JP2016062653A - 表面抵抗が改善された導電体及びその製造方法 - Google Patents

表面抵抗が改善された導電体及びその製造方法 Download PDF

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健一 佐々木
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Abstract

【課題】低温乾燥で、複雑な工程を介さずに、表面抵抗が改善された導電体を提供する。【解決手段】金属ナノワイヤを含有する原導電体を、酸溶液に浸漬し、乾燥することを特徴とする、原導電体より低い表面抵抗を有する導電体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、表面抵抗が改善された導電体、及び該導電体の製造方法に関する。
透明導電膜は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(OLED)、太陽電池(PV)及びタッチパネル(TP)等の透明電極、帯電防止(ESD)フィルム並びに電磁波遮蔽(EMI)フィルム等の種々の分野で使用されており、低い表面抵抗、高い光線透過率、高い信頼性が要求される。
これらの透明電極に用いられる透明導電膜には、従来、ITO(酸化インジウム錫)が用いられてきた。
しかしながら、ITOに用いられるインジウムは供給不安と価格高騰の問題を抱えている。また、ITOの製膜には、高真空を必要とするスパッタ法が用いられているため、製造装置が大規模となり、製造時間とコストが大きい。さらに、ITO膜は曲げ等の物理的な応力によってクラックが発生し壊れ易い。ITO膜のスパッタの際に高熱が発生するため、フレキシブル基材の高分子がダメージを受けるので、フレキシブル性を付与した基材に対して適用することは困難である。
そのため、これらの問題点を解消したITOに代わる導電層材料の探索が活発に進められている。
ITOに代わる導電層材料の中でも、スパッタリングが不要で塗布製膜可能な材料が注目を集めており、例えば(i)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)等の高分子系導電材料(特許文献1);(ii)金属ナノワイヤを含有する導電性材料(特許文献2及び非特許文献1);(iii)銀微粒子によるランダムな網目状構造からなる導電性材料(特許文献3);(iv)カーボンナノチューブを含有する導電性材料等のナノ構造の導電性成分を含有する導電性材料(特許文献4);(v)金属の微細配線を用いた微細メッシュからなる導電性材料(特許文献5)が報告されている。
しかしながら、(i)は光線透過率が低く、かつ導電材料が有機分子であるため環境耐性が乏しく、(iii)は自己組織化を用いて透明導電膜を調製するため工程が複雑であり、(iv)はカーボンナノチューブのために色味が黒くなり、かつ光線透過率が低くなる、(v)は写真技術を利用するため従来の工程が利用できない、という欠点を有している。
(ii)の金属ナノワイヤを含有する導電性材料については、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜は、表面抵抗を下げる(改善する)ために金属ナノワイヤの交点を圧着したり(特許文献6,7)、金属ナノワイヤをめっきしたり(特許文献7)、高温で焼成する手法が取られているが、工程が煩雑になり、また、高温焼成は基材が限定されるという問題点がある。
特開2004−59666号公報 特開2009−505358号公報 特開2008−78441号公報 特開2007−112133号公報 特開2007−270353号公報 US8618531号公報 WO09/035059号公報
Shin−Hsiang Lai,Chun−Yao Ou,"SID 08 DIGEST",2008、P1200−1202
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、金属ナノワイヤを含有する導電性材料を用いて、低温乾燥で、複雑な工程を介さずに、表面抵抗が改善された透明導電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、透明導電膜形成用組成物を基材に塗布し、乾燥することにより成膜した透明導電膜を、酸溶液に浸漬した後、乾燥させた透明導電膜は、酸溶液に浸漬していない膜に比べて表面抵抗が低くなる、即ち、導電性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の導電体の製造方法、導電体等が提供される。
1.金属ナノワイヤを含有する原導電体を、酸溶液に浸漬し、乾燥することを特徴とする、原導電体より低い表面抵抗を有する導電体の製造方法。
2.前記原導電体が、基材上に形成された導電膜である1に記載の導電体の製造方法。
3.前記原導電体が、絶縁性基材上に形成された導電膜である2に記載の導電体の製造方法。
4.前記原導電体が、絶縁性基材上に形成された透明導電膜である2又は3に記載の導電体の製造方法。
5.前記乾燥が、50〜150℃で5秒以上であることを特徴とする、1〜4のいずれかに記載の導電体の製造方法。
6.前記乾燥後、洗浄することを特徴とする、1〜5のいずれかに記載の導電体の製造方法。
7.前記酸溶液が、有機酸であることを特徴とする、1〜6のいずれかに記載の導電体の製造方法。
8.前記有機酸が、スルホ基を有する酸であることを特徴とする、7に記載の導電体の製造方法。
9.前記金属ナノワイヤを含有する原導電体が、バインダー成分を含み、前記金属ナノワイヤの割合が5〜98重量%であることを特徴とする、1〜8のいずれかに記載の導電体の製造方法。
10.前記原導電体中の金属ナノワイヤの平均直径が、5nm以上150nm以下であり、平均長が1μm以上100μm以下であることを特徴とする、1〜9のいずれかに記載の導電体の製造方法。
11.前記金属ナノワイヤが、銀ナノワイヤであることを特徴とする、1〜10のいずれかに記載の導電体の製造方法。
12.前記洗浄に用いる洗浄液が、水又は/及びアルコールであることを特徴とする、6〜11のいずれかに記載の導電体の製造方法。
13.1〜12のいずれかに記載の導電体の製造方法によって製造された導電体。
14.透明導電膜であることを特徴とする、13に記載の導電体。
15.前記原導電体に比べて、下記式で求められる、表面抵抗の低下率が25〜40%であることを特徴とする、13又は14に記載の導電体。
表面抵抗の低下率(%)=[A−B]/A×100
(式中、Aは原導電体の表面抵抗(Ω/□)を示し、Bは導電体の表面抵抗(Ω/□)を示す。)
16.基材上に14に記載の透明導電膜が形成された透明導電膜付基材。
17.13〜16のいずれかに記載の導電体又は透明導電膜付基材を用いたタッチパネル。
18.13〜16のいずれかに記載の導電体又は透明導電膜付基材を用いた電気機器。
本発明によれば、低温乾燥で、複雑な工程を介さずに、表面抵抗が改善された導電体を提供することができる。
[低表面抵抗導電体の製造方法]
本発明の原導電体より低い表面抵抗を有する導電体(以下、本発明の導電体と呼ぶ)の製造方法(以下、本発明の方法と呼ぶ)は、
金属ナノワイヤを含有する原導電体を酸溶液に浸漬し、乾燥することを特徴とする。
「原導電体」とは、本発明の方法で処理される前の原材料たる導電体を意味し、それ自体導電性を有し、透明導電膜等として使用し得るものをいう。
「原導電体」及び「導電体」の形状は特に制限はなく、用途に応じて選択すればよく、例えば、薄膜(フィルム)状、プレート状、棒状等であってよい。好ましくは薄膜状である。また、「導電体」の光学的特性についても特に制限はなく、用途に応じて適宜選択すればよい。
また、「原導電体」及び「導電体」は、基材上に形成された導電膜であってもよく、絶縁性基材上に形成された導電膜、透明導電膜であってもよい。この場合、酸溶液に浸漬されるものは、具体的には、基材上に原導電体である導電膜が形成された導電膜付基材であるが、表面抵抗が低下するのは導電膜についてである。
基材上に形成された導電膜の膜厚は、求められる特性や含有する金属ナノワイヤの平均直径に依存して変動するが、例えば、5〜500nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。
膜厚(厚み)は、透過型電子顕微鏡(TEM)や触針式膜厚計を用いて測定することができる。
本発明の方法で用いる酸溶液に用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタミン酸、乳酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4,4−ビフェニルジスルホン酸、フェニルリン酸等の有機酸が挙げられる。好ましくは有機酸であり、特に好ましくはスルホ基を有する酸である。
「酸溶液」とは、上記酸の水溶液、有機溶媒溶液をいう。有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類等を用いることができ、アルコール類が好ましい。
酸溶液への浸漬条件は、0〜100℃の酸溶液に、10秒から30分間浸漬することが好ましい。より好ましい酸溶液の温度は、10〜70℃であり、さらに好ましくは15〜40℃である。100℃を超えると、基材や透明導電膜の変形や、金属ナノワイヤの変形(切断)が起こるおそれがある。より好ましい酸溶液への浸漬時間は、1〜10分間であり、さらに好ましくは2〜7分間である。10秒未満の場合、導電性(表面抵抗)が向上しないおそれがあり、30分間を超えると基材や透明導電膜の変形や、金属ナノワイヤの変形(切断)が起こるおそれがある。
