JP2016060754A - 組成物、組成物の製造方法、該組成物から得られる導電性物質、該組成物から得られる導電層付き基板及び透明導電層付き基板、並びに該透明導電層付き基板の製造方法 - Google Patents

組成物、組成物の製造方法、該組成物から得られる導電性物質、該組成物から得られる導電層付き基板及び透明導電層付き基板、並びに該透明導電層付き基板の製造方法 Download PDF

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直子 荒井
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Kenichi Sasaki
健一 佐々木
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Atsushi Yao
篤史 八百
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Abstract

【課題】表面抵抗が改善した透明導電層が形成可能な組成物を提供する。
【解決手段】(A)金属ナノワイヤ、(B)バインダ及び(C)酸を含む組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、組成物の製造方法、該組成物から得られる導電性物質、該組成物から得られる導電層付き基板及び透明導電層付き基板、及びこれらを用いたタッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、有機EL照明、太陽電池、調光フィルム、調光ガラス、透明ヒーター等の電気機器、並びに該透明導電層付き基板の製造方法に関する。
透明導電膜は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(OLED)、太陽電池(PV)及びタッチパネル(TP)等の透明電極、帯電防止(ESD)フィルム並びに電磁波遮蔽(EMI)フィルム等の種々の分野で使用されており、低い表面抵抗、高い光線透過率、高い信頼性が要求される。
これらの透明電極に用いられる透明導電膜には、従来、ITO(酸化インジウム錫)が用いられてきた。
しかしながら、ITOに用いられるインジウムは供給不安と価格高騰の問題を抱えている。また、ITOの製膜には、高真空を必要とするスパッタ法が用いられているため、製造装置が大規模となり、製造時間とコストが大きい。さらに、ITO膜は曲げ等の物理的な応力によってクラックが発生し壊れ易い。ITO膜のスパッタの際に高熱が発生するため、フレキシブル基板の高分子がダメージを受けるので、フレキシブル性を付与した基板に対して適用することは困難である。
そのため、これらの問題点を解消したITOに代わる導電層材料の探索が活発に進められている。
ITOに代わる導電層材料の中でも、スパッタリングが不要で塗布成膜可能な材料が注目を集めており、例えば(i)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)等の高分子系導電材料(特許文献1);(ii)金属ナノワイヤを含有する導電性材料(特許文献2及び非特許文献1);(iii)銀微粒子によるランダムな網目状構造からなる導電性材料(特許文献3);(iv)カーボンナノチューブを含有する導電性材料等のナノ構造の導電性成分を含有する導電性材料(特許文献4);(v)金属の微細配線を用いた微細メッシュからなる導電性材料(特許文献5)が報告されている。
しかしながら、得られる透明導電膜の表面抵抗が高いという欠点を有している。
金属ナノワイヤ等を用いた透明導電膜の表面抵抗を下げる(改善する)方法として、金属ナノワイヤの交点を圧着したり、金属ナノワイヤをめっきしたり、高温で焼成する方法が開示されているが(特許文献6及び7)、工程が煩雑となって生産性が低下するほか、高温焼成は基材が限定されるという問題点があった。
特開2004−59666号公報 特開2009−505358号公報 特開2008−78441号公報 特開2007−112133号公報 特開2007−270353号公報 米国特許8618531号明細書 WO09/035059号パンフレット
Shin−Hsiang Lai,Chun−Yao Ou,"SID 08 DIGEST",2008、P1200−1202
本発明の目的は、表面抵抗が改善した透明導電層が形成可能な組成物を提供することである。
本発明の他の目的は高温焼成を必要としない表面抵抗が改善した透明導電層の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の組成物等が提供される。
1.下記成分(A)−(C)を含む組成物。
(A)金属ナノワイヤ
(B)バインダ
(C)酸
2.前記酸が有機酸である1に記載の組成物。
3.前記酸がスルホ基を有する酸である1又は2に記載の組成物。
4.前記酸の含有量が、前記成分(A)、(B)及び(C)に対して2〜90重量%である1〜3のいずれかに記載の組成物。
5.前記金属ナノワイヤの平均直径が5nm以上150nm以下であり、平均長が1μm以上100μm以下である1〜4のいずれかに記載の組成物。
6.前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである1〜5のいずれかに記載の組成物。
7.前記金属ナノワイヤの含有量が、前記バインダとの重量百分率(金属ナノワイヤ/(バインダ+金属ナノワイヤ))で5〜98重量%である1〜6のいずれかに組成物。
8.(A)金属ナノワイヤ及び(B)バインダを含む第1の組成物を調製し、
前記第1の組成物に(C)酸を含む第2の組成物を添加する組成物の製造方法。
9.1〜7のいずれかに記載の組成物を乾燥して得られる物質。
10.1〜7のいずれかに記載の組成物を乾燥して得られる導電性物質。
11.1〜7のいずれかに記載の組成物を塗布して得られる導電層を有する導電層付き基板。
12.1〜7のいずれかに記載の組成物を塗布して得られる透明導電層を有する透明導電層付き基板。
13.1〜7のいずれかに記載の組成物を基板に塗布する透明導電層付き基板の製造方法。
14.前記組成物を基板に塗布し、10〜190℃で30秒以上乾燥させる13に記載の透明導電層付き基板の製造方法。
15.さらに溶媒に10秒以上浸漬する14に記載の透明導電層付き基板の製造方法。
16.12に記載の透明導電層付き基板を用いたタッチパネル。
17.9に記載の物質を用いた電気機器。
