、組成物の塗工性及び塗膜の透明性等の観点から、平均粒子径が1〜200nmの範囲にあるものが好ましく、1〜100nmの範囲にあるものがより好ましい。尚、この有機高分子微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。また、動的光散乱法によって測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
本発明において、有機高分子微粒子は、分散媒体に分散させた形態で用いることが好ましく、分散媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール等の低級アルコール、メチルセロソルブ等のセロソルブ類等が好ましく挙げられる。このような分散媒体を用いることにより、有機高分子微粒子の分散性が向上し、沈降を防ぐことができる。さらに好ましくは分散媒体が水のものである。
有機高分子微粒子の製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、乳化重合法や微細懸濁重合法等を採用することができる。
有機高分子微粒子の具体例としては、一方社油脂工業株式会社製のエマルション系高分子紫外線吸収剤ULS−700、ULS−1700、ULS−383MA、ULS−1383MA、ULS−383MG、ULS−385MG、ULS−1383MG、ULS−1385MG、ULS−635MH等、日信化学工業株式会社製ビニブラン700、701、711、日本ゼオン株式会社製ニポールシリーズ等が挙げられる。
有機高分子微粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機微粒子としては、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子が挙げられる。
無機微粒子は好ましくはコロイダルシリカである。コロイダルシリカとは、コロイドシリカ、コロイド珪酸ともいう。水中では、水和によって表面にSi−OH基を有する酸化ケイ素のコロイド懸濁液をいい、珪酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えると生成する。最近は、新しい調製法が次々に開発され、非水溶液中に分散したものや、気相法で作った微粉末状のものがあり、また、中空タイプのものもあり、粒子径も数nmから数μmのものまで多彩である。
無機微粒子の平均粒子径としては1〜200nm程度のものが好ましい。粒子の組成は不定で、シロキサン結合(−Si−O−、−Si−O−Si−)を形成して、高分子化しているものもある。粒子表面は多孔性で、水中では一般的に負に帯電している。
尚、上記平均粒子径は例えば無機微粒子を乾燥・焼成・粉砕した後、BET比表面積測定装置(モノソーブMS−17)を用いて、窒素吸着法によりBET比表面積を求め、真状粒子と仮定したときの粒子径に換算することで測定できる。BET比表面積により平均粒子系が測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
コロイダルシリカの市販品としては、扶桑化学工業株式会社製「超高純度コロイダルシリカ」クォートロンPLシリーズ(品名:PL−1、PL−3、PL−7)、同社製「高純度オルガノゾル」や、日産化学工業株式会社製「コロイダルシリカ(品名:スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL等)」や「オルガノシリカゾル(品名:メタノールシリカゾル、MA−ST−MS、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−MS、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST、DMAC−ST、PGM−ST等)」が挙げられる。
無機微粒子は1種単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、塗布液は必要に応じ、レベリング剤を含んでいてもよい。レベリング剤は、得られる塗膜の平滑性及びコートの際のフロー性を向上させるために添加してもよい。例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤及びフッ素系とアクリル系が複合化されたレベリング剤等が挙げられる。全て、塗膜表面に働き、表面張力を低下させる。各々特徴があり、目的に応じて使用することができる。表面張力の低下能力は、シリコーン系とフッ素系が強いが、アクリル系とビニル系はリコートを行う場合、濡れ不良が生じにくく有利である。
シリコーン系レベリング剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体等を用いることができる。シリコーン系レベリング剤の市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ−2118、FZ−77、FZ−2161等、信越化学工業株式会社製KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4453、TSF4460等、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−3510、BYK−3570等のポリエーテル変性シリコーンオイル(ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル)等を挙げることができる。
