JP2016113522A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性と低発熱性を両立可能なゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分と、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物と、特定のカーボンブラックとを含むゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
カーボンブラックは、比表面積、ストラクチャー、表面性状などの物理特性によって、ゴム組成物に配合した場合に該ゴム組成物の性能に大きな影響を与える。このため、要求されるゴム組成物の性能や、ゴム組成物が使用される環境条件などによって、各種特性の異なるカーボンブラックが選択的に使用されている(例えば、特許文献1)。
地面と接するトレッドゴムには、走行中の摩耗に対する耐性(耐摩耗性)が優れているとともに、走行中のゴムの変形時に発生するヒステリシスロスが少なく低発熱性であることが要求される。この耐摩耗性と低発熱性との両立を図るために、カーボンブラックを高充填する手法や高比表面積(小粒径)、あるいは高ストラクチャーを有するカーボンブラックを用いる手法などが検討されている。しかし、これらのカーボンブラックを用いた場合、耐摩耗性は向上するものの、低発熱性が充分ではなくなる場合がある。
また、カーボンブラックの比表面積やストラクチャー以外の特性で、タイヤの耐摩耗性を改良する手法として、カーボンブラックのアグリゲート径の分布のシャープ性を高める手法が提案されている。しかし、該カーボンブラックが配合されたゴム組成物は、発熱性が低下し、該ゴム組成物をトレッドに使用したタイヤの低発熱性が充分ではなくなる場合がある。また、アグリゲート径の分布のシャープ性を低くすると(ブロード性を高める)、タイヤの低発熱性を向上させることは可能となるが、同時に耐摩耗性が低下する傾向となってしまう。このように、カーボンブラックのアグリゲート径の分布のみを調整する手法も、タイヤの耐摩耗性と低発熱性を両立させるのに有効な手段であるとはいえない。
他方、特許文献2には、ジアミン系化合物の添加によりカーボンブラックの分散性を向上させ、低発熱性を改善する技術が提案されている。しかしながら、良好な耐摩耗性を維持しつつ、低発熱性を改善する点においては、未だ改善の余地があった。そして更に、加工性の点についても更に改善の余地があった。
このように、耐摩耗性と低発熱性とは、二律背反の関係にあり、いずれの性能をも高い次元で両立させる開発が進められているが、未だ改善の余地がある。
特開2001−081239号公報 特許第2912845号公報
本発明は、前記課題を解決し、良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性と低発熱性を両立可能なゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の原料油を使用して得られたカーボンブラックなど、特定のアグリゲート特性を有するカーボンブラックをゴム組成物に配合することにより、耐摩耗性と低発熱性を両立できることを見出し、更に、該カーボンブラックと、特定の両性化合物とを併用することにより、良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性と低発熱性を相乗的に改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、上記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラックであるゴム組成物に関する。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
上記両性化合物が、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016113522
上記式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は、炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。なお、上記式(I)で表される化合物は、当該化合物の金属塩であってもよい。
上記両性化合物が、下記式(I−1)及び/又は下記式(I−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016113522
上記式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。上記式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。
上記式(I−2)中のMr+で表される金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンであることが好ましい。
上記両性化合物が、(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)からなる群より選択される少なくとも1種であることも好ましい。
(A1):下記式(II)で表される化合物
(B1):下記式(II)で表される化合物の塩
(C1):下記式(II)で表される化合物の溶媒和物
(D1):下記式(II)で表される化合物の塩の溶媒和物
Figure 2016113522
上記式(II)中、R11は置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は*−B−Ar−B−*基を表し、*は結合手を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R12及びR13は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、或いは、互いに結合して炭素数2〜12のアルカンジイル基を形成する。R14は、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数7〜15のアリールアルコキシ基又は−NR1516を表し、R15及びR16は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Xは、−NH−又は−O−を表す。
上記式(II)中のR12及びR13が、水素原子であることが好ましい。
上記式(II)で表される化合物が、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016113522
上記式(III)中、R11、R12、R13、R14及びXは、上記と同じ意味を表す。
上記R11が、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基であり、上記Xが、−NH−であることが好ましい。
上記R14が、ヒドロキシ基であることが好ましい。
上記両性化合物の含有量が、カーボンブラック100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましい。
上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が95以上、脂肪族炭化水素比率が60質量%以下である原料油を使用して得られたカーボンブラックであることが好ましい。
上記原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、10質量%以上が動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素であることが好ましい。
上記原料油がトール油を含有することが好ましい。
上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、ファーネス法で製造されたカーボンブラックであることが好ましい。
本発明はまた、ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、上記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が79nm以下、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78以上のカーボンブラックであるゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分と、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物と、特定のカーボンブラックとを含むゴム組成物であるので、良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性と低発熱性を両立でき、両性能が相乗的に改善された空気入りタイヤを提供できる。
第一の本発明は、ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、上記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラック(1)であるゴム組成物に関する。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
第二の本発明は、ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、上記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が79nm以下、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78以上のカーボンブラック(1)であるゴム組成物に関する。