酸溶液浸漬後の乾燥は常温でもよいが、加熱によることが好ましく、50〜150℃で5秒以上であることが好ましい。より好ましい乾燥温度は、70〜120℃である。より好ましい乾燥時間は、5秒以上60秒以下である。乾燥が不十分であると導電性(表面抵抗)が向上しないおそれがあり、加熱し過ぎると基材や透明導電膜の変形や、金属ナノワイヤの変形(切断)が起こるおそれがある。
さらに、乾燥した導電体を洗浄することが好ましい。洗浄することによって、導電体の透明度の改善が期待できる。
洗浄に用いる洗浄液としては、水、又はアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類等の有機溶媒が挙げられ、水又はアルコール類が好ましい。アルコール類としては、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール等が挙げられる。
金属ナノワイヤの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状等任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であるものが好ましい。
金属ナノワイヤの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤ分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
金属ナノワイヤの平均直径は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。耐久性を担保するため、金属ナノワイヤの平均直径は5nm以上であることが好ましい。
金属ナノワイヤの平均長としては、1μm〜100μmであることが好ましく、3μm〜50μmがより好ましく、5μm〜30μmがさらに好ましい。金属ナノワイヤの平均長が長すぎると金属ナノワイヤ製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長が短すぎると、十分な導電性を得ることができない場合がある。
金属ナノワイヤの平均直径及び平均長は、金属ナノワイヤのサイズに応じ、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査式電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を用い、TEM像やSEM像、光学顕微鏡像を観察することにより測定する。
平均直径は、100個の金属ナノワイヤを観察し、それぞれの短軸方向の測定で最も短い箇所の長さを測定し、その平均値を平均直径とすることができる。また、平均長は、100個の金属ナノワイヤを観察し、それぞれの長さを測定し、その平均値を平均長とする。金属ナノワイヤが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値の平均値を平均長とする。
また、透明導電層中の金属ナノワイヤの平均直径及び平均長は、透明導電層の対角線の交点を中心とした視野中にて観察される金属ナノワイヤについて測定を行う。視野中に100個の金属ナノワイヤがない場合はさらに視野を広げて測定を行う。
金属ナノワイヤのアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長/平均直径の比)を意味し、上述の方法で測定した平均長及び平均直径の値から算出できる。
本発明の方法によって得られる導電体は、原導電体に比べて表面抵抗が低く、高い導電性を有している。導電体が透明導電層である場合には、全光線透過率が85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
導電体が透明導電層である場合には、ヘイズが3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましい。理由は定かではないが、原導電体に比べてヘイズは改善する傾向が見られる。
本発明の導電体は、表面抵抗が65Ω/□以下であることが好ましく、60Ω/□以下であることがより好ましく、55Ω/□以下であることがさらに好ましい。
本発明の方法によって得られる導電体は、原導電体に比べて、表面抵抗の低下率が25〜40%であることが好ましく、27〜40%であることがより好ましい。表面抵抗の低下率(%)は、次式で算出する。
表面抵抗の低下率(%)=[A−B]/A×100
(式中、Aは原導電体の表面抵抗(Ω/□)を示し、Bは導電体の表面抵抗(Ω/□)を示す。)
原導電体は、金属ナノワイヤを含有する導電体であればその組成は特に限定されない。通常は金属ナノワイヤの他にバインダー成分を含有する。バインダーは、金属ナノワイヤを含んで導電体(層、膜等)を形成する物質の総称であり、金属ナノワイヤの分散を安定に維持させる機能を有する。
バインダーは特に限定されず、導電体を形成するために用いられる公知の材料であってよい。バインダーは、非感光性のものでも、感光性のものでもよいが、非感光性のものが好ましい。
非感光性のバインダーとしては、有機高分子又は無機高分子を含むものが挙げられる。有機高分子又は無機高分子は下記の1種又は2種以上を用いてもよい。
有機高分子の具体例としては、ポリメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリレート(例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテル等の高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース誘導体、シリコーン、シリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、含フッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン)、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)又はデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)等が挙げられる。
無機高分子としては、アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物、並びにTi、Zr及びAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、さらに所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物を挙げることができる。これらの無機高分子は、1種又は2種以上を用いてもよい。
上記ゾルゲル硬化物は、キズ及び磨耗に対して高い耐性を有するものが容易に製造できるという点から好ましい。
アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物としては、(B−1)〜(B−7)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いてもよい。
(B−1)アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
(B−2)テトラアルコキシシラン化合物、
(B−3)アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないオルガノアルコキシシラン化合物
(B−4)エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
(B−5)アルコキシ基を有するブロック化イソシアナトシラン化合物
(B−6)炭素間に二重結合を有するシラン化合物
(B−7)メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
(B−1)〜(B−5)成分は、加水分解縮合物であり、(B−6)〜(B−7)成分は、加水分解縮合物であってもよい。加水分解縮合物は(B−1)〜(B−7)成分の単独の化合物の加水分解縮合物であってもよいし、(B−1)〜(B−7)成分の中の任意の2種以上からなる混合物の加水分解縮合物であってもよい。
本発明において、アルコキシ基を含むシラン化合物とは、アルコキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物であり、アルコキシシラン化合物の部分縮合物とは、アルコキシシラン化合物の一部が縮合し、分子内にシロキサン結合(Si−O結合)を形成してなるポリアルコキシシラン化合物又はポリオルガノアルコキシシラン化合物を指す。
また、アルコキシ基を含むシラン化合物の加水分解縮合物とは、アルコキシ基を含むシラン化合物の加水分解縮合物の他に加水分解縮合前の該アルコキシ基を含むシラン化合物を含んでもよい。
アルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物は、好ましくは(B−1)〜(B−5)の全てを含む。