また、150℃以上の耐熱性が必要な場合は、ポリエステル変性やベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルが適している。ポリエステル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−310、BYK−315、BYK−370等、ベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−322、BYK−323等が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体等を用いることができる。
フッ素系レベリング剤の市販品としては、DIC株式会社製のMEGAFACシリーズ、住友スリーエム株式会社製のFCシリーズ等を挙げられる。
アクリル系レベリング剤の市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392等、フッ素を導入したBYK−340等が挙げられる。
レベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、塗布液全量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.02〜5質量%である。
レベリング剤を配合する方法としては、塗布液を調製する際に配合してもよいし、塗膜を形成する直前に塗布液に配合してもよく、さらには塗布液の調製と塗膜の形成直前の両方の段階で配合してもよい。
また、塗布液は必要に応じ、公知の各種添加剤成分、例えば、分散安定剤、重合開始剤、潤滑性付与剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、防腐剤、ブルーイング剤、消泡剤(発泡防止剤)、光安定化剤、耐候性付与剤、着色剤、粘度調整剤、微粒子の分散剤(沈降防止剤)、微粒子表面活性の改質剤等を含んでいてもよい。
塗布液は、上述した網目構造を形成する金属又は金属化合物、バインダー、並びに、必要に応じて、触媒、溶剤、有機高分子微粒子、無機微粒子、レべリング剤及び公知の各種添加剤を混合することにより調製できる。
塗布液の調製について、例えば、ゾルゲル硬化膜を形成する上記アルコキシド化合物を使用する場合、網目構造を形成する金属又は金属化合物材料の分散液を別に調製しておき、これとアルコキシド化合物とを混合してもよい。また、アルコキシド化合物を含む溶液を調製したのち、この溶液を加熱してアルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解及び重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある溶液と金属又は金属化合物材料の分散液とを混合してもよい。
塗布液を透明基材上に、例えば、スピンコーター、スプレー、浸漬、カーテンフロー、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター又はロールコーティング等の公知の方法により塗布することで、塗膜を形成できる。
塗膜の厚みは、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは30〜200nmである。
必要に応じて、塗膜を加熱、乾燥することが好ましい。乾燥温度は、例えば、室温〜250℃、好ましくは、60〜220℃であり、乾燥時間は、1分〜24時間程度、好ましくは、2〜60分である。これにより、本発明の網目構造を有する熱線遮蔽部材が得られる。
ゾルゲル塗布液を使用した場合、ゾルゲル反応を促進させるために、塗膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
尚、透明基材の面上に、金属又は金属化合物のナノワイヤと、アルコキシ基を有するシラン化合物、又は、Ti、Zr若しくはAlのアルコキシド化合物である高分子材料と、を含む塗布液を使用し、高分子材料を加水分解及び重縮合させると、ナノワイヤの不規則な網目構造が形成できる。不規則な網目とは、例えば、図1に示すように、各空乏部の形状、大きさ等が不均一であり規則性がないことを意味する。
本発明の熱線遮蔽部材の全光線透過率は、好ましくは50〜100%であり、より好ましくは60〜95%である。
また、JISR3106で定義される日射反射率は8%以上が好ましく、特に、10%以上が好ましい。
また、ヘイズは、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは2.0%以下である。
全光線透過率及びヘイズは、ASTMD1003に基づいて測定できる。また、日射反射率は、JIS R3106に基づいて測定できる。
尚、本発明の熱線遮蔽部材の網目構造部分の表面抵抗は、透明導電膜に用いられる部材とは異なり低い表面抵抗である必要はない。
本発明の熱線遮蔽部材は、単独で使用してもよく、また、積層体を構成する層として使用してもよい。例えば、熱線遮蔽部材と熱線吸収粒子を分散したフィルムの積層体や、熱線遮蔽部材と粘着層の積層体等が考えられる。また、3層以上の積層構造も可能である。尚、入射光側に本発明の熱線遮蔽部材を形成し、反対側に熱線吸収粒子を分散したフィルム及び又は粘着層を設置することが好ましい。
本発明の熱線遮蔽部材(熱線遮蔽フィルムや熱線遮蔽ガラス等)には、さらに、赤外反射層又は赤外線吸収層を有することが好ましい。赤外反射層としては、コレスティック液晶を用いた層、銀の平板状微粒子を含有した層、屈折率の異なる層の積層等、公知の層が使用できる。赤外吸収層としては、タングステン酸や複合タングステン酸化合物微粒子を分散させた層、酸化インジウムやスズドープ酸化インジウム微粒子を分散させた層、酸化スズやアンチモンドープ酸化スズ微粒子を分散させた層等、公知の層が使用できる。
本発明の透明基材としてフィルム基材を選んだ場合に得られる熱線遮蔽フィルムは、建物の窓ガラスや自動車の窓ガラスに張り付ける熱線遮蔽フィルムに使用できる。また、透明基材としてガラス基材もしくは板状の樹脂基材を選んだ場合の熱線遮蔽部材は、建物の窓や自動車の窓に用いられる熱線遮蔽窓材として使用できる。