本発明では、カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が特定値以下、脂肪族炭化水素比率が特定値以上の原料油を使用して得られたカーボンブラック(1)など、Dmodが特定値以下、△D50/Dmodが特定値以上という特定のアグリゲート特性を有するカーボンブラックをゴム組成物に配合することにより、良好な低発熱性を維持又は改善しつつ、耐摩耗性を改善でき、耐摩耗性及び低発熱性を高次に両立させることが出来る。更に本発明では、特定のカーボンブラックに加えて、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物を配合することで、良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性及び低発熱性を相乗的に改善することができる。
本発明で使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低発熱性、機械的強度の点からはNRが好ましく、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性の点からはBRが好ましく、ウェットグリップ性能の点からはSBRを使用することが好ましい。更には、タイヤに用いた際の耐摩耗性及び低発熱性をバランスよく改善できるという理由からNRとBRを併用することがより好ましい。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20などタイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。20質量%未満であると、充分なゴム強度、低発熱性が得られない傾向がある。NRの含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよいが、NRと共に他のゴム成分を使用する場合には、70質量%以下が好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性が良好であるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
なお、BRのシス含量は赤外吸収スペクトル分析法により測定できる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られないおそれがある。BRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能が得られず、低発熱性、耐摩耗性を向上できないおそれがある。SBRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
ゴム成分100質量%中のNR及びBRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。NR及びBRの合計含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明では、上記カーボンブラック(1)が使用される。上記カーボンブラック(1)を配合することにより、耐摩耗性と低発熱性を両立できる。
第二の本発明において、カーボンブラック(1)のアグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)は、79nm以下、好ましくは69nm以下、より好ましくは63nm以下である。79nmを超えると、本発明の効果(特に、耐摩耗性の向上効果)が充分に得られない。該Dmodの下限は、特に限定されないが、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは56nm以上である。40nm未満であると、分散性に劣り、破壊特性、耐摩耗性が低下する傾向がある。
第二の本発明において、カーボンブラック(1)のアグリゲート特性としてDmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)は、0.78以上であり、好ましくは0.90以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上である。0.78未満であると、本発明の効果(特に、低発熱性の改善効果)が充分に得られない。△D50/Dmodの上限は、特に限定されないが、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。2.5を超えると、耐摩耗性が悪化し、所望の効果が得られないおそれがある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのDmod、△D50は、以下の方法で測定される値である。
界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONIDET P−40」)を加えた20%エタノール水溶液に精秤したカーボンブラック試料を加えて、カーボンブラック濃度が0.01重量%の試料液を調製する。この試料液を超音波分散機(超音波工業製「超音波発生装置USV−500V」)を用いて、振動数200kHz、出力100Wとして5分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーを調製する。一方、遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10ミリリットルを注入し、更にバッファー液(20vol%エタノール水溶液)1ミリリットルを注入した後、前記調製したカーボンブラックスラリー各1ミリリットルを注入し、回転数8000rpmで遠心沈降させることによりストークス相当径を測定し、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作製する。ヒストグラムのピーク(A)を通るY軸と平行な直線と、ヒストグラムのX軸との交点をCとする。このCでのストークス直径を最大頻度ストークス相当径(Dmod)とする。また線分ACの中点をFとして、Fを通りX軸に平行な直線Gとヒストグラムの分布曲線との2点の交点(D、E)を求め、このDとEのストークス直径の差の絶対値をストークス相当径半値幅値(分布曲線の半値幅(△D50))とする。
カーボンブラック(1)の臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、好ましくは60〜150m/g、より好ましくは80〜145m/g、更に好ましくは100〜140m/g、特に好ましくは105〜135m/gである。CTABが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックの臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラック(1)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)は、好ましくは100〜400mg/g、より好ましくは110〜300mg/g、更に好ましくは120〜250mg/gである。ヨウ素吸着量(IA)が上記範囲内であると、耐摩耗性の改善効果がより好適に得られ、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)の比(CTAB/IA)は、好ましくは0.8〜1.2m/mg、より好ましくは0.85〜1.15m/mg、更に好ましくは0.9〜1.1m/mgである。CTAB/IAが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は、JIS K6217−1:2008に準拠して測定される値である。
CTAB/IAで表される表面活性指標は、カーボンブラックの結晶化度(グラファイト化率)の指標と考えることができる。すなわち、CTAB/IAが高いほど結晶化が進んでいないことを示し、カーボンブラックとゴム成分との相互作用が大きくなる傾向にある。
また、CTAB/IAは、カーボンブラック表面に存在する酸性官能基の量を評価するパラメーターとしても位置づけられる。カーボンブラック表面の酸性官能基は、ゴム成分との相互作用に寄与するが、CTAB/IAが高いほどカーボンブラックの表面に酸性官能基が多く存在していることを示す。従って、CTAB/IAが上記範囲内であると、ゴム成分に対してより顕著な補強効果を奏することができ、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)の24M4ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP)は、好ましくは50〜120cm/100g、より好ましくは70〜120cm/100g、更に好ましくは90〜115cm/100g、特に好ましくは95〜110cm/100gである。24M4DBPが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックの24M4ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP)は、ASTM D3493−85aに準拠して測定される値である。
