JP2016111046A - マルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置、及びマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法 - Google Patents

マルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置、及びマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】マルチビーム照射による表面の帯電を抑制することが可能なブランキングアパーチャアレイ装置をより簡易なプロセスによって製造する方法を提供する。【構成】本発明の一態様のマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法は、下層側から絶縁膜310と金属膜320と絶縁膜330と金属膜340とが表面に順に積層された基板300を用いて、金属膜340上に複数の電極24,26と複数のパッド29とを形成する工程と、金属膜340の一部をエッチングにより除去する工程と、複数の電極と複数のパッドと金属膜340の残部とをマスクとして、絶縁膜330をエッチングにより除去する工程と、それぞれが複数の電極のうち対となる電極同士間の位置で基板を貫通する複数の通過孔25を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、マルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置、及びマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法に関する。
近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。かかる回路を形成するリソグラフィ技術に使用するマスク製造には、優れた解像性を有する電子線(電子ビーム)描画技術が用いられる。
電子ビーム描画を行う描画装置として、例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでスループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったマスクに通してマルチビームを形成し、各々、ブランキングアパーチャアレイ装置を通過させる。その際、ブランキングアパーチャアレイ装置によって各ビームは個別にブランキング制御され、偏向されたビームは遮蔽物に当り遮蔽され(ブランキング)、偏向されなかった各ビームが試料上に照射される。このときビームは試料上の所望位置に照射されるようブランキングアパーチャアレイ装置とは別の偏向手段により偏向制御される。
ここで、マルチビームをブランキング制御するブランキングアパーチャアレイ装置には、マルチビームの各通過穴が形成され、これらの通過穴の周囲にビームを偏向させるためのそれぞれ一対の電極対が形成される。ブランキングアパーチャアレイ装置は、その製造方法において、半導体製造技術を用いて、シリコン(Si)基板上にかかる各通過穴及び各電極対等を形成していく方法が採られる。
ここで、製造されたブランキングアパーチャアレイ装置の表面に保護用の絶縁膜が露出していると、ブランキングアパーチャアレイ装置が搭載された描画装置によるビーム照射時にブランキングアパーチャアレイ装置上面に露出した絶縁物が帯電してしまう。かかる帯電により、ビームの歪みやぼけが生じてしまうといった問題があった。そのため、ブランキングアパーチャアレイ装置には帯電防止対策が必要となる。例えば、Si基板に形成された通過穴を挟んで電極対を通過穴の側壁を含めて形成し、各電極からの金属配線を基板上に形成する。その際、配線の電位がビーム偏向に影響しないように金属配線上に絶縁膜を介して金属膜を配置するといった構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。その他、基板本体の電極領域の周囲上面は絶縁膜を露出させ、絶縁膜の外側の上面が金属膜で覆われる基板本体に、別基板として製造した電極をボンディングするといった構成のブランキングアパーチャアレイ装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、いずれの構成でも、ブランキングアパーチャアレイ装置上面に絶縁物が残ってしまい、ビーム照射時における絶縁物の帯電を抑制しきれない。また、電極および配線箇所等以外の領域にSi(半導体)基板がそのまま露出する構成では帯電抑制効果が十分に発揮することが困難である。また、通過穴の側壁に電極形成する場合や、別基板として製造した電極をボンディングするとなるとブランキングアパーチャアレイ装置の製造が複雑化してしまう。
特開2005−136114号公報 特開2010−267962号公報
そこで、本発明は、上述した問題点の少なくとも1つを克服し、マルチビーム照射による表面の帯電を抑制することが可能なブランキングアパーチャアレイ装置をより簡易なプロセスによって製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様のマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法は、