本発明によれば、表面抵抗が改善した透明導電層が形成可能な組成物が提供できる。
本発明によれば、高温焼成を必要としない表面抵抗が改善した透明導電層の製造方法が提供できる。
[組成物]
本発明の組成物は、下記成分(A)−(C)を含む:
(A)金属ナノワイヤ
(B)バインダ
(C)酸
本発明の組成物は酸を含むことで、表面抵抗が低下した透明導電層が得られる。
以下、各成分について説明する。
(A)金属ナノワイヤ
(A)成分である金属ナノワイヤは、組成物から得られる塗膜中でネットワークを形成して、塗膜に導電性を与える。
金属ナノワイヤを構成する金属としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、オスミウム、イリジウムからなる群から選択されるいずれか1つ、又は当該群から選択される2以上からなる合金である。金属ナノワイヤは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。高い全光線透過率及び高い導電性を得る観点から、金属ナノワイヤは、好ましくは金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、であり、より好ましくは銀ナノワイヤである。
金属ナノワイヤの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状等任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であるものが好ましい。
金属ナノワイヤの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤ分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
金属ナノワイヤの平均直径は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。耐久性を担保するため、金属ナノワイヤの平均直径は5nm以上であることが好ましい。
金属ナノワイヤの平均長としては、1μm〜100μmであることが好ましく、3μm〜50μmがより好ましく、5μm〜30μmがさらに好ましい。金属ナノワイヤの平均長が長すぎると金属ナノワイヤ製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長が短すぎると、十分な導電性を得ることができない場合がある。
金属ナノワイヤの平均直径及び平均長は、金属ナノワイヤのサイズに応じ、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査式電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を用い、TEM像やSEM像、光学顕微鏡像を観察することにより測定する。
平均直径は、100個の金属ナノワイヤを観察し、それぞれの短軸方向の測定で最も短い箇所の長さを測定し、その平均値を平均直径とすることができる。また、平均長は、100個の金属ナノワイヤを観察し、それぞれの長さを測定し、その平均値を平均長とする。金属ナノワイヤが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値の平均値を平均長とする。
また、透明導電層中の金属ナノワイヤの平均直径及び平均長は、透明導電層の対角線の交点を中心とした視野中にて観察される金属ナノワイヤについて測定を行う。視野中に100個の金属ナノワイヤがない場合はさらに視野を広げて測定を行う。
金属ナノワイヤのアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長/平均直径の比)を意味し、上述の方法で測定した平均長及び平均直径の値から算出できる。
(B)バインダ
(B)成分であるバインダは、金属ナノワイヤの分散を安定に維持させる機能を有する。当該バインダは、非感光性バインダであっても、感光性バインダであってもよい。
非感光性バインダとしては、有機高分子又は、無機高分子を含むものが挙げられる。
有機高分子としては、ポリメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリレート(例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子;ポリウレタン(PU)、エポキシ樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース誘導体、シリコーン、シリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、含フッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン)、並びに炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)などが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
無機高分子としては、例えばSi、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物を挙げることができる。
上記アルコキシドは市販品として容易に入手できるほか、公知の合成方法、例えば各金属塩化物と任意のアルコールとの反応によって製造してもよい。また、上記アルコキシドは、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
ゾルゲル硬化物は、キズおよび磨耗に対して高い耐性を有するものが容易に製造できるという点から好ましい。
(特定アルコキシド化合物)
特定アルコキシド化合物は、下記一般式(18)で示される化合物であることが好ましい。この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
M(OR 4−a ・・・(18)
(一般式(18)中、MはSi、Ti、AlおよびZrから選択される元素を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
一般式(18)におけるRおよびRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。
アルキル基又はアリール基は置換基を更に有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