カーボンブラック(1)は、酸性、中性、塩基性のいずれであってもよいが、JIS K6220−1で測定されるpHが2.0〜10.0であることが好ましく、5.5〜9.5であることがより好ましい。カーボンブラック(1)のpHが上記範囲内であると、より好適にゴム組成物の機械的強度や耐摩耗性を向上でき、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)の製造方法としては、例えば、原料油(原料炭化水素)として、BMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上の原料油を使用する点に特徴がある方法を採用することが好ましい。これにより、上記特性を有するカーボンブラック(1)が好適に得られる。また、この方法によれば、調製した複数のカーボンブラックを混合したり、調製したカーボンブラックに対して表面処理等の後処理を行うことなく、ワンポットで、すなわち、上記原料油を用いてカーボンブラックを調製するだけで、上記特性を有するカーボンブラック(1)を容易に調製できる。
ここで、本明細書において、BMCI値とは、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算される値である。
なお、平均沸点Tは、当該原料油について蒸留試験を実施したときに、質量基準でその50%が溜出したときの温度である。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
第一の本発明において、原料油のBMCI値は、150以下であり、好ましくは140以下、より好ましくは130以下、更に好ましくは120以下、特に好ましくは110以下である。150を超えると、カーボンブラックの粒度分布がシャープとなりすぎ、上述の特定のアグリゲート特性が得られず、低発熱性が悪化する。原料油のBMCI値の下限は、特に限定されないが、好ましくは75以上、より好ましくは95以上である。75未満では、歩留まりが悪くなる(充分な量のカーボンブラックが得られない)おそれがある。
第一の本発明において、脂肪族炭化水素比率(原料油100質量%中の脂肪族炭化水素の含有量)は、30質量%以上であり、好ましくは40質量%以上である。30質量%未満であると、上述の特定のアグリゲート特性が得られず、低発熱性が悪化する。脂肪族炭化水素比率の上限は、特に限定されないが、好ましくは60質量%以下である。60質量%を超えると、歩留まりが悪くなる(充分な量のカーボンブラックが得られない)おそれがある。
原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、100質量%であってもよい。該含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られるだけではなく、非枯渇資源を原料として上記効果を達成できるため、資源の枯渇や環境にも配慮できる。
上記特性を満たす原料油としては、上記特性を満たすものを単独で使用してもよいし、上記特性を満たすように2種以上を混合したものを使用してもよい。
原料油の具体例としては、例えば、(1)アントラセン等の芳香族炭化水素;クレオソート油等の石炭系炭化水素;EHEオイル(エチレン製造時の複製油)、FCCオイル(流動接触分解残渣油)等の石油系重質油からなる群より選択される少なくとも1種と、(2)脂肪族炭化水素との混合原料油が挙げられる。なお、これらは、改質されていてもよい。なかでも、石炭系炭化水素と脂肪族炭化水素との混合原料油が好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、プロセスオイルなどに代表される石油系脂肪族炭化水素、及び大豆油、なたね油、パーム油などの脂肪酸に代表される動植物油等を使用することができる。
ここで動植物油とは、魚類肝臓から得られる脂肪油(肝油)やクジラからとれる海獣油のような水産動物油及び牛脂、豚脂などのような陸産動物油のほか、植物の種子、果実、核などから採取される脂肪酸グリセリドを成分とする油脂等を含有する。
なかでも、原料油としては、石炭系炭化水素と石油系脂肪族炭化水素との混合原料油、石炭系炭化水素と動植物油との混合原料油が好ましく、クレオソート油と石油系脂肪族炭化水素との混合原料油、クレオソート油と大豆油との混合原料油がより好ましい。また、脂肪族炭化水素を含むトール油も好適に原料油として用いることができる。なお、上記石炭系炭化水素としては、石炭系芳香族炭化水素が好ましい。
カーボンブラック(1)は、上記原料油を使用する点以外は、公知の製造方法により製造でき、その製造方式は特に限定されないが、具体的には、燃焼ガス中に原料油を噴霧してカーボンブラックを製造する方法が採用されることが好ましく、例えば、ファーネス法やチャンネル法等の従来から公知の方法が用いられる。なかでも、上述の特定のアグリゲート特性が好適に得られるという理由から、以下に示すファーネス法が好ましい。
ファーネス法(オイルファーネス法)は、例えば特開2004−43598号公報、特開2004−277443号公報などのように、反応炉内に高温燃焼ガス流を発生させる燃焼帯域、高温燃焼ガス流に原料炭化水素を導入して原料炭化水素を熱分解反応によりカーボンブラックに転化させる反応帯域、及び反応ガスを急冷して反応を停止する反応停止帯域を有する装置を用いるプロセスであって、燃焼条件、高温燃焼ガス流速、反応炉内への原料油の導入条件、カーボンブラック転化から該反応停止までの時間等の諸条件を制御することによって種々の特性のカーボンブラックを製造することができる。
燃焼帯域では、高温燃焼ガスを形成させるため、酸素含有ガスとして空気、酸素またはそれらの混合物とガス状または液体の燃料炭化水素を混合燃焼させる。燃料炭化水素としては、一酸化炭素、天然ガス、石炭ガス、石油ガス、重油等の石油系液体燃料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用される。燃焼は、燃焼温度が1400℃〜2000℃の範囲となるように制御されるのが好ましい。
反応帯域では、燃焼帯域で得られた高温燃焼ガス流に並流又は横方向に設けたバーナーから原料炭化水素を噴霧導入し、原料炭化水素を熱分解させてカーボンブラックに転化させる。好ましくは、ガス流速が100〜1000m/sの範囲の高温燃焼ガス流に、原料油を1本以上のバーナーにより導入する。原料油は、2本以上のバーナーにより分割し導入することが好ましい。また、反応効率を向上させる為に反応ゾーンに絞り部を設けることが好ましい。絞り部の絞り部径/絞り部上流域径の比は、0.1〜0.8が好ましい。
反応停止帯域では、高温反応ガスを1000〜800℃以下に冷却する為、水スプレー等が行われる。原料油を導入してからの反応停止までの時間は2〜100m秒が好ましい。冷却されたカーボンブラックは、ガスから分離回収された後、造粒、乾燥等の公知のプロセスをとることができる。
カーボンブラック(1)の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上、最も好ましくは35質量部以上である。1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。また該カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは60質量部以下、より最も好ましくは50質量部以下である。250質量部を超えるとゴム組成物が硬くなりすぎ、かえって耐摩耗性が低下してしまい、更にゴム組成物の加工性も極端に低下する傾向がある。また、低発熱性も悪化する傾向がある。
本発明では、カーボンブラック(1)と共に、カーボンブラック(1)以外のカーボンブラック(以下においては、カーボンブラック(2)ともいう)を配合してもよい。
カーボンブラック(2)としては、特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物をトレッド用ゴム組成物に用いる場合、カーボンブラック(2)の窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは90m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。80m/g未満では、補強性が低下し、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、該カーボンブラック(2)のNSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは190m/g以下、更に好ましくは180m/g以下である。200m/gを超えると、低発熱性が悪化する傾向がある。また、分散性に劣り、破壊性能、耐摩耗性能が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
本発明のゴム組成物をトレッド用ゴム組成物に用いる場合、カーボンブラック(2)のジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは40ml/100g以上、より好ましくは60ml/100g以上である。40ml/100g未満であると、補強性が低下し、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、カーボンブラック(2)のDBPは、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは100ml/100g以下である。300ml/100gを超えると、耐久性、引張破断伸びが悪化するおそれがある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