下層側から第1の絶縁膜と第1の金属膜と第2の絶縁膜と第2の金属膜とが表面に順に積層された基板を用いて、第2の金属膜上に複数の電極と複数のパッドとを形成する工程と、
第2の金属膜の一部をエッチングにより除去する工程と、
複数の電極と複数のパッドと第2の金属膜の残部とをマスクとして、第2の絶縁膜をエッチングにより除去する工程と、
それぞれが複数の電極のうち対となる電極同士間の位置で基板を貫通する複数の開口部を形成する工程と、
を備え、
第2の金属膜の一部をエッチングにより除去する際、それぞれ複数の電極の1つと複数のパッドの1つとを繋ぐ複数の領域に第2の金属膜の一部がそれぞれ残存するように第2の金属膜をエッチングし、
基板面上方から見て、複数の開口部の形成後における複数の開口部全体を含む領域が、複数の電極と複数のパッドと第1と第2の金属膜とによって絶縁膜が露出しないように形成される。
また、第1と第2の金属膜と前記複数の電極と複数のパッドとの材料として、金(Au)と白金(Pt)とのうち1つが用いられると好適である。
本発明の一態様のマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置は、
複数の開口部が形成された基板と、
複数の開口部全体を含む基板上面の領域上に形成された第1の金属膜と、
第1の金属膜上であって、複数の開口部の近傍に配置された、金属材料で形成された複数の第1の電極と、
第1の金属膜上であって、複数の開口部の対応する開口部を挟んで複数の第1の電極と対向する位置に配置される、金属材料で形成された複数の第2の電極と、
複数の第1の電極と複数の第2の電極のいずれかに接続され、第1の金属膜上に形成された、金属材料で形成された複数の配線と、
を備え、
マルチ荷電粒子ビームの照射方向に向いた基板面のうち、複数の開口部全体を含む基板面の領域が、第1の金属膜と複数の第1の電極と複数の第2の電極と前記複数の配線とによって覆われていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、マルチビーム照射による表面の帯電を抑制することが可能なブランキングアパーチャアレイ装置をより簡易なプロセスによって製造できる。
実施の形態1におけるマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の構成を示す上面図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置のメンブレン領域上の一部の領域の構成を示す上面図である。 実施の形態1におけるブランキング制御を説明するためのアパーチャアレイ装置の一部の領域の構成を示す断面図である。 実施の形態1におけるブランキング制御を説明するためのブランキングアパーチャアレイ装置の一部の領域の構成を示す他の断面図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の構成を示す上面図である。図1において、ブランキングアパーチャアレイ装置204は、例えば、シリコン(Si)基板を用いた基板300を、半導体製造技術を用いて加工することによって形成される。基板300の中央部は、裏面側から薄く削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域30に加工されている。メンブレン領域30を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域32となる。メンブレン領域30の上面と外周領域32の上面とは、同じ高さ位置になるように形成される。
メンブレン領域30には、マルチビームのそれぞれビームが通過するための通過孔25(開口部)が開口される。言い換えれば、基板300には、縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の2次元に、マルチビームのうちのそれぞれ対応電子ビームが通過する貫通した複数の通過孔25が形成される。そして、メンブレン領域30上には、各通過孔25を挟んで対向する電極24と電極26とが配置される。図1の例では、5(縦:y方向)×6(横:x方向)箇所の通過孔25が配列される。電極24は、各通過孔25について1つずつ配置され、電極26は、横1列の通過孔25に対して共通する1つが配置される。また、矩形のメンブレン領域30を取り囲む周囲の外周領域32上には、外部からの信号(偏向電位或いはグランド電位)を複数の電極24,26を伝達するための複数のパッド29が配置される。そして、各パッド29と、それに対応する電極(電極24或いは電極26)とを繋ぐ、表面に露出した配線23,27が基板300上にパターン形成されている。電極24は、配線27によって対応するパッド29に接続される。電極26は、配線23によって対応するパッド29に接続される。電極24と電極24に対向する電極26と、電極24に対応するパッド29と、電極24と対応するパッド29とを繋ぐ配線27と、電極26に対応するパッド29と、電極26と対応するパッド29とを繋ぐ配線23と、によってマルチビームのうちの1つのビームをブランキング偏向する個別ブランキング装置を構成する。図1の例では、矩形のメンブレン領域30の4辺のうち、2辺に沿って各パッド29が配列しているが、これに限るものではない。4辺に沿って配置されてもよい。