更に詳しくは、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。
以下に、一般式(18)で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、アルコキシドとして下記具体例化合物を使用する場合、これら化合物のいずれか1以上を使用すればよい。
(アルコキシシラン)
MがSiでaが2の場合、すなわち、ジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、などを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
MがSiでaが3の場合、すなわち、トリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、などを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
MがSiでaが4の場合、すなわち、テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
(アルコキシチタネート)
MがTiでaが2の場合、すなわち、ジアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが3の場合、すなわち、トリアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが2の場合、すなわち、テトラアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
(ジルコニウムまたはアルミニウムのアルコキシド)
MがZrの場合、すなわち、ジルコニウムのアルコキシドとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
MがAlの場合、即ち、アルミニウムのアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
これらの特定アルコキシドは市販品として容易に入手できるほか、公知の合成方法、例えば各金属塩化物と任意のアルコールとの反応によって製造してもよい。
上記アルコキシドは、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
ゾルゲル硬化膜をバインダとする導電層は、金属ナノワイヤとアルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物を含む含水溶液を塗布液(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)として、基材上に塗布して塗布液膜を形成し、この塗布液膜中でアルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせ、更に必要に応じて加熱して水を蒸発、乾燥することにより、形成することが好ましい。ゾルゲル塗布液の調製に際しては、金属ナノワイヤの分散液を別に調製しておき、これとアルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物とを混合してもよい。更に、アルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物を含む溶液を調製したのち、この溶液を加熱してアルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物の少なくとも一部を加水分解および重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある溶液と金属ナノワイヤの分散液とを混合したものをゾルゲル塗布液としてもよい。
(触媒)
ゾルゲル反応を促進させるため、酸性触媒または塩基性触媒を添加することが好ましい。以下、この触媒について、説明する。
触媒としては、アルコキシド化合物又はアルコキシ基を有するシラン化合物の加水分解および重縮合の反応を促進させるものであれば、任意のものを使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、又は、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)が使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが好ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、乾燥後の導電層中にほとんど残留しない化合物が好ましい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、ギ酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期表の第2族,第13族,第4族、及び、第5族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg,Ca,St,Baなどの第2族元素、Al,Gaなどの第13族元素,Ti,Zrなどの第4族元素及びV,Nb及びTaなどの第5族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ジ(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電層の皮膜面質および高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
触媒は、前記ゾルゲル塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(溶剤)
上記のゾルゲル塗布液には、基板上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、溶剤を含有させてもよい。
このような溶剤としては、例えば、水、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど)、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールなど)、塩素系溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、芳香族系溶剤(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなど)、エーテル系溶剤(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、グリコールエーテル系溶剤(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなど)等が挙げられる。