本発明のゴム組成物をサイドウォール、カーカス、クリンチ用ゴム組成物に用いる場合、カーボンブラック(2)の窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上である。20m/g未満では、補強性が低下し、充分な耐久性が得られない傾向がある。また、該カーボンブラック(2)のNSAは、好ましくは110m/g以下、より好ましくは100m/g以下である。110m/gを超えると、低発熱性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物をサイドウォール、カーカス、クリンチ用ゴム組成物に用いる場合、カーボンブラック(2)のジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは40ml/100g以上、より好ましくは60ml/100g以上である。40ml/100g未満であると、補強性が低下し、充分な耐久性が得られない傾向がある。また、カーボンブラック(2)のDBPは、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは100ml/100g以下である。300ml/100gを超えると、耐久性、耐疲労特性が悪化するおそれがある。
カーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上、最も好ましくは35質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、該カーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは60質量部以下、より最も好ましくは50質量部以下である。250質量部を超えると、加工性が低下し、低発熱性、耐摩耗性、耐久性が低下するおそれがある。
カーボンブラック100質量%中のカーボンブラック(1)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。1質量%未満であると、本発明の充分な効果が得られず、耐摩耗性と低発熱性を両立することが困難となるおそれがある。該含有量は、100質量%であってもよいが、他のカーボンブラックと共に使用する場合は80質量%以下が好ましい。
本発明では、カーボンブラック(1)、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物に加えてシリカを配合してもよい。これにより、耐摩耗性及び低発熱性をより顕著に改善することができる。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは45m/g以上、より好ましくは55m/g以上、更に好ましくは60m/g以上、特に好ましくは100m/g以上、最も好ましくは150m/g以上である。45m/g未満であると、耐摩耗性、ゴム破壊強度が悪化するおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは270m/g以下、特に好ましくは220m/g以下である。350m/gを超えると、シリカの分散が困難であり、低発熱性が悪化するおそれがある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
本発明のゴム組成物がシリカを含む場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは45質量部以上である。1質量部未満では、シリカを配合した効果が充分に得られず、低発熱性、耐摩耗性が悪化する傾向がある。該シリカの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは70質量部以下である。200質量部を超えるとシリカが分散しにくくなるため、加工性、低発熱性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シリカを配合する場合には、ともにシランカップリング剤を併用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
本発明のゴム組成物がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.1質量部未満では、耐摩耗性、低発熱性が大きく低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、余分なシランカップリング剤が残存し、得られるゴム組成物の加工性及び耐摩耗性の低下を招くおそれがある。
本発明のゴム組成物は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有する両性化合物を少なくとも1種含む。このような両性化合物は、塩基性官能基部分がカーボンブラック表面に存在するカルボキシル基などの官能基と反応することでカーボンブラックと結合し、酸性官能基部分がゴム(ポリマー)の二重結合と反応する。そのため、カーボンブラックの分散性が向上し、かつその分散状態を維持できる。また、反応によりカーボンブラックが拘束されているため、発熱性を抑えることも可能となる。よって、前述の性能をバランス良く改善できる。また、良好な加工性も得られる。そして、本発明においては、上述の特定のカーボンブラックと上記両性化合物とを併用するために、上記両性化合物の塩基性官能基と上記特定のカーボンブラック表面の酸性官能基との反応性が高く、これにより、良好な加工性を維持しつつ、耐摩耗性、低発熱性を共に相乗的に改善することができる。
上記両性化合物における酸性官能基としては,カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基(−SSOH)、ジチオカルボン酸基(−CSSH)、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基(−SRCOOH:Rは直鎖状又は分岐状のアルキル基)、フェノール性水酸基などが挙げられ、なかでも、カルボン酸基、チオスルホン酸基が好ましい。なお、上記カルボン酸基には、カルボキシル基の他、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩基、アミド基も含まれる。
上記塩基性官能基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基等のアミノ基、置換アミノ基などが挙げられる。
なお上記両性化合物は、該化合物の金属塩であってもよい。
上記両性化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上である。0.01質量部未満であると、低発熱性、機械的強度(特に、低発熱性)をバランス良く向上できないおそれがある。また、両性化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは9質量部以下、特に好ましくは6質量部以下である。30質量部を超えると、機械的強度、耐摩耗性、加硫安定性が悪化するおそれがある。
上記両性化合物としては、下記式(I)で表される化合物(本明細書において、「化合物(I)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2016113522
上記式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は、炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。なお、上記式(I)で表される化合物は、当該化合物の金属塩であってもよい。
<化合物(I)>
化合物(I)は上記式(I)で表されるが、上記式(I)において、Rのアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜12である。該Rは直鎖状、分岐状のいずれでも良く、アルキレン基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など、アルケニレン基の具体例としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など、アルキニレン基具体例としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基などが挙げられる。Aの酸性官能基としては,前述と同様のものが挙げられる。R及びRの炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基など、アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられ、炭素数1〜20のアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基などが挙げられる。
上記化合物(I)は、下記式(I−1)及び/又は下記式(I−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016113522
上記式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。上記式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。
上記式(I−2)で表される化合物は任意の公知の方法により製造することができる。具体的には、ハロアルキルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩とジハロアルカンとを反応させて、得られた化合物とチオ硫酸ナトリウムとを反応させ、次いで、得られた化合物を加水分解する方法等が挙げられる。
具体的には、qが6の化合物の場合、例えば、6−ハロヘキシルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩と1,6−ジハロヘキサンとを反応させて、得られた化合物とチオ硫酸ナトリウムとを反応させ、次いで、得られた化合物を加水分解する方法等が挙げられる。