また、本発明の熱線遮蔽フィルムは、合わせガラスの中間膜としても使用することができる。例えば、ポリビニルブチラール系樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる合せガラスの中間膜の表面に、本発明の熱線遮蔽部材を形成したり、2枚のポリビニルブチラール系樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる合せガラスの中間膜の間に上記熱線遮蔽フィルムを挟み込んだものが考えられる。この場合、室内側に熱線遮蔽粒子を分散させたポリビニルブチラール系樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる中間膜を用いることが好ましい。
本発明の熱線遮蔽フィルムを中間膜として使用した合せガラスは、熱線遮蔽性に優れている。
[熱線遮蔽層形成用塗布液の調製]
製造例1
[1]前駆組成物の調製
容積50mLのサンプル管に、1−メトキシ−2−プロパノール(溶剤)12.75gを、500rpmで撹拌しながら、水(溶剤)3.18g、酢酸(触媒)1.50g、多摩化学工業株式会社製のMシリケート51((B−2)成分)1.20g、メチルトリメトキシシラン((B−3)成分)4.53g、ジメトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン((B−4)成分)1.65g、20質量%p−トルエンスルホン酸メタノール液(触媒+溶剤)0.15gの順に、それぞれ1分間かけて滴下した。引き続き、室温、500rpmで60分撹拌後、一日静置し、これをA液とした。
容積20mLのサンプル管に、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン3.30g及び2−ブタノンオキシム(イソシアネート基のブロック化剤)1.05gを仕込み、室温、500rpmで10分撹拌後、一日静置し、これをB液とした。イソシアネート基がブロック化されたことについては、13C−NMRでイソシアネート基のシグナルが消失することにより確認した。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランと2−ブタノンオキシムの配合量の合計をブロック化イソシアナトシラン化合物(B−5)成分の配合量とした。
冷却管を取り付けた200mL三口フラスコに、A液と撹拌子を入れ、500rpmで撹拌しながら、イソプロピルアルコール13.65gを5分間かけて滴下し、室温で60分間撹拌した。続いて、窒素気流下、600rpm、80℃で3時間加熱した。
引き続き、B液を加え、同条件にて80℃で4時間撹拌後、室温で一晩静置した。
さらに、これにC液として3−アミノプロピルトリメトキシシラン((B−1)成分)1.20gを2分間かけて滴下した。室温で10分撹拌後、さらに窒素気流下、700rpm、80℃で3時間加熱した。
[2]銀ナノワイヤ分散液の調製
固形分濃度が0.5質量%となるように平均直径25nm、平均長さ23μmの銀ナノワイヤ(銀ナノワイヤのイソプロピルアルコール(IPA)分散液(Seashell Technology社:Silver Nanowires AgNW−25)を使用した。
[3]熱線遮蔽層形成用塗布液の調製
上記[1]で調製した組成物に、イソプロピルアルコールを加え固形分濃度が0.5質量%となるよう調製した溶液に、上記[2]で調製した銀ナノワイヤ分散液を加え、室温で撹拌することで熱線遮蔽層形成用塗布液を調製した。
製造例2
製造例1[2]銀ナノワイヤ分散液の調製において、平均直径115nm、平均長さ42.9μmの銀ナノワイヤを使用した他は、製造例1と同様にして熱線遮蔽層形成用塗布液を調製した。
実施例1
製造例1で調製した熱線遮蔽層形成用塗布液(銀ナノワイヤの固形分濃度66.7質量%)をバー#6を用いてバーコーターでガラス基材に塗布した。室温で3分、その後、100℃で1分乾燥させ、ガラス基材上に赤外反射膜層を形成し、熱線遮蔽層を有するガラス基材を得た。
得られた熱線遮蔽層のSEM写真を図2に示す。
実施例2
実施例1において、銀ナノワイヤの固形分濃度を90.0質量%に変更した他は、実施例1と同様にして熱線遮蔽層を有するガラス基材を得た。
実施例3
実施例2における熱線遮蔽層形成用塗布液に対して、超音波洗浄装置(SHARP株式会社:UT−606H)を用いて超音波をかけることによって銀ナノワイヤを破断し、銀ナノワイヤの平均長さを1.6μmに調整した他は、実施例2と同様にして熱線遮蔽層を有するガラス基材を得た。
実施例4
実施例1において、製造例2で調製した熱線遮蔽層形成用塗布液(銀ナノワイヤの固形分濃度66.7質量%)を使用した他は、実施例1と同様にして熱線遮蔽層を有するガラス基材を得た。
比較例1
熱線遮蔽層を形成する前のガラス基材(ガラス板単体)について評価した。
比較例2
実施例1において、銀ナノワイヤの固形分濃度を10.0質量%に変更した他は、実施例1と同様にして熱線遮蔽層を有するガラス基材を得た。
実施例及び比較例で得られたガラス基材について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。尚、表1において「固形分中の銀ナノワイヤの割合(質量%)」は塗布液中の固形分(乾燥、硬化後に膜を構成する物質)の合計質量を100質量%とした際の質量%を示す。
(1)全光線透過率及びヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)にて、ASTMD1003に準拠し、測定した。
(2)日射反射率
紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V−370)に積分球ユニット(日本分光株式会社製 ISN−723)を取り付けて、標準白板(Labshare社製)をリファレンスにして可視光から赤外光領域の透過率と反射率を測定した。JIS R3106に準拠し測定値から日射反射率を計算した。