非感光性マトリックスとしては、上述のゾルゲル硬化物が、膜強度の高い導電層が得られる点で好ましい。
導電層が本発明の組成物で構成される場合、基材上に予め接着層を設けておき、この接着層上に、上記の組成物で構成される導電層を設けた態様もとれる。バインダを含むことにより、導電層における金属ナノワイヤの分散が安定に維持される上、基材表面に導電層を接着層を介することなく形成した場合においても基材と導電層との強固な接着が確保される。
バインダ/金属ナノワイヤの含有比率は、例えば質量比で0.001/1〜100/1の範囲が適当である。このような範囲に選定することにより、基材への導電層の接着力、及び表面抵抗の適切なものが得られる。バインダ/金属ナノワイヤの含有比率は、質量比で0.01/1〜20/1の範囲がより好ましく、1/1〜15/1の範囲が更に好ましく、2/1〜8/1の範囲が特に好ましい。
(C)酸
(C)成分である酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタミン酸、乳酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4,4−ビフェニルジスルホン酸、ホスホン酸等の有機酸が挙げられる。好ましくは有機酸であり、特に好ましくはスルホ基を有する酸である。
組成物中の酸の含有量は、(A)、(B)及び(C)に対して好ましくは2〜90重量%であり、さらに好ましくは5〜90%であり、特に好ましくは10〜90%である。酸の含有量(酸/(酸+バインダ+金属ナノワイヤ))が2重量%未満では、導電性の改善効果が得られないおそれがあり、一方、酸の含有量が90重量%超では、造膜性が悪くなるおそれがある。
尚、組成物が触媒等として酸を含む場合、当該触媒等である酸も組成物中の酸に含まれる。
酸溶液の溶媒は、酸を溶解できれば特に制限はなく、バインダで説明した溶剤、及び後述する分散媒と同じものが使用できる。
(D)分散媒体
本発明の組成物は、金属ナノワイヤが分散媒体中に分散された状態で使用される。分散媒体は、バインダの溶剤もその機能を果たすことができるが、別途含んでもよい。
当該分散媒体は金属ナノワイヤ等を均一に混合し分散できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、水の他、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類等の有機系分散媒体を挙げることができる。これら有機系分散媒体のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
その他の分散媒体の具体例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、キシレン、ジクロロエタン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等が挙げられる。
これらの分散媒体の中で、分散媒体としての性能の観点から、水及びアルコール類が好ましい。
(D)成分として、前記分散媒体を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子
本発明の組成物は、さらに(E)有機微粒子及び/又は無機微粒子を含んでもよい。
本発明の組成物が、有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子を含むとは、有機高分子微粒子及び無機微粒子のいずれか一方を含む、又は有機高分子微粒子及び無機微粒子の両方を含むことを意味する。
有機高分子微粒子としては、エチレン系不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体、スチレン、酢酸ビニル等)を重合させたものが例示される。
有機高分子微粒子は、製造性、組成物中における分散性、組成物の塗工性及び塗膜の透明性等の観点から、平均粒子径が1〜200nmの範囲にあるものが好ましく、1〜100nmの範囲にあるものがより好ましい。尚、この有機高分子微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。また、動的光散乱法によって測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
上記動的光散乱法は、例えば有機高分子微粒子をイオン交換水で100倍希釈した液を動的光散乱法粒子径分布測定装置(ベックマンコールター株式会社製、コールターカウンターN5)を用いて測定を行い、ユニモーダル解析(単分散モード解析)による平均粒子径を求める。これを5回繰り返し行い、5回分の平均粒子径の平均値を有機高分子の平均粒子径とすることができる。
有機高分子微粒子の平均粒子径をD、金属ナノワイヤの平均長をLとした時、D/L<0.010未満であることが好ましく、より好ましくはD/L<0.0050未満である。
本発明においては、当該有機高分子微粒子は、分散媒体に分散させた形態で用いることが好ましく、分散媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール等の低級アルコール、メチルセロソルブ等のセロソルブ類等が好ましく挙げられる。このような分散媒体を用いることにより、有機高分子微粒子の分散性が向上し、沈降を防ぐことができる。さらに好ましくは分散媒体が水のものである。
有機高分子微粒子の製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、乳化重合法や微細懸濁重合法等を採用することができる。
乳化重合法は、エチレン性不飽和単量体、水性分散媒体、アニオン性又はノニオン性界面活性剤からなる乳化剤及び水溶性重合開始剤を用いて、微細な液滴に乳化させて上記単量体混合物を包む界面活性剤ミセル層内で重合を進め、有機高分子微粒子の分散液を得る方法である。
一方、微細懸濁重合液は、まず、水性媒体中に、前記単量体、油溶性重合開始剤、乳化剤及び必要に応じその他添加剤を加えてプレミックスし、ホモジナイザにより均質化処理して、油滴の粒子径調節を行う。次いで均質化処理した液を重合器に送り、重合反応を行い、有機高分子微粒子の分散液を得る方法である。