また、qが3の化合物の場合、例えば、3−ハロプロピルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩と1,3―ジハロプロパンとを反応させて、得られた化合物とチオ硫酸ナトリウムとを反応させ、次いで、得られた化合物を加水分解する方法等が挙げられる。
上記式(I−1)で表される化合物は、例えば、上記式(I−2)で表される化合物とプロトン酸とを反応させることにより製造することができる。
本発明では、上記式(I−1)で表される化合物と上記式(I−2)で表される化合物の混合物を用いることもできる。かかる混合物は、上記式(I−1)で表される化合物と上記式(I−2)で表される化合物とを混合する方法、金属アルカリ(上記Mで示される金属を含有する水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等)を用いて上記式(I−1)で表される化合物の一部を金属塩化する方法、プロトン酸を用いて上記式(I−2)で表される化合物の一部を中和する方法により製造することができる。このようにして製造した上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物は、濃縮、晶析等の操作により、反応混合物から取り出すことができ、取り出された上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物は、通常0.1〜5%程度の水分を含む。本発明では、上記式(I−1)で表される化合物のみを用いることができ、また、上記式(I−2)で表される化合物のみを用いることもできる。また、複数種の上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物を併用することもできる。
上記式(I−1)中、pは2〜8の整数を表し、2〜6が好ましい。上記式(I−2)中、qは2〜8の整数を表し、2〜6が好ましい。
r+で示される金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。rは金属イオンの価数を表し、当該金属において可能な範囲であれば、限定されない。金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンのようなアルカリ金属イオンの場合、rは通常1であり、金属イオンがコバルトイオンの場合、rは通常2または3である。金属イオンが、銅イオンの場合、rは通常1〜3の整数であり、金属イオンが、亜鉛イオンの場合、rは通常2である。上記製法によれば、通常、上記式(I−1)で表される化合物のナトリウム塩が得られるが、カチオン交換反応を行うことにより、ナトリウム塩以外の金属塩に変換することができる。
上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物のメディアン径は、好ましくは0.05〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜100μmの範囲である。かかるメディアン径は、レーザー回折法にて測定することができる。
上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物は、予め担持剤と混合してから使用してもよい。担持剤としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」第510〜513頁に記載されている「無機充てん剤、補強剤」が挙げられ、なかでも、カーボンブラック、シリカ、焼成クレー、水酸化アルミニウムが好ましい。担持剤の使用量は、特に限定されないが、上記式(I−1)及び/又は上記式(I−2)で表される化合物の合計量100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲が好ましい。
上記両性化合物としては、(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)からなる群より選択される少なくとも1種であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
(A1):下記式(II)で表される化合物(本明細書において、「化合物(II)」ともいう。)
(B1):化合物(II)の塩
(C1):化合物(II)の溶媒和物
(D1):化合物(II)の塩の溶媒和物
Figure 2016113522
上記式(II)中、R11は置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は*−B−Ar−B−*基を表し、*は結合手を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R12及びR13は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、或いは、互いに結合して炭素数2〜12のアルカンジイル基を形成する。R14は、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数7〜15のアリールアルコキシ基又は−NR1516を表し、R15及びR16は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Xは、−NH−又は−O−を表す。
<化合物(II)>
化合物(II)の塩は、R14がヒドロキシ基である化合物(II)のカルボキシラート塩、及び、化合物(II)中のアミン部分(−NH又は−NH−)において酸とともに形成される付加塩を含む。
化合物(II)のカルボキシラート塩としては、例えば、式(II)におけるR14が−O(Yn+1/n(Yn+は、n価のカチオンを表し、nは1又は2を表す。)であるような塩の形態、すなわち、下記式(IV)で表される塩が挙げられる。
Figure 2016113522
上記式(IV)中、R11、R12、R13、及びXは、上記と同じ意味を表す。Yn+は、n価の金属カチオン、NH 、又はn価の有機カチオンを表し、nは1又は2を表す。
化合物(II)中のアミン部分において酸とともに形成される付加塩における、酸としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。
溶媒和物としては、メタノール和物や水和物等が挙げられる。
化合物(II)中の炭素−炭素二重結合とR13及びCO−R14との結合については、炭素−炭素二重結合の立体がE体の化合物、Z体の化合物、又は、E体の化合物及びZ体の化合物の混合物のいずれであってもよい。中でも炭素−炭素二重結合の立体がZ体である化合物が好ましい。
また、化合物(II)としては、下記式(III)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016113522
上記式(III)中、R11、R12、R13、R14及びXは、上記と同じ意味を表す。
11における炭素数2〜12のアルカンジイル基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状のアルカンジイル基;イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基等の分岐状のアルカンジイル基;が挙げられる。中でも、アルカンジイル基の炭素数は3〜12が好ましく、3〜6がより好ましい。また、直鎖状のアルカンジイル基が好ましい。
アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基が挙げられる。置換基を有するアルカンジイル基としては、例えば以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
Figure 2016113522
11における炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロドデシレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等の炭素数1〜7のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数3〜4のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜7のアシルオキシ基;等が挙げられる。
炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、t−ブチルシクロヘキシレン基が好ましい。
及びBにおける炭素数1〜12のアルカンジイル基としては、上記と同じものと、メチレン基とが挙げられる。
Arにおける炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
11における*−B−Ar−B−*基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、下記の基等が挙げられる。*は結合手を表す。
Figure 2016113522
Arに含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の基で置換されていてもよい。
11としては、炭素数2〜12のアルカンジイル基又は*−B−Ar−B−*基が好ましく、炭素数2〜12のアルカンジイル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基がより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基が更に好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