ここで、電極24,26と、パッド29と、配線23,27は、いずれも金属材料を用いている。また、電極24,26と、パッド29と、配線23,27と、通過孔25以外のブランキングアパーチャアレイ装置204の上面は、金属膜320(第1の金属膜)で覆われている。よって、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置204は、基板面上方から見て、複数の通過孔25(開口部)全体を含む領域が、複数の電極24,26と複数のパッド29と配線23,27(第2の金属膜)と、金属膜320(第1の金属膜)とによって絶縁膜が露出しないように形成される。図1の例では、ブランキングアパーチャアレイ装置204上面全面が金属膜で覆われている例を示したが、これに限るものではない。メンブレン領域30とその周囲の複数のパッド29とを取り囲む領域が金属膜で覆われていればよい。以上のように、基板面上方から見て、絶縁物が露出していないので、描画装置に搭載された状態でのビーム照射時のブランキングアパーチャアレイ装置204の帯電(チャージアップ)を抑制できる。
図2は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置のメンブレン領域上の一部の領域の構成を示す上面図である。図2では、例えば、左側から1列目の複数の通過孔25のうちの1つと、当該通過孔25の近傍に配置された電極24,26、配線23,27、及びパッド29とを示している。電極26は、電極24と対向する通過孔25の1辺に沿って延びると共に、延びる方向に直交する方向の通過孔25の2辺に沿って、かかる2辺の途中まで突き出す凸部(26a,26b)が形成されている。電極26は、配線23によって対応するパッド29に接続される。電極24は、配線27によって図示しない対応するパッド29に接続される。
図3は、実施の形態1におけるブランキング制御を説明するためのアパーチャアレイ装置の一部の領域の構成を示す断面図である。図3では、図2のB−B断面を示している。アパーチャアレイ装置204が図示しないマルチビーム描画装置に搭載され、描画処理を行う場合に、アパーチャアレイ装置204の上流側で形成されたマルチビームの各ビームがアパーチャアレイ装置204の複数の通過孔25のうちの対応する通過孔25を通過する。言い換えれば、各ビームが他とは異なるいずれかの通過孔25を通過する。通過孔25は、かかるマルチビームの対応ビームが通過する位置に形成されている。また、アパーチャアレイ装置204の下流側には、例えば中央部に単一の開口部が形成された制限アパーチャ部材206が配置される。
そして、例えば、電極26には、常時(描画処理中かどうかにかかわらず)、図示しない配線27で接続された図示しないパッド29を介してグランド電位が印加される。一方、ビームON時において、電極24には、配線27で接続された図示しないパッド29を介してグランド電位が印加される。他方、ビームOFF時において、電極24には、配線27で接続された図示しないパッド29を介して図示しないパッド29を介して、対応する通過孔25を通過する電子ビームをブランキング偏向するための正の偏向電位が印加される。ビームON時には、電極24,26間に電位差が生じないため、ビームは偏向されずに通過し、制限アパーチャ206の開口部を通過する。ビームOFF時においては、電極24の正の偏向電位と、電極26のグランド電位との間の電位差によって、通過するビーム20が偏向されて制限アパーチャ部材206の開口部から位置が外れて制限アパーチャ部材206によって遮蔽される。かかる動作をマルチビームの各ビームについてそれぞれ対応する個別ブランキング装置が実施することになる。
ここで、図3に示すように、基板300上には、下層側から絶縁膜310(第1の絶縁膜)と金属膜320(第1の金属膜)とが順に積層されている。そして、金属膜320上に絶縁膜330(第2の絶縁膜)と金属膜340(第2の金属膜)と電極26とが積層されている。そして、絶縁膜330と金属膜340と電極26とにおける通過孔25側端面の位置が一致するように形成される。同様に、絶縁膜330と金属膜340と電極26とにおける通過孔25とは反対側端面の位置が一致するように形成される。さらに、絶縁膜330と金属膜340と電極24とにおける通過孔25側端面の位置が一致するように形成される。また、電極24における通過孔25とは反対側には、金属膜340によって配線27が形成されている。
図4は、実施の形態1におけるブランキング制御を説明するためのブランキングアパーチャアレイ装置の一部の領域の構成を示す他の断面図である。図4では、図2のA−A断面を示している。図4に示すように、基板300上には、下層側から絶縁膜310(第1の絶縁膜)と金属膜320(第1の金属膜)とが順に積層されている。そして、金属膜320上に絶縁膜330(第2の絶縁膜)と金属膜340(第2の金属膜)と電極26(26a,26b)とが積層されている。そして、絶縁膜330と金属膜340と電極26bとにおける通過孔25側端面の位置が一致するように形成される。同様に、絶縁膜330と金属膜340と電極26bとにおける通過孔25とは反対側端面の位置が一致するように形成される。さらに、絶縁膜330と金属膜340と電極26aとにおける通過孔25側端面の位置が一致するように形成される。また、電極26aにおける通過孔25とは反対側には、金属膜340によって配線23が形成されている。