上記いずれかの方法も、重合温度は30〜80℃程度である。
乳化重合に用いる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、これらの開始剤又はクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシドに、酸性亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等の水溶性アゾ化合物等を挙げることができる。
一方、微細懸濁重合に用いる油溶性重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキシド類、ケトンパーオキシド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等の油溶性有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができる。
有機高分子微粒子の具体例としては、一方社油脂工業株式会社製のエマルション系高分子紫外線吸収剤ULS−700、ULS−1700、ULS−383MA、ULS−1383MA、ULS−383MG、ULS−385MG、ULS−1383MG、ULS−1385MG、ULS−635MH等、日信化学工業株式会社製ビニブラン700、701、711、日本ゼオン株式会社製ニポールシリーズ等が挙げられる。
前記有機高分子微粒子を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機微粒子としては、銀や銅等の金属微粒子、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ITO、ATO(三酸化アンチモン)等の金属酸化物微粒子が挙げられる。
無機微粒子は好ましくはコロイダルシリカである。コロイダルシリカとは、コロイドシリカ、コロイド珪酸ともいう。水中では、水和によって表面にSi−OH基を有する酸化ケイ素のコロイド懸濁液をいい、珪酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えると生成する。最近は、新しい調製法が次々に開発され、非水溶液中に分散したものや、気相法で作った微粉末状のものがあり、また、中空タイプのものもあり、粒子径も数nmから数μmのものまで多彩である。
無機微粒子の平均粒子径としては1〜200nm程度のものが好ましい。粒子の組成は不定で、シロキサン結合(−Si−O−、−Si−O−Si−)を形成して、高分子化しているものもある。粒子表面は多孔性で、水中では一般的に負に帯電している。
尚、上記平均粒子径は例えば無機微粒子を乾燥・焼成・粉砕した後、BET比表面積測定装置(モノソーブMS−17)を用いて、窒素吸着法によりBET比表面積を求め、真状粒子と仮定したときの粒子径に換算することで測定できる。BET比表面積により平均粒子系が測定できない場合は、X線小角散乱法によって測定してもよい。
無機微粒子の平均粒子径をD、金属ナノワイヤの平均長をLとした時、D/L<0.010未満であることが好ましく、より好ましくはD/L<0.0050未満である。
コロイダルシリカの市販品としては、扶桑化学工業株式会社製「超高純度コロイダルシリカ」クォートロンPLシリーズ(品名:PL−1、PL−3、PL−7)、同社製「高純度オルガノゾル」や、日産化学工業株式会社製「コロイダルシリカ(品名:スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL等)」や「オルガノシリカゾル(品名:メタノールシリカゾル、MA−ST−MS、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−MS、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST、DMAC−ST、PGM−ST等)」が挙げられる。
(E)成分として、コロイダルシリカを、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物が有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子を含む場合において有機高分子微粒子の含有量は、通常、0〜50質量%程度、好ましくは0.1〜20質量%である。無機微粒子の含有量は、通常、0〜70質量%程度、好ましくは1〜50質量%である。
有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子の含有量は、通常、0.001〜30質量%程度、好ましくは0.001〜20質量%である。
上記の有機高分子微粒子及び無機微粒子の含有量は、組成物から溶媒を除いた重量に対するものである。
(その他の任意添加成分)
本発明の組成物には、上記成分以外に、必要に応じ、従来組成物に用いられる公知の各種添加成分を適宜含有させることができる。
必要に応じ含有させることのできる添加成分としては、例えば、分散安定剤、レベリング剤、重合開始剤さらには潤滑性付与剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、防腐剤、ブルーイング剤、消泡剤(発泡防止剤)、光安定化剤、耐候性付与剤、着色剤、粘度調整剤、微粒子の分散剤(沈降防止剤)や微粒子表面活性の改質剤等を挙げることができる。
〈レベリング剤〉
組成物には、得られる塗膜の平滑性、並びにコートの際のフロー性を向上させるために、レベリング剤を添加することができ、それらの添加剤として、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、並びに、フッ素系とアクリル系が複合化されたレベリング剤等が挙げられる。全て、塗膜表面に働き、表面張力を低下させる。各々特徴があり、目的に応じて使用することができる。表面張力の低下能力は、シリコーン系とフッ素系が強いが、アクリル系とビニル系はリコートを行う場合、濡れ不良が生じにくく有利である。