(B−1)アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(アミノ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物である、アミノ基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(3)で表わすことができる。
Si(OR4−b ・・・(3)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基;又はアミノ基(−NH基)、アミノアルキル基〔−(CH−NH基(ただし、xは1〜3の整数)〕)、アルキルアミノ基〔−NHR基(ただし、Rは炭素数1〜3のアルキル基)〕の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、アミノ基、アミノアルキル基又はアルキルアミノ基のいずれかで置換された炭素数1〜3のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、bは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(3)において、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基については、後述する式(1)又は(2)と同じである。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基である。好ましくはbは1である。
式(3)で表わされるアミノ基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N―(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、アミノ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物としては、例えば、信越シリコーン株式会社製の「KBP−90」等が挙げられる。
(B−2)テトラアルコキシシラン化合物
テトラアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物又はシロキサン結合(Si−O結合)で結合された部分縮合物(ポリアルコキシシラン化合物)を用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(1)で表すことができ、特に下記式(6)で表される化合物が好適である。
Si(OR (1)
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシアルキル基である。複数のRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2016062653
[式中、Rは、上記と同じであり、nは1〜15の整数である。]
式(1)及び(6)において、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、各種ブチル基が挙げられ、また、Rが炭素数1〜4のアルコキシアルキル基であるORとしては、例えば、2−メトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基等が挙げられる。
テトラアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン等が挙げられる。
また、ポリアルコキシシラン化合物としては、多摩化学工業株式会社製の「Mシリケート51」「シリケート40」「シリケート45」、コルコート株式会社製の「メチルシリケート51」「メチルシリケート53A」「エチルシリケート40」「エチルシリケート48」等が挙げられる。
(B−3)アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基を含まないオルガノアルコキシシラン化合物
オルガノアルコキシシラン化合物としては、オルガノアルコキシシラン化合物又はその部分縮合物を用いることができる。オルガノアルコキシシラン化合物は、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基を含まない。
これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オルガノアルコキシシラン化合物として、オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、好ましくは2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシランであり、例えば下記式(2)で表わすことができ、特に下記式(7)で表される化合物が好適である。
Si(OR4−a ・・・(2)
[式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基又はフェニル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシアルキル基であり、aは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2016062653
[式中、R及びRは上記と同じであり、mは1〜15の整数である。]
式(2)及び(7)において、炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基等が挙げられ、フッ素化アルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。また、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシアルキル基については、式(1)で説明した通りである。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基である。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基である。好ましくはaは1である。
式(2)で表わされるオルガノアルコキシシラン化合物の中で、3官能アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、デシルトリブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフッ素化アルキル(トリアルコキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。また2種類のアルコキシ基を含むメチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等も挙げられる。
2官能アルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
ポリオルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、多摩化学工業株式会社製の「MTMS−A」、コルコート株式会社製の「SS−101」、東レ・ダウコーニング株式会社製の「AZ−6101」「SR2402」「AY42−163」等が挙げられる。
また、(B−2)及び(B−3)のアルコキシシラン化合物は、下記式(10)で示される化合物であってもよい。
Si(OR 4−a ・・・・(10)
(式(10)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
式(10)におけるR及びRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。アルキル基又はアリール基は置換基をさらに有していてもよい。この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、式(11)で示される化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
式(10)においてaが2の場合、即ち、ジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
式(10)においてaが3の場合、即ち、トリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(10)においてaが4の場合、即ち、テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
(B−4)エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物であって、アミノ基及びイソシアネート基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(エポキシ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基及びアルコキシ基を有するシラン化合物である、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(4)で表わすことができる。