12及びR13におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
12及びR13における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
12及びR13における炭素数6〜12のアリール基は、炭素数6〜12の単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
12及びR13における炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
12及びR13が、互いに結合して炭素数2〜12のアルカンジイル基を形成する場合の、アルカンジイル基としては上記と同じ基が挙げられ、炭素数3又は4のアルカンジイル基であることが好ましい。また、R12及びR13が一緒になって、それらが結合している炭素原子と共に形成する環状構造としては、例えばシクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
12が水素原子であり、R13が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、R12及びR13が水素原子であることがより好ましい。
14における炭素数1〜6のアルコキシ基としては、上記と同じ基が挙げられる。
14における炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、上記の炭素数6〜12のアリール基にオキシ基が結合した基が挙げられ、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
14における炭素数7〜15のアリールアルコキシ基としては、フェニルエチルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルプロピルオキシ等が挙げられる。
14における−NR1516としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
14としては、ヒドロキシ基が好ましい。
また、Xとしては、−NH−が好ましい。
化合物(II)のカルボキシラート塩が、式(IV)で表される塩である場合の、Yn+としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期表IB、IIB族の遷移元素からなる群から選ばれる金属のカチオン、アミン等のカルボキシ基と塩形成しうる有機塩基類のカチオン等が挙げられ、例えばLi、Na、K、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Zn2+、Cu2+、Cu、Ag、(NH、[NH(C、[NH(C)(i−CN−(CH−NH N−(CH−NH 等が挙げられる。中でも、アルカリ金属のカチオンが好ましい。
以下に化合物(II)の具体例を示す。
Figure 2016113522
Figure 2016113522
<化合物(II)の製造方法>
化合物(II)は、例えば、下記式(a)、(b)、又は(c)に示される反応を行なうことにより製造することができる。
Figure 2016113522
上記式(a)、(b)、(c)中、R11、R12、R13及びR14は上記と同じ意味を表す。Pは保護基を表す。
における保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。特に、式(III)で表される化合物は、無水マレイン酸等の対応する酸無水物を、エステル化反応、アミド化反応又は塩形成反応することにより製造することができる。
<化合物(II)の塩の製造方法>
化合物(II)の塩は、例えば、上記式(a)、(b)、又は(c)に示される反応により、R14がヒドロキシ基である化合物(II)を製造し、当該化合物(II)について、塩形成反応を行なうことにより製造することができる。塩形成反応としては、例えば当該化合物(II)を金属を用いて金属塩化する反応が挙げられる。
<式(IV)で表される塩の製造方法>
上記式(IV)で表される塩は、例えば下記の式に示される方法により製造することができる。
Figure 2016113522
上記式中、R11、R12、R13及びYは上記と同じ意味を表す。Pは保護基を表す。
における保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。保護基を使用した場合には、その保護基を汎用される方法にて除去することができる。
式(IV)で表される塩は、例えば、上記式(a)、(b)、又は(c)に示される反応により、R14がヒドロキシ基である化合物(II)を製造し、当該化合物(II)について、塩形成反応を行なうことにより製造することができる。塩形成反応としては、当該化合物(II)を金属(上記Yで示される金属を含有する水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩、等)を用いて金属塩化する反応や、アミン等のカルボキシ基と塩形成しうる有機塩基類を用いて塩を形成する反応が挙げられる。
<化合物(II)の水和物の製造方法>
化合物(II)の水和物は、例えば、上記式(a)、(b)、又は(c)に示される反応を、水及び有機溶媒の混合溶媒中で行うか、あるいは、化合物(II)を製造した後、水溶媒でリパルプ又は再結晶を行うことにより製造することができる。
<化合物(II)のメタノール和物の製造方法>
化合物(II)のメタノール和物は、例えば、式(a)、(b)、又は(c)に示される反応を、メタノールを含む有機溶媒中で行うか、あるいは、化合物(II)を製造した後、メタノール溶媒でリパルプ又は再結晶を行うことにより製造することができる。
<化合物(II)の塩の水和物の製造方法>
化合物(II)の塩の水和物は、例えば、式(a)、(b)、又は(c)に示される反応により、R14がヒドロキシ基である化合物(II)を製造し、当該化合物(II)について、水及び有機溶媒の混合溶媒中で塩形成反応を行うか、あるいは、化合物(II)の塩を製造した後、水溶媒でリパルプ又は再結晶を行うことにより製造することができる。
<化合物(II)の塩のメタノール和物の製造方法>
化合物(II)の塩のメタノール和物は、例えば、式(a)、(b)、又は(c)に示される反応により、R14がヒドロキシ基である化合物(II)を製造し、当該化合物(II)について、メタノールを含む有機溶媒中で塩形成反応を行うか、あるいは、化合物(II)の塩を製造した後、メタノール溶媒でリパルプ又は再結晶を行うことにより製造することができる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー、タルク等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、オイル等の軟化剤、ワックス、硫黄、含硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いても良い。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル(アロマ系プロセスオイル)などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などが挙げられる。なかでも、ゴムとの相溶性と、tanδを維持することができるという理由から、芳香族系プロセスオイルが好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、加工性に劣り、低発熱性、耐摩耗性が低下する場合がある。該オイルの含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。15質量部を超えると、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。また、更にグアニジン系加硫促進剤を併用することも好ましい。加硫促進剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
加硫剤としては、特に限定されないが、硫黄を好適に使用できる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部である。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロール、密閉式混練機などで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物として使用でき、なかでも、タイヤ用ゴム組成物として好適に使用できる。本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に使用できるが、なかでも、トレッド(キャップトレッド)、ベーストレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカス、クリンチ等に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[カーボンブラック製造設備]
空気導入ダクトと燃焼バーナーを備える内径500mm、長さ1750mmの燃焼帯域、該燃焼帯域に連なっており、周辺から原料ノズルを貫通設置した内径55mm、長さ700mmの狭径部からなる原料導入帯域、クエンチ装置を備えた内径200mm、長さ2700mmの後部反応帯域を順次接合したカーボンブラック製造設備を用いた。
[製造条件](ファーネス法)