シリコーン系レベリング剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンとポリジメチルシロキサンの共重合体等を用いることができる。シリコーン系レベリング剤の市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ−2118、FZ−77、FZ−2161等、信越化学工業株式会社製KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4453、TSF4460等、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−3510、BYK−3570等のポリエーテル変性シリコーンオイル(ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル)等を挙げることができる。
また、150℃以上の耐熱性が必要な場合は、ポリエステル変性やベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルが適している。ポリエステル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−310、BYK−315、BYK−370等、ベンゼン環を有するアラルキル変性シリコーンオイルの市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−322、BYK−323等が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体等を用いることができる。
フッ素系レベリング剤の市販品としては、DIC株式会社製のMEGAFACシリーズ、住友スリーエム株式会社製のFCシリーズ等を挙げられる。
アクリル系レベリング剤の市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392等、フッ素を導入したBYK−340等が挙げられる。
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、組成物全量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.02〜5質量%である。
レベリング剤を配合する方法としては、組成物を調製する際に配合してもよいし、塗膜を形成する直前に組成物に配合してもよく、さらには組成物の調製と塗膜の形成直前の両方の段階で配合してもよい。
本発明の透明導電層形成用組成物は、実質的に(A)、(B)及び(C)並びに任意の(D)及び/又は(E)のみ、又は(A)、(B)及び(C)並びに任意の(D)及び/又は(E)のみからなっていてもよい。
他の成分としては、上述した任意添加成分が挙げられる。
ここで、「実質的」とは、透明導電層形成用組成物の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)が(A)、(B)、(C)、任意の(D)及び/又は(E)並びに任意添加成分であることを意味する。
本発明に用いる透明導電層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)、(B)、(C)及び任意の(D)及び/又は(E)並びに任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
[透明導電層]
本発明の組成物を、基板上に塗布することで塗膜を形成する。例えば、スピンコーター、スプレー、浸漬、カーテンフロー、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター又は、ロールコーティング等の公知の方法により塗布する。
塗膜の厚みとしては、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜200nmになるように調整する。
膜厚(厚み)は、透過型電子顕微鏡(TEM)や触針式膜厚計を用いて測定することができる。
その後、適当な乾燥条件、通常10℃〜190℃、好ましくは、70〜150℃、さらに好ましくは80℃〜140℃にて、30秒以上、好ましくは、1分〜60分さらに好ましくは1分〜30分、塗膜を加熱乾燥することにより、透明導電層が得られる。
上記の得られた透明導電層は、好ましくは溶媒に10秒以上浸漬する。当該溶媒は、水、又はアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類等の有機溶媒が挙げられ、水又はアルコール類が好ましい。アルコール類としては、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール等が挙げられる。尚、浸漬の時間の上限は特に無いが、例えば30分間である。
本発明の組成物から得られる透明導電層は、膜中に金属ナノワイヤ((A)成分)が分散している。組成物が有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子を含む場合、膜中に有機高分子微粒子及び/又は無機微粒子も分散している。
基板に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂(例:JSR株式会社製「ARTON」、日本ゼオン株式会社製「ZEONOR」「ZEONEX」)、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、プラスチックレンズ用樹脂ポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、アクリロニトリルスチレン共重合体、メタクリルスチレン共重合体、脂環式アクリル、ジグリコールジアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピスルフィド等を挙げることができ、前記ポリマーを複数混合したポリマーアロイ・ポリマーブレンドでもよい。また、上記樹脂を複数積層した積層構造体でもよい。上記樹脂の中でも、ポリエステル系樹脂(特にポリエチレンテレフタラート)、ポリオレフィン系樹脂及びポリカーボネート樹脂が好ましい。
これらの樹脂を素材とする基板は、透明、半透明のいずれであってもよく、また着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。透明性に優れ、無着色のものが好ましい。
また、基板は樹脂製基板に限定されず、ガラス基板であってもよい。
基板の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、5μm〜30mm程度、好ましくは15μm〜10mmである。