Si(OR4−c ・・・(4)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基;又はグリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、グリシドキシ基又は3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、cは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(4)において、炭素数1〜4のアルキル基については、前記式(1)で説明した通りであり、炭素数1〜6のアルキル基は前記式(2)の炭素数1〜10のアルキル基のうち炭素数1〜6のものである。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基又はグリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又はグリシドキシ基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基である。好ましくは、bは2である。
式(4)で表わされるエポキシ基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具体例としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(B−5)アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物
アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物(一般的にブロック化イソシアナトシラン化合物、ブロック化イソシアナートシラン化合物とも称される)は、アルコキシ基及びブロック化イソシアネート基を含むが、アミノ基及びエポキシ基を含まないアルコキシシラン化合物である。また、その部分縮合物(ブロック化イソシアネート基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ブロック化イソシアナトシラン化合物とは、イソシアネート基をオキシム等のブロック剤で保護して不活性としておき、加熱により脱ブロック化してイソシアネート基が活性化(再生)されるイソシアナトシラン化合物(一般的にイソシアネートシラン化合物とも称される)である。
アルコキシ基を有するブロック化イソシアネートシラン化合物である、ブロック化イソシアネート基含有オルガノアルコキシシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(5)で表わすことができる。
Si(OR4−d ・・・(5)
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基;又はブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、ブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、dは1又は2である。Rが複数ある場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のORは同一でも異なっていてもよい。]
上記式(5)において、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基、については、前記式(1)又は(4)で説明した通りである。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基又はブロック化イソシアネート基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。好ましくはRは炭素数1〜4のアルキル基である。好ましくはdは1である。
前記式(5)で表わされるブロック化イソシアネート基含有オルガノアルコキシシラン化合物の具合例としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン等の化合物におけるイソシアネート基を、ブロック化剤で保護したものが挙げられる。これらの中で、好ましい化合物としては、3−ブロック化イソシアナトプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
イソシアネート基のブロック化剤としては、アセトオキシム、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム化合物、ε−カプロラクタム等のラクタム類、モノアルキルフェノール(クレゾール、ノニルフェノール等)等のアルキルフェノール類、3,5−キシレノール、ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール類、トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルのようなアセト酢酸エステル等の活性メチレン化合物類、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の水酸基含有エーテル類、乳酸エチル、乳酸アミル等の水酸基含有エステル類、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類、アセトアニリド、ダイマー酸アマイド等の酸アミド類、イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、コハク酸イミド、フタル酸イミド等の酸イミド類等を使用できる。またブロック化剤解離温度を制御するため、ジブチル錫ジラウレート等の触媒を併用してもよい。
(B−6)炭素間2重結合を有するシラン化合物
(B−6)成分は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基等の炭素間2重結合を有する基を含むシラン化合物であって、好ましくはアルコキシ基を含む。また、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基は含まない。
尚、(B−6)成分の「炭素間2重結合」は、芳香族二重結合を含まない。本明細書において、芳香族二重結合とは、4n+2個(nは0以上の整数)のπ電子を有する環状共役化合物における二重結合である。
本発明で用いるバインダーは(B−6)炭素間2重結合を有するシラン化合物を含む場合、熱硬化に加え、光硬化(UV硬化)、電子線硬化(EB硬化)が可能となる。
炭素間2重結合を有するシラン化合物としては、その部分縮合物(炭素間2重結合を有する基を含有するポリオルガノアルコキシシラン化合物)も用いることができる。これら化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素間2重結合を有するシラン化合物及びその部分縮合物は、例えば下記式(20)で表すことができる。
20 Si(OR214−e ・・・(20)
[式中、R20は炭素数1〜4のアルキル基;ビニル基;又はビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する置換基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、R20の少なくとも1つは、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する置換基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。R21は炭素数1〜4のアルキル基であり、eは1又は2である。R20が複数ある場合、複数のR20は同一でも異なっていてもよく、複数のOR21は同一でも異なっていてもよい。]
上記式(20)において、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基については、式(1)又は(4)で説明した通りである。好ましくは、R20は炭素数1〜4のアルキル基、又はビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。好ましくは、eは1である。
ビニル基、アクリル基及びメタクリル基の中から選ばれる1以上の基を有する置換基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基は、好ましくは、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基及びメタクリロキシ基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であり、より好ましくは、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基及びメタクリロキシ基の中から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基である。
式(20)で表される化合物の具体例として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリルシラン化合物(アクリル基含有シラン化合物)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物が挙げられる。
(B−7)メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物
メルカプト基及びアルコキシ基を有するシラン化合物は、チオール基(IUPAC;別名は水硫基、メルカプト基、スルフヒドリル基)を有する基を含むシラン化合物であって、アルコキシ基を含む。また、アミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基は含まない。また、トリアジンチオール基を有する基を含むシラン化合物であってもよい。