この製造設備を用い、燃料に天然ガスを用い、特性を表1に示した油及び石油系炭化水素を原料油として用い、その他条件として表2に示した各条件によりカーボンブラックを製造した。各製造例により得られたカーボンブラックの歩留まり、各種特性を表2に併せて示した。なお、カーボンブラックの各種特性の測定は、上述の方法により行った。また、製造例2−5、7−14により得られたカーボンブラックは、上記カーボンブラック(1)に相当する。なお、製造例12−14により得られたカーボンブラックについては、歩留まりが悪く、評価を行えるほどのカーボンブラックが得られなかったため、該製造条件における原料油量の値は確認できず、更に、カーボンブラックの各種特性の測定、及び後述するカーボンブラックをゴム組成物に配合する試験は行わなかった。
Figure 2016113522
Figure 2016113522
(製造例A S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(両性化合物A))
窒素ガスで置換した反応容器に3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩75g、チオ硫酸ナトリウム・五水和物85.26g、メタノール375ml、水375mlを加え、これらの混合物を70℃、5時間還流した。放冷した後、減圧下でメタノールを除去した。残渣に水酸化ナトリウム13.68gを加え、室温で1時間攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残渣にエタノール600mlを加えて1.5時間還流した。熱ろ過を行い、ろ液を減圧下で濃縮し結晶を得た。結晶をろ過により取り出し、エタノールで洗浄し。更にヘキサンでの洗浄を行った。得られた結晶を真空乾燥し、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウムを得た。窒素ガスで置換した反応容器にS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム52g、水90ml、5mol/l塩酸を加え、得られた溶液を減圧下で濃縮し、ろ過により結晶を取り出した。得られた結晶を真空乾燥し、下記式(A)で表されるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸を得た。
Figure 2016113522
(製造例B S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸(両性化合物B))
反応容器に、フタルイミドカリウム99.2g及びジメチルホルムアミド480mlを加えた。この混合物に1,6−ジブロモヘキサン200gとジメチルホルムアミド200mlとの混合物を室温で滴下した。滴下終了後、得られた混合物を120℃まで昇温して5時間還流し、放冷後、反応混合物から溶媒を留去した。酢酸エチルと水とを加えて分液した後、有機層を濃縮した。得られた残渣にヘキサンと酢酸エチルを加え、結晶を析出させた。結晶を取り出し、真空乾燥して、N−(6−ブロモヘキシル)フタルイミドを得た。反応容器に、N−(6−ブロモヘキシル)フタルイミド40g、チオ硫酸ナトリウム・五水和物32.0g、メタノール200ml、水200mlを加え、これらの混合物を5時間還流させ、放冷後、反応混合物から溶媒を留去した。得られた残渣に、エタノール200mlを加えて1.5時間還流した。熱ろ過を行い、ろ液を減圧下で濃縮し結晶を得た後、静置した。結晶をろ過により取り出し、エタノールで洗浄し、更にヘキサンでの洗浄を行った。得られた結晶を真空乾燥し、6−フタルイミドヘキシルチオ硫酸ナトリウム塩を得た。窒素置換した反応容器に、6−フタルイミドヘキシルチオ硫酸のナトリウム塩20.0g(54.7mmol)及びエタノール200mlを仕込み、得られた混合物にヒドラジン・一水和物4.25g(84.8mmol)を滴下した。滴下終了後、得られた混合物を70℃で5時間攪拌した後、減圧下でエタノールを留去した。残渣にメタノール100mlを加えて1時間還流させた。熱ろ過により結晶を取得し、これをメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム塩を得た。窒素ガスで置換した反応容器に、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム26g、水45ml、5mol/l塩酸を加え、得られた溶液を減圧下で濃縮し、ろ過により結晶を取り出した。得られた結晶を真空乾燥し、下記式(B)で表されるS−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸を得た。
Figure 2016113522
上記製造例A及びBで得られた両性化合物A及びBのメディアン径(50%D)を、(株)島津製作所製SALD一2000J型を用い、レーザー回折法(測定操作は下記のとおり)により測定したところ、メディアン径(50%D)はいずれも66.7μmであった。得られた両性化合物A及びBを粉砕し、そのメディアン径(50%D)を共に14.6μmに調製し、以下の実施例で使用した。
<測定操作>
上記製造例A及びBで得られた両性化合物A及びBをそれぞれ、分散溶媒(トルエン)と分散剤(10質量%スルホこはく酸ジー2−エチルヘキシルナトリウム/トルエン溶液)との混合溶液に室温で分散させ、得られた分散液に超音波を照射しながら、該分散液を5分間撹拌して試験液を得た。該試験液を回分セルに移し、1分後に測定した。(屈折率:1.70−0.20i)
(製造例C ナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸メタノール和物(両性化合物C))
窒素雰囲気下、反応容器に1,4−フェニレンジアミン195.5g(1.81mol)とテトラヒドロフラン3000mlを仕込んだ。そこへ氷冷下、無水マレイン酸118.1g(1.20mol)をテトラヒドロフラン1200mlに溶解した溶液を約3時間で滴下した後、室温で一晩撹拌した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、テトラヒドロフラン250mlで2回洗浄し、40℃で乾燥して粗製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸を黄橙色の粉末として241.8g得た。粗製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸241.8gに水484mlを加えて0〜10℃に冷却し、5N水酸化ナトリウム水溶液216ml、次いで1N水酸化ナトリウム水溶液21mlを滴下した。その後、減圧下に溶媒を留去して得られた残渣に2−プロパノール200mlを加えて再度減圧下に溶媒を留去した。得られた黄褐色固体にテトラヒドロフラン800mlを加えて室温で一晩撹拌し、固体を濾取、テトラヒドロフラン100mlで3回洗浄して乾燥し、粗製のナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸を279g得た。粗製のナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸279gを2分割し、それぞれにメタノール2800mlを加え、1時間加熱還流後、熱時に濾過を行い不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮して得られた固体を合一し、テトラヒドロフラン750mlを加えて室温で一晩撹拌して、50℃で30分保温した後、熱時濾過した。得られた固体をテトラヒドロフラン150mlで3回洗浄し、45℃で5時間減圧乾燥して、下記式(C)で表されるナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸メタノール和物を淡褐白色の粉末として264.6g得た。収率84.5%。
−NMR(300MHz,DMSO−d6)δppm:14.6(1H,s),7.3(2H,d,J=8.9Hz),6.5(2H, d,J=8.9Hz),6.1(1H,d,J=13.5Hz),5.6(1H,d,J=13.5Hz),4.1(1H,q,J=5.4,10.5Hz),4.8(2H、s)、3.2(3H、s)。
Figure 2016113522
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含量:97質量%)
カーボンブラック:製造例1〜11により得られたカーボンブラック
両性化合物A:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(製造例Aで調製)
両性化合物B:S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸(製造例Bで調製)
両性化合物C:ナトリウム(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸メタノール和物(製造例Cで調製)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(芳香族系プロセスオイル)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例及び比較例)
1.7Lバンバリーミキサーを用いて、表3〜6に示す配合内容に従い、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を160℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表3〜6に示す。なお、表3の基準比較例を比較例3とし、表4の基準比較例を比較例10とし、表5の基準比較例を比較例17とし、表6の基準比較例を比較例23とした。
(加工性)