図3及び図4に示すように、基板面上方から見て、全面が、複数の電極24及び26とパッド29と配線である金属膜23及び27と、前記以外の表面を覆う金属膜320とによる金属膜に覆われている。すなわち、Si材の基板300、及び絶縁膜310,330が、基板面上方から見て、露出している箇所が存在しない。かかる構成により、帯電を抑制できる。以下、図4に示したAA断面を例にして、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法を説明する。
図5は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。図5では、開口部形成工程から絶縁膜エッチング工程(1)までを示す。以降の工程は後述する。
図5(a)において、開口部形成工程として、基板300に通過孔25(開口部)を形成する。ここでは、1つの通過孔25を示しているが、基板300には、複数の通過孔25が形成されることは言うまでもない。基板300は、上述したように、Si基板を用いるとよい。また、上述したように、基板300の中央部は、裏面側から薄く削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域30に加工されている。複数の通過孔25は、マルチビームのうちのそれぞれ対応電子ビームが通過する縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の2次元の位置に形成される。形成方法は、図示しないリソグラフィ技術を用いて、通過孔25の領域が開口したレジストパターンをSi基板300上に形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、例えば、プラズマを用いたRIE(反応性イオンエッチング)法にて貫通孔を形成すればよい。
図5(b)において、開口部充填工程として、通過孔25に充填材料膜301を充填して通過孔25を埋め込む。充填材料膜301として、例えば、有機樹脂膜を用いると好適である。形成方法は、スピンオン法により形成すればよい。通過孔25からはみ出た基板300上の余分な充填材料膜301は除去する。
図5(c)において、絶縁膜形成工程(1)として、充填材料膜301によって通過孔25が埋め込まれた基板300上に絶縁膜310(第1の絶縁膜)を形成する。例えば、プラズマCVD(化学気相成長)法により、膜厚0.5μmのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する。成膜レートは例えば、80μm/分で形成する。形成方法は、CVD法に限るものではなく、その他の方法であってもよい。例えば、スパッタ法を用いても良い。
図5(d)において、絶縁膜エッチング工程(1)として、通過孔25上に形成された絶縁膜310をエッチングにより除去する。図示しないリソグラフィ技術を用いて、通過孔25の領域が開口したレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、プラズマを用いたRIE法にて露出した絶縁膜310をエッチング除去すればよい。RIE法によるドライエッチング法の代わりに、フッ化水素酸水溶液によるウエットエッチング法を用いても良い。エッチング後は、レジストパターンをアッシング等により除去する。
図6は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。図6では、金属膜形成工程から絶縁膜エッチング工程までを示す。以降の工程は後述する。
図6(a)において、金属膜形成工程(1)として、絶縁膜310上及び通過孔25の充填材料膜301上に、金属膜320(第1の金属膜)を形成する。金属膜320として、例えば、チタン(Ti)膜を膜厚0.02μm形成し、その後、金(Au)膜を膜厚0.07μm形成する。金属膜320の形成には蒸着法を用い、その成膜レートはそれぞれ、Ti膜について40nm/分、Au膜について30nm/分で形成する。形成方法は、蒸着法に限るものではなく、その他の方法であってもよい。例えば、スパッタ法を用いても良い。なお、金属膜320として、Ti膜とAu膜との積層膜を示したが、これに限るものではない。例えば、Au膜の単層膜であってもよい。或いは、白金(Pt)膜の単層膜であってもよい。また、積層膜にする場合、Ti膜の代わりに、クロム(Cr)膜等の金属を用いてもよい。
図6(b)において、金属膜エッチング工程(1)として、通過孔25上に形成された金属膜320をエッチングにより除去する。図示しないリソグラフィ技術を用いて、通過孔25の領域が開口したレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、ウエットエッチング法にて露出した金属膜320をエッチング除去すればよい。例えば、Ti膜のエッチングにはフッ化水素酸水溶液を用いることができる。エッチングレートは例えば400nm/分である。Au膜のエッチングには塩酸と硝酸を混合した水溶液を用いることができる。エッチングレートは例えば85nm/分である。エッチング後は、レジストパターンをアッシング等により除去する。