(B−7)成分の具体例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。アルコキシオリゴマーとしては、信越化学工業株式会社製X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810等が挙げられる。さらに、トリアジンチオール基含有シリコーンアルコキシオリゴマーとしては、信越化学工業株式会社製X−24−9451、X−24−9452,X−24−9453,X−24−9454が挙げられる。
Ti、Zr及びAlからなる群から選ばれた元素の特定アルコキシド化合物としては、下記式(11)で示される化合物であることが好ましい。
M(OR 4−a ・・・・(11)
(式(11)中、MはTi、Al及びZrから選択される元素を示し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
式(11)におけるR及びRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。アルキル基又はアリール基は置換基をさらに有していてもよい。この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、式(11)で示される化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
(アルコキシチタネート)
MがTiでaが2の場合、即ち、ジアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが3の場合、即ち、トリアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが2の場合、即ち、テトラアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
(ジルコニウム又はアルミニウムのアルコキシド)
MがZrの場合、即ち、ジルコニウムのアルコキシドとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
MがAlの場合、即ち、アルミニウムのアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
これらの特定アルコキシドは市販品として容易に入手できるほか、公知の合成方法、例えば各金属塩化物と任意のアルコールとの反応によって製造してもよい。
上記アルコキシドは、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
ゾルゲル硬化膜をバインダーとする導電性層は、金属ナノワイヤと特定アルコキシド化合物を含む含水溶液を塗布液(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)として、基材上に塗布して塗布液膜を形成し、この塗布液膜中で特定アルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせ、さらに必要に応じて加熱して水を蒸発、乾燥することにより、形成することが好ましい。ゾルゲル塗布液の調製に際しては、金属ナノワイヤの分散液を別に調製しておき、これと特定アルコキシド化合物とを混合してもよい。さらに、特定アルコキシド化合物を含む溶液を調製したのち、この溶液を加熱して特定アルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解及び重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある溶液と金属ナノワイヤの分散液とを混合したものをゾルゲル塗布液としてもよい。
(触媒)
ゾルゲル反応を促進させるため、酸性触媒又は塩基性触媒を添加することが好ましい。以下、この触媒について、説明する。
触媒としては、アルコキシド化合物の加水分解及び重縮合の反応を促進させるものであれば、任意のものを使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、又は、水又はアルコール等の溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)が使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量等に応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが好ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、乾燥後の導電性層中にほとんど残留しない化合物が好ましい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸等のハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、ギ酸や酢酸等のカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水等のアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリン等のアミン類等が挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期表の第2族,第13族,第4族、及び、第5族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Ba等の第2族元素、Al,Ga等の第13族元素,Ti,Zr等の第4族元素及びV,Nb及びTa等の第5族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物としては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオン等のβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等のケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチル等のヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノン等のケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステル等のエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基又はカルボニル炭素に置換基を有する化合物も含む。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基等通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。即ち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質及び高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
上記触媒は、前記ゾルゲル塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(溶剤)
上記のゾルゲル塗布液には、基材上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、溶剤を含有させてもよい。
このような溶剤としては、例えば、水、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等)、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等)、塩素系溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等)、芳香族系溶剤(例えば、ベンゼン、トルエン等)、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等)、エーテル系溶剤(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、グリコールエーテル系溶剤(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等)等が挙げられる。
基材上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布液膜中においては、特定アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布液膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
バインダーは、上記成分に加え必要に応じて(C)有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子を含んでいてもよい。
(C)有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子
有機高分子微粒子としては、エチレン系不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体、スチレン、酢酸ビニル等)を重合させたものが例示される。