本発明の組成物は、その密着性をさらに向上させるために、基板の少なくとも塗膜が形成される側の表面に所望により、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、低圧プラズマ法や大気圧プラズマ法等のプラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線処理、イトロ処理等が挙げられ、また凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基板の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が硬化及び操作性等の面から好ましく用いられる。また、シランカップリング剤での表面処理やプライマー層を設けることもできる。また、傷つき防止のハードコート層や、屈折率調整のためのインデックスコーチング層等の機能を有する層を設けることもできる。
また、基板上に形成した透明導電層の上に保護層や金属層、金属酸化物層を設けてもよい。
本発明の組成物から得られる透明導電層の全光線透過率は、好ましくは85〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。
本発明の組成物から得られる透明導電層のヘイズは、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは2.0%以下である。
本発明の組成物から得られる透明導電層の表面抵抗は、好ましくは140Ω/□以下であり、より好ましくは5〜140Ω/□であり、さらに好ましくは5〜120Ω/□であり特に好ましくは5〜100Ω/□である。
本発明の方法によって得られる導電体は、酸を添加しない場合に比べて、表面抵抗の低下率が5〜90%であることが好ましく、20〜90%であることがより好ましく、30〜90%であることが特に好ましい。
上記表面抵抗の低下率(%)は、次式で算出する。
表面抵抗の低下率(%)=[A−B]/A×100
(式中、Aは酸を添加しない導電体の表面抵抗(Ω/□)を示し、Bは本発明の導電体の表面抵抗(Ω/□)を示す。)
これら物性は、実施例に記載の測定法により確認できる。
[透明導電層のパターニング]
本発明の組成物から得られる透明導電層はパターニングされていてもよい。パターニングは公知のフォトリソグラフィ等のウェットエッチング工程やレーザーエッチング工程をそのまま適用できる。パターニング工程は特に限定されないが、銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤには、ウェットエッチング、レーザーエッチングを好適に用いることができる。
[ウェットエッチングによるパターニング方法]
ウェットエッチングによるパターニングの方法は、フォトレジストとフォトマスクを用いる一般的なフォトリソグラフィや、非導通領域を形成したいパターンに合わせてエッチャントを印刷塗布する方法、非腐食性のマスクを通してエッチャントを塗布する方法などがある。これらの中で、再現性や精度の点で、フォトリソグラフィを好適に用いることができる。また、フォトレジストの代わりに感光性フィルムを転写するドライフィルムを用いることもできる。
フォトリソグラフィを用いる場合、形成された透明導電層の上にレジスト液を塗布してレジスト層を形成する。次に、このレジスト層を、フォトマスクを用いて紫外線照射し、その後、現像することによりレジスト層のパターニングを行う。次いで、レジスト層で被覆されていない透明導電層をエッチングして除去し、さらに残存するレジスト部分を剥離することでパターニングされた透明導電層を得る。
エッチャントとしては、金属ナノワイヤを溶解する、あるいは金属ナノワイヤを切断して短くする効果をもたらす酸性の薬剤を用いることができる。銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤは、例えば臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、などの無機酸や、メタンスルホン酸などの有機酸などを用いることができる。またこれらを複数組み合わせて含む混酸を用いることもできる。特に、臭化水素酸や硝酸が好ましい。
金属を酸化溶解させる薬剤を用いることもできる。銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤは、たとえば、硝酸鉄(III)液(硝酸第二鉄液)、塩化鉄(III)液(塩化第二鉄液)、塩化銅(II)液(塩化第二銅液)などの金属化合物の水溶液、過酸化水素水、これらの混合液などを用いることができる。反応を制御するために酸やアルカリと混合して用いてもよい。例えば、塩化銅(II)と塩酸の混合水溶液、過酸化水素水とアンモニア水の混合液などを、好適に用いることができる。
アルカリ性のエッチャントを用いることもできる。銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤのアルカリ性のエッチャントとしては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
市販のエッチャントでは、SEA−NW01、SEA−NW02、SEA−1、ITO−02(関東化学株式会社製)、GNW203、GNW300、GNW410(林純薬工業株式会社製、Pure Etchシリーズ)などを用いることができる。
[ウェットエッチング条件]
これらの薬剤は、原液を直接用いてもよいし、水等の溶媒で希釈して用いてもよい。添加剤を加えて用いてもよい。エッチングの処理温度および処理時間は特に限定しないが、エッチング液の種類および試料の厚みに合わせて設定することが好ましい。最適の状態では、ヘイズや全光線透過率などの光学特性は処理前と同等であり、エッチングされた領域の面抵抗が10Ω/□以上となる。処理が不足すると絶縁性が不十分となり、処理が過剰であるとバインダ樹脂や基板へのダメージが生じて光学特性を悪化させる場合がある。 また、処理温度および処理時間を適切に制御することで、銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤを完全に溶解させずに短い繊維に切断して非導通領域を形成する、パーシャルエッチングを行うことができる。これにより、導通部と非導通部の反射率や光散乱の差を小さくすることができ、パターンの視認性を低くすることができる。
[レーザーエッチングによるパターニング方法]