未加硫ゴム組成物について、JIS K6300に準拠したムーニー粘度の測定方法に従い、130℃でムーニー粘度を測定した。基準比較例のムーニー粘度(ML1+4)を100として、他の配合については、下記計算式により指数表示した(ムーニー粘度指数)。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。なお、ムーニー粘度指数が100程度であれば、充分に良好な加工性であるといえる。
(ムーニー粘度指数)=(基準比較例のML1+4)/(各配合のML1+4)×100
(低発熱性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合の損失正接(tanδ)を測定し、基準比較例のtanδを100として、他の配合については、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低発熱性)に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(基準比較例のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、基準比較例のランボーン摩耗指数を100として、他の配合については、下記計算式により容積損失量を指数表示した(ランボーン摩耗指数)。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(基準比較例の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
Figure 2016113522
Figure 2016113522
Figure 2016113522
Figure 2016113522
表3〜6より、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物と、カーボンブラック(1)とを配合した実施例では、良好な加工性が維持されつつ、耐摩耗性及び低発熱性が相乗的に改善され、耐摩耗性及び低発熱性を顕著に改善できることが分かった。
具体的には、比較例1、3、4、実施例1の対比や、比較例2、3、4、実施例2の対比、比較例8、10、11、実施例9の対比、比較例9、10、11、実施例10の対比、あるいは、比較例16、17、18、実施例19の対比や、比較例22、23、24、実施例23の対比などにより、特定の酸性官能基及び特定の塩基性官能基を有する両性化合物(両性化合物A、B、又はC)と、カーボンブラック(1)とを併用することにより、耐摩耗性及び低発熱性が相乗的に改善されることが分かった。

Claims (17)

  1. ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、
    前記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、
    前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラックであるゴム組成物。
    BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
  2. 前記両性化合物が、下記式(I)で表される化合物である請求項1記載のゴム組成物。
    Figure 2016113522
    (式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は、炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。なお、上記式(I)で表される化合物は、当該化合物の金属塩であってもよい。)
  3. 前記両性化合物が、下記式(I−1)及び/又は下記式(I−2)で表される化合物である請求項2記載のゴム組成物。
    Figure 2016113522
    (式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。)
  4. 前記式(I−2)中のMr+で表される金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンである請求項3記載のゴム組成物。
  5. 前記両性化合物が、(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のゴム組成物。
    (A1):下記式(II)で表される化合物
    (B1):下記式(II)で表される化合物の塩
    (C1):下記式(II)で表される化合物の溶媒和物
    (D1):下記式(II)で表される化合物の塩の溶媒和物
    Figure 2016113522
    (式(II)中、R11は置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルカンジイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基、又は*−B−Ar−B−*基を表し、*は結合手を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Bは、単結合又は炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。Arは、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R12及びR13は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、或いは、互いに結合して炭素数2〜12のアルカンジイル基を形成する。R14は、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数7〜15のアリールアルコキシ基又は−NR1516を表し、R15及びR16は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。Xは、−NH−又は−O−を表す。)
  6. 前記式(II)中のR12及びR13が、水素原子である請求項5記載のゴム組成物。
  7. 前記式(II)で表される化合物が、下記式(III)で表される化合物である請求項5又は6記載のゴム組成物。
    Figure 2016113522
    (式(III)中、R11、R12、R13、R14及びXは、上記と同じ意味を表す。)
  8. 前記R11が、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基であり、前記Xが、−NH−である請求項5〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 前記R14が、ヒドロキシ基である請求項5〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 前記両性化合物の含有量が、カーボンブラック100質量部に対して0.01〜30質量部である請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
  11. 前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が95以上、脂肪族炭化水素比率が60質量%以下である原料油を使用して得られたカーボンブラックである請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
  12. 前記原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、10質量%以上が動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素である請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. 前記原料油がトール油を含有する請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
  14. 前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、ファーネス法で製造されたカーボンブラックである請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物。
  15. ゴム成分と、1種以上の両性化合物と、1種以上のカーボンブラックとを含むゴム組成物において、
    前記両性化合物が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基、ジチオカルボン酸基、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基、及び、フェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である酸性官能基、並びに、アミノ基又は置換アミノ基である塩基性官能基を有し、
    前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が79nm以下、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78以上のカーボンブラックであるゴム組成物。
  16. タイヤ用ゴム組成物として用いられる請求項1〜15のいずれかに記載のゴム組成物。
  17. 請求項16記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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