有機高分子微粒子は、製造性、組成物中における分散性、組成物の塗工性及び塗膜の透明性等の観点から、平均粒子径が1〜200nmの範囲にあるものが好ましく、1〜100nmの範囲にあるものがより好ましい。尚、この有機高分子微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。また、動的光散乱法によって測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
上記動的光散乱法は、例えば有機高分子微粒子をイオン交換水で100倍希釈した液を動的光散乱法粒子径分布測定装置(ベックマンコールター株式会社製、コールターカウンターN5)を用いて測定を行い、ユニモーダル解析(単分散モード解析)による平均粒子径を求める。これを5回繰り返し行い、5回分の平均粒子径の平均値を有機高分子の平均粒子径とすることができる。
有機高分子微粒子の平均粒子径をD、金属ナノワイヤの平均長をLとした時、D/L<0.010未満であることが好ましく、より好ましくはD/L<0.0050未満である。
本発明においては、当該有機高分子微粒子は、分散媒体に分散させた形態で用いることが好ましく、分散媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール等の低級アルコール、メチルセロソルブ等のセロソルブ類等が好ましく挙げられる。このような分散媒体を用いることにより、有機高分子微粒子の分散性が向上し、沈降を防ぐことができる。さらに好ましくは分散媒体が水のものである。
有機高分子微粒子の製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、乳化重合法や微細懸濁重合法等を採用することができる。
乳化重合法は、エチレン性不飽和単量体、水性分散媒体、アニオン性又はノニオン性界面活性剤からなる乳化剤及び水溶性重合開始剤を用いて、微細な液滴に乳化させて上記単量体混合物を包む界面活性剤ミセル層内で重合を進め、有機高分子微粒子の分散液を得る方法である。
一方、微細懸濁重合液は、まず、水性媒体中に、前記単量体、油溶性重合開始剤、乳化剤及び必要に応じその他添加剤を加えてプレミックスし、ホモジナイザにより均質化処理して、油滴の粒子径調節を行う。次いで均質化処理した液を重合器に送り、重合反応を行い、有機高分子微粒子の分散液を得る方法である。
上記いずれかの方法も、重合温度は30〜80℃程度である。
乳化重合に用いる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、これらの開始剤又はクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシドに、酸性亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。
一方、微細懸濁重合に用いる油溶性重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキシド類、ケトンパーオキシド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等の油溶性有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。
有機高分子微粒子の具体例としては、一方社油脂工業株式会社製のエマルション系高分子紫外線吸収剤ULS−700、ULS−1700、ULS−383MA、ULS−1383MA、ULS−383MG、ULS−385MG、ULS−1383MG、ULS−1385MG、ULS−635MH等、日信化学工業株式会社製ビニブラン700、701、711、日本ゼオン株式会社製ニポールシリーズ等が挙げられる。
前記有機高分子微粒子を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機微粒子としては、銀や銅等の金属微粒子、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ITO、ATO(三酸化アンチモン)等の金属酸化物微粒子が挙げられる。
無機微粒子は好ましくはコロイダルシリカである。コロイダルシリカとは、コロイドシリカ、コロイド珪酸ともいう。水中では、水和によって表面にSi−OH基を有する酸化ケイ素のコロイド懸濁液をいい、珪酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えると生成する。最近は、新しい調製法が次々に開発され、非水溶液中に分散したものや、気相法で作った微粉末状のものがあり、また、中空タイプのものもあり、粒子径も数nmから数μmのものまで多彩である。
無機微粒子の平均粒子径としては1〜200nm程度のものが好ましい。粒子の組成は不定で、シロキサン結合(−Si−O−、−Si−O−Si−)を形成して、高分子化しているものもある。粒子表面は多孔性で、水中では一般的に負に帯電している。
尚、上記平均粒子径は例えば無機微粒子を乾燥・焼成・粉砕した後、BET比表面積測定装置(モノソーブMS−17)を用いて、窒素吸着法によりBET比表面積を求め、真状粒子と仮定したときの粒子径に換算することで測定できる。BET比表面積により平均粒子系が測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
無機微粒子の平均粒子径をD、金属ナノワイヤの平均長をLとした時、D/L<0.010未満であることが好ましく、より好ましくはD/L<0.0050未満である。
コロイダルシリカの市販品としては、扶桑化学工業株式会社製「超高純度コロイダルシリカ」クォートロンPLシリーズ(品名:PL−1、PL−3、PL−7)、同社製「高純度オルガノゾル」や、日産化学工業株式会社製「コロイダルシリカ(品名:スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL等)」や「オルガノシリカゾル(品名:メタノールシリカゾル、MA−ST−MS、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−MS、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST、DMAC−ST、PGM−ST等)」が挙げられる。
(C)成分として、コロイダルシリカを、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダーには、上記成分以外に、必要に応じ、従来のバインダーに用いられる公知の各種添加剤成分を含有させることができる。
必要に応じ含有させることのできる添加剤成分としては、例えば、分散安定剤、レベリング剤、重合開始剤、さらには潤滑性付与剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、防腐剤、ブルーイング剤、消泡剤(発泡防止剤)、光安定化剤、耐候性付与剤、着色剤、粘度調整剤、微粒子の分散剤(沈降防止剤)や微粒子表面活性の改質剤等を挙げることができる。
〈レベリング剤〉
バインダーには、得られる塗膜の平滑性、並びにコートの際のフロー性を向上させるために、レベリング剤を添加することができ、それらの添加剤として、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、並びに、フッ素系とアクリル系が複合化されたレベリング剤等が挙げられる。全て、塗膜表面に働き、表面張力を低下させる。各々特徴があり、目的に応じて使用することができる。表面張力の低下能力は、シリコーン系とフッ素系が強いが、アクリル系とビニル系はリコートを行う場合、濡れ不良が生じにくく有利である。
シリコーン系レベリング剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体等を用いることができる。シリコーン系レベリング剤の市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ−2118、FZ−77、FZ−2161等、信越化学工業株式会社製KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4453、TSF4460等、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−3510、BYK−3570等のポリエーテル変性シリコーンオイル(ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル)等を挙げることができる。
また、150℃以上の耐熱性が必要な場合は、ポリエステル変性やベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルが適している。ポリエステル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−310、BYK−315、BYK−370等、ベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−322、BYK−323等が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体等を用いることができる。