透明導電層のパターニングにドライエッチングの一方法として、レーザーエッチングを好適に用いることができる。この場合、集光されたレーザー光で、導電層を蒸発除去することで、非導通化する。レジスト塗布、マスク露光、現像、エッチング、レジスト剥離、洗浄という一連の工程を必要とするウエットエッチングによるパターニングに比べ、簡便な設備と短い工程で、高精度なパターンを得ることができる。
レーザー光源としては、YAGやYVO等のパルスレーザー光、炭酸ガスレーザー等の連続発振レーザー光が挙げられる。特に、YAGやYVO等の波長1064nmもしくはその2次高調波を使用した532nmのパルス状レーザー光が好ましい。
本発明の組成物から得られる物質や導電性物質等は、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、有機EL照明、太陽電池、調光フィルム、調光ガラス、透明ヒーター等の電気機器に好適に使用される。また、当該タッチパネルは表示装置に好適に用いられる。
実施例1
表1に示す組成を有する組成物を調製した。尚、表1中の括弧内の数字は、溶媒については、分散または溶解している成分に対する重量部であり、金属ナノワイヤ、バインダ、及び酸については溶媒を除いた組成物の重量に対する含有率(重量百分率)である。
組成物を調製するにあたって、以下の成分を予め準備した。
銀ナノワイヤIPA(イソプロピルアルコール)分散液:Seashell Technology社製の銀ナノワイヤ「Silver Nanowires AgNW−25」(平均直径:25nm、平均長さ:23μm)にイソプロピルアルコールを添加して、銀ナノワイヤの含有量を0.5wt%とした分散液
ポリウレタン溶液:DIC株式会社製のポリウレタンIPA(イソプロピルアルコール)溶液「クリスボンASPU112」(固形分濃度30wt%)にさらにIPAを加えて、固形分濃度を0.5wt%としたポリウレタン溶液
酸溶液:p−トルエンスルホン酸一水和物(和光純薬製)をIPAに溶解し、p−トルエンスルホン酸の濃度が10wt%となるように調製した酸溶液
0.5wt%銀ナノワイヤーIPA(イソプロピルアルコール)分散液100gに、0.5wt%ポリウレタン溶液100gを加え、さらにp−トルエンスルホン酸IPA溶液を12g加え、室温で撹拌して組成物を調製した。
得られた組成物をスピンコーター1500rpmでガラス基板上に塗布し、100℃で30分乾燥させて、ガラス基板上に透明導電層を形成した。さらに、得られた透明導電層付ガラス基板をIPAの入ったビーカーに5分間浸漬させた後、ビーカーから取り出し、エアブローで乾燥させて透明導電層付ガラス基板を製造した。
得られた透明導電層付きガラス基板について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)膜厚測定
基材がガラス基板の場合は、基板を5等分し、それぞれの中心点において触針式膜厚計を用いて透明導電層の膜厚測定を行い、これら5点の平均値を膜厚とした。
(2)全光線透過率
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)にてASTM D1003に基づき、基材及び透明導電層からなる積層体を用いて基材を基準に透明導電層の全光線透過率を測定した。
(3)ヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)にてASTM D1003に基づき、基材及び透明導電層からなる積層体を用いて基材を基準に透明導電層のヘイズ値を測定した。
(4)表面抵抗測定
低抵抗率計(Loresta−GP MCP−T−610、三菱化学製)を用いて、JIS K 7194に基づき、四探針測定法により透明導電層の表面抵抗を測定した。
比較例1
組成物の調製に酸溶液を用いなかったこと、及び透明導電層付ガラス基板形成後のIPAを用いた浸漬及び乾燥を行わなわなかった他は実施例1と同様にして組成物の調製、並びに透明導電層付ガラス基板の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016060754

Claims (17)

  1. 下記成分(A)−(C)を含む組成物。
    (A)金属ナノワイヤ
    (B)バインダ
    (C)酸
  2. 前記酸が有機酸である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記酸がスルホ基を有する酸である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記酸の含有量が、前記成分(A)、(B)及び(C)に対して2〜90重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記金属ナノワイヤの平均直径が5nm以上150nm以下であり、平均長が1μm以上100μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記金属ナノワイヤの含有量が、前記バインダとの重量百分率(金属ナノワイヤ/(バインダ+金属ナノワイヤ))で5〜98重量%である請求項1〜6のいずれかに組成物。
  8. (A)金属ナノワイヤ及び(B)バインダを含む第1の組成物を調製し、
    前記第1の組成物に(C)酸を含む第2の組成物を添加する組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を乾燥して得られる物質。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を乾燥して得られる導電性物質。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を塗布して得られる導電層を有する導電層付き基板。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を塗布して得られる透明導電層を有する透明導電層付き基板。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を基板に塗布する透明導電層付き基板の製造方法。
  14. 前記組成物を基板に塗布し、10〜190℃で30秒以上乾燥させる請求項13に記載の透明導電層付き基板の製造方法。
  15. さらに溶媒に10秒以上浸漬する請求項14に記載の透明導電層付き基板の製造方法。
  16. 請求項12に記載の透明導電層付き基板を用いたタッチパネル。
  17. 請求項9に記載の物質を用いた電気機器。
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