図6(c)において、絶縁膜形成工程(2)として、金属膜320上及び通過孔25の充填材料膜301上に、絶縁膜330(第2の絶縁膜)を形成する。例えば、プラズマCVD(化学気相成長)法により、膜厚0.5μmのシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する。成膜レートは例えば、80μm/分で形成する。形成方法は、CVD法に限るものではなく、その他の方法であってもよい。例えば、スパッタ法を用いても良い。
図6(d)において、絶縁膜エッチング工程(2)として、通過孔25上に形成された絶縁膜330をエッチングにより除去する。図示しないリソグラフィ技術を用いて、通過孔25の領域が開口したレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、プラズマを用いたRIE法にて露出した絶縁膜330をエッチング除去すればよい。RIE法によるドライエッチング法の代わりに、フッ化水素酸水溶液によるウエットエッチング法を用いても良い。エッチング後は、レジストパターンをアッシング等により除去する。
図7は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法の工程断面図である。図7では、金属膜形成工程(2)から絶縁膜エッチング工程(3)までを示す。
図7(a)において、金属膜形成工程(2)として、絶縁膜330上及び通過孔25の充填材料膜301上に、金属膜340(第2の金属膜)を形成する。金属膜340として、例えば、金(Au)膜を膜厚0.07μm形成する。金属膜340の形成には蒸着法を用い、その成膜レートは30nm/分で形成する。形成方法は、蒸着法に限るものではなく、その他の方法であってもよい。例えば、スパッタ法を用いても良い。なお、金属膜340として、Au膜を用いたが、その他、白金(Pt)膜であってもよい。以上のようにして、下層側から絶縁膜310(第1の絶縁膜)と金属膜320(第1の金属膜)と絶縁膜330(第2の絶縁膜)と金属膜340(第2の金属膜)とが表面に順に積層された基板300が形成される。金属膜340は、上述した配線23,27として機能すると共に、後述する電解めっき法におけるシード層として機能する。
図7(b)において、金属膜形成工程(3)として、図7(a)に示す基板300を用いて、金属膜340(第2の金属膜)上に電極26(26a,26b)とパッド29となる金属膜(第3の金属膜)を形成する。ここでは、1つの電極26のそれぞれ一部分26a,26bと1つのパッド29を示しているが、基板300には、複数の電極24,26と複数のパッド29が形成されることは言うまでもない。図示しないリソグラフィ技術を用いて、電極24,26とパッド29の形成領域を開口したレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとして、また、金属膜340をシード層として用いて電解めっき法により複数の電極24,26と複数のパッド29とを形成する。複数の電極24,26と複数のパッド29として、例えば、膜厚10μmのAu膜を形成する。なお、複数の電極24,26と複数のパッド29として、Au膜を用いたが、その他、白金(Pt)膜であってもよい。或いは、電極となりうる金属であれば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の他の金属であってもよい。成膜レートは、例えば60nm/分である。
図7(c)において、金属膜エッチング工程(2)として、金属膜340(第2の金属膜)の一部をエッチングにより除去する。金属膜340(第2の金属膜)の一部をエッチングにより除去する際、それぞれ複数の電極26(24)の1つと複数のパッド29の1つとを繋ぐ複数の領域に金属膜340の一部がそれぞれ残存するように金属膜340をエッチングする。言い換えれば、配線23,27を形成する配線領域、および複数の電極24,26と複数のパッド29との下層の領域以外の金属膜340(金属膜340の一部)をエッチングにより除去する。図示しないリソグラフィ技術を用いて、配線23,27を形成する配線領域、および複数の電極24,26と複数のパッド29との領域以外の領域が開口したレジストパターン350を形成する。そして、レジストパターン350をマスクとして、ウエットエッチング法にて露出した金属膜340をエッチング除去すればよい。例えば、Au膜のエッチングには塩酸と硝酸を混合した水溶液を用いることができる。エッチングレートは例えば85nm/分である。なお、金属膜340のエッチングにおいては、エッチングできる溶液であれば他の溶液でも構わない。例えば、ヨウ素水溶液等を用いることができる。或いは、ドライエッチング法でもよい。エッチング後は、レジストパターンをアッシング等により除去する。或いは残しても構わない。