フッ素系レベリング剤の市販品としては、DIC株式会社製のMEGAFACシリーズ、住友スリーエム株式会社製のFCシリーズ等を挙げられる。
アクリル系レベリング剤の市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392等、フッ素を導入したBYK−340等が挙げられる。
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、組成物全量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.02〜5質量%である。
レベリング剤を配合する方法としては、組成物を調製する際に配合してもよいし、塗膜を形成する直前に組成物に配合してもよく、さらには組成物の調製と塗膜の形成直前の両方の段階で配合してもよい。
[原導電体である導電層を形成するための組成物の調製方法]
上記金属ナノワイヤ及びバインダーを適宜混合し、加熱等することで導電層形成用組成物を得ることができる。
[原導電体である透明導電層の形成]
前記金属ナノワイヤとバインダーからなる透明導電層形成用組成物を、基材上に塗布することで塗膜を形成する。例えば、スピンコーター、スプレー、浸漬、カーテンフロー、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター又は、ロールコーティング等の公知の方法により塗布する。
塗膜の厚みとしては、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜200nmになるように調整する。
その後、適当な乾燥条件、通常室温〜190℃、好ましくは、80〜140℃にて、1分〜24時間程度、好ましくは、2〜60分加熱乾燥することにより、透明導電層(原導電体)付基材が得られる。
基材に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂(例:JSR株式会社製「ARTON」、日本ゼオン株式会社製「ZEONOR」「ZEONEX」)、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、プラスチックレンズ用樹脂ポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、アクリロニトリルスチレン共重合体、メタクリルスチレン共重合体、脂環式アクリル、ジグリコールジアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピスルフィド等を挙げることができ、前記ポリマーを複数混合したポリマーアロイ・ポリマーブレンドでもよい。また、上記樹脂を複数積層した積層構造体でもよい。上記樹脂の中でも、ポリエステル系樹脂(特にポリエチレンテレフタラート)、ポリオレフィン系樹脂及びポリカーボネート樹脂が好ましい。
これらの樹脂を素材とする基材は、透明、半透明のいずれであってもよく、また着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。透明性に優れ、無着色のものが好ましい。
また、基材は樹脂製基材に限定されず、ガラス基材であってもよい。
基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、5μm〜30mm程度、好ましくは15μm〜10mmである。
原導電体である透明導電層の全光線透過率は、好ましくは85〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。
原導電体である透明導電層のヘイズは、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは2.0%以下である。
原導電体である透明導電層の表面抵抗は、好ましくは5〜500Ω/□であり、より好ましくは5〜200Ω/□である。
これら物性は、公知の方法で確認でき、例えば全光線透過率及びヘイズはヘイズメーターで、表面抵抗は低抵抗計を用いた四探針測定法や四端子測定法により確認できる。
[透明導電層のパターニング]
本発明の導電体からなる透明導電層はパターニングされていてもよい。パターニングは公知のフォトリソグラフィ等のウェットエッチング工程やレーザーエッチング工程をそのまま適用できる。パターニング工程は特に限定されず、ウェットエッチング、レーザーエッチングを好適に用いることができる。
[ウェットエッチングによるパターニング方法]
ウェットエッチングによるパターニングの方法は、フォトレジストとフォトマスクを用いる一般的なフォトリソグラフィや、非導通領域を形成したいパターンに合わせてエッチャントを印刷塗布する方法、非腐食性のマスクを通してエッチャントを塗布する方法等がある。これらの中で、再現性や精度の点で、フォトリソグラフィを好適に用いることができる。また、フォトレジストの代わりに感光性フィルムを転写するドライフィルムを用いることもできる。
フォトリソグラフィを用いる場合、形成された透明導電層の上にレジスト液を塗布してレジスト層を形成する。次に、このレジスト層を、フォトマスクを用いて紫外線照射し、その後、現像することによりレジスト層のパターニングを行う。次いで、レジスト層で被覆されていない透明導電層をエッチングして除去し、さらに残存するレジスト部分を剥離することでパターニングされた透明導電層を得る。
本発明の導電体からなる透明導電層は、エッチャントの浸透性が良好であるため、含有する銀ナノワイヤ等の導電性ナノ繊維を効果的にエッチングすることができる。
エッチャントとしては、金属ナノワイヤを溶解する、あるいは金属ナノワイヤを切断して短くする効果をもたらす酸性の薬剤を用いることができる。酸性の薬剤としては、例えば臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸等の無機酸や、メタンスルホン酸等の有機酸等を用いることができる。またこれらを複数組み合わせて含む混酸を用いることもできる。特に、臭化水素酸や硝酸が好ましい。
金属を酸化溶解させる薬剤を用いることもできる。金属を酸化溶解させる薬剤としては、たとえば、硝酸鉄(III)液(硝酸第二鉄液)、塩化鉄(III)液(塩化第二鉄液)、塩化銅(II)液(塩化第二銅液)等の金属化合物の水溶液、過酸化水素水、これらの混合液等を用いることができる。反応を制御するために酸やアルカリと混合して用いてもよい。例えば、塩化銅(II)と塩酸の混合水溶液、過酸化水素水とアンモニア水の混合液等を、好適に用いることができる。
アルカリ性のエッチャントを用いることもできる。アルカリ性のエッチャントとしては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。
市販のエッチャントでは、SEA−NW01、SEA−NW02、SEA−1、ITO−02(関東化学株式会社製)、GNW203、GNW300、GNW410(林純薬工業株式会社製、Pure Etchシリーズ)等を用いることができる。
これらの薬剤は、原液を直接用いてもよいし、水等の溶媒で希釈して用いてもよい。添加剤を加えて用いてもよい。エッチングの処理温度及び処理時間は特に限定しないが、エッチング液の種類及び透明導電層の厚みに合わせて設定することが好ましい。最適の状態では、ヘイズや全光線透過率等の光学特性は処理前と同等であり、エッチングされた領域の表面抵抗が10Ω/□以上となる。処理が不足すると絶縁性が不十分となり、処理が過剰であると基材等へのダメージが生じて光学特性を悪化させる場合がある。また、処理温度及び処理時間を適切に制御することで、銀ナノワイヤ等の導電性ナノ繊維を完全に溶解させずに短い繊維に切断して非導通領域を形成する、パーシャルエッチングを行うことができる。これにより、導通部と非導通部の反射率や光散乱の差を小さくすることができ、パターンの視認性を低くすることができる。
[レーザーエッチングによるパターニング方法]
透明導電層のパターニングにドライエッチングの一方法として、レーザーエッチングを好適に用いることができる。この場合、集光されたレーザー光で、導電層を蒸発除去することで、非導通化する。レジスト塗布、マスク露光、現像、エッチング、レジスト剥離、洗浄という一連の工程を必要とするウェットエッチングによるパターニングに比べ、簡便な設備と短い工程で、高精度なパターンを得ることができる。本発明にレーザーエッチングを適用する場合、レーザー照射による除去性が良好で、下地基材へのダメージを抑制して、効率的にエッチングすることができる。
レーザー光源としては、YAGやYVO等のパルスレーザー光、炭酸ガスレーザー等の連続発振レーザー光が挙げられる。特に、YAGやYVO等の波長1064nmもしくはその2次高調波を使用した532nmのパルス状レーザー光が好ましい。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
[1]前駆組成物の調製
容積50mLのサンプル管に、有機高分子微粒子:ULS−1385MG((C)成分+(E)成分)0.80gを仕込み、500rpmで撹拌しながら、1−メトキシ−2−プロパノール((E)成分)4.25g、水((E)成分)0.50g、酢酸((D)成分)0.50g、Mシリケート51((B−2)成分)0.40g、メチルトリメトキシシラン((B−3)成分)1.51g、ジメトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン((B−4)成分)0.55g、20質量%p−トルエンスルホン酸メタノール液((D)成分+(E)成分)0.05gの順に、それぞれ1分間かけて滴下した。引き続き、室温、500rpmで60分撹拌後、一日静置し、これをA液とした。