(3)網目構造を有する部材が形成されたガラス板の表面積に対する網目構造の被覆率(面積率)
(ア)元画像の観察
画像は走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー製:S4700)を用い、加速電圧5kVの条件で二次電子像を取得した。観察倍率は5,000倍で「幅1280ピクセル×高さ960ピクセル」の二次電子像を取得している。観察箇所は10cm四方の試料を9等分しその中心点(計9箇所)を観察した。
(イ)走査型電子顕微鏡写真の画像解析
画像解析のソフトウェア(ImageJ)を用いて網目構造領域を白色に空乏部を黒色に二値化した画像を作成して求めた。
二値化した全体の写真面積に対して白色部分の面積比を算出した。9枚の画像について解析し、得られた面積比を相加平均したものを面積率とした。
(4)網目構造の平均線幅測定
上記(3)の(イ)で二値化した写真を図3のように9分割する直線A、B、C及びDを引き、これらの直線を通る白色部分の長さを線幅とし、得られた線幅を相加平均した。9枚の画像について解析し、得られた線幅を相加平均したものを平均線幅とした。
(5)表面抵抗
低抵抗率計(Loresta−GP MCP−T−610、三菱化学製)を用いて、JIS K 7194に基づき、四探針測定法により熱線遮蔽層の表面抵抗を測定した。
本発明の熱線遮蔽部材は、高い熱線遮蔽性を有し、かつ、可視光線透過性に優れている。従って、例えば、自動車、バス等の車両用ガラス、建材用ガラス等、熱線の透過を防止することが要求される種々の部材に好適に利用できる。
11 網目構造
12 空乏部

Claims (19)

  1. 透明基材上に熱線遮蔽層である金属又は金属化合物からなる網目構造が存在し、
    前記網目構造の全表面積に対する前記金属又は金属化合物の面積率が5〜90%であり、
    前記金属又は金属化合物の平均線幅が1〜1000nmである、熱線遮蔽部材。
  2. 前記金属が金、銀、銅、クロム、ニッケル、チタン及びアルミニウムからなる群から選択される金属、又は、前記群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金である請求項1記載の熱線遮蔽部材。
  3. 前記金属が銀である請求項1又は2に記載の熱線遮蔽部材。
  4. 前記面積率が10〜70%である請求項1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
  5. 前記面積率が15〜50%である請求項1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
  6. 前記平均線幅が10〜250nmである請求項1〜3のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
  7. 前記網目構造が不規則な網目構造である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
  8. 前記熱線遮蔽層が高分子材料及び前記網目構造を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の熱線遮蔽部材。
  9. 前記透明基材は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂又はガラスである請求項8に記載の熱線遮蔽部材。
  10. 前記高分子材料は、アルコキシ基を有するシラン化合物、又は、Ti、Zr若しくはAlのアルコキシド化合物である請求項8又は9に記載の熱線遮蔽部材。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材の製造方法であって、
    透明基材の面上に、金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子を用いて金属又は金属化合物からなる網目構造を形成する工程を有する、熱線遮蔽部材の製造方法。
  12. 請求項8〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材の製造方法であって、
    透明基材の面上に、金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子と、アルコキシ基を有するシラン化合物、又は、Ti、Zr若しくはAlのアルコキシド化合物である高分子材料を用い、前記高分子材料を加水分解及び重縮合させることにより、前記ナノワイヤ又は微粒子の不規則な網目構造を形成する、熱線遮蔽部材の製造方法。
  13. 前記金属又は金属化合物のナノワイヤ又は微粒子の固形分濃度が15質量%〜95質量%である、請求項11又は12に記載の熱線遮蔽部材の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材を含む熱線遮蔽フィルム。
  15. さらに、赤外反射層を有する請求項14に記載の熱線遮蔽フィルム。
  16. 請求項1〜10のいずれかに記載の熱線遮蔽部材を含む熱線遮蔽ガラス。
  17. さらに、赤外反射層を含む請求項16に記載の熱線遮蔽ガラス。
  18. 請求項14又は15に記載の熱線遮蔽フィルムを組み込んだ合わせガラス用中間膜。
  19. 請求項18に記載のガラス用中間膜を用いた合せガラス。
JP2014253093A 2014-12-15 2014-12-15 網目構造を有する熱線遮蔽部材、並びに、それを用いた熱線遮蔽フィルム、ガラス、中間膜及び合せガラス Pending JP2016114766A (ja)

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