図7(d)において、絶縁膜エッチング工程(3)として、複数の電極24,26と複数のパッド29と金属膜340の残部とをマスクとして、絶縁膜330をエッチングにより除去する。プラズマを用いたRIE法にて露出した絶縁膜330をエッチング除去すればよい。RIE法によるドライエッチング法の代わりに、フッ化水素酸水溶液によるウエットエッチング法を用いても良い。ここでは、複数の電極24,26と複数のパッド29と金属膜340の残部とをマスクとするので、基板面上方から見て、エッチング後に、絶縁膜330が表面に露出することを防止できる。レジストパターンを形成する場合に生じ得る位置ずれ等による絶縁膜330のエッチング残しを防止できる。さらに、実施の形態1では、絶縁膜330をエッチングにより除去する際、金属膜320をエッチングストッパとして用いる。これにより、エッチングの進行不足による絶縁膜330のエッチング残りを防止できる。
次に、充填材料膜エッチング工程として、それぞれが複数の電極24,26のうち対となる電極同士間の位置で基板300を貫通する複数の通過孔25(開口部)を形成する。具体的には、複数の通過孔25に充填されていた充填材料膜301をエッチングにより除去する。例えば、プラズマを用いたRIE法を用いればよい。例えばエッチングレートは500nm/分である。以上により、図4に示した断面構造を得ることができる。充填材料膜301を通過孔25に埋め込んだ状態で上述した絶縁膜や金属膜の形成及びエッチングを行うことで、通過孔25の側壁に、これら絶縁膜や金属膜が付着することを防止できる。
かかる製造方法により製造されたブランキングアパーチャアレイ装置204は、基板面上方から見て、複数の通過孔25の形成後における複数の通過孔25全体を含む領域が、複数の電極24,26と複数のパッド29と金属膜320,340とによって絶縁膜および基板300が露出しないように形成される。言い換えれば、マルチビームが通過する表面において、金属膜のみが露出するように構成できる。よって、マルチビーム描画装置(マルチビーム露光装置)に搭載された場合でも、ビーム照射中に発生するチャージアップの発生を抑えることが可能である。また、上述したように、従来技術に比べてより簡易なプロセスによってブランキングアパーチャアレイ装置204表面のチャージプップを抑制可能にできる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置については、記載を省略したが、必要とされる構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置及びその製造方法は、本発明の範囲に包含される。
20 ビーム
23,27 配線
24,26 電極
25 通過孔
29 パッド
30 メンブレン領域
32 外周領域
300 基板
310,330 絶縁膜
320,340 金属膜
350 レジストパターン

Claims (3)

  1. 下層側から第1の絶縁膜と第1の金属膜と第2の絶縁膜と第2の金属膜とが表面に順に積層された基板を用いて、前記第2の金属膜上に複数の電極と複数のパッドとを形成する工程と、
    前記第2の金属膜の一部をエッチングにより除去する工程と、
    前記複数の電極と複数のパッドと前記第2の金属膜の残部とをマスクとして、前記第2の絶縁膜をエッチングにより除去する工程と、
    それぞれが前記複数の電極のうち対となる電極同士間の位置で前記基板を貫通する複数の開口部を形成する工程と、
    を備え、
    前記第2の金属膜の一部をエッチングにより除去する際、それぞれ前記複数の電極の1つと前記複数のパッドの1つとを繋ぐ複数の領域に前記第2の金属膜の一部がそれぞれ残存するように前記第2の金属膜をエッチングし、
    基板面上方から見て、前記複数の開口部の形成後における前記複数の開口部全体を含む領域が、前記複数の電極と複数のパッドと前記第1と第2の金属膜とによって絶縁膜が露出しないように形成されることを特徴とするマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法。
  2. 前記第1と第2の金属膜と前記複数の電極と複数のパッドとの材料として、金(Au)と白金(Pt)とのうち1つが用いられることを特徴とする請求項1記載のマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置の製造方法。
  3. 複数の開口部が形成された基板と、
    前記複数の開口部全体を含む前記基板上面の領域上に形成された第1の金属膜と、
    前記第1の金属膜上であって、前記複数の開口部の近傍に配置された、金属材料で形成された複数の第1の電極と、
    前記第1の金属膜上であって、前記複数の開口部の対応する開口部を挟んで前記複数の第1の電極と対向する位置に配置される、金属材料で形成された複数の第2の電極と、
    前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極のいずれかに接続され、前記第1の金属膜上に形成された、金属材料で形成された複数の配線と、
    を備え、
    マルチ荷電粒子ビームの照射方向に向いた基板面のうち、前記複数の開口部全体を含む基板面の領域が、前記第1の金属膜と前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極と前記複数の配線とによって覆われていることを特徴とするマルチビームのブランキングアパーチャアレイ装置。
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