容積20mLのサンプル管に、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン1.10g及び2−ブタノンオキシム(イソシアネート基のブロック化剤)0.35gを仕込み、室温、500rpmで10分撹拌後、一日静置し、これをC液とした。イソシアネート基がブロック化されたことについては、13C−NMRでイソシアネート基のシグナルが消失することにより確認した。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランと2−ブタノンオキシムの配合量の合計をブロック化イソシアナトシラン化合物:(B−5)成分の量とした。
冷却管を取り付けた200mL三口フラスコに、A液と撹拌子を入れ、500rpmで撹拌しながら、B液としてIPA−ST−L((C)成分+(E)成分)6.50gを5分間かけて滴下し、室温で60分間撹拌した。続いて、窒素気流下、600rpm、80℃で3時間加熱した。引き続き、C液を加え、同条件にて80℃で4時間撹拌後、室温で一晩静置した。
さらに、これにD液として3−アミノプロピルトリメトキシシラン((B−1)成分)0.40gを2分間かけて滴下した。室温で10分撹拌後、さらに窒素気流下、700rpm、80℃で3時間加熱した。
[2]銀ナノワイヤ分散液の調製
固形分濃度が0.5質量%となるように平均直径25nmで平均長20μmの銀ナノワイヤをイソプロピルアルコールに分散させ、銀ナノワイヤ分散液(固形分濃度:0.5質量%)を調製した。
[3]透明導電膜形成用組成物の調製
製造例1で調製した組成物1.65gにイソプロピルアルコール(IPA)93.80gを加え、調製した銀ナノワイヤ分散液を95.50g添加し、室温で撹拌することで透明導電層形成用組成物を調製した。得られた透明導電層形成用組成物は、表1に示す組成を有する。
尚、表1において括弧内の数値(%)は、(A)〜(D)成分の合計質量を100%とした際の質量%を示す。また、(E)成分の数値(部)は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対する質量部を示す。
表1の商品名で記載した成分は、具体的には以下である:
ULS−1385MG有機高分子微粒子、一方社油脂工業株式会社製(水分散/固形分濃度30質量%)、平均粒子径55〜75nm(前述の動的光散乱法により測定))
Mシリケート51:テトラメトキシシランの部分縮合物(平均3〜5量体)であるポリアルコキシシラン、多摩化学工業株式会社製
IPA−ST−L:コロイダルシリカ、日産化学工業株式会社製(イソプロパノール分散、コロイダルシリカ濃度30質量%、平均粒子径40〜50nm(前述のBET比表面積測定装置を用いた測定法で測定))
Figure 2016062653
比較例1
製造例1で製造した透明導電層形成用組成物をバー#6を用いてバーコーターでガラス基材に塗布し、室温で3分、その後、100℃で1分乾燥させ、ガラス基材上に透明導電層(原導電体)を形成し、透明導電層付ガラス基材を得た。
実施例1
比較例1で得られた透明導電層付ガラス基材を0.5mol/L p−トルエンスルホン酸(pTSA)IPA溶液の入ったビーカーに室温で5分間浸漬させた後、ビーカーから取り出し、100℃で10秒熱処理を施した。さらにIPAの入ったビーカーに5分間浸漬させた後、ビーカーから取り出し、エアブローで乾燥させた。
実施例2
実施例1のpTSAをベンゼンスルホン酸(BzSA)に変更した他は、実施例1同様に行った。
実施例3
pTSAの濃度を0.05mol/Lに変更した他は、実施例1と同様に行った。
実施例4
pTSAの濃度を1.0mol/Lに変更した他は、実施例1と同様に行った。
実施例及び比較例で得られた透明導電層について以下の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)膜厚測定
基材を5等分しそれぞれの中心点において、触針式膜厚計を用いて、透明導電層の膜厚測定を行い、これらの5点の平均値を膜厚とした。
(2)全光線透過率
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)にて、ASTMD1003に準拠し基材及び透明導電層からなる積層体を用いて基材を基準に透明導電層の全光線透過率を測定した。
(3)ヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)にて、ASTMD1003に準拠し基材及び透明導電層からなる積層体を用いて基材を基準に透明導電層のヘイズ値を測定した。
(4)表面抵抗測定
低抵抗率計(Loresta-GP MCP-T-610、三菱化学製)を用い、JIS K 7194に基づき、四探針測定法により透明導電層の表面抵抗を測定した。
(5)密着性評価
市販のセロハンテープ(ニチバン製CT‐24(幅24mm))を透明導電層上に貼り、指の腹でよく密着させたのち、セロハンテープを剥離した。セロハンテープ剥離後の透明導電層の表面抵抗を測定し、セロハンテープ密着前の表面抵抗と剥離後の抵抗が同等であれば「○」、表面抵抗が同等の範囲を超えて高くなった場合は「×」とした。
Figure 2016062653
本発明の方法で得られた導電体は、タッチパネル、それを用いた表示装置、液晶ディスプレイ等の各種の電気機器の部材として有用である。
本発明の導電体は、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、有機EL照明、太陽電池、調光フィルム、調光ガラス、透明ヒーター等の電気機器に好適に使用される。また、当該タッチパネルは表示装置に好適に用いられる。

Claims (18)

  1. 金属ナノワイヤを含有する原導電体を、酸溶液に浸漬し、乾燥することを特徴とする、原導電体より低い表面抵抗を有する導電体の製造方法。
  2. 前記原導電体が、基材上に形成された導電膜である請求項1に記載の導電体の製造方法。
  3. 前記原導電体が、絶縁性基材上に形成された導電膜である請求項2に記載の導電体の製造方法。
  4. 前記原導電体が、絶縁性基材上に形成された透明導電膜である請求項2又は3に記載の導電体の製造方法。
  5. 前記乾燥が、50〜150℃で5秒以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  6. 前記乾燥後、洗浄することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  7. 前記酸溶液が、有機酸であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  8. 前記有機酸が、スルホ基を有する酸であることを特徴とする、請求項7に記載の導電体の製造方法。
  9. 前記金属ナノワイヤを含有する原導電体が、バインダー成分を含み、前記金属ナノワイヤの割合が5〜98重量%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  10. 前記原導電体中の金属ナノワイヤの平均直径が、5nm以上150nm以下であり、平均長が1μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  11. 前記金属ナノワイヤが、銀ナノワイヤであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  12. 前記洗浄に用いる洗浄液が、水又は/及びアルコールであることを特徴とする、請求項6〜11のいずれかに記載の導電体の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の導電体の製造方法によって製造された導電体。
  14. 透明導電膜であることを特徴とする、請求項13に記載の導電体。
  15. 前記原導電体に比べて、下記式で求められる、表面抵抗の低下率が25〜40%であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の導電体。
    表面抵抗の低下率(%)=[A−B]/A×100
    (式中、Aは原導電体の表面抵抗(Ω/□)を示し、Bは導電体の表面抵抗(Ω/□)を示す。)
  16. 基材上に請求項14に記載の透明導電膜が形成された透明導電膜付基材。
  17. 請求項13〜16のいずれかに記載の導電体又は透明導電膜付基材を用いたタッチパネル。
  18. 請求項13〜16のいずれかに記載の導電体又は透明導電膜付基材を用いた電気機器。

JP2014186954A 2014-09-12 2014-09-12 表面抵抗が改善された導電体及びその製造方法 Pending JP2016062653A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020172583A (ja) * 2019-04-10 2020-10-22 ナノ・グラス・コート・ジャパン株式会社 帯電防止用コーティング組成物
WO2022227839A1 (zh) * 2021-04-28 2022-11-03 北京梦之墨科技有限公司 一种电子器件及其制作方法

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